JP3811190B2 - 建設機械の領域制限掘削制御装置 - Google Patents
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Description
技術分野
本発明は多関節型のフロント装置を備えた建設機械、特にアーム、ブーム、バケット等のフロント部材からなるフロント装置を備えた油圧ショベルにおいて、フロント装置の動き得る領域を制限した掘削が行える領域制限掘削制御装置に関する。
背景技術
油圧ショベルではオペレータがブームなどのフロント部材をそれぞれの手動操作レバーによって操作しているが、これらフロント部材はそれぞれが関節部によって連結され回動運動を行うものであるため、これらフロント部材を操作して所定の領域を掘削することは、非常に困難な作業である。そこで、このような作業を容易にするための領域制限掘削制御装置が、特開平8−333768号公報やWO95/30059号公報及びWO95/33100号公報に提案されている。
特開平8−333768号公報に記載の領域制限掘削制御装置は、上下方向に回動可能な複数のフロント部材により構成される多関節型のフロント装置と、前記複数のフロント部材を駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数のフロント部材の動作を指示する複数の操作手段と、前記複数の操作手段の操作に応じて駆動され、前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する複数の油圧制御弁とを備えた建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記フロント装置の動き得る領域を設定する領域設定手段と;前記フロント装置の位置と姿勢に関する状態量を検出する第1検出手段と;前記第1検出手段からの信号に基づき前記フロント装置の位置と姿勢を演算する第1演算手段と;前記複数の油圧アクチュエータのうち少なくとも第1の特定のフロント部材(例えばアーム)に係わる第1の特定のアクチュエータの駆動による前記フロント装置の速度を演算する第2演算手段と;前記第1及び第2演算手段の演算値を入力し、前記フロント装置が前記設定領域内でその境界近傍にあるとき、前記設定領域の境界に接近する方向の移動速度を制限するよう、前記複数の油圧アクチュエータのうちの少なくとも第2の特定のフロント部材(例えばブーム)に係わる第2の特定のアクチュエータの駆動による前記フロント装置の速度の制限値を演算する第3演算手段と;前記第2の特定のアクチュエータの駆動による前記フロント装置の速度が前記制限値を超えないよう前記第2の特定アクチュエータに係わる操作手段の操作信号を補正する信号補正手段とを備えており、第3演算手段で、フロント装置が設定領域内でその境界近傍にあるとき、第2の特定のフロント部材に係わる第2の特定のアクチュエータの駆動によるフロント装置の速度の制限値を演算し、信号補正手段で、第2の特定のアクチュエータの駆動によるフロント装置の速度がその制限値を超えないよう第2の特定アクチュエータに係わる操作手段の操作信号を補正することにより、設定領域の境界に対して接近する方向のフロント装置の動きを減速する方向変換制御が行われ、設定領域の境界に沿ってフロント装置を動かすことができる。これにより、バケットが設定領域の境界、すなわち設定した掘削深さを超えないように、設定領域の境界を目標掘削面とした掘削を能率良く円滑に行うことができる。
WO95/30059号公報に記載の領域制限掘削制御装置は、フロント装置が動き得る領域を予め設定しておき、制御ユニットで角度検出器からの信号に基づきフロント装置の位置と姿勢を演算し、操作レバー装置からの信号に基づきフロント装置の目標速度ベクトルを演算し、フロント装置が設定領域内でその境界近傍にないときには目標速度ベクトルを維持し、フロント装置が設定領域内でその境界近傍にあるときは設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分を減じるように目標速度ベクトルを補正し、この補正した目標速度ベクトルが得られるようにそれぞれの油圧制御弁を操作し、これにより領域を制限した掘削を能率良く円滑に行えるようにしている。
WO95/33100号公報に記載の領域制限掘削制御装置は、上記WO95/30059号公報に記載の制御装置において、油圧制御弁(流量制御弁)のメータリング特性がフロント装置の負荷によって変化することを考慮し、目標パイロット圧演算部で用いる関数関係をそのメータリング特性の負荷変化に合わせて補正し、この補正した関数関係を用いて目標パイロット圧を計算し、負荷の変化に係わらず精度の良い制御が行え、フロント装置の先端が目標速度ベクトル通りに動くようにしている。
発明の開示
一般に掘削作業を行う場合、掘削対象となる土壌の硬さは必ずしも一定ではなく、部分的に硬さが大きくなる箇所が存在することが多い。例えば、土壌の一部分の土質が他の部分より硬い土壌条件や、石、コンクリート、廃材等が土壌中に部分的に集積している土壌条件が存在する。このような土壌条件において、前述した特開平8−333768号公報に提案されている従来技術を適用し、掘削作業を行う場合、フロント装置が第2演算手段で演算したフロント装置の速度通りに動かなくなり、適切な方向変換制御が行えなくなる。
例えば、建設機械の車体の前方にフロント装置を伸ばした状態、すなわちフロントの構成要素であるブームを下げ方向に動かし、アームをブームに対して上げ方向(ダンプ方向)に操作した状態で、アームをクラウド方向に動かし、領域制限掘削制御により掘削作業を行う場合、バケットが硬い土壌部分に到達すると、アーム駆動用のアクチュエータの負荷が増大し、当該アクチュエータに圧油が流入し難くなるので、アームは指令速度よりも遅い速度でクラウド動作する。その結果、第2演算手段で演算したフロント装置の速度は実際のフロント装置の速度よりも速めとなり、この速めの速度を基に制限値が演算され、ブームを上げ方向に動かす制御が行われるので、アームクラウド動作に対しブームが上がり過ぎとなり、バケット先端が設定領域の境界に到達するまでの軌跡がその境界から上げ方向に離れ勝ちになる。
このため、上記の適用例では、バケットは硬い土壌部分を十分に掘削することができず、その硬い土壌部分の一部を掘り残し、掘削面に予想外の突出部を形成することとなり、設定領域の境界まで掘削するのに追加作業が数回必要となり、目標掘削面を形成するための作業時間が増加し、施工期限が遅延することがあった。
WO95/30059号公報に提案されている従来技術でも、同様の土壌条件においては、バケットが硬い土壌部分に到達すると、バケット先端が計算した目標速度ベクトル通りに動かず、やはりバケット先端が設定領域の境界に到達するまでの軌跡がその境界から上げ方向に離れ勝ちになり、適切な方向変換制御が行えなくなる。
WO95/33100号公報に記載の従来技術では、目標パイロット圧演算部で用いる関数関係を流量制御弁のメータリング特性の負荷変化に合わせて補正し、この補正した関数関係を用いて目標パイロット圧を演算することにより制御精度を向上し、上記のような硬い土壌部分がある条件下でもバケット先端が計算した目標速度ベクトル通りに動けるようにしている。この従来技術は、負荷に係わらずバケット先端の実際の移動速度ベクトルを計算した目標速度ベクトルに一致させ、制御精度を向上させるという考え方である。しかし、この方法では、目標パイロット圧演算部で用いる関数関係を負荷変化に応じて精度良く補正できるようにするための大量の補正データの収集や登録処理が必要であり、そのためには多大の手間暇と労力を要する。特に、領域制限掘削制御のようなブームとアームの複合操作の制御においては、アームとブームの複合状態が変わりフロント装置の姿勢が変わるとそれに応じて流量制御弁の負荷特性が変わり必要な補正量も変わるため、あらゆる複合状態を考慮して補正データを得る必要があるが、このような複合状態を考慮した補正データの収集は極めて困難である。また、製品の種類が変わり、流量制御弁が変われば、その都度データを取り直し、負荷補正データを記憶させる必要もある。
本発明の目的は、領域を制限した掘削制御を用いる掘削作業において、掘削対象となる土壌の硬さに影響されずに、設定領域を境界まで掘削することができ、しかもそのためのソフトの作成を容易に行える建設機械の領域制限掘削制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、上下方向に回動可能な第1及び第2フロント部材を含む複数のフロント部材により構成される多関節型のフロント装置と、前記第1及び第2フロント部材を駆動する第1及び第2油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータと、前記第1及び第2フロント部材の動作を指示する第1及び第2操作手段を含む複数の操作手段と、前記第1及び第2操作手段の操作に応じて駆動され、前記第1及び第2油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する第1及び第2油圧制御弁を含む複数の油圧制御弁とを備えた建設機械に設けられ、前記複数の操作手段のうち少なくとも前記第1操作手段による前記フロント装置の移動速度を計算する第1演算手段と、前記フロント装置が設定領域の境界に近づくに従って絶対値が小さくなる制限値を計算する第2演算手段と、前記第1演算手段と計算したフロント装置の移動速度及び前記第2演算手段と計算した制限値を用い、前記フロント装置が前記設定領域の境界に近づくに従ってその境界に接近する方向の移動速度を減じ、境界に沿った方向には移動するよう前記複数の操作手段のうち少なくとも前記第2操作手段の操作信号を補正する信号補正手段とを備える領域制限掘削制御装置において、前記フロント装置に作用する負荷を検出する第1検出手段と;前記第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い前記制限値を補正する制限値補正手段とを備えるものとする。
以上のように構成した本発明においては、第2演算手段で、フロント装置が設定領域の境界に近づくに従って絶対値が小さくなる制限値を計算し、信号補正手段で、フロント装置が設定領域の境界に近づくに従ってその境界に接近する方向の移動速度を減じ、境界に沿った方向には移動するよう複数の操作手段のうち少なくとも第2操作手段の操作信号を補正することにより、設定領域の境界に対して方向変換制御が行われ、設定領域の境界に沿ってフロント装置を動かすことができる。これは特開平8−333768号公報やWO95/30059号公報及びWO95/33100号公報の提案技術と同じである。
そして本発明では、このような方向変換制御に際して、第1検出手段でフロント装置に作用する負荷を検出し、制限値補正手段で、第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い制限値を補正することにより、負荷が大きい場合には、負荷が小さいときよりフロント装置が設定領域の境界により近づかないと制限値が働かないようにすることができ、これにより掘削負荷でフロント装置が上がり気味になる現象が押さえられ、掘削対象となる土壌が硬く掘削負荷が大きい状態でも、土壌の硬さに影響されずに、設定領域を境界まで掘削することができる。
また、本発明は、硬い土壌など負荷の大きな掘削対象を上記制御を用いて掘削するとき、フロント装置が設定領域の境界に達するまでの速度ベクトル(軌跡)を問題にするのではなく、フロント装置が掘削対象から逃げること無く最終的に境界に達すれば良いという考え方に基づいており、そのために制限値を負荷補正している。従って、この制限値の補正は厳密性を必要とせず、メータリング特性を負荷補正する場合に比べてソフトの作成は極めて容易である。
上記において、好ましくは、前記制限値補正手段は、前記第1検出手段で検出したフロント装置に作用する負荷が大きくなるにつれて、前記設定領域の境界からより近づいた位置で制限値が働くように補正する。
また、好ましくは、前記第1検出手段が検出する前記フロント装置に作用する負荷は、前記第1油圧アクチュエータの負荷圧力である。
前記第1検出手段が検出する前記フロント装置に作用する負荷は、前記第2油圧アクチュエータの負荷圧力であってもよい。
更に、好ましくは、前記制限値補正手段で補正される制限値は、前記設定領域の境界に接近する方向の速度の制限値であり、前記信号補正手段は、前記フロント装置の速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分がその制限値を超えないよう前記第2操作手段の操作信号を補正する。
また、前記第1演算手段で計算するフロント装置の移動速度は前記フロント装置の目標速度であり、前記制限値補正手段で補正される制限値は、前記フロント装置の目標速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分を補正するための係数であり、前記信号補正手段は、この係数により補正された速度成分を持つフロント装置の目標速度が得られるよう前記第1及び第2操作手段の操作信号を補正してもよい。
更に、前記第1演算手段で計算するフロント装置の移動速度は前記フロント装置の目標速度であり、前記制限値補正手段で補正される制限値は、前記フロント装置の目標速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分の制限値であり、前記信号補正手段は、その制限値を越えないように補正された速度成分を持つフロント装置の目標速度が得られるよう前記第1及び第2操作手段の操作信号を補正してもよい。
また、前記制限値補正手段に代え、前記第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い、前記第1演算手段で計算したフロント装置の移動速度を制限する速度制限手段を備えてもよい。
更に、好ましくは、前記複数のフロント部材は油圧ショベルのブームとアームを含み、前記第1フロント部材はアームであり、前記第2フロント部材はブームである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置をその油圧駆動装置と共に示す図である。
図2は、本発明が適用される油圧ショベルの外観を示す図である。
図3は、制御ユニットの制御機能を示す機能ブロック図である。
図4は、本実施形態の領域制限掘削制御における掘削領域の設定方法を示す図である。
図5は、バケット先端速度の制限値を求めるときの設定領域の境界からの距離との関係の一例を示す図である。
図6は、制限値補正部の演算内容の一例を示す機能ブロック図である。
図7は、図6のブロック図で用いる負荷圧と補正係数との関係を示す図である。
図8は、制限値補正部の演算内容の他の例を示す機能ブロック図である。
図9は、図8のブロック図で用いる距離と制限値の基本値との関係を示す図である。
図10は、図8のブロック図で用いる負荷圧と補正係数との関係を示す図である。
図11は、制限値補正部の演算内容の更に他の例を示す機能ブロック図である。
図12は、バケット先端が設定領域内にある場合と、設定領域の境界上にある場合と、設定領域外にある場合のブームによるバケット先端速度の補正動作の違いを示す図である。
図13は、バケット先端が設定領域内にあるときの補正動作軌跡の一例を示す図である。
図14は、バケット先端が設定領域外にあるときの補正動作軌跡の一例を示す図である。
図15は、バケット先端速度の制限値を求めるときの設定領域の境界からの距離との関係の他の例を示す図である。
図16は、本発明の第2の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置をその油圧駆動装置と共に示す図である。
図17は、制御ユニットの制御機能を示す図である。
図18は、本発明の第3の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置をその油圧駆動装置と共に示す図である。
図19は、制御ユニットの制御機能を示す図である。
図20は、方向変換制御部における処理内容を示すフローチャートである。
図21は方向変換制御部におけるバケット先端と設定領域の境界との距離Yaと係数hとの関係を示す図である。
図22はバケットの先端が演算通りに方向変換制御されたときの軌跡の一例を示す図である。
図23は、アームシリンダ負荷圧力による係数hの補正の仕方を示す図である。
図24は、方向変換制御部における他の方法による処理内容を示すフローチャートである。
図25は、方向変換制御部における距離YaとVcyf=関数f(Ya)との関係を示す図である。
図26は、アームシリンダ負荷圧力によるYa座標成分f(Ya)の補正の仕方を示す図である。
図27は、復元制御部における処理内容を示すフローチャートである。
図28はバ、ケットの先端が演算通りに復元制御されたときの軌跡の一例を示す図である。
図29は、アームシリンダ負荷圧力による復元制御で用いる係数Kの補正の仕方を示す図である。
図30は、本発明の第4の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置における制御ユニットの制御機能を示す図である。
図31は、掘削負荷によるバケット先端速度補正部の処理内容を示すフローチャートである。
図32は、アームシリンダ負荷圧力とバケット先端速度補正係数との関係を示す図である。
図33は、バケット先端速度を補正することによる作用を説明する図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を油圧ショベルに適用した場合の実施形態を図面を用いて説明する。
まず、本発明の第1の実施形態を図1〜図6により説明する。
図1において、本発明が適用される油圧ショベルは、油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2からの圧油により駆動されるブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fを含む複数の油圧アクチュエータと、これら油圧アクチュエータ3a〜3fのそれぞれに対応して設けられた複数の操作レバー装置14a〜14fと、油圧ポンプ2と複数の油圧アクチュエータ3a〜3f間に接続され、操作レバー装置14a〜14fの操作信号によって制御され、油圧アクチュエータ3a〜3fに供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁15a〜15fと、油圧ポンプ2と流量制御弁15a〜15fの間の圧力が設定値以上になった場合に開くリリーフ弁6とを有し、これらは油圧ショベルの被駆動部材を駆動する油圧駆動装置を構成している。
