JP3810506B2 - クレーンの制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は港湾、製鉄所、各種工場等における荷役作業用クレーンの制御技術に属するものであり、クレーンの移動並びに吊り荷の位置決め・振れ止めを短時間で達成することを可能にしたクレーンの制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、クレーンによる荷役作業に於いて、クレーンを短時間で迅速に出発位置から目標位置まで移動させ且つクレーンが目標位置に到達した際に吊り荷の振れを零にすることができれば、理想的なクレーンの運転が行なえる。
また、上述の如きクレーンの運転の達成を目的として、従前から多数のクレーンの制御方法が公開されており、本願発明者等も先きに、短時間で吊り荷の位置決めと振れ止めとを両立制御できるようにしたクレーンの位置決め・振れ止め制御方法を開発し、これを特開平6−92593号として公開している。
【0003】
上記特開平6−92593号のクレーンの制御方法は、クレーンの位置、速度、ワイヤーロープの振れ角及び振れ角速度の各検出値を速度指令値演算装置へ入力し、図20に示す如き速度制御パターン及び各速度指令値(加速パターン制御の速度指令値Vα(t)、高速振れ止めパターン制御の速度指令値Vh (t)、減速パターン制御の速度指令値Vβ(t)及び低速位置決め・振れ止めパターン制御の速度指令値Vr (t))を逐次演算し、この速度指令値をクレーン駆動装置の速度制御装置へ入力することを基本構成とするものであり、クレーンが所定の速度VL にまで減速されると、低速位置決め・振れ止めパターンによる運転に入り、速度指令値Vr (t)によってクレーンの走行速度が制御される。
【0004】
具体的には、低速位置決め・振れ止めパターンに入れば、その速度指令値Vr (t)は、低速振れ止め加減速調整量発生器からの低速振れ止め加減速調整量Uf によって補正された指令値となり、当該パターンによる運転中の吊り荷の振れ止めが行われる。即ち、前記低速位置決め・振れ止め速度指令値Vr (t)は、Vr (t)=±F(|±β−Uf |,|XL |)、より望ましくはVr (t)=±(2・|±β−Uf |・|XL |)1/2 の型で出力され、このUf による位置決め・振れ止め制御が、振れ角θと角周波数に対する振れ角速度θ′との位相平面図の第2象限と第4象限の何れか一方又は両方に於いて行われる。これにより、位置決めと振れ止めの両方が同時に達成され、クレーンは目標位置上に短時間内に停止すると共に、停止時の吊り荷の振れが零となる。
【0005】
上記特開平6−92593号のクレーンの制御方法は、吊り荷に初期振れや外乱による振れが生じた場合でも、振れを短時間内に有効に押えることができるうえ、高精度な位置決めと振れ止めとを同時に行なうことができる。例えば、定格速度の約10%の速度で低速位置決め・振れ止め制御のパターンに入った場合、振れ周期Tの約2周期(約8〜9秒)の短時間内に位置決めと振れ止めの両方を達成することができ、優れた実用的効果を奏するものである。
【0006】
しかし、上記特開平6−92593号の技術にも実用上解決すべき多くの問題が残されており、その中でもクレーン駆動用モータの速度制御特性の良否が、これを実用化する上での問題点となっている。
即ち、特開平6−92593号の技術に於いては、低速位置決め・振れ止めのための速度指令値Vr (t)とその実行値である現実の速度とがほぼ一致するような高性能の速度制御特性を備えた駆動用モータ、例えばインバータ方式の速度制御装置を備えたモータ等を駆動装置とするクレーンをその制御対象として想定している。
【0007】
これに対して、一般工場等で使用されている既設の天井クレーン等にあっては、高精度な速度制御装置を備えたモータを駆動源とするものは極めて少なく、一般的には正転方向への加速・減速、逆転方向への加速・減速と云う制御の与え方しか出来ないものであり、あとは2次抵抗器を段階的に切換操作する所謂2次抵抗方式の速度制御装置を備えたモータを駆動源とするものが大多数である。
【0008】
その結果、既設の天井クレーン等にあっては、理論的な速度や加速度を駆動源(モータ)に与えることは現実に不可能なことであり、特開平6−92593号の技術のみならず、従前のこの種のクレーンの制御方法に関する技術には、理論的には可能であるものの、実システムとして既設の天井クレーン等へはそのまま適用することができないと云う問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従前のクレーンの制御方法に於ける上述の如き問題、即ち、速度指令値と実行値とがほぼ一致するような高精度な速度制御装置を備えたモータを駆動源とするクレーンでない限り、実システムとしてそのまま使用することができないと云う問題を解決せんとするものであり、比較的簡易な速度制御装置を備えたモータを駆動源とする通常の既設天井クレーン等であっても、その速度制御装置に大幅な追加・改造を加えることなしに適用でき、しかも短時間でクレーンを目標位置近辺にまで移動できると共に、目標位置近辺に於いて位置決めと振れ止めを両立させることができるようにしたクレーンの制御方法を提供するものである。
【0010】
