JPH11124792A - 易離解性耐水印刷用紙 - Google Patents

易離解性耐水印刷用紙

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JPH11124792A
JPH11124792A JP29223897A JP29223897A JPH11124792A JP H11124792 A JPH11124792 A JP H11124792A JP 29223897 A JP29223897 A JP 29223897A JP 29223897 A JP29223897 A JP 29223897A JP H11124792 A JPH11124792 A JP H11124792A
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Yoshihiko Hibino
良彦 日比野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐水性に優れ、且つオフセット印刷が可能であ
り、特にポスターや地図用紙として使用でき、古紙回収
時には容易に離解再生が可能な環境に適合した易離解性
耐水印刷用紙を提供することにある。 【解決手段】天然木材繊維を主成分とする紙ベースに対
し、塩化ビニール−エチレン共重合体エマルジョンまた
は塩化ビニール−酢酸ビニール−エチレン共重合体エマ
ルジョンからなる耐水性付与剤を固形分で2.5〜5g
/m2含浸または塗工し、且つJIS P−8137に規
定されたはっ水度がR8〜R10、または水浸漬前後の引
張強度の残存率が20%以上、さらには、ASTM D
−257に規定された表面抵抗率が11logΩ以下で
ある易離解性耐水印刷用紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐水性があり、且
つオフセット印刷が可能である易離解性の耐水印刷用紙
に関するものであり、詳しくは、ポスターや地図用紙と
して使用できるオフセット印刷用紙であり、古紙回収時
には容易に離解再生が可能な環境に適合した印刷用紙に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】耐水性シートとしては、本質的に雨水等
の影響を受けない合成樹脂を使用し、これをシート状に
成形したものや紙基材の表面に合成樹脂フィルムを貼り
合わせることによって耐水性を付与したものがある。前
者の具体例としては、特開平7−1867号があり、合
成樹脂と無機填料等とから作られる合成紙が開示されて
いる。この他、ポリエステル等の合成樹脂フィルムの表
面にさらに顔料等を塗工することにより筆記性を付与し
た耐水性シートも発案されている。また、後者の具体例
としては、特開平3−234900号および実開昭60
−145072号があり、紙基材の表面にマット状にエ
ンボス処理された薄い合成樹脂フィルムを貼り合わせた
積層タイプの耐水性シートが開示されている。
【0003】しかしながら、このような耐水性シートに
使用される合成樹脂は、紙に比べて高価であり、このよ
うな合成樹脂を大量に使用した場合にはコスト高につな
がる。また、合成樹脂から成るシートやフィルムは紙と
違って生分解性がないため、これらを廃棄した場合に
は、いつまでもそのままの状態で残存し、廃棄ゴミとし
て自然環境を害する結果となる。一方、合成樹脂から成
るシートやフィルムを焼却する場合には、紙に比べて発
熱量が大きく、成分如何によっては、焼却炉を傷める事
態を招いたり、有毒ガス等を発生させることとなる。
【0004】さらに紙の表面に合成樹脂フィルムを貼り
合わせた耐水紙にあっては、合成樹脂フィルムの存在に
より使用済みの紙を故紙として再利用することができ
ず、ゴミ処理、森林保護、資源の有効利用等の見地から
好ましくない。この他、紙と合成樹脂フィルムとでは、
特に温度変化や湿度変化による伸縮特性の差が大きいた
めに、両者を貼り合わせた後にカールが発生する場合が
あり、外観を損ねるほか、印刷作業を困難にしていた。
【0005】一方、離解性に重点を置いた製品として
は、ワックス、汎用の樹脂エマルジョンを塗布した防湿
紙などがあり、包装紙として利用されている。
【0006】このような防湿紙の技術として、ブタジエ
ン系ラテックスにワックス系エマルジョンをブレンドし
た配合物を塗工したもの(特公昭55-22597号公報参
照)、アクリル系エマルジョンとワックス系エマルジョ
ンの混合液を利用したもの(特公平2-1671号、特開平6-
200498号、特開平7-119080号各公報参照)などが知られ
ている。しかしながら、これらの技術は防湿性を付与す
る目的でワックスとしてパラフィン系ワックスやポリエ
チレン系ワックスを用いるため、摩擦係数の低下を引き
起こしたり、加工紙を重ねておく際にワックスがブリー
ドして非塗工面や他の器材へ転移したりして、すべりの
問題や印刷時の印刷適性を阻害する問題が発生してい
た。この解決策として、特開平7-113024号公報ではブタ
ジエン系ラテックスに脂肪酸エステルを混合した防湿加
工用組成物が提案されているが、防湿性、非転移性、易
離解性などの全てを満足させるものではなく、このよう
な必要特性を兼備したコート剤はまだ得られていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
背景を充分に認識し、上記課題の解決を図るべく案出さ
れたものであって、紙ベースの耐水紙とすることを前提
に、耐水性付与剤を含浸または塗工することにより耐水
性を付与することで、紙ベースへの水の浸入を未然に防
止、あるいは大幅に遅らせるようにし、所望の耐水性を
得ると同時にオフセット印刷適性も兼ね備えた、新規な
易離解性耐水印刷用紙を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的は以下の本発
明によって達成される。
【0009】すなわち、本発明の易離解性耐水印刷用紙
は、天然木材繊維を主成分とする紙ベースに対し、塩化
ビニール−エチレン共重合体エマルジョンまたは塩化ビ
ニール−酢酸ビニール−エチレン共重合体エマルジョン
からなる耐水性付与剤のうち少なくとも1種類の耐水性
付与剤を固形分で2.5〜5g/m2含浸または塗工し、
且つ含浸または塗工後の印刷用紙のJIS P−813
7に規定されたはっ水度がR8〜R10であることを特徴
とするものである。
【0010】また、本発明の易離解性耐水印刷用紙は、
上記易離解性耐水印刷用紙において、天然木材繊維を主
成分とする紙ベースが湿潤紙力剤を該天然木材繊維に対
して0.5重量%以下含有してなり、且つ水浸漬前後の
引張強度の残存率が20%以上であることを特徴とする
ものである。
【0011】好ましくは、易離解性耐水印刷用紙が、J
IS P−8117に規定された透気度が20〜100
秒であることを特徴とする。
【0012】さらに、本発明の易離解性耐水印刷用紙
は、上記易離解性耐水印刷用紙において、天然木材繊維
を主成分とする紙ベースが有機または無機の導電剤を
0.1g/m2以下含有してなり、且つASTM D−
257に規定された表面抵抗率が11logΩ以下であ
ることを特徴とするものである。