アームシリンダ3bのボトム側管路には、圧力検出器41aが設けられている。この圧力検出器41aは、掘削中にアームシリンダ3bに作用する負荷を圧力として検出するものである。
油圧ショベルは、図2に示すように、垂直方向にそれぞれ回動可能に連結されたブーム1a、アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント装置1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成され、フロント装置1Aのブーム1aの基端は上部旋回体1dの前部に支持されている。ブーム1a、アーム1b、バケット1c、上部旋回体1d及び下部走行体1eはそれぞれブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fによりそれぞれ駆動される被駆動部材を構成し、それらの動作は上記操作レバー装置14a〜14fにより指示される。
また、操作レバー装置14a〜14fは操作信号として電気信号(電圧)を出力する電気レバー方式であり、流量制御弁15a〜15fは両端に電気油圧変換手段、例えば比例電磁弁を備えた電磁駆動部30a,30b〜35a,35bを有し、操作レバー装置14a〜14fはオペレータの操作量と操作方向に応じた電圧を電気信号として対応する流量制御弁15a〜15fの電磁駆動部30a,30b〜35a,35bへ供給する。
更に、流量制御弁15a〜15fはセンターバイパスタイプの流量制御弁であり、各流量制御弁のセンタバイパス通路はセンターバイパスライン242により直列に接続されている。センターバイパスライン242の上流側は供給ライン243を介して油圧ポンプ2に接続され、下流側はタンクに接続されている。
以上のような油圧ショベルに本実施形態による領域制限掘削制御装置が設けられている。この制御装置は、予め作業に応じてフロント装置の所定部位、例えばバケット1cの先端が動き得る掘削領域の設定を指示する設定器7と、ブーム1a、アーム1b及びバケット1cのそれぞれの回動支点に設けられ、フロント装置1Aの位置と姿勢に関する状態量としてそれぞれの回動角を検出する角度検出器8a,8b,8cと、車体1Bの前後方向の傾斜角を検出する傾斜角検出器8dと、上記の圧力検出器41aと、操作レバー装置14a〜14fの操作信号、設定器7の設定信号及び角度検出器8a,8b,8cと傾斜角検出器8dと圧力検出器41aの検出信号を入力し、バケット1cの先端が動き得る掘削領域を設定すると共に、領域を制限した掘削制御を行うための操作信号の補正を行う制御ユニット9とから構成されている。
設定器7は、操作パネルあるいはグリップ上に設けられたスイッチ等の操作手段により設定信号を制御ユニット9に出力し掘削領域の設定を指示するもので、操作パネル上には表示装置等、他の補助手段があってもよい。
制御ユニット9の制御機能を図3に示す。制御ユニット9は、フロント姿勢演算部9a、領域設定演算部9b、バケット先端速度の制限値演算部9c、掘削負荷による制限値補正部9l、アームシリンダ速度演算部9d、アームによるバケット先端速度演算部9e、ブームによるバケット先端速度の制限値演算部9f、ブームシリンダ速度の制限値演算部9g、ブーム指令の制限値演算部9h、ブーム指令の最大値演算部9j、ブーム用バルブ指令演算部9i、アーム用バルブ指令演算部9kの各機能を有している。
フロント姿勢演算部9aでは、角度検出器8a〜8c及び傾斜角検出器8dで検出したブーム、アーム、バケットの回動角及び車体1Bの前後の傾斜角に基づきフロント装置1Aの位置と姿勢を演算する。
領域設定演算部9bでは、設定器7からの指示でバケット1cの先端が動き得る掘削領域の設定演算を行う。その一例を図4を用いて説明する。
図4において、オペレータの操作でバケット1cの先端を点Pの位置に動かした後、設定器7からの指示でフロント姿勢演算部9aの演算したそのときのバケット1cの先端位置を入力し、更に設定器7で指示された傾斜角ζにより制限領域の境界Lを設定する。
ここで、制御ユニット9の記憶装置にはフロント装置1A及び車体1Bの各部寸法が記憶されており、領域設定演算部9bはフロント姿勢演算部9aにてこれらのデータと、角度検出器8a,8b,8cで検出した回動角及び傾斜角検出器8dで検出した車体1Bの傾斜角を用いて点Pの位置を計算する。このとき、点Pの位置は例えばブーム1aの回動支点を原点としたXY座標系の座標値として求める。XY座標系は本体1Bに固定した垂直面内にある直交座標系である。
そして、点Pの位置と設定器7で指示された傾斜角ζにより制限領域の境界Lの直線式を立て、当該直線上に原点を持ち当該直線を一軸とする直交座標系、例えば点Pを原点とするXaYa座標系を立て、XY座標系からXaYa座標系への変換データを求める。
バケット先端速度の制限値演算部9cでは、バケット先端の境界Lからの距離Dに基づき、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aを計算する。これは制御ユニット9の記憶装置に図5に示すような関係を記憶しておき、この関係を読み出して行う。
図5において、横軸はバケット先端の境界Lからの距離Dを示し、縦軸はバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aを示し、横軸の距離D及び縦軸の速度制限値aはXaYa座標系と同じくそれぞれ設定領域外から設定領域内に向かう方向を(+)方向としている。この距離Dと制限値aの関係は、バケット先端が設定領域内にあるときには、その距離Dに比例した(−)方向の速度をバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとし、バケット先端が領域外にあるときには、その距離Dに比例した(+)方向の速度をバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとするように定められている。したがって、設定領域内では、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分が(−)方向で制限値を越えた場合だけ減速され、設定領域外では、バケット先端が(+)方向に増速されるようになる。
掘削負荷による制限値補正部9lでは、圧力検出器41aからアームシリンダ3bの負荷圧Pbaを入力し、図5の実線から二点鎖線への変化で示すように、その負荷圧Pbaの大きさに従い、バケット先端速度の制限値aの境界からの距離Dに対する関係を急峻なものとする補正を行う行う。ここで、アームシリンダ3bのボトム側圧力Pbaを負荷圧として取り込むのは、掘削作業においてアームを手前に引き込む、すなわちアームシリンダ3bのボトム側に掘削負荷に抗して圧油を流入させる操作を行うからである。また、ここで負荷圧Pbaが大きくなるに従いバケット先端速度の制限値aの境界からの距離Dに対する関係を急峻なものとするのは、掘削負荷が大きくなったときに境界に近づくときの制限値ができるだけ境界に近づく状態で働くようにするためである。
前記のバケット先端速度の制限値演算部9cでは、図5に示す負荷圧により補正された境界からの距離Dとバケット先端速度の制限値aの関係を用いて制限値aを求める。
制限値補正部9lで負荷圧Pbaの変化に応じて制限値aを補正する方法の具体例を以下に説明する。
(1)図5のD−aの関係式の補正係数(Kaとする)を予め負荷圧Pbaの関数式で求めておく方法。
図6に演算のブロック図を示し、図7に図6のブロック200で用いる関数(Ka=fka(Pba))の内容を示す。
図6のブロック200では、図7の関係式であるKa=fka(Pba)を用いてブロック210で用いる図5のD−aの関係式の係数Kaを求める。
ブロック210では、ブロック200で求めた係数Kaを用い、a=Ka・Dの関係式から制限値aを求める。
この場合、係数Kaは図5で示したD−aの関係をPbaが大きくなるに従い急峻な傾きとするため、負荷圧Pbaの増加に従い大きくなる関係を持つ。また、図7では係数Kaの初期値をPba=0の時にKa=Ka0とし、負荷圧Pbaの増加に従い係数KaがKa0以上の値をとるようにした。しかし、このPba−Kaの関係はこれに限られず、所定の負荷圧PbaのときにKa=Ka0とし、負荷圧Pbaが所定値以下の場合にKa<Ka0となるようにしても良い。また、Pba−Kaの関係は直線式でなく、曲線を示す式であっても良い。これらの関係は負荷圧Pbaの増加に伴いKaが増加する(D−aの関係が急峻になる)関係で制御上所期の目的を果たすものであれば良い。
また、ここではPba−Kaの関係を式で求めたが、この関係をテーブル化して制御ユニット9のメモリに記憶しておき、負荷圧Pbaの値に従ってテーブル値を読み出しても良い。
(2)図5の実線のD−aの関係式で制限値aを求め、その制限値aを負荷圧Pbaで補正する方法。
図8に演算のブロック図を示し、図9に図8のブロック310で用いる関数(a1=Ka・D(図5の実線の関係と同じ))の内容を示し、図10に図8のブロック300で用いる関数(Kal=fkal(Pba))の内容を示す。
ブロック310では、図9の関係からバケット先端速度の制限値aの基本値a1を求める。ブロック300では、アームシリンダの負荷圧Pbaによる基本値a1の補正係数Ka1を求める。ブロック320では、先にブロック310で求めた基本値a1にブロック300で求めた補正係数Ka1を乗じてバケット先端速度の制限値aを求める。このときのKa1とPbaの関係は図5に二点鎖線で示したようにD−aの関係が負荷圧Pbaの増加に従い急峻になるように定める。従って、制限値aの基本値a1をPba=0のときのものとすると、図10に示したようにPba=0でKa1=1であり、負荷圧Pbaの増加に従い補正係数Ka1が増加する関係となる。
このときのPba−Ka1の関係はこれに限られず、所定の負荷圧PbaのときにKa1=1とし、負荷圧Pbaが所定値以下の場合にKa1<1となるようにしても良い。また、Pba−Ka1の関係は直線式でなく、曲線を示す式であっても良い。これらの関係は負荷圧Pbaの増加に伴いKa1が増加する(D−aの関係か急峻になる)関係で制御上所期の目的を果たすものであれば良い。
また、ここではPba−Ka1の関係を式で求めたが、この関係をテーブル化して制御ユニット9のメモリに記憶しておき、負荷圧Pbaの値に従ってテーブル値を読み出しても良い。
(3)図5の実線のD−aの関係をテーブル化してメモリに記憶しておき、Dの値に相当するaをメモリから呼び出し、その後負荷圧Pbaで補正する方法。
図11に演算のブロック図を示す。
図11のブロック410では、先の図5の実線と同様の関係式からバケット先端速度の制限値aの基本値a2を求める。ここでは、図5の実線と同様のD−a2の関係をテーブル化してメモリに記憶しておく。そして、そのときの距離Dの値から基本値a2を読み出す。
ブロック400では、アームシリンダの負荷圧Pbaによる基本値a2の補正係数Ka2を求める。ブロック420では、先にブロック410で求めた基本値a2にブロック400で求めた補正係数Ka2を乗じてバケット先端速度の制限値aを求める。このときのKa2とPbaの関係は図5二に点鎖線で示したようにD−aの関係が負荷圧Pbaの増加に従い急峻になるように定める。従って、制限値aの基本値a2をPba=0のときのものとすると、図10のKa1の場合と同様、Pba=0でKa2=1であり、負荷圧Pbaの増加に従い補正係数Ka2が増加する関係となる。
アームシリンダ速度演算部9dでは、操作レバー装置14bによる流量制御弁15bへの指令値と、そのアームの流量制御弁15bの流量特性により、アームシリンダ速度を推定する。
アームによるバケット先端速度演算部9eでは、アームシリンダ速度とフロント姿勢演算部9aで求めたフロント装置1Aの位置と姿勢によりアームによるバケット先端速度bを演算する。
ブームによるバケット先端速度の制限値演算部9fでは、演算部9eで求めたアームによるバケット先端速度bを領域設定演算部9bで求めた変換データを用いてXY座標系からXaYa座標系へ変換し、アームによるバケット先端速度の境界Lに水平および垂直な成分(bx,by)を演算し、演算部9cで求めたバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとそのアームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分byにより、ブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cを演算する。これを図12を用いて説明する。
図12において、バケット先端速度の制限値演算部9cで求められるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとアームによるバケット先端速度演算部9eで求められるアームによるバケット先端速度bの境界Lに垂直な成分byの差(a−by)がブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cであり、ブームによるバケット先端速度の制限値演算部9fではc=a−byの式より制限値cを計算する。
制限値cの意味について、バケット先端が設定領域内にある場合、境界上にある場合、設定領域外にある場合に分けて説明する。
バケット先端が設定領域内の場合には、バケット先端速度は、バケット先端の境界Lからの距離Dに比例してバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aに制限され、これよりブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分はc(=a−by)に制限される。すなわち、アームによるバケット先端速度bの垂直な成分byがcを越える場合には、ブームはcに減速される。
バケット先端が設定領域の境界L上にある場合には、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aは0となり、設定領域外に向かうアームによるバケット先端速度成分byは速度cのブーム上げによる補正動作によってキャンセルされ、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分も0となる。
バケット先端が領域外の場合には、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分はバケット先端の境界Lからの距離Dに比例した上向きの速度aに制限されることにより、常に設定領域内に復元するように速度cのブーム上げによる補正動作が行われる。
ブームシリンダ速度の制限値演算部9gでは、ブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cとフロント装置1Aの位置と姿勢に基ずき、上記変換データを用いた座標変換によりブームシリンダ速度の制限値を演算する。
ブーム指令の制限演算部9hでは、ブームの流量制御弁15aの流量特性に基づき、演算部9gで求めたブームシリンダ速度の制限値に対応するブームの指令制限値を求める。
ブーム指令の最大値演算部9jでは、演算部9hで求めたブーム指令の制限値と操作レバー装置14aの指令値を比較し、大きい方を出力する。ここで、操作レバー装置14aの指令値はXaYa座標系と同じく、設定領域外から設定領域内に向かう方向(ブーム上げ方向)を(+)方向としている。また、演算部9jでブーム指令の制限値と操作レバー装置14aの指令値の大きい方を出力することは、バケット先端が設定領域内の場合には制限値cが(−)であることから、操作レバー指令値が(+)の場合は、操作レバー指令値を、操作レバー指令値が(−)の場合は、両者の絶対値の小さい方を出力することであり、バケット先端が領域外の場合には制限値cが(+)であることから、操作レバー指令値が(−)の場合は、制限値cを、操作レバー指令値が(+)の場合は、両者の絶対値の大きい方を出力することである。
ブーム用バルブ指令演算部9iでは、ブーム指令の最大値演算部9jから出力された指令値が正の値の場合には流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに対応する電圧を出力し、ブーム下げ駆動部30bには0の電圧を出力し、指令値が負の場合には逆にする。
アーム用バルブ指令演算部9kでは、操作レバー装置14bの指令値を入力し、当該指令値がアームクラウドの指令値である場合には流量制御弁15bのアームクラウド駆動部31aに対応する電圧を出力し、アームダンプ駆動部31bには0の電圧を出力し、指令値がアームダンプの指令値である場合には逆にする。
以上のように構成した本実施形態の動作を説明する。作業例として、バケット先端の位置決めを行おうとしてブーム用操作レバー装置14aの操作レバーをブーム下げ方向に操作してブームを下げる場合(ブーム下げ動作)と、手前方向に掘削しようとしてアーム用操作レバー装置14bの操作レバーをアームクラウド方向に操作してアームクラウドする場合(アームクラウド操作)について説明する。
バケット先端の位置決めを行おうとしてブーム用操作レバー装置14aの操作レバーをブーム下げ方向に操作するとその操作レバー装置14aの指令値が最大値演算部9jに入力される。一方、これと同時に、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by=a(<0)が計算され、ブーム指令の制限値演算部9hでは制限値cに応じた負のブーム指令の制限値が計算される。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠いときは演算部9hで求めたブーム指令の制限値より操作レバー装置14aの指令値の方が大きいので、ブーム指令の最大値演算部9jでは操作レバー装置14aの指令値が選択され、この指令値は負であるで、バルブ指令演算部9iでは流量制御弁15aのブーム下げ駆動部30bに対応する電圧を出力し、ブーム上げ駆動部30aには0の電圧を出力し、これにより操作レバー装置14aの指令値に応じてブームが下がって行く。
上記のようにブームが下がり、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a(<0)は大きくなり(|a|又|c|は小さくなり)、演算部9hで求めた対応するブーム指令の制限値が操作レバー装置14aの指令値よりも大きくなると、ブーム指令の最大値演算部9jでは当該制限値が選択され、バルブ指令演算部9iでは制限値cに応じて流量制御弁15aのブーム下げ駆動部30bに出力する電圧を徐々に制限する。これにより、設定領域の境界Lに近づくにつれてブーム下げ速度が徐々に制限され、バケット先端が設定領域の境界Lに到達するとブームは停止する。したがって、バケット先端の位置決めが簡単に滑らかにできる。