即ち、本願発明は、速度指令値に正確に追従し得る高価なモータ制御装置を持たず、重量(負荷、クレーンの重量等)と発生トルクとによって速度が決定される単純なモータを用いたクレーンに対して、モータが有するトルクカーブの出力を考慮し、正転加速・減速、逆転加速・減速という単純な出力形態の駆動装置を使用して、クレーンの移動開始から吊り荷の停止までを短時間で行なわんとするものであり、既設のクレーンシステムに対して理想的な速度パターンに近い速度で目標位置近辺まで移動させ、さらに吊り荷の振れがある場合においてもある程度の振れ止めを行い、最終目標位置近辺では位置決めと振れ止めとを両立させることを可能とした、アクティブなクレーンの制御方法を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、クレーンの現在位置、クレーンから下がった巻上ワイヤーロープ長及びワイヤーロープの振れ角の測定装置と、クレーン駆動装置の速度制御装置に与える制御指令値を計算・決定する速度指令値演算装置を備えたクレーンにおいて、前記各測定装置の出力から逐次クレーンの速度指令値を算出し、当該速度指令値を前記クレーン駆動装置のオープンループの可逆方式の簡易型速度制御装置に与え、クレーンの速度制御を行うことにより位置決め・振れ止め制御を行うようにしたクレーンの制御方法において、前記速度指令値演算装置によりクレーンの移動を行う際に、移動距離と巻き上げワイヤーロープ長とクレーンの最大速度と最大加速度と最大減速度とを基にして前記簡易型速度制御装置で制御可能な許容速度幅を持った速度制御パターンを生成し、加速と惰走による加速時及び定速時の速度制御パターンに追従しながら常に減速タイミングを演算し、減速度が減速パターンに適合した際に減速と惰走による減速を行い、目標に近い位置にクレーンを移動させてクレーンの位置決め・振れ止め制御を行ない、更にクレーンの吊り荷の巻き上げモータに使用する電力量を計測して当該電力量の大きさから吊り荷が軽負荷であるか若しくは重負荷であるかを判断し、これにより前記速度制御パターンの加減速度の傾きを調整すると共に、前記位置決め・振れ止め制御時の速度指令値のゲインを調整するようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明に於いて移動距離、巻き上げワイヤーロープ長、クレーンの最大加速度、最大減速度及び最大速度を基にして算出されたクレーンの速度制御パターンに対して所定の速度幅を持たせ、加速時に於いては当該速度幅の下限値に達した場合に駆動装置であるモータに駆動力を持たせ、また、上限値に達した場合にモータの駆動力をなくした惰性による運転をすると共に、減速時に於いては、所定の速度幅の中で制動力を持たせた運転と制動力をなくした惰性による運転を繰り返し、計画された速度制御パターンに追従させるようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の発明に於いて、目標位置の近辺にクレーンが停止したときに吊り荷の振れがある場合に於いて、吊り荷がクレーンの鉛直真下より目標位置方向に向かって振れている際にモータに駆動力を持たせ、また、吊り荷が目標位置方向からクレーンの鉛直真下まで振れ戻る際にモータの駆動力をきると同時にブレーキをかけ、吊り荷の振れ止めを行うようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1の発明に於いて、クレーンが目標位置近辺にあるときにクレーン速度指令値を駆動装置の速度制御装置へ与える制御指令において、算出された速度指令値を、速度指令値と現状の速度の夫々の方向及び前記両者の差の速度の方向にもとづいて、正転加速、正転減速、逆転加速、逆転減速の指令に置き換えて前記速度制御装置へ入力し、クレーンを目標とする速度指令値に近い速度で制御することにより位置決め・振れ止めの両制御を同時に行うようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0015】
請求項5の発明は、請求項1の発明に於いて、目標位置までの距離、振れ角に応じてクレーンを所定の速度制御パターンで運転をし、更に振れ角に応じて、吊り荷がクレーンの鉛直真下より目標位置方向に向かって振れている際にモータに駆動力を持たせ、また、吊り荷が目標位置方向からクレーンの鉛直真下まで振れ戻る際にモータの駆動力を切ると同時にブレーキをかける吊り荷の振れ止めを行なって、クレーンを目標位置近辺の位置決め・振れ止め制御が可能となる範囲内へ移動させ、その後位置決め・振れ止め制御に切替えてクレーンの位置決め・振れ止めを行なうようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1の発明に於いて、クレーンの走行位置を均等に区分すると共に、各々の区分内における振れ角の歪みを初期段階において計測し、各区分内にクレーンがある際に吊り荷の振れ角を前記振れ角の歪みに基づいて補正するようにしたことを発明の基本構成とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明にかかるクレーンのモデルを示すものであり、出発位置Qから目標位置Rに到達するまでの一連のクレーンの移動制御及び目標位置近辺に於ける吊り荷15の位置決めと振れ止めの両立制御を行なうクレーンのモデルを示すものである。尚、図1に於いて、13はクレーン、13aは台車、14はワイヤーロープ、15は吊り荷、θは吊り荷の振れ角、Lはワイヤーロープの長さ、Xmはクレーン位置決め目標位置値、Xcは自位置検出値、Xは目標位置までの残距離値である。
