JP3811836B2 - 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機 - Google Patents

大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機 Download PDF

Info

Publication number
JP3811836B2
JP3811836B2 JP07087198A JP7087198A JP3811836B2 JP 3811836 B2 JP3811836 B2 JP 3811836B2 JP 07087198 A JP07087198 A JP 07087198A JP 7087198 A JP7087198 A JP 7087198A JP 3811836 B2 JP3811836 B2 JP 3811836B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
tunnel
shield
section
reinforcing
shield tunnel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP07087198A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11270299A (ja
Inventor
広志 風間
篤生 尾上
克之 玉置
房男 川上
安彦 重田
伸司 関
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimizu Corp
Original Assignee
Shimizu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimizu Corp filed Critical Shimizu Corp
Priority to JP07087198A priority Critical patent/JP3811836B2/ja
Publication of JPH11270299A publication Critical patent/JPH11270299A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3811836B2 publication Critical patent/JP3811836B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
大断面を有したトンネルを構築するに際して用いて好適な大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、トンネルの構築には、シールド掘削機で地山を掘削し、その後方においてシールド掘削機と略同径のトンネルを構築するシールド工法が多用されている。しかしながらシールド工法では、大断面のトンネルを構築しようとすると、当然のことながらそれに用いるシールド掘削機が大型化し、この結果、シールド掘削機の製作、運搬、現場組立等のあらゆる面において人手およびコストが嵩むものとなってしまう。
【0003】
このため、近年では、例えば本出願人が先に出願した特開平3−250195号(特願平2−171938号)公報に記載された技術のように、大断面のトンネルの形状に沿って小径トンネルを多数構築することによって、これら多数の小径トンネルからトンネル構造体を形成し、トンネル構造体の内方の地山を掘削してここに大断面のトンネル空間を形成する工法が開発されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の大断面トンネルおよびその構築方法には、以下のような問題が存在する。
多数の小径トンネルからなるトンネル構造体では、大断面であればあるほどトンネル構造体の強度が要求されるが、トンネル構造体の強度を高めるには、互いに隣接する小径トンネルどうしの重なり(重合)を大きくするしかなく、これには、小径トンネルどうしの間隔を狭めるか、小径トンネルの大径化を図らなければならない。ところが、小径トンネルどうしの間隔を狭めれば、必要となる小径トンネルの本数が増加するため、不経済である。また、間隔を狭めずにトンネルの大径化を図ろうとすると、シールド掘削機および用いるセグメントの製作費が嵩み、また裏込充填材の量も増加することから、これもまた非常に不経済であった。
【0005】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、高い強度を有した大断面トンネルを経済的に構築することのできる大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、大断面を有したトンネルが、トンネル構造体とその内方に形成されたトンネル空間とからなり、前記トンネル構造体が、前記トンネルの軸線方向にそれぞれ延在する第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとを、前記トンネル構造体の周方向において互いに交互に配置した構成とされ、前記第一のシールドトンネルは、トンネル本体と、該トンネル本体からこれに隣接配置された前記第二のシールドトンネルに向けて延出するとともに補強材が内蔵された二本一対の延出部とを備え、前記第二のシールドトンネルは、前記第一のシールドトンネルの少なくとも前記延出部に重合させて一体化され、前記補強材がピンからなり、該ピンは、その先端部が前記第一のシールドトンネルのトンネル本体の外周側に向けて突出するよう、その基端部が前記トンネル本体に一体に固定されていることを特徴としている。
【0007】
これにより、第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが、延出部を介して互いにかみ合う構成となる。そして、延出部にはトンネル本体から外周側に向けて突出するよう取り付けられたピンからなる補強材が内蔵されているので、延出部自体が十分な強度を有したものとなる。
【0016】
請求項に係る発明は、トンネル本体と、該トンネル本体から定められた方向に延出する二本一対の延出部とからなる複数の第一のシールドトンネルを、予め定めた間隔を互いに隔てて先行構築し、前記延出部を形成するときにはその内部に、基端部を前記トンネル本体に固定させた補強材を取り付けるようにしておき、前記第一のシールドトンネルを構築した後には、第二のシールドトンネルを、互いに隣接する前記第一のシールドトンネル間の地山と前記第一のシールドトンネルの前記延出部とを一体に掘削しつつ後行構築することによって、前記第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが周方向において互いに隣接して配置され、かつ前記第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが互いに重合してなるトンネル構造体を構築し、しかる後に、前記トンネル構造体の内方の地山を掘削してここにトンネル空間を形成して大断面を有したトンネルを構築することを特徴としている。
【0017】
これにより、第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが、延出部を介して互いにかみ合う構成をなし、延出部に補強材が内蔵されているので延出部自体が十分な強度を有した大断面トンネルが構築される。
【0018】
請求項に係る発明は、トンネル本体と、該トンネル本体から定められた方向に延出する延出部とを備えたシールドトンネルを構築するためのシールド掘削機であって、該シールド掘削機の外殻をなすスキンプレートは、前記トンネル本体に対応したスキンプレート本体と、前記延出部に対応した張出し部とを備え、前記スキンプレート本体の前部には前記トンネル本体に対応した部分の地山を掘削するためのメインカッターが備えられるとともに、前記延出部の前部には前記張出し部に対応した部分の地山を掘削するためのサブカッターが備えられ、前記張出し部には、前記延出部内に板状の補強材をセットするための補強材セット機構が備えられていることを特徴としている。
【0019】
これにより、トンネル本体と延出部とからなるトンネルを構築することができ、また、補強材セット機構によって、延出部には板状の補強材を配することができ、延出部の強度を高めることができる。
【0020】
請求項に係る発明は、請求項記載のシールド掘削機において、前記補強材セット機構には、前記張出し部の変形を防止するための変形防止手段が備えられていることを特徴としている。
【0021】
請求項に係る発明は、請求項記載のシールド掘削機において、前記変形防止手段が、前記張出し部の内周面に取り付けられたジャッキと、該ジャッキの先端部に回転自在に備えられて前記板状の補強材の表面に当接させられるローラとを有した構成とされていることを特徴としている。
【0022】
これらのシールド掘削機によれば、補強材の変形が防止される。特にジャッキとローラとを有した変形防止手段によれば、トンネルの湾曲等により張出し部の内周面と補強材とのシールド掘削機の断面方向における位置関係が相対変位しても、補強材の表面に当接するローラをジャッキで移動させることによって、相対変位に追従することができる。
【0023】
請求項に係る発明は、請求項ないしのいずれかに記載のシールド掘削機において、前記張出し部の後端部には、前記板状の補強材と前記張出し部との隙間を塞ぐテールシールが備えられていることを特徴としている。
【0024】
これにより、張出し部の後端部からその内部に土砂等が流入するのを防止することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機の第一ないし第三の実施の形態について、図1ないし図25を参照して説明する。
【0026】
[第一の実施の形態]
まず、ここでは、本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機を適用して構築すべき大断面トンネルについて説明する。
【0027】
図1に示すように、構築すべき大断面トンネル10は、例えば幅が30m以上、高さが15mといった大断面を有し、周囲の地山Gからの土圧に抗するトンネル構造体11と、該トンネル構造体11の内方に形成された左右の内部空間(トンネル空間)12,13とから構成されている。
【0028】
トンネル構造体11は、略水平面内に位置する上面11a,下面11bと、略鉛直面内に位置する両側の側壁部11c,11cと、これら側壁部11c,11c間で略鉛直面内に位置して左右の内部空間12,13を仕切る中間壁部11dとから構成されている。このトンネル構造体11は、それぞれ大断面トンネル10が連続する方向に延在する先行シールドトンネル(第一のシールドトンネル)15と後行シールドトンネル(第二のシールドトンネル)16とが、周方向交互に配置されて、これらが一体化された構成からなっている。
