JP3679381B2 - 断熱複合パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄骨造建築物や鉄筋コンクリート建築物に用いる外壁用の断熱パネルに関するものであり、建築技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術(図6)】
従来より、押出成形セメント板が鉄骨造建築用の外壁として使用されている。出願人等は、鉄骨造建築用の断熱複合パネルとして、図8に示す外壁用複合パネルを特願平9−152628号として提案し、特許第2999980号として特許登録された。
即ち、図8の複合パネルは、上枠、下枠及び両側枠から成る枠体の外面に、貫通孔を有する成形セメント板の3枚をZクリップを介して止着し、枠体の内面には内装板(石膏ボード)を配置し、硬質ウレタンフォームの充填発泡によってセメント板、枠体、及び内装板を断熱層によって一体化したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図8の特許第2999980号の複合パネルは、鉄骨造建築物に採用すれば、セメント板に対する硬質ウレタンフォームの現場での吹付け作業も、内装面材の取付け作業も不要となり、建築工期の大幅な短縮化を可能とする、極めて有効な複合パネルではあるが、鉄筋コンクリート建築物に採用すれば、複合パネルの内装面板(典型的には石膏ボード)がコンクリート水を吸水したり、或いは、鉄骨造建築物への適用時ですら建築期間中の吸湿等により、内装面板は、吸湿によってカビを発生したり、汚れたりし、従って、内装仕上げに際しては、内装面板表面の掃除や補修等に手間を要し、場合によっては、内装面板上に再度石膏ボード等のきれいな面板を張設する必要すらあった。
しかも、場合によっては、パネル一体化の石膏ボードのカビが繁殖伝播して、再貼着の石膏ボードにカビ汚染の生ずることもあった。
本発明は、上記問題点を解決するものであり、鉄骨造建築物はおろか、鉄筋コンクリート造建築物にも適用可能な断熱複合パネルの提供を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段、及び作用】
本発明の断熱複合パネル1は、例えば、図1、図2に示す如く、成形セメント板2の外層と、セメント板内面に取付けた鋼材の少なくとも上枠4a及び下枠4bとを備えた枠体4と、枠体4内に充填発泡させた断熱層3とを含み、断熱層3が内側表面に、内装面材取付用の条片下地材5,5´を平行に埋設露出したものである(請求項1)。
尚、断熱層3は、発泡硬化する合成樹脂材であれば良く、典型的には硬質ウレタンフォームである。
また、「セメント板内面」、「内側表面」等の内面、内側は、室内側を指すものである。
また、「埋設露出」は、埋設されてはいるが表面が平坦で露見しているものも、表面が突出して露見しているものも含む意味である。
また、セメント板2としては、図示した内部に空気用貫通孔2hを有する成形セメント板のみならず、慣用の内面に凹条溝を有する成形セメント板(図示せず)の採用も可能である。
【0005】
従って、本発明の断熱複合パネル1は、外装材としての成形セメント板2の内側に断熱層3を一体化固定しているため、特許第2999980号の複合パネル同様に外壁用パネルとして有効に採用出来、枠体と成形セメント板2とにより外壁材としての必要強度を発揮すると共に必要断熱性も発揮する。
しかも、断熱層内側表面には内装面材取付用の条片下地材5を一体的に具備しているため、パネルを用いて外壁形成後に、汚れていない内装面材(図示せず)を下地材5に取付けることとなり、例えパネル内面が搬送、施工過程で汚れていても、パネル内面へのきれいな必要面材の張着が支障なく合理的に実施出来、下地材5,5´が細幅で長い条片であるため、断熱層3の断熱機能低下を招来することもない。
