JP3811749B2 - 非水分散型防汚塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた防汚性及び物理的特性を有する塗膜を形成する非水分散型防汚塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
非水分散(NAD)型防汚塗料は、幾つかの特許公報により知られている。例えば、カルボキシル基を有する一塩基酸化合物と金属含有防汚剤とを含むNAD型防汚塗料は開示されており、前記一塩基酸化合物の一例として、アビエチン酸が例示されている(特許文献1参照)。しかしながら、この特許文献には、アビエチン酸使用の実施例もなく、アビエチン酸が優れていることの記載もなされていない。
カルボキシル基を有する一塩基酸の金属石鹸と金属含有防汚剤とを含むNAD型防汚塗料も開示されており、銅や、亜鉛、コバルト、マンガン、カルシウム、鉄、アルミニウム、マグネシウム、ニッケルなどの金属石鹸が挙げられ、前記一塩基酸の一例として、アビエチン酸が例示されている(特許文献2参照)。しかしながら、特許文献には、アビエチン酸使用の実施例もなく、アビエチン酸が優れていることの記載もなされていない。
【0003】
また、防汚剤を含むNAD型防汚塗料は開示されており(特許文献3参照)、更に、この特許文献には、NAD型樹脂と相溶性のあるロジン等の樹脂を併用できる旨の記載があり、ロジンを含有する非水分散型防汚塗料について開示している。
NAD型樹脂に基づく塗料組成物においては、塗膜の硬さと暴露後の劣化に関係する塗膜の物理的耐久性を与える組成物を調製することが目的とされている。この課題と、NAD粒子のコア成分及び/又はシェル成分にアクリル酸のシリルエステルの樹脂から構成しているNAD型塗料組成物とが開示されている(特許文献4参照)。このシリルエステルは、樹脂中に5〜80質量%含まれる。任意の成分としては、例えば、顔料や、繊維成分、可塑剤、可溶性アクリル樹脂やポリビニルエーテルのような変性樹脂、ロジンやその誘導体やその金属塩、水和剤などである。しかしながら、この特許文献には、ロジンを使用した実施例はない。
【0004】
NAD粒子のコア成分及び/又はシェル成分にアクリル酸のシリルエステルの樹脂を持つ塗料組成物、NAD型塗料組成物が開示されている(特許文献5参照)。この特許文献では、任意の成分として、例えば、顔料や、ロジン、その誘導体又はその金属塩、アクリル樹脂やポリビニルエーテルのような変性樹脂、可塑剤、繊維成分などが挙げらている。しかしながら、この特許文献では、ロジンを使用した実施例はない。
また、塗料技術分野において、組成物中のロジンの存在は幾つかの有用な特性を与えるが、一方、物理的特性に問題あるとされている(特許文献6参照)。
一方、アクリル酸のシリルエステルを含む樹脂の使用は、物理的特性と関係する多くの問題を解決できるが、更にアクリル酸のシリルエステルを含む樹脂の示す優れた特性をあてにしない別の塗料組成物が必要である。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−43629号公報
【特許文献2】
特開2000−63709号公報
【特許文献3】
特開平4−261473号公報
【特許文献4】
特開2001−279190号公報
【特許文献5】
特開2002−194268号公報
【特許文献6】
EP0802243A2公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来技術の課題を背景になされたものであり、従来のロジンを含む塗料の持つ物理的特性の問題を解決し、防汚性に優れた塗膜を形成する非水分散型防汚塗料組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、エチレン性不飽和モノマーの重合体からなる親水性コア成分(a)と、エチレン性不飽和モノマーの重合体からなるシェル成分(b)とからなり、酸価が15〜400mgKOH/gである非水分散型樹脂(A)と、
ロジン(B)と、
を、前記非水分散型樹脂(A)対前記ロジン(B)の質量比、100:15〜15:100で含有する非水分散型防汚塗料組成物であって、
前記親水性コア成分(a)が、酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーを5〜75質量%含み、かつ前記酸価の少なくとも80%を含有し、
前記親水性コア成分(a)及び前記シェル成分(b)が、シリルエステル基を含有するエチレン性不飽和モノマーを、前記親水性コア成分(a)及び前記シェル成分(b)を構成する全エチレン性不飽和モノマーの3質量%以下で含有し、前記ロジン(B)が、非芳香族系の共役二重結合を有するロジンを90質量%以下で含有し、かつ前記ロジン(B)の少なくとも25質量%が、ロジン金属塩であり、そして、前記ロジン金属塩が、前記非水分散型防汚塗料組成物中に、1〜40質量%で含有されることを特徴とする非水分散型防汚塗料組成物に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、前述の非水分散型樹脂(A)とロジン(B)を含有するものである。
「非水分散型樹脂」なる用語は、低極性溶媒である非水液体媒体中に、高分子量成分(シェル成分)を使用し、高極性で高分子量の樹脂微粒子成分(コア成分)を安定に分散させることにより得られるシェル−コア構造の樹脂を意味する。非水分散型樹脂(A)は、炭化水素系溶媒に溶解し、重合させることにより炭化水素系溶媒に不溶となる樹脂(コア成分)を形成する重合性エチレン性不飽和モノマーを、炭化水素系溶媒により溶解もしくは膨潤した樹脂であるシェル成分(分散安定剤)の存在下で、常法に従って、炭化水素系溶媒中で分散重合させることにより製造することができる。
【0009】
本発明で使用する非水分散型樹脂は、既知の樹脂と同様に合成できる。そのような非水分散型樹脂の合成方法は、例えば、米国特許第3607821号明細書や、米国特許第4147688号、米国特許第4493914号、米国特許第4960828号明細書、特公昭48−29551号、特開昭57−177068号等の公報に記載されている。
特に、非水分散型樹脂を構成するシェル成分として、米国特許第4960828号明細書に記載されている低極性溶媒に溶解する種々の高分子成分が、使用できる。
シェル成分(b)としては、塗料の防汚性の観点から、アクリル樹脂あるいは、ビニル樹脂が好ましく利用できる。
コア成分(a)としては、高い極性を有するエチレン性不飽和モノマーの共重合体が適当である。
【0010】
非水分散型樹脂は、公知の方法で製造できる。例えば、ブロック共重合や、グラフト共重合で予めコア成分とシェル成分を形成し、そして、それらを低極性溶媒中で混合し、必要なら反応させ、非水分散体を形成させる方法(特公昭48−29551号参照)や、エチレン性不飽和モノマーを溶解するが、それから形成される樹脂(コア成分)は溶解しない溶媒中で、該溶媒に溶解若しくは安定に分散した分散安定剤の存在下で、高極性基を有するエチレン性不飽和モノマー混合物を共重合させ、必要なら、得られた共重合体を前記分散安定剤と反応し、非水分散体を形成させる方法(特公昭57−48566号、特開昭57−177068号、特開2001−270972号、特開2001−40010号、特開2002−37971号公報参照)等により製造できる。
【0011】
後者の方法においては、低極性溶媒に溶解する成分と、分散した樹脂との混和性を有する成分を含む分散安定剤、又は低極性溶媒に溶解する特殊組成からなる分散安定剤は、シェル成分として存在し、コア成分として分散した成分は、モノマーの共重合により形成されている。
本発明で使用するシェル−コア構造の非水分散型樹脂において、親水性コア成分(a)は、少なくとも遊離酸基又は該酸基と、海水中で加水分解によって酸基に変換するシリルエステル基(以下、両者を「酸基」と言う)とを持つことが好ましい。
【0012】
親水性コア成分(a)を構成するエチレン性不飽和モノマーの重合体は、酸基を有するエチレン性不飽和モノマーを5〜75質量%、好ましくは、5〜60質量%、更に好ましくは、7〜50質量%含有するのが適当である。
シリルエステル基を含有するエチレン性不飽和モノマーの例としては、アクリル酸や、メタクリル酸のシリルエステル等が好適に挙げられる。