【0018】
図2は、本発明で用いる制御システムのブロック構成図であり、本制御システムは残距離演算器1、現在速度演算器2、速度パターン発生器3、駆動装置制御指令値演算器(1)4、追いノッチ運転回数判定器5、追いノッチ指令値発生器6、位置決め・振れ止め速度指令値演算器7、位置決め・振れ止め速度指令値補正演算器8、駆動装置制御指令演算器(2)9、角速度演算器10、駆動指令切替装置11、駆動装置12等より構成されている。
尚、図示されてはいないが、クレーン13にはクレーンの位置やワイヤーロープ14の長さL、ワイヤーロープの振れ角θの検出位置が夫々設けられており、また、クレーン13の巻き上げ電力量の検出装置やクレーンレールの歪みによる振れ角θの補正値演算装置等も別に設けられている。
【0019】
前記残距離演算器1は自位置検出値Xc、出発位置から目標位置までの距離Xmから残距離Xを算出するものである。
前記現在速度演算器2は現在位置検出値Xcの微分値から現在速度を演算するものである。
前記速度パターン発生器3はクレーン最大速度、最大加減速度、残距離、ワイヤーロープ長、巻き上げ電力量から、目標位置まで振れの発生を極力抑え乍らクレーン13を移動させる速度パターンを算出するものである。
前記駆動装置制御指令演算器(1)4は速度パターン発生器3により生成された速度パターンに対応するように、速度幅と現在速度とに基づいて正転逆転のON、OFFの指令を出力するものである。
前記追いノッチ運転回数判定器5は、追いノッチ運転回数設定値に基づいて運転指令の出力の可否を判定する。また、追いノッチ指令値発生器6は振れ角θ、振れ角速度θ′から正転方向あるいは逆転方向への指令を出力するものである。
【0020】
前記位置決め・振れ止め速度指令値演算器7は残距離X、振れ角θ、振れ角速度θ′、ワイヤーロープ長Lから位置決め・振れ止めに必要な速度指令値Vr (t)を算出するものである。
例えば、クレーン13が目標位置Rの近辺へ到達したときにVr (t)=±(2・|±β−Uf |・|XL |)1/2 なる速度指令値Vr (t)(但し、βは減速度(m/sec2 ),Uf は低速振れ止め加減速調整量(m/sec2 ),XL は目標点までの残距離(m)、β−Uf >0のときVr (t)は+、β−Uf <0のときVr (t)は−とする)が出力される。
尚、前記加減速調整量Uf は振れ角θ、振れ角速度θ′及びロープ長さLから加減速調整量演算器(図示省略)により演算される。
また、本実施態様では、一例として上記の如きVr (t)を出力するようにしているが、特開平6−92593号や特願平4−156059号に開示の演算手法により算出したVr (t)であってもよい。
【0021】
前記位置決め・振れ止め速度指令値補正演算器8はワイヤーロープ長L、巻き上げ電力量から速度指令値を補正するものである。
前記駆動装置制御指令演算器(2)9は速度指令値と現在速度から正転逆転のON、OFFの指令を出力するものである。
前記角速度演算器10は振れ角θを微分して振れ角速度θ′を算出するものである。
前記駆動指令切り替え装置11は目標位置、現在速度、現在位置、残距離判定値、振れ角判定値、振れ角θ、振れ角速度θ′、ワイヤーロープ長Lにより、駆動装置制御指令演算器(1)4、追いノッチ指令値発生器6、駆動装置指令演算器(2)9からの正転逆転のON、OFF指令値を切り替えて、駆動装置12へ出力をするものである。尚、前記駆動装置12は公知のオープンループの可逆方式の簡易型速度制御装置である。
【0022】
尚、本発明に於いては、図2からも明らかなように、前記残距離演算器1、現在位置演算器2、速度パターン発生器3、駆動装置制御指令値演算器(1)4、追いノッチ運転回路判定器5、追いノッチ指令値発生器6、位置決め・振れ止め速度指令値演算器7、位置決め・振れ止め速度指令値補正演算器8、駆動装置制御指令演算器(2)9、角速度演算器10、駆動指令切替装置12等から制御システムの中心を構成する速度指令演算装置16が構成されている。
また、本発明の速度指令演算装置16は、クレーン最大速度や最大加減速度、巻き上げ電力量、ワイヤーロープ長さ等によって速度パターン発生器3に於いて生成する速度制御パターンを補正したり、或いは追いノッチ指令値発生器の制御指令値や位置決め・振れ止め速度指令値を夫々補正するようにしているが、これ等及びその他の新規な点については、夫々以下に詳しく説明をするものとする。
【0023】
次に、本発明によるクレーンの制御方法について説明する。
図3はクレーン操作全体の流れ図を示すものであり、先ず、前記速度指令演算装置16内に於いてクレーン13の現在位置Xaと目標位置Rとの間の残距離Xが基準設定値Xpmmより大きいか否かの判断16が行なわれる。その結果、残距離Xが基準設定値Xpmmより小さい場合(現在位置Xaが目標位置Rに近接の場合)には、クレーン13の制御は直ちに位置決め・振れ止め制御24に切り替わり、位置決め・振れ止めの両立制御が行なわれる。即ち、図2の駆動装置制御指令演算器(2)9からの制御指令により、駆動装置12の制御が行なわれる。
【0024】
また、残距離XがXpmmより大きい場合には、次に吊り荷15に振れがあるか否かが判断17され、振れ角θが基準設定値θpより小さい場合には、長距離用の速度制御パターンAの作成が可能か否かが判断21される。
