JP3810324B2 - ガスセンサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被測定雰囲気における特定のガス、特に湿分の含有量をガス感応層の電気抵抗の変化によって検出するガスセンサに関する。本発明は、湿度センサ及びアンモニアセンサや二酸化窒素センサ等において利用することができ、特に湿度センサの場合に有用である。この湿度センサは、大気雰囲気に含まれる湿分の検出、即ち、環境湿度の計測等の汎用の用途の他、車両、船舶及び飛行機等の内燃機関の排ガス、特に実質的に酸素を含まず、還元性ガスを含む雰囲気に含まれる湿分の検出、家庭用エアコンの制御のための湿分の検知、空気清浄機の湿度制御のための湿分の検出、加湿器及び除湿器の制御のための湿分の検出、園芸若しくは農業向け湿度管理システムにおける湿分の検出、産業用ガス配管内の湿分の検出、環境試験機の湿度モニタ(恒温恒湿機)における湿分の検出、半導体工業用ガスの乾燥度制御のための湿分の検出、定環境室内(クリーンルーム等)の湿度モニタにおける湿分の検出、精密電子部品製造プロセスの湿度制御における湿分の検出、燃料電池等の燃料極、空気極における極く還元性の高い雰囲気に含まれる湿分の検出、或いは食品の品質管理のための湿分の検出などに使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
現在、一般に市販されている湿度センサとしては、水分子の吸脱着反応を利用した抵抗変化式と、容量値変化を利用した容量変化式とがある。これらの湿度センサでは、Al系、MgCr−TiO系、Nasicon等のセラミック系感湿材、及びNafion(米国デュポン社の登録商標)等の重合体系感湿材などが用いられているが、その多くは電気抵抗の変化により湿分を検出するものである。例えば、Sensors and Actuators B40(1977)217−222には、Pt電極が形成されたアルミナ基板の表面に、フッ素系樹脂とシリカとを含む皮膜からなる感湿層を形成した湿度センサが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、アルミナ等からなる基板の表面に、フッ素系樹脂等の高分子電解質体とシリカとを含む感湿層を形成した湿度センサでは、基板と感湿層との密着性が十分ではないことがあり、湿度測定を繰り返した場合に、基板と感湿層との界面に湿分が侵入することがある。その結果、湿度測定の精度が低下し、感湿層が基板から剥離することもある。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、基板等と感湿層などのガス感応層との間が十分に密着しており、測定を繰り返した場合でも、基板等とガス感応層との界面に湿分などの被検出ガスが侵入することがなく、測定精度が低下しない湿度センサ等のガスセンサを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のガスセンサは、基板と、該基板の表面に形成されたガス感応層と、該ガス感応層と接して形成された検知電極と、を備え、該ガス感応層は、無機骨格と、該無機骨格に分散して含有された高分子電解質体とを有することを特徴とする。
本発明では、上記基板がSiを有する材質からなる基板であり、上記無機骨格が、該Siを有する材質からなる基板の表面に形成されたシラノール基を有するシリカ膜の該シラノール基と、活性基を有するポリシロキサン化合物の該活性基との反応により形成されたガスセンサとすることができる。
他の本発明のガスセンサは、基板と、該基板の表面に形成された多孔質膜と、該多孔質膜の表面に形成されたガス感応層と、該ガス感応層と接して形成された検知電極と、を備え、該ガス感応層は、無機骨格と、該無機骨格に分散して含有された高分子電解質体とを有することを特徴とする。
他の本発明では、上記基板がSiを有する材質からなる基板であり、上記無機骨格が、ポリシロキサンからなるガスセンサとすることができる。
本発明及び他の本発明では、上記無機骨格が、三次元網目構造を有するガスセンサとすることができる。
また、上記高分子電解質体がフッ素系樹脂からなり、湿度の検知に用いられるガスセンサとすることができる。
【0005】
【発明の効果】
本発明及び他の本発明のガスセンサでは、基板等とガス感応層との密着性、湿度センサである場合は、基板等と感湿層との密着性に優れ、基板等とガス感応層との界面に湿分などの被検出ガスが侵入しないため、測定精度の低下がなく、感湿層等のガス感応層が基板等から剥離することがない。