必要なら、より少ない比率の酸基をシェル成分に含有させてもよい。しかしながら、親水性コア成分(a)とシェル成分(b)とを構成する全エチレン性不飽和モノマー中、シリルエステル基を含有するエチレン性不飽和モノマーの量は3質量%以下、好ましくは、0〜2質量%である。
【0013】
「酸基」という表現は、酸を形成又は遊離する酸基を含むことを意図している。
そのような酸基は、もしその組成物あるいは周囲に適切な対イオンが存在すると瞬時に塩を形成して存在すると考えられる。実際の例では、多くの酸基は海水中に浸漬された場合、ナトリウム塩を形成して存在すると考えられる。
非水分散型樹脂は、樹脂酸価が、15〜400mgKOH/g、好ましくは、18〜300mgKOH/gであることが適当である。なお、親水性コア成分(a)及び/又はシェル成分(b)が、加水分解性の酸基を含む場合の樹脂酸価は、官能基を加水分解により酸基へ変換した後の値である。
非水分散型樹脂の酸価が、前記範囲より小さいと、形成される塗膜の研磨性が悪く、防汚性が発揮されず、一方、前記範囲より大きいと、形成される塗膜の耐水性が悪くなり、海水中での耐久性が低下し易い。
【0014】
なお、「樹脂酸価」は、樹脂(固形分)1gを中和するのに消費されるKOHの量(mg)を意味し、樹脂(固形分)中の酸基(加水分解性の酸基を含む場合、加水分解により形成された酸基も含める)の含有量を示すものである。
非水分散型樹脂を構成する親水性コア成分(a)に含まれる酸基の好ましい含有量は、非水分散型樹脂の全樹脂酸価の少なくとも80%、好ましくは、少なくとも90%、更に、好ましくは、少なくとも95%である(最大、例えば、100%が適当である)。なお、80%未満になると、シェル成分(b)の酸価が、非水分散型樹脂の全樹脂酸価の20%を越え、塗膜の耐水性及び耐久性の観点から、問題が生じ易く、更に、塗料組成物中に遊離金属イオンが存在するとゲル化等が生じ易くなる。
【0015】
シェル成分(b)は、疎水性であることが望ましい。
非水分散型樹脂における親水性コア成分(a)とシェル成分(b)との質量比率は、特に制限されないが、通常、90:10〜10:90、好ましくは、80:20〜25:75、更に好ましくは、60:40〜25:75が適当である。非水分散型樹脂(A)は、固形分換算で、非水分散型防汚塗料組成物中の配合割合として、例えば、2〜30質量%、好ましくは、4〜25質量%、更に好ましくは、5〜20質量%であることが適当である。
【0016】
バインダーである非水分散型樹脂を分散させるための溶媒としては、通常の非水分散型塗料に利用されている各種溶媒が特に制限なく使用可能である。具体的には、例えば、メタノールや、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エタノール/水混合物のようなアルコール/水混合物;ホワイトスピリットや、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ナフサ等の脂肪族、脂環族及び芳香族の炭化水素類;メチルエチルケトンや、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、ダイアセトンアルコール、シクロヘキサン等のケトン類;2−ブトキシエタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチルエーテル、ブチルジグリコール等のエーテルアルコール類;エチルアセテートや、プロピルアセテート、メトキシプロピルアセテート、n−ブチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート等のエステル類;メチレンクロライド、テトラクロロエタン、トリクロロエチレン等の塩素化炭化水素類;及びこれらの混合物等が好適に挙げられる。特に、本発明においては、脂肪族系炭化水素や、脂環族系炭化水素、あるいは、これらを主成分とする溶媒が望ましい。
【0017】
適当な脂肪族又は脂環族炭化水素を含む溶媒としては、例えば、n−ヘキサンや、iso−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、iso−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタンなどがあり、市販品としては、例えば、ミネラルスピリットec、vm&pナフサ、shellzole72(シェル化学社製)、ナフサno.3、ナフサno.5、ナフサno.6、ナフサno.7(エクソン化学社製)、ipソルベント1016、ipソルベント1620、ipソルベント2835(出光石油化学社製)、ペンガゾールan−45、ペンガゾール3040(モービル石油社製)などがある。
更に、芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼンや、トルエン、キシレン、デカリンなどがあり、市販品として、例えば、SOLVESSO 100や、SOLVESSO 150(エクソン化学社製)、SWAZOLE(丸善石油社製)などがある。
【0018】
これらの炭化水素系の溶媒は、単独で、あるいはこれらの混合物として使用することができる。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物の構成成分であるロジン(B)は、非芳香族系の共役二重結合を持つロジンが90質量%以下、好ましくは、50質量%以下、更に好ましくは、40質量%以下(下限は、例えば、0質量%程度が好適である)のものである。
「非芳香族系の共役二重結合」を有するロジンの含有量は、塗料組成物の物理的及び機械的特性にある影響を与えるであろうことがわかった。それは、ロジン成分の90質量%以下が、非芳香族系の共役二重結合の場合にそうであると考えられる。即ち、特別な場合を除き、非芳香族系の共役二重結合を持つロジン成分の少ない組成、特に、例えば、50質量%以下、更に好ましくは、40質量%以下で、そのようなタイプのロジンでは、よりよい物理的及び機械的特性を与えると考えられる。
非芳香族系の共役二重結合としては、例えば、具体的には、環状脂肪族系等の共役二重結合が例示される。
【0019】
ロジン成分としては、ガムロジンや、グレードB、C、D、E、F、FF、G、H、I、J、K、L、M、N、W−G、W−W(ASTM D509規格)のウッドロジン、バージンロジン、ハードロジン、イエローディップロジン、NFウッドロジン、トール油ロジン、松ヤニなどが好適に挙げられる。また、ロジン成分としては、非芳香族性の共役二重結合の量を減少する、オリゴマー化や、水素化、脱水素化−水素化などの変性ロジンも含まれる。
非水分散型防汚塗料組成物中では、前記ロジン(B)の少なくとも25質量%は、金属塩である。おそらく、少なくとも40質量%、更に好ましくは、少なくとも50質量%、特に好ましくは、少なくとも75質量%が金属塩の形で存在していることが望ましい(上限は、例えば、100質量%程度であろう)。
また、前記ロジンの金属塩は、非水分散型防汚塗料組成物中に、例えば、1〜40質量%、好ましくは、2〜13質量%、更に好ましくは、2.5〜10質量%からなる。
【0020】
遊離の酸基(例えば、カルボキシル基)を持つロジンは、例えば、金属酸化物と塩を形成できることが知られている。このようなロジンの金属塩は、市販されている。また、ロジンの金属塩は、非水分散型防汚塗料組成物中のロジンと金属成分間の反応の結果としても得られる。しかしながら、この場合、例えば、金属酸化物とロジンとの反応が、望ましい程度まで進行することが重要である。
【0021】
非芳香族系の共役二重結合(例えば、アビエチン酸とアビエチン酸タイプの化合物に含まれる環状脂肪族の共役二重結合)の量の測定は、紫外分光法(UV)や、赤外分光法(IR)(好ましくは、フーリエ変換IR)等を利用することにより可能である。[例えば、Naval Stores(Stump、J.H.ed)、Chapter25:Quality Control(トール油、ロジン及び脂肪酸)、page 860,及びASTM Designation
D 1358−86.参照]
ロジンの金属塩に使われる金属は、亜鉛や、銅、カルシウム、マグネシウム、鉄、アルミニウム等が挙げられ、特に、亜鉛が適当である。
