JP3810069B2 - 防湿断熱壁パネルを用いた内断熱コンクリート壁構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造の内断熱壁構造に関するものであり、型枠兼用の新規な防湿断熱壁パネルを用いて断熱性に優れ、内部結露の抑制出来るコンクリート壁構造を提供するものであり、建築の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
〔特許文献1〕 特許第1989410号(特開平5−171723号)公報
鉄筋コンクリート造建築物の断熱層としては、JISA―9511にある発泡プラスチック系の板状成形断熱材が用いられていたが、現状では、ウレタン現場発泡断熱手段が最も多く用いられている。
そして、成形断熱材を用いて内断熱コンクリート壁を形成する場合は、コンクリート打設用の壁型枠の内側型枠用合板に断熱材を釘で固定し、外側型板と断熱材との間にコンクリートを打設して、コンクリート壁の内側に断熱材を一体化し、型枠を解体除去して成形断熱材に石膏ボード等の仕上材を張着している。
【0003】
最近になって、断熱材に対する仕上材の取付けを合理化したものが提案されており、特許文献1(従来例)に示す特許第1989410号として、型枠、内装下地兼用断熱パネルがある。
即ち、従来例は、図8(A)に示すとおり、ビーズ法成形ポリスチレンフォームの断熱材に、剛性の強い補強材を端太間隔に埋設成形し、成形断熱材の両側面には当接接合用の相欠けを形成したパネルを用いるものであり、コンクリート型枠組みに際しては、補強材が、断熱板にコンクリート型板としての強度を付与すると共に、端太材の機能も奏し、コンクリート壁養生後の壁仕上げに際しては、図8(B)に示すとおり、石膏ボード等の内装材と共にボードを下地材としての補強材に釘打ち張着するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図8(A),(B)に示す従来例の物は、型枠解体後には、コンクリート壁と一体となって内断熱コンクリート壁を形成するが、石膏ボード等の所望内装表装材を下地材としての補強材に釘打ち張設する必要があり、また、コンクリート壁と断熱材との間に内部結露を生じ、カビやダニの発生を生じて室内側の住環境が良くない。
更には、断熱材中に、下地材としての補強材を埋設するため、断熱材より熱伝導率の高い補強材の存在により、断熱材(断熱層)の断熱性能も低下する。
本発明は、新規な型枠兼用の防湿断熱壁パネルを用いて、これら従来例の問題点を一挙に解決又は改善するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段、及び作用】
本発明の内断熱コンクリート壁構造は、例えば図1,図2,図6(A)に示す如く、木質構造用パネル1a,2a,2´aと、合成樹脂を発泡成形した断熱層1b,2b,2´bとの層間に、両面に接着剤を塗布した防湿性のプラスチックフィルム1c,2c,2´cを中間層として介在して層着一体化した壁パネル1,2,2´とし、該壁パネルの断熱層1b,2b,2´bの両側面には、接合用の相欠けp,qを形成すると共に、プラスチックフィルム1c,2c,2´cと近接した位置に溝G1を、上下全長に亘って形成し、壁パネル1,2,2´面の適所に型枠金具挿入孔hを穿設し、該壁パネル1,2,2´を、両側の壁パネル間に亘って、該溝G1に差渡し状に防湿性のジョイント板25a,25b,25cを挿入して、両側の壁パネル1,2,2´を相欠け接合Jし、断熱層1b,2b,2´b面が打設コンクリートを規定するように、コンクリート壁の内側型枠1Fとして用いてコンクリート壁4と一体化したものである。
【0006】
尚、「木質構造用パネル」は、典型的には、樹木の小径、間伐材等を長さ113mm前後、幅11mm前後、厚さ0.6mm前後の短冊状の削片とし、表裏層はパネル長手方向に配向し、芯層はパネル幅方向に配向させて、3層又は5層の配向層形態とし、合成樹脂接着剤を結合剤として成板したOSB(オリエンテッド・ストランド・ボード)と称される9.5mm厚の板材であるが、構造材としての強度、寸法安定性を備えた木質板材であれば良い。
また、「防湿性のプラスチックフィルム」は、透湿阻止機能を備えたものであれば良い。
また、防湿断熱壁パネルの全体形状は、所望建築物のコンクリート壁構造に応じて、成形材である木質構造用パネル1a(2a,2´a)及び断熱層1b(2b,2´b)を適切に層着することにより、平坦にも、弯曲形態にも出来る。
【0007】
そして、該防湿断熱壁パネル1(2,2´)は、従来例同様に、コンクリート壁型枠板として断熱層をコンクリートと一体化するものであり、型枠組みに際しては、木質構造用パネル1a(2a,2´a)が型板としての十分な強度を発揮して作業が合理化出来、コンクリート壁4の形成後は、木質構造用パネル1aが室内側の表装材となって、コンクリート壁仕上げでは、もはや表装材の釘打ち張設作業が不要となり、表装作業が大幅に合理化出来る。
しかも、表装面材としての木質構造用パネル1a(2a,2´a)は、フック、洋服掛け、カーテンレール等のネジ取付けも可能であると共に、熱伝導率が小さく(石膏ボードの1/2)て、室内熱を外側に伝達するのを阻止するため、表装面材の表面温度と室内気温との差が小さくて表面結露も防止出来、快適室温を保つことが出来る。