【0029】
図1および図2に示すように、トンネル構造体11の上面11a,下面11bに配置された先行シールドトンネル15Aは、断面視円形のトンネル本体17と、トンネル本体17の左右両側にそれぞれ設けられた二本一対の連結部(延出部)18,18とから構成されている。トンネル本体17は、複数の鋼製のセグメント19が円形に組まれ、その外周側の地山Gとの間にコンクリートやモルタル、ファイバーコンクリート等の裏込充填材20が充填された構成となっている。二本一対の連結部18,18は、トンネル本体17の上部,下部それぞれから、隣接する後行シールドトンネル16に向けて水平方向に延出するよう形成されており、トンネル本体17の裏込充填材20と一体化されている。
【0030】
図1に示したように、トンネル構造体11の側壁部11c,11cおよび中間壁部11dに配置された先行シールドトンネル15Bは、断面視円形でかつ上下に2本設けられたトンネル本体21A1,21A2と、トンネル本体21A1,21A2の両側からそれぞれ延出した二本一対の連結部(延出部)22,22とから構成されている。トンネル本体21A1,21A2は、それぞれ円形に組まれた鋼製のセグメント23と、その外周側に打設充填されたコンクリートやモルタル、ファイバーコンクリート等の裏込充填材24とからなっている。そして、二本一対の連結部22,22は、トンネル本体21A1,21A2にそれぞれ隣接する後行シールドトンネル16との間と、トンネル本体21A1,21A2どうしの間に、裏込充填材24と一体に形成されている。ここで、互いに上下に位置するトンネル本体21A1,21A2は互いにその一部が重合するようになっている。
【0031】
後行シールドトンネル16は、それぞれ断面視円形で、円形に組まれたセグメント26と、その外周側の地山Gとの間に充填されたコンクリートやモルタル、ファイバーコンクリート等の裏込充填材27とから構成されている。この後行シールドトンネル16のうち、トンネル構造体11の四隅と、三方に先行シールドトンネル15が接合された隅部とに配置されている後行シールドトンネル16Aは、その径寸法が、先行シールドトンネル15のトンネル本体17,21A1,21A2や、他の部分の後行シールドトンネル16Bの、トンネル構造体11の内外を結ぶ方向の厚さ寸法に対して、より大きく設定されている。
【0032】
トンネル構造体11内には、全周にわたって、その断面方向および大断面トンネル10が連続する方向に延在する鉄筋やPC鋼材等の補強部材28が配設されるとともに、コンクリート29が打設充填されている。これらの補強部材28は、先行シールドトンネル15のトンネル本体17,21A1,21A2や後行シールドトンネル16を貫通するよう形成された補強部材貫通穴30に挿通されることによって配設されている。ここで、断面方向に配置された補強部材28は、トンネル構造体11の周方向に連続するものだけでなく、斜めに延在する斜め材28aが、トンネル構造体11の隅部の内側に配設されている。
【0033】
このようにして、大断面トンネル10のトンネル構造体11は、先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16とが、周方向に交互に配置されて、先行シールドトンネル15の連結部18,18、22,22を介して一体に連結され、さらにその内部には補強部材28およびコンクリート29が充填された構成となっている。
【0034】
このような大断面トンネル10において、先行シールドトンネル15Aの連結部18、および先行シールドトンネル15Bの連結部22には、それぞれ補強板(補強材)31がその内部に配設されている。
【0035】
図3に示すように、補強板31は、先行シールドトンネル15A,15Bが連続する方向に延在する板状で、その基端部31aがトンネル本体17、21A1,21A2を構成するセグメント19,23にボルト等の接合手段によって固定されている。
【0036】
図4に示すように、補強板31には、その両側の表面31b,31bに、それぞれ複数のフラットバー(鋼製部材)32が、例えば平面視略格子状に配置されて溶接されることによって、凹凸33が形成されている。
【0037】
次に、上記のような大断面トンネル10のトンネル構造体11の上面11a,下面11bを構成する各先行シールドトンネル15Aの構築に用いるシールド掘削機について説明する。
【0038】
各先行シールドトンネル15Aの構築には、図5(a)に示すようなシールド掘削機40を用いる。シールド掘削機40は、その外殻がスキンプレート41によって形成され、このスキンプレート41は、先行シールドトンネル15のトンネル本体17、21A1,21A2(図2参照)に対応した略円形断面のスキンプレート本体41aと、トンネル本体17から延出する各連結部18、22(図2参照)に対応した略長円形断面の張出し部41bとからなり、全体として略H字状をなしている。
【0039】
そして、スキンプレート41のスキンプレート本体41aの前部には、通常のシールド掘削機と同様、多数のカッタビット42aを備えたメインカッター42が備えられ、その後方にはこのメインカッター42を回転駆動させる図示しないカッター駆動機構,排土機構,シールド掘削機40を推進させるためのシールドジャッキ,セグメント組立装置等が装備されている。
【0040】
スキンプレート41の各張出し部41bの前部には、該張出し部41bの短径寸法と略同径の小径カッター(サブカッター)43が例えば2基ずつ備えられている。各小径カッター43は、その後方に備えた駆動機構によって回転駆動されるとともに、図示しないアームによって張出し部41bの長径方向(スキンプレート41の軸線と直交する方向)に移動可能に支持された構成となっている。そして、これら小径カッター43を回転駆動させつつアーム(図示なし)で張出し部41bの長径方向に移動させることによって、地山Gを断面略長円形状に掘削し、図2に示した連結部18、22を形成するようになっている。
【0041】
図3に示したように、各張出し部41bの内部において、スキンプレート41には、補強板31を通すためのスリット44が、スキンプレート41の軸線方向に連続して形成されている。
【0042】
そして、図3および図5(b)に示すように、張出し部41bの内部には、張出し部41bの内部には、裏込充填材20、24(図2参照)を打設充填するための裏込充填材打設管46と、打設充填した裏込充填材20、24(図2参照)の圧力を保持するための裏込充填材プレス機構47と、張出し部41bの変形を防止するための変形防止機構48(図3のみに図示)が備えられている。
【0043】
前記裏込充填材打設管46と裏込充填材プレス機構47は、基本的に本出願人が既に出願した特願平9−74179号の明細書に記載した技術と同様の構成であり、ここでは前記明細書に記載した技術とは異なる構成を中心に説明を行う。
【0044】
図6および図7に示すように、これら裏込充填材打設管46と裏込充填材プレス機構47とが備えられた張出し部41bには、その後端部に、張出し部41b内の空間と、張出し部41bの後方とを仕切るエンドプレート50が設けられている。
図6に示したように、裏込充填材打設管46は、張出し部41bの後端部にまで至るような状態で配置され、その後端46aがエンドプレート50に形成された打設孔51に嵌挿されて固定され、エンドプレート50の後方に向けて開口している。また、この裏込充填材打設管46は、その胴部46bが、固定用ブラケット52によって張出し部41bに対して固定されている。
【0045】
これにより裏込充填材打設管46では、図示しないポンプ等によって送給された裏込充填材20、24を、エンドプレート50の後方の空間に打設注入するようになっている。
【0046】
図7に示すように、裏込充填材プレス機構47は、円筒状の外筒(シリンダ)53と、この外筒53内で前後両方向にスライド自在に配設された押圧ピストン54と、この押圧ピストン54をスライド駆動させる圧力保持ジャッキ55とから構成されている。
外筒53は、断面略円形の管体からなり、その後端部がエンドプレート50に形成された固定孔56に固定されている。図3に示したように、外筒53の前端部は、押さえプレート57,57によって張出し部41bに固定されている。図7に示したように、この外筒53内には、略円柱状の押圧ピストン54が収められ、外筒53の軸線方向にスライド自在となっている。押圧ピストン54には、その外周面にシール部材58,58が装着され、外筒53と押圧ピストン54との隙間のシール性を保持するようになっている。この押圧ピストン54をスライド駆動させる圧力保持ジャッキ55は、その伸縮ロッド55aが押圧ピストン54に一体に固定され、この伸縮ロッド55aを駆動するジャッキ本体55bが図示しないブラケット等によりスキンプレート41側に反力がとれるよう固定されている。
【0047】
このような裏込充填材プレス機構47では、裏込充填材打設管46(図6参照)からエンドプレート50の後方の空間に注入された裏込充填材20、24を、圧力保持ジャッキ55を伸ばして押圧ピストン54を外筒53内で後方にスライドさせることによって押圧するようになっている。
【0048】
この裏込充填材プレス機構47の押圧ピストン54の後面、すなわち裏込充填材20、24を直接的に押圧する側の面には、歪み計型の土圧計等の圧力センサ59が取り付けられている。そして、この圧力センサ59は、圧力保持ジャッキ55の駆動を制御する制御手段に接続されている。
この制御手段では、押圧ピストン54によって押圧されて加圧される裏込充填材20、24の圧力が刻々と検出されて入力されるようになっている。そして、制御手段においては、入力された圧力値と、予め設定された上限値,下限値,およびヒステリシス(不感体)とを比較し、その比較結果に基づいて圧力保持ジャッキ55の作動を自動的に制御し、これによって裏込充填材20、24に対する押圧力を、周囲の地山圧力を上回る所定値に自動的に保つようになっている。なお、この裏込充填材プレス機構47の制御方法は、先に述べた特願平9−74179号の明細書に記載した技術と同様に行えばよい。
【0049】
図3および図8に示すように、変形防止機構48は、張出し部41bの内部に、補強板31をその両面側から挟み込む二個一組のサポート装置(変形防止手段)60,60が、スキンプレート41が連続する方向において1組以上(図では例えば2組)設置された構成となっている。
【0050】
各サポート装置60は、張り出し部41bの内周面に固定されたジャッキ61と、このジャッキ61の先端部に備えられたローラ62とから形成されている。ジャッキ61は、図示しない駆動手段によって他方のサポート装置60側に向けて伸縮駆動されるようになっている。また、図9に示すように、ローラ62は、ジャッキ61の先端部に一体に取り付けられたブラケット63に、複数個がそれぞれ回転自在に軸支されている。
図8に示したように、このサポート装置60は、各ローラ62の回転方向が、シールド掘削機40の掘進に伴う補強板31の後方への相対移動を許容する方向となるよう設置されている。
