JP3627927B2 - 鉄筋コンクリート造の外断熱建築物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄筋コンクリート造の外断熱建築物に関するものであって、省エネルギーで住環境に優れ、且つ高耐久性の外断熱建築物の低コスト化を実現した新規な建築物に関するものであり、鉄筋コンクリート建築の分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
〔外断熱工法〕
従来の外断熱工法としては、例えば図16(A)に示す如く、(イ).外装材と断熱材との間に通気層を設け、断熱材の湿潤による機能低下防止と外装材の温度上昇を防止する通気層型、(ロ).外装材と断熱材とが密着した型であって、断熱複合パネルを取付ける密着型、(ハ).外装材と断熱材の間に密閉空気層を設ける密閉空気層型、(ニ).他の各工法の外装材を二重に用いて二重壁構造とする二重壁型、等が典型的工法である。
【0003】
上記従来工法にあって、(イ)の通気層型は、断熱材として定形材、不定形材のいずれも使用可能であるが防火上の対策が必要であり、また、外装材にはPC版、金属パネル、組積等を使用するため、コスト高となる。
また、(ロ)の乾式密着型は他の工法と比べてコストが安価ではあるが、外装材と断熱材との間に結露(境界面結露)を発生させる問題がある。
また、(ハ)の密閉空気層型にあっては、空気層が断熱層として機能するが、内部結露を発生する問題がある。
【0004】
〔外断熱複合パネル〕
図16(A)の、(ロ)の乾式密着型や(ハ)の密閉空気層型等に使用される外断熱複合パネルでは、外装材としてセメントモルタルと耐アルカリガラス繊維を構成素材としたセメント板(GRC系)や、セメント、石灰質原料、ケイ酸質原料、ガラス繊維、スラグ、石膏、パーライト等を用いて板状に成形し、養生、硬化させた防火材料(窯業サイディング)や、火山れきとフライアッシュを主原料に耐アルカリガラス繊維を補強材に用い、フェノール樹脂で固めた防火材料(GFPC系)等が典型的に採用されている。
【0005】
図16(B)は、上記(ロ)の密着型複合パネルを用いた外壁形成説明図であって、セメント板Pa´と断熱層Pbとを一体化した外断熱複合パネルP0を外型枠とし、内側の型枠合板7aと複合パネルP0内面との間に壁用鉄筋を配筋し、慣用の、縦端太16a、横端太16b、セパレータ9、KPコン10、軸足11、フォームタイ12、リブ座金13、ナット14、断熱アンカー27等により壁型枠組みして、コンクリート打設し、外側の複合パネルP0とコンクリート壁とを一体化した外断熱外壁を形成している。
【0006】
〔鉄筋コンクリート造壁式構造〕
図17は、従来の4階建集合住宅としての鉄筋コンクリート造壁式構造体の略示斜視図であって、鉄筋コンクリート打設で建物の外壁、内壁を壁梁WLや小梁で一体化している。
そして、コンクリート躯体には、建物の自重や積載荷重などの鉛直荷重(垂直荷重)と地震力などの水平荷重とを支える耐力壁Wと窓枠等の開口部R1上下の非耐力壁W0が各所に散在して、耐力壁Wの必要基準壁量を充足した壁式構造となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
外断熱建築物は、結露が防止出来て健康的な省エネルギー、且つ高耐久性の建物であることは業界の常識ではあるが、内断熱建築物と比べて建築コストが割高となるため、コスト要因が普及の阻害要因となっていた。
外断熱工法の中で、前述の(ロ)(図16(A))の外装材と断熱材との密着した複合パネルを用いる乾式工法は、比較的にコストが安いが、外装材と断熱材との間に境界面結露を発生させる問題を有している。
【0008】
また、外装材と断熱材との密着した従来のGRC系、窯業サイディング、GFPC系等各種複合パネルは、コンクリート躯体と一体化使用するものであり、しかも外装材自体も薄いため、強度、耐凍害性等の問題を有している。
また、押出成形セメント板(ECP)は、曲げ強度はコンクリートの約5倍、圧縮強度はコンクリートの約2倍と高い強度を有し、吸水率が16%以下で耐凍害性に優れてECP板は外部に素地のまま使用が可能ではあるが重いために、従来は、単体で外装材として使用するのが普通である。
【0009】
また、図17の鉄筋コンクリート造の壁式構造体にあっては、耐力壁をバランス良く配置して上階の荷重をスムーズに基礎へ伝達する必要上、大きな空間を作ることが出来ないため、例えば、店舗兼用賃貸マンション等の併用建物には無理があった。
また、戸境いや間仕切などの壁が多くてコンクリート型枠組みは煩雑で手間がかかり、しかも多くのコンクリート仕切壁の制約によって、建物の間取り計画の自由性がなく、使用上もかなりの制約を受けていた。
【0010】
更に、鉄筋コンクリート造として壁を連続させるために、例えば窓枠等の開口部R1の壁は、壁量として利用出来ない非耐力壁W0となるにもかかわらず鉄筋コンクリートとせねばならず、開口部R1周囲のコンクリート型組みが煩雑である上に、非耐力壁W0部のコンクリートの存在により建物の重量も大となって基礎への負荷の増大を生じ、建物の根入れ(基礎土木工事)の負担増となっていた。
【0011】
また、非耐力壁W0部を空間として、例えば、異材料のコンクリートブロック仕立てでモルタル塗布仕上げしても美観が悪く、且つ、取合い部分にひび割れが生じる等の問題が発生し、非耐力壁W0の壁コスト低減も出来なかった。
更には、床スラブのスパンが長い場合には、床スラブの厚さも大となり、建物の重量を支えるために鉄筋使用量も増え、小梁を設けなくてはならず、小梁が居住空間に突出して居室の利用性を悪化する。
【0012】
本発明は、これら外断熱工法面、外装材面、鉄筋コンクリート造壁式構造面等、個々の観点から、従来の外断熱建築物に内存する問題点とその解決手段を研究し、複合パネル面、断熱工法面、及び壁式構造体面上の各種問題点を、建築物としての相互関連技術として改善、開発し、従来の外断熱建築での種々の問題を一挙に解決したものであり、高耐久性で建築コスト低減化を可能とした、画期的な鉄筋コンクリート造外断熱建築物を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段及び作用】
例えば、図1、図2、図5に示す如く、外側のセメント板Pa,Pa´と内側の断熱層Pbとを一体化した外断熱乾式密着型の複合パネルP,P0を用いた帳壁Rw部と耐力壁W部とから成る外壁を備えた鉄筋コンクリート造の壁式構造とし、帳壁Rw部は、複合パネルPのみの張設で外壁とし、耐力壁W部は、複合パネルP0をコンクリート打ち外側型枠に用いて耐力壁W部の鉄筋コンクリート壁Wcと一体化して外壁とし、且つ、帳壁Rw部の複合パネルPと耐力壁W部の複合パネルP0の外面を面一に配置した鉄筋コンクリート造の外断熱建築物とした(請求項1)。
【0014】
尚、「帳壁Rw部」とは、外壁のうち、耐力壁W部以外の壁であって、図1、図2から明らかな如く、窓枠の上下の壁部等、構造設計上耐力壁に計算出来ない壁部分であって、コンクリート躯体の外壁のうち耐力壁W部以外の部分である。また、「セメント板」は、押出成形セメント板(ECP)や、セメントモルタルと耐アルカリガラス繊維から成るセメント板(GRCP)等、各種セメント板を含むものであり、「断熱層」は、押出法ポリスチレンフォーム、硬質発泡ウレタンフォーム等の合成樹脂発泡断熱材層をはじめ、断熱材としてセメント板に積層一体化出来るものを広く意味するものである。
【0015】
また、「複合パネルPのみの張設」は、コンクリート壁Wcの存在しない壁面の開口部を複合パネルPを張っただけで外壁を形成することであって、複合パネルPがコンクリート躯体の開口部に、外壁としての機能を奏するように取付けられておれば良く、複合パネルの構造、及び取付構造は問わない。