また、パネル側面の相欠けp,q接合により、コンクリートのノロ漏れ(セメントペースト漏れ)がなく、熱橋の無い壁が得られる。
【0008】
また、該壁パネル1(2,2´)は、型枠金具挿通孔hを所定位置に設けているため、型枠組み作業も迅速、適切、且つ、合理的に実施出来る。
そして、防湿性のプラスチックフィルム1cの存在により、室内側から木質構造用パネル1aを透過する水蒸気は、透湿抵抗の大なプラスチックフィルム1cによって断熱層1b内への透過が阻止され、コンクリート壁と断熱層1bとの界面での内部結露の発生が大幅に低減出来、該パネル1を内側に備えた内断熱コンクリート壁4は、結露を起因とするカビ発生を抑制して、衛生的な住環境を提供する。
しかも、本発明に採用する壁パネルにあっては、図6(A)に示す如く、断熱層1b,2b,2´bの両側縁には、上下全長に亘り、プラスチックフィルム1c,2c,2´cと近接した位置に、溝G1を設け、両側の壁パネル間に亘って該溝G1に差渡し状に防湿性のジョイント板を挿入し、両側の壁パネル側面を相欠け接合している。
溝G1の形成は、壁パネル1(2,2´)の両側面で相欠けp,q加工時に、プラスチックフィルム1c(2c,2´c)より間隔d3(1 mm )内側に、厚さT4(1 mm )、幅WG(50 mm )の溝G1を、壁パネルの縦方向加工時に回転鋸で形成すれば良い。
そして、溝G1が存在するため、壁パネル1(2,2´)の相欠け接合時に、両パネル間接合部Jの両側の溝G1,G1に亘って塩化ビニル系、ポリエステル系等のプラスチック板で、防湿性の厚さ1 mm 、幅100 mm (W25)のジョイント板25を挿入することにより、壁型枠組み時のパネル相互の不陸の発生が抑制出来ると共に、内断熱コンクリート壁としても、壁パネル接合部Jでの透湿阻止機能劣下に対する補強が出来、壁全面に亘って均斉な防湿機能が付与出来る。
【0009】
また、木質構造用パネル1aはプラスチックフィルム1cを介した断熱層1bとの層着であるので、断熱層1bには従来例の下地材埋設部の如き欠損部がなく、壁全面に亘って均一な断熱機能を発揮し、熱橋がない。
従って、本発明コンクリート壁構造は、壁パネル1(2,2´)自体が型枠金具挿入孔hを備えて型枠(せき板)を兼用するので、現場に於けるコンクリート壁の型枠組み作業が大幅に合理化出来ることと、内装パネルの釘打ち張設作業を不要としたこととが相俟って、従来例での内断熱コンクリート壁施工より、施工コストの大幅な低減の下に、従来の内断熱コンクリート壁で得られる住環境よりも、断熱面、結露防止面ではるかに高性能、且つ、衛生的な住環境の内断熱コンクリート壁が得られる。
【0010】
また、本発明に用いる防湿断熱壁パネルは、木質構造用パネル1a、断熱層1bが平坦な平板壁パネル1であるのが好ましい。
一般に、鉄筋コンクリート建築物は、平坦なコンクリート壁が多く、従って、平板壁パネル1は多くの需要に応えることが出来、建物のコーナー部でのパネル間接合を注意深く実施すれば、殆どの鉄筋コンクリート壁構造の型板兼断熱層として適用出来る。
【0011】
また、図2(A)に示す如く、出隅コーナー部Cには、断熱層2bを外側に、木質構造用パネル2aを内側として直交接合した出隅壁パネル2を用いるのが好ましい。
この場合、コーナー部Cでの断熱層1b端部への直交形態の断熱層1bの側面の直交接合Jyは、相欠け接着接合すれば良く、断熱層1bは肉厚であるので、直交(直角)形態維持は可能である。
そして、適正な寸法出しの下での工場生産品として所望出隅壁パネル2を製作しておき、コンクリート壁型板1Fとして平板壁パネル1と併用するため、コンクリート壁型枠のコーナー部の出隅精度の保持が容易なことと、各壁パネル1,2が型枠金具挿入孔hを備えていることとが相俟って、型組み作業が合理化出来る。
しかも、出隅壁パネル2も平板壁パネル1同様の断熱、防湿機能を有するため、内断熱コンクリート壁構造は、きれいな出隅構造を備え、断熱機能面でも、結露防止面でも均斉、且つ高性能を発揮し、住環境の優れたものとなる。
【0012】
また、図2(C)に示す如く、入隅コーナー部C´には、断熱層2´bを内側に、木質構造用パネル2´aを外側として直交接合した入隅壁パネル2´を用いるのが好ましい。
この場合、適正な寸法出しの下での工場生産品として入隅壁パネル2´を製作しておけば、必要に応じて平板壁パネル1及び出隅壁パネル2と併用することにより、壁面に入隅部C´の存在する複雑な壁面のコンクリート壁構造であっても、コーナー部(出隅部C、入隅部C´)での精度の保持された型枠組みが容易となり、コンクリート壁構築施工も合理化出来、壁面全面が均斉な断熱性と内部結露防止性能を有する内断熱コンクリート壁構造が得られる。
【0013】
また、壁パネルの断熱層1b,2b,2´bが、押出法ポリスチレンフォームであるのが好ましい。
この場合、断熱層は、均質、均等寸法物として得られるばかりか、従来のコンクリート壁付設断熱材として用いられているビーズ法ポリスチレンフォームと比して、透湿抵抗が約2倍で、吸水量が極端に小(約1/100)で、水分蓄積率が約1/2となり、コンクリート型板として用いれば、ビーズ法ポリスチレンフォームの使用の場合よりも、吸湿による断熱性能の低下の抑制、及び内部結露の抑制の面で遥かに優れた内断熱コンクリート壁構造が得られる。
【0014】
