JP3811379B2 - 車両用ワイパピボット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ワイパピボットにおいて、特に、車体の傾斜した傾斜面に配置されるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
ワンボックスやハッチバック等の車両用のワイパには、ワイパアームを固定するためのピボット軸をリアガラスの貫通孔から外部に突出させ、その状態で車両への組み付けを行うものがある。この種の車両用ワイパが、例えば、実開昭57−84156号公報、実開平4−51854号公報等に開示されている。これら公報の装置では、ピボット軸の突出部を覆う略傘形状の防水キャップが用いられている。
【0003】
具体的には、実開昭57−84156号公報において、防水キャップがピボット軸に固定されており、ピボット軸の表面を伝って防水キャップ内部に水が浸入することが防止されている。また、防水キャップがピボット軸と一体回転することから、防水キャップの周縁とガラス面との間は非接触の防水構造とする必要がある。そのため、防水キャップの周縁部に形成した2つの環状鍔の間に車体固定側の部材に形成した環状鍔を配置することにより、ピボット軸を軸心として全周に亘って迷路構造が形成されている。つまり、防水キャップとガラス面との間を非接触の迷路構造とし、外部からの水の浸入を防ぐようにしている。しかし、同公報の装置が傾斜したリアガラスに取り付けられる場合には、防水キャップとガラス面との間においてキャップ全周に亘って隙間があるため、洗車時のように大量の水がかかると、その水が迷路構造を乗り越えてキャップ内部に侵入することが考えられる。また、防水キャップがピボット軸とともに回転するため、防水キャップが周囲の部材に干渉してピボット軸の回転が妨げられるといった問題も懸念される。
【0004】
これに対し、実開平4−51854号公報では、防水キャップが車両固定側の部材(例えば、ピボット軸を回転自在に支持するピボットホルダ)に取り付けられているため、防水キャップが周囲の部材に干渉するといった問題が解消されている。また、防水キャップの頂部には貫通孔が形成され、同貫通孔にピボット軸が遊貫状に貫通している。さらに、防水キャップの周縁におけるリップ状の当接部が、ガラス面に押圧当接することでその全周に亘って密着している。これにより、防水キャップとガラス面との間の防水が確保されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、実開平4−51854号公報の装置においても、防水キャップの内部に水が浸入する場合がある。具体的には、洗車時に高い水圧が加わる場合や台風等の強い雨の時に車両走行に伴う振動が発生する場合、防水キャップの頂部における貫通孔とピボット軸との隙間から水が浸入したり、防水キャップの周縁部がガラス面から浮き上がりその隙間から水が浸入したりする。そして、一旦、キャップ内部に水が浸入すると、防水キャップの周縁部が全周に亘ってガラス面に密着しているので、長時間経過しても外部への排水が行われることなくキャップ内部に水が溜まったままとなる。これにより、キャップ内部の金属部品が腐食し、ひいてはピボットホルダの車体への固定部材などが錆び、その錆び発生がさらに促進されてしまうといった問題が生じてしまう。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、ピボットホルダに装着される防水キャップ内部への水の浸入を抑えつつ、万一、水が浸入しても確実に排出することができる車両用ワイパピボットを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、先端にワイパアームが固定されるピボット軸を回転自在に支持するピボットホルダが、車体の傾斜面に開口した貫通孔から突出させた状態で車体に固定される車両用ワイパピボットにおいて、前記ピボット軸が貫通してその先端突出部との間で摺接すると共に、前記ピボットホルダの突出部位に装着される防水キャップと、前記ピボットホルダの突出部位の外周に装着され、第1面が前記貫通孔の外周縁に密着するとともに、前記第1面の裏面となる第2面のうち前記傾斜面の傾斜方向下方側に部分的に凹部が形成されたプレート部材と、を備え、前記防水キャップの内面において前記プレート部材の前記第2面と当接する当接部を前記ピボット軸を中心とする周方向の全周に環状に形成し、前記プレート部材の凹部によって前記当接部を跨いで前記防水キャップ外部に連通する連通路を形成している。