JP3812307B2 - 金型交換式成形機およびその運転方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数設けられた第1金型部および第2金型部が交換可能に設けられ、これら第1金型部および第2金型部のうち、適宜な一組の内部に溶融樹脂や溶融金属等の溶融材料を注入して成形を行う金型交換式成形機およびその運転方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性樹脂の成形方法として、複雑な形状の成形品でも精度良く成形が行える射出成形法が利用されている。
一般的な射出成形法では、少なくとも固定側金型部(上型)と、移動側金型部(下型)とに分割された金型を採用し、成形機に固定した固定側金型部に向かって移動側金型部を押し付ける型締装置で金型を閉鎖し、この状態で溶融樹脂を金型内に射出し、樹脂の冷却・硬化後、金型を開いて成形品を取り出すことにより、成形を行っている。
【0003】
ここで、図14に示されるように、金型100 から成形品101 を取り出す摘出装置102 、および、成形で生じたランナー103 を金型100 から取り除く除去装置104 を成形機に設ければ、成形の開始から完了までの動作が自動的に何度も繰り返して行われるようになるので、複雑な形状の成形品でも大量生産することができる。
これらの摘出装置および供給装置は、開いた状態の固定側金型部と移動側金型部との間に進入し、金型からの成形品の取り出し、あるいは、金型への部品の設置を行う機構を備えたものとなっている。
【0004】
より具体的に説明すると、金型100 は、図14(A)に示されるように、ノズル105 が接続される固定側金型部100Aと、溶融樹脂が充填されるキャビティ106 となる凹部が形成された移動側金型部100Bとを備えたものとなっている。
そして、移動側金型部100Bを固定側金型部100Aに向かって移動し、金型100 を閉鎖し、この状態で、図14(B)に示されるように、ノズル105 から金型100 のキャビティ106 へ溶融樹脂107 を充填する。
溶融樹脂107 を冷却し、溶融樹脂107 が充分硬化したら、図14(C)に示されるように、移動側金型部100Bおよびノズル105 を固定側金型部100Aから離れる方向に移動し、金型100 が開放されたら、摘出装置102 および除去装置104 を金型100 側へ移動する。
【0005】
摘出装置102 および除去装置104 がそれぞれ移動側金型部100Bおよび固定側金型部100Aに到達したら、図14(D)に示されるように、摘出装置102 および除去装置104 をそれぞれ成形品101 およびランナー103 に係合させる。
この状態で、摘出装置102 および除去装置104 を図中上方へ移動し、成形品101 およびランナー103 を、移動側金型部100Bおよび固定側金型部100Aから取り出す。
この後、図14(E)に示されるように、摘出装置102 および除去装置104 を図中左方へ移動し、摘出装置102 および除去装置104 と成形品101 およびランナー103 との係合を解除する。
【0006】
ここで、図14(E)において、型開き状態における移動側金型部100Bと固定側金型部100Aとの間隔、すなわち、型締装置のストロークSは、摘出装置102 が移動側金型部100Bと固定側金型部100Aとの間に進入でき、かつ、図中上方へ移動して成形品101 を取り出すことができる寸法となっている。
なお、インサートや表皮材等の部品が一体化される成形品を成形する場合には、金型100 に部品を供給する、図示しない部品供給装置を設け、図14(A)に示されるように、金型100 が開いた状態で、移動側金型部100Bと固定側金型部100Aとの間に部品供給装置を進入させ、この部品供給装置で、金型100 に部品を自動的に設置するようにしてもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような成形機では、金型の装着数が一個のみであるとともに、共通部分が多くとも形状の異なる成形品については、成形品毎に金型が必要となるので、製造すべき成形品の種類が多いと、用意すべき金型の数が増えるうえ、金型の交換が必要となり、交換作業に時間がかかり、同一種類の成形品を製造する場合よりも、製造に著しく時間を要するという問題がある。
特に、腕時計やプリンタ等の小型機械で用いられる小型の歯車は、同一の本体部分に対し、回転軸の長さが異なるものがあり、製造にあたり、本体部分が同一であっても、金型が複数種類必要となり、必要な種類のものを必要数製造しようとすると、製造に時間がかかるという問題がある。
【0008】
一方、成形品を成形するためのキャビティを一つの金型に多数設けた金型を用意し、一回の射出で多数の成形品を成形する方法があるが、このような方法では、一回の成形で射出される溶融樹脂の量が多くなるので、計量、射出および冷却にかかる時間が長くなり、一回の成形に要するサイクルタイムが長いうえ、多数設けたキャビティの各成形条件を完全に同じとすることが困難なので、得られる成形品の品質が必ずしも均一とならないという問題がある。
【0009】
さらに、複数の金型を射出位置まで順次移動する金型自動交換装置を備えた成形機を利用すれば、金型の交換作業時間が短縮され、製造に要する時間が短くなるが、成形品毎に金型が必要となるので、成形品の種類が多いと、用意すべき金型の数が増え、成形機全体が著しく大型化するという問題が生じる。
【0010】
また、開いた状態の金型部(上型および下型)の間に進入する摘出装置を設けると、型開きの際に、摘出装置の分だけ、機構を金型部同士をよけいに離す必要があり、型締装置のストロークが拡大され、金型の開閉に時間がかかるようになるので、成形の開始から完了までのサイクルタイムが長くなるうえ、成形機全体が大型化するという問題がある。
【0011】
本発明の目的は、形状の異なる複数種類を成形するようにしても、成形におけるサイクルタイムが短縮されるうえ、全体の大型化が抑制されるようになる金型交換式成形機およびその運転方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、2組の金型(1)が、2部品からなる第1金型部(7A,7B)と2部品からなる第2金型部(8A,8B)とに分割配置され、前記第1金型部の各々は前記第2金型部の各々といずれも組み合わせ可能であり、前記第1金型部に前記第2金型部を押しつけて前記金型を閉鎖状態にし、前記閉鎖状態で前記金型内部に形成されたキャビティに溶融材料を注入して成形を行う金型交換式成形機(10)であって、前記第1金型部は、前記成形を行う成形位置(A)と、前記成形位置から離れているとともに前記第2金型部とは対向しない第1準備位置(B、C)との間を直線移動可能に支持され、前記第2金型部は、前記成形位置と、前記成形位置から離れているとともに前記第1金型部とは対向しない第2準備位置(D,E)との間を直線移動可能に支持され、前記第1金型部の一つおよび前記第2金型部の一つが前記成形位置に配置されている状態では、前記第1金型部の残りが前記第1準備位置に配置されるとともに、前記第2金型部の残りが前記第2準備位置に配置され、前記第2金型部同士の間隔は前記第1金型部同士の間隔よりも広くなっていることを特徴とする。
本発明によれば、第1金型部の各々が第2金型部のいずれとも組み合わせ可能となり、2個の第1金型部と2個の第2金型部とでは4種類の成形品の成形が可能となり、少ない個数の金型で、形状の異なる、より多くの種類の成形品の製造が行えるようになる。
また、前述のような構造を採用すれば、金型を自動交換する機構が容易に実現でき、これにより、金型の交換作業が迅速に行われるようになり、多くの種類の成形品を製造するにあたり、製造に要する時間が短縮される。
特に、腕時計やプリンタ等の小型機械で用いられる小型の歯車等、本体部分が同一で細部が相違する成形品を製造するにあたり、第1金型部および第2金型部の一方で本体部分を成形し、他方で細部を成形するようにすれば、より少ない種類の金型で、形状の異なる多数種類の成形品の製造が可能となるうえ、製造に要する時間が短縮される。
さらに、一組の第1金型部および第2金型部を成形位置に配置し、残りの第1金型部および第2金型部を第1準備位置および第2準備位置にそれぞれ配置し、この状態では、金型から成形品およびランナーを取り出す取出動作と、成形動作とが同時に行えるので、成形を行う間に、取出動作が完了し、サイクルタイムが短縮されるようになる。
また、第1および第2準備位置では、第1金型部および第2金型部が互いに対向しないので、取出動作を行うにあたり、型開きにより第1金型部と第2金型部とを大きく離す必要がなくなり、型締装置のストロークが小さくなり、これにより、成形機の小型化とサイクルタイムの短縮が図れるようになる。