また、本発明のコンクリート壁構造に用いる防湿断熱壁パネルの防湿性のプラスチックフィルム1c,2c,2´cが、透湿抵抗の大なポリエチレンフィルムであるのが好ましい。
この場合、JISA6930の規定による住宅用プラスチック系防湿フィルムであっても、従来の汎用品である300m2.h.mmHg/gのものは、若干の内部結露を生ずるため、900m2.h.mmHg/gの0.1mm厚のポリエチレンフィルムを採用し、両面に塗布する接着剤としては、アクリル樹脂系のエマルジョン接着剤を片面40g/m2(厚さ0.04mm)で塗布するのが好ましい。
従って、内断熱コンクリート壁は、防湿断熱壁パネル1(2,2´)が、プラスチックフィルム1c(2c,3c)によって強固に層着され、且つ、木質構造用パネル側から断熱層側への高い透湿阻止機能を備えているため、断熱層とコンクリート壁との界面での結露の抑制出来るものとなる。
【0015】
また、本発明に用いる壁パネルは、図1、図2に示す如く、壁パネル1,2,2´の上端には、全幅に亘って木質構造用パネル1a,2a,2´aから小寸の断熱層むき出し部1b´,2b´,2´b´を形成しておき、成形断熱材3bと木質構造用板3aとを、防湿性フィルム3cで層着した床スラブパネル3を、木質構造用板3aを下面に、且つ成形断熱材3bの側面を該むき出し部1b´,2b´,2´b´に当接配置するのが好ましい。
この場合、該むき出し部1b´,2b´,2´b´の存在により、図3(C)の如く、床スラブS下面への熱橋抑制用の床スラブパネル3の配置に際し、壁パネル1(2,2´)の断熱層1b(2b,2´b)と床スラブパネル3の断熱層3bとの当接連続配置することにより、両パネル1,3の配置作業が容易であるのは勿論、コンクリート壁4の内壁面からコンクリート床スラブS外周部の下面へと断熱層で連続被覆出来るため、コンクリート壁4から熱橋の生じ易い床スラブ周辺部の下面での床スラブパネル3による熱橋抑制のための断熱補強が完全となる。
【0016】
また、図1(C)に示す如く、断熱層1b(2b,2´b)の上下接合部Jsのプラスチックフィルム1c(2c,2´c)には、全幅に亘って補助防湿フィルム(補強フィルム)1c´を配置するのが好ましい。
木質構造用パネル1a(2a,2´a)は,構造材であるため1枚で使用するが、一般に断熱層1b(2b,2´b)を形成する断熱材は市販品を入手して必要寸法に継ぎ足し利用するのが合理的であり、この場合、断熱材のパネル内での接続部Jsに補助防湿フィルム1c´を増張りすれば、透湿し易いパネル内接続部Jsでの透湿阻止機能が増大し、断熱層1b(2b,2´b)は、接続使用品であっても支障なく採用出来る。
従って、市販断熱材の合理的使用が可能となり、壁パネル1(2,2´)は製作面、コスト面で合理化出来、本発明コンクリート壁構造の建築コスト低減に有利である。
【0018】
本発明に用いる壁パネル1(2,2´)相互は相欠け接合であり、該相欠け接合は、パネル間接合部Jでは、型枠内に打設した未固化コンクリート(フレッシュコンクリート)のノロ漏れを防止し、断熱層内にコンクリートが浸入して熱橋となることを阻止し、断熱性能を保持するには有効であるが、接合部Jでは、透湿抵抗は、プラスチックフィルム1cが連続していなく、断熱層の透湿抵抗がプラスチックフィルム1cよりは小であるため、壁パネル1の接合部Jでは、室内側の空気中の水蒸気のコンクリート面までの移動を阻止する効果は小さい。
【0019】
従って、壁パネルを内側型板として使用する時に、相欠け接合部Jでは、プラスチックフィルム1cの近接位置で両側の溝G1,G1に亘って防湿性のジョイント板25を嵌入することにより、接合部Jでの両側からのプラスチックフィルム1cの当接面での透湿阻止機能低下を好適に補償出来、該壁パネル1(2,2´)を採用した本発明コンクリート壁4は、壁面全面に亘って熱橋を阻止し、且つ、透湿による内部結露を阻止する、優れた鉄筋コンクリート内断熱壁構造となる。
【0020】
また、本発明に採用する壁パネルにあっては、図6(B)に示す如く、溝G1から木質構造用パネル1a,2a,2´aの表面に亘り、溝G1と連通する切欠Jcを上下全長に亘って配し、中央に突片25Pを備えたジョイント板25bを、突片25Pを両側の切欠Jcで形成された溝G2内に嵌合して溝G1に挿入するのが好ましい。
この場合は、壁型枠形成時に、壁パネル1(2,2´)相互を接合した際には、中央部に突片25Pを備えた防湿性のジョイント板25bを、両側の溝G1,G1に亘り、且つ、突片25Pを溝G2に嵌入することにより配置可能となり、コンクリート壁4形成後は溝G2及び突片25Pが室内側での目地としての美観を呈する。
勿論、該溝G2には、柔軟性のあるパテを充填して経年ヒビ割れを防止しても良い。
【0021】
また、図6(C)に示す如く、防湿性ジョイント板25として、中央部の突片25Pが隙間閉止用の頭部25P0を備えた断面H形状のジョイント板25cを採用することも可能である。
この場合は、頭部25P0がパネル間の接合隙間をきれいに閉止するため、木質構造用パネル1a(2a,2´a)をそのまま内装仕上材とする場合に有利であり、ジョイント板25cはパネル相互の接合部Jでの透湿防止兼、目地仕上材として機能する。
【0022】
また、本発明に採用する壁パネルにあっては、図7に示す如く、断熱層1b,2b,2´bの中間適所に、プラスチックフィルム1c,2c,2´cで覆われ、且つ、壁パネル1,2,2´を上下に貫通している溝G3を配置するのが好ましい。