即ち、断熱複合パネル1には、石膏ボード等の内装板がないため、パネル張着作業中の内装板に対する汚れ、欠落、傷の発生の心配もなく、施工中に被水しても断熱層は吸水、吸湿しないためカビの発生がなく、石膏ボード等の内装面板を断熱層3上に当接形態に張設しても、内装面板へのパネルからのカビの伝播汚染の恐れもない。
【0006】
また、断熱パネル1は、条片下地材5,5´の表面5f,5´fが、断熱層3の表面3fより突出しているのが好ましい(請求項2)。
この場合、内装面材(図示せず)を条片下地材5,5´に取付ければ、内装面材と断熱層表面3f間には下地材の突出によって空隙が形成出来、断熱層3と内装面材との当接により生ずる音の共振現象が阻止出来るため、遮音低下が抑制出来る。
しかも、下地材の突出は、面材の当接打付け作業が容易である上、例え張設パネル群が不陸(面不斉)を生じていても、パッキン等の付設によって内装面材の打付け張設が面一に、且つ容易に施工出来る。
【0007】
また、条片下地材5,5´が、上下方向の配置であり、上端で上枠4aとは間隔D1を、下端で下枠4bとは間隔D2を有しているのが好ましい(請求項3)。
この場合、下地材5,5´の上端及び下端での間隔D1,D2は、該パネルを鉄筋コンクリート造の帳壁として採用する際には、図7(A)に示す如く、パネル下端Beは床スラブSの表面Sfより若干下方位置となり、パネル上端部は上階床スラブSと接触一体化することとなるが、例え下地材5,5´が断熱層表面3fより突出していても、間隔D2によって床スラブSと隙間dbの存在する形態と出来て、パネルの下端の床スラブ不陸面への対処取付けが可能となり、パネル上端の床スラブとも間隔D1により形成出来る隙間daの存在により、型枠への組付けは下地材5の干渉の支障を生ずることがなく、間隔D1,D2の建物に応じた設定により床スラブ厚の変化にも対応可能となる。
【0008】
従って、床スラブSへのパネル固定がスムーズとなり、鉄筋コンクリート造建物の帳壁として好適に採用施工出来る。
勿論、鉄骨造建物の梁等へのパネル堅結作業にあっても、下地材5の上下間隔D1,D2の存在は、堅結作業に対する干渉がなく、張設が容易となる。
また、内装工事に於ける電気配線は床から取出して上下方向に敷設するため、条片下地材5の切欠をせずに電気配線の施工が可能となる。
更に、条片下地材5を断熱層表面3fから突出させることにより、断熱層3と張設内装面材(典型的には石膏ボード)との空間が配線スペースとなり、配線施工による断熱層3の欠損が抑制出来る。
【0009】
また、条片下地材5が、断面コ字状の金属材であって、突出平面5fと埋設アンカー部50とを備えているのが好ましい(請求項4)。
この場合、断面コ字状の金属材としては、建材として市販されている軽量鉄骨間仕切のスタット材の採用が有利であり、図2(B)の如く、折曲部5Eは埋設アンカー部50となる。
【0010】
従って、該条片下地材5は、断熱層の充填発泡成形によって折曲部5Eで断熱層3に強固に保持されると共に、断熱層3の部分的な薄肉化による断熱機能の低下を招来することもなく、突出平面5fを介して内装面材が確実、且つ強固に張設出来る。
そして、例え、張設パネルの断熱層相互に不陸(面不一致)があっても、突出平面5f上に飼物(調整用挟着板、パッキン)を介在して内装面材を面一に調整しながら均斉に張設出来る。
更に、金属材の条片下地材5の上下端を、上枠及び下枠と間隔D1,D2を保って埋設したため、鋼材の上枠4a及び下枠4bからの金属材の下地材5への熱橋(ヒートブリッジ)作用も阻止出来る。
【0011】
また、条片下地材としては、断面台形の木材又はプラスチック材等の非金属材であって、台形の上辺部を露出させるのが好ましい(請求項5)。
この場合、木材やプラスチック材は、コスト面で有利であると共に、熱橋作用の恐れがない。