非水分散型樹脂(A)とロジン(B)との質量比は、100:15〜15:100、好ましくは、100:25〜25:100である。
【0022】
本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、好ましくは、防汚剤を配合するのが適当である。防汚剤としては、例えば、ビス(ジメチルジチオカーバメート)亜鉛、エチレン−ビス(ジチオカーバメート)亜鉛、エチレン−ビス(ジチオカーバメート)マンガン、及びこれらの錯体などの金属−ジチオカーバメート;ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオネート−O,S)銅、銅アクリレート;ビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオネート−O,S)亜鉛;フェニル(ビスピリジル)ビスマスジクロライド;銅、銅−ニッケル合金のような銅金属合金などの金属防汚剤;亜酸化銅(Cu2O)や酸化銅(CuO)のような金属酸化物(なお、亜酸化銅や酸化銅が顔料特性を持っているとしても、防汚剤として扱う。);チオシアン酸銅、塩基性炭酸銅、水酸化銅、メタホウ酸バリウム、硫化銅などの金属塩;3a,4,7,7a−テトラヒドロ−2−(トリクロロメチルチオ)−1H−イソインドール−1,3(2H)ジオン、ピリジン−トリフェニルボラン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォニル)ピリジン、2−メチルチオ−4−tert−ブチルアミノ−6−シクロプロピル−アミン−s−トリアジン、キノリン誘導体などのヘテロ環窒素化合物;
【0023】
2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−オクチル−3(2H)イソチアゾリン、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−(チオシアナトメチルチオ)ベンゾチアゾールなどのヘテロ環硫黄化合物;N−(1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−2,5−ジオキソ−4−イミダゾリジニル)−N,N’−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、N−(3,4−ジクロロフェニル)−N,N−ジメチル尿素、N,N−ジメチルクロロフェニル尿素などの尿素誘導体;カルボン酸のアミド又はイミド;2,4,6−トリクロロフェニルマレイミド、1,1−ジクロロ−N−((ジメチルアミノ)スルフォニル)−1−フルオロ−N−(4−メチルフェニル)メタンスルフェンアミド、2,2−ジブロモ−3−ニトリロ−プロピオンアミド、N−(フルオロジクロロメチルチオ)フタルイミド、N,N−ジメチル−N’−フェニル−N’−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、N−メチロールフォルムアミド;2−((3−ヨード−2−プロピニル)オキシ)エタノールフェニルカーバメート、N,N−ジデシル−N−メチル−ポリ(オキシエチル)アンモニウムプロピオネートなどのカルボン酸の塩あるいはエステル;デヒドロアビエチルアミン、ココジメチルアミンなどのアミン類;
【0024】
ジ(2−ヒドロキシエトキシ)メタン、5,5’−ジクロロ−2,2’−ジヒドロキシジフェニルメタン、メチレン−ビスチオシアネートなどのメタン置換体;2,4,5,6−テトラクロロ−1,3−ベンゼンジカルボニトリル、1,1−ジクロロ−N−(ジメチルアミノスルフォニル)−1−フルオロ−N−フェニルメタンスルフェンアミド、1−(ジヨードメチルスルフォニル)−4−メチル−ベンゼンなどのベンゼン置換体;トリ−n−ブチルテトラデシルフォスフォニウムクロライドなどのテトラアルキルフォスフォニウムハロゲン;n−ドデシルグアニジンヒドロクロライドなどのグアニジン誘導体;ビス(ジメチルチオカルバモイル)ジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド類;あるいはこれらの混合物等が代表的なものとして挙げられる。なお、防汚剤として、錫を含むものは、好ましくない。
【0025】
これら防汚剤の非水分散型防汚塗料組成物中における配合量は、0〜80質量%、好ましくは、2〜75質量%、更に好ましくは、5〜60質量%が適当である。亜酸化銅(Cu2O)を使用した場合は、少なくとも20質量%、好ましくは、20〜75質量%が適当である。
有機防汚剤の全量は、非水分散型防汚塗料組成物中で、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%の範囲である。
NAD型樹脂の非水分散型樹脂(A)と、亜酸化銅との質量比は、1:1〜1:10が適当である。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物には、更に繊維を配合することができる。このような繊維としては、例えば、WO 00/77102に開示されているものを好適に使用することができる。
【0026】
具体的には、繊維としては、例えば、鉱物ガラス繊維や、ウォラストナイト繊維、モンモリロナイト繊維、トバーモライト繊維、アタプルガイト繊維、仮焼ボーキサイト繊維、火山岩繊維、ボーキサイト繊維、石綿繊維などの鉱物繊維;芳香族系ポリアミド繊維や、芳香族系ポリエステル繊維、芳香族系ポリイミド繊維、セルロース繊維、木綿繊維、木材繊維、ゴム繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアセチレン繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、アクリロニトリル繊維、エラストマー繊維、タンパク質繊維、アルギン酸繊維、ポリエチレンテレフタル酸繊維、ポリビニルアルコール繊維、脂肪族ポリアミド繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリウレタン繊維、ビニル重合体繊維、ビスコース繊維などの有機繊維などが挙げられる。特に、鉱物ガラス繊維や、ウォラストナイト繊維、モンモリロナイト繊維、トバーモライト繊維、アタプルガイト繊維、仮焼ボーキサイト繊維、火山岩繊維、ボーキサイト繊維、石綿繊維や鉱質綿から製造された鉱物繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、木綿繊維、セルロース繊維、ポリアクリロニトリル繊維、プレオキシドアクリロニトリル繊維、ポリエステル繊維などが適当である。
【0027】
繊維の非水分散型防汚塗料組成物中における配合量は、例えば、0〜50質量%、好ましくは、0.5〜10質量%が適当である。
本発明の防汚塗料組成物には、顔料や、フィラー、染料、それ以外の各種添加剤を、必要に応じて、配合することができる。その量は、例えば、非水分散型防汚塗料組成物中、60質量%まで、好ましくは、0.1〜40質量%、更に好ましくは、0.1〜30質量%、配合することが適当である。
顔料としては、例えば、酸化チタンや、赤色酸化鉄、酸化亜鉛、カーボンブラック、グラファイト、黄色酸化鉄、赤色モリブデン酸塩、黄色モリブデン酸塩、硫化亜鉛、酸化アンチモン、ナトリウムアルミニウムスルホシリケート、キナクリドン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、黒色酸化鉄、インダンスレンブルー、コバルトアルミニウム酸化物、カルバゾールジオキサジン、酸化クロム、イソインドリンオレンジ、ビスアセトアセトトリジオール、ベンズイミダゾリン、キノフタロンイエロー、イソインドリンイエロー、テトラクロロイソインドリン等の着色顔料;炭酸カルシウムや、ドロマイト、タルク、マイカ、硫酸バリウム、カオリン、シリカ、パーライト、酸化マグネシウム、カルサイト、クオーツフロアー等の体質顔料(フィラー)が代表的なものとして挙げられる。
また、1,4−ビス(ブチルアミノ)アントラキノンや他のアントラキノン誘導体、トルイジン染料等の染料も配合可能である。
【0028】