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用ワイパピボットにおいて、前記当接部は、円環状をなし、前記プレート部材における凹部の形成位置に対応して形成され、前記プレート部材における凹部は、前記当接部の径方向の寸法よりも幅広に形成され、前記当接部を挟んで前記防水キャップ内側から外側へ連通する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両用ワイパピボットにおいて、前記防水キャップの当接部は、内径側に突出する爪部を有し、前記ピボットホルダの突出部位に前記爪部が係合される。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ワイパピボットにおいて、前記プレート部材は、ゴム材からなり外周縁にシールリップを有し前記傾斜面に密着する円盤状のパッキンと、部分的に孔部が形成され、前記パッキンに重ね合わされる金属プレートとを備え、前記パッキンの表面と前記金属プレートの孔部とにより前記凹部が形成される。
【0011】
(作用)
請求項1に記載の発明では、ピボットホルダの突出部位に防水キャップが装着されている。つまり、実開昭57−84156号公報の装置のように、防水キャップがピボット軸に装着され同ピボット軸とともに防水キャップが回転する構成ではない。よって、防水キャップが周囲の部材に干渉してピボット軸の回転が妨げられるといった問題は生じない。
【0012】
また、プレート部材の第1面が貫通孔の外周縁に密着され、その第1面の裏面となる第2面のうち傾斜方向下方側に部分的に凹部が形成される。一方、防水キャップの内面において、プレート部材の第2面に当接する当接部がピボット軸を中心とする周方向の全周に環状に形成される。そして、プレート部材の凹部により当接部を跨いで防水キャップ外部に連通する連通路が形成されている。この場合、プレート部材における傾斜方向の上方側は防水キャップの当接部と密着し、傾斜方向の下方側に防水キャップ外部に連通する連通路が形成される。従って、傾斜面に沿って上側から防水キャップに水がかかったとしても、防水キャップ内部への水の浸入が防止される。また、連通路が傾斜方向の下方側のみに形成されるので、重力に反してその連通路からの水の浸入が防止される。さらに、洗車時に加わる高水圧等が原因で防水キャップ内部に水が浸入したとしても、傾斜方向下方側にある連通路から排水されるので、防水キャップ内部に水が溜まったままになることはない。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、防水キャップの当接部は円環状をなし、その当接部においてプレート部材の凹部に対応する部位以外はプレート部材に当接されて、防水キャップの内部と外部とが遮断される。一方、プレート部材の凹部に対応する部位では、その凹部と当接部とによって迷路構造の連通路が形成される。このように構成すれば、傾斜方向下方側に迷路構造の連通路が形成され、外部からの水の浸入を確実に防止でき、より優れた防水効果を得ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、防水キャップの当接部は内径側に突出する爪部を有し、その爪部がピボットホルダの突出部位に係合される。この場合、シール作用のために設けられた当接部を利用してピボットホルダに防水キャップが固定されるので、特別な固定部材を要することなく構成の簡素化を図ることができる。また、爪部は当接部の内側に形成され、防水キャップ内部での固定構造となり外観が損なわれることもない。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、プレート部材はゴム材のパッキンと金属プレートとからなる。ゴム材のパッキンはシールリップを有し傾斜面に密着することでシール性が向上される。一方、金属プレートは剛性が高くその金属プレートによってパッキンの周方向に均一な密着圧力が付与される。そして、その金属プレートに孔部が形成され、その孔部の一方の面がパッキンの表面で塞がれて凹部が形成される。この場合、異なる材料の2つの部材を用いてシール性の高いプレート部材を形成でき、かつ、プレート部材における凹部を容易に形成できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に従って説明する。
