JP3810763B2 - 禅箪収納構造 - Google Patents

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Description

本発明は、寺院の本堂、禅堂等といった坐禅修行が執り行われる建物において、禅箪を床下へ収納可能とした禅箪収納構造に関するものである。
従来、上記のような建物の床面には禅箪が設置されている。この禅箪は、略箱状に形成され、建物の床面に固定されている。そして、当該禅箪の座面上で坐禅を組むことができるように、同座面には畳が敷かれている。また、当該禅箪は、坐禅修行時に直日(僧侶)が修行者を警策(棒)で戒めやすくするため、その座面は床面よりも高い位置に配設されている。
ところが、前記禅箪は建物の床面に固定されていることから同禅箪を移動させたり、片付けたり等することができず、禅箪が設置されたスペースを坐禅修行以外の目的で使用することができないという問題があった。特に、近年は修行僧ばかりではなく一般人も坐禅修行に参加するようになっており、スペースの限られた小さな寺院では、坐禅修行用のスペースを確保することが難しかった。
本発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、禅箪が設けられたスペースを坐禅修行以外の目的で使用することができる禅箪収納構造を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項に記載の禅箪収納構造の発明は、禅修行を執り行う建物の床上に設けられた禅箪と、同禅箪と対応する位置で床面に設けられた開口部と、同開口部を介して前記禅箪を前記建物の床下から支持する禅箪昇降機構とを備え、前記禅箪は、前記禅箪昇降機構に取着された支持基体と、当該支持基体によって下方から支持された座部とを有し、前記開口部を介して該禅箪昇降機構で下降させることにより、床上に出現した使用状態から床下に収納された収納状態へと変位して前記座部の座面が建物の床面を構成するものであって、前記座部の端部は前記支持基体の前面よりも外方へ突出されるとともに、該突出された座部の端部の下面には、前記禅箪の床下収納時に前記座部の端部下面および前記支持基体の前面によって形作られる空間内に折り畳まれた状態で収容される禅卓が回動自在に取着されており、前記禅箪を使用状態としたときに当該禅箪と前記開口部との間に形成される隙間には、弾性体からなる付勢部材によって上方に移動されるように付勢された支持棒と、該支持棒の上端に固着された長板状の間詰板とを備えた間詰手段が配置されており、前記禅箪が床下に収納された収納状態のときには前記座部の端部下面に収容された前記禅卓が前記間詰板を介して前記支持棒を下方へ押圧する一方、前記禅箪が床上に出現される使用状態のときには前記付勢部材によって付勢された前記支持棒の上方への移動に伴って前記間詰板が上方へ移動して前記隙間を塞ぐことを要旨とする。
請求項に記載の禅箪収納構造の発明は、請求項1に記載の発明において、前記禅箪昇降機構は、禅箪が螺着される支持部材と、同支持部材を回転駆動させる駆動手段と、前記禅箪の昇降方向を案内するガイド手段とを備え、前記駆動手段により前記支持部材を回転駆動させた際に、前記禅箪を前記ガイド手段により上下方向への移動を許容しつつ回動を規制した状態で螺進又は螺退させることによって禅箪を下降又は上昇させるものであることを要旨とする。
本発明によれば、禅箪が設けられたスペースを坐禅修行以外の目的で使用することができる禅箪収納構造を提供することができる。
以下、本発明の禅箪収納構造を寺院の本堂に具体化した実施形態について図面に基づいて説明する。
図2は、坐禅修行を執り行う建物である寺院の本堂の概略を示す平面図である。本堂10は、敷居、襖等の仕切手段11により、その内部が複数の座に仕切られている。これら座のうち本堂10の略中心に配置された座は、法要等といった仏事の際に僧侶が控える大間12である。この大間12に対して北方(図2中で上方)に配置された座は、祭壇、仏像等が安置される内陣13である。大間12に対して東方及び西方(図2中でそれぞれ右方及び左方)に配置された座は、脇の間である東の間14及び西の間15である。また、大間12、東の間14及び西の間15の南方(図2中で下方)に配置された3つの座は露地16である。これら大間12、東の間14、西の間15及び露地16の床面は、畳面となっている。そして、この実施形態の禅箪収納構造は前記の各露地16に設けられており、これら露地16を利用して坐禅修行が行われるようになっている。