本発明では、Siを有する材質からなる基板に無機骨格を化学結合させることにより、基板とガス感応層とを十分に密着させることができる。
他の本発明では、多孔質膜の表面にポリシロキサンからなる無機骨格を形成することにより、基板とガス感応層とを多孔質膜を介して十分に密着させることができる。
本発明及び他の本発明では、無機骨格を、三次元網目構造を有するものとすることにより、所要量の高分子電解質体を確実に保持させることができる。
また、高分子電解質体としてフッ素系樹脂を用いることにより、測定精度の高い湿度センサとすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
[1]ガス感応層が基板と化学結合している本発明のガスセンサ
(1)基板
上記「基板」の種類は特に限定されず、シリコン基板に代表される、Siを有する材質からなる基板、シラノール基を有する材質からなる基板、アルミナ基板、エポキシ基、ヒドロキシル基、イソシアネート基、カルボキシル基等の活性基を有する樹脂からなる基板等を使用することができる。Siを有する材質からなる基板としては、シリコン基板以外にも、SiC基板、Si基板等のセラミック基板が挙げられる。これらのうちでは、ガス感応層と十分に密着させることができ、センサの小型化が容易であるシリコン基板が特に好ましい。
【0007】
(2)ガス感応層
上記「ガス感応層」は、無機骨格と、この無機骨格に分散して含有された高分子電解質体とを有する。無機骨格と高分子電解質体の質量比は特に限定されないが、高分子電解質体/無機骨格を5/1〜1/6とすることができ、特に2/1〜1/3とすることが好ましい。高分子電解質体を1とした場合に無機骨格の質量比が6を越えると、ガスセンサの感度が低下し、精度のよい測定ができない傾向にあり、好ましくない。一方、無機骨格を1とした場合に高分子電解質体の質量比が5を越えると、基板とガス感応層との密着性が低下し、精度のよい測定ができず、ガス感応層が基板から剥離することもあるため好ましくない。
【0008】
▲1▼無機骨格
上記「無機骨格」は、高分子電解質体の粒子を保持することができる限り、その材質、構造等は特に限定されない。その厚さも限定されないが、0.1〜5μmとすることができ、特に0.5〜2μmとすることが好ましい。この無機骨格は、無機化合物が重合して形成され、三次元網目構造を有するものであることが好ましい。このような無機骨格であれば所要量の高分子電解質体を容易に保持させることができる。また、無機化合物と高分子電解質体とを混合させた後、無機化合物を重合させることにより、無機骨格に高分子電解質体が均一に分散され、含有された均質なガス感応層とすることができる。無機骨格を形成する無機重合体は特に限定されないが、シロキサン結合を有するもの、即ち、ポリシロキサンであることが好ましい。
【0009】
無機骨格は、三次元的に重合し得る無機化合物により形成することができるが、単に基板の表面で無機化合物を重合させたのでは、基板と無機骨格とを十分に密着させることはできない。そこで、本発明のガスセンサでは、基板の表面に、基板との密着性に優れ、且つ活性基を有し、無機骨格との間に化学結合を形成し得る密着層を、予め、形成した後、この密着層の表面で無機骨格を形成する。この際、無機骨格と密着層の各々を形成する材質等を特定することにより、この密着層も一体となった無機骨格とすることができる。更に、この密着層が無機骨格となった部分に、高分子電解質体が含有されていてもよい。
【0010】
より具体的には、密着層は、例えば、テトラアルコキシシラン等のアルコキシシランを液体ソースとしたプラズマCVD等の蒸着法、シリカ等をターゲットとしたスパッタリング法などにより、基板の表面に形成することができる。この際、特に多官能のアルコキシシランを原料とすることで、多くのシラノール基を有するシリカ膜を形成することができる。また、密着層は、Siを有する材質からなる基板(特にシリコン基板)を用いる場合は、その表面を酸化させることにより、シラノール基を有するシリカ膜として容易に形成することができる。
【0011】
その後、このシリカ膜の表面に、フッ素系樹脂と、シラン化合物とを含有するゾル溶液を塗布し、加熱し、シラン化合物を部分加水分解させ、重縮合させて、シラノール基と反応し得る活性基を有するポリシロキサン化合物を生成させる。次いで、このポリシロキサン化合物の活性基とシリカ膜のシラノール基とを反応させ、シロキサン結合を生成させながら無機骨格を形成することにより、基板と無機骨格とを十分に密着させることができる。このような方法では、基板とシリカ膜との密着性の観点から、基板としては、シリコン基板及びSiC、Si等のSiを有するものが好ましく、特にシリコン基板が好ましい。