以上により、形状の異なる複数種類を成形するようにしても、成形におけるサイクルタイムが短縮されるうえ、全体の大型化が抑制されるようになる。
加えて、本発明によれば、第1金型部および第2金型部のそれぞれが一直線上に配列可能となり、金型を設けるにあたり、その移動方向に直交する方向の寸法については、金型一個分の寸法に対応すればよいので、成形機の小型化が容易に図れるようになる。また、第1金型部の間隔と第2金型部の間隔とが互いに相違しているので、一組の第1金型部と第2金型部と対向させても、他の第1金型部と第2金型部とが対向することがなく、摘出手段とランナー除去手段とをまったく異なる領域内で動作させることが可能となるので、全体の構造が複雑になることがない。
この際、前記第1準備位置は、前記成形位置の両側にそれぞれ設けられ、前記第2準備位置は、前記成形位置の両側における前記第1準備位置とは異なる位置にそれぞれ設けられていることが望ましい。
このようにすれば、第1金型部が成形位置から第1準備位置まで移動する距離と、第2金型部が成形位置から第2準備位置まで移動する距離とが短くなるので、第1摺動機構および第2摺動機構の小型化が推進され、成形機の一層の小型化が図れるようになる。
【0015】
さらに、一組の第1金型部および第2金型部を成形位置に配置し、残りの第1金型部および第2金型部を第1準備位置および第2準備位置にそれぞれ配置し、この状態では、金型から成形品およびランナーを取り出す取出動作と、成形動作とが同時に行えるので、成形を行う間に、取出動作が完了し、サイクルタイムが短縮されるようになる。
また、第1および第2準備位置では、第1金型部および第2金型部が互いに対向しないので、取出動作を行うにあたり、型開きにより第1金型部と第2金型部とを大きく離す必要がなくなり、型締装置のストロークが小さくなり、これにより、成形機の小型化とサイクルタイムの短縮が図れるようになる。
以上により、形状の異なる複数種類を成形するようにしても、成形におけるサイクルタイムが短縮されるうえ、全体の大型化が抑制されるようになる。
【0017】
また、以上のような金型交換式成形機には、前記第1準備位置および前記第2準備位置の少なくとも一方で、成形品に一体化される部品を、前記金型に供給する部品供給手段が設けられていることが望ましい。
ここで、成形品に一体化される部品としては、成形品にボルト等を螺号させるための埋込金具であるインサートや、成形品の表面を仕上げる表皮材等が採用できる。
前述のような部品供給手段を設ければ、内部にインサートが埋め込まれたインサート成形品や、表面にレザー等の表皮材が張り付けられた積層成形品を製造するにあたり、一の金型で成形を行っている間に、部品供給手段により、残りの金型に、インサートおよび表皮材等の部品が金型内部に自動的に設置されるうえ、成形工程に要する時間を利用するので、部品の設置を行っても、サイクルタイムが長くなることがない。
また、成形準備位置で部品の設置を行えば、型締装置のストロークを小さくすることができ、型締装置のストロークを短縮することにより、成形機の小型化とサイクルタイムの短縮が行えるようになり、インサート成形品や、積層成形品を製造する際にも、安定した動作を確保しつつ、サイクルタイムの短縮および成形機の小型化が図れる。
【0021】
また、本発明の成形機としては、溶融状態にした金属を金型の内部に流し込む鋳造装置、MIM(メタル・インジェクション・モールド)成形機等も採用できるが、金型内部に形成されたキャビティに溶融材料を射出する射出成形機を採用することが好ましい。
このような射出成形機を採用すれば、複雑な形状の成形品であっても、寸法等の精度を損なうことなく、当該成形品を大量に製造できるうえ、成形機のサイクルタイムが短縮されるので、その製造効率を向上することができる。
【0022】
さらに、当該成形機で成形される成形品は、前記金型の型締め方向の寸法が、他の方向の寸法よりも小さいことが望ましい。
このようにすれば、前記成形品を成形する金型は、キャビティが浅くなるので、僅かなストロークで型開きが完了するようになり、ストロークを大幅に短くすることができ、成形機の小型化および省エネルギー化をより一層推進することができる。
【0023】
また、本発明は、上述した金型交換式成形機の運転方法であって、その時点で成形を完了したすべての成形品を当該金型から取り出した後、複数設けられた前記第1金型部と、複数設けられた前記第2金型部との組み合わせを変更することを特徴とする。
上述のような成形機で成形を開始すると、その成形動作の1サイクルが開始されてから完了するまでの間、第1金型部および第2金型部の少なくとも一つは、内部に樹脂が充填された状態となっているので、この状態から直接、第1金型部と第2金型部との組み合わせを変更すると、樹脂が充填された状態の金型に溶融樹脂を射出する等により、金型が破損するおそれがある。
このため、本発明では、すべて金型の内部から成形品となっている樹脂等を取り除き、内部を空にしてから、第1金型部と第2金型部との組み合わせが変更されるようになるので、成形機の故障が未然に防止される。
【0024】
[本発明を説明するためのモデル]
ここで、本発明に係る成形機の構造および動作を図1に示すモデルを参照しながら説明する。
図1(A)において、成形機6には、金型1から成形品2を取り出す摘出手段3と、成形で生じたランナー4を金型1から取り除くランナー除去手段5と、金型1の交換を行う金型交換手段9とが設けられている。
そして、成形機6には、複数の金型1が設置されている。金型1は、それぞれ第1金型部7A,7Bと第2金型部8A,8Bとを備えたものとなっている。第1金型部7A,7Bの各々は、第2金型部8A,8Bのいずれとも組み合わせることが可能となっている。
【0025】
第1金型部7A,7Bは、成形機6のノズル6Aの射出方向に対して、直交する方向に沿って移動可能に設けられた図示しない可動基板9Aに取り付けられている。第2金型部8A,8Bは、可動基板9Aに対して別個に移動可能に設けられた可動基板9Bに取り付けられている。これらの可動基板9Aおよび可動基板9Bが金型交換手段9を形成している。
【0026】
この金型交換手段9により、第1金型部7Bは、射出成形を行うために、ノズル6Aに応じた位置に設定された成形位置Aと、この成形位置Aから離れるとともに、第2金型部8Bとは対向しない図中右側の第1準備位置Bとの間を移動可能となっている。
また、第1金型部7Aは、成形位置Aと、この成形位置Aから離れるとともに、第2金型部8Aとは対向しない図中左側の第1準備位置Cとの間を移動可能となっている。
【0027】
一方、第2金型部8Bは、成形位置Aと、この成形位置Aから離れているとともに、第1金型部7Bとは対向しない図中右側の第2準備位置Dとの間を移動可能に設けられている。
また、第2金型部8Aは、成形位置Aと、第1金型部7Aとは対向しない図中左側の第2準備位置Eとの間を移動可能に設けられている。
【0028】
ここで、第1準備位置B,Cおよび第2準備位置D,Eは、成形位置Aの両側における異なる位置に、それぞれ1箇所ずつ設けられている。
成形準備位置B,Cの各位置にはランナー除去手段5が、成形準備位置D,Eの各位置には摘出手段3が、それぞれ一つずつ設けられている。
このうち、摘出手段3の各々は、第2準備位置D,Eに移動してきた第2金型部8A,8Bから成形品2を取り出すために、図中上下に移動可能となっている。
ランナー除去手段5の各々は、成形準備位置B,Cに移動してきた第1金型部7A,7Bからランナー4を取り出すために、図中上下に移動可能となっている。
【0029】
[動作説明]
このような成形機6の動作を以下に説明する。
成形機6は、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aによる成形と、第1金型部7Aおよび第2金型部8Bによる成形とを交互に繰り返す第1運転モード、ならびに、第1金型部7Aおよび第2金型部8Aによる成形と、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bによる成形とを交互に繰り返す第2運転モードの両方を行うことが可能となっている。ここでは、第1運転モードを先に説明する。
【0030】
[第1運転モード]
第1運転モードでは、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aにより射出成形を行うにあたり、図1(A)に示されるように、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aは、成形位置Aに配置される。これと同時に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aに向かって移動を開始するとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bに向かって移動を開始する。