図1は、自動車のリアワイパ1を示す構成図である。リアワイパ1は、リアガラス2の表面を払拭するワイパブレード3と同ワイパブレード3を支えるワイパアーム4とを備えている。ワイパアーム4は、ピボット軸5と共に一体回転可能に固定されるアームヘッド6と、該アームヘッド6に対して基端部が所定角度傾動可能に連結されるアーム7とからなり、同アーム7の先端部にワイパブレード3が連結されている。
【0017】
ピボット軸5は、ピボットホルダ8内に回転自在に支持されている。ピボットホルダ8は、その先端部がリアガラス2に形成した貫通孔から突出した状態で固定されている。また、ピボットホルダ8の基端部は、ワイパモータ9のハウジング10と一体に形成され、ピボットホルダ8と共にワイパモータ9が図示しない車体パネルに固定されている。また、ピボットホルダ8内のピボット軸5は、同モータ9のアーマチャ回転軸に形成されたウォームに歯合するホイールギヤの回転軸、つまりワイパモータ9の出力軸でもある。そして、ワイパモータ9が駆動すると、ピボット軸5が所定角度範囲で往復回動されその回動によってリアワイパ1が払拭動作するよう構成されている。
【0018】
以下、ピボットホルダ8の構成について図2を用いて説明する。
ピボットホルダ8は、ホルダ本体12、クッション部材13、第1及び第2プレート14,15、シール部材16等を備えている。クッション部材13は、ホルダ本体12と第1プレート14の間に配設されている。第1プレート14は、下方に向かって突設された第1舌片14aと、水平方向に向かって突設された第2舌片14bとを有する。ホルダ本体12の外周面には溝12a(図1参照)が形成されており、その溝12aに第1プレート14の第1舌片14aが嵌合されることにより、ホルダ本体12に対する第1プレート14の回転が規制されている。また、第1プレート14における第2舌片14bは、ピボットホルダ8をリアガラス2に固定する際の位置決め用として利用される。具体的には、図示しない車両固定側の部材に第1プレート14の第2舌片14bが嵌め込まれることによりピボットホルダ8の位置決めが行われる。
【0019】
また、第1プレート14の中央には、円管部14cが上方に向けて突設されており、その円管部14cにホルダ本体12から延びる筒部17が挿入されている。なお、この円管部14c内における筒部17の外周面にはシール性を確保するためのOリング18が設けられている。また、ホルダ本体12の筒部17の内部には、図示しない軸受けを介してピボット軸5が回転自在に支持されている。
【0020】
第1プレート14における円管部14cの外周面に、シール部材16が嵌め込まれている。シール部材16は、略円筒状をなし、ほぼ中央よりも下側が上側よりも小径となるよう形成されている。つまり、シール部材16において、上側(リアガラス2側)が大筒部16aとなり、下側(第1プレート14側)が小筒部16bとなっている。
【0021】
シール部材16における小筒部16bには第2プレート15が嵌め込まれている。この第2プレート15は円盤状をなし、その中央部にはシール部材16の小筒部16bを収納する収納部15aが下方に向けて突設されている。そして、その収納部15aの下端が第1プレート14に当接している。また、シール部材16の大筒部16aの外径はリアガラス2の貫通孔2aよりも大きく、その大筒部16aの上面が貫通孔2aの周縁におけるガラス面2bに密着している。
【0022】
第1プレート14から延びる円管部14cの上端はリアガラス2の貫通孔2aから突出され、その上端にナット19が螺合されている。このナット19によって、円管部14cの外周に装着したプレート部材21が締め付け固定され、同プレート部材21と前記シール部材16との間でリアガラス2が挟持される。さらに、ナット19には、その側面を挟み込むようにして防水キャップ22が装着されている。
【0023】
本実施形態では、プレート部材21と防水キャップ22とによって、ピボットホルダ8内への水の浸入が防止される。以下、プレート部材21と防水キャップ22とによる防水構造について詳述する。