そして、長距離用の速度制御パターンAの作成が可能な場合には、長距離用の速度制御のパターンAに基づいて、また、逆に作成が不可能な場合には、短距離用の速度制御のパターンBに基づいて、夫々クレーン13の制御22、23が行なわれる。
【0025】
一方、前記振れ角θが基準設定値Qpより大きい場合には、図2の追いノッチ指令値発生器6からの追いノッチ指令値に基づく追いノッチ制御19が行なわれ、吊り荷15の大きな振れ角θを抑える操作が行なわれる。
尚、前記追いノッチ制御19による運転で振れθが小さくならない場合には、追いノッチ運転19が繰り返し反復されることになる。そのため、追いノッチ運転19の回数が設定回数Npを越えたか否かが判断18され、設定回数Npに達した場合には、振れ角θが大きい状態でクレーン13が移動するのを避けるため、クレーンの制御は追いノッチ制御から前記位置決め・振れ止め制御20に切り替えられ、振れ角θを基準設定値θpより小さくする操作が行なわれる。
【0026】
上述の如き、長距離用の速度制御パターンA、短距離用速度制御パターンB、追いノッチ制御C、振れ角θが大きい場合の位置決め・振れ止め制御による運転22、23、20、19の何れかが反復されることにより、最終的にクレーン13は目標位置Rの近辺に於ける位置決め・振れ止め制御Dによる運転24を経て、目標位置Rへ到達することになる。
【0027】
図4は、前記クレーンの速度制御に於ける各速度制御パターンを図式的に表したものであり、後述するようにAは長距離用の速度制御パターン、Bは短距離用の速度制御パターン、Cは追いノッチ制御の速度制御パターン、Dは位置決め・振れ止め制御の速度制御パターンを夫々示すものである。
【0028】
次に、クレーンの前記各速度制御パターンとその適用等について、より詳しく説明する。
今、クレーンの最大速度をVmax、最大加速度をα、最大減速度をβ、ワイヤーロープ長をL、ワイヤロープ長による吊り荷の振れの固有周期をT、定速走行時の時間をtc、残距離をXとすると、固有周期Tは、
T=2π√(L/g) (g:9.8m/s2 ) (1)
で表現される。
クレーンの移動距離Xは
X=nT×Vmax/2+Vmax×tc+mT×Vmax/2 (2)
で表現され、n、mはα、βとVmaxとの関係で
(n−1)T×α<Vmax<nT×α (3)
(m−1)T×β<Vmax<mT×β (4)
を満たす最小の整数値n、mを求める。
【0029】
次に(2)式をtcについて解き、
tc=(X−nT×Vmax/2−mT×Vmax/2)/Vmax(5)
このtcが0.0以上であれば長距離用の速度制御パターンが生成できることになり、このときの速度制御パターンは図5(A)の如き形状となる。
【0030】
また、tcが0.0未満の時は長距離用の速度制御パターンが作成できないため、上限の速度をVとすると
V=2X/(nT+mT) (6)
として求められ、加速度α、減速度βは
α=V/nT (7)
β=V/mT (8)
として決定され、このときの速度制御パターンは図5(B)のようになる。
尚、Xが非常に小さくなった場合、α、βの値も小さくなる。従ってクレーンの摩擦抵抗(静止摩擦抵抗、動摩擦抵抗)を事前に調査しておき、最低限度の加速度を設定しておく。
【0031】
図6は前記長距離用の速度制御パターンAに基づく実機運転の結果を示すものであり、点線は加速・減速時の目標速度、実線はクレーンの実速度を示すものである。クレーンの運転時には計画された速度制御パターンに必ずしも追従しないため、加速・定速時には計画された目標速度を用いるが、減速タイミングと減速パターンに関しては、運転開始時から常に現在速度を監視し、減速度βとして減速パターンがあてはまるタイミングを見つけて減速している。
【0032】
上述のように、クレーンの制御のための速度制御パターンは、基本的には図4に示す如く加速領域、定速領域、減速領域の3つの領域から形成され、移動距離Xが大きい場合には、定速領域を持つことができる。
これに対して、移動距離Xが短距離の場合には、定速領域が無いばかりか、加速領域及び減速領域においてもその大きさに制約を受ける。
このため、移動距離Xが大きい場合には、加速領域及び減速領域は吊り荷のワイヤーロープ長による固有周期Tの整数倍の時間で一定加速及び一定減速を行う。
また、移動距離Xが短くて上記図4の如き速度制御パターンが作成できない場合には、定速領域をなくすと共に加速度及び減速度の値を下げ、固有周期Tの時間だけ加減速できるような加減速度を算出する。
更に、この速度制御パターンを適用する際には、加速領域及び減速領域においては事前に演算しておいた速度パターンを用い、減速に関しては、スタート時から常に現在速度を監視し、減速度βとしての減速パターンがあてはまる減速タイミングを演算し、減速ポイントに到達した際に減速パターンを適用する。
【0033】
前記図4や図5(A)、図5(B)の速度制御パターンA、Bに於いては、計画された速度指令値は幅を持たないものとして算出されている。
これに対して、本発明に於いては、図7に示す如く加速時における計画された速度パターンの上下に点線で示した速度幅Vwを設定し、この範囲内で駆動力を持たせた運転と惰走による運転とを繰り返し、目標速度のパターンに近い速度を実現するようにしている。尚、このことは減速においても同様であり、減速と惰走を繰り返すことにより、目標速度パターンに近い速度を実現することができる。
【0034】
より具体的には、図2の速度パターン発生器3に於いて移動距離X、巻き上げワイヤーロープ長L、クレーンの最大加速度及び最大減速度から算出されたクレーンの速度制御パターンに対してある速度幅Vwを持たせる。