図1(a)は禅箪収納構造において禅箪の使用状態を示す斜視図であり、図3は同状態を示す正断面図であり、図5は同状態を示す側断面図である。当該禅箪収納構造は、前記露地16の床面17に設けられた開口部20と、床下に設置された禅箪昇降機構30と、床上に立設された禅箪40とを備えている。該開口部20は禅箪40と対応する位置で床面17を構成する畳、床板等を取り除くことによって形成されており、同開口部20を介して床上の空間と床下の空間とが連通されている。なお、当該開口部20の周囲に配設された畳21は一般的なサイズの畳であり、これに合わせるように開口部20は一般的なサイズの畳とほぼ同じサイズとされている。
前記禅箪昇降機構30について説明する。前記床下の空間には、一対の基台33が所定間隔をおいて設置されている。これら基台33の間には駆動力伝達軸34が架設されるとともに、同駆動力伝達軸34にはモータ35が接続されている。これら基台33、駆動力伝達軸34、モータ35等により、禅箪昇降機構30の駆動手段が構成されている。各基台33の上面には支持部材36がそれぞれ垂設されている。これら支持部材36は円柱状に形成されており、その表面には雄ねじが螺刻されている。当該支持部材36は、図示しない基台33の内部で、その基端部がウォームギア等を介して駆動力伝達軸34の端部に接続されている。
これら基台33、駆動力伝達軸34、モータ35等の駆動手段と、支持部材36とによって禅箪昇降機構30が構成されている。支持部材36は、モータ35により駆動力伝達軸34を回転させると、同駆動力伝達軸34を介して駆動力が伝達されることに伴い、その軸線を中心に回転駆動されるよう構成されている。また、各支持部材36は、同じ駆動力伝達軸34の両端部にそれぞれ接続されており、互いにほぼ同じ回転速度(回転数)で回転駆動されるよう構成されている。なお、前記モータ35は駆動力伝達軸34の回転駆動を正転又は逆転させることが可能なものであり、当該支持部材36は、駆動力伝達軸34の回転方向に応じて正回転又は逆回転する。加えて、各支持部材36は、互いに同方向へ回転するよう構成されている。
前記禅箪40について説明する。当該禅箪40は、支持基体41と同支持基体41によって下方から支持された座部42とを有している。該支持基体41は、横長四角筒状に形成され、その内部に設けられたフレーム43によって補強されている。また、この支持基体41の内部には、図示しない複数枚の仕切壁が箱状に配設されることにより、収納スペースが設けられている。該座部42は、座面42a上で坐禅を組むことができるように、一般的なサイズの畳とほぼ同じサイズの畳で形成されている。また、この座部42は、支持基体41のフレーム43に対して回動可能に取着されることにより、支持基体41の上部開口を閉塞する蓋体としての機能も備えている。そして、当該禅箪40は、図5に二点鎖線で示したように、蓋体である座部42を回動させて支持基体41の上部開口を開放することにより、前記収納スペースに座布団等の日用品を収納可能に構成されている。
前記支持基体41の底部でフレーム43には、前記支持部材36と対応する位置となるように、ガイドフレーム51が取付けられている。当該ガイドフレーム51は角材を組み合わせることによって四角枠状に形成され、その上辺部53で前記フレーム43に固着されている。また、ガイドフレーム51の底辺部52にはその略中心部に雌ねじ孔54が螺設されており、該雌ねじ孔54と対応する位置となるように、上辺部53には挿通孔54aが透設されている。このガイドフレーム51の雌ねじ孔54に前記支持部材36の上端部が螺挿されることにより、当該ガイドフレーム51は支持部材36の上部に位置決めされた状態で配置されている。従って、禅箪40は、支持基体41がガイドフレーム51を介して支持部材36に螺合されるとともに、ガイドフレーム51が支持部材36上で位置決めされた状態とされている。この状態で禅箪40は支持部材36によって床下から支持されており、床上に出現した使用状態とされる。
前記禅箪昇降機構30を構成する各基台33の近傍位置にはガイド柱61がそれぞれ立設されている。これらガイド柱61は、それぞれ下端で固定されるとともに、前記ガイドフレーム51に対向する側面にはガイドレール62が同ガイド柱61の長手方向へ延びるように突設されている。一方、ガイドフレーム51において、ガイド柱61に対向する側面にはガイド爪55が突設されている。このガイド爪55は、ガイドレール62に係合されている。これらガイドフレーム51、ガイド柱61等によって禅箪昇降機構30のガイド手段が構成されている。そして、当該ガイド手段によるガイド爪55とガイドレール62との係合関係は、ガイド柱61に対するガイドフレーム51の上下方向への移動を許容し、ガイド柱61に対するガイドフレーム51の横方向への移動及びガイドフレーム51の支持部材36に対する回動を規制している。従って、当該ガイドフレーム51は支持部材36の回転駆動時に同支持部材36に対して下方へ螺進又は上方へ螺退されるようになっている。