【0024】
プレート部材21はパッキン23及び金属プレート24からなる。パッキン23は、ゴム材を用いて円盤状に形成されたシールプレートである。このパッキン23の中央には肉厚部23aが形成されており、その内側面が前記円管部14cに当接されて径方向の移動が規制される。また、パッキン23の外周縁にはシールリップ23bが形成されており、このシールリップ23bが押し潰された状態でガラス面2cに密着することによりシール性が確保されている。
【0025】
金属プレート24は、パッキン23と同様に円盤状をなす。詳しくは、図3に示すように、金属プレート24にはその上下面を連通する複数(本実施形態では4つ)の孔部24aが形成されている。これら孔部24aは、金属プレート24の中心線Lcの右側のみに設けられている。金属プレート24はパッキン23と同じ大きさであり、それらが重ね合わされてプレート部材21が構成される。このプレート部材21では、金属プレート24における孔部24aの下側がパッキン23の上面にて塞がれることで、その上面に凹部21aが形成される(図2参照)。
【0026】
また、金属プレート24における内径側の形状(円管部14cに嵌め込むための穴形状)は、完全な円形ではなく一部が直線状となっている。そして、円管部14cの外周面もその直線形状に合わせて形成されており、それら直線状の部位の位置合わせをしつつプレート部材21が円管部14cに嵌め込まれる。これによって図2における中心線Lcの右側のみに凹部21aが設けられる。
【0027】
図2において、リアガラス2を図面の左右方向に沿って示しているが、実際のリアガラス2は地面に対し傾斜した状態で車両に取り付けられている。具体的に、図2に示す斜線Lhが地面の水平方向を示す線(水平線)である。また、破線矢印Xが重力方向(地方向)を示し、破線矢印Yが反重力方向(天方向)を示している。従って、図2において、中心線Lcより右側が傾斜方向下方側、中心線Lcより左側が傾斜方向上方側に相当し、プレート部材21における凹部21aは、傾斜方向下方側(重力方向側)のみに配設される。このように、プレート部材21は、その下面(第1面)がリアガラス2の貫通孔2aの外周縁に密着するとともに、上面(第2面)のうちの傾斜方向下方側に部分的に凹部21aを形成している。
【0028】
図4には、防水キャップ22の下面図を示し、図5には、図4のA−A線断面図を示す。図4及び図5に示すように、防水キャップ22は、略傘形状をなし、その中央には上方に向けて開口する円管部22aが形成され、同円管部22aにピボット軸5(図2参照)が挿通されている。図5に示すように、円管部22aの先端にはその径方向外側に延びる鍔部22bが形成されている。また、円管部22aの内周面には、先端及び中央部分に突起22cが設けられている。この突起22cは周方向全周に亘って形成されておりピボット軸5の外周面に摺接される。これにより、雨水等がピボット軸5の表面を伝って防水キャップ22内に浸入することが防止される。
【0029】
また、防水キャップ22の内面において、前記プレート部材21の凹部21aと対応する位置には同プレート部材21に当接する当接部22dが形成されている。この当接部22dは、ピボット軸5の周方向の全周となる位置に設けられており、図4に示すように円環状をなし、その内側にナット19が収まるよう形成されている(図6参照)。
【0030】
より詳しくは、図2及び図5に示すように、当接部22dは、その下端において内径側に突出する爪部22eを有し、この爪部22eがナット19の下部に係合されている。ナット19は六角ナットであり、6つの角の上部及び下部が面取りされている。その面取り部とプレート部材21との間にできる隙間に爪部22eが入り込み、ナット19を確実に挟み込むようにしている。また、当接部22dの内側面は、凸凹状に形成され、図6に示すように、ナット19の側面において、中央部分は当接部22dと非接触となり、角近傍部分は当接部22dと面接触となっている。このように、当接部22dの内側面がナット19の角近傍の側面に面接触することにより、防水キャップ22がナット19に確実に固定されている。すなわち、ピボット軸5が回転すると、防水キャップ22の円管部22aにおける突起22cがピボット軸5に摺接するため、防水キャップ22が連れ回りしようとするが、当接部22dの内側面がナット19の側面と面接触した状態で固定され、防水キャップ22の連れ回りが確実に防止される。