この後、図1(B)に示されるように、第2金型部8Aが第1金型部7Bに向かって移動し、金型1を閉鎖し、この状態で、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aのランナー4と係合し、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bの成形品2と係合する。また、位置Eで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Bでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
【0031】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図1(C)に示されるように、第2金型部8Aが第1金型部7Bから離れ、金型1が開放される。これと同時に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aから離れ、第1金型部7Aからランナー4が取り出されるとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bから離れ、第2金型部8Bから成形品2が取り出される。
【0032】
次に、可動基板9Aが図中右側へ移動を開始するとともに、可動基板9Bが図中左側へ移動を開始する。そして、図1(D)に示されるように、第1金型部7Aおよび第2金型部8Bが成形位置Aに到達すると、これと同時に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bに向かって移動を開始するとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aに向かって移動を開始する。
この後、図1(E)に示されるように、第2金型部8Bが第1金型部7Aに向かって移動し、金型1が閉鎖され、この状態で、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bのランナー4と係合し、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aの成形品2と係合する。また、位置Dで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Cでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
【0033】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図1(F)に示されるように、第2金型部8Bが第1金型部7Aから離れ、金型1が開放される。
これと同時に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bから離れ、第1金型部7Bからランナー4が取り出されるとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aから離れ、第2金型部8Aから成形品2を取り出す。この後、可動基板9Aが図中左側へ移動し、可動基板9Bが図中右側へ移動すると、第1運転モードにおける成形の1サイクルが完了する。
【0034】
[第2運転モード]
第2運転モードでは、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bにより射出成形を行うにあたり、図2(A)に示されるように、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aは、成形位置Aに配置される。これと同時に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aに向かって移動を開始するとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aに向かって移動を開始する。
この後、図2(B)に示されるように、第2金型部8Bが第1金型部7Bに向かって移動し、金型1を閉鎖し、この状態で、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aのランナー4と係合し、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aの成形品2と係合する。また、位置Dで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Bでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
【0035】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図2(C)に示されるように、第2金型部8Bが第1金型部7Bから離れ、金型1が開放される。これと同時に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aから離れ、第1金型部7Aからランナー4が取り出されるとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aから離れ、第2金型部8Aから成形品2が取り出される。
【0036】
次に、可動基板9Aおよび可動基板9Bが両方とも図中右側へ移動を開始する。そして、図2(D)に示されるように、第1金型部7Aおよび第2金型部8Aが成形位置Aに到達すると、これと同時に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bに向かって移動を開始するとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bに向かって移動を開始する。
この後、図2(E)に示されるように、第2金型部8Aが第1金型部7Aに向かって移動し、金型1が閉鎖され、この状態で、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bのランナー4と係合し、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Aの成形品2と係合する。また、位置Eで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Cでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
【0037】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図2(F)に示されるように、第2金型部8Aが第1金型部7Aから離れ、金型1が開放される。
これと同時に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bから離れ、第1金型部7Bからランナー4が取り出されるとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bから離れ、第2金型部8Bから成形品2を取り出す。この後、可動基板9Aがおよび可動基板9Bが両方とも図中左側へ移動を開始し、第2運転モードにおける成形の1サイクルが完了する。
【0038】
[準備動作]
第1運転モードから第2運転モードへ切り替わる際には、すべて金型の内部を空にするために、第1準備動作が行われ、第2運転モードから第1運転モードへ切り替わる際には、同様に、すべて金型の内部を空にするために、第2準備動作が行われる。
【0039】
[第1準備動作]
第1準備動作は、図3(A)に示されるように、成形機6が第1運転モードの最初の状態となったときに開始される。
すなわち、第1準備動作では、図3(A)の如く、まず、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aが成形位置Aに配置される。この際、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aに向かって移動を開始するとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bに向かって移動を開始する。
この後、図3(B)に示されるように、型締め動作が行われるとともに、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aのランナー4と係合し、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bの成形品2と係合する。また、位置Eで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Bでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