そして、断面台形で上辺部を露出させて埋設するため、末広がりの斜面部(図5)が抜脱防止のアンカー部50として機能すると共に、内装面板の止着手段として釘打ちも可能となる。
【0012】
また、非金属の条片下地材5´が左右横方向配置であるのが好ましい(請求項6)。
この場合、木材やプラスチック材等の非金属下地材5´は、汎用の鋸で切断可能なため、内装施工過程でも下地材5´の切欠が容易となる。
従って、電気配線上の断熱層3及び下地材5´への必要切欠は容易であり、内装面材として慣用の縦長の石膏ボードの張設も、作業員にとって負担の軽い縦張り施工が可能となり、内装面材の張設作業も容易となる。
【0013】
また、断熱複合パネル1は、枠体4がアングル鋼材(山形鋼材)の上下左右枠4a,4b,4cを備え、枠間には補強材40を備えているのが好ましい(請求項7)。
尚、補強材40は、丸鋼棒や平鋼板等、枠間に差し渡し状に配置して枠と強固に固定出来れば良い。
従って、枠体は、水平辺で成形セメント板2を強固に保持すると共に、垂直辺が断熱層注入用の型となり、垂直辺に設けた取付孔H1(図1)から断熱層注入が可能となるため、必要剛性を備えた複合パネルの製作が容易となる。
【0014】
しかも、枠体4が必要剛性を備えた強固なものであるため、工場でのパネル製作時の注入発泡断熱層の発泡圧による変形歪も抑制出来ると共に、図7の如く、パネルを鉄筋コンクリート造建物の帳壁として床スラブ間に張設しても、或いは鉄骨造建築物の帳壁に採用しても、外壁としての必要、且つ充分な強度を発揮する。
【0015】
また、枠体4が、アングル鋼材の上枠4a及び下枠4bから成り、上下枠間に複数の細長平鋼板41を差し渡し補強した物であるのが好ましい(請求項8)。
この場合、断熱層3の注入発泡に際しては、両側に型枠を当接して実施すれば良い。
そして、複数の細長の平鋼板41で補強された上枠4aと下枠4bとで構成された枠体4は、上下左右枠で形成された枠体と同様の成形セメント板2の強固な保持が可能となると共に、上枠4a、下枠4bに取付け用ボルト孔H1及び吊下げ用アイボルト孔H2等を付設することにより、該複合パネル1の建付け時の吊下げ作業、及び床スラブや取付け用梁への強固な取付けも容易となる。
そして、上下枠での枠組みであるため、四周枠の如きコーナー部での煩雑な溶接固定作業が不要となる。
しかも、側枠がないため、側枠に対する熱橋作用抑制の配慮が不要となり、枠体4の製作、断熱複合パネルの製作、及び建築施工が合理化出来る。
【0016】
また、断熱複合パネル1は、成形セメント板2が、内部に多数の並列貫通孔2hを通気用に備え、内面に固定したZクリップ2Zを介して上枠4a及び下枠4bに止着するのが好ましい(請求項9)。
尚、成形セメント板2は、貫通孔2hを内部に並列配置した形状に押出し成形したものである。
【0017】
従って、密着型の外断熱パネルでありながら通気層を具備したパネルとなり、セメント板2は、Zクリップ2Zによって枠体4に取付けるため、図1の如く、1枚のパネル外装板として複数枚のセメント板2を並列配置する場合にも、各セメント板2相互の位置調節が容易となり、セメント板2の枠体への取付けが容易となる。
従って、後貼りの内装面板が下地材上に不陸調整しながら面一に打付け可能であることと相俟って、断熱複合パネルで形成される外壁は、外面も内面も面一できれいに建付け出来る。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔例1〕
〔パネルの構造(図1,図2)〕