その他の添加剤の例としては、以下のものが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、塩素化パラフィン;ジブチルフタレートやベンジルブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレートなどのフタレート類;トリクレシルホスフェートや、ノニルフェノールホスフェート、オクチロキシポリ(エチレンオキシ)エチルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、イソオクチルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェートなどのホスフエートエステル類;N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、アルキル−p−トルエンスルホンアミドなどのスルホアミド類;アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチルなどのアジペート類;ホスホン酸トリエチルエステル;ステアリン酸ブチル;トリオレイン酸ソルビタン;エポキシ化大豆油。
【0029】
界面活性剤としては、例えば、アルキルフェノールーエチレンオキサイド縮合物などのプロピレンオキサイドやエチレンオキサイドの誘導体等;リノール酸のエトキシ化モノエタノールアミドなどの不飽和脂肪酸のエトキシル化モノエタノールアミド;ドデシル硫酸ナトリウムや、アルキルフェノールエトキシレート、大豆レシチン。
M.Ash及びI.Ashによる“Handbook of Paint and Coating Raw Materials,Vol.1”(1996)(Gower Publ.Ltd発行)、pp821−823及び849−851に記載された湿潤剤及び分散剤。
消泡剤としては、例えば、シリコンオイル。
光及び熱に対する安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−(5−クロロ−(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(テトラブチル)フェノール、2,4−ジ−t−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール;湿気に対する安定剤としては、例えば、モレキュラーシーブ又は、水除去剤、例えば、合成ゼオライト、置換イソシアネート、置換シラン、オルトギ酸トリエチルエステル;酸化に対する安定剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、プロピルガレート、トコフェロール、2,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキノン、L−アスコルビルパルミテート、カロチン、ビタミンA。
【0030】
腐食抑制剤としては、例えば、アミノカルボキシレートや、カルシウムシリコホスフェート、アンモニウムベンゾエート、アルキルナフタレンスルホン酸のBa/Ca/Zn/Mg塩、リン酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛。
凝集剤としては、例えば、グリコールや、2−ブトキシエタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート。
増粘剤や沈降防止剤としては、例えば、コロイダルシリカや、水和アルミニウムシリケート(ベントナイト)、アルミニウムトリステアレート、アルミニウムモノステアレート、ひまし油、キサンタンガム、サリチル酸、クレソタイル、熱分解法シリカ、熱分解シリカ、水素化ひまし油、有機変性クレイ、ポリアミドワックス、ポリエチレンワックス。
脱水剤としては、例えば、合成ゼオライトや、セピオライト、無水石膏、オルソプロピオン酸エステル、オルソギ酸エステル、オルソ酢酸エステル、アルコキシシラン、アルキルシリケート、イソシアネート。
【0031】
本発明の非水分散型防汚塗料組成物において、染料及び添加剤は、累積含有量として、塗料中で0.1〜10質量%、好ましくは、1〜10質量%で配合することが好ましい。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、非水分散型樹脂(A)以外の高分子柔軟剤を併用することが可能である。このような高分子柔軟剤としては、以下のものが挙げられる。
油類としては、例えば、亜麻仁油とその誘導体、ひまし油とその誘導体、大豆油とその誘導体。
他の高分子柔軟剤としては、例えば、飽和ポリエステル樹脂や、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチレート、ポリビニルクロライド−アセテート、酢酸ビニルとビニルイソブチルエーテルとの共重合体、塩化ビニルとビニルイソブチルエーテルとの共重合体、アルキド樹脂あるいは変性アルキド樹脂、石油留分凝縮物のような炭化水素樹脂、塩素化ポリオレフィン、例えば、塩素化ゴム、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、スチレン共重合体、例えば、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/(メタ)アクリレート、アクリル樹脂、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレートのホモポリマー又はコポリマー、ヒドロキシ−アクリレート共重合体、ポリアミド樹脂、例えば、二量化トール油脂肪酸のような二量化脂肪酸をベースとするポリアミド、環化ゴム、エポキシエステル、エポキシウレタン、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ヒドロキシ−ポリエーテル樹脂、ポリアミン樹脂など、あるいはそれらの共重合体。
【0032】
他の高分子柔軟剤の一群のものが、ここで参考としてWO 97/44401に一般かつ詳細に記載されている樹脂可撓化剤を含む。
更に、そのような高分子柔軟剤成分の固形分は、非水分散型防汚塗料組成物中0〜10質量%が適当である。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、前述の各成分をボールミルや、パールミル、スリーロールミル、高速ディスパーなどの通常の塗料製造装置で、一括又は分割して混合分散することにより調製される。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、任意に、繊維成分を含み、バグフィルターや、パトロンフィルター、ワイヤギャップフィルター、ウェッジワイヤフィルター、メタルエッジフィルター、EGIMターノクリーン(turnoclean)フィルター(Cuno製)、DELTAストレインフィルター(Cuno製)、ジエナグストレイナーフィルター(Jenag製)を使用して、又は振動フィルターにより濾過することができる。
【0033】
このようにして調製した本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、そのまま、又は希釈溶媒で粘度調整した後、例えば、エアレススプレー塗装や、エアスプレー塗装、ローラー塗装、刷毛塗りなどにより、防食プライマーを塗装した船舶や海洋構造物に塗装することができる。選択される適切な方法は、保護する対象物に依存し、また、特定の組成(例えば、その粘度)並びに特定の状況に依存する。好ましい塗装方法は、スプレーや、刷毛あるいはローラーによるものである。塗装方法に応じて、非水分散型防汚塗料組成物は、SVR(溶剤を含む塗料の全容積に対する固形分の容積)が、例えば、30〜100%、好ましくは、30〜70%となるように溶媒を含有することが望ましい。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、保護される海洋構造物に、例えば、1〜5層、好ましくは、1〜3層塗り重ね、塗装するのが適当である。1層当たりの乾燥膜厚は、例えば、10〜300μm、好ましくは、20〜250μmが適当である。
また、総乾燥膜厚は、例えば、10〜900μm、好ましくは、20〜750μm、更に好ましくは、80〜400μmが適当である。
【0034】