勿論、帳壁として用いる複合パネルPは、パネル自体が外壁として耐えられるだけの強度を有するものである。
また、「外断熱密着型」とは、従来技術の説明中で断熱工法(ロ)型として述べた如く、セメント板と断熱層とが乾式密着したタイプを指すものであり、湿式密着型は含まない。
【0016】
上記解決手段で得られる建築物は、壁式構造ではあるが帳壁Rw部、即ち、耐力壁として壁量に算入することの出来ない、耐力壁以外の壁部では、コンクリート壁打が無いため、窓枠上下部等の非耐力壁部での鉄筋配置、型枠組、コンクリート打設が省略出来て、施工量が低減出来、使用材料の減少によって建物も軽量化出来、建物の軽量化に伴う基礎の根入れ(土工事)もコストダウン出来、使用材料面、施工量面、施工日数面から合理化出来る結果、建築費の大幅なコストダウンが達成出来る。
【0017】
また、帳壁パネルPと耐力壁パネルP0は、外面が面一に連接しているため、外壁の外装も、腰水切りや雨水切りの配設も容易であり、しかも、帳壁の存在が目立たずに均一な外観となる。
また、耐力壁Wの形成は、安価な乾式密着型の複合パネル使用であり、耐力壁W間には複合パネルのみで帳壁を形成することと相俟って、複合パネルのみで外周壁全体の外断熱化が達成出来るため、外周壁の使用材料、施工費用面からもコストダウンが達成出来る。
従って、外断熱によって省エネルギー化され、結露防止によって居室内のカビ、ダニ発生が阻止出来ると共に、コンクリート壁のヒートストレスによるひび割れや、コンクリート中性化の抑制も出来、耐久性に優れた快適な住環境の建築物が低コストの建築費で得られる。
【0018】
また、帳壁の複合パネルPのセメント板Paと耐力壁の複合パネルP0のセメント板Pa´が、共に外部からの空気を上下に貫流させる通気層a1,a2を備えているのが好ましい(請求項2)。
この場合、安価な乾式密着型複合パネルであり、セメント板が断熱層より透湿抵抗が大であるにもかかわらず、セメント板が通気層を備えているため、乾式密着型パネルの重大欠陥である断熱層とセメント板との境界面結露が完全に防止出来て、外断熱による結露防止がより一層達成出来、壁体結露に起因するカビやダニの発生及び建物の劣化も、長期間にわたって抑えることが出来る。
しかも、外装材としてのセメント板自体も、通気層によって熱応力(ヒートストレス)の影響が最低限に抑えられて耐久性が向上し、セメント板自体のヒートストレスに伴う目地シーリングや外装塗膜の劣化も防止出来、外壁の外面が面一であることと相俟って外装材(セメント板)の仕上げ(タイル貼り、塗装)の自由性が保障出来る。
【0019】
また、帳壁Rwの複合パネルPと耐力壁Wの複合パネルP0とは、断熱層Pbの厚さT2が同じであり、帳壁複合パネルPのセメント板厚T1が耐力壁複合パネルP0のセメント板厚T1´より大であるのが好ましい(請求項3)。
耐力壁用複合パネルP0は、コンクリート壁の外型枠の機能のみが必要であるため、セメント板Pa´の厚さT1´が薄い慣用の複合パネルP0が採用出来、帳壁パネルPはパネル自体で外壁機能を奏する必要上、出願人が開発した特許第2999980号パネル等のセメント板Paの厚い物を選択する必要がある。
従って、比較的低コストの薄手の複合パネルP0を耐力壁Wに採用することにより建築費の合理化が達成出来ると共に、耐力壁W部と帳壁Rw部の均一な外断熱性能を発揮する外壁が得られる。
【0020】
また、耐力壁W部のコンクリート壁厚Wtを、鉄筋コンクリート造壁式構造の設計基準壁厚Tsより厚くし、コンクリート壁Wcに、水セメント比55%、スランプ値12cm、呼び強度24N/mmのコンクリートを用いるのが好ましい(請求項4)。
尚、「設計基準壁厚Ts」は、日本建築学会の壁式鉄筋コンクリート造計算基準に規定の壁厚であり、建物の高さ及び各階毎の耐力壁厚を決めた数値である。
【0021】
従って、鉄筋コンクリート造壁式構造の設計基準から、使用コンクリートの規定強度の18N/mm(一般)よりも強度の大なコンクリートを使用することによる許容壁量低減と、耐力壁厚Wtが基準壁厚Tsより大であることによる許容壁量低減とにより、耐力壁W部の水平方向長さ(壁量)がより低減出来て大開口部Rが広範囲に設定出来、耐力壁Wとして充分な強度を有するコンクリート壁Wcの打設のための使用型枠量がより一層低減出来、建築費のよりいっそうのコストダウンが達成出来る。
【0022】
また、コンクリート躯体CBは、床スラブSを無梁床のフラットプレート構造とし、床スラブSの外側に壁を配したチューブ構造とすると共に、各床スラブS間の適所に鉄骨柱30をピン接合構造で配置して、柱列帯が直角の2方向に存在する床スラブとするのが好ましい(請求項5)。
【0023】
従って、コンクリート躯体CBは、壁式構造とフラットプレート構造の合体であって、ツーウェイスラブで床スラブへの水平、垂直荷重をチューブ構造の外壁に伝達するため、梁が不要となる。また、床スラブを区切る小梁等の耐力壁も存在しないフラットプレートのため、型枠施工、鉄筋施工、内装の作業性が向上して鉄筋コンクリート造外断熱建築物の建築費のコストダウンが達成出来る。しかも、間取り設計の自由度も向上すると共に、建物の使用期間中での間取り変更も自由となる。
そして、各柱30はピン接合構造で水平力を受けない構造となるため断面の小さな柱とすることが出来、床スペースの有効利用上有利である。
【0024】
また、窓枠Wf等の開口部R1とその側方に存在する開口側面部Rsを含む大開口部Rは、貫通孔a1を備えたセメント板Paと合成樹脂発泡体断熱層Pbと内装材Pcとを一体化積層した複合パネルPを張設して帳壁Rw部とした(請求項6)。
尚、「一体化」は、複合パネルBとして各構成材料が一体となった構造を意味し、セメント板、合成樹脂発泡体断熱層、内装材の既成形3部材相互を接着剤を介在させて一体化したものも、セメント板と内装材との間(キャビティ)に発泡性合成樹脂を注入発泡して合成樹脂の発泡凝固接着力で3部材相互を一体化したもの(特許第2999980号パネル)も含むものである。
【0025】
従って、図3に示すとおり大開口部Rが、図17に示す従来の鉄筋コンクリート造壁式構造の非耐力壁部、即ち開口部R1、よりはるかに広範囲となり、鉄筋コンクリート壁部がはるかに少なくなるため、鉄筋、コンクリート、型枠等の使用量低減化、型枠施工量の低減化、施工日数の短縮化がより一層達成出来、建築コストの大幅なコストダウンが達成出来る。
しかも、複合パネルは内装材Pcをも具備しているため、内装材Pcをそのまま仕上材とすることも、内装下地材に用いることも可能であって、居室内仕上げが省力化出来る。
【0026】
また、帳壁Rw部は、内部に多数の並設貫通孔a1を備えた押出成形セメント板Paと、該セメント板内側面に固定したアングル鋼材から成る上枠5a、下枠5b及び側枠5cから成る枠体と、枠体内に配置した合成樹脂発泡体断熱層Pbと、内装材Pcとを備えた複合パネルPを、床スラブSの前端部に固定した取付金具3,4に、上枠5a及び下枠5bを止着して配置張設するのが好ましい(請求項7)。
尚、合成樹脂発泡体断熱層の「配置」は、合成樹脂を充填して発泡一体化したものも、押出成形断熱板を接着剤を介して一体化したものも含む。
【0027】
該複合パネルは、典型的には特許第2999980号の複合パネルPであり、押出成形セメント板がコンクリートに対して約5倍の曲げ強度と、約2倍の圧縮強度を有し、しかも複合パネルの上下枠及び両側縦枠が共にアングル鋼材で充分な強度を有するため、複合パネルPのみで充分な外壁強度を備えており、複合パネルPを取付金具3,4を介して床スラブに固定するだけで帳壁が容易に形成出来、帳壁Rwの内装仕上げも省力化出来る。