【0051】
図3に示したように、このような変形防止機構48では、二個一組の各組のサポート装置60,60のローラ62,62,…が、トンネル本体17、21A1,21A2から外周側に突出するようセグメント19,23に取り付けられた補強板31に当接するようになっている。
【0052】
このような変形防止機構48によれば、スキンプレート41の張出し部41bには補強板31を挿通させるためのスリット44が形成されているため、スキンプレート本体41aの断面が不連続となり、張出し部41bがその厚さ方向における強度がスリット44のない場合に比較して低くなってしまうが、前記変形防止機構48によって張出し部41bの厚さ方向の変形が防止され、その強度が確保されるようになっている。
【0053】
なお、シールド掘削機40の掘進により補強板31が相対移動するときに、補強板31には回転自在なローラ62,62,…が当接するようになっているので、その相対移動が何ら妨げられることはない。また、掘進方向の変更等、種々の理由により張出し部41b内における補強板31の位置が断面方向に変位するときには、各サポート装置60のジャッキ61を伸縮駆動させることによって、各サポート装置60が常に補強板31に当接するようにする。
【0054】
また、図8に示したように、張出し部41bの後端部のエンドプレート50には、略U字状の開口部65が形成されており、補強板31はこの開口部65から後方に延出するようになっている。そして、開口部65には、補強板31の表面と開口部65との隙間を塞ぐテールシール66が備えられている。
【0055】
このような変形防止機構48と、張出し部41bに設けられたスリット44とによって、補強板31を所定の位置にセットするための補強板セット機構(補強材セット機構)67が構成されている。
【0056】
次に、このような大断面トンネル10の構築方法について説明する。
これには、まず、図2に示したように、トンネル構造体11を構成する先行シールドトンネル15Aおよび15Bのみを先行構築する。
【0057】
ここで、各先行シールドトンネル15Aを先行構築するには、まず、図5に示したシールド掘削機40を推進させ、メインカッター42を回転駆動させつつ、その外周側においては小径カッター43を回転駆動させるとともに張出し部41bの長径方向に移動させることによって、図2に示したように、トンネル本体17および連結部18からなる先行シールドトンネル15Aに対応した断面形状の孔68を掘削していく。そして、スキンプレート41(図5(b)参照)内の後方において、孔68内にセグメント19を所定形状に組み上げる。このとき、セグメント19には、補強板31を、ボルト等の接合手段で取り付けていく。
【0058】
さらに、組み上げたセグメント19の外周側および連結部18となる部分に、裏込充填材打設管46(図3参照)から裏込充填材20を充填し、これを裏込充填材プレス機構47で押圧して所定の圧力に保持しておくことによって、先行シールドトンネル15Aのトンネル本体17および連結部18を構築していく。
【0059】
ところで、トンネル構造体11の側壁部11c,11cおよび中間壁部11dを構成する先行シールドトンネル15Bを構築するに際しては、シールド掘削機40によって、上記した先行シールドトンネル15Aと同様の手順で、まず略H型の先行シールドトンネル15B1を先行構築する。しかる後に、前記シールド掘削機40から片側の張出し部41b,41bおよび小径カッター43を廃した如き構成の、略U字状のシールド掘削機(図示なし)を用い、図10に示すように、先行シールドトンネル15B2を構築するようにする。このとき、互いに上下に位置するトンネル本体21A1、21A2のうち、下側のトンネル本体21A1を構成するセグメント23には、その上部に、上方のトンネル本体21A2の外周面よりも若干大きな曲率径を有した略円弧状の凹部25を形成する。
【0060】
これら先行シールドトンネル15B1および15B2を構築するに際しても、セグメント23を組み立てるときに、補強板31を、ボルト等の接合手段で取り付けていく。
【0061】
上記のようにして、所定位置に先行シールドトンネル15,15,…を構築した後には、断面視円形のシールド掘削機(図示なし)を用いて円形の孔69,69,…を削孔していく。このときには、先行シールドトンネル15,15間の地山Gとともに、先行シールドトンネル15の連結部18あるいは22の一部も同時に削られていく。そして、図11に示すように、各孔69を掘削しつつ、シールド掘削機(図示なし)の後方で、セグメント26,26,…を組み立て、組み立てたセグメント26の外周側に、コンクリートやモルタル、ファイバーコンクリートなどの裏込充填材27を充填することにより、各孔69内に後行シールドトンネル16が構築される。なお、このときにも本出願人が既に提案した特願平9−74179号の明細書に記載した技術を適用することが可能である。
【0062】
これにより、先行シールドトンネル15と、断面視円形の後行シールドトンネル16とが周方向交互に配置され、しかもこれら先行シールドトンネル15および後行シールドトンネル16は、その一部において互いに重合した状態となる。
【0063】
この状態では、先行シールドトンネル15のトンネル本体17、21A1,21A2と、後行シールドトンネル16と、先行シールドトンネル15の連結部18,22とに囲まれた空間に、残土砂Zが存在する。このため、図12に示すように、先行シールドトンネル15のトンネル本体17のセグメント19,23および裏込充填材20,24を、これが連続する方向において所定間隔ごとに一部撤去し、撤去した部分から残土砂Z(図11参照)を除去する。
【0064】
残土砂Z(図11参照)を除去すると、先行シールドトンネル15のトンネル本体17,21と、後行シールドトンネル16との間を連結する連結部18,22には、周囲土圧が大きく作用することとなるが、連結部18,22には補強板31が備えられているために補強されており、崩壊等が防止される。
【0065】
続いて、構築したトンネル構造体11内に図1に示した補強部材28を配筋する。これには、図13に示すように、トンネル構造体11を構成する先行シールドトンネル15および後行シールドトンネル16に補強部材28を通すため、例えばボーリング機械、コア抜き用カッター等を用い、断面方向に貫通する補強部材貫通孔30を形成する。そして、図1に示したように、形成した補強部材貫通孔30に補強部材28を通して組み上げる。なお、この補強部材28の組立には、ジョイント金具(図示なし)を用いてもよいし、またラップジョイントを用いてもよい。補強部材貫通孔30への補強部材28の挿入が完了したら、挿入孔30と補強部材28との間の空隙にモルタルや樹脂などを充填し、これら補強部材28をトンネル構造体11に一体化する。
【0066】
この後、トンネル構造体11を構成する先行シールドトンネル15および後行シールドトンネル16内の空間にコンクリート29を打設充填する。これにより、トンネル構造体11が完成する。
【0067】
しかる後には、トンネル構造体11の内方の地山Gを掘削し、ここに内部空間12,13を形成することにより、所定形状の大断面トンネル10の構築が完了する。
【0068】
上述した大断面トンネル10では、トンネル構造体11が、周方向において互いに隣接する先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16とをその一部を互いに重合させて一体化させた構成となっている。これにより、先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16とが互いにかみ合った形態となるので、強固で安定した大断面トンネル10を構成することができる。しかも、先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16とは、先行シールドトンネル15に二本一対で設けられた連結部18,22によって一体に連結された構成となっている。これにより、トンネル構造体11は、十分な強度を確保したうえで、先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16との間隔を広くとることができ、トンネル構造体11を構成するトンネル本数を最低限に削減して、大断面トンネル10を経済的なものとすることができる。
【0069】
加えて、連結部18、22には補強板31が内蔵されているので、連結部18,22の強度を大幅に高めることができる。施工深度が深く水圧が高い場合等に、もし補強板31がなければ、その崩壊を防止するために連結部18,22間に支保工等を設置する必要があり、狭い空間内での作業となるので手間が掛かり、工費増加および工期長期化を招く原因となる。これに対し、上記したように補強板31を備えることにより、支保工等を設置することなくその崩壊を防止することができ、その結果、工費を抑制すると共に工期延長を防止することができる。
【0070】
さらに、連結部18、22の強度が高められることによって、トンネル本体17、21A1,21A2との、より一層の構造的な一体化を図ることができ、先行シールドトンネル15全体の強度を大幅に向上させることができる。また、連結部18、22の断面を小さくすることができるので、使用するシールド機の大きさを小さくすることができる。このようにして、大断面トンネル10全体の施工費用を大幅に低減することが可能となる。
【0071】
また、補強板31が板状で、その表面にフラットバー32からなる凹凸33が形成された構成となっている。これにより、連結部18、22を形成する裏込充填材20,24と補強板31との付着が良好となり、その構築時あるいは構築後に裏込充填材20,24が剥離、損傷する懸念が減少し、大断面トンネル10の安定性および健全性が保たれることとなる。また、フラットバー32を用いることにより、市販の材料を利用することができ、上記構成を容易かつ低コストで実現することができる。
【0072】
さらに、先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16の内部には、鉄筋等からなる補強部材28が配設されるとともに、コンクリート29が打設充填された構成となっている。これによりトンネル構造体11は鉄筋コンクリート造となり、大断面トンネル10を堅固で安定したものとして、上記各効果をより一層顕著なものとすることができる。
【0073】
また、上述した大断面トンネル10の構築方法では、トンネル本体17、21A1,21A2と、補強板31を備えた連結部18、22とからなる先行シールドトンネル15を先行構築した後、互いに隣接する先行シールドトンネル15,15間に後行シールドトンネル16を後行構築することによってトンネル構造体11を構築し、しかる後にトンネル構造体11の内方の地山Gを掘削してここに内部空間12,13を形成する構成となっている。