【0031】
また、防水キャップ22の内面には、図4及び図5に示すように、当接部22dから径方向内側に向けて複数(本実施形態では12箇所)の溝22fが等角度間隔で形成されている。これら溝22fは、当接部22dの内側面における凹部の中央となる位置に設けられている。図6に示すように、当接部22dの内側にナット19を嵌め込んだ状態では、当接部22dの内側面とナット19の側面との間に形成される隙間(当接部22dとナット19との非係合部分の隙間)に複数の溝22fのいずれかが連通されるようになっている。さらに、当接部22dの外側には、全周に亘り円周溝22gが形成されている。
【0032】
図2に示すように、プレート部材21における凹部21aは、当接部22dの径方向の寸法よりも幅広となっており、防水キャップ22において当接部22dを挟んで内側にある溝22fと外側にある円周溝22gとがプレート部材21の凹部21aによって連通される。また、防水キャップ22における外周端縁と、ガラス面との間に隙間sが設けられ、この隙間sによって円周溝22gが防水キャップ22外部に連通される。本実施形態では、プレート部材21の凹部21aは、傾斜方向下方側(図2の右側)のみに4個形成されており、その凹部21aの形成部位において、防水キャップ22内部から外部に繋がる連通路(水路)25が形成される。この連通路25は、図2において2点鎖線で示すように、溝22f→凹部21a→円周溝22gとを通過する迷路構造の通路となる。
【0033】
なお、図6に示すように、ナット19の角部近傍に位置する溝22fは塞がれるため、ナット19の締め付け位置によっては連通路25が遮断される可能性がある。そのため、本実施形態では、防水キャップ22の溝22fをナット19の角部よりも多い12個形成し、かつ、プレート部材21の凹部21aも複数(4個)形成している。従って、ナット19の角部近傍に位置する溝22fが塞がれたとしても、それ以外の溝22f(ナット19側面と当接部22dとの非係合部分にある溝22f)とプレート部材21の凹部21aとによって防水キャップ22外部への連通路25が確保される。
【0034】
また、ピボット軸5の先端にはネジ部5aが形成され、そのネジ部5aの下方にはアームヘッド6を固定するためのテーパ部5bが形成されている。アームヘッド6の下面には、前記防水キャップ22の円管部22aを収納するための凹部6aが形成されており、その凹部6aの中央には、ピボット軸5を挿入した状態で前記テーパ部5bと嵌合する嵌合孔6bが形成されている。そして、ピボット軸5の先端におけるネジ部5aにナット27がワッシャ28を介して螺合されている。このナット27による締め付けによって、アームヘッド6がピボット軸5に取り付けられ、ピボット軸5と一体でアームヘッド6が回動される。さらに、ピボット軸5とアームヘッド6との固定部分を覆うためのカバー29が配設されている。
【0035】
このように、本実施形態では、防水キャップ22の円管部22aの先端(上端)がアームヘッド6の凹部6aに収納され、かつ、円管部22aの先端に鍔部22bが形成されている。この構成によって、ピボット軸5に水が付着することが防止されるため、ピボット軸5の表面を伝って防水キャップ22内部に水が浸入することはない。
【0036】
また、プレート部材21における傾斜方向上方側(図2の左側)は防水キャップ22の当接部22dと密着され、傾斜方向下方側(図2の右側)に防水キャップ22外部に連通する連通路(水路)25が形成されている。従って、傾斜面となるリアガラス2の払拭面(図2ではリアガラス2の上面)2cに沿って上方側から防水キャップ22に水がかかったとしても、防水キャップ22内部への水の浸入が防止される。また、連通路25が傾斜方向下方側に形成されるので、重力に反してその連通路25から水が浸入することが防止される。
【0037】
このように、上記防水構造を採用すると、ワイパ1の通常作動時には防水キャップ22内部に水が浸入することはない。しかしながら、洗車時等に高い水圧が加わることによって防水キャップ22内に水が浸入したり、車両走行時の振動に伴うポンプ作用によって防水キャップ22内に水が吸い込まれたりする場合がある。防水キャップ22内部に水が浸入した場合、その水は傾斜方向下方側に形成した連通路25から外部に排水されるので、防水キャップ22内部に溜まったままとなることはない。