【0012】
尚、ゾル溶液に、塩酸、硝酸、硫酸等の酸触媒を配合すれば、重縮合により形成される分子が直鎖状になり易く、分子量が大きくなっても流動性が保たれるため、塗布等により成膜する用途には好適である。酸触媒は、シラン化合物を100質量部とした場合に、1〜150質量部、特に5〜50質量部配合することができる。また、酸触媒は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0013】
シラン化合物としては、アルコキシシランが好ましく、この場合は、アルコキシル基を有するポリシロキサン化合物となり、このアルコキシル基とシリカ膜のシラノール基との脱アルコール反応によってシロキサン結合が形成される。アルコキシシランとしては、3官能又は4官能のものを使用し、三次元網目構造を有する無機骨格を形成することが好ましい。更に、均質な三次元網目構造を形成するためには4官能のアルコキシシランが特に好ましい。
【0014】
4官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン及びテトラ−n−ブトキシシラン等が挙げられる。また、3官能のアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのアルコキシシランは1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用することもできる。
【0015】
図3乃至図5に、シリコン基板の表面に感湿層等のガス感応層を形成する工程を模式的に示す。
図4は、シリコン基板1と、このシリコン基板1の表面に、シラン化合物を液体ソースとするプラズマCVD法等により形成された密着層とを示す。この密着層は、シラノール基を有するシリカ膜21からなる。また、図3は、アルコキシル基を有するポリシロキサン化合物にフッ素系樹脂等の高分子電解質体5が含有されている塗膜の様子を模式的に示す。そして、図4に示す密着層の表面に、この図3に示す塗膜を形成し、シリカ膜のシラノール基とポリシロキサン化合物のアルコキシル基とを反応させる。図5は、この反応後の様子を示すものであり、シリコン基板1の表面にポリシロキサンからなる無機骨格が形成され、この無機骨格に高分子電解質体5が含有され、感湿層2等のガス感応層が形成されている。
【0016】
▲2▼高分子電解質体
上記「高分子電解質体」としては、Nafion(米国デュポン社の登録商標)等のフッ素系樹脂、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸ナトリウム塩などが挙げられる。Nafion(米国デュポン社の登録商標)はイオン伝導の際に水分子をともなって移動するため、特に湿度センサに用いられる高分子電解質体として有用である。また、高分子電解質体としてポリアニリンを用いるとアンモニアの吸着によりガス感応層の電気抵抗が変化するアンモニアセンサとすることができる。
【0017】
(3)電極
上記「検知電極」は、ガス感応層の一面に接して形成された一対の櫛歯電極であってもよいし、ガス感応部の一面と他面に接して形成された一対の電極であってもよい。これらの電極は、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Os、Ir及びPtのうちの少なくとも1種の貴金属により形成することが好ましい。尚、これらの貴金属の2種以上からなる合金を使用してもよく、例えば、高温におけるPtの揮発が抑えられるPtとRhとの併用等は有用である。また、一対の電極の各々は必ずしも同じ貴金属により形成する必要はないが、同じ貴金属であれば工程を簡略化することができ、好ましい。これらの貴金属のうちではAu及びPt、特にPtを主成分とすることが好ましい。Ptは、高温においても酸化還元雰囲気等で劣化し難く、Pt自身がガス感応層に拡散したりすることもない。そのため、一対の電極をともにPtによって形成することによって、より耐久性に優れたガスセンサとすることができる。
【0018】
[2]基板とガス感応層との間に多孔質膜が形成された他の本発明のガスセンサ
(1)基板及び電極
基板としては、[1]、(1)に記載のものを使用することができる。また、電極としては、[1]、(3)に記載のものを用いることができる。更に、これら基板及び電極の種類等による作用、効果も[1]、(1)及び[1]、(3)の場合と同様である。