これにより、円滑かつ効率よく上記大断面トンネル10を構築することができ、工期の短縮化、コスト低減といった効果を得ることができる。
【0074】
また、上述したシールド掘削機40によれば、その外殻をなすスキンプレート41に、連結部18、22に対応した張出し部41bを備え、この張出し部41bには、補強板31を連結部18、22内にセットするための補強板セット機構67を備えた構成となっている。これにより、補強板31を内蔵する連結部18,22を備えた構成の、特殊な断面形状の先行シールドトンネル15を構築することができる。
【0075】
さらに、補強板セット機構67には、張出し部41bの変形を防止するため、ジャッキ61とローラ62とからなるサポート装置60が備えられている。これにより、補強板31を通すためのスリット44によってスキンプレート41の強度が低下するが、サポート装置60が補強板31に当接することによって張出し部41bの変形を防止することができ、補強効果を得ることができる。しかも、サポート装置60にはジャッキ61が備えられているので、先行シールドトンネル15の湾曲等により張出し部41bの内周面と補強板31との位置関係が相対変位しても、ジャッキ61を伸縮駆動させることによってこれに追従することができ、常にスキンプレート41の強度を確保することができる。
【0076】
加えて、張出し部41bの後端部には、テールシール66が備えられているので、張出し部41bの内部に裏込充填材20,24が進入するのを防止することができる。
【0077】
さらに、上述したシールド掘削機40によれば、補強板31のシールド掘削機40に備えた裏込充填材プレス機構47によって、裏込充填材打設管46から打設した裏込充填材20、24を押圧して、周囲地山の土圧,水圧よりも常時高くなるよう自動的に保つようになっている。これにより、裏込充填材20、24を過不足なく確実に充填して、裏込充填材20、24への地下水や土砂の浸入,混入を防止したり、裏込充填材20、24のシールド掘削機40の掘削方向前方への回り込み等を防止して、高品質かつ確実な施工が可能となる。
【0078】
しかも、裏込充填材プレス機構47の外筒53が、スキンプレート41の張出し部41bとは別に設けられた構成となっている。このようにして、スキンプレート41等を利用せずに裏込充填材プレス機構47を独立して設けることによって、シールド掘削機40の製作が容易となり、低コスト化、および高精度化を図ることができる。また、裏込充填材プレス機構47の増減も容易に行うことができる。そして、上述したように張出し部41bが厚い場合でも、何ら問題なく裏込充填材20、24を良好な品質で打設することが可能となる。
【0079】
加えて、裏込充填材打設管46については、これをエンドプレート50を介してスキンプレート41側に固定する構成となっている。これにより、従来一般のシールド掘削機のように打設管をフレキシブルホース等で構成する必要がなく、打設時にホースが振れたりするような不具合がなく、使用性に優れている。
また、この裏込充填材打設管46と、裏込充填材プレス機構47の外筒53とが分離されているので、押圧ピストン54に裏込充填材打設のための孔を設ける必要がなく、押圧ピストン54の断面欠損が生じず、より効率的に押圧効果を得ることができ、また裏込充填材プレス機構47の小型化を図ることができる。
【0080】
なお、上記第一の実施の形態において、補強板31に凹凸33を形成するためにフラットバー32を格子状に取り付ける構成としたが、その配置形状はいかなるものでも良い。また、フラットバー32に代えて、図14に示すように、補強板31の表面にエキスパンドメタル(鋼製部材)70を溶接する等して設けることによって凹凸33’を形成しても良いし、また、図15に示すように、補強板31自体に縞鋼板71を用いることによって凹凸33”を形成する構成としても良い。これ以外にも、表面に凹凸を形成することができるのであれば、いかなる材料を採用しても良い。また、補強板31は、金属製に限らず、所定の形状に成形した強化プラスチック製のもの等を採用しても良い。強化プラスチック製の場合、軽量であるために作業性に優れ、また設置位置がズレても後行の掘削機で切削できる、等の効果が得られる。
【0081】
また、サポート装置60の位置や設置数は、上記に挙げたものに何ら限定する意図はなく、適宜変更可能である。
【0082】
さらに、大断面トンネル10を、左右に内部空間12と13との二室を備える構成としたが、一室のみでも良いし、あるいは三室以上を備えるようにしてもよいし、また、上下に複数層を有する構成としても良い。さらには、その断面形状についても、完全な矩形状に限定するものではなく、その一部を湾曲形状とする等、他の形状としてもよい。また、トンネル構造体11の側壁部11cおよび中間壁部11dにおいては、トンネル本体21A1,21A2を上下2段とする構成としたが、これに限定するものではなく、他の部分と同様、先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16とを交互に配する構成としても良い。
また、トンネル構造体11を構成する先行シールドトンネル15と後行シールドトンネル16の数や大きさ等についても何ら限定するものではない。
【0083】
[第二の実施の形態]
次に、本発明に係る第二の実施の形態について説明する。ここでは、例えば、大断面トンネルを構成する第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルの形状や配置が上記第一の実施の形態とは異なる場合として、大断面トンネル自体を略円形断面とし、個々の第一および第二のシールドトンネルも略円形とする場合の例を用いて説明する。以下に説明する第二の実施の形態において、前記第一の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
図16に示すように、大断面トンネル80は、断面略円形をなして周囲の地山Gからの土圧に抗するトンネル構造体81と、該トンネル構造体11の内方に形成された内部空間(トンネル空間)82とから構成されている。
【0085】
トンネル構造体81は、それぞれ大断面トンネル80が連続する方向に延在する先行シールドトンネル(第一のシールドトンネル)85と後行シールドトンネル(第二のシールドトンネル)86とが、周方向交互に配置されて、これらが一体化された構成からなっている。
【0086】
図17に示すように、先行シールドトンネル85は、断面視円形のトンネル本体87と、トンネル本体87の左右両側にそれぞれ設けられた二個一対の連結部(延出部)88,88とから構成されている。トンネル本体87は、複数の鋼製のセグメント89が円形に組まれ、その外周側の地山Gとの間にコンクリートやモルタル、ファイバーコンクリート等の裏込充填材90が充填された構成となっている。二本一対の連結部88,88は、断面略円形で、トンネル本体87の裏込充填材90と一体に形成されている。
【0087】
そして、各連結部88には、先行シールドトンネル85が連続する方向に延在する補強板(補強材)91が、その基端部91aをセグメント89にボルト等の接合手段によって固定させて設けられている。この補強板91には、フラットバー32(図4参照)やエキスパンドメタル70(図14参照)が設けられることによって、あるいは補強板91自体が縞鋼板71(図15参照)で形成されること等によって、その両側の表面91b,91bに凹凸(図示なし)が形成され、裏込充填材90との付着性が高められるようになっている。
【0088】
図16に示したように、後行シールドトンネル86は、それぞれ断面視円形で、円形に組まれたセグメント93と、その外周側の地山Gとの間に充填された裏込充填材94とから構成されている。
【0089】
このようにして、トンネル構造体81は、先行シールドトンネル85と後行シールドトンネル86とが、周方向に交互に配置されて、先行シールドトンネル85の連結部88を介して、その一部を互いに重合させて一体に連結された構成となっている。
なお、このトンネル構造体81は、必要に応じ、その内部に、前記第一の実施の形態のトンネル構造体11(図1参照)のように、補強部材28やコンクリート29を備える構成としても良い。
【0090】
また、上記大断面トンネル80の先行シールドトンネル85を掘削構築するためのシールド掘削機は、上記第一の実施の形態で示したシールド掘削機40(図5参照)と基本的な構造は同様であり、シールド掘削機40におけるスキンプレート41の形状およびその内部の各機構を、先行シールドトンネル85に対応したものとすれば良いので、ここではその説明を省略する。
【0091】
そして、大断面トンネル80を構築するには、上記第一の実施の形態における施工方法と同様にして、まず、図18に示すように、トンネル本体87と、補強板91を備えた連結部88とからなる先行シールドトンネル85を先行構築する。次いで、互いに隣接する先行シールドトンネル85,85間に後行シールドトンネル86を、先行シールドトンネル85の連結部88の一部を削りつつ後行構築する。これによって、図16に示したように、先行シールドトンネル85と後行シールドトンネル86とが連結部88,88を介して一体化されてトンネル構造体81が構築される。しかる後にトンネル構造体81の内方の地山Gを掘削してここに内部空間82を形成することによって、大断面トンネル80が構築されるようになっている。
【0092】
上述したように、大断面トンネル80およびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機でも、上記第一の実施の形態と全く同様の効果を奏することが可能である。
【0093】
なお、上記第二の実施の形態において、大断面トンネル80の断面形状は円形に限らず、例えば矩形の他、第一の実施の形態で示した大断面トンネル10のような形状等、他のいかなるものであっても良い。
【0094】
[第三の実施の形態]
次に、本発明に係る第三の実施の形態について説明する。ここでは、補強材として、上記第一および第二の実施の形態で示した板状のものではなく、例えばボルトを用いる場合の例を用いて説明する。以下に説明する第三の実施の形態において、前記第一または第二の実施の形態と共通する構成については同符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
図16に示したように、大断面トンネル80’は、断面略円形をなして周囲の地山Gからの土圧に抗するトンネル構造体81’と、該トンネル構造体11の内方に形成された内部空間82とから構成されている。
【0096】
トンネル構造体81’は、それぞれ大断面トンネル80’が連続する方向に延在する先行シールドトンネル(第一のシールドトンネル)85’と後行シールドトンネル86とが、周方向交互に配置されて、これらが一体化された構成からなっている。
【0097】