【0040】
続いて、図3(C)に示されるように、金型1が開放されると同時に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aから離れ、第1金型部7Aからランナー4が取り出されるとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bから離れ、第2金型部8Bから成形品2が取り出される。
【0041】
次に、可動基板9Aが図中右側へ移動を開始するとともに、可動基板9Bが図中左側へ移動を開始する。そして、図3(D)に示されるように、第1金型部7Aおよび第2金型部8Bが成形位置Aに到達すると、これと同時に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bに向かって移動を開始するとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aに向かって移動を開始する。
【0042】
この後、図3(E)に示されるように、型締めが行われるとともに、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bに接近し、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aに接近した状態で、位置Dで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Cでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
これにより、すべての金型1の内部が空になるとともに、すべての摘出手段3から成形品2が排出され、かつ、すべてのランナー除去手段5からランナー4が排出された状態となる。この状態で、金型1が開放され、可動基板9Aが図中左側へ移動し、第1金型部7Bが成形位置Aに到達すると、第2運転モードが開始可能となる。
【0043】
[第2準備動作]
第2準備動作は、図4(A)に示されるように、成形機6が第2運転モードの最初の状態となったときに開始される。
すなわち、第2準備動作では、図4(A)の如く、まず、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bが成形位置Aに配置される。この際、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aに向かって移動を開始するとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aに向かって移動を開始する。
この後、図4(B)に示されるように、型締め動作が行われるとともに、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aのランナー4と係合し、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Bの成形品2と係合する。また、位置Dで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Bでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
【0044】
続いて、図4(C)に示されるように、金型1が開放されると同時に、位置Cのランナー除去手段5が第1金型部7Aから離れ、第1金型部7Aからランナー4が取り出されるとともに、位置Eの摘出手段3が第2金型部8Aから離れ、第2金型部8Aから成形品2が取り出される。
【0045】
次に、可動基板9Aおよび可動基板9Bが両方とも図中右側へ移動を開始する。そして、図4(D)に示されるように、第1金型部7Aおよび第2金型部8Aが成形位置Aに到達すると、これと同時に、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bに向かって移動を開始するとともに、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bに向かって移動を開始する。
【0046】
この後、図4(E)に示されるように、型締めが行われるとともに、位置Bのランナー除去手段5が第1金型部7Bに接近し、位置Dの摘出手段3が第2金型部8Bに接近した状態で、位置Eで摘出手段3によって取り出された成形済の成形品2が摘出手段3から排出されるとともに、位置Cでランナー除去手段5により取り出された別のランナー4がランナー除去手段5から排出される。
これにより、すべての金型1の内部が空になるとともに、すべての摘出手段3から成形品2が排出され、かつ、すべてのランナー除去手段5からランナー4が排出された状態となる。この状態で、金型1が開放され、可動基板9Aが図中右側へ移動し、第1金型部7Bが成形位置Aに到達すると、第1運転モードが開始可能となる。
【0047】
【発明の実施の形態】
[構成説明]
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図5ないし図7には、本実施形態に係る成形機10が示されている。図5ないし図7において、成形機10は、ホッパ11A 内から投入された熱可塑性樹脂製材料を加熱して可塑化する可塑化部11と、可塑化部11から送られてきた溶融樹脂を金型1へ射出する射出部12とを備えたスクリュプリプラ式のものである。
これらの可塑化部11および射出部12は、両方とも、側面形状がコ字形に形成されたフレーム13の上方の辺13A に固定されている。
なお、成形機10が成形する成形品は、2〜5mm程度の直径を有する腕時計やプリンタ等で用いられる小型の歯車である。
【0048】
なお、可塑化部11には、樹脂材料の溶融を行うとともに溶融樹脂を射出部12へ送り出すために、図示しないスクリュが設けられている。
また、射出部12には、溶融樹脂を一時的に溜めておくとともに硬化しないように加熱する射出用加熱シリンダ14と、射出用加熱シリンダ14内の溶融樹脂を金型1に向かって押し出すプランジャ15とが設けられている。
このうち、射出用加熱シリンダ14の下流側には、金型1に当接するとともに、当該金型1内へ射出される溶融樹脂を導くノズル6Aが設けられている。
コ字形のフレーム13の下方の辺13B には、金型1の型締めを行うための型締装置16が固定されている。
【0049】
また、この成形機10には、都合二組の金型1が設置されている。これらの金型1は、第1金型部7A,7Bおよび第2金型部8A,8Bからなるものである。これらの第1金型部7A,7Bおよび第2金型部8A,8Bを任意に組み合わせることにより、4種類の成形品が成形可能となっている。
第1金型部7A,7Bは、成形機10のノズル6Aの射出方向に対して直交する方向、換言すれば、図中左右方向に移動可能に設けられた可動基板9Aとしてのスライド91の右側および左側にそれぞれ取り付けられている。
一方、第2金型部8A,8Bは、スライド91に対して別個に移動可能に設けられた可動基板9Bであるスライド92の左側および右側にそれぞれ取り付けられ、このスライド92の移動方向は、スライド91と同様に、図中左右方向となっている。
【0050】
これにより、第1金型部7Aは、射出成形を行うために、ノズル6Aに応じた位置に設定された成形位置Aと、この成形位置Aから離れた図中左側の第1準備位置Cとの間を移動可能となっている。
第1金型部7Bは、成形位置Aと、この成形位置Aから離れた図中右側の第1準備位置Bとの間を移動可能となっている。
第2金型部8Aは、成形位置Aと、この成形位置Aから離れた図中左側の成形準備位置Eとの間を移動可能となっている。
第2金型部8Bは、成形位置Aと、この成形位置Aから離れた図中右側の成形準備位置Dとの間を移動可能となっている。
【0051】
ここで、スライド92の第2金型部8A,8B同士の間隔は、スライド91の第1金型部7A,7B同士の間隔よりも広くなっている。
また、第1準備位置B,Cは、成形位置Aの両側にそれぞれ設けられ、第2準備位置D,Eは、成形位置Aの両側における第1準備位置B,Cとは異なる位置、すなわち、第1準備位置B,Cの外側にそれぞれ設けられている。
【0052】
これにより、成形位置Aで、第1金型部7Aと第2金型部8Bとが対向している状態では、第1金型部7Bが第1準備位置Bに配置され、第2金型部8Aが第2準備位置Eに配置され、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aが互いに対向しないようになっている。