図1(b)は禅箪収納構造において禅箪の収納状態を示す斜視図であり、図4は同状態を示す正断面図であり、図6は同状態を示す側断面図である。この状態で、前記ガイドフレーム51は、支持部材36に対して下方へ螺進されることにより、支持部材36の下部に位置決めされた状態で配置されている。禅箪40は、支持部材36に対するガイドフレーム51の移動に伴って床下へと下降しており、その支持基体41が床下に収納されることによって収納状態とされている。なお、前記収納スペースを形作る仕切壁は、禅箪40が収納状態で支持部材36及びガイド柱61を避けるように配設されており、当該収納状態における仕切壁と支持部材36及びガイド柱61との干渉が防止されている。
一方、禅箪40が収納状態で、座部42は前記開口部20を塞ぐ蓋体として機能している。また、座部42の上面である座面42aは、開口部20の周囲に配設された畳21の表面と略面一となることにより、これら畳21の表面とともに床面17を構成している。この座部42は、畳製であるとともに周囲に配設された畳21と同一サイズであるため、床面17上で座面42aと周囲に配設された畳21の表面とを一瞥で見分けることはほぼ不可能である。さらに、当該座部42の周面42bは下方へ向かうに従って互いに接近するテーパ状に形成され、これに対応して開口部20の内周面20aは下方へ向かうに従って互いに接近するテーパ状に形成されている。これらテーパ状に形成された座部42の周面42b及び開口部20の内周面20aにより、禅箪40が収納状態で当該禅箪40の座部42と開口部20との間に形成される隙間を埋める隙間埋手段が構成されている。
すなわち、禅箪40を開口部20から円滑に出没させるためには、開口部20のサイズを座部42のサイズよりも若干大きくする必要がある。このように開口部20のサイズを座部42のサイズよりも大きくするに従い、周面42bと内周面20aとは接触しにくくなり、座部42の周囲に隙間が形成されてしまう。このような隙間は、露地16を和室として使用する際に床面17上で座面42aを目立たせて畳面として違和感を生じさせることにより、美観を損なわせるものとなる。そこで、当該禅箪収納構造は、隙間埋手段として開口部20の内周面20aと禅箪40の周面42bとをそれぞれテーパ状とし、互いに接触させることにより、座部42の周囲に隙間が形成されることを防止し、和室としての美観を保つこととしている。
図7(a),(b)に示すように、前記座部42は、その前方端部が支持基体41の前面45よりも外方へ大きく突出されている。該座部42の前方端部において、その下面には取付材81が取り付けられている。この取付材81には、回動アーム82の基端が回動自在に取着されている。そして、この回動アーム82の先端には禅卓83が固着されている。当該禅卓83は、回動アーム82とともに下方へ回動させることによって折り畳まれ、座部42の前方端部下面、支持基体41の前面45等によって形作られる空間内に収容される。この状態では禅箪40の下降時における禅卓83と床面17との接触が防止されており、禅箪40は床下へ不具合なく収納される。さらには、禅箪40の床下への収納時に禅卓83が床面へ表出されず、露地16を和室として使用する際の違和感をなくし、美感の保持が図られている。また、当該禅卓83は、回動アーム82とともに上方へ回動させることによって引き出される。この状態で、禅卓83は、その上面が座面42aと同じ高さとなるように形成されている。また、回動アーム82の基端部には図示しないロック機構が設けられており、同ロック機構によって禅卓83は引き出された状態を保持されるように構成されている。そして、当該禅卓83には、坐禅修行で禅箪40を使用する際に経文、粥等が置かれるようになっている。
当該開口部20の前部において、床面17の裏面には木材等からなる支持材71が垂下されるとともに、同支持材71の内面には支承体72が取付けらている。この支承体72は、板材を折り曲げることによって横U字状に形成されており、その上端部及び下端部にはそれぞれ貫通孔が設けられている。当該支承体72には支持棒73が各貫通孔に挿通されて支承されるとともに、当該支持棒73の下端部には抜止部材74が、上端部には係止部材75が外嵌されている。当該支持棒73の周面上において、前記支承体72の上面と係止部材75との間にはコイルスプリング、合成ゴム等の弾性体からなる付勢部材76が遊嵌されている。この付勢部材76は支持棒73を支承体72に対して上方へ移動させるように付勢するとともに、抜止部材74は付勢部材76によって付勢された支持棒73が支承体72から抜け出さないように支持棒73の移動を規制している。そして、支持棒73の上端には長板状の間詰板77が固着されている。