【0028】
また、帳壁Rwと耐力壁Wの左右接続部Jxでは、帳壁複合パネルPの断熱層Pbと耐力壁複合パネルP0の断熱層Pbの全側面に断熱材2b,2b´を当接介在させるのが好ましい(請求項8)。
図10に示す如く、帳壁複合パネルPと耐力壁複合パネルP0との外面を面一に配置するため、両パネルP,P0の左右接続部Jxでは両パネルP,P0の断熱層Pbには前後方向段差が生じるが、断熱材2b,2b´の存在によって帳壁複合パネルPの鋼材の枠体(上枠5a、下枠5b、側枠5c)と耐力壁Wの打設コンクリート壁Wcとの接触が阻止出来て冷橋作用が阻止出来る。
そして、複合パネルPのセメント板Paの内側端部とコンクリート壁Wcの外側端の間隔も断熱材2b,2b´の存在によって広くなるため、帳壁パネルPと耐力壁パネルP0との左右接続部Jxでの外壁の外断熱機能低下が抑制出来る。
【0029】
また、上下の耐力壁複合パネルP0間には、上下の条溝a2間に空気流の上下連通を保証する有孔バッカー24´を介在させると共に、該バッカー24´を帳壁複合パネルPの貫通孔a1上に突出させ、該バッカー24´の上面、及び/又は、下面の切欠24cによって条溝a2と貫通孔a1とを空気連通するのが好ましい(請求項9)。
尚、有孔バッカー24´は、上下パネル間に詰めるシーリング25を内側で支承すると共に条溝a2の空気の上下連通を保証する形態であれば良く、図11の如きハニカム形態のバッカー24´のみならず、従来の断面方形バッカーに上下方向に多数の貫通孔を穿設して有孔バッカーととしても良い。
【0030】
また、切欠24cは、バッカー24´の上下面が上下パネル端面に当接した形態でバッカー24´の上面又は下面に沿った左右方向の空気流通を可能とするものであるので、切欠24cは、実施例(図11)の如きV形カット以外の形状も可能である。
耐力壁パネルP0の条溝a2は浅いために空気導通量は比較的少ないが、有孔バッカー24´が切欠24cを備えて帳壁パネルPの貫通孔a1上に延びているため、貫通孔a1の大容量空気流F1(図15)に条溝a2の空気流F2が吸引されることとなり、耐力壁パネルP0内の通気性が向上する。
【0031】
また、帳壁複合パネルPは、パネル下端面Beを床スラブ上面Sfより小段差d1下方位置となるように張設するのが好ましい(請求項10)。
上方複合パネルPの下端面Beと下方複合パネルPの上端面Bt間は、外壁仕上げによってシーリング25で充填閉止されるが、この場合、例えシーリングが劣化して上下パネルP間隔から雨水が浸入しても、小段差d1は水返しの作用を奏するため、床スラブ上面Sfへの雨水の浸入は阻止出来る。
【0032】
また、耐力壁複合パネルP0相互の左右接続部は、図10の如く、断熱層Pb相互の継目線Lbを、セメント板Pa´相互の当接継目線Laからずらして、一方のセメント板Pa´の内面に当接してコンクリート壁Wcと一体化するのが好ましい(請求項11)。
耐力壁Wの形成に際しては、打設コンクリートの圧力が外側型枠としての複合パネルP0の内面に作用し、コンクリート水が断熱層Pbの継目線Lbから外方へ漏出するが、この場合、断熱層継目線Lbがセメント板Pa´内面に当接した形態であるため、コンクリート水のセメント板Pa´間の目地内への漏出は抑制出来る。
従って、外壁の目地仕上げ前のセメント板Pa´の掃除作業が大幅に合理化出来る。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明を、中低層(3階〜9階)の鉄筋コンクリート造壁式構造の住居用又は事務所用の外断熱建築物に適用する。
図1、図2に示す如く、外壁の全ては外断熱乾式密着型複合パネル(図16(A)の(ロ)のタイプ)を備えたものであり、耐力壁Wは、コンクリート壁厚Wtを従来の鉄筋コンクリート造壁式構造建築物に於けるコンクリート壁厚より厚くして壁量(壁長)を低減することにより、耐力壁W間には、従来の鉄筋コンクリート造壁式構造建築物(図17)に於ける耐力壁に計算出来ない非耐力壁W0の部分より大きな開口部Rを配置し、耐力壁W部は図5(B)に示す外断熱複合パネル(従来の図16(A)の(ロ)のタイプ)をコンクリート壁外側に一体化固定し、開口部Rには外断熱複合パネルのみから成る新規な帳壁を張設する。
【0034】
〔外断熱複合パネル(図5)〕
帳壁Rw用複合パネルPは、図5(A)に示す如く、セメント板Pa、断熱層Pb、石膏ボードPcの積層一体化物であって、セメント板Paは、厚さT1が60mm、外面板C1及び内面板C2が13mmで、幅awが34mmの上下方向貫通孔a1を内部に並列配置した形態に、セメント、ケイ酸質原料及び繊物質原料を用いて押出成形し、オートクレーブ養生した押出成形セメント板である。
【0035】
また、断熱層Pbは厚さT2が75mmの合成樹脂発泡体(典型的には硬質発泡ウレタンフォーム)であり、内面に12.5mm厚の石膏ボードPcを有し、等辺山型鋼(L形鋼)の上枠5a、下枠5b及び側枠5cを備え、セメント板Paを上下のZクリップを介して上下枠に係止したものであり、標準的パネルPにあっては、板幅Lc(図2)が600mmのセメント板Paの3枚をZクリップで上枠5a及び下枠5bに係止した幅Lpが1800mmのものであり、典型的には、特許第2999980号の外断熱複合パネルである。
尚、上枠5aにはねじ孔の取付孔H1を、下枠5bには嵌入孔の取付孔H1を、各セメント板Pa中央部に2個1対ずつ取付金具用に穿設するが、1階用パネルPのみは、上枠5a、下枠5bの取付孔H1を共にねじ孔とする。
更に上枠5aにはパネルPの両端から450mmの位置にパネルPの吊上げに用いるアイボルト用孔H3を上枠5aの左右に2個穿設する。
【0036】
また、耐力壁W用複合パネルP0は、図5(B)に示す如く、セメント板Pa´と断熱層Pbの一体化積層品であり、従来の乾式密着層型の外断熱複合パネルのタイプであって、セメント板Pa´は、板厚T1´が25mmで内面に多数の並設条溝a2を備えており、断熱層Pbは厚さT2が75mmで、通気層としての条溝a2をつぶさないように、且つ、セメント板Pa´とは両側端で10mmの段差dxを生じるようにセメント板Pa内面に積層一体化したものである。
尚、複合パネルP0はコンクリート壁外型枠として用いるため、パネルP0の中央部には壁型枠組み用のセパレータ挿入孔を、両端部には皿ボルト挿入孔を穿設しておく。
【0037】
〔コンクリート躯体構造(図2、図3)〕
図2、図3に示す如く、4階建て(但し図面では4階を切除)、長さXが22.65m、奥行きYが7.85mで中階段の開口部Oが2.45mの建物を対象とする。窓を配置する前面には各窓開口部R1と開口側面部Rsを含む大開口部Rを配置し、耐力壁厚Wtは220mmであって、大開口部R側方の各耐力壁Wは幅W10が800mmであり、床スラブSは1枚のフラットプレートであって、床スラブS上には図15(従来例)に示す如き耐力壁や小梁等のコンクリート構造物は存在しない構造である。また、床スラブ厚は、大開口部Rを有するX1側では180mm、X2側では150mmとする。
そして、耐力壁Wでは、外壁の外側型枠として耐力壁用複合パネルP0を用い、慣用の配筋、型枠を施して、水セメント比55%、スランプ12cm、呼び強度24N/mmのコンクリート(基準値18N/mm)を用いて打設構築する。
【0038】
〔柱の配置(図3、図4)〕
内外柱は角鋼管を用い、内柱30は1階が125×125×9(タテ125mm、ヨコ125mm、厚さ9mm)、2階及び3階が125×125×6、4階が125×125×4.5とし、外柱30は1階が100×100×9、2階が100×100×6、3階が100×100×4.5、4階が100×100×3.2とする。また、図4に示す如く、各角鋼管は、下端にはアンカー用ボルト孔H31を有する柱脚プレート31を、角鋼管上端にはスタッドボルト33を上面に固設した柱頭プレート32を予め溶接固定したものである。