また、成形位置Aで、第1金型部7Bと第2金型部8Aとが対向している状態では、第1金型部7Aが第1準備位置Cに配置され、第2金型部8Bが第2準備位置Dに配置され、第1金型部7Aおよび第2金型部8Bが互いに対向しないようになっている。
一方、成形位置Aで、第1金型部7Aと第2金型部8Aとが対向している状態では、第1金型部7Bが第1準備位置Bに配置され、第2金型部8Bが第2準備位置Dに配置され、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bが互いに対向しないようになっている。
さらに、成形位置Aで、第1金型部7Bと第2金型部8Bとが対向している状態では、第1金型部7Aが第1準備位置Cに配置され、第2金型部8Aが第2準備位置Eに配置され、第1金型部 7A および第2金型部 8Aが互いに対向しないようになっている。
【0053】
スライド91は、フレーム13の上側部分を形成する辺13A の下側に固定された摺動基板93に摺動可能に支持される一方、スライド92は、フレーム13の下側部分を形成する辺13B の上側に固定された摺動基板94に摺動可能に支持されている。
【0054】
さらに具体的に説明すれば、スライド91は、図8に示されるように、断面L字形に形成された一対の略板状部材を相互に接合することにより形成されたクランク状の断面を有する段付板状のものである。
段付のスライド91の上段91A の下面には、第1金型部7A, 7Bが取り付けられるとともに、これらの第1金型部7A, 7Bの上面を露出させるための切欠部91C が設けられている。
スライド91の下段91B の上面には、フレーム13側の摺動基板93と係合する係合部材95が取り付けられている。係合部材95の上面には、一対の係合溝95A が設けられている。これらの係合溝95A は、底側が広がった台形状の断面を有するものとなっている。
摺動基板93には、係合溝95A に応じた断面を有する図示しないレール部が設けられ、摺動基板93のレール部を係合部材95の係合溝95A に嵌合させることにより、スライド91が摺動基板93に摺動可能に支持されている。
これらのスライド91および摺動基板93により、第1金型部7A, 7Bを摺動可能に支持する第1摺動機構が構成され、スライド91は、図示しないエアシリンダ装置等の駆動装置で往復駆動されるようになっている。
なお、摺動基板93には、スライド91の摺動抵抗を低減するために、摺動基板93のレール部と係合部材95の係合溝95A との間に供給される圧搾空気により形成されるエアベアリングが備えられている。
【0055】
スライド92は、長方形の平面形状を有する平板状のものであり、その上面には、第2金型部8A, 8Bが取り付けられ、その下面には、フレーム13側の摺動基板94と係合する係合部材96が取り付けられている。
係合部材96は、下面に設けられた一対のレール部96A を有するものである。これらのレール部96A は、先端側が広がった逆台形状の断面を有するものとなっている。
摺動基板94には、図5の如く、レール部96A に応じた断面を有する係合溝94A が設けられ、摺動基板94の係合溝94A に係合部材96のレール部96A を嵌合させることにより、スライド92が摺動基板94に摺動可能に支持されている。
これらのスライド92および摺動基板94により、第2金型部8A, 8Bを摺動可能に支持する第2摺動機構が構成され、スライド92は、図示しないエアシリンダ装置等の駆動装置で往復駆動されるようになっている。
なお、摺動基板94には、摺動基板93と同様に、スライド92の摺動抵抗を低減するために、摺動基板94の係合溝94A と係合部材96のレール部96A との間に供給される圧搾空気により形成されるエアベアリングが備えられている。
【0056】
図5ないし図7に戻って、成形機10には、金型1から成形品を取り出す摘出手段3としての成形品用エジェクタ3D, 3Eと、成形で生じたランナーを金型1から取り除くランナー除去手段5としてのランナー用エジェクタ5B, 5Cとが設けられている。
そして、成形品用エジェクタ3Dは、第2準備位置Dに配置され、成形品用エジェクタ3Eは、第2準備位置Eに配置され、ランナー用エジェクタ5Bは、第1準備位置Bに配置され、ランナー用エジェクタ5Cは、第1準備位置Cに配置されている。
【0057】
成形品用エジェクタ3D, 3Eの各々は、金型1で成形した成形品を真空吸着により吸い付ける吸引ノズル31を備えたものである。
このうち、成形品用エジェクタ3Dは、フレーム13から水平に突き出たブラケット17およびエアシリンダ装置等の駆動装置32を介してフレーム13に取り付けられている。これにより、成形品用エジェクタ3Dは、第2準備位置Dに到達した第2金型部8Bの直上の位置D1と、位置D1の後方となる位置D2との間を前後に移動可能とされている。位置D2へ後退した成形品用エジェクタ3Dの吸引ノズル31の下方には、成形品を受けるバスケット35D が設けられている。
【0058】
第2準備位置Dに到達した第2金型部8Bの直下には、第2金型部8Bで成形した成形品を第2金型部8Bから離型するためのエジェクタピン33D が設けられている。このエジェクタピン33D は、その下方に設けられたエアシリンダ装置等の駆動装置34D によって駆動され、第2金型部8Bに対して進退可能となっている。
第2金型部8Bでの成形が完了すると、成形品は、第2金型部8Bとともに成形準備位置Dに到達するようになっている。
また、成形品が成形準備位置Dに到達すると、成形品用エジェクタ3Dは、位置D2から位置D1へ前進するようになっている。
そして、成形品用エジェクタ3Dが位置D1に到達すると、第2金型部8Bに向かって前進駆動されるエジェクタピン33D により、成形品は、第2金型部8Bから吸引ノズル31に向かって押し出され、成形品用エジェクタ3Dの吸引ノズル31に吸着されるようになっている。
成形品用エジェクタ3Dは、吸引ノズル31に成形品を吸着すると、位置D1から位置D2へ後退し、バスケット35D の上方で吸引ノズル31の真空吸引を停止し、成形品をバスケット35D の中へ落下させるようになっている。
【0059】
成形品用エジェクタ3Eは、成形品用エジェクタ3Dと同様に、フレーム13から水平に突き出たブラケット17およびエアシリンダ装置等の駆動装置32を介してフレーム13に取り付けられている。これにより、成形品用エジェクタ3Eは、第2準備位置Eに到達した第2金型部8Aの直上の位置E1と、位置E1の後方となる位置E2との間を前後に移動可能とされている。位置E2へ後退した成形品用エジェクタ3Eの吸引ノズル31の下方には、成形品を受けるバスケット35E が設けられている。
【0060】
第2準備位置Eに到達した第2金型部8Aの直下には、第2金型部8Aで成形した成形品を第2金型部8Aから離型するためのエジェクタピン33E が設けられている。このエジェクタピン33E は、その下方に設けられたエアシリンダ装置等の駆動装置34E によって駆動され、第2金型部8Aに対して進退可能となっている。
第2金型部8Aでの成形が完了すると、成形品は、第2金型部8Aとともに第2準備位置Eに到達するようになっている。
また、成形品が成形準備位置Eに到達すると、成形品用エジェクタ3Eは、位置E2から位置E1へ前進するようになっている。
そして、成形品用エジェクタ3Eが位置E1に到達すると、第2金型部8Aに向かって前進駆動されるエジェクタピン33E により、成形品は、第2金型部8Aから吸引ノズル31に向かって押し出され、成形品用エジェクタ3Eの吸引ノズル31に吸着されるようになっている。
成形品用エジェクタ3Eは、吸引ノズル31に成形品を吸着すると、位置E1から位置E2へ後退し、バスケット35E の上方で吸引ノズル31の真空吸引を停止し、成形品をバスケット35E の中へ落下させるようになっている。
【0061】
ランナー用エジェクタ5Bは、図中右側のブラケット17の基端近傍に設けられたエアシリンダ装置等の駆動装置54を介して当該ブラケット17に取り付けられている。 ここで、ランナー用エジェクタ5Bは、第1準備位置Bに到達した第1金型部7Bの直上の位置B1と、位置B1の後方となる位置B2との間を前後に移動可能とされている。
ランナー用エジェクタ5Bには、ランナーを把持するために、開閉可能となったチャック51と、このチャックを昇降させるとともに、圧搾空気等で駆動するチャックスライド52と、チャックを開閉駆動するエアモータ等の駆動装置53とが設けられている。
第1金型部7Bでの成形が完了すると、ランナーは、第1金型部7Bとともに第1準備位置Bに到達し、この動作に伴って、ランナー用エジェクタ5Bは、チャック51が開いているとともに上昇している状態で第1金型部7Bの真上、すなわち、位置B1まで前進するようになっている。