上記の支持材71、支承体72、支持棒73、付勢部材76、間詰板77等によって間詰手段が構成されている。当該禅箪収納構造においては、禅卓83を設けたことにより、禅箪40の使用状態で、禅箪40の前面45と前記開口部20の内周面20aとの間には大きな間隙22が形成されている。この間隙22を塞ぐため、支持材71、支承体72、支持棒73、付勢部材76、間詰板77等によって構成された間詰手段が設けられている。すなわち、図6に示すように、禅箪40が床下に沈下した状態で、支持棒73は、禅箪40の座部42によって間詰板77を介して下方へ押圧されており、この状態では付勢部材76による付勢力に抗して下方へ移動している。そして、禅箪40を床上に出現させると、付勢部材76によって付勢された支持棒73が上方へ移動し、これに伴って間詰板77が上方へ移動して前記間隙22を塞ぐよう構成されている。
次に、前記禅箪収納構造の作用について以下に記載する。
さて、当該禅箪収納構造において禅箪40は、本堂10で坐禅修行を行う際に使用される。すなわち、本堂10の各露地16は、通常は和室、通路等として使用されており、その床面17は平坦な畳面とされている。そして、坐禅修行を行う際には仕切手段11によって各露地16と大間12、東の間14及び西の間15とを仕切り、各露地16の床面上に禅箪40を出現させる。
すなわち、本堂10が和室として使用されているとき、図6に示したように当該禅箪40は床下へ収納された状態となっており、床面17の開口部20は畳で形成された座部42によって塞がれている。この状態で図示しない制御板により当該禅箪40を出現させるよう操作を行うと、同制御板からの命令によりモータ35が作動し、支持部材36が軸線を中心に回転される。一方、同支持部材36上に螺着されたガイドフレーム51は、前記ガイド手段によって支持部材36に対する回動を規制され、上下方向への移動を許容されている。従って、同ガイドフレーム51は、支持部材36とともに回転することはなく、同支持部材36に対して螺退されながら上方へ移動する。そして、ガイドフレーム51の支持部材36に対する移動に伴い、図5に示したように、禅箪40は上昇して開口部20から床面17上に出現する。
前記制御板は、複数の禅箪40において、それぞれを支持する支持部材36の回転数、回転時間等を各禅箪40毎に調節する。すなわち、制御板による調節によって支持部材36に対してガイドフレーム51が螺退する長さは、各禅箪40毎に決められている。そして、この長さが決められた値に達したとき、支持部材36の回転が停止され、同支持部材36の上部でガイドフレーム51が位置決めされることにより、禅箪40の出現作業が完了する。
坐禅修行が終了した後は、元の和室とするために露地16の床下に禅箪40を収納する。この場合、制御板により操作を行うと、同制御板からの命令によりモータ35が作動し、支持部材36が前記出現時と逆方向へ回転される。すると、前記ガイドフレーム51は、支持部材36に対して螺進されながら下方へ移動する。このガイドフレーム51の移動に伴って禅箪40は下降し、図6に示したように開口部20から床下へ収納される。そして、座部42が開口部20を塞ぎ、床面17が平坦な畳面となった状態で支持部材36の回転が停止され、同支持部材36の下部でガイドフレーム51が位置決めされることにより、禅箪40の収納作業が完了する。
前記の実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
・ 当該禅箪収納構造は、本堂10の各露地16において、禅箪40を設ける位置に応じて床面17に設けられた開口部20と、床下に設置された禅箪昇降機構30とを有している。この禅箪昇降機構30は、開口部20を介して床上と床下の間で禅箪40を昇降自在とするものである。従って、坐禅修行時には禅箪40を床上へ上昇させて使用状態とし、坐禅修行時以外では禅箪40を床下へ下降させて収納状態とすることが可能であり、この収納状態では床面が平坦な露地16のスペースを坐禅修行以外の様々な目的で使用することができる。