【0039】
柱脚プレート31及び柱頭プレート32は、柱の配置間隔、負荷荷重等から選定するが、本実施例の建物にあっては、柱間隔30Xを5.95m、30Yを2.8mとし、各柱30がX方向、Y方向に柱列帯をなすツーウェイスラブとする。
また、柱脚プレート31を1階、2階は245×245×20(タテ245mm、ヨコ245mm、厚さ20mm)、3階、4階は245×245×16とし、柱頭プレート32を、1階、2階は245×245×20、3階、4階は200×200×16とし、柱脚プレート31下面の床スラブSへの剪断破壊(パンチングシャー)の生じない構造とする。
【0040】
各角鋼管柱30の固定は、外階の床スラブSが固まった時点で柱脚プレート31をそのアンカー用のボルト孔H31を介してケミカルアンカーボルト(図示せず)で床スラブSに固定し、上階床スラブの型組み時に、柱頭プレート32のスタッドボルト33を型内に入れ、上階床スラブSのコンクリート打設によってスタッドボルト33及びアンカー機能を有する頭部33´を配筋と共にコンクリート中に埋設固定する。
勿論、鋼管柱は、鉄筋コンクリート造の柱や壁で代用することも出来る。
【0041】
〔複合パネル取付金具(図13)〕
図13(A)に示す取付金具4は、2階以上の床スラブS及びパラペットへの複合パネルPの取付けに好適なものである。
該金具4は、取付プレート4aと連結ピン6とから成り、取付プレート4aは、前後幅W4が160mm、長さL4が180mmで9mm厚の方形鋼板の前部には、前端及び側端から30mmの位置に15mm径の連結ピン孔H2を2個穿設し、後部中央には、後端より30mmの位置に25mm径の大径孔Hmを穿設すると共に、裏面後部には、後端及び側端から30mmの位置に直径13mmで先端に100mmの屈曲部4d´を形成した長さLdが130mmのアンカー片4dを2本下方へ垂直に溶接固定する。また、連結ピン6は、尖端6tを備えた12mm径、75mm長の全ねじボルトである。
【0042】
また、図13(B)に示す取付金具3は1階の床スラブSへの複合パネルPの取付けに好適なものである。
該金具3は、プレート受3´、取付プレート4b及び連結ピン6から成り、プレート受3´は、75mm×75mmで厚さ6mmの等辺山形鋼のアングル片で、長さL3が200mmの水平片3a及び垂直片3bを備え、垂直片3bは、両端部に釘孔Hnを配置すると共に、中央部には直径19mmで先端に50mm長の下方屈曲部3d´を形成した長さ150mmのアンカー片3dを後方へ若干傾斜した形態に溶接固定し、水平片3aには、下面に底板3c´を当接固定し、両端縁及び後縁から水平片3a上面より起立高さ3tが20mmの薄鋼板(1.6mm厚)製コンクリート止3cを備えている。
【0043】
また、取付プレート4bは、前後幅W4´が130mm、長さL4が180mmで9mm厚の方形鋼板であって、前部には、前端及び側端より30mmの位置に15mm径の連結ピン孔H2を2個穿設し、後部中央には、後端より30mmの位置に25mm径の大径孔Hmを穿設したものである。
また、連結ピン6は、尖端6tを備えた12mm径、75mm長の全ねじボルトである。
【0044】
〔パネル仮固定用の平板金具(P金具)〕
パネル仮固定用のP金具は、図13(C),(D)に示す如く、前後幅22Wが70mm、長さ22Lが50mmで5mm厚の方形鋼板22aであり、前端中央部上面には内径9mmのねじ孔22sを有する外径22dが16mmの長ナット22bを長ナット下面が方形鋼板22a下面と面一の埋設形態に溶接固定し、後部中央にはボルト23挿入用の孔H4を配置し、頭部厚み23hが7mmのボルト23を使用し、厚さ22h(16mm)を上下各複合パネルPに配設時の上下間隙d2(20mm)内に納まる構造とする。
【0045】
〔帳壁複合パネルの張設〕
▲1▼. 1階床スラブSへの取付金具3の固定(図6、図13):
1階床スラブSの取付金具としては図13(B)に示す金具3を採用する。
図6(A)に示す如く、基礎構造体1の外側に、75mm厚の断熱材2及び外側型枠合板7aを桟木8aを介して慣用のセパレータ9、KPコン10、軸足11、フォームタイ12、リブ座金13及びナットを用いて組付ける。
尚、2aは20mm厚、75mm幅の断熱材であって、断熱材2上に取付金具3のプレート受3´の占有部分(200mm)のみを外して、取付金具3間Ls全てに亘って貼着したものであり、断熱材2a上全長に亘って12mm厚の型枠合板7bを内端が断熱材2aより内方に突出した状態に固定する。
【0046】
また、プレート受3´(図13)は、図6(B)に示す如くプレート上面3f(図13)と床スラブ上面Sfとの段差d3(20mm)を保持した形態に垂直片3bの釘孔Hnを介して型枠合板7aに固定し、且つアンカー片3dを床スラブ型枠内の鉄筋と針金結束し、取付金具3のプレート受3´のスラブ型枠内への配置を完了する。
【0047】
尚、型枠合板7bは幅90mm、厚さ12mmで、厚さはその上面が床スラブ上面Sfより約1mm突出する厚さであり、内方への突出長15mmは複合パネルPの石膏ボードPc厚(12.5mm)嵌入用のスペースを形成する長さである。
次いで、床スラブ型枠M2内にコンクリートを流入し、床スラブ前端上面がプレート受3´の部分ではコンクリート止3cで規制され、その他の部分では型枠合板7b内端で規制された状態にコンクリート打設し、コンクリート固化後に型枠合板7a及び7bを取外し、プレート受3´上面が床スラブ上面Sfよりd3(20mm)下方位置でアンカー片3dを介して床スラブSの前端に強固に一体化固定する。
【0048】
▲2▼. 1階帳壁パネルPの下端取付け(図6、図13):
帳壁複合パネルPは、標準的には、図2の如く3枚のセメント板Paの各中央部で取付金具3に取付けるものであり、図5(A)の如く、上枠5a及び下枠5bには、それぞれ取付孔H1を備え、上枠5aには外端から450mmの両位置にアイボルト孔H3を2個備えている。
まず、連結ピン6を下枠の各取付孔H1に下端が15mm前後突出状態に螺入し、アイボルト孔H3に螺入した吊上用アイボルト(図示せず)を介して複合パネルPを位置合せして取付プレート4b(図13(B))の連結ピン孔H2に連結ボルト6の下端突出部を嵌入し、複合パネルPの下端を取付プレート4bと共にプレート受3´上面3fで、複合パネルPのセメント板Paと外壁型枠として設定した複合パネルP0のセメント板Pa´との外面を面一となるように前後左右位置決め(必要なら取付プレート4bとプレート受3´上面間に鋼板等の飼物を介在して上下調整)して取付プレート4bを大径孔Hmを介してプレート受3´に溶接固定する。
【0049】
▲3▼. 1階帳壁パネルPの仮固定(図14):
1階の帳壁複合パネルPは下枠5bを1階床スラブSの取付金具3に固定すると共に、上枠5aの両側のアイボルト孔H3に新規なP金具22(図13(C))のボルト孔H4を重ねてボルト23でP金具22を上枠5aに固定し、P金具22の長ナット22bにジョイントボルト先端を螺入すると共に、図14に示す如く、慣用のターンバックル付壁つなぎ及びクランプを介してジョイントボルトと枠組足場(鳥居型足場)の建枠とを連結して該パネルPの上枠5aを仮固定する。
更に、帳壁パネルPの上部は、図11(A)に示す如く、耐力壁型枠としての耐力壁複合パネルP0と共に、外面を面一に横端太パイプ16bで全後動を仮固定する。
【0050】
▲4▼. 2階床スラブSへの取付金具4の固定(図7):