本発明の非水分散型防汚塗料組成物の塗装により保護される海洋構造物は、海水に接触する種々の物体に適用され、例えば、船(ボートや、ヨット、モーターランチ、遠洋定期船、タグボート、タンカー、コンテナ船、貨物船、潜水艦等)、パイプ、海岸や沖合の構造物、埠頭や杭、橋梁物、浮揚体、深海油田構造物など全てのタイプの構造物や物体、網や他の養殖設備、冷却プラント、ブイ等へ適用できる。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物を海洋構造物へ塗装する前に、好ましくは、海洋構造物に、まず、プライマーシステムで塗装する。プライマーシステムは、付着促進プライマーの層に続いて、防食プライマーを塗装するものも含まれる。プライマーシステムは、非自己研磨性塗料のような、18520km(10000海里)当たり、1μm以下の研磨速度を有するものが好適である。
【0035】
前述のプライマーシステムは、例えば、160〜600のエポキシ当量のエポキシ樹脂と硬化剤(例えば、アミノ系や、カルボン酸系、酸無水物系)との組み合わせや、ポリオール樹脂とポリイソシアネート系硬化剤との組み合わせ、あるいは、ビニルエステル樹脂や、不飽和ポリエステル樹脂などをバインダーとして含有し、更に必要に応じて、熱可塑性樹脂(塩素化ゴムや、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂など)、硬化促進剤、防錆顔料、着色顔料、体質顔料、溶剤、トリアルコキシシラン化合物、可塑剤、添加剤(タレ防止剤や、沈降防止剤など)等を配合した塗料や、タールエポキシ樹脂系塗料等が代表的なものとして挙げられる。
以上述べた通り、本発明の非水分散型防汚塗料組成物は、自己研磨性のものが好適である。本発明の非水分散型防汚塗料組成物(実際の塗膜)では、18520km(10000海里)当たり、少なくとも1μmの研磨速度である。好ましくは、18520km(10000海里)当たり、1〜50μm、特に好ましくは、1〜30μmの研磨速度のものが適当である。
【0036】
本発明の非水分散型防汚塗料組成物を具体的に示す。
非水分散型樹脂(A)の固形分含有量が、2〜30質量%、ロジン(B)の含有量が、1〜15質量%、防汚剤の含有量が、2〜75質量%、繊維の含有量が、0〜50質量%、顔料、フィラー、染料、及び添加剤の含有量が、0.1〜40質量%、高分子柔軟剤の固形分の含有量が、0〜10質量%、溶剤の含有量が、10〜60質量%である非水分散型防汚塗料組成物。
【0037】
本発明の非水分散型防汚塗料組成物の好ましい具体例を示す。
非水分散型樹脂(A)の固形分含有量が、4〜25質量%、ロジン(B)の含有量が、2〜13質量%、防汚剤の含有量が、5〜75質量%、繊維の含有量が、0〜25質量%、顔料、フィラー、染料、及び添加剤の含有量が、0.1〜30質量%、高分子柔軟剤の固形分の含有量が、0〜10質量%、溶剤の含有量が、10〜40質量%である非水分散型防汚塗料組成物。
本発明の非水分散型防汚塗料組成物の更に好ましい具体例を示す。
非水分散型樹脂(A)の固形分含有量は、5〜20質量%、ロジン(B)の含有量は、2.5〜10質量%、防汚剤の含有量は、5〜60質量%、繊維の含有量は、0〜10質量%、顔料、フィラー、染料、及び添加剤の含有量は、0.1〜30質量%、高分子柔軟剤の固形分の含有量は、0〜10質量%、溶剤の含有量は、10〜40質量%である非水分散型防汚塗料組成物。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、更に詳細に説明する。
なお、実施例中、「部」、「%」は、特に断らない限り質量基準で示す。
各試験は、以下の方法により実施した。
【0039】
<研磨速度試験>
直径1mの円筒状ドラムの曲率に合あわせた曲率を有するステンレススチール製試験板(13.5×7cm2)に、第1層目としてエポキシプライマー(Hempadur Primer 15550:Hempel‘s Marine Paints A/S製商品名)を乾燥膜厚40μmとなるように塗装する。24時間乾燥後、その上に、市販品のビニルタールプライマー(HempanylTar 16280:Hempel‘s Marine Paints A/S製商品名)をエアスプレーにて乾燥膜厚80μmになるように塗装する。実験室内、室温で24時間以上乾燥後、供試塗料をエアスプレーにて1コート当たり、乾燥膜厚約100μmとなるように2回塗装(合計乾燥膜厚200μm)する。供試塗料の2回目の再塗装期間は、24時間とする。得られた試験板は、実験室内、室温で1週間以上乾燥して試験に供する。塗料システムの初期膜厚はISOSCOPE MP−30で測定した。
【0040】
試験板は直径1mの筒状ドラムの凸面上に固定し、平均温度17〜18℃、塩分濃度3.7〜3.8%の海水中で、北緯41.2度に位置するスペイン北東部Villanova y La Geltru港の試験場(Morale,E.& Arias,E.,Rev.Iber.Corros.y Prot.,vol XIX(2),1988,pp.91−96を参照のこと)において、ローター試験を行った。ローターは周速22ノットで回転させ、740,00km(40,000海里)相当距離分試験を行った。
ISOSCOPE MP−30で経時的に膜厚を測定する。初期の測定は55,560km(30,000海里)以前に行い、塗膜の研磨量は、経時測定膜厚と初期膜厚の差として求められる。研磨速度は、18,520km(10,000海里)当たりの研磨量μmで表すものとする。
【0041】
<ブリスターボックス試験>
試験片の調製
アクリル試験板(155×100×5mm)に、第1層目として、乾燥膜厚80μmとなるように市販品のビニルタールプライマー(Hempanyl Tar 16280)をエアスプレーで塗装する。実験室内、室温で12〜36時間乾燥後、塗料組成物(モデル塗料又は市販塗料)を500μmに塗装し、実験室内、室温で4〜5日間乾燥して、試験に供する。
【0042】
試験方法
試験板を、クリーブランド結露試験機(Q−Panel社製QCT)に取り付ける。QCT試験機は、ASTM標準試験法のD1735−92(霧状の水を発生させる装置を用いて、塗膜の耐水性を試験する方法)で次のように説明されている。
塗装試験片を密閉されたチャンバー内に置き、水噴霧10時間/乾燥2時間のサイクル試験を行う。チャンバー内の温度は60℃に維持される。水噴霧サイクルの間、水は、塗膜中に浸透し、乾燥サイクルでは、水は、塗膜から抜ける。
塗膜の異状の有無を、下記の要領で毎週観察する。
塗膜のわれ、はがれ(フレーキング)の程度を、ISO規格4628、パート4及び5に記述されているガイドラインに従って、毎週評価する。
【0043】
われの程度の評価は、次のランクを基準とする(ISO規格4628、パート4):
【0044】
【0045】
はがれ(フレーキング)の程度の評価は、次のランクを基準とする(ISO規格4628、パート5):
【0046】
【0047】
【0048】
<ローター試験>
試験板及び試験板の動きについては、「研磨速度試験−ISOSCOPE試験」(前記説明を参照)で行う。
2カ月毎に(1年間)試験板を、15分間乾燥させ、われ、及び、はがれの程度について、ブリスターボックス試験と関連させながら前述のISO規格4628、パート4及び5で述べられているガイドラインに従って評価する。
【0049】
<ウォータージェット試験I>
アクリル試験板(15×10×2cm)に、第1層目として市販品のビニルタールプライマー(Hempanyl 16280)を乾燥膜厚40μmとなるようにエアスプレーで塗装する。実験室内、室温で12〜36時間乾燥後、塗料組成物(モデル塗料又は、実用塗料)を、エアスプレーで乾燥膜厚約100μmとなるように1回塗りする。塗装した試験板は、実験室内、室温で1〜3日間乾燥後、試験に供する。
【0050】
1段階−養生:
塗装した試験板を、チャンバー内に、三つの固定されたノズル(ノズル口径1mm2)を有する回転ドラム(スピード:毎分6回転)に取り付け、0.4MPa(4気圧)の圧力で水道水を回転ドラム面上に継続的にスプレーする。回転ドラム上に取り付けられた塗膜試験片は、10秒毎に0.5秒間、3つのノズルから水の噴霧を受ける。養生期間は3週間である。
2段階−塗り重ね:
1段階で養生した塗膜試験片を、室温で24時間乾燥後、同じ塗料を、エアスプレーにより1回塗りで乾燥膜厚約100μmとなるように塗り重ねる。試験板は、実験室内、室温で1〜3日間乾燥後、更に養生を行なう。
2回の養生サイクルと1回の塗り重ねサイクルを行う。
【0051】
最終段階:
最後の養生段階終了後、塗膜試験片を、45℃で24時間乾燥し、次に示すように評価する。
塗膜試験片を、ブリスターの程度、われの程度、はがれの程度について、ブリスターボックス試験と関連させながら、前述のISO規格4628、パート2、4及び5で述べられているガイドラインに従って評価する。
【0052】
<防汚性試験>
静置浸漬試験
アクリル製試験板(15×20cm2)の片面に塗料の付着性が良くなるようにサンドブラストを施し、市販品のビニルタールプライマー(Hempanyl16280Hempel‘s Marine Paints A/S製商品名)をエアスプレーで、乾燥膜厚80μmになるように塗装する。実験室内、室温で24時間以上乾燥後、4辺に幅80mmの塗膜を塗装できる隙間を有するバータイプのアプリケーターで供試塗料を塗装する。一回塗りで乾燥膜厚90〜100μmとし、72時間乾燥後、試験板を枠に取り付け海水中に浸漬する。
【0053】
ビラノバにおける浸漬試験
スペイン北東部Vilanova i la Geltru において、試験板を、塩分濃度3.7〜3.8%、平均水温17〜18℃の海水中に浸漬する。シンガポールにおける浸漬試験
試験板を、塩分濃度2.9〜3.1%、水温29〜31℃の海水中に浸漬する。
【0054】
鳥羽における浸漬試験
アクリル製試験板(10×45cm2)の片面に塗料の付着性が良くなるようにサンドブラストを施し、市販品のビニルタールプライマー(Hempanyl16280Hempel‘s Marine Paints A/S製商品名)を乾燥膜厚80μmになるように、エアスプレーで塗装する。その後、実験室内、室温で24時間以上乾燥後、乾燥膜厚90〜100μmになるように、エアスプレーで供試塗料を塗装する。72時間乾燥後、試験板を枠に取り付け海水中に浸漬する。
浸漬は日本の太平洋側の鳥羽で試験した。試験板を、海水中に浸漬する。
試験板は、下記の基準に従って、防汚性を評価する。
【0055】
【表1】
【0056】
<ローター試験>
準備と評価期間は、研磨速度試験と同様に行い、前記基準に従って評価する。
【0057】
<UVランプ/結露サイクルによる促進劣化試験>
アルミ板に、1層目としてエポキシプライマー(Hempadur Primer 15550)を乾燥膜厚40μmになるように塗装する。24時間乾燥後、その上に、市販品のビニルタールプライマー(Hempanyl Tar 16280)をエアスプレーで乾燥膜厚80μmになるように塗装する。実験室内、室温で24時間以上乾燥後、供試塗料をエアスプレーで乾燥膜厚100μmとなるように塗装し、実験室内、室温で1週間以上乾燥して、試験に供する。供試塗料を塗装した試験片をASTM規格G53に記述されている次の条件に設定されている装置の中に置く。
【0058】
UV−Bランプ(ピーク放射:313nm)
サイクル:UV照射4時間(60℃)/結露4時間(50℃)
塗膜の評価は、1日後、3日後、1週間後、それ以降毎週行う。評価は、塗膜異状について下記の要領で行う。
塗膜は、前記ブリスターボックス試験で述べた通り、ISO規格4628、パート4及び5に述べられているガイドラインに従って、われ及びはがれの程度を評価する。
【0059】
<硬度試験>
ペンジュラム硬度試験
本試験で使用されるペンジュラムタイプは、Konig型である。詳細は、ISO 1522に記載されている。
塗装前に、予め適切な溶剤で表面の汚れを除去し、約100mmx100mmx5mmの大きさの平滑なガラス基材に対し、ドクターブレードアプリケーターにて塗料を塗装する(乾燥膜厚:100±15μm)。塗装された供試塗料は、室温にて7日間乾燥後、乾燥膜厚を測定する。
乾燥膜厚は、Mitutoyo装置を用いて測定した。硬度の測定値は、振り子の指針が垂直位置を中心として6°から3°に減衰するのに要する振幅(振動)数として表される。
【0060】
ロジン金属塩の相対モル濃度の決定
バインダー相は遠心分離によって分離した。金属塩の相対モル濃度はフーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)の測定によって決定した。
銅−ロジン塩は1607cm-1、亜鉛−ロジン塩は1582cm-1、ロジンのカルボニル基は1694cm-1付近。
非芳香族系の共役二重結合の含有量の決定(アビエチン酸とアビエチン酸化合物)
【0061】
ロジン:
ロジンはメタノール中でフェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(PTMAH)と反応し、酸成分のメチルエステルを得た。アビエチン酸−、ピマル酸−メチルエステルは揮発性であり、炎イオン化検出−ガスクロマトグラフィー(FID−GC)やGC/質量分析計(GC/MS)で分析される。メチルエステルの質量スペクトルや文献(Mayr M.,Lorbeer E.,Katzl K.,Journal of the American Oil Chemists' Society,59(1),1982)との比較は、個々の成分の同定に用いられた。Mayrらはジテルペン酸メチルエステルの最も良い分離は、非極性カラム、即ち、5%−ジフェニルポリジメチルシロキサン結合相ヒューズドシリカキャピラリーを用いたFID−GCとGC/MSの両方から得られる事を示した。FID−GCは定量化のために用いた。
ロジンの金属塩
ロジンの金属塩は塩酸で遊離酸に変えて、その後、上記のように処理した。
【0062】
<非水分散(NAD)型樹脂液の調製方法>
分散安定剤(シェル成分)Aの調製
攪拌棒、温度計及び還流管を取り付けた四つ口フラスコに、ミネラルスピリット22.5部を仕込み、温度を100℃に保ち、そこへ、n−ブチルメタクリレート25部、2−エチルヘキシルアクリレート25部及び重合開始剤「カヤエステル−O」(t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、化薬アクゾ社製商品名)0.15部の混合成分を、攪拌しながら3時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、滴下槽をミネラルスピリット1部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「カヤエステル−O」0.25部、ミネラルスピリット10部の混合物を、1時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、滴下槽をミネラルスピリット1部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット15.1部で希釈し、固形分50%、質量平均分子量99,000の無色透明液体である分散安定剤Aを得た。
【0063】
非水分散型樹脂液(I)の調製
分散安定剤Aを調製したものと同様の装置に、分散安定剤A66.7部を仕込み、温度を105℃に保ち、そこへ、メチルメタクリレート7.95部、エチルアクリレート3.6部、メタクリル酸5.1部及び重合開始剤「ナイパーBMT−K40」(m−トルオイル/ベンゾイルパーオキサイドの40%キシレン溶液、日本油脂社製商品名)0.415部の混合成分を、攪拌しながら3時間かけて滴下し、反応させた。続いて、「ナイパーBMT−K40」0.21部、ミネラルスピリット2部の混合物を、1.5時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、滴下槽をミネラルスピリット0.5部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット13.525部で希釈し、固形分50%、酸価71mgKOH/g(固形分)、質量平均分子量81,000の乳白色液体である非水分散型樹脂液(I)を得た。
【0064】
分散安定剤(皮成分)Bの調製