・ また、禅箪40は、禅箪昇降機構30に取着された支持基体41と、当該支持基体41によって下方から支持された座部42とを有している。この座部42は、床面17を構成する畳21と同様の畳製のものである。従って、禅箪40が没入した状態で座部42の座面42aは、畳21の表面とともに床面17を平坦な畳面として構成し、同座面42aと畳21の表面とを一瞥で見分けることは困難となっている。このため、和室としての使用時に違和感が生ずることを抑制し、その美観を保つことが可能である。
・ また、当該禅箪収納構造は、隙間埋手段として開口部20の内周面20aと禅箪40の周面42bとをそれぞれテーパ状に形成することとしている。このため、禅箪40が没入した状態で開口部20の内周面20aに禅箪40の周面42bを接触させることができ、座部42の周囲に隙間が形成されることを防止することができる。従って、座面42aと畳21の表面との識別が極めて困難なものとなり、和室としての使用時に違和感がなく、その美観を保つことが可能である。
・ また、禅箪昇降機構30は、前記禅箪40を床下から支持する支持部材36と、当該支持部材36に接続されて同支持部材36を回転駆動させる基台33、駆動力伝達軸34、モータ35等の駆動手段とを備えている。そして、前記禅箪40は、支持部材36に対して螺合されており、同支持部材36に対する螺退又は螺進によって昇降するように構成されている。従って、簡易な構成としながら、支持部材36による禅箪40の支持及び昇降を確実なものとすることができる。
・ また、当該禅箪収納構造において、禅箪40は支持部材36に対してガイドフレーム51を介して螺着されている。このガイドフレーム51は、ガイド爪55、ガイドレール62等のガイド手段により、支持部材36に対して上下方向への移動を許容され、回動を規制されている。従って、支持部材36の回転に連動したガイドフレーム51の回転を防止し、支持部材36に対してガイドフレーム51を確実に螺退又は螺進させることができるとともに、その螺退又は螺進方向を上下方向とすることができる。
・ また、当該禅箪40は、禅卓83を回動自在に取り付けることによって折り畳み可能としている。従って、禅卓83が設けられている分だけ必要以上に開口部20を拡げずとも、禅箪40を床下へ没入させることができる。特に、禅箪40を床下へ没入させた状態における床面への禅卓83の表出を防止することができ、和室としての使用時に違和感がなく、その美観を保つことが可能である。
・ また、前記禅卓83を設けたことにより、禅箪40の出現時に禅箪40の前面45と前記開口部20の内周面20aとの間には大きな間隙22が形成されてしまう。そして、当該禅箪収納構造は、同間隙22を塞ぐために当該間詰手段が設けられている。従って、禅箪40の出現時における間隙22による美観の低下、間隙22に足をとられる等の不具合を解消することができる。
・ また、この実施形態においては、前述のように禅箪40の床下への没入時に床面17を平坦な畳面とすることにより、和室としての美観を保つことも目的としている。すなわち、この実施形態では隙間埋手段を設け、禅箪40が没入した状態で開口部20の内周面20aに禅箪40の周面42bを接触させている。この場合、禅箪40を出没させる際に開口部20の内周面20aと禅箪40の周面42bとの間には摺動抵抗が生じる。ここで、支持部材36をエアーシリンダ、油圧シリンダ等の伸縮可能な部材によって構成した場合、当該部材は座部42が開口部20に引っ掛かった状態で伸縮する等して誤差を生じやすく、座部42を床面17から若干浮いた状態としてしまうおそれがある。加えて、当該禅箪40に複数人が腰掛ける場合、各人が腰掛けたり、移動したり等する度に禅箪40全体が浮き沈みして参列者に不快感を与えるおそれもある。これに対し、当該実施形態のように支持部材36を螺合材とした場合には同支持部材36自体が伸縮するものではないため、前記伸縮可能な部材に比べて誤差が小さく、また座部42を開口部20から押し出す、あるいは開口部20内に引き込む力が強い。従って、禅箪40を支持部材36に対して螺合関係で取着することにより、禅箪40の昇降時における誤差を小さくし、座部42が床面17から浮く等の不具合の発生を抑制することができるとともに、着座時における不快感を解消することができる。
・ また、当該禅箪40は、内部に収納スペースを有していることから、スペースの有効活用を図ることが可能である。
なお、本実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 当該禅箪収納構造は、寺院の本堂10のみに具体化することに限らず、例えば禅堂等に具体化してもよい。また、本堂10の露地16のみに具体化することに限らず、東の間14、西の間15等に具体化してもよい。