1階帳壁複合パネルPは、1階床スラブSの取付金具3(図13(B))に下枠5bを固定し、上枠5aをP金具22、及び/又は、横端太パイプ16bを用いて転倒防止仮固定した後、2階床スラブSの型枠組みにより図13(A)に示す取付金具4を床スラブ型枠M2内に組み込む。
帳壁部での床スラブ型枠M2は、図7(A)に示す如く、下面を規制する型枠合板7cがパイプサポート18上の大引き17上に根太パイプ16c及び桟木8cを介して支持され、前端が複合パネルP上端部で規制される。尚、複合パネルPは、内面上端部のコンクリート床スラブSと一体化する部分には石膏ボードPcが存在しないように予め石膏ボードPc上端部Ptを切除しておき、内側の型枠合板7c上のスラブ引金物19と外側の横端太パイプ16bとを図7(B)に示す如く、軸足11、フォームタイ12、リブ座金13、及びナット14で仮固定する。
【0051】
複合パネルPのセメント板Paと耐力壁型枠に配置した複合パネルP0のセメント板Pa´とは外面が面一であるため、横端太パイプ16bは、耐力壁型枠と帳壁パネルPとに亘って直線形態で配置する。
尚、帳壁複合パネルPと耐力壁W用複合パネルP0との左右接続部Jxでは、コンクリートの打設側圧によって、耐力壁パネルP0と帳壁パネルPの外面に不陸が生じることを防止するため、図11(A)に示す如く、2本組みの横端太16bの各端部16eが接続部Jxの両側のフォームタイ12間に存在しないように配置する。
【0052】
また、上枠5aの取付孔H1(ねじ孔)には、連結ボルト6を螺入し、上枠5a上には、図7(C)に示す如き前端から中央部まで15mm幅の切込溝20sを2本備えた11mm厚の飼木20を、各連結ピン6に切込溝20sを嵌合挿入して内端面20eの切込溝20s端を粘着テープ20cで閉止し、内端面20eをパネル断熱層内面と面一に設置し、該飼木20上に取付金具4の取付プレート4aを連結ピン6に連結ピン孔H2を介して載置し、取付金具4のアンカー片4dをスラブ型枠M2内の鉄筋と針金で結束固定する。
【0053】
また、上枠5a上の取付金具4の存在しない部分、即ち取付金具間Ls(図2)には、20mm厚、75mm幅の断熱材2aを貼着し、上枠5aのアイボルト孔H3部では、断熱材2aの一部をP金具22が嵌入出来るように内端部をコンクリート止めに残して切除し、P金具22をボルト23でアイボルト孔H3に止着し、上枠5aの断熱材2a上、取付金具4上、及びP金具22上全長に亘って、型枠合板7b(幅90mm、厚さ12mm)をパネルPの断熱層内面より15mm内方へ突出させ、且つ上面が床スラブ上面Sfより1mm上方へ突出した状態に連結ピン6に嵌挿配置し、連結ピン6上端へのナット6nの締着により、上枠5a、飼木20、取付プレート4a、及び型枠合板7bを積層形態に仮固定する。
【0054】
尚、P金具22の取付けは、断熱材2aをP金具幅に亘って切除して取付け、型枠合板7bとパネルP上縁間にコンクリート流入防止用の粘着テープを施しても良い。
次いで、2階床スラブ型枠M2と1階耐力壁型枠M1(図10)内にコンクリート打設し、床スラブSの上面の鏝(こて)仕上げするが、型枠合板7bの床スラブ上面よりの約1mmの突出が塗り作業の基準及びストッパー機能を奏し、鏝塗りは容易、且つきれいに出来る。
【0055】
そしてコンクリート固化後に、ナット6nを外して型枠合板7bを取外し、取付プレート4aと上枠5a間の飼木20を前方に引抜く。この場合、飼木20の内端面20eに止着した粘着テープ20cがコンクリートの切込溝20s内への流入を阻止し、且つ粘着テープ20eは破断容易なため、飼木20の引抜きは比較的容易である。
2階床スラブSのコンクリート固化により取付金具4が床スラブSに強固に一体化固定された段階で、1階帳壁複合パネルPは、上端部Ptの石膏ボードPc切除部分が床スラブSの前端と一体化すると共に、上枠5a及び下枠5bが各床スラブSに強固に保持されて取付固定が完了する。
【0056】
▲5▼. 2階帳壁パネルPの取付け(図7):
2階床スラブSのコンクリートが固化し、1階帳壁パネルP上の型枠合板7b及び飼木20を取外した段階で、1階パネル上枠5a上の断熱材2aの前面には、図8に示す如く、断熱材2aと同厚で前後幅がセメント板内面板c2と同幅のシーリングゴム21を貼着して防水性及び耐候性を付与する。次いで、2階用帳壁パネルPは、上枠5aの各取付孔(ねじ孔)H1に連結ピン6の下端部を螺入固定し、アイボルト孔H3にアイボルト(図示せず)を螺入固定してアイボルトを介して吊上げ、1階複合パネルPの上枠5a上に位置決めし、下方パネルPの上枠5a上から取付プレート4aの連結ピン孔H2を貫通して突出した各連結ピン6に下枠5bの各取付孔(嵌入孔)H1を嵌合し、パネルP下枠5bを既に固定されている下方パネルPの上枠5aに取付金具4を介して係止し、2階床スラブSに固定された取付金具4に係止固定する。
該パネルPの仮固定、及び該パネルPの上枠5aの3階床スラブSへの取付金具4による固定は1階帳壁パネルPでの固定と同じであり、順次同じ手法で帳壁パネルPの建上げを耐力壁Wの形成と共に遂行する。
【0057】
▲6▼. 最上階帳壁パネルPの上端固定(図9):
図9(A)に示す如く、最上階用の複合パネルPは、セメント板Paが断熱層Pbより突出した形状であり、石膏ボードPcは、他の複合パネルP同様コンクリート接合部となるパネル上端部Ptを切除する。そして、上枠5aの取付孔(ねじ孔)H1に連結ピンを螺入し、上方への連結ピン6の突出部に取付金具4の連結ピン孔H2を嵌合してナット6nにより取付金具4と上枠5aを固定する。
【0058】
また、パラペットSpを有する床スラブSの型枠組みにあって、下面型枠は、他の床スラブSの場合同様サポート18、根太パイプ16c、桟木8cを用いて型枠合板7cで形成するが、パラペットSpは、取付プレート上面4f(図13)より12mm高くした内側型枠合板7aの上下に桟木8dを釘固定し、慣用の吊枠金具で下面合板7cに固定する。
【0059】
また、型枠合板7aと複合パネルPとは、内側の桟木8aと外側の横端太16bとを慣用のセパレータ9、フォームタイ12、リブ座金13、ナット14により締着する。勿論、他の床スラブ型枠M2組み同様に、型枠合板7cに固定したスラブ引金物19とパネル外側の横端太パイプ16bとも締着する。
次いで、パラペットSpを含む天井床スラブSにコンクリート打設し、取付金具4の、アンカー片4dのコンクリート内への埋設、及び大径孔Hmの上下へのコンクリート連通により、取付金具4をパラペットSpと強固に一体化固定し、パラペット付天井スラブSの各型枠を解体除去し、最上階帳壁パネルPの上端固定を完了する。
【0060】
〔耐力壁Wの形成(図10、図11、図12)〕
壁型枠M1は、図12(C)の如く、床スラブ型枠M2と連通しており、床スラブ型枠M2へのコンクリート打設が同時に壁型枠M1へのコンクリート打設となるものである。
そして、壁型枠M1の内側型枠合板7aと外側の外断熱複合パネルP0との締着は従来の図16(B)同様に、セパレータ9、KPコン10、軸足11、フォームタイ12、リブ座金13、ナット14、Pコン15、縦端太パイプ16a、横端太パイプ16bで実施するが、耐力壁用の複合パネルP0は、図5(B)に示す如く、内面に通気用条溝a2を備えた板厚T1´が25mmの押出成形セメント板Pa´と層厚T2が75mmの断熱層Pbとを段差dx(10mm)だけ左右にずらした状態に一体化積層したものであり、従来同様にパネルP0の中央縦列状にはセパレータ挿入用孔を、両端縦列状には皿ボルト挿入用孔を設けたものである。
【0061】