また、上記の補正は速度制御であるため、フロント装置1Aの速度が極端に大きかったり、急激に操作レバー装置14aを操作した場合には、油圧回路上の遅れなど制御上の応答遅れやフロント装置1Aにかかる慣性力などによりバケット先端が設定領域の境界Lからはみ出す可能性がある。このようにバケット先端がはみ出した場合、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(=c)が正の値として計算され、バルブ指令演算部9iでは制限値cに応じた電圧を流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに出力する。これにより、ブームは距離Dに比例した速度で領域内に復元するように上げ方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lまで戻ると停止する。したがって、バケット先端の位置決めが更に滑らかに行える。
また、手前方向に掘削しようとしてアーム用操作レバー装置14bの操作レバーをアームクラウド方向に操作するとその操作レバー装置14bの指令値がアーム用バルブ指令演算部9kに入力され、流量制御弁15bのアームクラウド駆動部31aに対応する電圧を出力し、アームは手前方向に下がるよう動かされる。一方、これと同時に、操作レバー装置14bの指令値が演算部9dに入力されてアームシリンダ速度が計算され、演算部9eでアームによるバケット先端速度bが演算される。また、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byが計算される。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠く、a<by(|a|>|by|)のときは制限値cは負の値として計算され、ブーム指令の最大値演算部9jでは操作レバー装置14aの指令値(=0)が選択され、バルブ指令演算部9iでは流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30a及びブーム下げ駆動部30bに0の電圧を出力する。これにより操作レバー装置14bの指令値に応じてアームが手前方向に動かされる。
上記のようにアームが手前方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9cで計算されるバケット先端速度の制限値aは大きくなり(|a|は小さくなり)、この制限値aが演算部9eで計算されるアームによるバケット先端速度bの境界Lに垂直な成分byよりも大きくなると、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byは正の値となり、ブーム指令の最大値演算部9jでは演算部9hで計算された制限値が選択され、バルブ指令演算部9iでは制限値cに応じた電圧を流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに出力する。これにより、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分がバケット先端と境界Lからの距離Dに比例して徐々に制限されるように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに平行な成分bxとこの制限値cによる補正された速度により、図13に示すような方向変換制御が行われ、設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
ここで、掘削負荷が大きくなると、アームシリンダ3bに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下する。このため、アームによるバケット先端速度演算部9eで計算したバケット先端速度bは実際の速度よりも速くなり、この速めの速度bを基に演算部9fでブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cを計算し、ブームを上げ方向に動かす制御を行うので、アームクラウド動作に対してブーム1aの上げ速度が相対的に速くなり過ぎ、フロント装置が上がり気味になる現象が生じる。
本実施形態では、掘削負荷が大きくなり、アームシリンダ3bのボトム側の圧力Pbaが大きくなると、前記掘削負荷による制限値補正部9lにおいて、アームシリンダ負荷により制限値aを補正する。この制限値aの補正により、負荷圧Pbaが大きい場合には、負荷圧が小さいときよりバケット先端が境界Lにより近づかないと制限値aが大きくならなくなる。つまり、ブーム上げによる補正動作がより境界Lに近づかないと働かないことになる。このため、アームシリンダに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下しても、上記方向変換制御によるブーム上げの速度も低下したアーム速度にバランスし、フロント装置が上がり気味になる現象が押さえられ、負荷圧つまり掘削負荷が大きい状態でも、境界Lにより近づくように掘削できる。
また、この場合も、上記と同じ理由でバケット先端が設定領域の境界Lからはみ出す可能性がある。このようにバケット先端がはみ出した場合、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値aが正の値として計算され、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by(>0)は制限値aに比例して大きくなり、バルブ指令演算部9iから流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに出力される電圧は制限値cに応じて増大する。これにより、設定領域外では距離Dに比例したバケット先端速度で領域内に復元するように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに並行な成分bxとこの制限値cにより補正された速度により、図14に示すように設定領域の境界Lに沿って徐々に戻りながらの掘削が行える。したがって、アームをクラウドするだけで滑らかに設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
以上のように本実施形態によれば、バケット先端が設定領域内にある場合は、バケット先端速度の設定領域の境界Lに垂直な成分は、バケット先端の境界Lからの距離Dに比例して制限値aにより制限されるので、ブーム下げ動作ではバケット先端の位置決めが簡単に滑らかにでき、アームクラウド操作では、設定領域の境界に沿ってバケット先端を動かすことができ、領域を制限した掘削を能率良く円滑に行うことができる。
また、バケット先端が設定領域外では、バケット先端の境界Lからの距離Dに比例して制限値aによりフロント装置が設定領域に戻るように制御されるので、フロント装置を速く動かしたときでも設定領域の境界に沿ってフロント装置を動かすことができ、領域を制限した掘削を正確に行うことができる。
また、このとき、上記のように予め方向変換制御で減速されているので、設定領域外への侵入量は少なくなり、設定領域に戻るときのショックは大幅に緩和される。このため、フロント装置を速く動かしたときでも領域を制限した掘削を滑らかに行うことができ、領域を制限した掘削を円滑に行うことができる。
また、負荷圧つまり掘削負荷が大きい状態でも、アームシリンダに圧油が流入し難くなりアーム速度が低下しブームの上昇が勝ってフロントが上がり気味になる現象が押さえられて、境界Lにより近づくように掘削できる。そのため、掘削対象となる土壌が硬い場合でも、境界Lまでの掘削回数を少なくすることができる。
また、本実施形態における制限値aの補正は、硬い土壌など負荷の大きな掘削対象を領域制限制御を用いて掘削するとき、バケット先端が設定領域の境界に達するまでの速度ベクトル(軌跡)は問題とせず、フロント装置が掘削対象から逃げること無く最終的に境界に達すれば良いという考え方に基づいている。このため、負荷圧による制限値aの補正は正確な値を必要とせず、制御上、バケット先端が掘削対象から逃げずに掘削が行える程度の大まかな補正でよい。従って、制限値補正部9lで用いる前述した負荷圧Pbaと補正係数Ka又はKa1又はKa2との関係は厳密性を必要とせず、制限値補正部9lのソフト(プログラム)は容易に作成できる。
ここで、境界Lからの距離Dとバケット先端速度の制限値aの関係の補正方法は、図5に示したように直線の傾きを急峻にする形でなくとも良く、図15に示すように直線から曲線に除々に変化するような関係としても良い。これは、前述したように、図7、図10等に示した補正係数Ka又はKa1又はKa2を曲線の式にした場合に相当する。要は、負荷圧が大きくなるに従って境界Lからより近づいた位置でブーム上げの補正動作が行われるように制限値aを補正すれば良い。
また、本実施形態ではアームシリンダのボトム側の圧力を負荷として検出しているが、例えばアームシリンダのボトム側とロッド側との差圧を用いるか、あるいはブームシリンダ3aのロッド側に作用する圧力を負荷反力として検出しても良い。更に、それらを複合的に負荷の大きさの判定に用いても良い。
本発明の第2の実施形態を図16及び図17により説明する。本実施形態は、操作レバー装置として油圧パイロット方式を用いた油圧ショベルに適用したものである。図中、図1及び図3に示した部材又は機能と同等のものには同じ符号を付している。
図16において、本実施形態が適用される油圧ショベルは、電気方式の操作レバー装置14a〜14fの代わりに油圧パイロット方式の操作レバー装置4a〜4fを備えている。操作レバー装置4a〜4fは、パイロット圧により対応する流量制御弁5a〜5fを駆動し、それぞれオペレータにより操作される操作レバー40a〜40fの操作量と操作方向に応じたパイロット圧を、パイロットライン44a〜49bを介して、対応する流量制御弁の油圧駆動部50a〜55bに供給する。
以上のような油圧ショベルに本実施形態による領域制限掘削制御装置が設けられている。この制御装置は、図1に示す第1の実施形態で備えられていたものの他に、アーム用の操作レバー装置4bのパイロットライン45a,45bに設けられ、操作レバー装置4bの操作量としてパイロット圧を検出する圧力検出器61a,61bと、一次ポート側がパイロットポンプ43に接続され電気信号に応じてパイロットポンプ43からのパイロット圧を減圧して出力する比例電磁弁10aと、ブーム用の操作レバー装置4aのパイロットライン44aと比例電磁弁10aの二次ポート側に接続され、パイロットライン44a内のパイロット圧と比例電磁弁10aから出力される制御圧の高圧側を選択し、流量制御弁5aの油圧駆動部50aに導くシャトル弁12と、ブーム用の操作レバー装置4aのパイロットライン44bに設置され、電気信号に応じてパイロットライン44b内のパイロット圧を減圧して出力する比例電磁弁10bとが備えられている。
図17を用いて制御ユニット9Bにおける第1図の実施形態との制御機能の違いを説明する。
アームシリンダ速度演算部9Bdでは、操作レバー装置4bによる流量制御弁5bへの指令値の代わりに、圧力検出器61a,61bで検出した流量制御弁5bへの指令値(パイロット圧)とアームの流量制御弁5bの流量特性とにより、アームシリンダ速度を推定する。
また、ブームパイロット圧の制限値演算部9Bhでは、ブームの流量制御弁5aの流量特性に基づき、演算部9gで求めたブームシリンダ速度の制限値cに対応するブームのパイロット圧(指令)制限値を求める。
更に、比例電磁弁10a,10b及びシャトル弁12を設けたので、ブーム指令の最大値演算部9jは必要なくなり、その代わりバルブ指令演算部9Biでは、ブームパイロット圧の制限値演算部9Bhで得られたパイロット圧の制限値が正の場合には、ブーム上げ側の比例電磁弁10aに制限値に対応する電圧を出力し、流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を当該制限値にし、ブーム下げ側の比例電磁弁10bに0の電圧を出力して流量制御弁5aの油圧駆動部50bのパイロット圧を0にする。また、制限値が負の場合には、ブーム下げ側の流量制御弁の油圧駆動部50bのパイロット圧を制限するように制限値に対応する電圧を比例電磁弁10bに出力し、ブーム上げ側の比例電磁弁10aには0の電圧を出力し流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を0にする。
以上のように構成した本実施形態の動作を、第1の実施形態と同様ブーム下げ動作とアームクラウド操作について説明する。
バケット先端の位置決めを行おうとしてブーム用操作レバー装置4aの操作レバーをブーム下げ方向に操作するとその操作レバー装置4aの指令値であるパイロット圧がパイロットライン44bを介して流量制御弁5aのブーム下げ側の油圧駆動部50bに与えられる。一方、これと同時に、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by=a(<0)が計算され、ブームパイロット圧の制限値演算部9Bhでは制限値cに応じた負のブーム指令の制限値が計算され、バルブ指令演算部9Biではブーム下げ側の流量制御弁の油圧駆動部50bのパイロット圧を制限するように制限値に対応する電圧を比例電磁弁10bに出力し、ブーム上げ側の比例電磁弁10aには0の電圧を出力し流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を0にする。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠いときは演算部9Bhで求めたブームパイロット圧の制限値の絶対値は大きく、これより操作レバー装置4aのパイロット圧の方が小さいので、比例電磁弁10bは操作レバー装置4aのパイロット圧をそのまま出力し、これにより操作レバー装置4aのパイロット圧に応じてブームが下がって行く。
上記のようにブームが下がり、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a(<0)は大きくなり(|a|又|c|は小さくなり)、演算部9Bhで求めた対応するブーム指令の制限値(<0)の絶対値は小さくなる。そして、この制限値の絶対値が操作レバー装置4aの指令値よりも小さくなり、バルブ指令演算部9Biから比例電磁弁10bに出力される電圧がそれに応じて小さくなると、比例電磁弁10bは操作レバー装置4aのパイロット圧を減圧して出力し、流量制御弁5aのブーム下げ側の油圧駆動部50bに与えられるパイロット圧を制限値cに応じて徐々に制限する。これにより、設定領域の境界Lに近づくにつれてブーム下げ速度が徐々に制限され、バケット先端が設定領域の境界Lに到達するとブームは停止する。したがって、バケット先端の位置決めが簡単に滑らかにできる。
また、バケット先端が設定領域の境界Lからはみ出した場合は、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(=c)が正の値として計算され、バルブ指令演算部9Biでは制限値cに応じた電圧を比例電磁弁10aに出力し、ブーム上げ側の流量制御弁5aの油圧駆動部50aに制限値aに応じたパイロット圧を与える。これにより、ブームは距離Dに比例した速度で領域内に復元するように上げ方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lまで戻ると停止する。したがって、バケット先端の位置決めが更に滑らかに行える。
また、手前方向に掘削しようとしてアーム用操作レバー装置4bの操作レバーをアームクラウド方向に操作するとその操作レバー装置4bの指令値であるパイロット圧が流量制御弁5bのアームクラウド側の油圧駆動部51aに与えられ、アームは手前方向に下がるよう動かされる。一方、これと同時に、操作レバー装置4bのパイロット圧が圧力検出器61aで検出され、演算部9Bdに入力されてアームシリンダ速度が計算され、演算部9eでアームによるバケット先端速度bが演算される。また、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byが計算される。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠く、a<by(|a|>|by|)のときは制限値cは負の値として計算され、バルブ指令演算部9Biではブーム下げ側の流量制御弁の油圧駆動部50bのパイロット圧を制限するように制限値に対応する電圧を比例電磁弁10bに出力し、ブーム上げ側の比例電磁弁10aには0の電圧を出力し流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を0にする。このとき、操作レバー装置4aは操作されていないので、流量制御弁5aの油圧駆動部50bにはパイロット圧は出力されない。これにより操作レバー装置4bのパイロット圧に応じてアームが手前方向に動かされる。
上記のようにアームが手前方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9cで計算されるバケット先端速度の制限値aは大きくなり(|a|は小さくなり)、この制限値aが演算部9eで計算されるアームによるバケット先端速度bの境界Lに垂直な成分byよりも大きくなると、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byは正の値となり、バルブ指令演算部9Biではブーム上げ側の比例電磁弁10aに制限値に対応する電圧を出力し、流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を当該制限値にし、ブーム下げ側の比例電磁弁10bに0の電圧を出力して流量制御弁5aの油圧駆動部50bのパイロット圧を0にする。これにより、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分がバケット先端と境界Lからの距離Dに比例して徐々に制限されるように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに平行な成分bxとこの制限値cによる補正された速度により、図13に示すような方向変換制御が行われ、設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
ここで、掘削負荷が大きくなると、前述したようにアームシリンダ3bに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下し、上記方向変換制御によるブーム1aの上げ速度が相対的に速くなり過ぎ、フロント装置が上がり気味になる現象が生じる。