この場合、溝G3は、コンセントなどに配線するための、径1.6mmの電線を2本内臓するビニル絶縁平形電線(VVS線)26(9.5mm×6.2mm)を挿入するものであり、壁及び床スラブ型枠を形成後、平形電線26を上方から下方に挿入すれば良い。
尚、溝G3は、配線作業をスムーズに実施出来る程度とすべきであり、幅W9を30mm、深さT5を20mmとすれば良い。
勿論、プラスチックフィルム1c(2c,2´c)は損傷を受けないため、壁パネル全面に亘って均斉な透湿阻止機能を保証する。
【0023】
従って、従来は、下地組込みパネルを立設後に慣用のCD管、断熱材を被覆したボックスを配置し、コンセント部の断熱層を開口し、次いで、石膏ボード張着後、石膏ボードにコンセント部の穴を開け、CD管内に電線を通し、電線とコンセントを結線し、次いでコンセントを石膏ボードに固定し、コンセントをネジ固定していたが、本発明にあっては、パネル立設、及び壁、床スラブ型枠形成後、床スラブ型枠上からパネルの溝G3に電線を挿入し、パネル上端辺と床スラブ断熱補強パネル3との接合部に布テープを張って溝G3内へのコンクリートの浸入を防止し、コンクリート打設後、木質構造用パネル1aを開口し、電線を取出してコンセントと結線し、パネル1a開口部で溝G3内の断熱層と木質構造用パネルとの隙間にエポキシ樹脂パテを充填すれば良い。
【0024】
そして、溝G3内の空気は移動が阻止されて空気断熱層となり、本発明コンクリート壁4は、溝G3の存在によっても断熱効果は低減しない(熱伝導率は、空気が0.0207kcal/mh℃、断熱層1bが0.027kcal/mh℃)。
従って図7に示す、溝G3を備えた壁パネル1を用いて本発明の内断熱コンクリート壁を形成すれば、壁の断熱性能、及び透湿阻止性能を低下させることなく、壁内電気配線が簡便、且つ容易となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
〔平板壁パネル1(図1)〕
木質構造用パネル1aとしては、日本農林規格の構造用パネルとしての適合品の、パネル厚T1が9.5mm、幅910mm、長さ2730mmの板材を用意する。断熱層1bとしては、押出法ポリスチレンフォーム成形板(JISA9511)で厚さ50mm、幅910mm、長さ1820mmのものを用意する。
防湿性プラスチックフィルム1cとしては、厚さ0.1mm、幅910mm、長さ30mmのポリエチレン単体フィルム(単一のプラスチック材料により構成されるフィルム)を用い、表裏両面にそれぞれアクリル樹脂系エマルジョン接着剤を40g/m2(厚さ0.04mm)を塗布し、片面に剥離紙を貼付した形態で用意する。
【0026】
壁パネル1の製作は、作業台(図示せず)上に、定形の木質構造用パネル(厚さ9.5mm×幅910mm×長さ2730mm)を載置し、該定形の構造用パネル上に幅910mmのポリエチレンフィルムを載置して定寸(2730mm)切断し、貼着する。
尚、図7に示す縦方向溝G3は、予め幅W9(30mm)深さT5(20mm)で且つ、両側からW7(250mm)の位置に2本切削しておく。
【0027】
次いで、ポリエチレンフィルムの剥離紙をはがし、長さ1820mmのポリスチレンフォーム板と、同一フォーム板の910mm長の切断片を継ぎ足して載置し、ポリエチレンフィルムと層着し、壁パネル1用のパネル16とする。
この場合、図1(C)に示す如く、ポリスチレンフォーム1bの接合部Jsには全幅に亘って幅L6が100mmの補助フィルム1c´を介在させる。
【0028】
次いで、図5(A)の如く、木製の大引き12aを床に敷き並べ、大引き12a上に根太12bを直角方向に適宜間隔で数本配置し、厚さ18mm、幅910mm、長さ2730mmの構造用合板13aを根太12bに載置して釘打ち固定して定盤Bとし、定盤B上に加工前のパネル16(幅910mm×長さ2730mm×厚さ59.5mm)を多数枚(標準:30枚)積み重ね、上方から構造用合板13b(幅910mm×長さ2730mm×厚さ18mm)を載置し、上部には、根太12bと同寸の天端材12cを根太12bと同間隔で配置し、根太12bと天端材12cとにチェーン14を掛け、ターンバックル15で締付けして一定時間(24時間)放置し、各パネル16を強固な積層一体化物とする。
この場合、大引き12aと根太12bとは固定していたいため、大引き12aと構造用合板13aとの隙間にフォークリフトの爪を挿入してチェーン掛けしたパネル16束の移動運搬が可能である。
【0029】
次に、図5(B)の作業チャート図で入口側Iから出口側Oに示す如く、一方向より加工前のパネル16をローラー付作業台22に載置して、パネル16の接着、損傷の検査をして長さ方向の切断、相欠けp,qを形成する加工機17にパネル16を挿入し、パネルの幅W1(895mm)を揃え、断熱材1bに相欠けp,q加工、及び溝G1加工する。
次いで、加工状況を目視して幅方向の切断をする加工機18にパネルを挿入し、パネルの長さL1(2640mm)に揃え、且つ、パネル上方の断熱層むき出し部1b´の木質構造用パネルを切断し、取出す。
【0030】