また、耐力壁パネルP0と帳壁パネルP間には、両セメント板Pa´,Pa間が20mm、セメント板Paと耐力壁パネルP0の断熱層Pb間が30mm、耐力壁パネルP0の断熱層Pb及びコンクリート壁Wcと帳壁パネルPの断熱層間が40mmとし、予め帳壁パネルPのセメント板Paと耐力壁パネルP0の断熱層Pbとの間に35mm幅、30mm厚の断熱材2b´を、帳壁パネルPの側枠5c及び石膏ボードPc(12.5mm厚)に亘る側面に、87.5mm幅、40mm厚の断熱材2bを貼着して両パネルP0及びPの断熱層Pb,Pbを介在断熱材2b,2b´で連通し、帳壁パネルPと耐力壁パネルP0の境界部での段差を生じた断熱層の外断熱機能低下を阻止する。
また、壁型枠M1の側端を規制する型枠合板7sは、図10の如く、内側で型枠合板7aに、外側で両パネルP,P0間の断熱材2b上に当接形態に縦桟木8a、横桟木8d´を介してパイプサポート18で固定する。
【0062】
この段階では、帳壁パネルPは、下端(下枠)が固化済床スラブコンクリートに一体化固定された取付金具4に連結ピン6を介して係止され、上端は上枠5aに係止した取付金具4が床スラブ型枠M2内に組み込まれた状態で、スラブ引金物19による固定、及びP金具による仮固定により保持され、耐力壁パネルP0は、図12(C)の如く、壁型枠M1及び床スラブ型枠M2の外側型材として保持され、パネルP0上端面Bt´上には帳壁パネルP上端面と同じ断熱材2a及び型枠合板7bが載置されている。
【0063】
尚、図11(A)に示すように、耐力壁パネルP0と帳壁パネルPの外面は面一に配置し、最上段の横端太パイプ16bは、両パネルP,P0に亘って当接固定する。
また、最上段の横端太パイプ16b以外の耐力壁パネルP0の横端太パイプ16bは、適宜の長さを使用出来るが、図11(A)の如く、端部を張壁パネルP上に延長当接させるのが、両パネルP,P0の面一形態保持に有利である。
次いで、上方の床スラブ型枠M2へのコンクリート打設と共に、壁型枠M1内にもコンクリート打設し、コンクリート固化後に型枠を解体すれば、図12(A),(B)に示す如く、帳壁パネルPの側枠5cに貼着した断熱材2bの側面にコンクリート面が当接した耐力壁Wが形成出来る。
【0064】
〔外装仕上げ〕
両パネルP,P0間での各セメント板Pa,Pa´間の隙間(20mm)、即ち断熱材2b´の外方の隙間、は仕上げ時にバッカー24を介してシーリング25を施すものであり、帳壁複合パネルP相互の左右セメント板間隙、及び帳壁パネルPと耐力壁パネルP0を通した上下セメント板間の間隙には慣用の耐候性目地仕上げを施す。
【0065】
また、耐力壁用パネルP0の上下連結部には、図11(B)の如く、合成樹脂製で20mm幅、12mm厚で、定間隔(9mm)毎に中仕切24pを備え、且つ中仕切24pの上下にV形の切欠24cを設けたハニカム形態の有孔バッカー24´を条溝a2上に配置し、有孔バッカー24´の端部を帳壁パネルPの貫通孔a1上に突出させる。
尚、有孔バッカー24´の配置は、断熱材2a前面に予め接着しても、外壁形成後に隙間d2に挿入しても良い。
また、帳壁パネルPの室内側には、石膏ボードPcに更に仕上げ用の石膏ボードPc´を貼着し、床スラブ型枠M2の型枠合板7cで生じた隙間E(図8(B),図9(B))を閉止し、帳壁Rw内面をきれいに仕上げると共に、耐火性を増強する。
【0066】
図15は、1階の帳壁パネルP及び耐力壁パネルP0と基礎構造体1との関係構造を示す図である。
基礎構造体1は直線状であり、コンクリートの基礎構造体1の外面に配置した断熱材2も各パネルP,P0の断熱層Pbと同厚で直線状に延設したものである。
従って、厚さT1(60mm)が大なセメント板Paを有するパネルPと、厚さT1´(25mm)が小なセメント板Pa´を有するパネルP0とを外面が面一になるように配置するには、帳壁パネルPを実施例(図6)のように配置して、図15(A)の如く、断熱材2、断熱材2a、及びパネル断熱層Pbを上下に連通形態とする場合には、耐力壁パネルP0は、図15(B)に示す如く、断熱材2とパネル断熱層Pbとが前後にずれることと成るが、介在させる断熱材2aの存在によって断熱機能低下は抑制出来る。
尚、基礎構造体1の外面の断熱材2は、ラスモルタル42によって保護仕上げする。
【0067】
厚いパネルPと薄いパネルP0の外面の面一配置は、耐力壁パネルP0を、図15(D)の如く、断熱材2、断熱材2a、断熱層Pbを上下連通とし、張壁パネルPを、図15(C)の如く、内方にずらして配置しても良い。
帳壁パネルPと耐力壁パネルP0がセメント板Pa,Pa´の外面を面一に揃えて配置したため、腰水切40は、取付ピース41を用いて耐力壁W部と帳壁Rw部とを通した同一形状に設置出来、また笠木50(図1)も全外壁を通して外観同一形状に配置出来る。
従って、腰水切40の空気孔O4から張壁パネルPの貫通孔a1及び耐力壁パネルP0の条溝a2を経て笠木50への外気の導通構造が、厚さの異なる複合パネルPとP0とを並列使用するにもかかわらず、外観を損なうことなく簡便に形成出来る。
【0068】
〔得られる外断熱建築物〕
実施態様例で得られる鉄筋コンクリート造外断熱建築物は、コンクリート躯体に関しては、鉄筋コンクリート壁式構造の4階建、中階段で両側に2LDK8戸の延480mの建物で、本発明(図3)と従来例(図17)とをコンクリート、型枠、鉄筋の使用量の面から比較したところ、表1のとおりであった。
Figure 0003627927
以上のとおり、使用材料面からの単純比較の下でも、本発明建物は同一規模の従来物に対して3割強のコストダウンとなる。
【0069】
しかも、上記比較例での建物の重量(コンクリート、鉄筋、鉄骨)は、従来建物が682.7トンで本発明建物が521.9トンであり、本発明は23%軽量化出来る。
更に本発明は、型枠では、梁や、仕切小壁や、窓枠四周での煩雑な型工事が無いため使用量及び施工量が低減出来、鉄筋は、手間のかからない床スラブ及び土間の鉄筋の比率が大きく、異形棒鋼の直径の大きいものを用いていないこと、梁がないので肋筋などの手間のかかるものが少ないこと、床スラブ筋に折曲げ加工筋が無いこと、等により配筋組立費が低減出来る。
【0070】
また、本発明建物にあっては、建物が軽量化して基礎工事費が軽減出来ること、構造体の全体数量が少ないことや、型枠のスラブが平坦で壁が少ないことや、鉄筋の組立の作業性が良いことから工期も短縮出来ること、壁の開口部に帳壁複合パネルPを用いることにより、軽量間仕切下地付与や断熱材の吹付けなどの省力化も出来ること等の面からも建築費がコストダウン出来る。
即ち、本発明建築物は従来物と比べて、実際には、設計上での計算可能な使用材料面からの3割強のコストダウンよりも、更に大きなコストダウンが可能となる。
【0071】
また、本発明のコンクリートは、水セメント比55%であり、従来(通常)のコンクリートの水セメント比65%と比較すると、中性化期間(硬化したコンクリートが表面から空気中の炭酸ガスを吸収し、コンクリート中の水酸化カルシウムがカルシウムに変化し、その結果アルカリ性が失われていく期間)は、鉄筋に対するコンクリートの被り厚が4cmでは、水セメント比65%(従来物)では68年、水セメント比55%(本発明)では142年となり、コンクリート被り厚3cm(基準)では、水セメント比65%で38年、水セメント比55%で80年となる。
【0072】
そして、本発明は、コンクリート躯体自体でも高耐久性である上に、外断熱でコンクリート躯体全外面を保護しているため、コンクリート壁の結露等による中性化促進要因が除去されて躯体コンクリートの中性化も、公称中性化期間値(JASS5、鉄筋コンクリート工事、日本建築学会)より長期となり、また、外断熱で保護されたコンクリート躯体はひび割れの要因であるヒートストレスも、本発明が75mm厚の断熱層であるため、内断熱のそれに比して約1/25に抑制出来、本発明の建築物は高耐久建物となる。
【0073】