そして、駆動装置制御指令演算器(1)4からの指令により初期駆動時にモータに起動をかけ、速度幅Vwの上限値に達した場合にモータの駆動力をなくし、惰性により走行させる。また、速度幅Vwの下限値に達した場合にモータに駆動力を持たせ、速度幅Vwの上限値に達するまで加速を行う。このような制御を順次実行し、目的とする速度制御パターンに追従させる。
【0035】
また、現在速度から減速パターンに切り替えるタイミングは、クレーンの移動中に逐次演算し、減速パターンで目標位置Rに停止できるタイミングで減速パターンに入る。減速においても加速時と同様に、速度制御パターンに対してある速度幅Vwを持たせ、速度幅Vwの上限に達した場合にモータに制動力を持たせ、速度幅の下限値に達した場合にモータの制動力をなくし惰性により走行させ、目標位置近辺にてクレーンを停止させる。
【0036】
また、本発明に於いては、図2からも明らかなようにクレーン13の巻き上げ時の電力量から吊り荷15の重量を推定し、吊り荷15の重量の大・小により速度パターン発生器3に於いて生ずる速度制御パターンに補正を加えるようにしている。
【0037】
図8は、重量物の巻き上げ、巻き下げの際の所要電力量の一例を示すものであり、巻き下げ時の電力量はPa、巻き上げ時の電力量はPbである。また、図9は軽量物を巻き上げる際の所要電力量の一例を示すものである。尚、図9に示す巻き下げと巻き上げの電力量は、図8に比べてその符号が同じになっているが、これは軽負荷のため、機械の抵抗により巻き下げ時にも電力量を消費するためである。
また、データ上には大きな電力量のひげが見られるが、巻き上げ時の定速速度に達してから数秒後に計測をするため、ほぼ安定した値が得られる。
本発明に於いては、速度制御パターンの生成時に、電力量計の振れ幅の大きさにより吊り荷15が重量物か軽量物かの判断を行なうと共に電力量計の振れ幅により吊り荷の重量を推定し、その振れ幅が大きい場合(重量大の時)には加減速度α、βを小さく、また、電力量計の振れ幅が小さい場合(重量小の時)には加減速度を大きく設定する。
【0038】
即ち、速度制御パターンの計画時において、吊り荷15の巻き上げモータに使用する電力量を電力量計により計測し、吊り荷15の重量が軽量であるか或いは大重量であるかを判断する。そして、重量物の場合には、発生可能な加速度及び減速度をやや小さく想定し、逆に軽量物の場合には、発生する加速度及び減速度は大きくなるため、これを想定したやや大きな加速度及び減速度とし、速度制御パターンを生成する。
【0039】
更に、本発明に於いては図2に示す如く、クレーン13の巻き上げ時の電力量を用い、位置決め・振れ止め速度指令値補正演算器8に於いて位置決め・振れ止め速度指令値演算器7からの速度指令値を補正するようにしている。
具体的には、吊り荷15の巻き上げモータに使用する電力を電力量計により計測し、この電力量計による振れ幅を用い、位置決め・振れ止め用の速度指令値に対して、振れ幅が大きいとき(吊り荷15が大重量のとき)には速度指令値のゲインを大きく、また、逆に振れ幅が小さいとき(吊り荷15が軽量のとき)には、速度指令値のゲインを小さくする。吊り荷15が重量物の場合に於けるクレーン13のトルク不足による目標速度への追従性を補い、又、吊り荷15が軽量物の場合に於けるクレーン13の挙動が大きくなりすぎ、安定性が損なわれることを防ぐことができる。
【0040】
即ち、電力量計の振れ幅から吊り荷15の重量が大重量か或いは軽重量であるかを判断し、位置決め・振れ止め時の速度指令値に対して、重量物の場合にはゲインを大きくし、また、軽量物の場合にはゲインを小さくすることにより、位置決め・振れ止めの精度を高めるものである。
【0041】
図10及び図11は実機試験の結果を示すものであり、図10は吊り荷15が軽量物であり、且つゲインの変更がない場合の時間と残距離X及び振れ角θの関係を示すものである。
また、図11は電力量計の振れ幅によりゲインを0.5とした場合の時間と残距離及び振れ角θの変化の状態を示すものである。
図10と図11の対比からも明らかなように、電力量計の振れ幅によるゲイン調整により、より早くクレーン13の位置及び振れを夫々収束させることができる。
【0042】
本発明に於いては、図2に示す如く、駆動装置制御指令値演算器(2)9、追いノッチ指令値発生器6から正転・逆転のON・OFF指令を駆動指令切替装置11を介して駆動装置12へ入力することにより、クレーン13の位置決め・振れ止めを行なうようにしている。
【0043】
図12は、クレーン13が停止または等速移動を行っている際の吊り荷15の振れの様子を示すものであり、吊り荷15に外部からの力が加えられない場合には、振れ角θは図12のように円運動で表現できる。但し、θは吊り荷15の振れ角、θ′は振れ角速度、ω(=√(g/L))は角周波数を表すものである。
【0044】
ここで、吊り荷15が第一象限にある場合にモータに駆動力を加え、また、吊り荷15が第四象限に来た際に駆動力をなくすと同時にブレーキをかける。
このような操作により、第一象限にある吊り荷15の場合に駆動力をかけ続けることで図13に示すように、θaの点から円の内側へ向かうような軌跡を描く。同様に第四象限にある吊り荷15の場合にブレーキをかけ続けることで、図14に示すようにθbの点から円の内側へ向かう軌跡を描く。