この状態に達すると、チャック51は、下降してランナーと係合し、閉じてランナーを把持し、再度上昇するようになっている。これにより、ランナーが第1金型部7Bから抜き取られるようになっている。
そして、チャック51の再上昇が完了すると、ランナー用エジェクタ5Bは、位置B2まで後退し、この状態でチャック51が再度開き、ランナーをランナー用エジェクタ5Bから下方へ落下させるようになっている。
【0062】
ランナー用エジェクタ5Cは、図中左側のブラケット17の基端近傍に設けられたエアシリンダ装置等の駆動装置54を介して当該ブラケット17に取り付けられている。ここで、ランナー用エジェクタ5Cは、第1準備位置Cに到達した第1金型部7Aの直上の位置C1と、位置C1の後方となる位置C2との間を前後に移動可能とされている。
ランナー用エジェクタ5Cには、ランナー用エジェクタ5Bと同様に、ランナーを把持するためのチャック51と、このチャックを昇降駆動するチャックスライド52と、チャックを開閉駆動する駆動装置53とが設けられている。
第1金型部7Aでの成形が完了すると、ランナーは、第1金型部7Aとともに第1準備位置Cに到達し、この動作に伴って、ランナー用エジェクタ5Cは、チャック51が開いているとともに上昇している状態で第1金型部7Aの真上、すなわち、位置C1まで前進するようになっている。
この状態に達すると、チャック51は、下降してランナーと係合し、閉じてランナーを把持し、再度上昇するようになっている。これにより、ランナーが第1金型部7Aから抜き取られるようになっている。
そして、チャック51の再上昇が完了すると、ランナー用エジェクタ5Cは、位置C2まで後退し、この位置C2でチャック51が再度開かれ、ランナーをランナー用エジェクタ5Cから下方へ落させるようになっている。
【0063】
[動作説明]
次に、本実施形態の成形機10の動作を説明する。本実施形態では、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aによる成形と、第1金型部7Aおよび第2金型部8Bによる成形とを交互に繰り返す第1運転モード、ならびに、第1金型部7Aおよび第2金型部8Aによる成形と、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bによる成形とを交互に繰り返す第2運転モードの両方を行うことが可能となっている。ここでは、第1運転モードを先に説明する。
【0064】
[第1運転モード]
第1運転モードでは、まず、図9(A)に示されるように、第1金型部7Bおよび第2金型部8Aが成形位置Aに移動される。これと同時に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が位置C1まで前進し、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が位置B2まで後退し、位置Dの成形品用エジェクタ3Dが位置D1まで前進し、かつ、位置Eの成形品用エジェクタ3Eが位置E2まで後退する。
【0065】
この後、第2金型部8Aが第1金型部7Bに向かって移動し、金型1を閉鎖し、この状態で、図9(B)に示されるように、プランジャ15が前進し、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が下降して第1金型部7Aのランナー4を把持する。
また、エジェクタピン33D が位置Dの成形品2を第2金型部8Bから押し出すとともに、成形品用エジェクタ3Dの吸引ノズル31が第2金型部8Bの成形品2を吸着する。
一方、位置Eで成形品2を第2金型部8Aから取り出した成形品用エジェクタ3Eは、吸引ノズル31の吸引動作を停止させ、成形品2をバスケット35E の内部へ落下させる。
また、位置Bでランナー4を第1金型部7Bから取り出したランナー用エジェクタ5Bは、チャック51を開いて、ランナー4を下方に排出する。
【0066】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図9(C)に示されるように、第2金型部8Aが第1金型部7Bから離れ、金型1が開放される。
これと同時に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が上昇して第1金型部7Aから離れ、第1金型部7Aからランナー4が取り出されるとともに、位置Dにおいて、第2金型部8Bから成形品2が取り出される。
次に、図10(D)に示されるように、第1金型部7Aおよび第2金型部8Bが成形位置Aに移動される。これと同時に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が位置C2まで後退し、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が位置B1まで前進し、位置Dの成形品用エジェクタ3Dが位置D2まで後退し、かつ、位置Eの成形品用エジェクタ3Eが位置E1まで前進する。
【0067】
この後、第2金型部8Bが第1金型部7Aに向かって移動し、金型1を閉鎖し、この状態で、図10(E)に示されるように、プランジャ15が前進し、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が下降して第1金型部7Bのランナー4を把持する。
また、エジェクタピン33E が位置Eの成形品2を第2金型部8Aから押し出すとともに、成形品用エジェクタ3Eの吸引ノズル31が第2金型部8Aの成形品2を吸着する。
一方、位置Dで成形品2を第2金型部8Bから取り出した成形品用エジェクタ3Dは、吸引ノズル31の吸引動作を停止させ、成形品2をバスケット35D の内部へ落下させる。
また、位置Cでランナー4を第1金型部7Aから取り出したランナー用エジェクタ5Cは、チャック51を開いて、ランナー4を下方に排出する。
【0068】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図10(F)に示されるように、第2金型部8Bが第1金型部7Aから離れ、金型1が開放される。
これと同時に、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が上昇して第1金型部7Bから離れ、第1金型部7Bからランナー4が取り出されるとともに、位置Eにおいて、第2金型部8Aから成形品2が取り出される。以上により、第1運転モードにおける1サイクルが完了する。
【0069】
[第2運転モード]
第2運転モードでは、まず、図11(A)に示されるように、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bが成形位置Aに移動される。これと同時に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が位置C1まで前進し、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が位置B2まで後退し、位置Eの成形品用エジェクタ3Eが位置E1まで前進し、かつ、位置Dの成形品用エジェクタ3Dが位置D2まで後退する。
【0070】
この後、第2金型部8Bが第1金型部7Bに向かって移動し、金型1を閉鎖し、この状態で、図11(B)に示されるように、プランジャ15が前進し、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が下降して第1金型部7Aのランナー4を把持する。
また、エジェクタピン33E が位置Eの成形品2を第2金型部8Aから押し出すとともに、成形品用エジェクタ3Eの吸引ノズル31が第2金型部8Aの成形品2を吸着する。
一方、位置Dで成形品2を第2金型部8Bから取り出した成形品用エジェクタ3Dは、吸引ノズル31の吸引動作を停止させ、成形品2をバスケット35D の内部へ落下させる。
また、位置Bでランナー4を第1金型部7Bから取り出したランナー用エジェクタ5Bは、チャック51を開いて、ランナー4を下方に排出する。
【0071】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図11(C)に示されるように、第2金型部8Bが第1金型部7Bから離れ、金型1が開放される。
これと同時に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が上昇して第1金型部7Aから離れ、第1金型部7Aからランナー4が取り出されるとともに、位置Eにおいて、第2金型部8Aから成形品2が取り出される。