次いで、壁パネル1の寸法チェックをし、セパレーター孔(型枠金具挿入孔)hを穿設するための孔開機19によって、径9mmの孔hを1枚のパネルの所定位置に同時に穿設し、最終チェックを検査場所20で行い、パネルの一側面(右側端辺)1Rに手作業で、溝G1を閉止しないように、両面に接着剤を塗布し、表面に剥離紙を有するポリエチレンフィルム(図示せず)を貼着し、梱包場所21で製品梱包し、出荷する。
【0031】
得られた平板壁パネル1は、図1に示す如く、幅W1が895mmで全長L1が2640mmであり、両側端からW4(225mm)の線上で、木質構造用パネル1aの下端及び上端から150mmの位置、及び中間に間隔L4(574mm)置いて型枠金具挿入孔hが穿孔し、両側面1R,1Lでは、断熱層1bの厚さT2(50mm)の中間で相欠けp,qを有し、木質構造用パネル1aの上端には幅L5(39.5mm)の断熱層むき出し部1b´を備え、更に断熱層1b両側面には、図6(A)の如く、ポリエチレンフィルム1cからd3(1mm)の近接位置に幅WGが50mmで厚さT4が1mmの溝G1を全長に亘って備え、木質構造用パネル1aの両側から寸法W7(250mm)の位置に、幅W9が30mmで深さT5が20mmの上下貫通の溝G3をポリエチレンフィルム1cで被覆された形態のものとなる。
【0032】
〔出隅壁パネル2(図2(A),(B))
出隅壁パネル2は建物出隅の直角精度を保持するために使用するものであって、パネル2の構成部材としての断熱層2b、両面接着ポリエチレンフィルム2c、及び木質構造用パネル2aは平板パネル(図1)と同一であり、長さも同一であり、細幅のパネル片を等辺山形状に配置したものである。
【0033】
即ち、図2(A),(B)に示す如く、木質構造用パネル2aは幅W2が290mmで平板壁パネル1の木質構造用パネル1aを1/3幅に切断して仕上げたものであり、平板壁パネル1と同一厚さT(59.5mm)、同一長さL1(2640mm)であり、平板壁パネル1同様に、断熱層2bの側面には深さd1(10mm)の相欠けp、qを、パネル面には出隅Cより幅W5(150mm)位置で長さ方向は平板壁パネル1と同一寸法に型枠金具挿入孔hを配置し、木質構造用パネル2aの上端には断熱層むき出し部2b´を備えたものであり、パネル2のコーナー部Cでは、図3(B)に示す如く、右方パネル片RP及び左方パネル片LPを予め用意しておき、一方の断熱層2bの端部に他方の断熱層2bの側面を直交接合部Jyで相欠け接着したものである。
勿論、平板壁パネル1同様にプラスチック板25挿入用の溝G1も備えており、電線挿入用溝G2は、必要に応じて配置する。
【0034】
〔入隅壁パネル2´(図2(C),(D))
入隅壁パネル2´は、図2(C),(D)に示す如く、木質構造用パネル2´aが外側を占め、断熱層2´bが内側を占める形態のパネルであり、出隅壁パネル2と同様に、両側の断熱層の直交接合部Jyでは断熱層2´b相互を相欠け接着したものである。
従って、パネル2´の幅W2は木質構造用パネル幅W2(290mm)である。勿論、パネル両端の断熱層側面にはd1(10mm)の相欠けp,q、及びプラスチック板25挿入用の溝G1を配置し、型枠金具挿入用孔hも、出隅壁パネル2同様に木質パネル2´aのコーナー部C´からW5(150mm)の位置に、且つ、上下寸法は平板壁パネル1及び出隅壁パネル2同一位置に配置する。
尚、電線挿通用溝G3は必要に応じて配置する。
【0035】
〔コンクリート壁の構築(図3、図4)〕
図4(A)は、内断熱鉄筋コンクリート壁型枠の平板壁パネル1使用部での部分横断面図であり、図4(B)は、該壁型枠の部分斜視図である。
該壁型枠は、図4(B)に示す如く、壁鉄筋を組立後、床スラブ表面Sfの熱橋防止用に形成した段差d2(20mm)低くなった部分に、壁パネル1の立設位置に符号して桟木8aをコンクリート釘で固定し、次いで、上下適所に桟木8b,8cを固定した壁パネル1を下方の桟木8bを床スラブ上の桟木8aと合致させて固定し、慣用の筋違桟木、パイプサポート、チェーン等で立設仮固定する。
【0036】
同様に並列接続した壁パネル1,2,2´も立設仮固定し、壁パネル1の径9mmの型枠金具挿入孔hに慣用の型枠金具5(セパレータ5a、KPコン、セパレータ5c、Pコン5d)を挿入し、外側型板6と壁パネル1とを、型枠金具5とフォームタイ9a締着連結する。
また、壁パネル1の並列接続部Jでは、パネル1の一側面の相欠けp,qに予め貼着した両面接着ポリエチレンフィルムの表面側の剥離紙をはがして、相欠け接着接合し、当接壁パネル相互の溝G1に亘って防湿性のジョイント板25を差し込む。
【0037】
そして、図4(B)に示す如く、桟木8b上に縦端太パイプ7aを間隔380mmで壁パネル1の木質構造用パネル1aに当接して立設し、次いで、慣用の横端太パイプ7bを間隔575mmで各段2列に配置してフィームタイ9aがリブ座金9bを挿通する形態で、リブ座金9bを横端太パイプ7bに当接し、フォームタイ9aにナット9cを締着して、縦横端太パイプ7a,7bを固定し、慣用手段で実施した外側の型板(合板)6と壁パネル1の断熱層1bとでコンクリート壁型枠を形成する。
【0038】
勿論、コンクリート壁の出隅部、入隅部となる個所には、それぞれ、平板壁パネル1に出隅壁パネル(コーナーパネル)2、入隅壁パネル(コーナーパネル)2´を相欠け接合配置する。