尚、この際の駆動力及びブレーキによる加減速度は理論的な値を用いるのではなく、あくまで既存システムのモータによるトルクとブレーキ性能による操作とする。
また、θ′は振れ角θの微分値であるために、振れ角θの検出値が振動した場合等に第一象限の検出を行い、その結果駆動力がかかって第四象限でのブレーキタイミングを検出できないことが想定される。このため、駆動力は、その印加の開始から最大時間吊り荷の振れ周期の1/4までとする。即ち、この操作は、オペレータの追いノッチ操作を模擬したものである。
【0045】
一例として、図4の如き速度制御パターン等に基づいてクレーンの制御を行ない、目標位置Rの近辺でクレーン13が停止したときに、吊り荷15に振れがある場合を想定する。
このようなケースで、吊り荷15がクレーン13の鉛直真下より目標位置方向に向かって振れている際に、モータに駆動力を持たせる。また、目標位置方向からクレーン13の鉛直真下まで振れ戻る際に、モータの駆動力をきり、且つ同時にブレーキをかける。このようにして、目標位置までの距離を小さくしながら振れを小さくし、最終目標位置へ到達した際には振れの方もほぼ零となる。
【0046】
前記図2に示されているように、本発明では位置決め・振れ止め速度指令値演算器7からの速度指令値を位置決め・振れ止め速度指令値補正演算器8に於いてワイヤーロープ長さLにより補正するようにしている。
具体的には、巻き上げワイヤーロープ14の長Lにより、位置決め・振れ止め時における速度指令値のゲインを調整し、ワイヤーロープ長Lが短いときにはゲインを小さく、ワイヤーロープ長Lが長いときにはゲインを大きく変化させ、ワイヤーロープの長Lが変化した場合においても、位置決め・振れ止めを効率よく行う。
【0047】
図15はワイヤーロープ長Lが3mで、速度指令値のゲインに変更がない場合の、また、図16は、速度指令値のゲインを0.5とした場合の実機試験による時間と残距離及び振れ角の結果を示すものである。
図15及び図16の対比からも明らかなように、ワイヤーロープ長さLに応じて速度指令値のゲインを変えることにより、より速く目標位置へ到達できると共に吊り荷15の振れを無くすことができる。
即ち、位置決め・振れ止め時における速度指令値のゲインをワイヤーロープ長Lが短いときは小さく、ワイヤーロープ長Lが長いときは大きく変化させ、ワイヤーロープ長Lが変化した場合においても、位置決め・振れ止めを効率よく行う。
【0048】
前記位置決め・振れ止め速度指令値補正演算器8からの速度指令値(目標速度Vf)は、駆動装置制御指令演算器(2)9に於いてクレーンの現在速度Vとの関係で正転・逆転のON・OFF指令に変換される。
具体的には、位置決め・振れ止め時の演算された目標速度をVf、クレーンの実際の速度をV、クレーン初期位置から目標位置方向を正または正転方向とすると、位置決め・振れ止め時には、目標位置上を正転方向への進行と逆転方向への進行とを繰り返す操作となる。これを図示すると図17のようになり、正転加速→正転減速→逆転加速→逆転減速→正転加速を繰り返す。
このときの目標速度Vfと実際の速度Vによる正転加速、正転減速、逆転加速、逆転減速、正転加速指令への切り替え方法は、以下の規則に従い操作切り替えを行う。
(1) Vf>0、V≧0、Vf−V>0 のとき 正転加速
(2) Vf≧0、V>0、Vf−V<0 のとき 正転減速
(3) Vf>0、V<0 のとき 逆転減速
(4) Vf<0、V≦0、Vf−V<0 のとき 逆転加速
(5) Vf≦0、V<0、Vf−V>0 のとき 逆転加速
(6) Vf<0、V>0 のとき 正転減速
【0049】
尚、図18は、上記正転・逆転のON.0FF指令により制御されるオープンループの可逆方式の簡易型速度制御装置を備えた駆動装置の回路図の一例を示すものであり、所謂二次抵抗方式の制御回路を用いたものである。図18において、Mはモータ、B1 はブレーキ、R1 は抵抗器、MCはマグネットコンダクタを表し、MCFは前進、MCBは後退、MCBRはブレーキを示す。
即ち、クレーンの速度指令値をオープンループの簡易型速度制御装置に与える制御において、算出された速度指令値Vfと現状の速度Vの大きさ及び符号により、正転加速、正転減速、逆転加速、逆転減速の指令に置き換え、モータの回転数に応じたトルクを発生させて目標とする方向へのクレーン13の移動を行う。
【00503】
尚、クレーンは通常レール上を走行する。レールに歪みがある場合、吊り荷15の振れ角θの検出に誤差が発生する。このため、本発明ではレールを均等に分割し、それぞれの位置における振れ角θの誤差をあらかじめ計測しておく。
例えば、図19に示す例では、均等に分割された各レール区間の振れ角誤差θ1、θ2、各区間とクレーン位置との距離をXc、Xとすると、振れ角の補正角θdは、
θd=(Xc(θ1+θ2)/(Xc+X)
として用いる。
即ち、本発明では、クレーン13の横行及び走行位置を均等に区分し、夫々の区分内における振れ角θの歪みを初期段階において計測し、各区分内にトロリーがある際に各区分内のずれを内分して求め、振れ角を補正する。
【0051】
クレーン13の制御操作は、前記図3に基づいて既に記述したが、先ずクレーン13の現在位置Xaと目標位置Rまでの残距離Xが近いかどうかの判別16が行われ、設定値XD mmより近い場合には、位置決め・振れ止め操作24に入る。前記Xpmmより遠い場合には、吊り荷15の振れがあるか否かが判別17され、振れがあれば、追いノッチ運転19を行い、大きな振れ(θp以上)を抑える。このとき、振れが追いノッチ運転でとれない場合、追いノッチ運転を永久に行ってしまうので、追いノッチ運転回数の上限NPを決めておき、その判別18をする。NP回の追いノッチ運転で振れがθpを越えていると、振れが大きいまま移動するのを避けるため、位置決め・振れ止め操作20を行う。