本実施形態でも、掘削負荷が大きくなり、アームシリンダ3bのボトム側の圧力Pbaが大きくなると、掘削負荷による制限値補正部9lにおいて、アームシリンダ負荷圧力により制限値aを補正する。この制限値aの補正により、負荷圧Pbaが大きい場合には、負荷圧が小さいときよりバケット先端が境界Lにより近づかないと制限値aが大きくならなくなる。つまり、ブーム上げによる補正動作がより境界Lに近づかないと働かないことになる。このため、アームシリンダに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下しても、上記方向変換制御によるブーム上げの速度も低下したアーム速度にバランスし、フロント装置が上がり気味になる現象が押さえられ、負荷圧つまり掘削負荷が大きい状態でも、境界Lにより近づくように掘削できる。
また、バケット先端が設定領域の境界からはみ出した場合は、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値aが正の値として計算され、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by(>0)は制限値aに比例して大きくなり、バルブ指令演算部9iからブーム上げ側の比例電磁弁10aに出力される電圧は制限値cに応じて増大する。これにより、設定領域外では距離Dに比例したバケット先端速度で領域内に復元するように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに並行な成分bxとこの制限値cにより補正された速度により、図14に示すように設定領域の境界Lに沿って徐々に戻りながらの掘削が行える。したがって、アームをクラウドするだけで滑らかに設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
以上のように本実施形態によれば、操作手段として油圧パイロット方式を採用したものにおいて第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第3の実施形態を図18〜図29により説明する。本実施形態は、WO95/30059号公報に記載の全操作信号補正方式の領域制限掘削制御装置に本発明を適用したものである。図中、図1又は図16及び図3又は図17に示した部材又は機能と同等のものには同じ符号を付している。
図18において、本実施形態による領域制限掘削制御装置は、図16に示す第2の実施形態で備えられていたものの他に、ブーム用の操作レバー装置4aのパイロットライン44a,44bに設けられ、操作レバー装置4aの操作量としてパイロット圧を検出する圧力検出器60a,60bと、アーム用のパイロットライン45a,45bに設置され、電気信号に応じてパイロットライン45a,45b内のパイロット圧を減圧して出力する比例電磁弁11a,11bとが備えられ、圧力検出器60a,60bの信号は制御ユニット9Cに入力され、比例電磁弁11a,11bには制御ユニット9Cから信号が与えられる。
制御ユニット9Cの制御機能を図19に示す。制御ユニット9Cは、フロント姿勢演算部9a、領域設定演算部9b、目標シリンダ速度演算部90c、目標先端速度ベクトル演算部90d、方向変換制御部90e、補正後目標シリンダ速度演算部90f、復元制御演算部90g、補正後目標シリンダ速度演算部90h、掘削負荷による制限値補正部9Cl、目標シリンダ速度選択部90i、目標パイロット圧演算部90j、バルブ指令演算部90kの各機能を有している。
フロント姿勢演算部9a及び領域設定演算部9bの機能は図3に示した第1の実施形態のものと同じである。
目標シリンダ速度演算部90cでは圧力検出器60a,60b,61a,61bで検出したパイロット圧の値を入力し、流量制御弁5a,5bの吐出流量を求め、更にこの吐出流量からブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bの目標速度を計算する。
目標先端速度ベクトル演算部90dでは、フロント姿勢演算部9bで求めたバケットの先端位置及び目標シリンダ速度演算部90cで求めた目標シリンダ速度と、制御ユニット9Cの記憶装置に記憶してあるフロント装置1Aの各部の寸法とからバケット1cの先端の目標速度ベクトルVcを求める。このとき、目標速度ベクトルVcは、図4に示したXaYa座標系の値として求める。
方向変換制御部90eでは、バケット1cの先端が設定領域内でその境界近傍にあり、目標速度ベクトルVcが設定領域の境界に接近する方向の成分を持つ場合、垂直なベクトル成分を設定領域の境界に近づくにつれて減じるように補正する。
図20に方向変換制御部90eでの制御内容をフローチャートで示す。まず、手順100において、目標速度ベクトルVcの設定領域の境界に対して垂直な成分、すなわちXaYa座標系でのYa座標値Vcyの正負を判定し、正の場合はバケット先端が設定領域の境界から離れる方向の速度ベクトルであるので、手順101に進み、目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcx及びYa座標値Vcyをそのまま補正後のベクトル成分Vcxa,Vcyaとする。負の場合はバケット先端が設定領域の境界に接近する方向の速度ベクトルであるので、手順102に進み、方向変換制御のため目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcxはそのまま補正後のベクトル成分Vcxaとし、Ya座標値Vcyはこれに係数hを乗じた値を補正後のベクトル成分Vcyaとする。
ここで、係数hは図21に示すように、バケット1cの先端と設定領域の境界との距離Yaが設定値Ya1より大きいときは1であり、距離Yaが設定値Ya1より小さくなると、距離Yaが小さくなるにしたがって1より小さくなり、距離Yaが0になると、すなわちバケット先端が設定領域の境界上に達すると0となる値であり、制御ユニット9Cの記憶装置にはこのようなhとYaの関係が記憶されている。
以上のように目標速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyを補正することにより、図22に示すように距離Yaが小さくなるにしたがって垂直方向のベクトル成分Vcyの減少量が大きくなるようベクトル成分Vcyが減じられ、目標速度ベクトルVcは目標速度ベクトルVcaに補正される。即ち、係数hは距離YaがYa1以下では垂直方向のベクトル成分Vcyを制限しており、係数hも1種の制限値と言える。
掘削負荷による制限値補正部9Clでは、圧力検出器41aからアームシリンダ3bの負荷圧Pbaを入力し、その負荷圧Pbaの大きさに従い上記の係数hを補正する。この係数hの補正は、図23に示すように、アームシリンダ3bの負荷圧力Pbaが大きくなるに従いその傾きを大きくする。同時に、距離Yaの減少に伴って係数hが小さくなり始めるポイントYa1をYa=0側へシフトしていく。方向変換制御部90eでは、この補正された係数hを用いて目標速度ベクトルVcを補正する。これにより目標速度ベクトルVcがVcaに補正されて方向変換を始めるポイントYa1がより境界(Ya=0)に近づき、掘削負荷が大きくなってもバケットが逃げにくくなる。即ち、掘削負荷が大きくなったときに係数hができるだけ境界に近づく状態で働くようになる。
図24に方向変換制御部90eでの制御の他の例をフローチャートで示す。この例では、手順100において、目標速度ベクトルVcの設定領域の境界に対して垂直な成分(目標速度ベクトルVcのYa座標値)Vcyが負と判定されると、手順102Aに進み、制御ユニット9Cの記憶装置に記憶してある図25に示すようなVcyf=f(Ya)の関数関係からバケット1cの先端と設定領域の境界との距離Yaに対応する減速したYa座標値f(Ya)を求め、このYa座標値f(Ya)とVcyの小さい方を補正後のベクトル成分Vcyaとする。このようにすると、バケット1cの先端をゆっくりと動かしているときは、バケット先端が設定領域の境界に近付いてもそれ以上は減速されず、オペレータの操作通りの動作が得られるという利点がある。
ここで、Ya座標値f(Ya)はVcyに対する制限値であり、制限値補正部9Clでは、アームシリンダ3bの負荷圧Pbaの大きさに従い上記のYa座標値f(Ya)を補正する。このYa座標値f(Ya)の補正も、図26に示すように、アームシリンダ3aの負荷圧力Pbaが大きくなるに従いその傾きを大きくする。これにより、図24のフローチャートに示された手順102Aにおいて、目標速度ベクトルVcの成分VcyがYa座標値f(Ya)より大きくなって、Vcyからf(Ya)へと選択が切り替わるポイントがより境界(Ya=0)に近づき、掘削負荷が大きくなってもバケットが逃げにくくなる。
復元制御部90gでは、バケット1cの先端が設定領域の外に出たとき、設定領域の境界からの距離に関係して、バケット先端が設定領域に戻るように目標速度ベクトルを補正する。
図27に復元制御部90gでの制御内容をフローチャートで示す。まず、手順110において、バケット1cの先端と設定領域の境界との距離Yaの正負を判定する。距離Yaが正の場合、バケット先端がまだ設定領域内にあるので手順111に進み、先に説明した方向変換制御を優先するため目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcx及びYa座標値Vcyをそれぞれ0とする。負の場合はバケット先端が設定領域の境界の外に出たので、手順112に進み、復元制御のため目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcxはそのまま補正後のベクトル成分Vcxaとし、Ya座標値Vcyは設定領域の境界との距離Yaに係数−Kを乗じた値を補正後のベクトル成分Vcyaとする。ここで、係数Kは制御上の特性から決められる任意の値であり、−KVcyは距離Yaが小さくなるにしたがって小さくなる逆方向の速度ベクトルとなる。
以上のように目標速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyを補正することにより、図28に示すように、距離Yaが小さくなるにしたがって垂直方向のベクトル成分Vcyが小さくなるよう、目標速度ベクトルVcは目標速度ベクトルVcaに補正される。
制限値補正部9Clでは、アームシリンダ3bの負荷圧力Pbaの大きさに従い上記の係数Kを補正する。この係数Kの補正は、図29に示すように、アームシリンダ3bの負荷圧力が大きくなるに従い係数Kを大きくする。これにより方向変換制御部90eの係数hの補正に合わせて係数Kを補正し、「方向変換制御」と「復元制御」の制御ゲインを合わすことができ、もし仮に負荷が大きくなって方向変換制御で方向変換が境界近くでないと働かないことで、バケットが境界を越えてしまっても、素早く戻るよう制御することができるようになる。
ただし、この復元制御の係数Kについては特にアームシリンダ3bの負荷圧力で変化させる必要が無い場合は、K=一定でもよい。
補正後目標シリンダ速度演算部90f,90hでは、制御部90e,90gで求めた補正目標速度ベクトルからブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bの目標シリンダ速度を演算する。
目標シリンダ速度選択部90iでは目標シリンダ速度演算部90f,90hで得た目標シリンダ速度の大きい方(最大値)を選択し、出力用の目標シリンダ速度とする。
目標パイロット圧演算部90jでは、目標シリンダ速度選択部90iで得た出力用の目標シリンダ速度からパイロットライン44a,44b,45a,45bの目標パイロット圧を演算する。
バルブ指令演算部90kでは、目標パイロット圧演算部90jで計算した目標パイロット圧からそのパイロット圧を得るための比例電磁弁10a,10b,11a,11bの指令値を演算する。この指令値は増幅器で増幅され、電気信号として比例電磁弁に出力される。
目標シリンダ速度演算部90c〜バルブ指令演算部90kの更なる詳細はWO95/30059号公報に記載の通りである。
以上のように構成した本実施形態においては、全操作信号補正方式の領域制限掘削制御装置において、掘削負荷が大きくなり、アームシリンダ3bのボトム側の圧力Pbaが大きくなると、掘削負荷による制限値補正部9Clにおいて、アームシリンダ負荷圧力により係数h(又はYa座標値f(Ya))を補正し、この補正により掘削負荷が大きくなってもバケットが逃げにくくなり、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第4の実施形態を図30〜図33により説明する。上記実施形態では掘削負荷による補正を制限値に加えたが、本実施形態は計算したバケット先端速度に補正を加えるものである。図中、図1、図3に示した部材又は機能と同等のものには同じ符号を付している。
図30において、本実施形態では、制御ユニット9Dに図3の掘削負荷による制限値補正部9lの代わりに掘削負荷によるバケット先端速度補正部9mを備え、演算部9eで演算したアームによるバケット先端速度bを補正する。
補正部9mの演算手段を図31にフローチャートで示す。まず、手順100において、圧力検出器41aからアームシリンダ3bの負荷圧Pbaを入力し、図32に示すアームシリンダ圧力Pbaとバケット先端速度補正係数Kvの関係からその時のバケット先端速度補正係数Kvを求める。次に、手順110において、手順100で求めた速度補正係数Kvを用いて、下記演算式によりアームによるバケット先端速度bを補正する。
b′=Kv*b
これにより、図33に示すように、バケット先端速度bはb′に補正演算され、設定領域の境界Lに垂直な速度成分もby′に補正される。このため、そのときのバケット先端位置Dにおける速度の制限値aと垂直速度成分by′との差であるブームによるバケソト先端速度の制限値c′が、補正しないときの制限値cより境界L向きに大きくなり、その結果ブームに対する上げ指令が小さくなるので、負荷が大きくなっても作業装置が逃げにくくなる。
また、本実施形態における速度bの補正も、硬い土壌など負荷の大きな掘削対象を領域制限制御を用いて掘削するとき、バケット先端が設定領域の境界に達するまでの速度ベクトル(軌跡)は問題とせず、フロント装置が掘削対象から逃げること無く最終的に境界に達すれば良いという考え方に基づいている。このため、負荷圧による速度bの補正は正確な値を必要とせず、制御上、バケット先端が掘削対象から逃げずに掘削を行える程度の大まかな補正でよい。従って、この場合も図32に示す負荷圧Pbaと補正係数Kvとの関係は厳密性を必要とせず、速度補正部9mのソフト(プログラム)を容易に作成することができる。
このように掘削負荷によりバケット先端速度を補正しても、第1の実施形態で制限値を補正したのと同様な効果を得ることができる。
なお、以上の実施形態では、設定領域の境界に対する距離としてバケットの先端からの距離について述べたが、簡易的に実施するならばアーム先端ピンからの距離をとってもよい。また、フロント装置との干渉を防止し安全性を図るために領域を設定する場合は、その干渉が起こり得る他の部位であってもよい。
また、適用される油圧駆動装置はセンタバイパスタイプの流量制御弁を有する開回路システムとしたが、クローズドセンタータイプの流量制御弁を用いた閉回路システムであってもよい。
また、バケット先端と設定領域の境界との距離とバケット先端速度の制限値又はバケット先端速度の計算値との関係は、前述したように直線的に比例する関係に限らず種々の設定が可能である。
更に、バケット先端が設定領域の境界から離れているときは、目標速度ベクトルをそのまま出力したが、この場合でも別の目的をもって当該目標速度ベクトルを補正してもよい。
また、目標速度ベクトルの設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分は設定領域の境界に対し垂直方向のベクトル成分としたが、設定領域の境界に沿った方向の動きが得られれば、垂直方向からずれていてもよい。
また、油圧パイロット方式の操作レバー装置を持つ油圧ショベルに本発明を適用した第2及び第3の実施形態では、電気油圧変換手段及び減圧手段として比例電磁弁を用いたが、これらは他の電気油圧変換手段であってもよい。
更に、第2及び第3の実施形態では全ての操作レバー装置及び流量制御弁を油圧パイロット方式としたが、少なくともブーム用とアーム用のみが油圧パイロット方式であればよい。
産業上の利用可能性
本発明によれば、領域を制限した掘削制御を用いる掘削作業において、掘削対象となる土壌の硬さに影響されずに、設定領域を境界まで掘削することができるので、追加作業を削減することができ、作業能率を向上すると共に、施工期間の遅延を抑止することができる。また、制限値又は計算した速度の補正は厳密でなくても良く、簡単なプログラムで補正を実施できる。
本発明は多関節型のフロント装置を備えた建設機械、特にアーム、ブーム、バケット等のフロント部材からなるフロント装置を備えた油圧ショベルにおいて、フロント装置の動き得る領域を制限した掘削が行える領域制限掘削制御装置に関する。
背景技術
油圧ショベルではオペレータがブームなどのフロント部材をそれぞれの手動操作レバーによって操作しているが、これらフロント部材はそれぞれが関節部によって連結され回動運動を行うものであるため、これらフロント部材を操作して所定の領域を掘削することは、非常に困難な作業である。そこで、このような作業を容易にするための領域制限掘削制御装置が、特開平8−333768号公報やWO95/30059号公報及びWO95/33100号公報に提案されている。
特開平8−333768号公報に記載の領域制限掘削制御装置は、上下方向に回動可能な複数のフロント部材により構成される多関節型のフロント装置と、前記複数のフロント部材を駆動する複数の油圧アクチュエータと、前記複数のフロント部材の動作を指示する複数の操作手段と、前記複数の操作手段の操作に応じて駆動され、前記複数の油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する複数の油圧制御弁とを備えた建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記フロント装置の動き得る領域を設定する領域設定手段と;前記フロント装置の位置と姿勢に関する状態量を検出する第1検出手段と;前記第1検出手段からの信号に基づき前記フロント装置の位置と姿勢を演算する第1演算手段と;前記複数の油圧アクチュエータのうち少なくとも第1の特定のフロント部材(例えばアーム)に係わる第1の特定のアクチュエータの駆動による前記フロント装置の速度を演算する第2演算手段と;前記第1及び第2演算手段の演算値を入力し、前記フロント装置が前記設定領域内でその境界近傍にあるとき、前記設定領域の境界に接近する方向の移動速度を制限するよう、前記複数の油圧アクチュエータのうちの少なくとも第2の特定のフロント部材(例えばブーム)に係わる第2の特定のアクチュエータの駆動による前記フロント装置の速度の制限値を演算する第3演算手段と;前記第2の特定のアクチュエータの駆動による前記フロント装置の速度が前記制限値を超えないよう前記第2の特定アクチュエータに係わる操作手段の操作信号を補正する信号補正手段とを備えており、第3演算手段で、フロント装置が設定領域内でその境界近傍にあるとき、第2の特定のフロント部材に係わる第2の特定のアクチュエータの駆動によるフロント装置の速度の制限値を演算し、信号補正手段で、第2の特定のアクチュエータの駆動によるフロント装置の速度がその制限値を超えないよう第2の特定アクチュエータに係わる操作手段の操作信号を補正することにより、設定領域の境界に対して接近する方向のフロント装置の動きを減速する方向変換制御が行われ、設定領域の境界に沿ってフロント装置を動かすことができる。これにより、バケットが設定領域の境界、すなわち設定した掘削深さを超えないように、設定領域の境界を目標掘削面とした掘削を能率良く円滑に行うことができる。