・ 前記禅箪40は、坐禅修行に使用することに限らず、例えば法要等の仏事で参列者用の座席として使用してもよい。
・ 前記禅箪昇降機構30は、実施形態で示した支持部材36に対する禅箪40等の螺進又は螺退によるものに限らず、エアーシリンダ、油圧シリンダ等の伸縮可能な部材、あるいは油圧モータ等を用い、禅箪40等の下降又は上昇によるものとしてもよい。
・ 前記禅箪40の支持基体41において、収納スペースを省略してもよい。また、この場合には座部42を支持基体41のフレーム43に固着し、回動不能としてもよい。
・ 禅箪40等の座部42で開口部20を閉塞することに限らず、例えば開口部20の周縁部に同開口部20を開閉するための蓋材を取付けてもよい。そして、禅箪40の使用時には同禅箪40により蓋材を押し上げて開口部20を開放し、禅箪40の収納時には手作業等で開口部20を閉塞するよう構成してもよい。
・ 前記間詰手段を間詰板77のみで構成し、禅箪40等を出現させた後、手作業で間隙22に間詰板77を嵌め込む等してもよい。あるいは、間詰手段を省略して禅箪収納構造を構成してもよい。
・ 例えば、ガイドフレーム51を省略し、支持基体41を補強するフレーム43に雌ねじ孔を螺設する等して禅箪40等を支持部材36に螺着してもよい。
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記禅箪を使用状態とした際に当該禅箪と前記開口部との間に形成される隙間を埋める間詰手段を備える禅箪収納構造。
・ 前記禅箪昇降機構は、前記禅箪の昇降方向を案内するガイド手段を備えていることを特徴とする禅箪収納構造。
・ 前記座部は、その周面が床面へ向かうに従って互いに接近するテーパ状に形成されたものであり、この座部の周面に対応するように前記開口部は、その内周面が床面へ向かうに従って互いに離間するテーパ状に形成されたものであることを特徴とする禅箪収納構造。
(a)は禅箪の使用状態を示す斜視図、(b)は禅箪の収納状態を示す斜視図。 寺院の本堂の概略を示す平面図。 禅箪の使用状態を示す正断面図。 禅箪の収納状態を示す正断面図。 禅箪の使用状態を示す側断面図。 禅箪の収納状態を示す側断面図。 (a)は禅箪の禅卓を折り畳んだ状態を示す側断面図、(b)は禅箪の禅卓を引き出した状態を示す側断面図。
符号の説明
10…建物である本堂、16…坐禅修行が執り行われる露地、17…床面、20…開口部、30…禅箪昇降機構、36…支持部材、40…禅箪、41…支持基体、42…座部、42a…座面、83…禅卓。

Claims (2)

  1. 坐禅修行を執り行う建物の床上に設けられた禅箪と、同禅箪と対応する位置で床面に設けられた開口部と、同開口部を介して前記禅箪を前記建物の床下から支持する禅箪昇降機構とを備え、前記禅箪は、前記禅箪昇降機構に取着された支持基体と、当該支持基体によって下方から支持された座部とを有し、前記開口部を介して該禅箪昇降機構で下降させることにより、床上に出現した使用状態から床下に収納された収納状態へと変位して前記座部の座面が建物の床面を構成するものであって、
    前記座部の端部は前記支持基体の前面よりも外方へ突出されるとともに、該突出された座部の端部の下面には、前記禅箪の床下収納時に前記座部の端部下面および前記支持基体の前面によって形作られる空間内に折り畳まれた状態で収容される禅卓が回動自在に取着されており、
    前記禅箪を使用状態としたときに当該禅箪と前記開口部との間に形成される隙間には、弾性体からなる付勢部材によって上方に移動されるように付勢された支持棒と、該支持棒の上端に固着された長板状の間詰板とを備えた間詰手段が配置されており、前記禅箪が床下に収納された収納状態のときには前記座部の端部下面に収容された前記禅卓が前記間詰板を介して前記支持棒を下方へ押圧する一方、前記禅箪が床上に出現される使用状態のときには前記付勢部材によって付勢された前記支持棒の上方への移動に伴って前記間詰板が上方へ移動して前記隙間を塞ぐことを特徴とする禅箪収納構造。
  2. 前記禅箪昇降機構は、禅箪が螺着される支持部材と、同支持部材を回転駆動させる駆動手段と、前記禅箪の昇降方向を案内するガイド手段とを備え、前記駆動手段により前記支持部材を回転駆動させた際に、前記禅箪を前記ガイド手段により上下方向への移動を許容しつつ回動を規制した状態で螺進又は螺退させることによって禅箪を下降又は上昇させるものであることを特徴とする請求項1に記載の禅箪収納構造。
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