【0019】
(2)多孔質膜
上記「多孔質膜」は、基板との密着性に優れるものであれば、材質は特に限定されず、基板の種類によって密着性等を勘案し、選定することが好ましい。また、多孔質膜の形成方法も特に限定されず、プラズマCVD等の蒸着法及びスパッタリング法などにより形成することができる。更に、この他の本発明のガスセンサでは、ガス感応層は、基板に密着した多孔質膜の表面に形成されるため、投錨効果により多孔質膜を介して基板に固定される。そのため、多孔質膜の気孔率、気孔径及び厚さは、ガス感応層を形成するためのフッ素系樹脂とシラン化合物とを含有する溶液等の粘度などを勘案しながら、この溶液等を多孔質膜に容易に侵入させることができるように調整することが好ましい。尚、この他の本発明のガスセンサにおいても、多孔質膜が、[1]、(2)、▲1▼の密着層と同様にシラノール基等の活性基を有しており、ガス感応層との間に化学結合が形成されていてもよい。
【0020】
(3)ガス感応層
ガス感応層は、無機骨格と、この無機骨格に分散して含有された高分子電解質体とを有する。無機骨格に対する高分子電解質体の質量比及びこの質量比が好ましい範囲を外れた場合の問題点等は[1]、(2)の場合と同様である。また、無機骨格は、その一部が多孔質膜に侵入することにより基板に固定される必要があるため、無機骨格の形成に用いる溶液の粘度等を、センサの測定精度が低下しないこと等を勘案しながら調整することが好ましい。更に、[1](2)▲1▼と同様の理由で、無機骨格が、無機化合物が重合してなり、三次元網目構造を有するものであること、及びこの無機重合体がシロキサン結合を有するもの、即ち、ポリシロキサンであることが好ましい。また、この他の本発明では、ガス感応層は投錨効果により多孔質膜に固定されるため、基板はシリコン基板とし、多孔質膜はシリカ膜とし、無機骨格はポリシロキサンからなるものとすることが好ましい。このように各々をSiを有する親和性の高いものとすることで、基板と多孔質膜及び多孔質膜と無機骨格とを十分に密着させることができる。
【0021】
この他の本発明のガスセンサにおける基板、多孔質膜及びガス感応層の横断面を図6に示す。
このガスセンサでは、シリコン基板1等の基板と、この基板の表面にシリカ等をターゲットとしたスパッタリング法などにより形成された多孔質膜4と、この多孔質膜4の表面に形成された櫛歯電極3等の電極と、多孔質膜4及び櫛歯電極3等の電極の表面に高分子電解質体とシラン化合物とを含有するゾル溶液を用いて形成された感湿層2等のガス感応層と、を有する。このようにガス感応層は、多孔質膜に投錨効果により固定されており、ガス感応層は多孔質膜を介して基板に密着している。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
(1)フッ素系樹脂とテトラエトキシシランとを含有するゾル溶液の調製
フッ素系樹脂(デュポン社製、商品名「Nafion」)を含む溶液と、テトラエトキシシラン(和光純薬工業株式会社製)とを、表1に記載の容量比で、下記のようにして混合し、ゾル溶液を調製した。フッ素系樹脂溶液には約20質量%の水が含まれているため、この溶液とテトラエトキシシランとの容量比を変化させることは、水とテトラエトキシシランとの容量比を変化させることになり、それによってテトラエトキシシランの部分加水分解反応、或いは重縮合反応の程度を調整することができる。
▲1▼フッ素系樹脂溶液(この容量を1とする。)と、容量比で1のエタノール及び容量比で0.05の濃硫酸とを混合する。
▲2▼上記▲1▼の溶液を、テトラエトキシシランに攪拌しながら徐々に滴下する。尚、上記▲1▼の硫酸水溶液に含まれる硫酸はテトラエトキシシラン100質量部に対して約7〜130質量部となる。
▲3▼上記▲2▼の溶液を85〜90℃で1時間還流させることにより加熱、攪拌し、テトラエトキシシランを部分加水分解させ、重縮合させる。
▲4▼上記▲3▼の溶液を室温にまで放冷した後、24時間攪拌し、フッ素系樹脂とポリシロキサン化合物とを含有するゾル溶液とする。
【0023】
【表1】
Figure 0003810324
【0024】
(2)ガス感応層の形成及び基板との密着性の評価