次いで、図4(B)の如く、床スラブ表面Sfにパイプサポート10を立設し、端太パイプの大引き7c、根太7d、桟木8eを配置して、桟木8eに床スラブS用の型枠合板6を釘打ち固定して床スラブSの型枠を構成する。
【0039】
また、床スラブSの外周の断熱補強は、図3(C)に示す如く、壁パネル1同様の断熱層3b(30mm厚)、木質構造用パネル3a(9.5mm厚)を0.1mm厚のポリエチレンフィルム3cの両面に接着剤を塗布して一体化層着した床スラブパネル3、即ち、断熱層厚のみ壁パネル1より薄くした床スラブパネル3(厚さ39.5mm)を、外側型板より幅L7(600mm)を占めるように、外側は桟木8cに、内側は大引き7c´に載置し、床スラブ3の断熱層3b前端面を壁パネル1の断熱層むき出し部1b´に接着し、パネル3を桟木8c、及び桟木8eにプラスチック製の釘で固定し、床スラブの配筋組立てをする。
【0040】
また、床スラブSの上面外周部の床スラブ段差d2(20mm)には、スラブ受金具11を床スラブパネル3にプラスチック製の釘で固定し、上方に桟木8fを載置固定して段差仕切型枠を構成する。
次いで、壁型枠内及び床スラブ型枠にコンクリートを打設し、コンクリートが指定強度を発現すれば、適宜型枠を解体し、本発明の内断熱コンクリート壁構造を得る。
尚、コンクリート型板として用いた壁パネル1及び床スラブパネル3の断熱層1b,3bとコンクリートとの付着は、コンクリート凝固に伴い、7日で200N/cm2の付着強度となり、コンクリートと各パネルは強固に固着する。
【0041】
また、床スラブSの外周部の下面の床スラブパネル3に対応して配置した、コンクリート壁外面からL7(600mm)までの床スラブ上面の床スラブ段差d2(20mm)には、厚さ10mmの現場発泡ウレタン23を吹付け、その上に厚さ10mmの樹脂モルタル24を塗布すれば、床スラブ外周部の表面に断熱性、及び強度保持が出来、コンクリート壁4から床スラブSを経て床スラブ外周面に至る熱橋は、床スラブ下面の床スラブパネル3と床スラブ上面の現場発泡ウレタン23とにより緩和抑制出来る。
【0042】
そして、壁パネル1の内装表層材としての木質構造用パネル1a,2a,2´aのくぼみ穴、割れに合成樹脂エマルジョンパテ(JISK5655)で充填修復して表面を平滑にし、塗装、クロス貼り等の仕上げを施す。
勿論、木質構造用パネル1a,2a,2´aをそのまま仕上材としても良く、サンドペーパーで研磨して仕上材としても良い。
【0043】
以上の実施形態で得られる鉄筋コンクリート造の内断熱コンクリート壁構造は、木質構造用パネル1a,2a,2´aと断熱層1b,2b,2´bとの間のポリエチレンフィルム1c,2c,2´cが大きな透湿抵抗(900m2.h.mmHg/g)を有するため、従来の内断熱コンクリート壁での、室内の水蒸気が内装材、断熱材を通過して冬期の冷たいコンクリートに触れて、コンクリート壁4と断熱層との間に生じていた内部結露が、大幅に低減抑制出来、内部結露を起因とするカビ発生が抑制出来、衛生的な住環境を提供する。
【0044】
また、壁パネル1,2,2´は、断熱層1b,2b,2´bと木質構造用パネル1a,2a,2´aとの一体化層着物であり、断熱層に欠落が生じていないこと、及び断熱層がビーズ法ポリスチレンフォームよりも、熱伝導率が低く、且つ透湿抵抗の大な押出法ポリスチレンフォーム材を用いたこととが相俟って、断熱機能が全面均斉、且つ高断熱となり、熱橋発生がない。
但し、断熱層には電線配置用の溝G3による欠落が生じるが、該溝G3も、木質構造用パネル1aの開口部ではパテ充填で閉止されて溝G3内の閉塞空気が断熱材の役目を奏するため、溝G3の存在による断熱機能低下及び熱橋の発生はない。
【0045】
また、建物のコーナー部(出隅部C、入隅部C´)でも、平板壁パネル1と同一の断熱性及び透湿防止性を備えた出隅壁パネル2及び入隅壁パネル2´を相欠け接合で配置するため、コンクリートのノロ(セメントペースト)漏れによる熱橋発生が阻止出来、しかも、各壁パネル1,2,2´間の接合部Jには防湿性のジョイント板(プラスチック板)25を介在するため、パネル間接合部Jでの透湿阻止機能低下が補償出来、内断熱コンクリート壁の全壁面が均斉、且つ十分な断熱性及び透湿阻止性を具備し、熱橋及び内部結露の十分に抑制された、高性能な住環境を提供する。
【0046】
そして、内断熱コンクリート壁の構築面からは、出隅壁パネル2及び入隅壁パネル2´は、木質構造用パネル2a,2´aの幅W2を、標準平板壁パネル1の木質構造用パネル1aを幅方向に3分割して290mm幅に形成し、出隅壁パネル2、入隅壁パネル2´が一定なので、壁長から出入隅パネル幅W2(290mm)を減じ、平板壁パネル1の幅W1(895mm)で割付け、1個所に幅調整用の平板壁パネルを配置すれば良く、壁パネルの割付けが容易となる。
【0047】
また、壁型枠作業時も、各壁パネル1,2,2´間の接合が、左右両側パネル側面の相欠けp,q接合であり、更に、左右両側パネル側面の溝G1へのジョイント板25の嵌入で実施するため、各壁パネル1,2,2´間の接合部Jが前後方向均斉となり、前後方向不陸を修正する作業が合理化出来、壁パネル1,2,2´の立設配置が容易となる。
【0048】
また、木質構造用パネル1a,2a,2´aが内装の表層材を兼用しているので、コンクリート壁形成後は、現場に於ける石膏ボード等の内装材の釘打ち張着作業(50m2/人・日)が省略出来、従来の内断熱コンクリート壁と比べて工期の短縮が可能であると共に、内装材(石膏ボード)張着時に生ずる切断端材等の廃棄物も生じない。