前記振れ角θの判断17に於いて、振れがθpより小さい場合には、初めて速度パターンの演算を行う。図3の21、22、23の判断及び操作は速度パターンの生成及びその実行を示すものである。
クレーンの速度制御は、通常最初に長距離パターンで運転し、残距離がある場合には短距離パターンで移動し、追いノッチ操作、位置決め・振れ止め操作が行なわれる。
【0052】
即ち、速度パターン生成及びクレーンの移動時において、目標位置までの距離、振れ角に応じて所定の速度パターンで運転し、さらに振れ角に応じて追いノッチ運転を行って位置決め・振れ止め制御が可能となる範囲に移動させ、最後に位置決め・振れ止め操作が行なわれる。
【0053】
【発明の効果】
本発明に於いては、速度指定を高精度な位置制御及び速度制御用駆動装置を用いることなしに、従来から広く使用されている安価な駆動装置に、正逆回転のON・OFF指令として与えることにより、クレーンの移動開始から目標位置までの移動と振れ止めの両立制御を行うようにしている。
即ち、移動距離と巻き上げワイヤーロープ長とクレーンの最大速度と最大加速度及び最大減速度とを基にして、クレーンの移動開始位置から目標位置までの前記簡易型速度制御装置で制御可能な許容変動をもった速度パターンを生成し、加速と惰走による加速時及び定速時の速度制御パターンに追従しながら常に減速タイミングを演算し、減速度が減速パターンに適合した際に減速と惰走による減速を行い、目標に近い位置にクレーンを移動させてクレーンの位置決め・振れ止め制御を行なうようにしているため、クレーンを目標の位置の近辺へ正確に移動させることができる。
また、電力量計を用いることで吊り荷が重量物か軽量物かの判断を行い、これによって生成する速度パターンの加速速度の大きさを調整したり、位置決め・振れ止め時の速度指令値のゲインを変更するようにしているため、安定した位置決め制御性能が得られ、結果として移動時間を短縮すると共に、短時間でクレーンの位置決め・振れ止めを行うことができる。
【0054】
また、請求項2の発明に於いては、生成された速度パターンに対して所定の許容幅を設けることにより、目標とする速度パターンからの大きな逸脱を防ぐようにしているため、目標位置近辺へ確実にクレーンを移動させて位置決めを行うことができる。
【0055】
請求項3の発明に於いては、吊り荷の振れが大きい場合に、目標位置方向への移動を行いながら振れを小さくさせることができるため、クレーンによる移動時の制御の安全性・容易性を高めることができる。
【0056】
請求項4の発明に於いては、速度指令値と現在速度との関係から正転加速、正転減速、逆転加速、逆転減速の指令を生成し、これを駆動装置へ入力するようにしているため、所定の速度の速度制御パターンによる指令を駆動装置に与える際に、従来から広く使用されている安価な駆動装置を用いて、想定された速度パターンに追従する制御を行うことができる。さらに駆動系に対する変更改造を最小限にとどめることができる。
【0057】
請求項5の発明に於いては、最適な速度制御パターンに基づく速度制御と追いノッチ制御に基づく振れ止め制御と位置決め・振れ止め制御とを適宜に切り替えて駆動装置を制御するようにしているため、吊り荷を吊った状態から吊り荷の振れの停止までのクレーンの制御をトータルに行うことができ、運搬時間の短縮と安全性とを兼ね備えた運転ができる。
【0058】
請求項6の発明では、既設クレーンに於いて多く見られるレールの歪みによる振れ角の検出誤差を補正するようにしているため、吊り荷の振れ止めを安定させ、最終的には高精度な位置決めを実現することができる。
本発明は上述の通り、既設のクレーン等へも簡単に且つ経済的に適用することができ、しかも高精度な位置決めと振れ止め制御を達成できると云う優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 クレーンモデルの説明図である。
【図2】 速度指令値演算装置を用いたクレーン制御の制御ブロック図である。
【図3】 クレーン操作の流れ図である。
【図4】 速度制御パターンの一例を示す説明図である。
【図5】 (A)は長距離運転用の速度制御パターンの説明図であり、(B)は短距離運転用の速度制御パターンの説明図である。
【図6】 長距離運転用の速度制御パターンによる制御の実例を示すものである。
【図7】 速度制御パターンへの追従方法の一例を示す説明図である。
【図8】 吊り荷が重量物である場合のワイヤー巻き上げ用モータの所要電力量を示す線図である。
【図9】 吊り荷が軽量物である場合のワイヤー巻き上げ用モータの所要電力量を示す線図である。
【図10】 電力量によるゲイン調整を速度指令値に加えない場合のクレーンの位置及び振れの様子を示す説明図である。
【図11】 電力量によるゲイン調整(0.5変更)を速度指令値に加えた場合のクレーンの位置及び振れの様子を示す説明図である。
【図12】 吊り荷の振れの様子を示す説明図である。
【図13】 駆動力を加えた際の吊り荷の振れの様子を示す説明図である。
【図14】 制動力(ブレーキ力)を加えた際の吊り荷の振れの様子を示す説明図である。