(1)において調製された各々のゾル溶液を、テトラエトキシシランを液体ソースとしたプラズマCVD法により、表面にシラノール基を有するシリカ膜が形成されたシリコン基板の表面にスピンコーティングし、150℃、170℃及び200℃のそれぞれの温度で2時間熱処理し、ガス感応層(この場合は、「感湿層」になる。)を形成した。感湿層は、1個のシリコン基板の表面に各々7個形成し、これら7個の感湿層の表面に粘着テープを貼着した後、これを剥がし、感湿層のシリコン基板からの剥離の有無、即ち、密着性を評価した。結果を表2に記載する。尚、評価基準は、○;7個すべての感湿層がシリコン基板から剥離しなかった、×;7個すべての感湿層がシリコン基板から剥離した、である。
【0025】
【表2】
Figure 0003810324
フッ素系樹脂とシリカ膜との質量比は計算値である。
【0026】
表2の結果によれば、感湿層がフッ素系樹脂とテトラエトキシシランとを含むゾル溶液により形成された実施例1〜4では、フッ素系樹脂とテトラエトキシシランとの質量比及び熱処理温度にかかわりなく、7個すべての感湿層がシリコン基板から剥離していない。一方、感湿層がフッ素系樹脂のみを含むゾル溶液により形成された比較例1では、7個すべての感湿層がシリコン基板から剥離し、フッ素系樹脂とテトラエトキシシランとを含む特定のゾル溶液により形成された感湿層とすることにより、密着性が十分に向上していることが分かる。
【0027】
(3)湿度センサの作製
以下の方法により湿度センサを作製した。図1は、この湿度センサの横断面である。
一般的なシリコンプロセスであるプラズマCVD法により、シリコン基板1の表面にシラノール基を有する厚さ200nmのシリカ膜を形成した。その後、このシリカ膜の表面に、厚さ40nmのPtと厚さ20nmのTaとが積層された線幅20μmの櫛歯電極3をスパッタリング法により形成した。次いで、シリカ膜及び櫛歯電極3の表面に、実施例1〜4及び比較例1におけるゾル溶液を用いてスピンコーティング法により塗膜を形成した。その後、150℃、170℃及び200℃のそれぞれの温度で2時間熱処理し、シリカ膜とゾル溶液に含まれるポリシロキサン化合物との脱アルコール反応により感湿層2を形成し、ダイシングによりシリコン基板を5×5mmの大きさに切り出し、湿度センサ素子を形成した。次いで、この素子をTO−8パッケージの基体71に接着剤により接合し、シリカ膜の表面に形成されたボンディングパッド6から所定のピン72にAuワイヤ8によりボンディングし、湿度センサを作製した。
【0028】
(4)湿度センサの感湿特性の評価
本発明の湿度センサは、雰囲気の湿度による抵抗値の変化を出力し、これにより湿度を検知するものである。そこで、実施例1〜3及び比較例1におけるゾル溶液を用いて作製した各々の湿度センサについて、下記の条件で抵抗値を測定し、湿度と抵抗値(センサ出力)との相関を検討した。
抵抗値の測定条件
▲1▼測定装置:Solartron社製、商品名「インピーダンスアナライザ」
▲2▼センサ設定条件:印加電圧;100mV、測定周波数;10kHz
▲3▼測定環境:大気雰囲気、温度;80℃、湿度;40、60、80及び95RH%
この感湿特性の評価結果を図2に記載する。
【0029】
図2によれば、実施例1〜3におけるゾル溶液を用いて作製した湿度センサを用いて測定した湿度とセンサ出力との相関を表す直線の傾きは、いずれも比較例1におけるゾル溶液を用いて作製した湿度センサの場合の傾きとほとんど同じであることが分かる。これは、これらのセンサの感湿特性が略同じであることを意味する。また、湿度測定を繰り返し行った場合、比較例1のフッ素系樹脂のみからなる感湿層を有するセンサでは、感湿層がシリコン基板から剥離したのに対し、本発明のセンサでは、いずれも感湿層の剥離はなく、繰り返し安定して測定することができた。ここで、図2は、150℃で2時間熱処理した場合の結果であり、この熱処理条件を変化させて評価してみたが、熱処理条件による感湿特性の大きな変化はなかった。
【0030】
尚、本発明においては、上記の具体的な実施例に限られず、目的、用途等に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例えば、基板の内部にヒータを配設することができる。このヒータにより湿度センサを定期的に加熱することによって、感湿層の内部に侵入した湿分及び他の不純物等を完全に脱離させることができる。これにより感湿層が常に清浄な状態に保たれ、測定精度が向上し、且つ優れた測定精度が長期に渡って安定して維持される。また、湿度が非常に高い場合に、ヒータを作動させることにより、センサへの結露を防止することもできる。
【0031】