しかも、木質構造用パネル1a,2a,2´aは、フック、洋服掛け、カーテンレール等のネジ取付けも可能であると共に、熱伝導率が小さく(石膏ボードの1/2)て、室内気温の外側への伝達を阻止するため、表装面材(木質構造用パネル)の表面温度と室内気温との差が小さくて表面結露も防止出来、快適室温を保つことが出来る。
【0049】
また、壁パネル1,2,2´は、床から床スラブ下までの長さとなっており、コンクリート打込みパネルとして型板(せき板)を兼用するので、現場に於ける型板(型枠)加工がない。
そして、壁パネル1,2,2´は、工場製作であり、製作過程で幅、長さが均斉で、木質構造用パネル1a、2a、2´aの断熱層への積層一体化により曲げ剛性が大となっているので、コンクリート打設圧にも十分に対抗出来て、縦端太パイプを従来の型枠合板6では235mm間隔で配置する必要があったが、本発明に採用する壁パネルでは380mm間隔の配置で良くなったこと、更に、工場製作したコーナーパネル(出隅、入隅壁パネル)で建物の直角精度を確保することが出来ることより、壁パネル1,2,2´の立設作業性が良くなり、壁型枠組み作業の容易化、迅速化が可能となり、型枠組み作業面でも7%強のコスト低減となる。
【0050】
また壁内への配線工事に関しても、従来は、コンセントのCD管、ボックスの取付けは、鉄筋工事及び型枠工事の進捗に併せて作業を行なうため、各工事の進捗による待ち時間が多かったが、本発明の壁構築での配線工事にあっては、壁パネル1,2,2´内の配線用の溝G3を用いることにより、他業種作業の影響を受けずに、且つ、コンクリートの打設を待たずにコンセントの取付けが出来る。従って、電気工事は従来工事の如く、VVS線(平型電線)をコンクリート内に配置しないため、CD管、コンセントボックスが不要となり、作業性の向上からコンセントの設置コストも、従来の50%ダウンとなる。
【0052】
【発明の効果】
本発明の防湿断熱壁パネルを用いた内断熱コンクリート壁構造は、採用する壁パネル1,2,2´を内断熱コンクリート壁型枠板として使用するため、型枠組み作業及び、型枠解体作業が容易となり、コンクリート壁4の形成後は、木質構造用パネル1a,2a,2´aが室内側の表装材となって、従来の如き、内装板材の釘打ち張設作業が不要となり、表装作業も合理化出来る。
しかも、表装面材としての木質構造用パネル1a,2a,2´aは、フック、洋服掛け、カーテンレール等のネジ取付けも可能であると共に、熱伝導率が小さく(石膏ボードの1/2)て、室内熱を外側に伝達するのを阻止するため、表装面材の表面温度と室内気温との差が小さくて表面結露も防止出来、快適な室温を保つことが出来る。
従って、従来の内断熱コンクリート壁(図8)と比べて居住性の優れた高性能な内断熱コンクリート壁が、大幅な建築コスト低減で提供可能となる。
【0053】
更に、得られる内断熱コンクリート壁構造は、防湿性プラスチックフィルム1cの存在により、室内側から木質構造用パネル1a,2a,2´aを透過する水蒸気の断熱層1b,2b,2´b内への透過を阻止し、壁パネル1(2,2´)の接合部Jにも、防湿性のジョイント板25が存在して壁パネル接合部Jでの透湿阻止機能低下を抑制し、壁全面に亘って均斉な防湿機能を付与しているため、コンクリート壁4と断熱層1b,2b,2´bとの界面での内部結露の発生が大幅に低減出来、結露を起因とするカビやダニの発生が抑制出来、内装材、内装下地材等の建物形成材及び室内の家財道具や衣料品の損傷が防げると共に、居住者のアレルギー性発症も抑制出来る、優れた住環境の提供が可能となる。
【0054】
また、断熱層1b,2b,2´bは、プラスチックフィルム1cを介した木質構造用パネル1a,2a,2´aとの層着であって、従来(図8)の如き、下地材での肉厚の欠損のない全面等厚物であるので、壁全面に亘って設計値どおりの均一な断熱機能を奏し、熱橋を均斉に抑制する。
従って、本発明の内断熱コンクリート壁は、建築施工費が大幅に低減出来ると共に、十分な断熱機能、防湿機能を備えた高性能建築物の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に採用する平板壁パネルの説明図であって、(A)は一部切欠斜視図、(B)は(A)のB部横断面図、(C)は(A)のC部縦断面図である。
【図2】本発明に採用する壁パネルの説明図であって、(A)は出隅壁パネル2の一部切欠斜視図、(B)は出隅壁パネルの頂面図であり、(C)は入隅壁パネル2´の一部切欠斜視図、(D)は入隅壁パネルの頂面図である。
【図3】本発明内断熱コンクリート壁の説明図であって、(A)は水平断面図、(B)は(A)のB部拡大図、(C)は縦断面図である。
【図4】本発明の型枠組み説明図であって、(A)は水平断面図、(B)は斜視図である。
【図5】本発明に採用する壁パネルの製作説明図であって、(A)は斜視図、(B)は作業チャート図。
【図6】本発明実施態様の説明平面図であって、(A)は平坦なジョイント板25aの使用状態図、(B)は突片25Pを備えたジョイント板25bの使用状態図、(C)はH形ジョイント板25cの使用状態図である。
【図7】本発明実施態様説明平面図であって、(A)は溝G3の配置形態説明図、(B)は(A)のB部拡大図である。