WO95/30059号公報に記載の領域制限掘削制御装置は、フロント装置が動き得る領域を予め設定しておき、制御ユニットで角度検出器からの信号に基づきフロント装置の位置と姿勢を演算し、操作レバー装置からの信号に基づきフロント装置の目標速度ベクトルを演算し、フロント装置が設定領域内でその境界近傍にないときには目標速度ベクトルを維持し、フロント装置が設定領域内でその境界近傍にあるときは設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分を減じるように目標速度ベクトルを補正し、この補正した目標速度ベクトルが得られるようにそれぞれの油圧制御弁を操作し、これにより領域を制限した掘削を能率良く円滑に行えるようにしている。
WO95/33100号公報に記載の領域制限掘削制御装置は、上記WO95/30059号公報に記載の制御装置において、油圧制御弁(流量制御弁)のメータリング特性がフロント装置の負荷によって変化することを考慮し、目標パイロット圧演算部で用いる関数関係をそのメータリング特性の負荷変化に合わせて補正し、この補正した関数関係を用いて目標パイロット圧を計算し、負荷の変化に係わらず精度の良い制御が行え、フロント装置の先端が目標速度ベクトル通りに動くようにしている。
発明の開示
一般に掘削作業を行う場合、掘削対象となる土壌の硬さは必ずしも一定ではなく、部分的に硬さが大きくなる箇所が存在することが多い。例えば、土壌の一部分の土質が他の部分より硬い土壌条件や、石、コンクリート、廃材等が土壌中に部分的に集積している土壌条件が存在する。このような土壌条件において、前述した特開平8−333768号公報に提案されている従来技術を適用し、掘削作業を行う場合、フロント装置が第2演算手段で演算したフロント装置の速度通りに動かなくなり、適切な方向変換制御が行えなくなる。
例えば、建設機械の車体の前方にフロント装置を伸ばした状態、すなわちフロントの構成要素であるブームを下げ方向に動かし、アームをブームに対して上げ方向(ダンプ方向)に操作した状態で、アームをクラウド方向に動かし、領域制限掘削制御により掘削作業を行う場合、バケットが硬い土壌部分に到達すると、アーム駆動用のアクチュエータの負荷が増大し、当該アクチュエータに圧油が流入し難くなるので、アームは指令速度よりも遅い速度でクラウド動作する。その結果、第2演算手段で演算したフロント装置の速度は実際のフロント装置の速度よりも速めとなり、この速めの速度を基に制限値が演算され、ブームを上げ方向に動かす制御が行われるので、アームクラウド動作に対しブームが上がり過ぎとなり、バケット先端が設定領域の境界に到達するまでの軌跡がその境界から上げ方向に離れ勝ちになる。
このため、上記の適用例では、バケットは硬い土壌部分を十分に掘削することができず、その硬い土壌部分の一部を掘り残し、掘削面に予想外の突出部を形成することとなり、設定領域の境界まで掘削するのに追加作業が数回必要となり、目標掘削面を形成するための作業時間が増加し、施工期限が遅延することがあった。
WO95/30059号公報に提案されている従来技術でも、同様の土壌条件においては、バケットが硬い土壌部分に到達すると、バケット先端が計算した目標速度ベクトル通りに動かず、やはりバケット先端が設定領域の境界に到達するまでの軌跡がその境界から上げ方向に離れ勝ちになり、適切な方向変換制御が行えなくなる。
WO95/33100号公報に記載の従来技術では、目標パイロット圧演算部で用いる関数関係を流量制御弁のメータリング特性の負荷変化に合わせて補正し、この補正した関数関係を用いて目標パイロット圧を演算することにより制御精度を向上し、上記のような硬い土壌部分がある条件下でもバケット先端が計算した目標速度ベクトル通りに動けるようにしている。この従来技術は、負荷に係わらずバケット先端の実際の移動速度ベクトルを計算した目標速度ベクトルに一致させ、制御精度を向上させるという考え方である。しかし、この方法では、目標パイロット圧演算部で用いる関数関係を負荷変化に応じて精度良く補正できるようにするための大量の補正データの収集や登録処理が必要であり、そのためには多大の手間暇と労力を要する。特に、領域制限掘削制御のようなブームとアームの複合操作の制御においては、アームとブームの複合状態が変わりフロント装置の姿勢が変わるとそれに応じて流量制御弁の負荷特性が変わり必要な補正量も変わるため、あらゆる複合状態を考慮して補正データを得る必要があるが、このような複合状態を考慮した補正データの収集は極めて困難である。また、製品の種類が変わり、流量制御弁が変われば、その都度データを取り直し、負荷補正データを記憶させる必要もある。
本発明の目的は、領域を制限した掘削制御を用いる掘削作業において、掘削対象となる土壌の硬さに影響されずに、設定領域を境界まで掘削することができ、しかもそのためのソフトの作成を容易に行える建設機械の領域制限掘削制御装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、上下方向に回動可能な第1及び第2フロント部材を含む複数のフロント部材により構成される多関節型のフロント装置と、前記第1及び第2フロント部材を駆動する第1及び第2油圧アクチュエータを含む複数の油圧アクチュエータと、前記第1及び第2フロント部材の動作を指示する第1及び第2操作手段を含む複数の操作手段と、前記第1及び第2操作手段の操作に応じて駆動され、前記第1及び第2油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する第1及び第2油圧制御弁を含む複数の油圧制御弁とを備えた建設機械に設けられ、前記複数の操作手段のうち少なくとも前記第1操作手段による前記フロント装置の移動速度を計算する第1演算手段と、前記フロント装置が設定領域の境界に近づくに従って絶対値が小さくなる制限値を計算する第2演算手段と、前記第1演算手段と計算したフロント装置の移動速度及び前記第2演算手段と計算した制限値を用い、前記フロント装置が前記設定領域の境界に近づくに従ってその境界に接近する方向の移動速度を減じ、境界に沿った方向には移動するよう前記複数の操作手段のうち少なくとも前記第2操作手段の操作信号を補正する信号補正手段とを備える領域制限掘削制御装置において、前記フロント装置に作用する負荷を検出する第1検出手段と;前記第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い前記制限値を補正する制限値補正手段とを備えるものとする。
以上のように構成した本発明においては、第2演算手段で、フロント装置が設定領域の境界に近づくに従って絶対値が小さくなる制限値を計算し、信号補正手段で、フロント装置が設定領域の境界に近づくに従ってその境界に接近する方向の移動速度を減じ、境界に沿った方向には移動するよう複数の操作手段のうち少なくとも第2操作手段の操作信号を補正することにより、設定領域の境界に対して方向変換制御が行われ、設定領域の境界に沿ってフロント装置を動かすことができる。これは特開平8−333768号公報やWO95/30059号公報及びWO95/33100号公報の提案技術と同じである。
そして本発明では、このような方向変換制御に際して、第1検出手段でフロント装置に作用する負荷を検出し、制限値補正手段で、第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い制限値を補正することにより、負荷が大きい場合には、負荷が小さいときよりフロント装置が設定領域の境界により近づかないと制限値が働かないようにすることができ、これにより掘削負荷でフロント装置が上がり気味になる現象が押さえられ、掘削対象となる土壌が硬く掘削負荷が大きい状態でも、土壌の硬さに影響されずに、設定領域を境界まで掘削することができる。
また、本発明は、硬い土壌など負荷の大きな掘削対象を上記制御を用いて掘削するとき、フロント装置が設定領域の境界に達するまでの速度ベクトル(軌跡)を問題にするのではなく、フロント装置が掘削対象から逃げること無く最終的に境界に達すれば良いという考え方に基づいており、そのために制限値を負荷補正している。従って、この制限値の補正は厳密性を必要とせず、メータリング特性を負荷補正する場合に比べてソフトの作成は極めて容易である。
上記において、好ましくは、前記制限値補正手段は、前記第1検出手段で検出したフロント装置に作用する負荷が大きくなるにつれて、前記設定領域の境界からより近づいた位置で制限値が働くように補正する。
また、好ましくは、前記第1検出手段が検出する前記フロント装置に作用する負荷は、前記第1油圧アクチュエータの負荷圧力である。
前記第1検出手段が検出する前記フロント装置に作用する負荷は、前記第2油圧アクチュエータの負荷圧力であってもよい。
更に、好ましくは、前記制限値補正手段で補正される制限値は、前記設定領域の境界に接近する方向の速度の制限値であり、前記信号補正手段は、前記フロント装置の速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分がその制限値を超えないよう前記第2操作手段の操作信号を補正する。
また、前記第1演算手段で計算するフロント装置の移動速度は前記フロント装置の目標速度であり、前記制限値補正手段で補正される制限値は、前記フロント装置の目標速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分を補正するための係数であり、前記信号補正手段は、この係数により補正された速度成分を持つフロント装置の目標速度が得られるよう前記第1及び第2操作手段の操作信号を補正してもよい。
更に、前記第1演算手段で計算するフロント装置の移動速度は前記フロント装置の目標速度であり、前記制限値補正手段で補正される制限値は、前記フロント装置の目標速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分の制限値であり、前記信号補正手段は、その制限値を越えないように補正された速度成分を持つフロント装置の目標速度が得られるよう前記第1及び第2操作手段の操作信号を補正してもよい。
また、前記制限値補正手段に代え、前記第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い、前記第1演算手段で計算したフロント装置の移動速度を制限する速度制限手段を備えてもよい。
更に、好ましくは、前記複数のフロント部材は油圧ショベルのブームとアームを含み、前記第1フロント部材はアームであり、前記第2フロント部材はブームである。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置をその油圧駆動装置と共に示す図である。
図2は、本発明が適用される油圧ショベルの外観を示す図である。
図3は、制御ユニットの制御機能を示す機能ブロック図である。
図4は、本実施形態の領域制限掘削制御における掘削領域の設定方法を示す図である。
図5は、バケット先端速度の制限値を求めるときの設定領域の境界からの距離との関係の一例を示す図である。
図6は、制限値補正部の演算内容の一例を示す機能ブロック図である。
図7は、図6のブロック図で用いる負荷圧と補正係数との関係を示す図である。
図8は、制限値補正部の演算内容の他の例を示す機能ブロック図である。
図9は、図8のブロック図で用いる距離と制限値の基本値との関係を示す図である。
図10は、図8のブロック図で用いる負荷圧と補正係数との関係を示す図である。
図11は、制限値補正部の演算内容の更に他の例を示す機能ブロック図である。
図12は、バケット先端が設定領域内にある場合と、設定領域の境界上にある場合と、設定領域外にある場合のブームによるバケット先端速度の補正動作の違いを示す図である。
図13は、バケット先端が設定領域内にあるときの補正動作軌跡の一例を示す図である。
図14は、バケット先端が設定領域外にあるときの補正動作軌跡の一例を示す図である。
図15は、バケット先端速度の制限値を求めるときの設定領域の境界からの距離との関係の他の例を示す図である。
図16は、本発明の第2の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置をその油圧駆動装置と共に示す図である。
図17は、制御ユニットの制御機能を示す図である。
図18は、本発明の第3の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置をその油圧駆動装置と共に示す図である。
図19は、制御ユニットの制御機能を示す図である。
図20は、方向変換制御部における処理内容を示すフローチャートである。
図21は方向変換制御部におけるバケット先端と設定領域の境界との距離Yaと係数hとの関係を示す図である。
図22はバケットの先端が演算通りに方向変換制御されたときの軌跡の一例を示す図である。
図23は、アームシリンダ負荷圧力による係数hの補正の仕方を示す図である。
図24は、方向変換制御部における他の方法による処理内容を示すフローチャートである。
図25は、方向変換制御部における距離YaとVcyf=関数f(Ya)との関係を示す図である。
図26は、アームシリンダ負荷圧力によるYa座標成分f(Ya)の補正の仕方を示す図である。
図27は、復元制御部における処理内容を示すフローチャートである。
図28はバ、ケットの先端が演算通りに復元制御されたときの軌跡の一例を示す図である。
図29は、アームシリンダ負荷圧力による復元制御で用いる係数Kの補正の仕方を示す図である。
図30は、本発明の第4の実施形態による建設機械の領域制限掘削制御装置における制御ユニットの制御機能を示す図である。
図31は、掘削負荷によるバケット先端速度補正部の処理内容を示すフローチャートである。
図32は、アームシリンダ負荷圧力とバケット先端速度補正係数との関係を示す図である。
図33は、バケット先端速度を補正することによる作用を説明する図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を油圧ショベルに適用した場合の実施形態を図面を用いて説明する。
まず、本発明の第1の実施形態を図1〜図6により説明する。
図1において、本発明が適用される油圧ショベルは、油圧ポンプ2と、この油圧ポンプ2からの圧油により駆動されるブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fを含む複数の油圧アクチュエータと、これら油圧アクチュエータ3a〜3fのそれぞれに対応して設けられた複数の操作レバー装置14a〜14fと、油圧ポンプ2と複数の油圧アクチュエータ3a〜3f間に接続され、操作レバー装置14a〜14fの操作信号によって制御され、油圧アクチュエータ3a〜3fに供給される圧油の流量を制御する複数の流量制御弁15a〜15fと、油圧ポンプ2と流量制御弁15a〜15fの間の圧力が設定値以上になった場合に開くリリーフ弁6とを有し、これらは油圧ショベルの被駆動部材を駆動する油圧駆動装置を構成している。
アームシリンダ3bのボトム側管路には、圧力検出器41aが設けられている。この圧力検出器41aは、掘削中にアームシリンダ3bに作用する負荷を圧力として検出するものである。
油圧ショベルは、図2に示すように、垂直方向にそれぞれ回動可能に連結されたブーム1a、アーム1b及びバケット1cからなる多関節型のフロント装置1Aと、上部旋回体1d及び下部走行体1eからなる車体1Bとで構成され、フロント装置1Aのブーム1aの基端は上部旋回体1dの前部に支持されている。ブーム1a、アーム1b、バケット1c、上部旋回体1d及び下部走行体1eはそれぞれブームシリンダ3a、アームシリンダ3b、バケットシリンダ3c、旋回モータ3d及び左右の走行モータ3e,3fによりそれぞれ駆動される被駆動部材を構成し、それらの動作は上記操作レバー装置14a〜14fにより指示される。
また、操作レバー装置14a〜14fは操作信号として電気信号(電圧)を出力する電気レバー方式であり、流量制御弁15a〜15fは両端に電気油圧変換手段、例えば比例電磁弁を備えた電磁駆動部30a,30b〜35a,35bを有し、操作レバー装置14a〜14fはオペレータの操作量と操作方向に応じた電圧を電気信号として対応する流量制御弁15a〜15fの電磁駆動部30a,30b〜35a,35bへ供給する。
更に、流量制御弁15a〜15fはセンターバイパスタイプの流量制御弁であり、各流量制御弁のセンタバイパス通路はセンターバイパスライン242により直列に接続されている。センターバイパスライン242の上流側は供給ライン243を介して油圧ポンプ2に接続され、下流側はタンクに接続されている。
以上のような油圧ショベルに本実施形態による領域制限掘削制御装置が設けられている。この制御装置は、予め作業に応じてフロント装置の所定部位、例えばバケット1cの先端が動き得る掘削領域の設定を指示する設定器7と、ブーム1a、アーム1b及びバケット1cのそれぞれの回動支点に設けられ、フロント装置1Aの位置と姿勢に関する状態量としてそれぞれの回動角を検出する角度検出器8a,8b,8cと、車体1Bの前後方向の傾斜角を検出する傾斜角検出器8dと、上記の圧力検出器41aと、操作レバー装置14a〜14fの操作信号、設定器7の設定信号及び角度検出器8a,8b,8cと傾斜角検出器8dと圧力検出器41aの検出信号を入力し、バケット1cの先端が動き得る掘削領域を設定すると共に、領域を制限した掘削制御を行うための操作信号の補正を行う制御ユニット9とから構成されている。
設定器7は、操作パネルあるいはグリップ上に設けられたスイッチ等の操作手段により設定信号を制御ユニット9に出力し掘削領域の設定を指示するもので、操作パネル上には表示装置等、他の補助手段があってもよい。