標準の断熱複合パネル1は、図1に示す如く、幅W1が1800mmで長さL1が2800mmであり、成形セメント板2の厚さT2が60mm、断熱層3の厚さT3が75mmであり、図2に示す如く、断面コ字状で金属製の条片下地材5は、幅W5が50mmで、厚さT5が45mmであり、表面5fが断熱層表面3fよりt1(10mm)突出し、t2(35mm)の深さで断熱層3中に埋設し、埋設端の折曲面5Eがアンカー部50であり、且つ上端がパネル上端面Btと間隔D1が220mm、下端がパネル下端面Beと間隔D2が40mmの形態に断熱層3中に埋設露出している。
【0019】
枠体4は、上枠4a、下枠4b、及び側枠4cが等辺山形鋼材(アングル鋼材)であって、パネル面に対する各水平辺がセメント板に当接し、各垂直辺が断熱層周辺規定面である。
そして、上下左右枠を慣用の溶接手段により一体化し、上枠4a、下枠4b、及び左右側枠4cの垂直辺によって断熱層3充填用の側方型枠を形成し、両側枠4c間の中間適所に丸鋼棒40を差し渡し状に溶接固定したものである。
また、上枠4a及び下枠4bの垂直辺の適所には、取付ピンMp(図7)用の孔H1、及びパネル吊下げ用の孔H2を穿設しておく。
【0020】
1枚の成形セメント板2は、厚さ(T2)60mmであって、1側面には突起21を、他側面には凹部22を全長に亘って備え、内部に幅Whが34mmの上下貫通孔2hを並列配置した形態に、セメント、ケイ酸質原料及び繊維質原料の混合剤を押出成形し、オートクレーブ養生したものであり、成形歪の生じない程度の幅として、1枚のセメント板2は、標準幅が600mmのものである。
【0021】
〔パネルの製作(図3)〕
成形固定盤Bp上に、予めZクリップ2Zをボルトナット手段で仮止め配置した成形セメント板2の3枚を、Zクリップ2Zを上面にして側面の突起21と凹部22との嵌合によって連接載置し、枠体4をセメント板上に載置して各セメント板2のZクリップ2Zを上下枠の水平辺に係止して締着固定する。
次いで、条片下地材5を保持した仕切板6(図3)を枠体4上に載置して、セメント板2、枠体4の各垂直辺及び仕切板6によってキャビティを構成し、枠体4の垂直辺に設けた取付ピン用の孔H1から断熱層3としての硬質ウレタンフォームを注入、発泡、凝固させ、仕切板を外し、硬質ウレタンによって成形セメント2、枠体4、及び条片下地材5の一体化した複合パネルを得る。
【0022】
尚、仕切板6は、図3に示す如く、幅W6が2000mmで長さL6が3000mmの構造用合板6a上に2mm厚の離型用のポリエチレン板6bを接着一体化したものであり、ポリエチレン板6b面から条片下地材5嵌合用の深さ10mm、幅W5(50mm)の溝6Gを所定間隔に配置したものであり、型セットに際しては、溝6Gに条片下地材5の表面5fを溝6Gの底面に当接し、構造用合板6a側からネジ固定するか、或いは、溝6G底面と下地材表面5f間に両面テープの小片等の適当な仮止め手段を介在するかして下地材5を仕切板6に仮止着した後、仕切板6を下地材5側を下にして枠体4上に載置セットする。
【0023】
また、断熱層3の注入成形は、図3(C)の如く、成形セメント板2、枠体4、及び下地材5を保持した仕切板6から成るパネル1枚分の成形型Psを数段(5〜10段)積層して型プレスし、各成形型の枠体の孔H1から各成形型に同時に断熱層3を充填発泡させることにより、パネルの複数枚を同時に成形する。
【0024】
そして、成形型内の硬質ウレタンフォームの冷却後、仕切板6を外せば、下地材5は断熱層表面3fから10mm突出し、且つ下地材5の折曲部5Eが断熱層3中にアンカー部50として保持された複合パネル1が得られる。
尚、仕切板6は、ポリエチレン板6b面で硬質ウレタンフォーム表面を規定しているため、仕切板6の断熱層表面3fからの離型は平滑に遂行出来る。
【0025】
〔パネルの使用(図7)〕
本発明の断熱複合パネル1は、従来の鉄骨造建物の外壁パネルとしても有効であるが、特に、出願人が先に提案した鉄筋コンクリート造壁式構造の外壁形成方法(特願2001−188147号)の帳壁複合パネルに適する。
