JP3810896B2 - 硬化性樹脂および樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐湿性、可撓性に優れた変性エポキシ樹脂、および該樹脂を含んでなる樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂と不飽和一塩基酸との反応により得られる変性エポキシ樹脂(ビニルエステル樹脂)は、そのラジカル重合性により熱あるいは光により硬化させることができ、各種成形材料や塗料用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、この樹脂は硬化の際、自由体積減少に起因する内部応力蓄積という問題が不可避である。成形材料として用いた場合、これが大きいと硬化収縮によりクラック、反りが生じ、内部歪みの蓄積により耐熱性、耐湿性等の特性も低下することになる。また、塗料として用いた場合は、基材との密着不良が起こり得る。
【0004】
また、このような変性エポキシ樹脂は、光硬化→現像工程による、微細加工、画像形成に有用な感光性材料としても重宝である。
【0005】
これまでは画像形成手法としては、加熱硬化タイプや光硬化タイプの樹脂をスクリーン印刷法によってパターン形成し、転写部を熱硬化あるいは光硬化させる方法が一般的であった。しかしスクリーン印刷法ではファインパターン形成に限界があるため、画像の微細化要求に伴って、写真法の原理を応用した現像型に移行している。中でも、環境対策の点で、希薄な弱アルカリ水溶液で現像できるアルカリ現像型が主流になってきており、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートに酸無水物を反応させてカルボキシル基を導入した、カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレートが、アルカリ現像型の感光性樹脂として用いられている(例えば、特開昭61−243869号や特開昭63−258975号)。
【0006】
液状感光性樹脂組成物によるパターン形成方法は、まず基板上に液状樹脂組成物を塗布し加熱乾燥を行って塗膜を形成させた後、この塗膜にパターン形成用フィルムを圧着し、露光して、現像するという一連の工程が採用されている。上記工程において、加熱乾燥後の塗膜に粘着性が残存していると、剥離後のパターン用フィルムに一部の樹脂組成物が付着して正確なパターンの再現ができなくなったり、あるいはパターン用フィルムが剥離できない、といった問題があった。このため、塗膜形成後のタックフリー性は液状現像型の重要な要求特性である。
【0007】
また、露光後の現像性も重要な要求特性である。すなわち、ファインパターンを高い信頼性で再現性良く形成させるためには、塗膜の未露光部分が現像の際に速やかに除去されなければならない。しかし、現像性と上記タックフリー性は相反する特性であって、現像性を良好にしようとするとタックフリー性が悪化する傾向にある。
【0008】
さらに、パターン形成後に高温あるいは高湿条件下にさらされると、光硬化塗膜にクラックが生じたり、基材からの剥離が生じるという、前記した成形材料と共通する問題点も有しており、これらの重要特性を共に満足する感光性樹脂の出現が望まれていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、変性エポキシ樹脂を、熱あるいは光により重合させて得た硬化物の耐熱性、耐湿性、可撓性をバランス良く向上させること、および該樹脂を画像形成用の感光性樹脂組成物として用いた場合の、塗膜のタックフリー性、速やかな現像性、および硬化塗膜特性向上を課題とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の変性エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(イ)、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)、および不飽和一塩基酸(ハ)を反応してなるところに要旨を有するものである。アリール基を含む置換基を有するフェノキシ基を樹脂中に導入することにより、前記課題を解決し得たものである。
【0011】
本発明の変性エポキシ樹脂は、該樹脂の硬化物を得るために使用することが好ましく、耐熱性、耐湿性、可撓性等が高度に要求される電気用プリント配線基板や絶縁板といった複合材料のマトリックス樹脂として、あるいは接着剤、塗料として有用なものである。
【0012】
また、本発明の変性エポキシ樹脂に、光重合開始剤および希釈剤を加えて液状感光性樹脂組成物として使用することができ、微細加工、画像形成に有用なもので、印刷板や各種レジスト材料に使用できる。
【0013】
また本発明においては、工程途中で、アリール基を含む置換基を有するフェノキシ基を含有したエポキシ樹脂が得られる。これはアミン系や酸無水物系といった公知のエポキシ樹脂硬化剤で硬化させることができ、必要により種々の添加剤等を加えて、エポキシ樹脂組成物として利用することもできる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の変性エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(イ)、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)、および不飽和一塩基酸(ハ)を反応してなるところに要旨を有するものである。すなわち、アリール基を含む置換基を有するフェノキシ基を樹脂中に導入することにより、硬化物の耐熱性、耐湿性、可撓性をバランス良く向上させることに成功したわけである。さらに該樹脂を画像形成用の感光性樹脂組成物として用いた場合にも、塗膜のタックフリー性、速やかな現像性、および硬化塗膜特性の向上が達せられた。