【0038】
さらに、本実施形態では、ピボットホルダ8に防水キャップ22が装着され、防水キャップ22の円管部22aにてピボット軸5が摺接するよう構成されている。つまり、実開昭57−84156号公報の装置のように、防水キャップ22がピボット軸5とともに回転する構成ではない。そのため、防水キャップ22が周囲の部材(例えば、リアガラス2の払拭面2cに付着したゴミ等)に干渉してピボット軸5の回転が妨げられるといった問題は生じない。
【0039】
以上詳述したように本実施の形態は、以下の特徴を有する。
(1)防水キャップ22外部に連通する連通路25が傾斜方向下方側(重力方向側)に部分的に形成されているので、防水キャップ22内に水が浸入するのを抑制でき、かつ浸入してしまった水を外部に確実に排出できる。その結果、ピボット軸5を含むピボットホルダ8内の金属部品の腐食が防止され、腐食によりピボット軸5が固着してしまうといった問題が回避できる。
【0040】
(2)プレート部材21に凹部21aを形成し、その凹部21aによって当接部22dを挟んで防水キャップ22の内側と外側とを連通する連通路25を構成した。この場合、連通路25は迷路構造となるため、外部からの水の浸入が確実に防止でき、より優れた防水効果を得ることができる。
【0041】
(3)防水キャップ22の当接部22dは爪部22eを有し、その爪部22eがピボットホルダ8の突出部位にあるナット19に係合される。この場合、シール作用のために設けられた当接部22dを利用して防水キャップ22がピボットホルダ8に固定されるので、特別な固定部材を要することなく構成の簡素化を図ることができる。また、爪部22eは当接部22dの内側に形成されるので、防水キャップ22内部での固定構造となり外観が損なわれることもない。
【0042】
(4)プレート部材21は、ゴム材のパッキン23と金属プレート24とからなる。パッキン23はシールリップ23bを有しガラス面に密着することでシール性が向上される。一方、金属プレート24は剛性が高くその金属プレート24によってパッキン23の周方向に均一な密着圧力が付与される。そのパッキン23の表面と金属プレート24の孔部24aとによって凹部21aが形成されている。このように、異なる材料の2つの部材23,24を用いてシール性の高いプレート部材21を形成でき、かつ、プレート部材21における凹部21aを容易に形成できる。
【0043】
(5)防水キャップ22における当接部22dの内側面に、ナット19の側面と面接触させるための凸凹部を形成したので、防水キャップ22を確実にナット19に固定でき、ピボット軸5の回転時における防水キャップ22の連れ回りを防止することができる。
【0044】
(6)本実施形態では、図3に示すように、プレート部材21を構成する金属プレート24の内径形状は、完全な円形ではなく一部が直線状となっており、その直線状の部位(位置規定部)によってプレート部材21の位置が規定される。これにより、プレート部材21における凹部21aを傾斜方向下方側に確実に設定できる。
【0045】
なお、上記以外に次の形態にて具体化できる。
・上記実施形態では、リアガラス2に開口する貫通孔2aにピボットホルダ8の端部を固定するものであったがこれに限定されるものはない。例えば、リアガラス下方の車両ボディにピボットホルダ8を固定するものに適用してもよい。要は、ピボットホルダ8が車体における傾斜面の貫通孔から突出した状態で固定される車両用ワイパに適用するものであればよい。
【0046】
・上記実施形態では、防水キャップ22をナット19に装着固定するものであったが、ナット19以外の部位に固定してもよい。
・上記実施形態では、プレート部材21に4つの凹部21aを形成したがこれに限定されるものではない。但し、排水性能を確保するために2個以上の凹部21aをプレート部材21に設けることが望ましい。
【0047】
上記実施の形態から把握できる技術思想について、以下にその効果とともに記載する。