制御ユニット9の制御機能を図3に示す。制御ユニット9は、フロント姿勢演算部9a、領域設定演算部9b、バケット先端速度の制限値演算部9c、掘削負荷による制限値補正部9l、アームシリンダ速度演算部9d、アームによるバケット先端速度演算部9e、ブームによるバケット先端速度の制限値演算部9f、ブームシリンダ速度の制限値演算部9g、ブーム指令の制限値演算部9h、ブーム指令の最大値演算部9j、ブーム用バルブ指令演算部9i、アーム用バルブ指令演算部9kの各機能を有している。
フロント姿勢演算部9aでは、角度検出器8a〜8c及び傾斜角検出器8dで検出したブーム、アーム、バケットの回動角及び車体1Bの前後の傾斜角に基づきフロント装置1Aの位置と姿勢を演算する。
領域設定演算部9bでは、設定器7からの指示でバケット1cの先端が動き得る掘削領域の設定演算を行う。その一例を図4を用いて説明する。
図4において、オペレータの操作でバケット1cの先端を点Pの位置に動かした後、設定器7からの指示でフロント姿勢演算部9aの演算したそのときのバケット1cの先端位置を入力し、更に設定器7で指示された傾斜角ζにより制限領域の境界Lを設定する。
ここで、制御ユニット9の記憶装置にはフロント装置1A及び車体1Bの各部寸法が記憶されており、領域設定演算部9bはフロント姿勢演算部9aにてこれらのデータと、角度検出器8a,8b,8cで検出した回動角及び傾斜角検出器8dで検出した車体1Bの傾斜角を用いて点Pの位置を計算する。このとき、点Pの位置は例えばブーム1aの回動支点を原点としたXY座標系の座標値として求める。XY座標系は本体1Bに固定した垂直面内にある直交座標系である。
そして、点Pの位置と設定器7で指示された傾斜角ζにより制限領域の境界Lの直線式を立て、当該直線上に原点を持ち当該直線を一軸とする直交座標系、例えば点Pを原点とするXaYa座標系を立て、XY座標系からXaYa座標系への変換データを求める。
バケット先端速度の制限値演算部9cでは、バケット先端の境界Lからの距離Dに基づき、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aを計算する。これは制御ユニット9の記憶装置に図5に示すような関係を記憶しておき、この関係を読み出して行う。
図5において、横軸はバケット先端の境界Lからの距離Dを示し、縦軸はバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aを示し、横軸の距離D及び縦軸の速度制限値aはXaYa座標系と同じくそれぞれ設定領域外から設定領域内に向かう方向を(+)方向としている。この距離Dと制限値aの関係は、バケット先端が設定領域内にあるときには、その距離Dに比例した(−)方向の速度をバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとし、バケット先端が領域外にあるときには、その距離Dに比例した(+)方向の速度をバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとするように定められている。したがって、設定領域内では、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分が(−)方向で制限値を越えた場合だけ減速され、設定領域外では、バケット先端が(+)方向に増速されるようになる。
掘削負荷による制限値補正部9lでは、圧力検出器41aからアームシリンダ3bの負荷圧Pbaを入力し、図5の実線から二点鎖線への変化で示すように、その負荷圧Pbaの大きさに従い、バケット先端速度の制限値aの境界からの距離Dに対する関係を急峻なものとする補正を行う行う。ここで、アームシリンダ3bのボトム側圧力Pbaを負荷圧として取り込むのは、掘削作業においてアームを手前に引き込む、すなわちアームシリンダ3bのボトム側に掘削負荷に抗して圧油を流入させる操作を行うからである。また、ここで負荷圧Pbaが大きくなるに従いバケット先端速度の制限値aの境界からの距離Dに対する関係を急峻なものとするのは、掘削負荷が大きくなったときに境界に近づくときの制限値ができるだけ境界に近づく状態で働くようにするためである。
前記のバケット先端速度の制限値演算部9cでは、図5に示す負荷圧により補正された境界からの距離Dとバケット先端速度の制限値aの関係を用いて制限値aを求める。
制限値補正部9lで負荷圧Pbaの変化に応じて制限値aを補正する方法の具体例を以下に説明する。
(1)図5のD−aの関係式の補正係数(Kaとする)を予め負荷圧Pbaの関数式で求めておく方法。
図6に演算のブロック図を示し、図7に図6のブロック200で用いる関数(Ka=fka(Pba))の内容を示す。
図6のブロック200では、図7の関係式であるKa=fka(Pba)を用いてブロック210で用いる図5のD−aの関係式の係数Kaを求める。
ブロック210では、ブロック200で求めた係数Kaを用い、a=Ka・Dの関係式から制限値aを求める。
この場合、係数Kaは図5で示したD−aの関係をPbaが大きくなるに従い急峻な傾きとするため、負荷圧Pbaの増加に従い大きくなる関係を持つ。また、図7では係数Kaの初期値をPba=0の時にKa=Ka0とし、負荷圧Pbaの増加に従い係数KaがKa0以上の値をとるようにした。しかし、このPba−Kaの関係はこれに限られず、所定の負荷圧PbaのときにKa=Ka0とし、負荷圧Pbaが所定値以下の場合にKa<Ka0となるようにしても良い。また、Pba−Kaの関係は直線式でなく、曲線を示す式であっても良い。これらの関係は負荷圧Pbaの増加に伴いKaが増加する(D−aの関係が急峻になる)関係で制御上所期の目的を果たすものであれば良い。
また、ここではPba−Kaの関係を式で求めたが、この関係をテーブル化して制御ユニット9のメモリに記憶しておき、負荷圧Pbaの値に従ってテーブル値を読み出しても良い。
(2)図5の実線のD−aの関係式で制限値aを求め、その制限値aを負荷圧Pbaで補正する方法。
図8に演算のブロック図を示し、図9に図8のブロック310で用いる関数(a1=Ka・D(図5の実線の関係と同じ))の内容を示し、図10に図8のブロック300で用いる関数(Kal=fkal(Pba))の内容を示す。
ブロック310では、図9の関係からバケット先端速度の制限値aの基本値a1を求める。ブロック300では、アームシリンダの負荷圧Pbaによる基本値a1の補正係数Ka1を求める。ブロック320では、先にブロック310で求めた基本値a1にブロック300で求めた補正係数Ka1を乗じてバケット先端速度の制限値aを求める。このときのKa1とPbaの関係は図5に二点鎖線で示したようにD−aの関係が負荷圧Pbaの増加に従い急峻になるように定める。従って、制限値aの基本値a1をPba=0のときのものとすると、図10に示したようにPba=0でKa1=1であり、負荷圧Pbaの増加に従い補正係数Ka1が増加する関係となる。
このときのPba−Ka1の関係はこれに限られず、所定の負荷圧PbaのときにKa1=1とし、負荷圧Pbaが所定値以下の場合にKa1<1となるようにしても良い。また、Pba−Ka1の関係は直線式でなく、曲線を示す式であっても良い。これらの関係は負荷圧Pbaの増加に伴いKa1が増加する(D−aの関係か急峻になる)関係で制御上所期の目的を果たすものであれば良い。
また、ここではPba−Ka1の関係を式で求めたが、この関係をテーブル化して制御ユニット9のメモリに記憶しておき、負荷圧Pbaの値に従ってテーブル値を読み出しても良い。
(3)図5の実線のD−aの関係をテーブル化してメモリに記憶しておき、Dの値に相当するaをメモリから呼び出し、その後負荷圧Pbaで補正する方法。
図11に演算のブロック図を示す。
図11のブロック410では、先の図5の実線と同様の関係式からバケット先端速度の制限値aの基本値a2を求める。ここでは、図5の実線と同様のD−a2の関係をテーブル化してメモリに記憶しておく。そして、そのときの距離Dの値から基本値a2を読み出す。
ブロック400では、アームシリンダの負荷圧Pbaによる基本値a2の補正係数Ka2を求める。ブロック420では、先にブロック410で求めた基本値a2にブロック400で求めた補正係数Ka2を乗じてバケット先端速度の制限値aを求める。このときのKa2とPbaの関係は図5二に点鎖線で示したようにD−aの関係が負荷圧Pbaの増加に従い急峻になるように定める。従って、制限値aの基本値a2をPba=0のときのものとすると、図10のKa1の場合と同様、Pba=0でKa2=1であり、負荷圧Pbaの増加に従い補正係数Ka2が増加する関係となる。
アームシリンダ速度演算部9dでは、操作レバー装置14bによる流量制御弁15bへの指令値と、そのアームの流量制御弁15bの流量特性により、アームシリンダ速度を推定する。
アームによるバケット先端速度演算部9eでは、アームシリンダ速度とフロント姿勢演算部9aで求めたフロント装置1Aの位置と姿勢によりアームによるバケット先端速度bを演算する。
ブームによるバケット先端速度の制限値演算部9fでは、演算部9eで求めたアームによるバケット先端速度bを領域設定演算部9bで求めた変換データを用いてXY座標系からXaYa座標系へ変換し、アームによるバケット先端速度の境界Lに水平および垂直な成分(bx,by)を演算し、演算部9cで求めたバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとそのアームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分byにより、ブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cを演算する。これを図12を用いて説明する。
図12において、バケット先端速度の制限値演算部9cで求められるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aとアームによるバケット先端速度演算部9eで求められるアームによるバケット先端速度bの境界Lに垂直な成分byの差(a−by)がブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cであり、ブームによるバケット先端速度の制限値演算部9fではc=a−byの式より制限値cを計算する。
制限値cの意味について、バケット先端が設定領域内にある場合、境界上にある場合、設定領域外にある場合に分けて説明する。
バケット先端が設定領域内の場合には、バケット先端速度は、バケット先端の境界Lからの距離Dに比例してバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aに制限され、これよりブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分はc(=a−by)に制限される。すなわち、アームによるバケット先端速度bの垂直な成分byがcを越える場合には、ブームはcに減速される。
バケット先端が設定領域の境界L上にある場合には、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値aは0となり、設定領域外に向かうアームによるバケット先端速度成分byは速度cのブーム上げによる補正動作によってキャンセルされ、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分も0となる。
バケット先端が領域外の場合には、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分はバケット先端の境界Lからの距離Dに比例した上向きの速度aに制限されることにより、常に設定領域内に復元するように速度cのブーム上げによる補正動作が行われる。
ブームシリンダ速度の制限値演算部9gでは、ブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cとフロント装置1Aの位置と姿勢に基ずき、上記変換データを用いた座標変換によりブームシリンダ速度の制限値を演算する。
ブーム指令の制限演算部9hでは、ブームの流量制御弁15aの流量特性に基づき、演算部9gで求めたブームシリンダ速度の制限値に対応するブームの指令制限値を求める。
ブーム指令の最大値演算部9jでは、演算部9hで求めたブーム指令の制限値と操作レバー装置14aの指令値を比較し、大きい方を出力する。ここで、操作レバー装置14aの指令値はXaYa座標系と同じく、設定領域外から設定領域内に向かう方向(ブーム上げ方向)を(+)方向としている。また、演算部9jでブーム指令の制限値と操作レバー装置14aの指令値の大きい方を出力することは、バケット先端が設定領域内の場合には制限値cが(−)であることから、操作レバー指令値が(+)の場合は、操作レバー指令値を、操作レバー指令値が(−)の場合は、両者の絶対値の小さい方を出力することであり、バケット先端が領域外の場合には制限値cが(+)であることから、操作レバー指令値が(−)の場合は、制限値cを、操作レバー指令値が(+)の場合は、両者の絶対値の大きい方を出力することである。
ブーム用バルブ指令演算部9iでは、ブーム指令の最大値演算部9jから出力された指令値が正の値の場合には流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに対応する電圧を出力し、ブーム下げ駆動部30bには0の電圧を出力し、指令値が負の場合には逆にする。
アーム用バルブ指令演算部9kでは、操作レバー装置14bの指令値を入力し、当該指令値がアームクラウドの指令値である場合には流量制御弁15bのアームクラウド駆動部31aに対応する電圧を出力し、アームダンプ駆動部31bには0の電圧を出力し、指令値がアームダンプの指令値である場合には逆にする。
以上のように構成した本実施形態の動作を説明する。作業例として、バケット先端の位置決めを行おうとしてブーム用操作レバー装置14aの操作レバーをブーム下げ方向に操作してブームを下げる場合(ブーム下げ動作)と、手前方向に掘削しようとしてアーム用操作レバー装置14bの操作レバーをアームクラウド方向に操作してアームクラウドする場合(アームクラウド操作)について説明する。
バケット先端の位置決めを行おうとしてブーム用操作レバー装置14aの操作レバーをブーム下げ方向に操作するとその操作レバー装置14aの指令値が最大値演算部9jに入力される。一方、これと同時に、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by=a(<0)が計算され、ブーム指令の制限値演算部9hでは制限値cに応じた負のブーム指令の制限値が計算される。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠いときは演算部9hで求めたブーム指令の制限値より操作レバー装置14aの指令値の方が大きいので、ブーム指令の最大値演算部9jでは操作レバー装置14aの指令値が選択され、この指令値は負であるで、バルブ指令演算部9iでは流量制御弁15aのブーム下げ駆動部30bに対応する電圧を出力し、ブーム上げ駆動部30aには0の電圧を出力し、これにより操作レバー装置14aの指令値に応じてブームが下がって行く。
上記のようにブームが下がり、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a(<0)は大きくなり(|a|又|c|は小さくなり)、演算部9hで求めた対応するブーム指令の制限値が操作レバー装置14aの指令値よりも大きくなると、ブーム指令の最大値演算部9jでは当該制限値が選択され、バルブ指令演算部9iでは制限値cに応じて流量制御弁15aのブーム下げ駆動部30bに出力する電圧を徐々に制限する。これにより、設定領域の境界Lに近づくにつれてブーム下げ速度が徐々に制限され、バケット先端が設定領域の境界Lに到達するとブームは停止する。したがって、バケット先端の位置決めが簡単に滑らかにできる。
また、上記の補正は速度制御であるため、フロント装置1Aの速度が極端に大きかったり、急激に操作レバー装置14aを操作した場合には、油圧回路上の遅れなど制御上の応答遅れやフロント装置1Aにかかる慣性力などによりバケット先端が設定領域の境界Lからはみ出す可能性がある。このようにバケット先端がはみ出した場合、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(=c)が正の値として計算され、バルブ指令演算部9iでは制限値cに応じた電圧を流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに出力する。これにより、ブームは距離Dに比例した速度で領域内に復元するように上げ方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lまで戻ると停止する。したがって、バケット先端の位置決めが更に滑らかに行える。
また、手前方向に掘削しようとしてアーム用操作レバー装置14bの操作レバーをアームクラウド方向に操作するとその操作レバー装置14bの指令値がアーム用バルブ指令演算部9kに入力され、流量制御弁15bのアームクラウド駆動部31aに対応する電圧を出力し、アームは手前方向に下がるよう動かされる。一方、これと同時に、操作レバー装置14bの指令値が演算部9dに入力されてアームシリンダ速度が計算され、演算部9eでアームによるバケット先端速度bが演算される。また、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byが計算される。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠く、a<by(|a|>|by|)のときは制限値cは負の値として計算され、ブーム指令の最大値演算部9jでは操作レバー装置14aの指令値(=0)が選択され、バルブ指令演算部9iでは流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30a及びブーム下げ駆動部30bに0の電圧を出力する。これにより操作レバー装置14bの指令値に応じてアームが手前方向に動かされる。
上記のようにアームが手前方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9cで計算されるバケット先端速度の制限値aは大きくなり(|a|は小さくなり)、この制限値aが演算部9eで計算されるアームによるバケット先端速度bの境界Lに垂直な成分byよりも大きくなると、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byは正の値となり、ブーム指令の最大値演算部9jでは演算部9hで計算された制限値が選択され、バルブ指令演算部9iでは制限値cに応じた電圧を流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに出力する。これにより、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分がバケット先端と境界Lからの距離Dに比例して徐々に制限されるように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに平行な成分bxとこの制限値cによる補正された速度により、図13に示すような方向変換制御が行われ、設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