図19に示すように、先行シールドトンネル85’は、セグメント89と裏込充填材90とからなる断面視円形のトンネル本体87と、トンネル本体87の左右両側にそれぞれ設けられた二個一対の連結部(延出部)88’,88’とから構成されている。二本一対の連結部88’,88’は、それぞれ断面略円形で、トンネル本体87の裏込充填材90と一体に形成されている。
【0098】
図16に示したように、これら二個一対の連結部88’,88’を介して、先行シールドトンネル85と後行シールドトンネル86とが、その一部を互いに重合させて一体に連結されることによって、トンネル構造体81’が構成されている。
【0099】
そして、図19に示したように、各連結部88’には、先行シールドトンネル85が連続する方向において所定間隔ごとにボルト(補強材、ピン)101が配設されている。ボルト101は、その基端部101aがトンネル本体87のセグメント89に固定され、先端部101bがトンネル本体87からその外周側の連結部88’に向けて延出するよう設けられている。
【0100】
このボルト101は、セグメント89の内側からセグメント89の所定位置に形成されたボルト穴(図示なし)を通してその外側に突出させるようになっている。そして、ボルト101の基端部101aをセグメント89に固定するには、セグメント89の内周面に溶接等により固定されたナット102にボルト101を螺合させる。このとき、セグメント89の外周面となる部分の面外強度が不足するのであれば、図20に示すように、ナット102の周囲にリブ状の補強部材103を溶接等により設ける。
【0101】
ところで、ボルト101にはその外周面に螺条が形成されているので凹凸が存在し、これによって裏込充填材90との付着性が高められるようになっている。
【0102】
なお、上記トンネル構造体81’は、必要に応じ、その内部に、前記第一の実施の形態のトンネル構造体11(図1参照)と同様に補強部材28やコンクリート29を備える構成としても良い。
【0103】
また、図21に示すように、上記大断面トンネル80’の先行シールドトンネル85’を掘削構築するためのシールド掘削機105は、その外殻がスキンプレート106によって形成され、このスキンプレート106は、先行シールドトンネル85’のトンネル本体87(図19参照)に対応した略円形断面のスキンプレート本体106aと、トンネル本体87から延出する各連結部88’(図19参照)に対応した形状の張出し部106bとから構成されている。このシールド掘削機105の基本的な構造は、上記第一の実施の形態で示したシールド掘削機40(図5参照)と同様であり、スキンプレート本体106aの前部にはメインカッター(図示なし)が備えられ、張出し部106bの前部にはサブカッター(図示なし)が備えられている。
【0104】
各張出し部106bの内部には、裏込充填材90(図19参照)を打設充填するための裏込充填材打設管46と、打設充填した裏込充填材90(図19参照)の圧力を保持するための裏込充填材プレス機構47とが備えられている。これらの裏込充填材打設管46および裏込充填材プレス機構47については、前記第一の実施の形態で示したものと同様であるので、その説明については省略する。
【0105】
そして、大断面トンネル80’を構築するには、上記第一および第二の実施の形態における施工方法と同様にして、まず、先行シールドトンネル85’を先行構築する。
【0106】
これには、図22に示すように、シールド掘削機105で先行シールドトンネル85’に対応した形状の孔108を掘削していき、スキンプレート106内の後方において、孔108内にセグメント89を所定形状に組み上げる。さらに、組み上げたセグメント89の外周側および連結部88’となる部分に、裏込充填材打設管46から裏込充填材90を充填し、これを裏込充填材プレス機構47で押圧して所定の圧力に保持しておく。
【0107】
一方、スキンプレート106内においては、組み上げたセグメント89の内周面に予め取り付けられているナット102に、ボルト101の先端部をねじ込む。この段階では、ボルト101の先端部が、セグメント89の外周面に突出しないようにしておく。これは、セグメント89とスキンプレート106との隙間をシールするためスキンプレート106の後端部に備えられたテールシール109を、ボルト101で傷つけるのを防止するためである。
そして、シールド掘削機105の掘進に伴い、テールシール109が、ナット102にねじ込んでおいたボルト101を通過した後、裏込充填材90が硬化する前に、ボルト101を最後までねじ込む。これによりボルト101が所定の状態にセットされたこととなる。
【0108】
このようにして、図19に示したような、トンネル本体87と、ボルト101を備えた連結部88’とからなる先行シールドトンネル85’を構築していく。
【0109】
次いで、図16に示したように、後行シールドトンネル86を、互いに隣接する先行シールドトンネル85’,85’間に、先行シールドトンネル85’の連結部88’の一部を削りつつ後行構築する。これによって先行シールドトンネル85’と後行シールドトンネル86とが連結部88’,88’を介して一体化されてトンネル構造体81’が構築される。
【0110】
しかる後に、トンネル構造体81’の内方の地山Gを掘削してここに内部空間82を形成することによって、大断面トンネル80’が構築されるようになっている。
【0111】
上述した大断面トンネル80’およびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機105でも、上記第一の実施の形態と同様、トンネル構造体81’が、先行シールドトンネル85’と後行シールドトンネル86とを、ボルト101を内蔵した連結部88’を介して互いにかみ合わせて一体化させた構成となっている。したがって、強固で安定した大断面トンネル80’を構築することができ、その結果、大断面トンネル80’を低コストかつ短工期で施工することが可能となる。
【0112】
しかも、補強材としてボルト101を採用し、シールド掘削機105のテールシール109が通過した後にボルト101をねじ込んで外方に突出させる構成としたので、シールド掘削機105のスキンプレート106には、前記第一の実施の形態で示したシールド掘削機40のようなスリット44(図3参照)が不要である。したがって、シールド掘削機105の強度が低下することもなく、シールド掘削機105を低コストで製作することができ、この点でも大断面トンネル80’の低コスト化に寄与することができる。
【0113】
また、ボルト101を用いることにより、これを連結部88’内にセットするにはボルト101を単にねじ込むのみで良く、作業性に優れている。
【0114】
なお、上記第三の実施の形態において、補強材としてボルト101を採用する構成としたが、これに限るものではなく、その設置本数は要求される条件によって適宜設定すればよいのであって、何ら限定する意図はない。例えば、図23に示すように、ボルト101を2列、あるいは3列以上に並べて配置する等しても良い。
【0115】
また、ボルト101に代えて、例えば以下に示すようなものを採用しても良い。図24および図25に示すように、補強材110は、メス部材111と、補強ピン(ピン)112とから構成されている。メス部材111は、セグメント89の内周面に溶接等により一体に取り付けられており、これにはセグメント89の内周面に近づくにつれて漸次その径が縮小するテーパ状のピン穴113が形成されている。一方、セグメント89には、このピン穴113に対応した位置に、ピン穴113よりも大径で、かつメス部材111よりも小径の穴114が形成されている。補強ピン112は、基端部にピン穴113に対応したテーパ部115が形成され、先端部には略円盤状の係止部材116が一体に設けられた構成のものである。なお、この係止部材116は、その外径が、ピン穴113よりも大径で、かつセグメント89の穴114よりも小径に設定され、かつその厚さが、セグメント89の厚さよりも小さく設定されている。また、係止部材116は、補強ピン112に溶接等により取り付けても良いが、補強ピン112の先端部に螺条を形成しておき、これにねじ込むようにすれば装着を容易に行うことができる。
【0116】
このような補強材110を採用する場合、施工時にはセグメント89が組み付けられる前の段階で、補強ピン112を、メス部材111のピン穴113と、セグメント89の穴114とに予め挿通状態で装着しておく。
そして、図22に示した前記ボルト101の場合と同様に、先行シールドトンネル85’を構築するときには、シールド掘削機105のテールシール109が通過するまでは、補強ピン112の係止部材116を、組み上げたセグメント89の穴114内に収めた状態(図25中点線で示した状態)としておき、テールシール109の損傷を防ぐ。そして、テールシール109が補強ピン112を通過した後、セグメント89の外周側に打設充填された裏込充填材90が硬化する前に、補強ピン112をセグメント89の内側から打ち込む。
このとき、補強ピン112のテーパ部115とメス部材111のピン穴113とがテーパ状であるので、補強ピン112は容易に位置決めすることができる。しかもこの補強ピン112はねじ込み不要なので作業性にも優れる。
【0117】
この後、裏込充填材90が硬化すると、係止部材116の位置が固定され、これによって補強ピン112が固定されることになる。しかも、硬化後には、テーパ部115とピン穴113とのかみ合いにより、補強ピン112のセグメント89への固定強度が非常に高く、補強材110による補強効果を有効に発揮することができる。
【0118】
このような補強材110によっても、上記第三の実施の形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0119】
また、上記第一ないし第三の実施の形態において、シールド掘削機40,105についてはその構成を何ら限定するものではなく、所定形状の先行シールドトンネル15、85、85’を掘削できるのであれば、いかなる構成を採用しても良く、例えば小径カッター43の移動範囲や装備数、裏込充填材打設管46や裏込充填材プレス機構47の数や位置等、いかなるものであっても良い。また、裏込充填材プレス機構47の外筒53を断面視円形としたが、これに限らず、張出し部41bの厚さが薄い場合や、裏込充填材プレス機構47を多数取り付ける場合等には、矩形や楕円形等の他の形状の外筒を採用するようにしても良い。
【0120】
さらに、先行シールドトンネル15、85、85’のトンネル本体17,21A1,21A2、87や、後行シールドトンネル16、86等については、断面視円形に限らず、例えば断面視矩形等、他の形状を適宜採用することが可能である。もちろんそのときには、シールド掘削機40,105等の形状を掘削すべきトンネルの形状に対応させるのは言うまでもない。
【0121】