即ち、図7に概略示す如く、複合パネル1の下枠4bを、取付孔H1に挿通した取付ピンMpを介して下階床スラブSの取付具Mに固定すると共に、複合パネル1の上枠4aを、取付孔H1に挿通した取付ピンMpを介して上階床スラブSの型枠中の取付具Mに固定し、上階床スラブSのコンクリート打設によって、上枠4aも上階床スラブに固定する。
【0026】
断熱複合パネル1を鉄筋コンクリート造壁式構造の帳壁パネルとして採用すれば、図7(A)の如く、パネル下端は、固化床スラブSに固定した取付具Mに載置し、パネル上端は、図7(B)の如く、上階床スラブSの型枠に組付け、コンクリート打設することとなり、パネル上部の硬質ウレタンフォームの断熱層3は、打設コンクリート液と面接触することとなるが、断熱層3は吸水しない。
【0027】
また、条片下地材5は、上端をパネル上端面Btとの間隔D1(図2)、及び下端とパネル下端面Beとの間隔D2(図2)により、上階床スラブSおよび下階床スラブSに対応して、下地材上下端は図7(A)の如く、床スラブと離すことが出来るため、パネル上端にあっては、上階床スラブの型枠組付けに於ける条片下地材5の干渉がなく、型枠組みが容易となる。
また、パネル下端にあっては、固化床スラブへの載置時に床スラブSの上面Sfに不陸があっても、条片下地材5と床スラブ上面Sfとの衝突損傷が隙間dbにより阻止出来る。
勿論、上階床スラブS下面と条片下地材5上端との間隔da、下階床スラブS上面と条片下地材5下端との間隔dbは下地材5への内装面材(図示せず)の釘等による張設に何ら支障ない。
【0028】
従って、本発明の図1の断熱複合パネル1は、鉄筋コンクリート造壁式溝法に於ける帳壁パネルとして採用しても、コンクリート打設によるパネル内側面の吸水によるカビ発生がなく、パネル内側面が汚れても、内装仕上施工時に条片下地材5へ慣用の内装面材を、釘、スクリューネジ等で張設するためきれいに仕上がる。
また、内装面材は、条片下地材5によって断熱層3と10mmの空気層を保持した形態であるため、室内側での発生音も内層面材から断熱層3への共振増幅がなく、遮音性が維持出来る。
【0029】
また、条片下地材5は、縦方向に適当間隔を保って配置しているので、内装工事での床から室内への上下方向の電気配線は、下地材5を切断せずに可能であり、しかも、下地材5と断熱層3との空間は配線スペースに利用出来、断熱層3の配線工事での欠損も、ソケット取付口等最小限に抑制出来る。
また、張設した各複合パネル1間に若干の面不斉が生じても、内装面材は条片下地材5上にパッキン等の当て物を介在して下地材5に取付けることにより、面一に張設出来る。
【0030】
〔例2(図4)〕
図4は、成形セメント板2、枠体4、及び断熱層3は例1と同じであり、条片下地材5´のみを例1の下地材5と変えたものである。
即ち、条片下地材5´として断面台形のプラスチック材を採用し、下地材5´をパネルの横方向に適宜間隔で配置したものである。
この場合、仕切板6´には、図6に示すごとく、下地材5´の台形の上辺が10mm入り込むための溝6´Gを、且つ横方向に配置し、例1同様に、条片下地材5´を仕切板6´に仮止着し、例1同様に、型セットし、硬質ウレタンフォームを注入、発泡、凝固させ、仕切板6´を取外せば良い。
【0031】
このパネルの製作に際しては、条片下地材5´が横方向であるため、最上段と最下段の条片下地材5´を上枠4a及び下枠4bに対し、例1の間隔D1及びD2に相当する寸法を置いて配置すれば、例1のパネル同様に、図1(B)に示す如き、鉄筋コンクリート造壁式構法での帳壁パネルに好適に採用出来る。
また、条片下地材5´はプラスチック材であるため両側枠4cに接触しても熱橋作用を奏する心配はない。
【0032】