【図8】従来例図であって、(A)はパネルの一部切欠斜視図、(B)は該パネルで構築した内断熱コンクリート壁構造の部分断面図である。
【符号の説明】
1:平板壁パネル(防湿断熱壁パネル、壁パネル)、
2:出隅壁パネル(防湿断熱壁パネル、壁パネル、コーナーパネル)
2´:入隅壁パネル(防湿断熱壁パネル、壁パネル、コーナーパネル)、
1a,2a,2´a:木質構造用パネル、
1b,2b,2´b:断熱層、
1b´,2b´,2´b´:断熱層むき出し部(むき出し部)、
1c,2c,2´c:プラスチックフィルム(ポリエチレンフィルム)、
1c´:補助防湿フィルム(補強フィルム)、
1F:内側型板(内側型枠)、 3:床スラブパネル、
3a:木質構造用パネル(構造用板)、 3b:断熱層(断熱材)、
3c:プラスチックフィルム(ポリエチレンフィルム)、
4:コンクリート壁、 5:型枠金具、
5a,5c:セパレータ、 5b:KPコン、
5d:Pコン、 6:外側型枠板(型板、型枠用合板)、7a,7a´,7b,7b´,7c,7c´:端太パイプ(端太)、
8a,8a´,8a“,8b,8c,8c´,8d,8e,8f:桟木、
9a,9a´:フォームタイ、 9b,9b´:リブ座金、
9c,9c´:ナット、 10:パイプサポート、
11:受金具、 12a:大引き、
12b:根太、 12c:天端材、
13a,13b:構造用合板、 14:チェーン、
15:ターンバックル、 16:切断加工前パネル、
17,18:切断加工機(加工機)、 19:孔開機(加工機)、
20:検査場所、 21:梱包場所、
22:作業台、 23:現場発泡ウレタンフォーム、
24:樹脂モルタル、
25,25a,25b,25c:ジョイント板(プラスチック板)、
25P:突片、 25P0:頭部、
26:平型電線(電線、VVS線)、
C:出隅部(コーナー部)、 C´:入隅部(コーナー部)、
d2:床スラブ段差、 G1,G2,G3:溝、
h:型枠金具挿入孔(セパレータ孔)、
J:パネル間接合部(接合部)、
Js:上下接合部(断熱層接合面)、 Jy:直交接合部、
LP,RP:パネル片、
p:側面凸部(相欠け)、 q:側面凹部(相欠け)、
S:床スラブ、 Sf:床スラブ表面
Claims (8)
- 木質構造用パネル(1a,2a,2´a)と、合成樹脂を発泡成形した断熱層(1b,2b,2´b)との層間に、両面に接着剤を塗布した防湿性のプラスチックフィルム(1c,2c,2´c)を中間層として介在して層着一体化した壁パネル(1,2,2´)とし、該壁パネルの断熱層(1b,2b,2´b)の両側面には、接合用の相欠け(p,q)を形成すると共に、プラスチックフィルム(1c,2c,2´c)と近接した位置に溝(G1)を、上下全長に亘って形成し、壁パネル(1,2,2´)面の適所に型枠金具挿入孔(h)を穿設し、該壁パネル(1,2,2´)を、両側の壁パネル間に亘って、該溝(G1)に差渡し状に防湿性のジョイント板(25a,25b,25c)を挿入して、両側の壁パネル(1,2,2´)を相欠け接合(J)し、断熱層(1b,2b,2´b)面が打設コンクリートを規定するようにコンクリート壁の内側型枠(1F)として用いてコンクリート壁(4)と一体化した、防湿断熱壁パネルを用いた内断熱コンクリート壁構造。
- 木質構造用パネル(1a)、断熱層(1b)が平坦な平板壁パネル(1)である請求項1の内断熱コンクリート壁構造。
- 出隅コーナー部(C)には、断熱層(2b)を外側に、木質構造用パネル(2a)を内側として直交接合した出隅壁パネル(2)を用いた、請求項1の内断熱コンクリート壁構造。
- 入隅コーナー部(C´)には、断熱層(2´b)を内側に、木質構造用パネル(2´a)を外側として直交接合した入隅壁パネル(2´)を用いた、請求項1の内断熱コンクリート壁構造。
- 壁パネル(1,2,2´)の上端には、全幅に亘って木質構造用パネル(1a,2a,2´a)から小寸の断熱層むき出し部(1b´,2b´,2´b´)を形成しておき、成形断熱材(3b)と木質構造用板(3a)とを、防湿性フィルム(3c)で層着した床スラブパネル(3)を、木質構造用板(3a)を下面に、且つ成形断熱材(3b)の側面を該むき出し部(1b´,2b´,2´b´)に当接配置した、請求項1乃至4のいずれか1項の内断熱コンクリート壁構造。
- 壁パネルの断熱層(1b,2b,2´b)の上下接合部(Js)のプラスチックフィルム(1c,2c,2´c)には、全幅に亘って補助防湿フィルム(1c´)を配置した、請求項1乃至5のいずれか1項の内断熱コンクリート壁構造。
- 壁パネル(1,2,2´)の溝(G1)から木質構造用パネル(1a,2a,2´a)の表面に亘り、溝(G1)と連通する切欠(Jc)を上下全長に亘って配置し、中央に突片(25P)を備えたジョイント板(25b)を、突片(25P)を両側の切欠(Jc)で形成された溝(G2)内に嵌合して溝(G1)に挿入した、請求項1乃至6のいずれか1項の内断熱コンクリート壁構造。
- 壁パネル(1,2,2´)の断熱層(1b,2b,2´b)の中間適所に、プラスチックフィルム(1c,2c,2´c)で覆われ、且つ、壁パネル(1,2,2´)を上下に貫通している溝(G3)を配置した、請求項1乃至7のいずれか1項の内断熱コンクリート壁構造。
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