次に、図12(D)に示されるように、第1金型部7Aおよび第2金型部8Aが成形位置Aに移動される。これと同時に、位置Cのランナー用エジェクタ5Cのチャック51が位置C2まで後退し、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が位置B1まで前進し、位置Dの成形品用エジェクタ3Dが位置D1まで前進し、かつ、位置Eの成形品用エジェクタ3Eが位置E2まで後退する。
【0072】
この後、第2金型部8Aが第1金型部7Aに向かって移動し、金型1を閉鎖し、この状態で、図12(E)に示されるように、プランジャ15が前進し、ノズル6Aから金型1の内部へ溶融樹脂が射出される。
位置Aで射出成形を行っている間に、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が下降して第1金型部7Bのランナー4を把持する。
また、エジェクタピン33D が位置Dの成形品2を第2金型部8Bから押し出すとともに、成形品用エジェクタ3Dの吸引ノズル31が第2金型部8Dの成形品2を吸着する。
一方、位置Eで成形品2を第2金型部8Aから取り出した成形品用エジェクタ3Eは、吸引ノズル31の吸引動作を停止させ、成形品2をバスケット35E の内部へ落下させる。
また、位置Cでランナー4を第1金型部7Aから取り出したランナー用エジェクタ5Cは、チャック51を開いて、ランナー4を下方に排出する。
【0073】
充分な冷却により溶融樹脂が充分硬化したら、図12(F)に示されるように、第2金型部8Aが第1金型部7Aから離れ、金型1が開放される。
これと同時に、位置Bのランナー用エジェクタ5Bのチャック51が上昇して第1金型部7Bから離れ、第1金型部7Bからランナー4が取り出されるとともに、位置Dにおいて、第2金型部8Bから成形品2が取り出される。以上により、第2運転モードにおける1サイクルが完了する。
【0074】
[準備動作]
第1運転モードから第2運転モードへ切り替わる際には、すべて金型1の内部を空にするために、第1準備動作が行われ、第2運転モードから第1運転モードへ切り替わる際には、同様に、すべて金型の内部を空にするために、第2準備動作が行われる。
第1準備動作は、図9および図10を用いて説明した第1運転モードにおいて、溶融樹脂の射出と、溶融樹脂の冷却とを省略した動作であるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
第2準備動作は、図11および図12を用いて説明した第2運転モードにおいて、溶融樹脂の射出と、溶融樹脂の冷却とを省略した動作であるので、ここでは、詳細な説明を省略する。
【0075】
[効果]
前述のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、成形位置Aと第1準備位置Cとの間を移動可能となった第1金型部7Aと、成形位置Aと第1準備位置Bとの間を移動可能となった第1金型部7Bと、成形位置Aと第2準備位置Eとの間を移動可能となった第2金型部8Aと、成形位置Aと第2準備位置Dとの間を移動可能となった第2金型部8Bとを設けたので、第1金型部7A, 7Bの各々が第2金型部8A, 8Bのいずれとも組み合わせ可能となり、都合二組の金型1で4種類の成形品の成形が可能となり、少ない個数の金型1で、形状の異なる、より多くの種類の成形品を製造することができる。
そのうえ、上述のように金型1を移動可能にすると、金型1の自動交換機構を容易に実現でき、金型1の交換作業を迅速に行うことができ、ひいては、多くの種類の成形品を製造するにあたり、製造に要する時間を短縮できる。
特に、腕時計やプリンタ等の小型機械で用いられる小型の歯車等、本体部分が同一で細部が相違する成形品を製造するにあたり、第2金型部8A, 8Bで本体部分を成形し、第1金型部7A, 7Bで細部を成形するようにしたので、より少ない種類の金型で、形状の若干異なる多数種類の成形品を製造することができるうえ、製造に要する時間を短縮できる。
【0076】
さらに、第1金型部7A, 7Bおよび第2金型部8A, 8Bの一組を成形位置Aに配置し、第1金型部7A, 7Bおよび第2金型部8A, 8Bの残りを第1準備位置B,Cおよび第2準備位置D,Eにそれぞれ配置し、この状態で、金型1から成形品2およびランナー4を取り出す取出動作と、成形動作とが同時に行えるようにしたので、成形を行う間に、取出動作が完了し、サイクルタイムを短縮できる。
また、第1準備位置B,Cおよび第2準備位置D,Eでは、第1金型部7A, 7Bおよび第2金型部8A, 8Bが互いに対向しないので、取出動作を行うにあたり、型開きにより第1金型部7A, 7Bと第2金型部8A, 8Bとを大きく離す必要がなくなり、型締装置16のストロークが短くて済み、これにより、成形機10の小型化とサイクルタイムの短縮を図ることができる。
以上により、形状の異なる複数種類を成形するようにしても、成形におけるサイクルタイムを短縮できるうえ、全体の大型化を抑制することができる。
【0077】
さらに、第2準備位置D,Eに金型1で成形した成形品2を金型1から取り出す成形品用エジェクタ3D,3Eを設け、第1準備位置B,Cに成形で生じたランナー4を金型1から取り除くランナー用エジェクタ5B, 5Cを設けたので、一組の金型1で成形を行っている間に、成形品用エジェクタ3D,3Eおよびランナー用エジェクタ5B, 5Cで、残りの金型1から成形品2およびランナー4を取り出す作業が行え、サイクルタイムを長くせずに、完全自動運転を行うことができる。
しかも、溶融樹脂が冷却・硬化するまでの間に、成形品2およびランナー4を取り出す作業は完了するので、成形品用エジェクタ3D,3Eおよびランナー用エジェクタ5B, 5Cの動作速度を高速化する必要がなく、安定した動作が行える速度で、成形品用エジェクタ3D,3Eおよびランナー用エジェクタ5B, 5Cの運転が行え、その動作を安定させることができる。
従って、成形品用エジェクタ3D,3Eおよびランナー用エジェクタ5B, 5Cで、成形機の全自動運転を行うことができるうえ、成形機10の連続稼働における信頼性を確保することができる。
【0078】
また、第1金型部7A, 7Bを摺動可能に支持する第1摺動機構と、第2金型部8A, 8Bを摺動可能に支持する第2摺動機構とが設けたので、第1金型部7A, 7Bおよび第2金型部8A, 8Bのそれぞれが一直線上に配列可能となり、複数の金型1を設けるにあたり、その摺動方向に直交する方向の寸法については、金型1一個分の寸法に対応すればよいので、複数の金型1を設けるようにしても、第1摺動機構および第2摺動機構が大きくなることがなく、成形機の小型化を容易に図ることができる。
ここで、第1摺動機構に支持される第1金型部7A, 7B同士の間隔と、第2摺動機構に支持される第2金型部8A, 8B同士の間隔とを互いに相違させたので、第1摺動機構および第2摺動機構を片側に寄せ、第1金型部7Aおよび第2金型部8Aを対向させる、あるいは、第1金型部7Bおよび第2金型部8Bを対向させても、他の第1金型部7A, 7Bおよび第2金型部8A, 8Bの残りが対向することがなく、成形品用エジェクタ3D,3Eおよびランナー用エジェクタ5B, 5Cをまったく異なる領域内で動作させることが可能となり、成形機10を簡単な構造にすることができる。
【0079】
この際、第1準備位置B,Cを成形位置Aの両側にそれぞれ設け、第2準備位置D,Eを成形位置Aの両側における第1準備位置B,Cとは異なる位置、具体的には、第1準備位置B,Cの外側となる位置にそれぞれ設けたので、第1金型部7A, 7Bの移動距離と、第2金型部8A, 8Bの移動距離とが最短距離となり、第1摺動機構および第2摺動機構の小型化が推進され、成形機10の一層の小型化を図ることができる。
【0080】
また、本発明の成形機としては、射出成形機10を採用したので、歯車のような複雑な形状の成形品2であっても、寸法等の精度を損なうことなく、成形品2を大量に製造できるうえ、成形機10のサイクルタイムが短縮されるので、その製造効率を向上することができる。
【0081】
さらに、成形機10で成形される成形品2を金型1の型締め方向の厚さ寸法が他の方向の寸法よりも小さい歯車としたので、成形品2を成形する金型1は、キャビティが浅くなるので、僅かなストロークで型開きが完了するようになり、ストロークを大幅に短くすることができ、成形機10の小型化および省エネルギー化をより一層推進することができる。
【0082】
また、第1運転モードから第2運転モードに移行する前に、第1準備動作を行い、かつ、第2運転モードから第1運転モードに移行する前に、第2準備動作を行うようにしたので、運転モードが変更される際には、事前に、すべて金型1の内部から成形品となっている樹脂等が取り除かれ、内部が空の状態で、第1金型部7A, 7Bおよび第2金型部8A, 8Bとの組み合わせが変更されるようになり、成形機10の金型1の破損を未然に防止することができる。
【0083】
[変形例]