【0013】さらに好ましくは、上記発明の易離解性耐
水印刷用紙において、天然木材繊維が古紙パルプを含有
したものであることを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の易離解性耐水印刷
用紙について、詳細に説明する。
【0015】本発明者は、まず第一に本発明の易離解性
耐水印刷用紙の耐水性と水に対する離解性との関係につ
いて検討した。
【0016】天然木材繊維を主成分とする紙ベースに対
し耐水性付与剤として用いる事ができる薬剤には、一般
的に、フッ素系水溶液、ワックス系エマルジョン、ポリ
エチレン系樹脂エマルジョン、シリコーン系エマルジョ
ン、メチルメタクリレート・スチレン・ブタジエンラテ
ックス(MSBR)−エチレン系エマルジョン、エチレ
ン−スチレン系エマルジョン、並びに塩化ビニール−エ
チレン共重合体エマルジョン、塩化ビニール−酢酸ビニ
ール−エチレン共重合体エマルジョンなどが知られてい
る。
【0017】天然木材繊維を主成分とする紙ベースに対
し、耐水性付与剤を含浸または塗工して耐水紙を製造す
る場合、耐水性が強ければ強いほど外部からの水の浸入
を未然に防止、あるいは大幅に遅らせる事は可能となる
が、一方、水の浸透が妨げられることで離解性が著しく
劣ることになり、古紙の再利用が困難になる。さらに、
オフセット印刷を行う印刷用紙の場合、印刷自体が湿し
水により非画線部を覆う事を機構として採用しているこ
とから、余り耐水性が強すぎると地汚れを起こし、特殊
な印刷しかできなくなるなど、これらは相反する特性と
なる。
【0018】そこで本発明において、紙ベースに対し、
耐水性付与剤を含浸または塗工して製造した耐水紙の水
に対する離解性とJIS P−8137に準拠したはっ
水度が共存できる耐水性付与剤を検討した。離解性に対
しては可能な限り少量で高い耐水性が得られることが好
ましい事から、表1には、今回、紙ベースの耐水性付与
剤として用いる事ができる薬剤を用いて3g/m2サイズ
プレス塗工を行い、はっ水度と離解性を測定した結果を
示す。
【0019】なお、離解性については、水離解性パルプ
濃度が3%になるように常温の水道水に約2.5cm角
の試験片を入れ、これをパルプ試験用手すき紙調整方法
(JIS P 8209)に示されている標準離解機
(回転数3,000rpm)で撹拌し、完全に離解する
までの時間を相対評価した。表1に記載した数字は耐水
性付与剤Aの離解性を100%とした時の相対値であ
る。
【0020】
【表1】
【0021】表1の結果からも明らかなように、易離解
性耐水印刷用紙に適用できる耐水化付与剤としては塩化
ビニール−エチレン共重合体エマルジョン、塩化ビニー
ル−エチレン−酢酸ビニール共重合体エマルジョンが好
ましいことが判った。
【0022】また、本発明に用いる塩化ビニール−エチ
レン共重合体エマルジョン、塩化ビニール−エチレン−
酢酸ビニール共重合体エマルジョン耐水化付与剤の固形
分付着量は、2.5〜5.0g/m2であることが好まし
い。固形分付着量が2.5g/m2未満であると、耐水性
が不足してしまい、一方、固形分付着量が5.0g/m2
を越えると、離解性が悪化すると共に、オフセット印刷
適性も低下してしまう。
【0023】本発明で用いられる塩化ビニール−エチレ
ン共重合体エマルジョン、塩化ビニール−エチレン−酢
酸ビニール共重合体エマルジョンは特開平5−2952
00号公報に記載されるような耐水性付与剤である。特
開平5−295200号公報に記載されるエマルジョン
の使用目的は、新聞巻取包装用紙およびコピー用紙用包
装用紙などにおける防湿であり、本発明で目的にしてい
る耐水紙とは異なる。さらに、防湿紙に用いられる場合
は、固形分として5〜30g/m2もの塗工量が必要とさ
れ、完全に防湿のための樹脂層を形成させる必要がある
のに対して、本発明では2.5〜5.0g/m2の固形分
を含浸、または塗工することにより、天然木材繊維と樹
脂を耐水紙表面に共存させる事によりオフセット印刷適
性や耐水性の特徴を創出しており両者の範疇は全く異な
るものと言える。また、本発明では耐水紙として、JI
S P−8137に規定されたはっ水度をR8〜R10
規定しているのに対して、特開平5−295200号公
報でははっ水度は明確に規定されておらず、異なる特許
と考えられる。
【0024】本発明における上記の耐水性付与剤を主体
とした塗工液をサイズプレスなどで含浸、塗工する装置
としては、タブサイズプレス、コンベンショナルサイズ
プレス、ゲートロールサイズプレス、あるいはフィルム
トランスファー方式のサイズプレス、およびロッドコー
ター、ビルブレード、ショートドウェルコーターなどの
塗工装置を用いることができる。これら塗工装置の中で
はできるだけ紙層内部へも塗工できるような方式のもの
が望ましい。また、塗工後には必要に応じて、マシンカ
レンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフト
カレンダー等のカレンダー装置を用いて仕上げることも
可能である。
【0025】また、本発明では耐水紙として、JIS
P−8137に規定されたはっ水度がR8〜R10である
ことが好ましい。本発明の易離解性耐水印刷用紙は長期
にわたる湿潤状態は想定していないが、短期的な外部か
らの水に対する耐水性の評価としてJIS P−813
7に規定されたシート表面のはっ水度を採用した。R8
未満では短期といえども印刷用紙として筆記性が失われ
てしまうので使用はできない。一方、ここに規定するは
っ水度は、耐水化付与剤として易離解性があり、かつは
っ水度に優れた塩化ビニール−エチレン共重合体エマル
ジョン、塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合
体エマルジョンを選定すること、および耐水性付与剤の
含浸、または塗工量を固形分で2.5〜5.0g/m2
範囲で増減することによりコントロールすることが可能
である。
【0026】第二の発明においては、易離解性耐水印刷
用紙であることから上述のように長期にわたる湿潤状態
は想定していないが、ポスターなどの用途として屋外に
使用された場合には、耐水紙として湿潤した場合の一定
以上の強度が必要となる。本発明では、屋外に使用され
た場合などには水浸漬前後の引張強度の残存率が20%
以上であることが好ましい。一般に耐水紙は水浸漬前後
の引張強度の残存率が15%以上を言うが、本発明に依
れば引張強度残存率が20%以上の優れた耐水紙が得ら
れる。湿潤紙力を向上させるには、内添薬品として、ポ
リアミンポリアミドエピクロヒドリン樹脂、尿素ホルマ
リン樹脂、メラミン樹脂などの湿潤紙力剤を天然木材繊
維に対して0.5重量%以下含有させることができる。
但し、湿潤紙力剤の添加量が上記範囲を越えると、耐水
化付与剤に最適な薬品を選定しても水に対して離解がし
難くなる。一方、天然木材繊維の叩解度を進めることに
よっても、湿潤紙力を多少変化させることができる。叩
解による対応は離解性には全く影響を及ぼさないので微
調整には好ましい。
【0027】また、本発明者は、耐水紙に対して一般上
質紙並みの印刷適性付与を検討した。この結果、本発明
者らはJIS P−8117に規定された透気度と印刷