【0015】
出発原料となるエポキシ樹脂(イ)としては、特に限定されず、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂であればいずれも用いることができ、ビスフェノール型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等の多官能性グリシジルアミン樹脂;テトラフェニルグリシジルエーテルエタン等の多官能性グリシジルエーテル樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂;フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール等のフェノール類やナフトール類とフェノール性水酸基を有する有する芳香族アルデヒドとの縮合反応により得られる多価フェノール化合物とエピクロルヒドリンとの反応物;フェノール類とジビニルベンゼンやジシクロペンタジエン等のジオレフィン化合物との付加反応により得られる多価フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応物;4−ビニルシクロヘキセン−1−オキサイドの開環重合物を過酸でエポキシ化したもの;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環を有するエポキシ樹脂;等が挙げられる。また、これらの各エポキシ樹脂と、多塩基酸、多価フェノール化合物、多官能アミノ化合物あるいは多価チオール等の鎖延長剤との反応によって鎖延長したものも使用できる。
【0016】
アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)としては、例えば、フェニルフェノール、クミルフェノール、ヒドロキシジフェニルメタン、4−フェノキシフェノール、ヒドロキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0017】
不飽和一塩基酸(ハ)とは、1個のカルボキシル基と1個以上の重合性不飽和結合を有する一塩基酸のことであり、好ましい具体例としてはアクリル酸、メタクリル酸、1個のヒドロキシル基と2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレートと後述の多塩基酸無水物のうちの二塩基酸無水物との反応物であるカルボキシル基含有多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
エポキシ樹脂(イ)とアリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)および不飽和一塩基酸(ハ)との反応は、まずエポキシ樹脂(イ)と不飽和一塩基酸(ハ)を反応させ、次いでアリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)を反応させる方法、あるいはエポキシ樹脂(イ)と不飽和一塩基酸(ハ)、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)を同時に反応させる方法、さらにはエポキシ樹脂(イ)とアリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)をまず反応させ、次いで不飽和一塩基酸(ハ)と反応させる方法等があり、いずれも採用することができる。
【0019】
エポキシ樹脂(イ)中のエポキシ基の1化学当量に対する、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)は0.01〜0.6モル、不飽和一塩基酸(ハ)は0.4〜0.99モル、(ロ)および(ハ)の合計として0.8〜1.1モルとするのがよい。フェノール(ロ)が0.6モルを越えて大きくなると硬化性が低下し、逆に、0.01モル比より小さくなると可撓性付与効果が得られず、共に好ましくない。また、この合計量が0.8モル未満の少量では、アリール基を含む置換基を有するフェノキシ基または重合性不飽和結合の導入が不充分となり、得られる樹脂組成物の硬化性が低下する。また、この合計量を1.1モルを越える多量としても、未反応で残存するアリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)または不飽和一塩基酸(ハ)が増し、これら低分子量物による硬化物特性低下を引き起こし、好ましくない。
【0020】
本発明では、エポキシ樹脂(イ)とアリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)および不飽和一塩基酸(ハ)との反応を、(ロ)と(ハ)をエポキシ樹脂(イ)と同時にあるいは段階的に、前記した割合で、後述の希釈剤の存在下あるいは非存在下で、ハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤、およびトリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等の反応触媒の共存下、通常80〜130℃で行うことにより変性エポキシ樹脂(ニ)が得られる。
【0021】
また、本発明では上記の様にして生成した変性エポキシ樹脂(ニ)中には前述のアリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)あるいは不飽和一塩基酸(ハ)との反応によりエポキシ基が開環して生成したヒドロキシル基が存在しており、このヒドロキシル基と多塩基酸無水物を反応させることにより、アルカリ現像可能なカルボキシル基含有変性エポキシ樹脂を得ることができる。
【0022】