更に、感湿層の抵抗変化により湿分を検知する湿度センサでは、測定雰囲気の温度に対する感湿材の抵抗値の変化、所謂、抵抗の温度依存性があるため、基板の内部に被測定雰囲気の温度を測定するための測温抵抗体(特に小型のセンサでは基板温度を測定することにもなる。)を配設することができる。この測温抵抗体によって感湿材の温度による抵抗値の変化を補正し、雰囲気温度に依存することなく精度よく湿度を測定することができる。加えて、感湿材により相対湿度を測定するとともに、測温抵抗体によって雰囲気温度を測定することができ、これによって絶対湿度を算出することもできる。
【0032】
これらヒータ及び測温抵抗体は、基板の内部において感湿層の直下に配設されることが好ましい。ヒータを感湿層の直下に配設することにより、感湿層全体をほぼ均一に加熱することが容易であり、感湿層に侵入した湿分及び他の不純物等を効率よく脱離させることができ、加熱に要する電力消費を極力低減することもできる。一方、測温抵抗体を感湿層の直下に配設することにより、基板の熱伝導の影響を受けることなく、湿度の検出とほぼ同一の個所で温度を測定することができ、湿度の測定精度をより向上させることができる。
【0033】
また、特に、小型のガスセンサを必要とする場合は、この実施例のようにシリコン基板が使用されることが多いが、このシリコン基板では、基板のガス感応層及び検知電極が形成された面とは反対の面において、マイクロマシニング技術により基板の一部を除去し、容易にダイヤフラム部を形成することができる。そして、基板の表面のダイヤフラム部に対応する部分に感湿層等のガス感応層を形成することで、ガス感応層を他の部分から熱的に絶縁することができ、測定精度を更に高めることができる。
更に、電解質体として金属フタロシアニンを用いると二酸化窒素の吸着によりガス感応層の電気抵抗が変化する二酸化窒素センサとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】湿度センサの一例の断面図である。
【図2】実施例1〜3及び比較例1における湿度センサを用いた場合の測定雰囲気の湿度とセンサ出力との相関、即ち、湿度センサの感湿特性を表すグラフである。
【図3】アルコキシル基を有するポリシロキサン化合物にフッ素系樹脂等の高分子電解質体が含有されている塗膜の様子を示す模式図である。
【図4】シリコン基板と、その表面に、シラン化合物を液体ソースとするプラズマCVD法等により形成された密着層とを示す模式図である。
【図5】シリコン基板の表面にポリシロキサンからなる無機骨格が形成され、この無機骨格に高分子電解質体が含有されている様子を示す模式図である。
【図6】他の本発明における基板、多孔質膜、櫛歯電極及びガス感応層の横断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1;シリコン基板、2;感湿層、21;シラノール基を有するシリカ膜、3;櫛歯電極、4;多孔質膜、5;高分子電解質体、6;ボンディングパッド、71;TO−8パッケージの基体、72;TO−8パッケージのピン、8;Auワイヤ。

Claims (6)

  1. 基板と、
    該基板の表面に形成されたガス感応層と、
    該ガス感応層と接して形成された検知電極と、を備え、
    該ガス感応層は、無機骨格と、該無機骨格に分散して含有された高分子電解質体とを有することを特徴とするガスセンサ。
  2. 上記基板がSiを有する材質からなる基板であり、上記無機骨格が、該Siを有する材質からなる基板の表面に形成されたシラノール基を有するシリカ膜の該シラノール基と、活性基を有するポリシロキサン化合物の該活性基との反応により形成された請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 基板と、
    該基板の表面に形成された多孔質膜と、
    該多孔質膜の表面に形成されたガス感応層と、
    該ガス感応層と接して形成された検知電極と、を備え、
    該ガス感応層は、無機骨格と、該無機骨格に分散して含有された高分子電解質体とを有することを特徴とするガスセンサ。
  4. 上記基板がSiを有する材質からなる基板であり、上記無機骨格が、ポリシロキサンからなる請求項3に記載のガスセンサ。
  5. 上記無機骨格が、三次元網目構造を有する請求項1乃至4のいずれか1項に記載のガスセンサ。
  6. 上記高分子電解質体がフッ素系樹脂からなり、湿度の検知に用いられる請求項1乃至5のいずれか1項に記載のガスセンサ。
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