適性に相関が有ることを見いだした。紙の透気度は、用
紙表面から用紙内部への細孔の構造の指標と見ることが
できる。紙の透気性が良い(透気度の数値が小さい)と
言う事は、オフセット印刷に於いてインキ中のビヒクル
の浸透が早いと言う事であり、インキセット性が早くな
る。一方、サイズプレス処理においては、紙の透気性が
良い(透気度の数値が小さい)と言う事は、サイズプレ
ス液の原紙中への浸透が良いと言うことであり、樹脂の
厚さ方向への分布は均一になるが、同一固形分を付着さ
せた場合には、表面部分に定着する固形量が相対的に少
なくなると言う事でもある。
【0028】本発明では、前記透気度が20〜100秒
の範囲に有ることが好ましい。透気度が100秒を越え
ると印刷適性の中でもインキセット性が大きく悪化し、
通常のオフセット印刷で裏移りなどの問題が発生しやす
くなる。また、透気度が20秒未満になると、樹脂によ
る被覆率が低下するために印刷時の面強度が低下してし
まう問題が発生する。
【0029】耐水紙の透気度は、用紙の細孔構造を変化
させると言う観点から見ると、細孔を形成する天然木材
繊維の叩解度を進めることによっても制御は可能である
が、一方、既にある細孔を塞ぐと言う面からは、耐水性
付与剤を含浸または塗工する時の塗工液の濃度、および
液種類によってもコントロールする事は可能である。一
般的には、透気度を悪化させる為には、塗工液濃度を上
昇させるか、水溶性バインダーを併用することができ
る。
【0030】ここで用いられる水溶性バインダーは、例
えば、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニ
ルアルコール、酢酸ビニル、酸化澱粉、リン酸エステル
化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導
体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビ
ニルアルコール等;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブ
タジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン
共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリ
ル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体また
は共重合体、アクリル酸およびメタクリル酸の重合体ま
たは共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;或いは
これらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単
量体による官能基変性重合体ラテックス;を一種以上、
適宜組み合わせて使用することが出来る。この他、公知
の天然、合成樹脂接着剤を使用することは特に限定され
ない。
【0031】しかし、透気度を良化させることは後処理
では難しいので、処理前の耐水紙の透気度は上記範囲以
内か、それ以下である必要がある。
【0032】第三の発明において本発明者は、耐水紙の
印刷適性の中でも合成樹脂シートや合成樹脂フィルムを
貼り合わせたシートは静電気を帯電してしまい、平版印
刷時にシートの重送を発生し、印刷作業性に問題がある
ことを見いだした。易離解性耐水印刷用紙の帯電特性を
鋭意検討する中で、合成樹脂シートや合成樹脂フィルム
を貼り合わせたシートは表面抵抗値が13logΩ程度
あり帯電しやすいが、本発明者は、これを11logΩ
以下に設定できれば平版印刷作業時の重送も解決できる
事を見いだした。
【0033】本発明における耐水紙の表面抵抗値は、天
然木材繊維を主体としたベースを用いることでかなり緩
和されるが、微調整には耐水性付与剤を含浸または塗工
する時の塗工液に塩化ナトリウム、塩化カリウムなどの
無機導電剤、またはジメチルアミノエチルメタアクリレ
ート、スルホン化スチレン樹脂などの有機導電剤を0.
1g/m2以下含有させことが好ましい。
【0034】また、本発明の原紙を抄造する際に使用さ
れる天然木材繊維のパルプとしては、NBKP、LBK
P、NBSP、LBSP、GP、TMPなどの他に古紙
パルプが挙げられる。使用に当たっては、それらを数種
類目的に応じた比率で混合して用いる。
【0035】なお、本発明で言う古紙パルプの原料とし
ては、(財)古紙再生促進センターの古紙標準品質規格
表に示されている、上白、罫白、クリーム白、カード、
特白、中白、模造、色白、ケント、白アート、特上切、
別上切、新聞、雑誌などが挙げられる。さらに具体例と
しては、情報関連記録用紙である非塗工コンピュータ記
録用紙、感熱紙、感圧紙などのプリンター記録用紙、お
よびPPC記録用紙などのOA古紙、アート紙、コート
紙、微塗工紙、マット紙などの塗工紙、あるいは上質
紙、色上質、ノート、便箋、包装紙、ファンシーペーパ
ー、中質紙、新聞用紙、更紙、スーパー掛け紙、模造
紙、純白ロール紙、ミルクカートンなどの非塗工紙など
の紙や板紙の古紙で、化学パルプ紙、高歩留りパルプ含
有紙などが使用されるが、印字、複写、印刷、非印刷を
問わず特に限定されるものではない。
【0036】本発明の原紙を抄造する際に使用される填
料に制限は無い。填料としては、一般的な填料であるカ
オリン、焼成クレー、パイロフェライト、セリサイト、
タルクなどの珪酸塩類やホワイトカーボン、珪石粉、二
酸化チタンなどの無機塩類、有機顔料および重質炭酸カ
ルシウム、軽質炭酸カルシウム、チョークなどの炭酸カ
ルシウムなどを使用することができる。勿論、各種填料
を数種類、組み合わせて使用することも可能である。
【0037】本発明の原紙を抄造する際に使用される内
添サイズ剤にも制限は無い。一般的には、ロジンサイズ
剤、合成サイズ剤、石油樹脂系サイズ剤、スチレン系サ
イズ剤、並びに中性ロジン系サイズ剤、アルケニル無水
コハク酸、アルキルケテンダイマーなどが使用できる。
適当なサイズ剤と硫酸バンド、カチオン澱粉など繊維へ
の定着剤を組み合わせて使用する。
【0038】紙料中には、この他に、本発明の所望の効
果を損なわない範囲で、従来から使用されている歩留ま
り向上剤、各種のアニオン性、ノニオン性、カチオン性
あるいは両性の濾水向上剤、紙力向上剤などの抄紙用内
添助剤が必要に応じて適宜選択して使用される。例え
ば、各種澱粉、およびポリアクリルアミド、ポリエチレ
ンイミン、ポリアミン、ポリアミド・ポリアミン、尿素
ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂、植物ガム、
ポリビニルアルコール、ラテックス、ポリエチレンオキ
サイド、ポリアミド樹脂の内の1種あるいは2種以上が
適宜組み合わされて使用される。
【0039】なお、染料、pH調節剤、消泡剤、ピッチ
コントロール剤、スライムコントロール剤などの抄紙用
内添助剤を目的に応じて適宜添加することも可能であ
る。
【0040】本発明の抄紙方法において、抄紙機は、長
網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、コンビネーション抄