ここで、掘削負荷が大きくなると、アームシリンダ3bに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下する。このため、アームによるバケット先端速度演算部9eで計算したバケット先端速度bは実際の速度よりも速くなり、この速めの速度bを基に演算部9fでブームによるバケット先端速度の境界Lに垂直な成分の制限値cを計算し、ブームを上げ方向に動かす制御を行うので、アームクラウド動作に対してブーム1aの上げ速度が相対的に速くなり過ぎ、フロント装置が上がり気味になる現象が生じる。
本実施形態では、掘削負荷が大きくなり、アームシリンダ3bのボトム側の圧力Pbaが大きくなると、前記掘削負荷による制限値補正部9lにおいて、アームシリンダ負荷により制限値aを補正する。この制限値aの補正により、負荷圧Pbaが大きい場合には、負荷圧が小さいときよりバケット先端が境界Lにより近づかないと制限値aが大きくならなくなる。つまり、ブーム上げによる補正動作がより境界Lに近づかないと働かないことになる。このため、アームシリンダに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下しても、上記方向変換制御によるブーム上げの速度も低下したアーム速度にバランスし、フロント装置が上がり気味になる現象が押さえられ、負荷圧つまり掘削負荷が大きい状態でも、境界Lにより近づくように掘削できる。
また、この場合も、上記と同じ理由でバケット先端が設定領域の境界Lからはみ出す可能性がある。このようにバケット先端がはみ出した場合、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値aが正の値として計算され、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by(>0)は制限値aに比例して大きくなり、バルブ指令演算部9iから流量制御弁15aのブーム上げ駆動部30aに出力される電圧は制限値cに応じて増大する。これにより、設定領域外では距離Dに比例したバケット先端速度で領域内に復元するように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに並行な成分bxとこの制限値cにより補正された速度により、図14に示すように設定領域の境界Lに沿って徐々に戻りながらの掘削が行える。したがって、アームをクラウドするだけで滑らかに設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
以上のように本実施形態によれば、バケット先端が設定領域内にある場合は、バケット先端速度の設定領域の境界Lに垂直な成分は、バケット先端の境界Lからの距離Dに比例して制限値aにより制限されるので、ブーム下げ動作ではバケット先端の位置決めが簡単に滑らかにでき、アームクラウド操作では、設定領域の境界に沿ってバケット先端を動かすことができ、領域を制限した掘削を能率良く円滑に行うことができる。
また、バケット先端が設定領域外では、バケット先端の境界Lからの距離Dに比例して制限値aによりフロント装置が設定領域に戻るように制御されるので、フロント装置を速く動かしたときでも設定領域の境界に沿ってフロント装置を動かすことができ、領域を制限した掘削を正確に行うことができる。
また、このとき、上記のように予め方向変換制御で減速されているので、設定領域外への侵入量は少なくなり、設定領域に戻るときのショックは大幅に緩和される。このため、フロント装置を速く動かしたときでも領域を制限した掘削を滑らかに行うことができ、領域を制限した掘削を円滑に行うことができる。
また、負荷圧つまり掘削負荷が大きい状態でも、アームシリンダに圧油が流入し難くなりアーム速度が低下しブームの上昇が勝ってフロントが上がり気味になる現象が押さえられて、境界Lにより近づくように掘削できる。そのため、掘削対象となる土壌が硬い場合でも、境界Lまでの掘削回数を少なくすることができる。
また、本実施形態における制限値aの補正は、硬い土壌など負荷の大きな掘削対象を領域制限制御を用いて掘削するとき、バケット先端が設定領域の境界に達するまでの速度ベクトル(軌跡)は問題とせず、フロント装置が掘削対象から逃げること無く最終的に境界に達すれば良いという考え方に基づいている。このため、負荷圧による制限値aの補正は正確な値を必要とせず、制御上、バケット先端が掘削対象から逃げずに掘削が行える程度の大まかな補正でよい。従って、制限値補正部9lで用いる前述した負荷圧Pbaと補正係数Ka又はKa1又はKa2との関係は厳密性を必要とせず、制限値補正部9lのソフト(プログラム)は容易に作成できる。
ここで、境界Lからの距離Dとバケット先端速度の制限値aの関係の補正方法は、図5に示したように直線の傾きを急峻にする形でなくとも良く、図15に示すように直線から曲線に除々に変化するような関係としても良い。これは、前述したように、図7、図10等に示した補正係数Ka又はKa1又はKa2を曲線の式にした場合に相当する。要は、負荷圧が大きくなるに従って境界Lからより近づいた位置でブーム上げの補正動作が行われるように制限値aを補正すれば良い。
また、本実施形態ではアームシリンダのボトム側の圧力を負荷として検出しているが、例えばアームシリンダのボトム側とロッド側との差圧を用いるか、あるいはブームシリンダ3aのロッド側に作用する圧力を負荷反力として検出しても良い。更に、それらを複合的に負荷の大きさの判定に用いても良い。
本発明の第2の実施形態を図16及び図17により説明する。本実施形態は、操作レバー装置として油圧パイロット方式を用いた油圧ショベルに適用したものである。図中、図1及び図3に示した部材又は機能と同等のものには同じ符号を付している。
図16において、本実施形態が適用される油圧ショベルは、電気方式の操作レバー装置14a〜14fの代わりに油圧パイロット方式の操作レバー装置4a〜4fを備えている。操作レバー装置4a〜4fは、パイロット圧により対応する流量制御弁5a〜5fを駆動し、それぞれオペレータにより操作される操作レバー40a〜40fの操作量と操作方向に応じたパイロット圧を、パイロットライン44a〜49bを介して、対応する流量制御弁の油圧駆動部50a〜55bに供給する。
以上のような油圧ショベルに本実施形態による領域制限掘削制御装置が設けられている。この制御装置は、図1に示す第1の実施形態で備えられていたものの他に、アーム用の操作レバー装置4bのパイロットライン45a,45bに設けられ、操作レバー装置4bの操作量としてパイロット圧を検出する圧力検出器61a,61bと、一次ポート側がパイロットポンプ43に接続され電気信号に応じてパイロットポンプ43からのパイロット圧を減圧して出力する比例電磁弁10aと、ブーム用の操作レバー装置4aのパイロットライン44aと比例電磁弁10aの二次ポート側に接続され、パイロットライン44a内のパイロット圧と比例電磁弁10aから出力される制御圧の高圧側を選択し、流量制御弁5aの油圧駆動部50aに導くシャトル弁12と、ブーム用の操作レバー装置4aのパイロットライン44bに設置され、電気信号に応じてパイロットライン44b内のパイロット圧を減圧して出力する比例電磁弁10bとが備えられている。
図17を用いて制御ユニット9Bにおける第1図の実施形態との制御機能の違いを説明する。
アームシリンダ速度演算部9Bdでは、操作レバー装置4bによる流量制御弁5bへの指令値の代わりに、圧力検出器61a,61bで検出した流量制御弁5bへの指令値(パイロット圧)とアームの流量制御弁5bの流量特性とにより、アームシリンダ速度を推定する。
また、ブームパイロット圧の制限値演算部9Bhでは、ブームの流量制御弁5aの流量特性に基づき、演算部9gで求めたブームシリンダ速度の制限値cに対応するブームのパイロット圧(指令)制限値を求める。
更に、比例電磁弁10a,10b及びシャトル弁12を設けたので、ブーム指令の最大値演算部9jは必要なくなり、その代わりバルブ指令演算部9Biでは、ブームパイロット圧の制限値演算部9Bhで得られたパイロット圧の制限値が正の場合には、ブーム上げ側の比例電磁弁10aに制限値に対応する電圧を出力し、流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を当該制限値にし、ブーム下げ側の比例電磁弁10bに0の電圧を出力して流量制御弁5aの油圧駆動部50bのパイロット圧を0にする。また、制限値が負の場合には、ブーム下げ側の流量制御弁の油圧駆動部50bのパイロット圧を制限するように制限値に対応する電圧を比例電磁弁10bに出力し、ブーム上げ側の比例電磁弁10aには0の電圧を出力し流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を0にする。
以上のように構成した本実施形態の動作を、第1の実施形態と同様ブーム下げ動作とアームクラウド操作について説明する。
バケット先端の位置決めを行おうとしてブーム用操作レバー装置4aの操作レバーをブーム下げ方向に操作するとその操作レバー装置4aの指令値であるパイロット圧がパイロットライン44bを介して流量制御弁5aのブーム下げ側の油圧駆動部50bに与えられる。一方、これと同時に、演算部9cでは図5に示す関係からバケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by=a(<0)が計算され、ブームパイロット圧の制限値演算部9Bhでは制限値cに応じた負のブーム指令の制限値が計算され、バルブ指令演算部9Biではブーム下げ側の流量制御弁の油圧駆動部50bのパイロット圧を制限するように制限値に対応する電圧を比例電磁弁10bに出力し、ブーム上げ側の比例電磁弁10aには0の電圧を出力し流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を0にする。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠いときは演算部9Bhで求めたブームパイロット圧の制限値の絶対値は大きく、これより操作レバー装置4aのパイロット圧の方が小さいので、比例電磁弁10bは操作レバー装置4aのパイロット圧をそのまま出力し、これにより操作レバー装置4aのパイロット圧に応じてブームが下がって行く。
上記のようにブームが下がり、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a(<0)は大きくなり(|a|又|c|は小さくなり)、演算部9Bhで求めた対応するブーム指令の制限値(<0)の絶対値は小さくなる。そして、この制限値の絶対値が操作レバー装置4aの指令値よりも小さくなり、バルブ指令演算部9Biから比例電磁弁10bに出力される電圧がそれに応じて小さくなると、比例電磁弁10bは操作レバー装置4aのパイロット圧を減圧して出力し、流量制御弁5aのブーム下げ側の油圧駆動部50bに与えられるパイロット圧を制限値cに応じて徐々に制限する。これにより、設定領域の境界Lに近づくにつれてブーム下げ速度が徐々に制限され、バケット先端が設定領域の境界Lに到達するとブームは停止する。したがって、バケット先端の位置決めが簡単に滑らかにできる。
また、バケット先端が設定領域の境界Lからはみ出した場合は、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(=c)が正の値として計算され、バルブ指令演算部9Biでは制限値cに応じた電圧を比例電磁弁10aに出力し、ブーム上げ側の流量制御弁5aの油圧駆動部50aに制限値aに応じたパイロット圧を与える。これにより、ブームは距離Dに比例した速度で領域内に復元するように上げ方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lまで戻ると停止する。したがって、バケット先端の位置決めが更に滑らかに行える。
また、手前方向に掘削しようとしてアーム用操作レバー装置4bの操作レバーをアームクラウド方向に操作するとその操作レバー装置4bの指令値であるパイロット圧が流量制御弁5bのアームクラウド側の油圧駆動部51aに与えられ、アームは手前方向に下がるよう動かされる。一方、これと同時に、操作レバー装置4bのパイロット圧が圧力検出器61aで検出され、演算部9Bdに入力されてアームシリンダ速度が計算され、演算部9eでアームによるバケット先端速度bが演算される。また、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値a(<0)が計算され、演算部9fではブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byが計算される。このとき、バケット先端が設定領域の境界Lから遠く、a<by(|a|>|by|)のときは制限値cは負の値として計算され、バルブ指令演算部9Biではブーム下げ側の流量制御弁の油圧駆動部50bのパイロット圧を制限するように制限値に対応する電圧を比例電磁弁10bに出力し、ブーム上げ側の比例電磁弁10aには0の電圧を出力し流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を0にする。このとき、操作レバー装置4aは操作されていないので、流量制御弁5aの油圧駆動部50bにはパイロット圧は出力されない。これにより操作レバー装置4bのパイロット圧に応じてアームが手前方向に動かされる。
上記のようにアームが手前方向に動かされ、バケット先端が設定領域の境界Lに近づくにつれて演算部9cで計算されるバケット先端速度の制限値aは大きくなり(|a|は小さくなり)、この制限値aが演算部9eで計算されるアームによるバケット先端速度bの境界Lに垂直な成分byよりも大きくなると、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−byは正の値となり、バルブ指令演算部9Biではブーム上げ側の比例電磁弁10aに制限値に対応する電圧を出力し、流量制御弁5aの油圧駆動部50aのパイロット圧を当該制限値にし、ブーム下げ側の比例電磁弁10bに0の電圧を出力して流量制御弁5aの油圧駆動部50bのパイロット圧を0にする。これにより、バケット先端速度の境界Lに垂直な成分がバケット先端と境界Lからの距離Dに比例して徐々に制限されるように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに平行な成分bxとこの制限値cによる補正された速度により、図13に示すような方向変換制御が行われ、設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
ここで、掘削負荷が大きくなると、前述したようにアームシリンダ3bに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下し、上記方向変換制御によるブーム1aの上げ速度が相対的に速くなり過ぎ、フロント装置が上がり気味になる現象が生じる。
本実施形態でも、掘削負荷が大きくなり、アームシリンダ3bのボトム側の圧力Pbaが大きくなると、掘削負荷による制限値補正部9lにおいて、アームシリンダ負荷圧力により制限値aを補正する。この制限値aの補正により、負荷圧Pbaが大きい場合には、負荷圧が小さいときよりバケット先端が境界Lにより近づかないと制限値aが大きくならなくなる。つまり、ブーム上げによる補正動作がより境界Lに近づかないと働かないことになる。このため、アームシリンダに圧油が流入し難くなり、アーム速度が低下しても、上記方向変換制御によるブーム上げの速度も低下したアーム速度にバランスし、フロント装置が上がり気味になる現象が押さえられ、負荷圧つまり掘削負荷が大きい状態でも、境界Lにより近づくように掘削できる。
また、バケット先端が設定領域の境界からはみ出した場合は、演算部9cでは図5に示す関係からケット先端と設定領域の境界Lからの距離Dに比例したバケット先端速度の制限値aが正の値として計算され、演算部9fで計算されるブームによるバケット先端速度の制限値c=a−by(>0)は制限値aに比例して大きくなり、バルブ指令演算部9iからブーム上げ側の比例電磁弁10aに出力される電圧は制限値cに応じて増大する。これにより、設定領域外では距離Dに比例したバケット先端速度で領域内に復元するように、ブーム上げによる補正動作が行われ、アームによるバケット先端速度の補正されていない境界Lに並行な成分bxとこの制限値cにより補正された速度により、図14に示すように設定領域の境界Lに沿って徐々に戻りながらの掘削が行える。したがって、アームをクラウドするだけで滑らかに設定領域の境界Lに沿った掘削が行える。
以上のように本実施形態によれば、操作手段として油圧パイロット方式を採用したものにおいて第1の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第3の実施形態を図18〜図29により説明する。本実施形態は、WO95/30059号公報に記載の全操作信号補正方式の領域制限掘削制御装置に本発明を適用したものである。図中、図1又は図16及び図3又は図17に示した部材又は機能と同等のものには同じ符号を付している。
図18において、本実施形態による領域制限掘削制御装置は、図16に示す第2の実施形態で備えられていたものの他に、ブーム用の操作レバー装置4aのパイロットライン44a,44bに設けられ、操作レバー装置4aの操作量としてパイロット圧を検出する圧力検出器60a,60bと、アーム用のパイロットライン45a,45bに設置され、電気信号に応じてパイロットライン45a,45b内のパイロット圧を減圧して出力する比例電磁弁11a,11bとが備えられ、圧力検出器60a,60bの信号は制御ユニット9Cに入力され、比例電磁弁11a,11bには制御ユニット9Cから信号が与えられる。
制御ユニット9Cの制御機能を図19に示す。制御ユニット9Cは、フロント姿勢演算部9a、領域設定演算部9b、目標シリンダ速度演算部90c、目標先端速度ベクトル演算部90d、方向変換制御部90e、補正後目標シリンダ速度演算部90f、復元制御演算部90g、補正後目標シリンダ速度演算部90h、掘削負荷による制限値補正部9Cl、目標シリンダ速度選択部90i、目標パイロット圧演算部90j、バルブ指令演算部90kの各機能を有している。