多塩基酸無水物としては無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3,6−エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、トリメリット酸等の二塩基酸無水物、あるいはビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族あるいは芳香族四塩基酸二無水物等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
【0023】
これらの多塩基酸無水物と変性エポキシ樹脂(ニ)との反応においては、多塩基酸無水物の使用量は、変性エポキシ樹脂(ニ)中のヒドロキシル基1化学当量に対し、0.1〜1.1モルが適しており、希釈剤の存在下または非存在下でハイドロキノンや酸素等の重合禁止剤の存在下、通常50〜130℃で行う。このとき必要に応じて、トリエチルアミン等の三級アミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、トリフェニルフォスフィン等のリン化合物等を触媒として添加してもよい。
【0024】
以上によりアリール基を含む置換基を有するフェノキシ基と重合性不飽和結合を有する変性エポキシ樹脂、あるいはさらにカルボキシル基をも有するアルカリ現像可能な変性エポキシ樹脂が得られる。また、本発明においてはこれらの変性エポキシ樹脂と、該変性エポキシ樹脂が有する官能基と反応性を有する基を分子内に2個以上有する化合物(鎖延長剤)とを反応させることにより高分子量化された変性エポキシ樹脂を得ることができる。このような鎖延長剤としては、アリール基を含む置換基を有するフェノールあるいは不飽和一塩基酸との反応により生成するヒドロキシル基に対してはジイソシアネート化合物を、カルボキシル基含有変性エポキシ樹脂中のカルボキシル基に対してはジエポキシ化合物やジオキサゾリン化合物を例として挙げることができる。
【0025】
本発明においては、上記記載の変性エポキシ樹脂および重合開始剤を必須成分として、必要によりその他の成分として後述のラジカル重合性不飽和単量体や広範囲のラジカル重合性不飽和オリゴマーを併用した硬化性樹脂組成物として用いることができる。
【0026】
ラジカル重合性不飽和オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等が挙げられ、その用途に応じて種々の性状のものを用いることができる。
【0027】
ラジカル重合性不飽和単量体は、用途、要求特性を考慮して適宜選択され、具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルベンゼンホスホネート等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、アジピン酸ビニル等のビニルエステルモノマー類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、β−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル)−メチル(メタ)アクリレート、(ジ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;トリアリルシアヌレート、等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0028】
本発明の樹脂組成物を実際に硬化させて使用する際には、(熱あるいは光)重合開始剤が用いられる。
【0029】
熱重合開始剤としては公知のものを使用でき、具体的にはメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド等の有機過酸化物やアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物が挙げられる。また、熱重合時には硬化促進剤を混合して使用してもよく、硬化促進剤としては、ナフテン酸コバルトやオクチル酸コバルト等あるいは3級アミンが代表例として挙げられる。熱重合開始剤は、樹脂組成物中(必要により使用されるラジカル重合性不飽和単量体も樹脂重量中に含む)100重量部に対し、0.05〜5重量部の使用が好ましい。
【0030】
また、離型剤、滑剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、重合抑制剤、充填剤、増粘剤、顔料、その他の公知の添加剤を用途に応じて使用してもよい。さらに、各種強化繊維を補強用繊維として用い、繊維強化複合材料とすることができる。
【0031】
また本発明で利用できる光重合開始剤としては公知のものを使用でき、具体的にはベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)アセトフェノン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等のチオキサントン類;アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン、4−(1−t−ブチルジオキシ−1−メチルエチル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラキス(t−ブチルジオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オンや2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1;アシルホスフィンオキサイド類およびキサントン類等が挙げられる。
【0032】
これらの光重合開始剤は1種または2種以上の混合物として使用され、光硬化性樹脂100重量部に対し、0.5〜30重量部含まれていることが好ましい。光重合開始剤の量が0.5重量部より少ない場合には、光照射時間を増やさなければならなかったり、光照射を行っても重合が起こりにくかったりするため、適切な表面硬度が得られなくなる。また光重合開始剤の量が30重量部を越えても、多量に使用するメリットはない。