紙機、丸網抄紙機、ヤンキー抄紙機など製紙業界で公知
の抄紙機を適宜使用できる。
【0041】本発明における易離解性耐水印刷用紙は、
オフセット印刷用紙としての使用に留まらず、電子写真
用転写紙、熱転写受像紙として使用することが可能であ
る。また、印刷用途と反対面に、粘着剤層を塗設して、
ラベル用途に適用することも可能である。
【0042】
【実施例】以下に、本発明の実施例をあげて説明する
が、本発明はこれらの例に限定されるものではない。ま
た、実施例に於いて示す「部」および「%」は、特に明
示しない限り重量部および重量%を示す。
【0043】[実施例1〜6および比較例1〜9]ま
ず、以下の配合に従って、原紙1〜2を作製した。
【0044】 <原紙配合1> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0045】 <原紙配合2> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 40部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 模造古紙 40部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 硫酸アルミニウム 0.8部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0046】上記配合の0.3%スラリーを抄幅1,3
00mm、抄紙速度150m/分で長網抄紙機により坪
量70g/m2、水分5.0%の原紙を抄造し、これをサ
イズプレス用の原紙とした。
【0047】次に、以下の方法に従って実施例および比
較例の易離解性耐水印刷用紙を作製した。
【0048】実施例1 上記で作製した原紙1に、耐水性付与剤として塩化ビニ
ール−エチレン共重合体エマルジョンを用いた以下の配
合でサイズプレス含浸を行ない、固形分付着量2.7g
/m2の易離解性耐水印刷用紙を得、実施例1の易離解性
耐水印刷用紙とした。なお、原紙1の灰分は5.1%で
あった。 <サイズプレス液配合1> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 10部 水 90部
【0049】実施例2 上記実施例1で、サイズプレス液配合の耐水性付与剤と
して塩化ビニール−エチレン共重合体エマルジョンを用
いた以下の配合で、固形分付着量が5.0g/m2となる
ように、サイズプレス塗工した以外は実施例1と同様に
して、実施例2の易離解性耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合2> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 15部 水 85部
【0050】実施例3 上記実施例1で、サイズプレス液を耐水化付与剤として
塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エマル
ジョンを用いたサイズプレス液配合3にした以外は、実
施例1と同様にして、実施例3の易離解性耐水印刷用紙
とした。 <サイズプレス液配合3> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 10部 水 90部
【0051】実施例4 上記実施例3で、サイズプレス液配合の耐水化付与剤と
して塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エ
マルジョンを用いたサイズプレス液配合4にし、固形分
付着量が4.9g/m2となるように、サイズプレス塗工
した以外は実施例3と同様にして、実施例4の易離解性
耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合4> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 15部 水 85部
【0052】実施例5 上記で作製した原紙2に、以下の配合でサイズプレス含
浸を行ない、固形分付着量3.0g/m2の易離解性耐水
印刷用紙を得、実施例5の易離解性耐水印刷用紙とし
た。なお、原紙2の灰分は5.2%であった。 <サイズプレス液配合1> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 10部 水 90部
【0053】実施例6 上記で作製した原紙1に、以下の配合でサイズプレス塗
工を行ない、固形分付着量4.8g/m2の易離解性耐水
印刷用紙を得、実施例6の易離解性耐水印刷用紙とし
た。 <サイズプレス液配合5> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 15部 酸化澱粉(日本食品加工社製;MS-3800) 13.7部 水 71.3部
【0054】比較例1〜3 比較例1は市販の上質紙を、比較例2〜3には、市販品
二種類の耐水紙の測定ないしは評価結果を示した。比較
例1は、特に耐水性が付与されていない普通の上質紙、
比較例2はポリエステルフィルム(PET)の表面に筆
記性付与のため顔料塗工した耐水性タイプのもの、比較
例3は配向ポリプロピレン表面に顔料塗工をし、その裏
面に普通の上質紙をラミネートしたフィルム−紙貼合タ
イプの耐水性印刷用紙である。
【0055】比較例4 上記で作製した原紙1に、耐水性付与剤としてワックス
エマルジョンを用いた以下の配合でサイズプレス含浸を
行ない、固形分付着量0.5g/m2の易離解性耐水印刷
用紙を得、比較例1の耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス配合6> 耐水化剤(互応化学社製;ダイジット260) 10部 水 90部
【0056】比較例5 上記比較例4で、サイズプレス液を耐水性付与剤として
シリコーンエマルジョンを用いたサイズプレス液配合7
にしてサイズプレス塗工を行なった以外は、比較例4と
同様にして、比較例5の耐水印刷用紙とした。固形分付
着量は2.5g/m2であった。 <サイズプレス液配合7> 耐水化剤(東芝シリコーン社製;UM-110) 10部 水 90部
【0057】比較例6 上記比較例5で、サイズプレス液を耐水性付与剤として
スチレン−アクリル樹脂エマルジョンを用いたサイズプ
レス液配合8にしてサイズプレス塗工を行なった以外
は、比較例5と同様にして、比較例6の耐水印刷用紙と
した。固形分付着量は1.5g/m2であった。 <サイズプレス液配合8> 耐水化剤(昭和高分子社製;ホ゜リソ゛ールAM-250) 10部 水 90部
【0058】比較例7 上記比較例4で、サイズプレス液を耐水性付与剤として
フッ素樹脂水溶液を用いたサイズプレス液配合9にして
サイズプレス塗工を行なった以外は、比較例4と同様に
して、比較例7の耐水印刷用紙とした。固形分付着量は
4.7g/m2であった。 <サイズプレス液配合9> 耐水化剤(日華化学社製;NKカ゛ート゛NDN-7) 20部 水 80部
【0059】比較例8 上記実施例1で、サイズプレス液配合の耐水化付与剤と
して塩化ビニール−エチレン共重合体エマルジョンサイ
ズプレスを用いた液配合10にし、固形分付着量が7.