フロント姿勢演算部9a及び領域設定演算部9bの機能は図3に示した第1の実施形態のものと同じである。
目標シリンダ速度演算部90cでは圧力検出器60a,60b,61a,61bで検出したパイロット圧の値を入力し、流量制御弁5a,5bの吐出流量を求め、更にこの吐出流量からブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bの目標速度を計算する。
目標先端速度ベクトル演算部90dでは、フロント姿勢演算部9bで求めたバケットの先端位置及び目標シリンダ速度演算部90cで求めた目標シリンダ速度と、制御ユニット9Cの記憶装置に記憶してあるフロント装置1Aの各部の寸法とからバケット1cの先端の目標速度ベクトルVcを求める。このとき、目標速度ベクトルVcは、図4に示したXaYa座標系の値として求める。
方向変換制御部90eでは、バケット1cの先端が設定領域内でその境界近傍にあり、目標速度ベクトルVcが設定領域の境界に接近する方向の成分を持つ場合、垂直なベクトル成分を設定領域の境界に近づくにつれて減じるように補正する。
図20に方向変換制御部90eでの制御内容をフローチャートで示す。まず、手順100において、目標速度ベクトルVcの設定領域の境界に対して垂直な成分、すなわちXaYa座標系でのYa座標値Vcyの正負を判定し、正の場合はバケット先端が設定領域の境界から離れる方向の速度ベクトルであるので、手順101に進み、目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcx及びYa座標値Vcyをそのまま補正後のベクトル成分Vcxa,Vcyaとする。負の場合はバケット先端が設定領域の境界に接近する方向の速度ベクトルであるので、手順102に進み、方向変換制御のため目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcxはそのまま補正後のベクトル成分Vcxaとし、Ya座標値Vcyはこれに係数hを乗じた値を補正後のベクトル成分Vcyaとする。
ここで、係数hは図21に示すように、バケット1cの先端と設定領域の境界との距離Yaが設定値Ya1より大きいときは1であり、距離Yaが設定値Ya1より小さくなると、距離Yaが小さくなるにしたがって1より小さくなり、距離Yaが0になると、すなわちバケット先端が設定領域の境界上に達すると0となる値であり、制御ユニット9Cの記憶装置にはこのようなhとYaの関係が記憶されている。
以上のように目標速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyを補正することにより、図22に示すように距離Yaが小さくなるにしたがって垂直方向のベクトル成分Vcyの減少量が大きくなるようベクトル成分Vcyが減じられ、目標速度ベクトルVcは目標速度ベクトルVcaに補正される。即ち、係数hは距離YaがYa1以下では垂直方向のベクトル成分Vcyを制限しており、係数hも1種の制限値と言える。
掘削負荷による制限値補正部9Clでは、圧力検出器41aからアームシリンダ3bの負荷圧Pbaを入力し、その負荷圧Pbaの大きさに従い上記の係数hを補正する。この係数hの補正は、図23に示すように、アームシリンダ3bの負荷圧力Pbaが大きくなるに従いその傾きを大きくする。同時に、距離Yaの減少に伴って係数hが小さくなり始めるポイントYa1をYa=0側へシフトしていく。方向変換制御部90eでは、この補正された係数hを用いて目標速度ベクトルVcを補正する。これにより目標速度ベクトルVcがVcaに補正されて方向変換を始めるポイントYa1がより境界(Ya=0)に近づき、掘削負荷が大きくなってもバケットが逃げにくくなる。即ち、掘削負荷が大きくなったときに係数hができるだけ境界に近づく状態で働くようになる。
図24に方向変換制御部90eでの制御の他の例をフローチャートで示す。この例では、手順100において、目標速度ベクトルVcの設定領域の境界に対して垂直な成分(目標速度ベクトルVcのYa座標値)Vcyが負と判定されると、手順102Aに進み、制御ユニット9Cの記憶装置に記憶してある図25に示すようなVcyf=f(Ya)の関数関係からバケット1cの先端と設定領域の境界との距離Yaに対応する減速したYa座標値f(Ya)を求め、このYa座標値f(Ya)とVcyの小さい方を補正後のベクトル成分Vcyaとする。このようにすると、バケット1cの先端をゆっくりと動かしているときは、バケット先端が設定領域の境界に近付いてもそれ以上は減速されず、オペレータの操作通りの動作が得られるという利点がある。
ここで、Ya座標値f(Ya)はVcyに対する制限値であり、制限値補正部9Clでは、アームシリンダ3bの負荷圧Pbaの大きさに従い上記のYa座標値f(Ya)を補正する。このYa座標値f(Ya)の補正も、図26に示すように、アームシリンダ3aの負荷圧力Pbaが大きくなるに従いその傾きを大きくする。これにより、図24のフローチャートに示された手順102Aにおいて、目標速度ベクトルVcの成分VcyがYa座標値f(Ya)より大きくなって、Vcyからf(Ya)へと選択が切り替わるポイントがより境界(Ya=0)に近づき、掘削負荷が大きくなってもバケットが逃げにくくなる。
復元制御部90gでは、バケット1cの先端が設定領域の外に出たとき、設定領域の境界からの距離に関係して、バケット先端が設定領域に戻るように目標速度ベクトルを補正する。
図27に復元制御部90gでの制御内容をフローチャートで示す。まず、手順110において、バケット1cの先端と設定領域の境界との距離Yaの正負を判定する。距離Yaが正の場合、バケット先端がまだ設定領域内にあるので手順111に進み、先に説明した方向変換制御を優先するため目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcx及びYa座標値Vcyをそれぞれ0とする。負の場合はバケット先端が設定領域の境界の外に出たので、手順112に進み、復元制御のため目標速度ベクトルVcのXa座標値Vcxはそのまま補正後のベクトル成分Vcxaとし、Ya座標値Vcyは設定領域の境界との距離Yaに係数−Kを乗じた値を補正後のベクトル成分Vcyaとする。ここで、係数Kは制御上の特性から決められる任意の値であり、−KVcyは距離Yaが小さくなるにしたがって小さくなる逆方向の速度ベクトルとなる。
以上のように目標速度ベクトルVcの垂直方向のベクトル成分Vcyを補正することにより、図28に示すように、距離Yaが小さくなるにしたがって垂直方向のベクトル成分Vcyが小さくなるよう、目標速度ベクトルVcは目標速度ベクトルVcaに補正される。
制限値補正部9Clでは、アームシリンダ3bの負荷圧力Pbaの大きさに従い上記の係数Kを補正する。この係数Kの補正は、図29に示すように、アームシリンダ3bの負荷圧力が大きくなるに従い係数Kを大きくする。これにより方向変換制御部90eの係数hの補正に合わせて係数Kを補正し、「方向変換制御」と「復元制御」の制御ゲインを合わすことができ、もし仮に負荷が大きくなって方向変換制御で方向変換が境界近くでないと働かないことで、バケットが境界を越えてしまっても、素早く戻るよう制御することができるようになる。
ただし、この復元制御の係数Kについては特にアームシリンダ3bの負荷圧力で変化させる必要が無い場合は、K=一定でもよい。
補正後目標シリンダ速度演算部90f,90hでは、制御部90e,90gで求めた補正目標速度ベクトルからブームシリンダ3a及びアームシリンダ3bの目標シリンダ速度を演算する。
目標シリンダ速度選択部90iでは目標シリンダ速度演算部90f,90hで得た目標シリンダ速度の大きい方(最大値)を選択し、出力用の目標シリンダ速度とする。
目標パイロット圧演算部90jでは、目標シリンダ速度選択部90iで得た出力用の目標シリンダ速度からパイロットライン44a,44b,45a,45bの目標パイロット圧を演算する。
バルブ指令演算部90kでは、目標パイロット圧演算部90jで計算した目標パイロット圧からそのパイロット圧を得るための比例電磁弁10a,10b,11a,11bの指令値を演算する。この指令値は増幅器で増幅され、電気信号として比例電磁弁に出力される。
目標シリンダ速度演算部90c〜バルブ指令演算部90kの更なる詳細はWO95/30059号公報に記載の通りである。
以上のように構成した本実施形態においては、全操作信号補正方式の領域制限掘削制御装置において、掘削負荷が大きくなり、アームシリンダ3bのボトム側の圧力Pbaが大きくなると、掘削負荷による制限値補正部9Clにおいて、アームシリンダ負荷圧力により係数h(又はYa座標値f(Ya))を補正し、この補正により掘削負荷が大きくなってもバケットが逃げにくくなり、第1及び第2の実施形態と同様の効果が得られる。
本発明の第4の実施形態を図30〜図33により説明する。上記実施形態では掘削負荷による補正を制限値に加えたが、本実施形態は計算したバケット先端速度に補正を加えるものである。図中、図1、図3に示した部材又は機能と同等のものには同じ符号を付している。
図30において、本実施形態では、制御ユニット9Dに図3の掘削負荷による制限値補正部9lの代わりに掘削負荷によるバケット先端速度補正部9mを備え、演算部9eで演算したアームによるバケット先端速度bを補正する。
補正部9mの演算手段を図31にフローチャートで示す。まず、手順100において、圧力検出器41aからアームシリンダ3bの負荷圧Pbaを入力し、図32に示すアームシリンダ圧力Pbaとバケット先端速度補正係数Kvの関係からその時のバケット先端速度補正係数Kvを求める。次に、手順110において、手順100で求めた速度補正係数Kvを用いて、下記演算式によりアームによるバケット先端速度bを補正する。
b′=Kv*b
これにより、図33に示すように、バケット先端速度bはb′に補正演算され、設定領域の境界Lに垂直な速度成分もby′に補正される。このため、そのときのバケット先端位置Dにおける速度の制限値aと垂直速度成分by′との差であるブームによるバケソト先端速度の制限値c′が、補正しないときの制限値cより境界L向きに大きくなり、その結果ブームに対する上げ指令が小さくなるので、負荷が大きくなっても作業装置が逃げにくくなる。
また、本実施形態における速度bの補正も、硬い土壌など負荷の大きな掘削対象を領域制限制御を用いて掘削するとき、バケット先端が設定領域の境界に達するまでの速度ベクトル(軌跡)は問題とせず、フロント装置が掘削対象から逃げること無く最終的に境界に達すれば良いという考え方に基づいている。このため、負荷圧による速度bの補正は正確な値を必要とせず、制御上、バケット先端が掘削対象から逃げずに掘削を行える程度の大まかな補正でよい。従って、この場合も図32に示す負荷圧Pbaと補正係数Kvとの関係は厳密性を必要とせず、速度補正部9mのソフト(プログラム)を容易に作成することができる。
このように掘削負荷によりバケット先端速度を補正しても、第1の実施形態で制限値を補正したのと同様な効果を得ることができる。
なお、以上の実施形態では、設定領域の境界に対する距離としてバケットの先端からの距離について述べたが、簡易的に実施するならばアーム先端ピンからの距離をとってもよい。また、フロント装置との干渉を防止し安全性を図るために領域を設定する場合は、その干渉が起こり得る他の部位であってもよい。
また、適用される油圧駆動装置はセンタバイパスタイプの流量制御弁を有する開回路システムとしたが、クローズドセンタータイプの流量制御弁を用いた閉回路システムであってもよい。
また、バケット先端と設定領域の境界との距離とバケット先端速度の制限値又はバケット先端速度の計算値との関係は、前述したように直線的に比例する関係に限らず種々の設定が可能である。
更に、バケット先端が設定領域の境界から離れているときは、目標速度ベクトルをそのまま出力したが、この場合でも別の目的をもって当該目標速度ベクトルを補正してもよい。
また、目標速度ベクトルの設定領域の境界に接近する方向のベクトル成分は設定領域の境界に対し垂直方向のベクトル成分としたが、設定領域の境界に沿った方向の動きが得られれば、垂直方向からずれていてもよい。
また、油圧パイロット方式の操作レバー装置を持つ油圧ショベルに本発明を適用した第2及び第3の実施形態では、電気油圧変換手段及び減圧手段として比例電磁弁を用いたが、これらは他の電気油圧変換手段であってもよい。
更に、第2及び第3の実施形態では全ての操作レバー装置及び流量制御弁を油圧パイロット方式としたが、少なくともブーム用とアーム用のみが油圧パイロット方式であればよい。
産業上の利用可能性
本発明によれば、領域を制限した掘削制御を用いる掘削作業において、掘削対象となる土壌の硬さに影響されずに、設定領域を境界まで掘削することができるので、追加作業を削減することができ、作業能率を向上すると共に、施工期間の遅延を抑止することができる。また、制限値又は計算した速度の補正は厳密でなくても良く、簡単なプログラムで補正を実施できる。
Claims (9)
- 上下方向に回動可能な第1及び第2フロント部材(1b,1a)を含む複数のフロント部材(1a-1c)により構成される多関節型のフロント装置(1A)と、前記第1及び第2フロント部材を駆動する第1及び第2油圧アクチュエータ(3b,3a)を含む複数の油圧アクチュエータ(3a-3f)と、前記第1及び第2フロント部材の動作を指示する第1及び第2操作手段(14b,14a;4b,4a)を含む複数の操作手段(14a-14f;4a-4f)と、前記第1及び第2操作手段の操作に応じて駆動され、前記第1及び第2油圧アクチュエータに供給される圧油の流量を制御する第1及び第2油圧制御弁(15b,15a;5b,5a)を含む複数の油圧制御弁(15a-15f;5a-5f)とを備えた建設機械に設けられ、
前記複数の操作手段のうち少なくとも前記第1操作手段(14b;4b)による前記フロント装置(1A)の移動速度(b;Vc)を計算する第1演算手段(9e;9Od)と、
前記フロント装置が設定領域の境界に近づくに従って絶対値が小さくなる制限値(a;h;f(Ya))を計算する第2演算手段(9c;9Oe)と、
前記第1演算手段で計算したフロント装置の移動速度及び前記第2演算手段で計算した制限値を用い、前記フロント装置が前記設定領域の境界に近づくに従ってその境界に接近する方向の移動速度を減じ、境界に沿った方向には移動するよう前記複数の操作手段のうち少なくとも前記第2操作手段(14a;4a)の操作信号を補正する信号補正手段(9f-9j;9f-9Bi,12;9Oe-9Ok,12)とを備える領域制限掘削制御装置において、
前記フロント装置(1A)に作用する負荷を検出する第1検出手段(41a)と;
前記第1検出手段によって検出された負荷の大きさに従い前記制限値(a;h;f(Ya))を補正する制限値補正手段(9l;9Cl)とを備えることを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。 - 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記制限値補正手段(9l;9Cl)は、前記第1検出手段(41a)で検出したフロント装置(1A)に作用する負荷が大きくなるにつれて、前記設定領域の境界からより近かづいた位置で制限値(a;h;f(Ya))が働くように補正することを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記第1検出手段(41a)が検出する前記フロント装置(1A)に作用する負荷は、前記第1油圧アクチュエータ(3b)の負荷圧力であることを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記第1検出手段(41a)が検出する前記フロント装置(1A)に作用する負荷は、前記第2油圧アクチュエータ(3a)の負荷圧力であることを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記制限値補正手段(9l)で補正される制限値は、前記設定領域の境界に接近する方向の速度の制限値(a;f(Ya))であり、前記信号補正手段(9f-9j;9f-9Bi,12;9Oe-9Ok,12)は、前記フロント装置(1A)の速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分がその制限値を超えないよう前記第2操作手段(14a;4a)の操作信号を補正することを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記第1演算手段(9Od)で計算するフロント装置(1A)の移動速度は前記フロント装置の目標速度(Vc)であり、前記制限値補正手段(9Cl)で補正される制限値は、前記フロント装置の目標速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分を補正するための係数(h)であり、前記信号補正手段(9Oe-9Ok,12)は、この係数により補正された速度成分を持つフロント装置の目標速度が得られるよう前記第1及び第2操作手段(14b,14a;4b,4a)の操作信号を補正することを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記第1演算手段(9Od)で計算するフロント装置(1A)の移動速度は前記フロント装置の目標速度(Vc)であり、前記制限値補正手段(9Cl)で補正される制限値は、前記フロント装置の目標速度の前記設定領域の境界に接近する方向の成分の制限値(f(Ya))であり、前記信号補正手段(9Oe-9Ok,12)は、その制限値を越えないように補正された速度成分を持つフロント装置の目標速度が得られるよう前記第1及び第2操作手段(14b,14a;4b,4a)の操作信号を補正することを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記制限値補正手段(9l;9Cl)に代え、前記第1検出手段(41a)によって検出された負荷の大きさに従い、前記第1演算手段(9e;9Od)で計算したフロント装置の移動速度(b;Vc)を制限する速度制限手段(9m)を備えることを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
- 請求項1記載の建設機械の領域制限掘削制御装置において、前記複数のフロント部材は油圧ショベルのブーム(1a)とアーム(1b)を含み、前記第1フロント部材はアーム(1b)であり、前記第2フロント部材はブーム(1a)であることを特徴とする建設機械の領域制限掘削制御装置。
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