また、本発明建築物は、床が無梁床で15cm厚以上(図3のX1側18cm,X2側15cm)のフラットプレートでチューブ構造であり、床スラブ上の柱30もピン接合タイプで断面の小さな鉄骨柱のツーウェイスラブとなったため、床スラブSがチューブ構造建物として充分な強度を備えると共に、上下階の遮音機能も充分有し、床スラブS上のスペースが有効に利用出来て、間取りの自由度が高く、しかも居室利用期間内での間取り変更も自由になる。また、各床スラブ間の高さも、出梁等が無いため比較的に低く設定出来、10mの高さ規制の下でも4階建マンションの建築が可能であり、賃貸マンションでは事業効率が高くなる。
従って、5階建以下の中低層の建築物としては、建築費、利用性、居住性各面からみても、画期的な実用性に富んだ外断熱建築物となる。
【0074】
また、建物の外周壁全体を工場生産品としての複合パネルP,P0で形成するため、製造時の設計どおりの機能を備えた外断熱壁が得られ、施工面でも、耐力壁W部はコンクリート型枠形成と共に張ることが出来、帳壁Rw部でも取付金具3,4によって複合パネルPの上下枠を固定するだけの比較的簡単な作業で、耐力壁Wのコンクリート打ちと同時に、合理的に施工出来る。
また、各複合パネルP,P0が通気層を備えているために結露防止機能により建物の耐久性向上に寄与するのは勿論、コンクリート躯体やパネルのセメント板のヒートストレスも抑制し、外壁表面への外装塗布等の自由度及び耐久性も保障する。
【0075】
しかも、帳壁Rw部も耐力壁W部と外面が面一であるため、腰水切40及び笠木50の取付けが容易、且つ外観良く仕上がる。
従って、高価な厚手の複合パネルPは帳壁Rw部のみに採用すること、建築資材量の低減で低コスト化出来ること、施工容易なこと等の施工面、及び建築物の耐久面のみならず、デザイン性付加の面からも、従来の外断熱建築物よりはるかに有利な建物である。
【0076】
更に、上述の実施態様によれば、帳壁複合パネルPの取付けは、床スラブSに強固に固定された取付金具の連結ピン6に下枠5bの取付孔H1を挿通係止して仮固定するため、作業が容易である。
また、1階帳壁パネルPの取付位置は帳壁外壁の建付けに決定的な意味を有するが、下枠5bと係止した取付プレート4bを前後左右調整しながらプレート受3´に取付けるため、1階帳壁パネルPは不陸調整等必要な微調整の下に耐力壁パネルP0と面一、且つ正確に取付けることが出来、従って、1階帳壁パネルPの並びを基準として順次上層階の帳壁パネル張設も、耐力壁パネルP0と外面が面一できれいに建付けが出来、耐力壁W部と揃った高品質の帳壁Rwが形成出来る。勿論、基礎構造体1を含む1階床スラブSを高品質に、且つ取付金具の1階床スラブSへの正確な固定をすれば、1階床スラブのパネル取付金具として、他の階用と同一の図13(A)に示す取付金具4を使用することも出来る。
【0077】
また、帳壁パネルPの立設仮固定段階で、順次パネル間に断熱材2a、2b、シーリングゴム21等を貼着していくため、外壁としての断熱性、及び防水性対処作業が合理的に遂行出来る。また、取付金具4の固定時に飼木20を採用したため、取付金具4の適正位置への取付け、及びコンクリートの流入阻止が出来、取付金具4部分への後仕上げの現場発泡ウレタンフォーム充填が好適に実施出来る。そして、取付金具4の床スラブS型枠との組付け時に型枠合板7bを採用したことにより、各帳壁パネルPの下端面Beを床スラブ上面Sfよりd1(11mm)下方に設置出来、帳壁パネル下端面Beからの雨水の床スラブS上への侵入も完全に防止出来る。
【0078】
また、耐力壁W部にあっても、各パネルP0の衝接端縁で断熱層間の継目線Lbをセメント板Pa´間の継目線とずらしたため、壁コンクリートのセメント板Pa´の継目線Laからの漏出汚染も防止出来、後工程の外壁セメント板Pa´の仕上げ清掃作業の負担も軽減出来る。
また、耐力壁パネルP0の条溝a2の有孔バッカー24´を帳壁パネルPの貫通孔a1上に突出させたので、空気貫流量の大な貫通孔a1が浅い条溝a2の空気流に対する吸引作用を奏し、耐力壁パネルP0間の通気性が向上する。
【0079】
また、耐力壁W部と帳壁Rw部の境界にあっても、耐力壁コンクリートを帳壁パネルPの側枠5c側面に貼着した断熱材2bに当接、重合形態にコンクリート打設するため、L形鋼の側枠5cとコンクリート壁Wcとの間の冷橋作用が断熱材2bで阻止出来、断熱機能の優れた外壁となる。
【0080】
〔その他〕
図8(C)は帳壁複合パネルPの上下接続部Jyでの上下断熱層Pb間に介在させる断熱材2aとその前端に貼着したシーリングゴム21との上下面をプラスチック系耐火シート(商品名フイブロック)27で被覆したものであり、各複合パネルP,P0の上下、左右接続部Jy,Yxに介在させる断熱材2a,2bの当接界面に耐火シート27を付与して使用すれば、火災発生時の防火性能が向上する。
【0081】
また、耐力壁型枠M1(図1)の形成に際し、型枠合板7sを張壁パネルPの内装材(石膏ボード)Pc上に当接配置してコンクリート打設し、帳壁パネルPと耐力壁パネルP0との間の断熱材2bの内面もコンクリート壁Wcで被覆すれば、耐力壁型枠M1の解体に伴う断熱材2bの破損の防止に有利であると共に、火災時に断熱材2bが燃焼済となることも阻止出来る。
また、実施態様例では、ハニカム形態の有孔バッカー24´は耐力壁パネルP0の条溝a2全長に設けたが、部分的に散在配置させても、耐力壁パネルP0の条溝a2から帳壁パネルPの貫通孔a1に亘る全長に配置しても良い。
【0082】
【発明の効果】
鉄筋コンクリート造壁式構造でありながら、外周壁の耐力壁として算入出来ない鉄筋コンクリート壁(図17の非耐力壁W0)を全て工場生産パネルによる帳壁としたため、コンクリート、鉄筋、型枠の使用量の低減化と、施工期間の短縮化が達成出来、耐力壁W部及び帳壁Rw部の外周壁全部を工場生産品の複合パネルで形成するために、均質な外断熱機能の付与も簡便、且つ合理的に達成出来る。
【0083】
しかも、コンクリート、鉄筋等の使用量低減によって建物自体の軽量化に伴う基礎土木工事すらコスト低減出来、壁式構造による柱の出張りのない居室空間利用スペースの大な外断熱建築物が、従来の壁構造外断熱建物に比して、低い建築コストで、しかも、短い期間で建築出来、建築業界で画期的な実用性の高い建築物の提供が可能となる。
【0084】
また、耐力壁W及び帳壁Rwとして用いる複合パネルP,P0は、外側のセメント板が通気層a1,a2を備えていて建物の結露を防ぎ、複合パネルP,P0及びコンクリート躯体CBのヒートストレスを抑制するため、建物の高耐久化を実現し、耐力壁W部と帳壁Rw部の外面が面一であることと相俟って、外壁表面に対する外装の自由化を保障してデザイン性付与にも優れた建築物となる。
【0085】
しかも、帳壁パネルPと耐力壁パネルP0とは外面が面一に連接しているため、腰水切や雨水切(笠木)の配設も容易、且つ外観良く仕上げることが出来、外観上も、帳壁Rwと耐力壁Wとの混在が目立たず、従来の鉄筋コンクリート造建築物と同一となる。
【0086】
しかも、コンクリート躯体が、壁式構造でフラットスラブのチューブ構造であるためと、床スラブ上の柱がピン接合構造であって小断面柱であるために、居住間取りの自由化、及び間取り変更の自由化が実現し、居室内に出梁等も存在しないために床スラブ上下間の高さも比較的に低く出来、一定の高さ制約下でも階数の多い建物が建築出来、利用効率が良く、居住性の良い建築物が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の外壁の一部切欠斜視図である。
【図2】本発明の外壁構造説明図である。
【図3】本発明建築物の鉄筋コンクリート躯体説明斜視図である。
【図4】鉄骨柱の説明斜視図である。
【図5】本発明に使用する複合パネル説明図であって、(A)は帳壁用パネル、(B)は耐力壁用パネルである。