【図15】 ワイヤロープの長さによるゲイン調整を速度指令値に加えない場合のクレーンの位置及び振れの様子を示す説明図である。
【図16】 ワイヤロープの長さによるゲイン調整を速度指令値に加えた場合のクレーンの位置及び振れの様子を示す説明図である。
【図17】 モータ駆動時の発生トルクの一例を示す説明図である。
【図18】 二次抵抗制御による駆動装置の(モータ)の制御の一例を示す制御回路図である。
【図19】 振れ角度の補正の一例を示す説明図である。
【図20】 特開平6−92593号に於ける速度制御パターンの説明図である。
【符号の説明】
1 残距離演算器 A 長距離用速度制御パターン
2 現在速度演算器 B 短距離用速度制御パターン
3 速度パターン発生器 C 追いノッチ制御のパターン
4 駆動装置制御指令 D 位置決め・振れ止め制御のパ
演算器(1) ターン
5 追いノッチ運転回数判定器 L ロープの長さ
6 追いノッチ指令値発生器 M モータ
7 位置決め・振れ止め速度 Q 出発位置
指令値演算器 R 目標位置
8 位置決め・振れ止め速度指 T 振れの固有周期
令値補正演算器 V 上限速度
9 駆動装置制御指令演算器 Vmax 最大速度
(2) tc 定速走行時間
10 角速度演算器 X 残距離値
11 駆動指令切替装置 Xc 自位置検出値
12 駆動装置 Xm 目標位置値
13 クレーン Xa 現在位置
13a 台車 Xp 基準設定値
14 ワイヤロープ θ 振れ角
15 吊り荷 θp 基準設定値
16 速度指令演算装置 θ′ 角速度
α 加速度
β 減速度
Claims (6)
- クレーンの現在位置、クレーンから下がった巻上ワイヤーロープ長及びワイヤーロープの振れ角の測定装置と、クレーン駆動装置の速度制御装置に与える制御指令値を計算・決定する速度指令値演算装置を備えたクレーンにおいて、前記各測定装置の出力から逐次クレーンの速度指令値を算出し、当該速度指令値を前記クレーン駆動装置のオープンループの可逆方式の簡易型速度制御装置に与え、クレーンの速度制御を行うことにより位置決め・振れ止め制御を行うようにしたクレーンの制御方法において、前記速度指令値演算装置によりクレーンの移動を行う際に、移動距離と巻き上げワイヤーロープ長とクレーンの最大速度と最大加速度と最大減速度とを基にして前記簡易型速度制御装置で制御可能な許容速度幅を持った速度制御パターンを生成し、加速と惰走による加速時及び定速時の速度制御パターンに追従しながら常に減速タイミングを演算し、減速度が減速パターンに適合した際に減速と惰走による減速を行い、目標に近い位置にクレーンを移動させてクレーンの位置決め・振れ止め制御を行ない、更にクレーンの吊り荷の巻き上げモータに使用する電力量を計測して当該電力量の大きさから吊り荷が軽負荷であるか若しくは重負荷であるかを判断し、これにより前記速度制御パターンの加減速度の傾きを調整すると共に、前記位置決め・振れ止め制御時の速度指令値のゲインを調整するようにしたことを特徴とするクレーンの制御方法。
- 移動距離、巻き上げワイヤーロープ長、クレーンの最大加速度、最大減速度及び最大速度を基にして算出されたクレーンの速度制御パターンに対して所定の速度幅を持たせ、加速時に於いては当該速度幅の下限値に達した場合に駆動装置であるモータに駆動力を持たせ、また、上限値に達した場合にモータの駆動力をなくした惰性による運転をすると共に、減速時に於いては、所定の速度幅の中で制動力を持たせた運転と制動力をなくした惰性による運転を繰り返し、計画された速度制御パターンに追従させるようにした請求項1に記載のクレーンの制御方法。
- 目標位置の近辺にクレーンが停止したときに吊り荷の振れがある場合に於いて、吊り荷がクレーンの鉛直真下より目標位置方向に向かって振れている際にモータに駆動力を持たせ、また、吊り荷が目標位置方向からクレーンの鉛直真下まで振れ戻る際にモータの駆動力をきると同時にブレーキをかけ、吊り荷の振れ止めを行うようにした請求項1に記載のクレーンの制御方法。
- クレーンが目標位置近辺にあるときにクレーン速度指令値を駆動装置の速度制御装置へ与える制御指令において、算出された速度指令値を、速度指令値と現状の速度の夫々の方向及び前記両者の差の速度の方向にもとづいて、正転加速、正転減速、逆転加速、逆転減速の指令に置き換えて前記速度制御装置へ入力し、クレーンを目標とする速度指令値に近い速度で制御することにより位置決め・振れ止めの両制御を同時に行うようにした請求項1に記載のクレーンの制御方法。
- 目標位置までの距離、振れ角に応じてクレーンを所定の速度制御パターンで運転をし、更に振れ角に応じて、吊り荷がクレーンの鉛直真下より目標位置方向に向かって振れている際にモータに駆動力を持たせ、また、吊り荷が目標位置方向からクレーンの鉛直真下まで振れ戻る際にモータの駆動力を切ると同時にブレーキをかける吊り荷の振れ止めを行なって、クレーンを目標位置近辺の位置決め・振れ止め制御が可能となる範囲内へ移動させ、その後位置決め・振れ止め制御に切替えてクレーンの位置決め・振れ止めを行なうようにした請求項1に記載のクレーンの制御方法。
- クレーンの走行位置を均等に区分すると共に、各々の区分内における振れ角の歪みを初期段階において計測し、各区分内にクレーンがある際に吊り荷の振れ角を前記振れ角の歪みに基づいて補正するようにした請求項1に記載のクレーンの制御方法。
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