加えて、大断面トンネル10、80、80’の施工に際しては、先行シールドトンネル15、85、85’を先行構築した後に後行シールドトンネル16、86を後行構築する構成となっているが、先行シールドトンネル15、85、85’が全て施工されなくても、これらの先行シールドトンネル15、85、85’のうち互いに隣接する二つの施工ができれば、その間に後行シールドトンネル16、86の施工を開始しても何ら支障はない。またもちろん、先行シールドトンネル15、85、85’の構築が全長にわたって完了しなくとも、ある程度構築が進行した時点で、その後方から後行シールドトンネル16、86の構築を開始しても良い。このような工法を採用すれば、さらなる工期の短縮化を図ることが可能となる。
補強部材28の配筋等の作業についても同様で、トンネル構造体11の全周が完成した後でなくとも、後行シールドトンネル16の施工と平行して補強部材28の配筋作業を行うことも可能である。さらにコンクリート29の打設についても、補強部材28の配筋作業の進行と並行して行うことが可能である。
【0122】
また、セグメント19,23,89については、鋼製のものに限らず、コンクリート製のものでも良い。この場合、補強板31、91、ボルト101、補強材110は、その基端部を、アンカー部材等によりコンクリート製のセグメントに固定すればよい。
【0123】
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない範囲内であれば、いかなる構成を採用しても良く、また上記したような構成を適宜選択的に組み合わせたものとしても良いのは言うまでもない。
【0124】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る大断面トンネルによれば、大断面を有したトンネルのトンネル構造体は、第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとを互いに交互に配置し、第二のシールドトンネルを第一のシールドトンネルの少なくとも延出部に重合させて一体化させ、第一のシールドトンネルの延出部には、補強材を内蔵した構成となっている。
このようにして、第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが互いにかみ合う構成とすることにより、強固な大断面トンネルを構成することができる。
しかも、第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとを連結する延出部にはトンネル本体から外周側に向けて突出するよう取り付けられたピンからなる補強材が内蔵されているので、延出部の強度を高めることができる。したがって、施工深度が深く水圧が高い場合等にも、延出部に支保工などを設置することなくその崩壊を防止することができる。その結果、支保工を設置するための手間や工費、工期が不要であり、工費を抑制することができると共に工期延長を防止することができる。
加えて、延出部に補強材を内蔵することによって、延出部の強度を高めてトンネル本体とのより一層の構造的な一体化を図ることができ、第一のシールドトンネル全体の強度を大幅に向上させることができる。また、延出部の断面を小さくすることができるので、使用するシールド機の大きさを小さくすることができる。このようにして、大断面トンネル全体の施工費用を大幅に低減することが可能となる。
また、このようなピンからなる補強材は、シールド掘削機のテールが通り過ぎた後に取り付けることが可能であるため、シールド掘削機の強度の低下を招くことなく、シールド掘削機の製作費を大幅に低減することができ、加えて、作業性も非常に良く、工費削減および工期短縮化に貢献することができる。さらに、ピンとしてボルトを用いれば、その外周面に形成された螺条によって、前記凹凸のように、硬化性材料に対する付着強度を高める効果も得られる。
【0129】
請求項に係る大断面トンネルの構築方法によれば、トンネル本体と、二本一対で補強材を備えた延出部とからなる第一のシールドトンネルを先行構築した後、第二のシールドトンネルを、互いに隣接する第一のシールドトンネル間の地山と第一のシールドトンネルの延出部とを掘削しつつ後行構築して、トンネル構造体を第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとを互いに重合させて構築し、しかる後にトンネル構造体の内方の地山を掘削してここにトンネル空間を形成することによって大断面を有したトンネルを構築する構成となっている。これにより、第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが、延出部を介して互いにかみ合う構成をなし、延出部に補強材が内蔵されているので延出部自体が十分な強度を有した大断面トンネルを構築でき、円滑かつ効率よく大断面トンネルを構築することができる。これにより、工期の短縮化、コスト低減といった効果を得ることができる。
【0130】
請求項に係るシールド掘削機によれば、その外殻をなすスキンプレートが、トンネル本体に対応したスキンプレート本体と、延出部に対応した張出し部とを備え、張出し部には、延出部内に板状の補強材をセットするための補強材セット機構が備えられた構成となっている。これにより、補強材を所定の位置にセットすることができるので、補強材を内蔵する延出部を備えた構成の、特殊形状のトンネルを構築することができ、請求項2に係る大断面トンネルの構築方法を実現することができる。
【0131】
請求項に係るシールド掘削機によれば、補強材セット機構には、張出し部の変形を防止するための変形防止手段が備えられた構成となっている。そして、請求項に係るシールド掘削機によれば、変形防止手段が、張出し部の内周面に取り付けられたジャッキと、ジャッキの先端部に備えられて板状の補強材の表面に当接させられるローラとを有した構成となっている。これにより、補強材を通すために形成されたスリットによってスキンプレートの強度が低下するが、スキンプレートの変形が変形防止手段によって防止される。特にジャッキとローラとを有した変形防止手段によれば、トンネルの湾曲等により張出し部の内周面と補強材とのシールド掘削機の断面方向における位置関係が相対変位しても、補強材の表面に当接するローラをジャッキで移動させることによって、相対変位に追従することができ、常にスキンプレートの強度が確保される。
【0132】
請求項に係るシールド掘削機によれば、張出し部の後端部には、板状の補強材と張出し部との隙間を塞ぐテールシールが備えられた構成となっている。これにより、張出し部の内部に延出部を形成する硬化性材料が進入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機を適用したトンネルの第一の実施の形態を示す図であって、前記トンネルの立断面図である。
【図2】 前記大断面トンネルの構築方法を示す図であって、トンネル構造体を構成する第一のシールドトンネルを先行構築した状態を示す立断面図である。
【図3】 前記第一のシールドトンネルの掘削に用いるシールド掘削機の一例を示す図であって、前記シールド掘削機の張出し部の内部構造を示す立断面図である。
【図4】 前記第一のシールドトンネルの延出部に内蔵された補強材の一例を示す側断面図および斜視図である。
【図5】 前記シールド掘削機を示す図であって、(a)同シールド掘削機の斜視図,(b)同シールド掘削機の後部の斜視断面図である。
【図6】 同シールド掘削機の張出し部に備えられた充填材注入管を示す側断面図である(図3のイ−イ断面図)。
【図7】 同張出し部に備えられた充填材押圧機構を示す側断面図である(図3のロ−ロ断面図)。
【図8】 同張出し部に備えられた補強材セット機構を示す側断面図である(図3のハ−ハ断面図)。
【図9】 前記補強材セット機構を構成するジャッキおよびローラを示す斜視図である。
【図10】 前記大断面トンネルの構築方法を示す図であって、トンネル構造体を構成する第一のシールドトンネルを先行構築した後、第二のシールドトンネルを構築すべき位置を示す立断面図である。
【図11】 同、前記第二のシールドトンネルを構築した状態を示す立断面図である。
【図12】 同、シールドトンネルの一部を撤去して残土砂を除去した状態を示す立断面図である。
【図13】 同、シールドトンネルに補強部材を配設するための孔を形成した状態を示す立断面図である。
【図14】 前記補強材の他の一例を示す斜視図である。
【図15】 前記補強材のさらに他の一例を示す斜視図である。
【図16】 本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機を適用したトンネルの第二および第三の実施の形態を示す図であって、前記トンネルの立断面図である。
【図17】 前記第二の実施の形態において、前記トンネルを構成する第一のシールドトンネルを示す立断面図である。
【図18】 前記大断面トンネルの構築方法を示す図であって、トンネル構造体を構成する第一のシールドトンネルを先行構築した後、第二のシールドトンネルを構築すべき位置を示す立断面図である。
【図19】 前記第三の実施の形態において、前記トンネルを構成する第一のシールドトンネルを示す立断面図である。
【図20】 前記第一のシールドトンネルに補強材を取り付けるためのナットと、セグメントを補強するための補強部材を示す平面図および側断面図である。
【図21】 同第一のシールドトンネルを構築するためのシールド掘削機を示す立断面図である。
【図22】 前記トンネルの構築方法を示す図であって、セグメントを組み立てつつ、シールド掘削機の後方において補強材をセットしている状態を示す断面図である(図22のニ−ニ断面図)。
【図23】 本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機を適用したトンネルの第三の実施の形態の他の一例を示す図である。
【図24】 前記第三の実施の形態のさらに他の一例を示す図であって、他の補強材を示す斜視図である。
【図25】 前記補強材のセット状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10,80,80’ 大断面トンネル
11,81,81’ トンネル構造体
12、13、82 内部空間(トンネル空間)
15,85,85’ 先行シールドトンネル(第一のシールドトンネル)
16,86 後行シールドトンネル(第二のシールドトンネル)
17,21A1,21A2,87 トンネル本体
18,22,88,88’ 連結部(延出部)
31、91 補強板(補強材)
32 フラットバー(鋼製部材)
33、33’、33” 凹凸
40、105 シールド掘削機
41、106 スキンプレート
41a、106a スキンプレート本体
41b、106b 張出し部
42 メインカッター
43 小径カッター(サブカッター)
60 サポート装置(変形防止手段)
61 ジャッキ
62 ローラ
66 テールシール
67 補強板セット機構
70 エキスパンドメタル(鋼製部材)
71 縞鋼板
101 ボルト(補強材、ピン)
110 補強材
112 補強ピン(ピン)
G 地山