5g/m2となるように、サイズプレス塗工した以外は実
施例1と同様にして、比較例8の易離解性耐水印刷用紙
とした。 <サイズプレス液配合10> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 25部 水 75部
【0060】比較例9 上記実施例1で、サイズプレス液配合の耐水化付与剤と
して塩化ビニール−エチレン共重合体エマルジョンサイ
ズプレスを用いた液配合11にし、固形分付着量が1.
8g/m2となるように、サイズプレス含浸した以外は実
施例1と同様にして、比較例8の易離解性耐水印刷用紙
とした。 <サイズプレス液配合11> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 8部 水 92部
【0061】上記により作製した実施例1〜7および比
較例1〜9の易離解性耐水印刷用紙について、以下の方
法ではっ水度、離解性並びに筆記性を測定した。
【0062】1)はっ水度 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8137に従ってはっ水度を測定し
た。
【0063】2)離解性 離解性については、水離解性パルプ濃度が3%になるよ
うに常温の水道水に約2.5cm角の試験片を入れ、こ
れをパルプ試験用手すき紙調整方法(JISP 820
9)に示されている標準離解機(回転数3,000rp
m)で撹拌し、完全に離解するまでの時間で4段階
(◎:15分以内、○:30分以内、△:60分以内、×:60
分を超える)で評価した。
【0064】3)筆記性 筆記性については、5cm×20cmの試験片を流水
(水道水)中に10秒間浸漬した後、試験片を濾紙の間
に挟み、余分な水分を吸収させ、HBの鉛筆にて直線を
引き、黒鉛後が明瞭に残るかどうか4段階(◎:全く問
題なし、○:実用上使用可能、△:実用上問題がある、
×:使用不可)で評価を行った。
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】上記の表2、表3から明らかなように、塩
化ビニール−エチレン共重合体エマルジョン、または塩
化ビニール−酢酸ビニール−エチレン共重合体エマルジ
ョンからなる耐水性付与剤を固形分で2.5g/m2〜5
g/m2含浸または塗工した耐水紙は離解性に優れると共
に、はっ水性も良好である(実施例1〜6)。ただし、
5g/m2を越えると離解性が悪くなってくる(比較例
8)。これに比較して、耐水化付与剤を含浸、または塗
工していない一般上質紙ははっ水性が出ない(比較例
1)。合成フィルムタイプは印刷性を考慮してフィルム
表面に顔料塗工してあるので、表面のはっ水性は悪く、
離解性も無い(比較例2,3)。ワックス系、シリコン
系、およびフッ素系の耐水性付与剤は離解性が劣る(比
較例4,5,7)。スチレン−アクリル共重合体は離解
性は好ましいが、はっ水性に劣る(比較例6)。また、
はっ水度がR8(実施例6)までは筆記性が実用範囲に
留まるものの、これ以下(比較例4,9)になると使用
できなくなることも判る。
【0068】[実施例7〜10および比較例10〜1
2]まず、以下の配合に従って、原紙3〜7を作製し
た。
【0069】 <原紙配合3> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;400ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 硫酸アルミニウム 0.8部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0070】 <原紙配合4> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;400ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 硫酸アルミニウム 0.8部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0071】 <原紙配合5> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;400ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 硫酸アルミニウム 0.8部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.6部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0072】 <原紙配合6> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 40部 NBKP(ろ水度;400ml、c.s.f) 20部 模造古紙 40部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 硫酸アルミニウム 0.8部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0073】 <原紙配合7> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 硫酸アルミニウム 0.8部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.8部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0074】上記配合の0.3%スラリーを抄幅1,3
00mm、抄紙速度150m/分で長網抄紙機により坪
量70g/m2、水分5.0%の原紙を抄造し、これをサ
イズプレス用の原紙とした。
【0075】次に、以下の方法に従って実施例および比
較例の易離解性耐水印刷用紙を作製した。
【0076】実施例7 上記で作製した原紙1に、耐水性付与剤として塩化ビニ
ール−エチレン共重合体エマルジョンを用いた以下の配
合でサイズプレス含浸を行ない、固形分付着量3.0g
/m2の易離解性耐水印刷用紙を得、実施例7の易離解性
耐水印刷用紙とした。なお、原紙1の灰分は5.1%で
あった。 <サイズプレス液配合1> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 10部 水 90部
【0077】実施例8 上記実施例7の原紙1を原紙4とした以外は同様にし
て、実施例8の易離解性耐水印刷用紙とした。なお、原
紙4の灰分は5.3%であった。
【0078】実施例9 上記実施例7の原紙1を原紙5とした以外は同様にし
て、実施例9の易離解性耐水印刷用紙とした。なお、原
紙5の灰分は5.2%であった。
【0079】実施例10 上記実施例7の原紙1を原紙6とした以外は同様にし
て、実施例10の易離解性耐水印刷用紙とした。なお、
原紙6の灰分は5.5%であった。
【0080】比較例10 比較例10は市販の上質紙を用いて評価した。
【0081】比較例11 上記で作製した原紙3に耐水性付与剤としてメチルメタ
クリレート・スチレン・ブタジエンラテックス(MSB
R)−エチレン系エマルジョンを用いたサイズプレス液
配合12で固形分付着量を2.7g/m2にてサイズプレ
ス塗工を行ない、比較例11の易離解性耐水印刷用紙と
した。なお、原紙3の灰分は5.1%であった。 <サイズプレス液配合12> 耐水化剤(一方社製;セレスタール 30R) 10部 水 90部
【0082】比較例12 上記で作製した原紙7に耐水性付与剤としてシリコーン
エマルジョンを用いたサイズプレス液配合7で固形分付
着量を2.7g/m2にてサイズプレス塗工を行ない、比
較例12の易離解性耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合7> 耐水化剤(東芝シリコーン社製;UM-110) 10部 水 90部
【0083】上記により作製した実施例7〜10および
比較例10〜12の易離解性耐水印刷用紙について、下
記の方法ではっ水度、離解性、筆記性並びに引張強度残
存率を測定した。
【0084】1)はっ水度 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8137に従ってはっ水度を測定し