攪拌装置、温度制御装置、還流冷却装置を備えた100Lのステンレス製反応釜に、ミネラルスピリット22.5部を仕込み、温度を100℃に保ち、そこへ、n−ブチルメタクリレート25部、2−エチルヘキシルアクリレート25部及び「カヤエステル−O」0.15部の混合成分を、攪拌しながら3時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット1部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「カヤエステル−O」0.25部、ミネラルスピリット10部の混合物を、1時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット1部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット15.1部で希釈し、固形分50%、質量平均分子量112,000の無色透明液体である分散安定剤Bを得た。
【0065】
非水分散型樹脂液(II)の調製
分散安定剤Bを調製したものと同様の装置に、分散安定剤B66.7部を仕込み、温度を105℃に保ち、そこへ、メチルメタクリレート8部、エチルアクリレート3.6部、メタクリル酸5.1部及び「ナイパーBMT−K40」0.42部の混合成分を攪拌しながら3時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.25部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「ナイパーBMT−K40」0.21部、ミネラルスピリット2部の混合物を1.5時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.25部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット13.5部で希釈し、固形分50%、酸価67mgKOH/g(固形分)、質量平均分子量100,000の乳白色液体である非水分散型樹脂液(II)を得た。
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
非水分散型樹脂液(III)の調製
分散安定剤Aを調製したものと同様の装置に、分散安定剤B66.7部を仕込み、温度を105℃に保ち、そこへ、メチルメタクリレート9.6部、エチルアクリレート3.5部、メタクリル酸3.9部及び「ナイパーBMT−K40」0.42部の混合成分を攪拌下、3時間かけて滴下し反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.25部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「ナイパーBMT−K40」0.21部、ミネラルスピリット2部の混合物を1.5時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.25部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット14部で希釈し、固形分50%、酸価52mgKOH/g(固形分)、質量平均分子量85,000の乳白色液体である非水分散型樹脂液(III)を得た。
【0069】
非水分散型樹脂液(IV)の調製
分散安定剤Aを調製したものと同様の装置に、分散安定剤B66.7部を仕込み、温度を105℃に保ち、そこへ、メチルメタクリレート5.2部、エチルアクリレート3.9部、メタクリル酸7.75部及び「ナイパーBMT−K40」0.42部の混合成分を攪拌下、3時間かけて滴下し反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.25部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「ナイパーBMT−K40」0.21部、ミネラルスピリット2部の混合物を1.5時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.25部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット14部で希釈し、固形分51%、酸価101mgKOH/g(固形分)、質量平均分子量85,000の乳白色液体である非水分散型樹脂液(IV)を得た。
【0070】
【表4】
【0071】
非水分散型樹脂液(V)の調製
分散安定剤Aを調製したものと同様の装置に、分散安定剤B66.7部とミネラルスピリット1部を仕込み、温度を105℃に保ち、そこへ、メチルメタクリレート12.1部、エチルアクリレート3.1部、メタクリル酸1.25部及び「ナイパーBMT−K40」0.42部の混合成分を攪拌下、3時間かけて滴下し反応させた。滴下後、ミネラルスピリット1部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「ナイパーBMT−K40」0.21部、ミネラルスピリット2部の混合物を1.5時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.5部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット12部で希釈し、固形分50%、酸価18mgKOH/g(固形分)、質量平均分子量78,000の乳白色液体である非水分散型樹脂液(V)を得た。
【0072】
非水分散型樹脂液(VI)の調製
分散安定剤Aを調製したものと同様の装置に、分散安定剤B50部とミネラルスピリット8部を仕込み、温度を105℃に保ち、そこへ、メチルメタクリレート18.4部、エチルアクリレート4.6部、メタクリル酸1.9部及び「ナイパーBMT−K40」0.42部の混合成分を攪拌下、3時間かけて滴下し反応させた。滴下後、ミネラルスピリット1部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。続いて、「ナイパーBMT−K40」0.21部、ミネラルスピリット2部の混合物を1.5時間かけて滴下し、反応させた。滴下後、ミネラルスピリット0.5部で洗浄し、同洗浄液を系内に加えた。更に、2時間反応させた後、ミネラルスピリット13部で希釈し、固形分50%、酸価27mgKOH/g(固形分)、質量平均分子量74,000の乳白色液体である非水分散型樹脂液(VI)を得た。
【0073】
【表5】
【0074】
塗料の実施例
以下の表6に示す組成の塗料(実施例1及び2及び比較例1)を調製した。
【0075】
【表6】
【0076】
注1)非芳香族系の共役二重結合を持つ水素添加ロジンの含有量0〜5質量%
【0077】
実施例1
予備反応:亜鉛華とロジンの反応の完了のため、水素添加ロジン、亜鉛華、メチルイソブチルケトン及びキシレンを、ボールミル中で12時間混合した。
なお、ロジンの少なくとも95%は、金属塩であった。次いで、混合液に残りの成分を加え、更に、12時間混合した。分散が終了した後、得られた塗料は、生産設備の温度に近づけるため、45℃雰囲気に24時間保管した。
【0078】
実施例2
予備反応:亜鉛華とロジンの反応の完了のため、水素添加ロジン、亜鉛華、メチルイソブチルケトン及びキシレンを、真球状のガラス媒体と共にガラス容器に加え、ガラス容器ごとレッドデビル分散機で50分間分散した。なお、ロジンの少なくとも95%は、金属塩であった。残りの成分を加え、更に、分散を50分間×4回行った。分散が終了した後、得られた塗料は、生産設備の温度に近づけるため、45℃雰囲気に24時間保管した。
以下の表7に示す組成の塗料(実施例3〜7及び比較例2〜10)を調製した。
全ての成分を2L缶中でガラスパールと混合し(割合:ガラス媒体1/3、塗料成分1/3、空気1/3)、レッドデビル分散機に置き換え、最大粒径60μmになるまで練合した。練合した後、塗料をロ過によってガラスパールと分離し、生産設備の温度を想定し、24時間、45℃のオーブン中に保管した。
【0079】
比較例1
全ての成分を、ボールミル中で12時間混合、分散した。分散が終了した後、得られた塗料は、生産設備の温度に近づけるため、45℃雰囲気に24時間保管した。
【0080】
【表7】
【0081】
注2)
a)比較例6は、非水分散型樹脂液IIを、固形分同等の、特開2000−63709号公報の実施例1の非水分散型樹脂液で置き換えた。