Claims (6)

  1. 大断面を有したトンネルが、トンネル構造体とその内方に形成されたトンネル空間とからなり、
    前記トンネル構造体が、前記トンネルの軸線方向にそれぞれ延在する第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとを、前記トンネル構造体の周方向において互いに交互に配置した構成とされ、
    前記第一のシールドトンネルは、トンネル本体と、該トンネル本体からこれに隣接配置された前記第二のシールドトンネルに向けて延出するとともに補強材が内蔵された二本一対の延出部とを備え、
    前記第二のシールドトンネルは、前記第一のシールドトンネルの少なくとも前記延出部に重合させて一体化され
    前記補強材がピンからなり、該ピンは、その先端部が前記第一のシールドトンネルのトンネル本体の外周側に向けて突出するよう、その基端部が前記トンネル本体に一体に固定されていることを特徴とする大断面トンネル。
  2. トンネル本体と、該トンネル本体から定められた方向に延出する二本一対の延出部とからなる複数の第一のシールドトンネルを、予め定めた間隔を互いに隔てて先行構築し、前記延出部を形成するときにはその内部に、基端部を前記トンネル本体に固定させた補強材を取り付けるようにしておき、
    前記第一のシールドトンネルを構築した後には、第二のシールドトンネルを、互いに隣接する前記第一のシールドトンネル間の地山と前記第一のシールドトンネルの前記延出部とを一体に掘削しつつ後行構築することによって、前記第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが周方向において互いに隣接して配置され、かつ前記第一のシールドトンネルと第二のシールドトンネルとが互いに重合してなるトンネル構造体を構築し、
    しかる後に、前記トンネル構造体の内方の地山を掘削してここにトンネル空間を形成して大断面を有したトンネルを構築することを特徴とする大断面トンネルの構築方法。
  3. トンネル本体と、該トンネル本体から定められた方向に延出する延出部とを備えたシールドトンネルを構築するためのシールド掘削機であって、
    該シールド掘削機の外殻をなすスキンプレートは、前記トンネル本体に対応したスキンプレート本体と、前記延出部に対応した張出し部とを備え、
    前記スキンプレート本体の前部には前記トンネル本体に対応した部分の地山を掘削するためのメインカッターが備えられるとともに、前記延出部の前部には前記張出し部に対応した部分の地山を掘削するためのサブカッターが備えられ、
    前記張出し部には、前記延出部内に板状の補強材をセットするための補強材セット機構が備えられていることを特徴とするシールド掘削機
  4. 請求項3記載のシールド掘削機において、前記補強材セット機構には、前記張出し部の変形を防止するための変形防止手段が備えられていることを特徴とするシールド掘削機。
  5. 請求項4記載のシールド掘削機において、前記変形防止手段が、前記張出し部の内周面に取り付けられたジャッキと、該ジャッキの先端部に回転自在に備えられて前記板状の補強材の表面に当接させられるローラとを有した構成とされていることを特徴とするシールド掘削機。
  6. 請求項3ないし5のいずれかに記載のシールド掘削機において、前記張出し部の後端部には、前記板状の補強材と前記張出し部との隙間を塞ぐテールシールが備えられていることを特徴とするシールド掘削機。
JP07087198A 1998-03-19 1998-03-19 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機 Expired - Lifetime JP3811836B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07087198A JP3811836B2 (ja) 1998-03-19 1998-03-19 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP07087198A JP3811836B2 (ja) 1998-03-19 1998-03-19 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11270299A JPH11270299A (ja) 1999-10-05
JP3811836B2 true JP3811836B2 (ja) 2006-08-23