た。
【0085】2)離解性 離解性については、水離解性パルプ濃度が3%になるよ
うに常温の水道水に約2.5cm角の試験片を入れ、こ
れをパルプ試験用手すき紙調整方法(JISP 820
9)に示されている標準離解機(回転数3,000rp
m)で撹拌し、完全に離解するまでの時間で4段階
(◎:15分以内、○:30分以内、△:60分以内、×:60
分を超える)で評価した。
【0086】3)筆記性 筆記性については、5cm×20cmの試験片を流水
(水道水)中に10秒間浸漬した後、試験片を濾紙の間
に挟み、余分な水分を吸収させ、HBの鉛筆にて直線を
引き、黒鉛後が明瞭に残るかどうか4段階(◎:全く問
題なし、○:実用上使用可能、△:実用上問題がある、
×:使用不可)で評価を行った。
【0087】4)引張強度残存率 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8113に従って湿潤前の引張強度
を測定した。その後、試料を水中に20分間浸漬後、試
料を濾紙に挟み込み、軽く水を拭い取り、直ちに湿潤後
の引張強度を測定した。測定は紙の縦方向について行っ
た。湿潤前の引張強度に対する湿潤後の引張強度を残存
率として百分率で表した。
【0088】
【表4】
【0089】
【表5】
【0090】表4,5の実施例7と比較例11の比較か
らは、引張強度残存率のコントロールは天然木材繊維の
叩解度を用いて行うことが可能であることが判る。ま
た、実施例8と9、および比較例12の比較では、原紙
に内添する湿潤紙力剤の配合量によっても引張強度残存
率のコントロール行うことが可能であることが判る。し
かし、湿潤紙力剤を入れすぎると離解性が悪化し始める
ことが明確である。さらに、一般上質紙では、引張強度
残存率は大きく悪化する(比較例10)。また、実施例
10では原紙に古紙を配合したが、満足する特性が出せ
ることも判る。
【0091】[実施例11〜14および比較例13〜1
7]まず、以下の配合に従って、原紙8〜11を作製し
た。
【0092】 <原紙配合8> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(日本PMC社製;A-275改) 0.18部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0093】 <原紙配合9> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(日本PMC社製;A-275改) 0.18部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0094】 <原紙配合10> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 40部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 模造古紙 40部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(日本PMC社製;A-275改) 0.18部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0095】 <原紙配合11> LBKP(ろ水度;450ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;450ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(日本PMC社製;A-275改) 0.18部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 12部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0096】上記配合の0.3%スラリーを抄幅1,3
00mm、抄紙速度150m/分で長網抄紙機により坪
量70g/m2、水分5.0%の原紙を抄造し、 これを
サイズプレス用の原紙とした。
【0097】次に、以下の方法に従って実施例および比
較例の易離解性耐水印刷用紙を作製した。
【0098】実施例11 上記で作製した原紙9に、耐水性付与剤として塩化ビニ
ール−エチレン共重合体エマルジョンを用いた以下の配
合でサイズプレス含浸を行ない、固形分付着量3.0g
/m2の易離解性耐水印刷用紙を得、実施例11の易離解
性耐水印刷用紙とした。なお、原紙8の灰分は5.1%
であった。 <サイズプレス液配合1> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 10部 水 90部
【0099】実施例12 上記実施例11でサイズプレス液を耐水化付与剤として
塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エマル
ジョンサイズプレスを用いた液配合3にして塗工した以
外は、実施例11と同様にして、実施例12の易離解性
耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合3> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 10部 水 90部
【0100】実施例13 上記実施例12でサイズプレス液配合の耐水性付与剤と
して塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エ
マルジョンを用いた以下の液配合4を用い、固形分付着
量が4.9g/m2となるように、サイズプレス塗工した
以外は実施例11と同様にして、実施例13の易離解性
耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合4> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 15部 水 85部
【0101】実施例14 上記で作製した原紙10に、耐水性付与剤として塩化ビ
ニール−エチレン共重合体エマルジョンを用いた以下の
配合でサイズプレス塗工を行ない、固形分付着量4.8
g/m2の易離解性耐水印刷用紙を得、実施例14の易離
解性耐水印刷用紙とした。なお、原紙9の灰分は5.3
%であった。 <サイズプレス液配合2> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 15部 水 85部
【0102】比較例13〜14 比較例13〜14には、市販品二種類の耐水紙の測定な
いしは評価結果を示した。比較例12はポリエステルフ
ィルム(PET)の表面に筆記性付与のため顔料塗工し
た耐水性タイプのもの、比較例13は配向ポリプロピレ
ン表面に顔料塗工をし、その裏面に普通の上質紙をラミ
ネートしたフィルム−紙貼合タイプの易離解性耐水印刷
用紙である。
【0103】比較例15 上記で作製した原紙8に、耐水性付与剤としてシリコー
ンエマルジョンを用いたサイズプレス液配合7にしてサ
イズプレス塗工を行なった以外は、実施例11と同様に
して、比較例15の易離解性耐水印刷用紙とした。固形
分付着量は2.6g/m2であった。なお、原紙7の灰分
は5.1%であった。 <サイズプレス液配合7> 耐水化剤(東芝シリコーン社製;UM-110) 10部 水 90部
【0104】比較例16 上記で作製した原紙8に、耐水性付与剤として塩化ビニ
ール−エチレン共重合体エマルジョンを用いたサイズプ
レス液配合10にし、固形分付着量が7.5g/m2とな
るように、サイズプレス塗工した以外は実施例11と同
様にして、比較例16の易離解性耐水印刷用紙とした。
なお、原紙7の灰分は5.1%であった。 <サイズプレス液配合10> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 25部 水 75部
【0105】比較例17 上記で作製した原紙11に、耐水性付与剤として塩化ビ
ニール−エチレン共重合体エマルジョンを用いた以下の
配合でサイズプレス含浸を行ない、固形分付着量5.1
g/m2の易離解性耐水印刷用紙を得、比較例17の易離
解性耐水印刷用紙とした。なお、原紙10の灰分は5.