【0033】
本発明の樹脂組成物を画像形成等、基材に塗布し、光照射して硬化塗膜を得るための液状感光性樹脂組成物として使用する際には、前記のラジカル重合反応に参加できるラジカル重合性不飽和単量体以外の溶媒を用いることができる。
【0034】
溶媒としてはトルエン、キシレン等の炭化水素類;セロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類;カルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類;セロソルブアセテート、カルビトールアセテート等のエステル類;メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。
【0035】
これらの溶媒または前記ラジカル重合性不飽和単量体は、1種または2種以上混合して使用することができ、塗布方法により最適粘度に合わせて配合することが好ましい。
【0036】
本発明の変性エポキシ樹脂を用いて感光性樹脂組成物を構成する際には、以上説明した(カルボキシル基含有)変性エポキシ樹脂、光重合開始剤、および希釈剤に、さらに必要に応じて、タルク、クレー、硫酸バリウム等の充填材、着色用顔料、消泡剤、カップリング剤、レベリング剤等や、ノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネート等のエポキシ樹脂およびジシアンジアミド、イミダゾール化合物等のエポキシ硬化剤等を添加することもできる。
【0037】
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ現像可能なものは光が照射されていない部分がアルカリ水溶液に溶解するので、アルカリ現像ができる。現像に使用できるアルカリとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;アンモニア;モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジメチルプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリエチレンイミン等の水溶性有機アミン類が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%は重量基準である。
【0039】
(実施例1)
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂YDCN−703(東都化成製、エポキシ当量200)400部に、フェニルフェノール68部、アクリル酸120部、エチルカルビトールアセテート252部、トリフェニルフォスフィン3部及びメチルハイドロキノン0.5部を加え、110℃で12時間反応させ、酸価8の硬化性樹脂を70%含むエチルカルビトールアセテートとの混合物(A−1)を得た。
【0040】
(実施例2)
実施例1で得られた混合物400部に、テトラヒドロ無水フタル酸86部を加え、100℃で5時間反応させ、酸価97の硬化性樹脂を75%含むエチルカルビトールアセテートとの混合物(A−2)を得た。
【0041】
(実施例3)
実施例2で得られた混合物200部に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂GY−250(チバガイギー製、エポキシ当量185)4部を加え、110℃で5時間反応させ、酸価87の硬化性樹脂を76%含むエチルカルビトールアセテートとの混合物(A−3)を得た。
【0042】
(実施例4)
フェノールノボラック型エポキシ樹脂EPPN−201(日本化薬製、エポキシ当量187)400部に、4−フェノキシフェノール119部、アクリル酸56部、メタクリル酸67部、エチルカルビトールアセテート275部、トリフェニルフォスフィン3部及びメチルハイドロキノン0.5部を加え、110℃で12時間反応させ、酸価8の硬化性樹脂を70%含むエチルカルビトールアセテートとの混合物(A−4)を得た。
【0043】
(実施例5)
実施例4で得られた混合物400部に、テトラヒドロ無水フタル酸85部を加え、100℃で5時間反応させ、酸価96の硬化性樹脂を75%含むエチルカルビトールアセテートとの混合物(A−5)を得た。
【0044】
(比較合成例1)
実施例1において用いたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂400部に、アクリル酸148部、エチルカルビトールアセテート235部、トリフェニルフォスフィン3部及びメチルハイドロキノン0.5部を加え、110℃で10時間反応させ、酸価9の比較用硬化性樹脂を70%含むエチルカルビトールアセテートとの比較混合物(B−1)を得た。
【0045】
(比較合成例2)
比較合成例1で得られた混合物400部に、テトラヒドロ無水フタル酸93部を加え、100℃で5時間反応させ、酸価102の比較用硬化性樹脂を76%含むエチルカルビトールアセテートとの比較混合物(B−2)を得た。
【0046】
(実施例6〜10及び比較例3〜4)
得られた各混合物について、表1に示す配合組成に従って液状樹脂組成物を配合し、以下の方法による評価を行った。結果を表2に示す。
【0047】
〈タックフリー性評価〉
各液状樹脂組成物を脱脂洗浄した厚さ1.6mmの銅張積層板上に20〜30μmの厚さに塗布し、熱風循環式乾燥炉中において80℃で乾燥し塗膜を得た。この塗膜のタックフリー性を指触により評価した。
【0048】
○:全くタックが認められない
△:わずかにタックが認められる
×:顕著にタックが認められる
〈現像性評価〉