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は、この実施形態に限られるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更が可能である。
例えば、第1摺動機構としては、第1金型部を摺動可能に支持するものに限らず、図13に示されるように、複数の第1金型部7を回動可能に支持する第1回動機構41でもよい。
同様に、第2金型部としては、第2金型部を摺動可能に支持するものに限らず、図13の如く、複数の第2金型部8を回動可能に支持する第2回動機構42でもよい。
【0084】
このような第1回動機構41および第2回動機構42を採用する場合には、第1回動機構41に支持される第1金型部7の第1準備位置F〜Hと、第2回動機構42に支持される第2金型部8の第2準備位置I〜Kとを、成形位置Aを挟んで互いに逆側に設ける必要がある。
このようにすれば、第1金型部7および第2金型部8のそれぞれが一つの円周上に複数配列可能となり、複数の金型1を設けるにあたり、円盤状の回転ステージ等に第1金型部7および第2金型部8を取り付けれることにより、前述の回動機構41, 42は、簡単な構造で実現できるうえ、取り付けられる金型1が多くとも、回動機構41, 42が著しく大きくなることがなく、成形機の小型化を図ることができる。
【0085】
また、成形機としては、単に金型の内部へ溶融樹脂を射出するだけのものに限らず、成形品に表面に一体化される表皮材、あるいは、インサート等の部品を、予め金型の内部に配置しておき、この状態で、金型の内部へ溶融樹脂を射出するものでもよい。
この場合、部品を金型内部に供給する部品供給手段を成形機に設けることが望ましい。
【0086】
このようにすれば、内部にインサートが埋め込まれたインサート成形品や、表面にレザー等の表皮材が張り付けられた積層成形品を製造するにあたり、一の金型で成形を行っている間に、部品供給手段により、残りの金型に、インサートおよび表皮材等の部品が金型内部に自動的に設置されるので、予め部品の設置を行っても、サイクルタイムが長くなることがない。
また、成形準備位置で部品の設置を行えば、型締装置のストロークを小さくすることができ、型締装置のストロークを短縮することにより、成形機の小型化とサイクルタイムの短縮が行えるようになり、インサート成形品や、積層成形品を製造する際にも、安定した動作を確保しつつ、サイクルタイムの短縮および成形機の小型化が図れる。
【0087】
ここで、部品供給手段としては、前記実施形態で示した成形品用エジェクタ3D, 3Eと同様に吸引ノズル31、あるいは、ランナー用エジェクタ5B, 5Cと同様に、開閉可能なチャック51と、複数の部品が重ねられてストックされたストッカとを備え、ストッカから金型の内部へ部品を一個ずつ供給するものが採用できる。
【0088】
さらに、成形機としては、上下に第1および第2の金型部が配置され、上下方向に型締めが行われる縦型のものに限らず、左右に第1および第2の金型部が配置され、水平方向に型締めが行われる横型のものでもよい。
また、成形方式としては、金型を完全に閉じた状態で、金型内に溶融樹脂を射出し、射出圧によりキャビティ内を溶融樹脂で満たすものに限らず、次のような成形方式でもよい。
例えば、金型を完全に閉じた状態で、金型内に溶融樹脂を射出し、キャビティ内が完全に溶融樹脂で満たされる前に、溶融樹脂の射出を停止した後、キャビティ内の溶融樹脂の内部に高圧ガスを注入し、ガス圧によりキャビティ内を溶融樹脂で満たすガス注入射出成形でもよい。
あるいは、金型を完全には閉じないで、型締め代を残した状態で、金型内に溶融樹脂を射出し、型締め代を残した状態のキャビティ内が溶融樹脂で完全に満たされる前に、溶融樹脂の射出を停止した後、型締めを再開し、この型締めによりキャビティ内を溶融樹脂で満たす射出圧縮成形でもよい。
さらに、成形機としては、金型の内部に向かって溶融樹脂を射出するものに限らず、溶融状態にした金属を金型の内部に流し込む鋳造装置や、MIM(メタル・インジェクション・モールド)成形機でもよい。
【0089】
また、成形品としては、歯車に限らず、底の浅い箱状のものや長細い棒状のものでもよく、要するに、金型の型締め方向の厚さ寸法が他の方向の寸法よりも小さく、浅いキャビティでも成形できるものであればよい。
【0090】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、形状の異なる複数種類を成形するようにしても、成形におけるサイクルタイムを短縮できるうえ、全体の大型化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を模式化したモデルの動作を説明するための図である。
【図2】前記モデルの図1と異なる動作を説明するための図である。
【図3】図1の動作と図2の動作の間に行われる動作を説明するための図である。
【図4】図2の動作と図1の動作の間に行われる動作を説明するための図である。
【図5】本発明に係る実施の一形態の全体を示す斜視図である。
【図6】前記実施形態の全体を示す正面図である。
【図7】前記実施形態の全体を示す平面図である。
【図8】前記実施形態の要部を示す斜視図である。
【図9】前記実施形態の動作を説明するための図である。
【図10】図9に続く前記実施形態の動作を説明するための図である。
【図11】前記実施形態の異なる動作を説明するための図である。
【図12】図11に続く前記実施形態の動作を説明するための図である。
【図13】本発明の変形例を示す平面図である。
【図14】従来例を示す図1に相当する図である。
【符号の説明】
1 金型
2 成形品
3 摘出手段
4 ランナー
5 ランナー除去手段
6, 10 金型交換式成形機
7,7B,7C 第1金型部
8,8B,8C 第2金型部
9A 第1摺動機構である可動基板
9B 第2摺動機構である可動基板
41 第1回動機構
42 第2回動機構
91 第1摺動機構を形成するスライド
92 第2摺動機構を形成するスライド
93 第1摺動機構を形成する摺動基板
94 第2摺動機構を形成する摺動基板
A 成形位置
B,C,F〜H 第1準備位置
D,E,I〜K 第2準備位置
Claims (5)
- 2組の金型(1)が、2部品からなる第1金型部(7A,7B)と2部品からなる第2金型部(8A,8B)とに分割配置され、
前記第1金型部の各々は前記第2金型部の各々といずれも組み合わせ可能であり、
前記第1金型部に前記第2金型部を押しつけて前記金型を閉鎖状態にし、前記閉鎖状態で前記金型内部に形成されたキャビティに溶融材料を注入して成形を行う金型交換式成形機(10)であって、
前記第1金型部は、前記成形を行う成形位置(A)と、前記成形位置から離れているとともに前記第2金型部とは対向しない第1準備位置(B、C)との間を直線移動可能に支持され、
前記第2金型部は、前記成形位置と、前記成形位置から離れているとともに前記第1金型部とは対向しない第2準備位置(D,E)との間を直線移動可能に支持され、
前記第1金型部の一つおよび前記第2金型部の一つが前記成形位置に配置されている状態では、前記第1金型部の残りが前記第1準備位置に配置されるとともに、前記第2金型部の残りが前記第2準備位置に配置され、
前記第2金型部同士の間隔は前記第1金型部同士の間隔よりも広くなっていることを特徴とする金型交換式成形機。 - 請求項1に記載の金型交換式成形機において、前記第1準備位置および前記第2準備位置の一方で、前記金型で成形した成形品を前記金型から取り出す摘出手段が設けられ、前記第1準備位置および前記第2準備位置の他方で、成形で生じたランナーを前記金型から取り除くランナー除去手段が設けられていることを特徴とする金型交換式成形機。
- 請求項1または請求項2に記載の金型交換式成形機において、前記第1準備位置および前記第2準備位置の少なくとも一方に、成形品に一体化される部品を、前記金型を供給する部品供給手段が設けられていることを特徴とする金型交換式成形機。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の金型交換式成形機において、前記第1準備位置は、前記成形位置の両側にそれぞれ設けられ、前記第2準備位置は、前記成形位置の両側における前記第1準備位置とは異なる位置にそれぞれ設けられていることを特徴とする金型交換式成形機。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の金型交換式成形機の運転方法であって、その時点で成形を完了したすべての成形品を前記金型から取り出した後、前記第1金型部と、前記第2金型部との組み合わせを変更することを特徴とする金型交換式成形機の運転方法。
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