そして、内装面板は、典型的には市販の幅900mm、長さ1800mmの縦長の石膏ボードを用いるが、条片下地材5´が横方向配置であるため、内装面板は、下地材5´上に縦方向に配置して釘打ちし、順次横移動して横方向に釘打ちする、いわゆる縦貼り作業(細長内装面材を縦方向に貼る作業)となり、作業が容易である。
また、内装工事での電気配線時には、一部で下地材5´を切欠する場合も生じるが、プラスチック材は鋸での切断が容易である。
従って、例1のパネルと比べて、電気配線工事で若干煩雑となるが、内装面材の張設は、作業性の良い縦貼り作業が可能となり、例2の断熱複合パネルも、例1同様に所期の目的が達成出来る。
【0033】
〔例3(図6)〕
図6は、断熱層3を除去した斜視図であって、このパネルは、例1(図1)及び例2(図4)のパネルに対し、枠体4を変更し、且つセメント板2内面にクラフト紙30を介在させたものである。
即ち、枠体4は、等辺山形鋼材(アングル鋼材)の上枠4aと下枠4bとの間に補強用の細長平鋼板41を溶接により差し渡し固定したものであり、側枠は存在しない。
【0034】
このパネルの製作に際しては、型セット時に、上下枠間に側面型枠材(図示せず)を付加してセットすれば良い。
また、仕切板6による条片下地材5,5´等の形成は、例1の縦配置でも例2の横配置でも良い。
得られるパネルは、側枠がないため、例1、例2のパネルと比べて側枠部分での熱橋防止となる。
【0035】
更に、建物躯体に固着された成形セメント板2とクラフト紙30を介して断熱層が存在し、内装面板は断熱層一体の条片下地材5,5´と一体化したため、外壁の振動に際してセメント板2と石膏ボード(内装面板)とが別々に動き、内装面板(石膏ボード)の継目でのクラック発生が抑制出来る。
勿論、断熱層3は、セメント板内面と面接着していないが、細長平鋼板41によって浮き上りは阻止される。
従って、例3(図6)のパネルは、例1、例2のパネルと比べて、断熱層成形型枠のセットの面で煩雑ではあるが、側枠省略による枠体4の溶接作業が容易となり、熱橋防止面、石膏ボードの継目でのクラック発生抑制面で有利であり、発明の所期の目的は達成出来る。
【0036】
〔その他〕
本発明の例1、例2、例3では、何れも成形セメント板2は、セメント板に固定したZクリップ2Zを上枠4a及び下枠4bに係止固定しているが、必要に応じて、下枠4bにセメント板受け片を突設してZクリップと共にセメント板2を支承しても良い。
この場合は、セメント板2の枠体での支持がより強固となり、地震時にもセメント板2の枠体4からの脱落が抑制出来る。
また、条片下地材5´のアンカー部50としての傾斜面に切込溝等を施せば、傾斜面のアンカー機能が増大し、傾斜面も緩傾斜面と出来る。
【0037】
【発明の効果】
本発明の断熱複合パネル1は、成形セメント板2を鋼材枠4に取付けているため、鉄骨造や鉄筋コンクリート造建物の外壁パネルとして採用することにより、外壁としての必要強度と外断熱機能を発揮すると共に、外壁形成後に、断熱層3に埋設露出した条片下地材5に石膏ボード等の内装面材を取付けるため、外壁パネル内面を所望の内装面材できれいに仕上げることが出来る。
【0038】
従って、鉄筋コンクリート造壁式構法の帳壁に用いても、床スラブコンクリートの打設に伴う外壁内面の吸水、吸湿、カビ発生の問題にも完璧に対処出来、鉄骨造建物の外壁パネルとしても、施工後に内装面板の簡単な張設によってきれいな外壁構造とすることが出来るため、搬送、施工中の汚れや、施工中の雨水等による汚染の心配なく使用出来る。
【0039】
また、条片下地材5は、断熱層3より突出させて埋設露出させることにより、内装面板は断熱層3と空間を有する形態となるため、室内音の内装面板と断熱層との共振現象を阻止し、外壁としての遮音性の低下が抑制出来る。