0%であった。 <サイズプレス液配合2> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 15部 水 85部
【0106】上記により作製した実施例11〜14およ
び比較例13〜17の耐水印刷用紙について透気度、は
っ水度、離解性、並びに引張強度残存率を測定した。さ
らに、印刷適性を判定する目的で、インキセット性、お
よびインキ着肉性についても測定を行った。
【0107】1)透気度 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8117に従って東洋精機社製ガー
レーデンソメーターを用いて透気度を測定した。
【0108】2)はっ水度 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8137に従ってはっ水度を測定し
た。
【0109】3)離解性 離解性については、水離解性パルプ濃度が3%になるよ
うに常温の水道水に約2.5cm角の試験片を入れ、こ
れをパルプ試験用手すき紙調整方法(JISP 820
9)に示されている標準離解機(回転数3,000rp
m)で撹拌し、完全に離解するまでの時間で4段階
(◎:15分以内、○:30分以内、△:60分以内、×:60
分を超える)で評価した。
【0110】4)筆記性 筆記性については、5cm×20cmの試験片を流水
(水道水)中に10秒間浸漬した後、試験片を濾紙の間
に挟み、余分な水分を吸収させ、HBの鉛筆にて直線を
引き、黒鉛後が明瞭に残るかどうか4段階(◎:全く問
題なし、○:実用上使用可能、△:実用上問題がある、
×:使用不可)で評価を行った。
【0111】5)引張強度残存率 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8113に従って湿潤前の引張強度
を測定した。その後、試料を水中に20分間浸漬後、試
料を濾紙に挟み込み、軽く水を拭い取り、直ちに湿潤後
の引張強度を測定した。測定は紙の縦方向について行っ
た。湿潤前の引張強度に対する湿潤後の引張強度を残存
率として百分率で表した。
【0112】6)インキセット性 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、RI印刷機でCyan インキ(大日本インキ社製;T
RANS-G)0.7mlを均一に練った後、ベタ印刷を行
い、30秒後に市販アート紙に転写したインクの濃度で
評価した。一般的に印刷作業性を満たすには0.2以下
のセット性が好ましい。
【0113】7)インキ着肉性 RI印刷機でCyan インキ(大日本インキ社製;TRANS-
G)0.3mlを均一に練った後、20℃、65%RH
の環境下に24時間調湿した測定試料にモルトンロール
にて均一に水を付け、直後にベタ印刷を行って、試料に
転写したインクの濃度で評価した。一般的に印刷用紙で
は0.7以上の濃度が好ましい。
【0114】
【表6】
【0115】
【表7】
【0116】表6,7の実施例と比較例の比較からは、
透気度を変化させることによって印刷適性を示す、「イ
ンキセット性」および「インキ着肉性」をコントロール
することが可能であることが判る。透気度が100秒を
越えるとインキの浸透性が悪化して「インキセット性」
が悪くなり(比較例15、16)、透気度が20秒を切
るとインキが急速に紙中に浸透して「インキ着肉性」が
悪化する(比較例17)。比較例12,14は合成フィ
ルムベースの耐水性印刷用紙であるが、引張強度残存率
は高いものの、印刷適性に欠けることが明確である。ま
た、実施例14では原紙に古紙を配合したが、古紙配合
紙を用いても満足する特性が出せることも判る。
【0117】[実施例15〜19および比較例18〜2
0]まず、以下の配合に従って、原紙12〜13を作製
した。
【0118】 <原紙配合12> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 80部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(日本PMC社製;A-275改) 0.18部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0119】 <原紙配合13> LBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 40部 NBKP(ろ水度;350ml、c.s.f) 20部 模造古紙 40部 炭酸カルシウム(奥多摩工業社製;TP−121) 6部 中性ロジンサイズ剤(ハリマ化成社製;NeuSize M-10-45) 0.2部 硫酸アルミニウム 0.8部 両性澱粉(日本NSC社製;Cato3210) 10部 湿潤紙力剤(日本PMC社製;WS570) 0.3部 歩留り向上剤(ハイモ社製;NR−11LS) 0.02部
【0120】上記配合の0.3%スラリーを抄幅1,3
00mm、抄紙速度150m/分で長網抄紙機により坪
量70g/m2、水分5.0%の原紙を抄造し、これをサ
イズプレス用の原紙とした。
【0121】次に、以下の方法に従って実施例および比
較例の易離解性耐水印刷用紙を作製した。
【0122】実施例15 上記で作製した原紙12に、耐水性付与剤として塩化ビ
ニール−エチレン共重合体エマルジョンを用いた以下の
配合でサイズプレス含浸を行ない、固形分付着量2.7
g/m2の易離解性耐水印刷用紙を得、実施例15の易離
解性耐水印刷用紙とした。なお、原紙1の灰分は5.1
%であった。 <サイズプレス液配合1> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 10部 水 90部
【0123】実施例16 上記実施例1でサイズプレス液配合の耐水化付与剤とし
て塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エマ
ルジョンを用いたサイズプレス液配合12を用い、固形
分付着量が5.0g/m2となるように、サイズプレス塗
工した以外は実施例15と同様にして、実施例16の易
離解性耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合12> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 15部 NaCl 0.1部 水 84.9部
【0124】実施例17 上記実施例15でサイズプレス液を耐水化付与剤として
塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エマル
ジョンを用いたサイズプレス液配合3にした以外は、実
施例15と同様にして、実施例17の易離解性耐水印刷
用紙とした。 <サイズプレス液配合3> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 10部 水 90部
【0125】実施例18 上記実施例17でサイズプレス液配合の耐水化付与剤と
して塩化ビニール−エチレン−酢酸ビニール共重合体エ
マルジョンを用いたサイズプレス液配合14にし、固形
分付着量が5.0g/m2となるように、サイズプレス塗
工した以外は実施例17と同様にして、実施例18の易
離解性耐水印刷用紙とした。 <サイズプレス液配合14> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9215) 15部 アクリル酸エステルコポリマー (ダイセル化学工業製;セビアン-A46704 ) 0.3部 水 84.7部
【0126】実施例19 上記で作製した原紙13に、以下の配合でサイズプレス
含浸を行ない、固形分付着量3.1g/m2の易離解性耐
水印刷用紙を得、実施例19の易離解性耐水印刷用紙と
した。なお、原紙12の灰分は5.2%であった。 <サイズプレス液配合15> 耐水化剤(住友化学社製;CX-X-9210) 10部 NaCl 0.1部 水 89.9部
【0127】比較例18〜20 比較例18は市販の上質紙を、比較例19〜20には、
市販品二種類の耐水紙の測定ないしは評価結果を示し
た。比較例17は、特に耐水性が付与されていない普通
の上質紙、比較例19はポリエステルフィルム(PE
T)の表面に筆記性付与のため顔料塗工した耐水性タイ
プのもの、比較例20は配向ポリプロピレン表面に顔料