b)比較例7は、非水分散型樹脂液IIを、固形分同等の、特開2000−63709号公報の実施例2の非水分散型樹脂液で置き換えた。
c)比較例8は、非水分散型樹脂液IIを、固形分同等の、特開2000−63709号公報の実施例5の非水分散型樹脂液で置き換えた。
d)比較例9は、非水分散型樹脂液IIを、固形分同等の、米国特許第5374665号明細書の実施例3の非水分散型樹脂液で置き換えた。
e)比較例10は、非水分散型樹脂液IIを、固形分同等の、米国特許第5374665号明細書の実施例4の非水分散型樹脂液で置き換えた。
注3)非芳香族系の共役二重結合を持つロジンの含有量4%(FTIR法で測定。以下同様。);95%以上が亜鉛塩
【0082】
注4)非芳香族系の共役二重結合を持つロジンの含有量78%;95%以上が亜鉛塩
注5)非芳香族系の共役二重結合を持つロジンの含有量74%;アビエチン酸75%ロジンで、95%以上が亜鉛塩(Fluka、ドイツ)
注6)ガムロジン、WWグレード、蒼梧製ロジン(中国);非芳香族系の共役二重結合を持つロジンの含有量77%
注7)Cu−OLEATE 5%BA(大日本インキ化学工業株式会社)
注8)Cu−NAPHTENATE 8%L(大日本インキ化学工業株式会社)
注9)Zn−OCTOATE 8%(大日本インキ化学工業株式会社)
注10)HDK N20(WACKER CHEMIE、ドイツ)
注11)MICRONOX H(PROMINDSA、スペイン)
注12)TITANIUM DIOXIDE PRETIOX RG−15(PRECHEZA A.S.、 チェコ共和国)
注13)NA−CUPROUS OXIDE RED(SPIESS-URANIA CHEMICALS GMBH、ドイツ)
【0083】
注14)ZINC OMADINE(ARCH CHEMICALS INC.、アイルランド)
注15)COPPER OMADINE(ARCH CHEMICALS INC.、アイルランド)
注16)ZINC OXIDE EXTRA PURO1゜WHITE SEAL(FABRICA ESPANOLA DE BLANCO DE ZINC)
注17)OMYACARB 5(OMYA INC.、アメリカ)
注18)LUZENAC 20MO(TALC DE LUZENAC、フランス)
注19)非水分散型樹脂(A)/ロジン(B)の質量比
【0084】
実施例8〜10
予備反応:亜鉛華とロジンの反応の完了のため、水素添加ロジン、亜鉛華、メチルイソブチルケトン及びキシレンを、全容量1/3の真球状ガラス媒体と共に2L缶中で混合し、レッドデビル分散機で1時間分散した。残りの成分(最終割合:ガラス媒体1/3、塗料成分1/3、空気1/3)を加え、更に、最大60μmの細かさに達するまでレッドデビル分散機で練合した。練合した後、塗料をロ過によってガラス媒体と分離し、製造設備の貯蔵中に達する温度を想定し、24時間、45℃のオーブン中に保管した。
【0085】
【表8】
【0086】
a)XYLENE(PROQUIBASA、スペイン)
b)FORAL AX−E(HERCULES、オランダ);非芳香族系の共役二重結合を持つ水素添加ロジンの含有量0〜5質量%
c)ZINC OXIDE EXTRA PURO1゜WHITE SEAL(FABRICA ESPANOLA DE BLANCO DE ZINC)
d)METIL ISOBUTIL CETONA(QUIMIDROGA、スペイン)
e)TI−PURE R 902(DU PONT、メキシコ)
f)NORDOX CUPROUS OXIDE PAINT MICRO−MILLED(NORDOX INDUSTRIER ES、ノルウェー)
g)COPPER OMADINE(ARCH CHEMICALS INC.、アイルランド)
f)非水分散型樹脂(A)/ロジン(B)の質量比
【0087】
実施例11及び12
予備反応:亜鉛華とロジンの反応が完了するため、ロジン、亜鉛華、及びキシレンを、真球状ガラス媒体と共に2L缶中で高速ディスパーで2時間混合した。
ロジンの少なくとも95%がロジン金属塩になっていた。残りの成分を加え、真球状ガラス媒体と共に2L缶中で高速ディスパーで2時間混合した。
【0088】
【表9】
【0089】
注a)非芳香族系の共役二重結合を持つロジンの含有量:77%
注b)非水分散型樹脂(A)/ロジン(B)の質量比
【0090】
<試験結果>
ウォータージェット試験
【0091】
【表10】
【0092】
耐湿サイクル試験
【0093】
【表11】
【0094】
ロジン金属塩の構成
【0095】
【表12】
【0096】
UVランプ/結露サイクルによる促進劣化試験
【0097】
【表13】
【0098】
ペンジュラム硬度試験(乾燥膜厚:100±15μm)
【0099】
【表14】
【0100】
【0101】
<防汚性及び研磨性データ>
ビラノバにおける浸漬試験
【0102】
【表15】
【0103】
シンガポールにおける浸漬試験
【0104】
【表16】
【0105】
鳥羽における浸漬試験
【0106】
【表17】
【0107】
上記例は、本発明の組成物が良い防汚特性を与えることを示している。
これらの結果は、比較例より得られるものより優れる。
【0108】
研磨速度試験
【0109】
【表18】
【0110】
この結果は、本発明の組成物が研磨性に優れることを明確に示している。 一方、比較例の組成物は研磨性が不十分である。
【0111】
【発明の効果】
本発明の非水分散型防汚塗料は、優れた防汚性及び物理的特性を有する塗膜を形成することが可能である。
Claims (8)
- エチレン性不飽和モノマーの重合体からなる親水性コア成分(a)と、エチレン性不飽和モノマーの重合体からなるシェル成分(b)とからなり、酸価が15〜400mgKOH/gである非水分散型樹脂(A)と、
ロジン(B)と、
を、前記非水分散型樹脂(A)対前記ロジン(B)の質量比、100:15〜15:100で含有する非水分散型防汚塗料組成物であって、
前記親水性コア成分(a)が、酸基を含有するエチレン性不飽和モノマーを5〜75質量%含み、かつ前記酸価の少なくとも80%を含有し、
前記親水性コア成分(a)及び前記シェル成分(b)が、シリルエステル基を含有するエチレン性不飽和モノマーを、前記親水性コア成分(a)及び前記シェル成分(b)を構成する全エチレン性不飽和モノマーの3質量%以下で含有し、前記ロジン(B)が、非芳香族系の共役二重結合を有するロジンを90質量%以下で含有し、かつ前記ロジン(B)の少なくとも25質量%が、ロジン金属塩であり、そして、前記ロジン金属塩が、前記非水分散型防汚塗料組成物中に、1〜40質量%で含有されることを特徴とする非水分散型防汚塗料組成物。 - 前記ロジン(B)が、90質量%以上のロジン金属塩を含有する、請求項1に記載の防汚塗料組成物。
- 前記ロジン金属塩の含有量が、2.5〜10質量%である、請求項1又は2に記載の防汚塗料組成物。
- 前記ロジン金属塩の金属が、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウム、鉄、及びアルミニウムの中から選ばれた少なくとも一種である、請求項1〜3のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
- 前記ロジン金属塩の金属が、亜鉛である、請求項4に記載の防汚塗料組成物。
- 前記非水分散型樹脂(A)を固形分換算で、2〜30質量%含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
- 上記シェル成分(b)が、疎水性である、請求項1〜6のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
- 前記非水分散型樹脂(A)の固形分含有量が、2〜30質量%、ロジン(B)の含有量が、1〜15質量%、防汚剤の含有量が、2〜75質量%、繊維成分の含有量が、0〜50質量%、顔料、フィラー、染料、及び添加剤の含有量が、0.1〜40質量%、高分子柔軟剤の含有量が、0〜10質量%、溶剤の含有量が、10〜60質量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の防汚塗料組成物。
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