また、断熱層3は外装板としての成形セメント板2と枠体4と条片下地材5とを充填成形で一体化するため、所望形態に構6Gを配置した仕切板6を用いることにより、条片下地材5の適宜本数を適宜位置での、適宜配置固定が簡便に実施出来、適用建物に応じた条片下地材5の合理的配置が可能であり、各種外壁用の外断熱複合パネルの簡便な製作、提供が可能となり、鉄筋コンクリート造壁式建物に好適な外壁用複合パネルの提供も、鉄骨造建物に好適な外壁用複合パネルの提供も、本発明の範囲内で提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明例1のパネルの一部切欠斜視図である。
【図2】本発明例1のパネルの図であって、(A)は、図1(A)のA−A断面図、(B)は、図1(A)のB−B断面図である。
【図3】本発明例1の製作説明図であって、(A)は、使用仕切板6の斜視図、(B)は、仕切板への条片下地材5の配置説明図、(C)は、成形型セットの説明図である。
【図4】本発明例2のパネルの一部切欠斜視図である。
【図5】本発明例2のパネルの製作説明図であって、(A)は、使用仕切板6´の斜視図、(B)は、仕切板への条片下地材5´の配置説明図である。
【図6】本発明例3のパネルの一部切欠斜視図である。
【図7】本発明パネルの鉄筋コンクリート造建物の帳壁パネルへの使用状態説明図で、(A)はパネル1の上下端固定状態を、(B)は上端の床スラブ型枠への組付状態を示す図である。
【図8】従来例の説明図であって、(A)は斜視図、(B)は、(A)のB−B断面図、(C)は、(A)のC−C断面図である。
【符号の説明】
1:断熱パネル、 2:セメント板(成形セメント板)、
2h:貫通孔、 2Z:Zクリップ、
3:断熱層 3f:断熱層表面、 4:枠体、
4a:上枠、 4b:下枠、 4c:側枠、
5,5´:条片下地材(下地材)、 5f,5´f:下地材表面、
6,6´:仕切板、 6a:構造用合板、
6b:ポリエチレン板(離型板)、 6G,6´G:溝、
40:丸鋼棒(補強材)、 41:平鋼板(補強材)、
50:アンカー部
Claims (9)
- 成形セメント板(2)の外層と、セメント板内面に取付けた鋼材の少なくとも上枠(4a)及び下枠(4b)とを備えた枠体(4)と、枠体(4)内に充填発泡させた断熱層(3)とを含み、断熱層(3)が内側表面に、内装面材取付用の条片下地材(5,5´)を平行に埋設露出している断熱複合パネル。
- 条片下地材(5,5´)の表面(5f,5´f)が、断熱層(3)の表面(3f)より突出している請求項1の断熱複合パネル。
- 条片下地材(5,5´)が、上下方向の配置であり、上端で上枠(4a)とは間隔(D1)を、下端で下枠(4b)とは間隔(D2)を有する請求項1又は2の断熱複合パネル。
- 条片下地材(5)が、断面コ字状の金属材であって、突出平面(5f)と埋設アンカー部(50)とを備えている請求項1乃至3のいずれか1項の断熱複合パネル。
- 条片下地材(5´)が、断面台形の木材又はプラスチック材等の非金属材であって、台形の上辺部を露出した請求項1乃至3のいずれか1項の断熱複合パネル。
- 非金属の条片下地材(5´)が左右横方向配置である請求項1,2,4又は5のいずれか1項の断熱複合パネル。
- 枠体(4)がアングル鋼材の上下左右枠(4a,4b,4c)を備え、枠間には補強材(40)を備えている請求項1乃至6のいずれか1項の断熱複合パネル。
- 枠体(4)が、アングル鋼材の上枠(4a)及び下枠(4b)から成り、上下枠間に複数の細長平鋼板(41)を差し渡し補強した請求項1乃至6のいずれか1項の断熱複合パネル。
- 成形セメント板(2)が、内部に多数の並列貫通孔(2h)を通気用に備え、内面に固定したZクリップ(2Z)を介して上枠(4a)及び下枠(4b)に止着した請求項1乃至8のいずれか1項の断熱複合パネル。
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