塗工をし、その裏面に普通の上質紙をラミネートしたフ
ィルム−紙貼合タイプの易離解性耐水印刷用紙である。
【0128】上記により作製した実施例15〜19およ
び比較例18〜20の易離解性耐水印刷用紙について、
透気度、はっ水度、離解性、筆記性、引張強度残存率、
並びに表面抵抗値を測定した。さらに、印刷適性を判定
する目的で、インキセット性、およびインキ着肉性につ
いても測定を行った。
【0129】1)透気度 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8117に従って東洋精機社製ガー
レーデンソメーターを用いて透気度を測定した。
【0130】2)はっ水度 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8137に従ってはっ水度を測定し
た。
【0131】3)離解性 離解性については、水離解性パルプ濃度が3%になるよ
うに常温の水道水に約2.5cm角の試験片を入れ、こ
れをパルプ試験用手すき紙調整方法(JISP 820
9)に示されている標準離解機(回転数3,000rp
m)で撹拌し、完全に離解するまでの時間で4段階
(◎:15分以内、○:30分以内、△:60分以内、×:60
分を超える)で評価した。
【0132】4)筆記性 筆記性については、5cm×20cmの試験片を流水
(水道水)中に10秒間浸漬した後、試験片を濾紙の間
に挟み、余分な水分を吸収させ、HBの鉛筆にて直線を
引き、黒鉛後が明瞭に残るかどうか4段階(◎:全く問
題なし、○:実用上使用可能、△:実用上問題がある、
×:使用不可)で評価を行った。
【0133】5)引張強度残存率 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、JIS P−8113に従って湿潤前の引張強度
を測定した。その後、試料を水中に20分間浸漬後、試
料を濾紙に挟み込み、軽く水を拭い取り、直ちに湿潤後
の引張強度を測定した。測定は紙の縦方向について行っ
た。湿潤前の引張強度に対する湿潤後の引張強度を残存
率として百分率で表した。
【0134】6)表面抵抗値 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、ASTM D−257に従って表面抵抗値を測定
した。
【0135】7)インキセット性 測定試料は、20℃、65%RHの環境下に24時間調
湿後、RI印刷機でCyan インキ(大日本インキ社製;T
RANS-G)0.7mlを均一に練った後、ベタ印刷を行
い、30秒後に市販アート紙に転写したインクの濃度で
評価した。一般的に印刷作業性を満たすには0.2以下
のセット性が好ましい。
【0136】8)インキ着肉性 RI印刷機でCyan インキ(大日本インキ社製;TRANS-
G)0.3mlを均一に練った後、20℃、65%RH
の環境下に24時間調湿した測定試料にモルトンロール
にて均一に水を付け、直後にベタ印刷を行って、試料に
転写したインクの濃度で評価した。一般的に印刷用紙で
は0.7以上の濃度が好ましい。
【0137】9)実機印刷重送回数 実機印刷機(三菱重工製 ダイヤ4色印刷機)で菊全版
を10,000枚/時の速度で順目方向に印刷した時
の、10,000枚印刷中に発生したフィーダーストッ
プ回数を重送回数として調査した。作業性からは0.0
5%以下、この条件では重送発生枚数は5回以下である
ことが必要である。
【0138】
【表8】
【0139】
【表9】
【0140】
【表10】
【0141】表8〜10の実施例15〜19と比較例1
8を比べると、実施例はほぼ一般上質紙に近いオフセッ
ト印刷適性を有し、且つ、比較例17には無い耐水特性
を持っていることが判る。さらに、表10の比較例1
9,20は合成フィルムベースの耐水性印刷用紙である
が、表面抵抗値が高く、静電気によって印刷時に重送問
題を引き起こす。これに比べて紙ベースの耐水性印刷用
紙は表面抵抗値が低く設定できるので、重送問題は発生
しない。実施例16には表面抵抗値を下げる目的でサイ
ズプレス液に無機導電剤であるNaClを配合してい
る。また、実施例19は原紙に古紙を配合していること
から、NaClの配合量を増やしている。これにより、
表面抵抗値は標準の値にコントロールされ、印刷時の重
送問題も発生していない。また、実施例18では有機導
電剤であるアクリル酸エステルコポリマーを配合してい
るが、これによっても表面抵抗値はコントロール可能
で、印刷時の重送問題も発生していない。
【0142】
【発明の効果】本発明は、天然木材繊維を主成分とする
紙ベースに対し、塩化ビニール−エチレン共重合体エマ
ルジョン、または塩化ビニール−酢酸ビニール−エチレ
ン共重合体エマルジョンからなる耐水性付与剤を固形分
で2.5〜5g/m2含浸または塗工し、且つJIS P
−8137に規定されたはっ水度がR8〜R10の条件を
満たすことにより、適度な耐水性と共にオフセット印刷
適性を持ち、且つ古紙回収時に容易に離解が可能な易離
解性耐水印刷用紙を提供できる。前記記載の易離解性耐
水印刷用紙において、水浸漬前後の引張強度の残存率が
20%以上であることを特徴とすることにより、屋外で
の使用にも耐えうる易離解性耐水印刷用紙を提供でき
る。さらに、前記記載の易離解性耐水印刷用紙におい
て、JIS P−8117に規定された透気度が20〜
100秒であることを特徴とすることにより、オフセッ
ト印刷適性が向上した易離解性耐水印刷用紙を提供でき
る。さらに、前記記載の易離解性耐水印刷用紙におい
て、ASTM D−257に規定された表面抵抗率が1
1logΩ以下であることを特徴とすることにより、オ
フセット印刷時の重送問題を解決可能な易離解性耐水印
刷用紙を提供できる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然木材繊維を主成分とする紙ベースに
    対し、塩化ビニール−エチレン共重合体エマルジョンま
    たは塩化ビニール−酢酸ビニール−エチレン共重合体エ
    マルジョンからなる耐水性付与剤の少なくとも1種類を
    固形分で2.5〜5g/m2含浸または塗工し、且つ含浸
    または塗布後の印刷用紙のJIS P−8137に規定
    されたはっ水度がR8〜R10であることを特徴とする易
    離解性耐水印刷用紙。
  2. 【請求項2】 前記請求項1記載の易離解性耐水印刷用
    紙において、天然木材繊維を主成分とする紙ベースが湿
    潤紙力剤を該天然木材繊維に対して0.5重量%以下含
    有してなり、且つ水浸漬前後の引張強度の残存率が20
    %以上であることを特徴とする易離解性耐水印刷用紙。
  3. 【請求項3】 前記請求項2記載の易離解性耐水印刷用
    紙において、JISP−8117に規定された透気度が
    20〜100秒であることを特徴とする請求項2記載の
    易離解性耐水印刷用紙。
  4. 【請求項4】 前記請求項1記載の易離解性耐水印刷用
    紙において、天然木材繊維を主成分とする紙ベースが有
    機または無機の導電剤を0.1g/m2以下含有してな
    り、且つASTM D−257に規定された表面抵抗率
    が11logΩ以下であることを特徴とする易離解性耐
    水印刷用紙。
  5. 【請求項5】 天然木材繊維が古紙パルプを含有したも
    のであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項
    記載の易離解性耐水印刷用紙。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002317397A (ja) * 2001-04-23 2002-10-31 Mitsubishi Paper Mills Ltd 環境対応型インキ用のオフセット印刷用塗工紙および易脱墨性印刷物
JP2007247119A (ja) * 2006-03-20 2007-09-27 Nippon Paper Industries Co Ltd オフセット印刷用新聞用紙及びその製造方法
JP2008196090A (ja) * 2007-02-15 2008-08-28 Marusumi Paper Co Ltd 高白色新聞用紙

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