【図6】本発明の1階床スラブへの取付金具の固定説明図であって、(A)は斜視図、(B)は縦断面図である。
【図7】本発明の中間床スラブへの取付金具の固定説明図であって、(A)は斜視図、(B)は縦断面図、(C)は使用飼木の斜視図である。
【図8】本発明中間床スラブでの帳壁パネル取付説明図であって、(A)は取付金具部の縦断面図であり、(B)は取付金具の存在した部分の縦断面斜視図である。
【図9】本発明の最上階部での取付金具の固定説明図であって、(A)は斜視図、(B)は縦断面図である。
【図10】耐力壁の型枠組み説明図であって、(A)は横断面図、(B)は(A)図のB部拡大図、(C)は斜視図である。
【図11】耐力壁パネルP0と帳壁パネルPとの使用説明図であって、(A)は耐力壁の型枠組み状態の一部切欠斜視図、(B)は耐力壁パネルP0と帳壁パネルPとの左右接続部の説明斜視図である。
【図12】耐力壁の説明図であって、(A)は耐力壁Wと帳壁Rwの接続部斜視図、(B)は(A)図のB部拡大図、(C)は耐力壁型枠M1と床スラブ型枠M2の関係を示す縦断面図である。
【図13】金具の説明図であって、(A)は中間床スラブ用取付金具4の斜視図、(B)は1階床スラブ用取付金具の分解斜視図、(C)は平板金具(P金具)分解斜視図、(D)は平板金具(P金具)正面図である。
【図14】帳壁パネルP上端仮固定の説明図であって、(A)はパネル上枠を係止した状態側面図、(B)は用いる金具の分解側面図である。
【図15】1階での各パネルの断熱層Pbの基礎断熱材2に対する位置関係説明図であって、(A)は帳壁パネルPを基礎断熱材2と揃えた状態を、(B)は耐力壁パネルP0を外方にずらした状態を、(C)は張壁パネルPを内方にずらした状態を、(D)は耐力壁パネルP0を揃えた状態を示す図である。
【図16】従来の鉄筋コンクリート外断熱壁の説明図であって、(A)は各種の壁タイプの断面図、(B)は壁型枠の横断面図である。
【図17】従来の鉄筋コンクリート躯体の説明図である。
【符号の説明】
1:基礎構造体、 2,2a,2b:断熱材、 3,4:取付金具、
3a:水平片、 3b:垂直片、 3c:コンクリート止、
3d,4d:アンカー片、 4a,4b:取付プレート、
5a:上枠、 5b:下枠、 5c:側枠、
6:連結ピン、 6n,14:ナット、
7a,7b,7c,7s:型板(型枠合板)、
8a,8c,8d,8d´:桟木
9:セパレータ、 10:KPコン、 11:軸足、
12:フォームタイ、 13:リブ座金、 15:Pコン、
16a:縦端太、 16b:横端太、 16c:根太、
17:大引き、 18:パイプサポート、
19:スラブ引金物、 20:飼木、 21:シーリングゴム、
22:平板金具(P金具)、 22a:平板部材、 22b:長ナット、
22s:ねじ孔、 23:ボルト、 24:バッカー、
24´:有孔バッカー、 24p:中仕切、 24c:切欠、
25:シーリング、 26:現場発泡断熱材、 30:柱、
31:柱脚プレート、 32:柱頭プレート、
33:スタッドボルト、 40:腰水切、 41:取付ピース、
42:ラスモルタル、 50:笠木(雨水切)、
a1:貫通孔(通気層)、 a2:条溝(通気層)、
H1:取付孔、 H2:連結ピン孔、 H3:アイボルト孔
Hn:釘孔、 Hm:大径孔、 O4:空気孔、
S:床スラブ、 Sf:床スラブ上面、
P:帳壁複合パネル(帳壁パネル、外断熱複合パネル)、
P0:耐力壁複合パネル(耐力壁パネル、外断熱複合パネル)、
Pa,Pa´:セメント板、 Pb:断熱層、
Pc,Pc´:内装材(石膏ボード)、
R:大開口部、 R1:開口部、 Rs:開口側面部、
W:耐力壁、 Rw:帳壁

Claims (11)

  1. 外側のセメント板(Pa,Pa´)と内側の断熱層(Pb)とを一体化した外断熱乾式密着型の複合パネル(P,P0)を用いた帳壁(Rw)部と耐力壁(W)部とから成る外壁を備えた鉄筋コンクリート造の壁式構造とし、帳壁(Rw)部は、複合パネル(P)のみの張設で外壁とし、耐力壁(W)部は、複合パネル(P0)をコンクリート打ち外側型枠に用いて耐力壁(W)部の鉄筋コンクリート壁(Wc)と一体化して外壁とし、且つ、帳壁(Rw)部の複合パネル(P)と耐力壁(W)部の複合パネル(P0)の外面を面一に配置した鉄筋コンクリート造の外断熱建築物。
  2. 帳壁の複合パネル(P)のセメント板(Pa)と耐力壁の複合パネル(P0)のセメント板(Pa´)が、共に外部からの空気を上下に貫流させる通気層(a1,a2)を備えている請求項1の外断熱建築物。
  3. 帳壁(Rw)の複合パネル(P)と耐力壁(W)の複合パネル(P0)とは、断熱層(Pb)の厚さ(T2)が同じであり、帳壁複合パネル(P)のセメント板厚(T1)が耐力壁複合パネル(P0)のセメント板厚(T1´)より大である請求項1又は2の外断熱建築物。
  4. 耐力壁(W)部のコンクリート壁厚(Wt)を、鉄筋コンクリート造壁式構造の設計基準壁厚(Ts)より厚くし、コンクリート壁(Wc)に、水セメント比55%、スランプ値12cm、呼び強度24N/mmのコンクリートを用いた請求項1乃至3のいずれか1項の外断熱建築物。
  5. コンクリート躯体(CB)は、床スラブ(S)を無梁床のフラットプレート構造とし、床スラブ(S)の外側に壁を配したチューブ構造とすると共に、各床スラブ間の適所に鉄骨柱(30)をピン接合構造で配置して、柱列帯が直角の2方向に存在する床スラブ(S)とした請求項1乃至4のいずれか1項の外断熱建築物。
  6. 窓枠(Wf)等の開口部(R1)とその側方に存在する開口側面部(Rs)を含む大開口部(R)は、貫通孔(a1)を備えたセメント板(Pa)と合成樹脂発泡体断熱層(Pb)と内装材(Pc)とを一体化積層した複合パネル(P)を張設して帳壁(Rw)とした請求項1乃至5のいずれか1項の外断熱建築物。
  7. 帳壁(Rw)部は、内部に多数の並設貫通孔(a1)を備えた押出成形セメント板(Pa)と、該セメント板内側面に固定したアングル鋼材の上枠(5a)、下枠(5b)及び側枠(5c)から成る枠体と、枠体内に配置した合成樹脂発泡体断熱層(Pb)と、内装材(Pc)とを備えた複合パネル(P)を、床スラブ(S)の前端部に固定した取付金具(3,4)に上枠(5a)及び下枠(5b)を止着して張設した請求項1乃至6のいずれか1項の外断熱建築物。
  8. 帳壁(Rw)と耐力壁(W)の左右接続部(Jx)では、帳壁複合パネル(P)の断熱層(Pb)と耐力壁複合パネル(P0)の断熱層(Pb)の全側面に断熱材(2b,2b´)を当接介在させた請求項1乃至7のいずれか1項の外断熱建築物。
  9. 上下の耐力壁複合パネル(P0)間には、上下の条溝(a2)間に空気流の上下連通を保証する有孔バッカー(24´)を介在させると共に、該バッカー(24´)を帳壁複合パネル(P)の貫通孔(a1)上に突出させ、該バッカー(24´)の上面、及び/又は、下面の切欠(24c)によって条溝(a2)と貫通孔(a1)とを空気連通とした請求項1乃至8のいずれか1項の外断熱建築物。
  10. 帳壁(Rw)の複合パネル(P)は、パネル下端面(Be)を床スラブ(S)の上面(Sf)より小段差(d1)下方位置に張設した請求項1乃至9のいずれか1項の外断熱建築物。
  11. 耐力壁(W)の複合パネル(P0)相互の左右接続部は、断熱層(Pb)相互を当接した継目線(Lb)を、セメント板(Pa´)相互の当接継目線(La)からずらして、一方のセメント板(Pa´)の内面に当接してコンクリート壁(Wc)と一体化した請求項1乃至10のいずれか1項の外断熱建築物。
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