Family

ID=13444061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP07087198A Expired - Lifetime JP3811836B2 (ja) 1998-03-19 1998-03-19 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3811836B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4730595B2 (ja) * 2005-11-04 2011-07-20 清水建設株式会社 地中空洞の施工方法
JP5147985B2 (ja) * 2011-12-22 2013-02-20 鹿島建設株式会社 地中構造部材と土留め止水壁との当接部構造
JP6190625B2 (ja) * 2013-05-29 2017-08-30 大成建設株式会社 シールドトンネルの接合構造と接合方法
JP6268523B2 (ja) * 2014-02-10 2018-01-31 株式会社大林組 大断面トンネルの構築方法
CN109441460A (zh) * 2018-11-22 2019-03-08 中铁第四勘察设计院集团有限公司 一种新型盾构机及其隧道施工方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11270299A (ja) 1999-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2003314197A (ja) 管渠の補修方法、及び管渠内補修部構造
JP6987559B2 (ja) 連続地中壁の施工方法及び鋼管杭
JP3811836B2 (ja) 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機
JP4816327B2 (ja) シールドトンネルの拡幅部形成工法
JP2014037714A (ja) 長尺鏡ボルト工法
JP3890528B2 (ja) トンネル施工法
JP2821556B2 (ja) シールド掘削用地中連続壁
JP4480619B2 (ja) シールド掘削機によるトンネル曲線部の施工方法
KR101267688B1 (ko) 프리캐스트 마감패널을 이용한 호안구조물의 시공 방법
JP3516192B2 (ja) 大断面トンネルの構築方法及びシールド機
JP3122336U (ja) 基礎杭
JPH0784840B2 (ja) スチ−ルセグメントおよびスチ−ルセグメントを使用したトンネルの施工方法
JPH11131973A (ja) 大断面トンネルおよびその構築方法ならびにそれに用いるシールド掘削機
JP2796193B2 (ja) 場所打ちライニングにおける覆工方法
FI111404B (fi) Ponttiseinä ja sen tiivistys
JP3299903B2 (ja) トンネル覆工構造およびトンネル構築方法
JP3608135B2 (ja) 大断面トンネルの構築方法
JP3783120B2 (ja) シールド掘削機の発進方法
JP4812134B2 (ja) 拡幅トンネルの構築方法
JP3795988B2 (ja) パイプルーフの構築方法
JP2795965B2 (ja) 立坑掘進方法
JPH02132295A (ja) トンネル覆工の構築方法
JP4374538B2 (ja) トンネルくびれ部の覆工構造及びその構築方法
JP2002106282A (ja) 拡幅トンネルの構築方法
JPH10325299A (ja) シールド掘削機およびそれを用いたトンネル覆工方法

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060104

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20060425

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20060517

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120609

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120609

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130609

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130609

Year of fee payment: 7

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140609

Year of fee payment: 8

EXPY Cancellation because of completion of term