タックフリー性評価のときと同様に塗膜を形成し、得られた乾燥塗膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、あるいは1%Na2CO3水溶液を使用して30℃で80秒間現像を行い、残存する樹脂を目視で評価した。
【0049】
○:完全に現像されている
×:付着物が残る
〈耐煮沸性評価〉
タックフリー性評価のときと同様に塗膜を形成し、1Kwの超高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光量を照射し、塗膜を硬化させた。次いでこの得られた硬化塗膜を150℃で30分の条件にて加熱した後に、煮沸したイオン交換水中に1分間浸漬し、浸漬後の塗膜の状態を評価した。
【0050】
○:塗膜の外観に異常なし
×:塗膜の一部に膨潤、剥離あり
〈密着性評価〉
タックフリー性評価のときと同様に塗膜を形成し、1Kwの超高圧水銀灯を用いて500mJ/cm2の光量を照射し、塗膜を硬化させた。次いでこの得られた硬化塗膜を150℃で30分の条件にて加熱した後に、粘着テープによるピーリング試験を行い、密着性を目視で評価した。
【0051】
○:密着性良好
×:剥離あり
【0052】
【表1】
Figure 0003810896
【0053】
【表2】
Figure 0003810896
【0054】
【発明の効果】
本発明により得られた変性エポキシ樹脂は、通常の硬化性樹脂と同様に使用することができ、その硬化物物性の点で優位であることから、性能が高度に要求される電子部品関係等の用途において特に有用である。

Claims (13)

  1. 1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(イ)、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)、および不飽和一塩基酸(ハ)を反応してなる変性エポキシ樹脂(ニ)に、該樹脂(ニ)が有する官能基と反応性を有する基を分子内に2個以上有する化合物(鎖延長剤)を反応してなる高分子量化変性エポキシ樹脂。
  2. 1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(イ)、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)、および不飽和一塩基酸(ハ)を反応してなる変性エポキシ樹脂(ニ)に、多塩基酸無水物を反応させてカルボキシル基含有変性エポキシ樹脂を得て、このカルボキシル基含有変性エポキシ樹脂に該樹脂が有する官能基と反応性を有する基を分子内に2個以上有する化合物(鎖延長剤)を反応してなるカルボキシル基含有高分子量化変性エポキシ樹脂。
  3. (イ)のエポキシ基1化学当量に対して、(ロ)が0.01〜0.6モルである請求項1または2に記載の高分子量化変性エポキシ樹脂。
  4. (イ)のエポキシ基1化学当量に対して、(ハ)が0.4〜0.99モルである請求項1〜3のいずれかに記載の高分子量化変性エポキシ樹脂。
  5. (イ)のエポキシ基1化学当量に対して、(ロ)および(ハ)の合計が0.8〜1.1モルである請求項1〜4のいずれかに記載の高分子量化変性エポキシ樹脂。
  6. (ロ)のアリール基を含む置換基が、下記から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれかに記載の高分子量化変性エポキシ樹脂。
    Figure 0003810896
  7. 該変性エポキシ樹脂(ニ)中のヒドロキシル基1化学当量に対し、多塩基酸無水物が0.1〜1.1モルの割合で反応してなる請求項2に記載のカルボキシル基含有高分子量化変性エポキシ樹脂。
  8. (1)1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂(イ)、アリール基を含む置換基を有するフェノール(ロ)、および不飽和一塩基酸(ハ)を反応してなる変性エポキシ樹脂(ニ)、
    (2)上記変性エポキシ樹脂(ニ)に、該樹脂(ニ)が有する官能基と反応性を有する基を分子内に2個以上有する化合物(鎖延長剤)を反応してなる高分子量化変性エポキシ樹脂、
    (3)上記変性エポキシ樹脂(ニ)に、多塩基酸無水物を反応してなるカルボキシル基含有変性エポキシ樹脂、および
    (4)上記カルボキシル基含有変性エポキシ樹脂に、該樹脂が有する官能基と反応性を有する基を分子内に2個以上有する化合物(鎖延長剤)を反応してなるカルボキシル基含有高分子量化変性エポキシ樹脂
    よりなる群から選択される変性エポキシ樹脂と重合開始剤を必須成分としてなる硬化性樹脂組成物。
  9. (イ)のエポキシ基1化学当量に対して、(ロ)が0.01〜0.6モルである請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
  10. (イ)のエポキシ基1化学当量に対して、(ハ)が0.4〜0.99モルである請求項8または9に記載の硬化性樹脂組成物。
  11. (イ)のエポキシ基1化学当量に対して、(ロ)および(ハ)の合計が0.8〜1.1モルである請求項8〜10のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
  12. (ロ)のアリール基を含む置換基が、下記から選ばれる少なくとも1種である請求項8〜11のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物。
    Figure 0003810896
  13. 上記(3)のカルボキシル基含有変性エポキシ樹脂が、変性エポキシ樹脂(ニ)中のヒドロキシル基1化学当量に対し、多塩基酸無水物が0.1〜1.1モルの割合で反応してなるものである請求項8に記載の硬化性樹脂組成物。
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