(イ)前記傾斜面はリアガラスの払拭面であり、前記ピボットホルダの端部が車両における傾斜したリアガラスの貫通孔から突出した状態で固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両用ワイパピボット。車両用ワイパには、車両における傾斜したリアガラスの貫通孔にピボットホルダの端部を突出させて固定されるものがあり、その車両用ワイパに本発明を適用すると、実用上好ましいものとなる。
【0048】
(ロ)前記防水キャップは、前記プレート部材を締め付け固定するためのナットに固定され、該防水キャップの内面を、前記ナットの側面と面接触させるために凸凹状に形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ワイパピボット。このように、プレート部材を締め付け固定するためのナットに防水キャップが固定される場合、防水キャップの内面をナット側面と面接触するよう凸凹状に形成すると、防水キャップをナットに確実に固定でき、ピボット軸の回転時に防水キャップが連れ回りすることが防止できる。
【0049】
(ハ)前記プレート部材に周方向の位置を規定する位置規定部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ワイパピボット。このように、プレート部材に位置規定部を設け同プレート部材の位置決めを行うことにより、プレート部材における凹部を傾斜方向下方側に確実に設定できる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、防水キャップ内部への水の浸入を抑えつつ、万一、水が浸入しても確実に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態におけるリアワイパを示す構成図。
【図2】 本実施形態におけるピボットホルダを示す断面図。
【図3】 プレート部材を示す平面図。
【図4】 防水キャップを示す下面図。
【図5】 図4のA−A線での断面図。
【図6】 ナットを挿入した状態の防水キャップを示す下面図。
【符号の説明】
1…リアワイパ、2a…貫通孔、2c…リアガラスの払拭面、5…ピボット軸、8…ピボットホルダ、21…プレート部材、21a…凹部、22…防水キャップ、22d…当接部、22e…爪部、23…パッキン、23b…シールリップ、24…金属プレート、24a…孔部、25…連通路。
Claims (4)
- 先端にワイパアームが固定されるピボット軸を回転自在に支持するピボットホルダが、車体の傾斜面に開口した貫通孔から突出させた状態で車体に固定される車両用ワイパピボットにおいて、
前記ピボット軸が貫通してその先端突出部との間で摺接すると共に、前記ピボットホルダの突出部位に装着される防水キャップと、
前記ピボットホルダの突出部位の外周に装着され、第1面が前記貫通孔の外周縁に密着するとともに、前記第1面の裏面となる第2面のうち前記傾斜面の傾斜方向下方側に部分的に凹部が形成されたプレート部材と、を備え、
前記防水キャップの内面において前記プレート部材の前記第2面と当接する当接部を前記ピボット軸を中心とする周方向の全周に環状に形成し、前記プレート部材の凹部によって前記当接部を跨いで前記防水キャップ外部に連通する連通路を形成することを特徴とする車両用ワイパピボット。 - 前記当接部は、円環状をなし、前記プレート部材における凹部の形成位置に対応して形成され、
前記プレート部材における凹部は、前記当接部の径方向の寸法よりも幅広に形成され、前記当接部を挟んで前記防水キャップ内側から外側へ連通することを特徴とする請求項1に記載の車両用ワイパピボット。 - 前記防水キャップの当接部は、内径側に突出する爪部を有し、前記ピボットホルダの突出部位に前記爪部が係合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用ワイパピボット。
- 前記プレート部材は、ゴム材からなり外周縁にシールリップを有し前記傾斜面に密着する円盤状のパッキンと、部分的に孔部が形成され前記パッキンに重ね合わされる金属プレートとを備え、
前記パッキンの表面と前記金属プレートの孔部とにより前記凹部が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両用ワイパピボット。
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