JP3810046B2 - プラスティック基板液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスティック基板液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子は基板にガラスを用いたものが大勢を占めていたが、近年エンジニアリングプラスティックを基板に持つプラスティック基板液晶表示素子(略してプラ基板LCD)が開発されてきている。
【0003】
プラ基板LCDの利点としてはガラス基板LCDに比べて薄い、軽い、曲面表示に対応出来る等が挙げられる。プラ基板LCD用シール材は、液晶分子と直接接触するために液晶分子に悪影響を及ぼさないことはもちろんであるが、プラ基板の持つ柔軟性に追随可能な可撓性を有した硬化物を与え、液晶表示素子の耐久性の面から優れた耐湿性を有し更に液晶セルの温度変化による膨張、収縮及び外部よりかかる様々なストレスに耐えうる強い接着性等の特性を有し、また、液晶セルギャップを一定に保持するため、スペーサーよりも大きな径を持つ充填材を含まないこと等が要求される。
【0004】
このようにプラ基板LCD用シール材に要求される特性は非常に多いが、特にシール材硬化物が十分な接着性を有し、且つ電気的信頼性に優れたシール材の従来例は極めて少ない。プラ基板LCDは携帯情報機器に搭載されることが多く、動作モードとしてはSTN型が多い。これらは携帯用であることから何よりも低電圧駆動タイプであることが必要とされている。一般的に低電圧駆動化を達成するためには、しきい値電圧の低い液晶が選択されている。しきい値電圧の低い液晶は低電圧領域で液晶のスイッチングを行うことが可能となり、省電力化を進めやすいためである。しかしながら、これらの液晶は従来タイプのものと比べて極性が強く、シール部や封口部から不純物が液晶中へ流入することによって導電性が敏感に変化し、STN型液晶表示素子の電気的信頼性の中で重要項目のひとつである消費電流特性を劣化させやすい。
【0005】
従来のシール材は可撓性の付与、接着力に重点がおかれており消費電流特性を考慮したものについてはその従来例が少ない。例えば、特公平6−90379号公報にはエポキシ化ポリエーテルグリコールを主成分とすることを特徴とするプラ基板LCD用シール材について言及してあるが、この系では可撓性、接着性には優れるものの消費電流特性に劣り、実用上好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラ基板の柔軟性に追随する可撓性を有し、且つ電気的信頼性に優れたプラ基板LCD用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、成分(a)〜(d)を必須成分とするプラ基板LCD用シール材組成物を見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
即ち本発明は、
(a)リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を70〜100重量%含有してなるエポキシ樹脂100重量部、
(b)一般式(1)で表される三官能チオール化合物50〜100重量部、
(c)シランカップリング剤0.5〜5重量部、
(d)無機充填材1〜10重量部、
を必須成分として含有することを特徴とするプラスティック基板LCD用シール材組成物で、及びそれを用いた液晶表示素子ある。
【0009】
【化1】
式中R1:-C2H4OCOC2H4SH
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるリン酸変性ビスA型エポキシ樹脂は、基本骨格がビスフェノールA型で、且つ分子内でリン原子がキレートを形成した構造を一部有する2官能性のエポキシ樹脂である。リン酸変性ビスA型エポキシ樹脂を用いると、硬化時にキレート結合が切れてリン原子が導電膜であるITO膜界面と結合を形成するために、従来よりも大幅に接着性を向上させることが可能である。
【0011】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、前記リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の他にも例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を併用しても良い。
【0012】
本発明で用いるエポキシ樹脂の添加量は、全エポキシ樹脂100重量部の内、リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を70〜100重量部含むものである。リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の添加量が70重量部未満の場合には、シール材の硬化物は可撓性に乏しくなり電極を形成する導電膜であるITO膜表面との接着性にも乏しくなり好ましくない。
【0013】
STN型液晶表示素子における重要特性である消費電流特性はSTN型液晶セルを60〜90℃の雰囲気に放置した後に、室温に戻して所定の電圧を印加して上下電極間を流れる電流値を計測し時間ごとの変化を追跡したもので、消費電流値が初期値に比べて上昇の割合の少ないものが良い。本発明者らはシール材の耐熱性とSTN型液晶表示素子の消費電流特性には正の相関関係があることを実験的に確かめている。一般的に直鎖脂肪族エポキシ樹脂は、芳香族系のエポキシ樹脂に比べると耐熱性に劣ることは周知であるが、接着性と消費電流特性(耐熱性)を高いレベルで両立させるものとして、リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も有効である。又室温で液状のリン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる場合、溶剤を使用する必要がないことから基板上にシール材を塗布した後に予備乾燥等の必要が無いことと、残存溶剤の影響で消費電流特性を劣化させることが無いために特に有効である。
【0014】
本発明で用いるエポキシ樹脂硬化剤の三官能チオール化合物は、前記一般式(1)で表される構造を有している。
【0015】
本発明で用いる三官能チオール化合物の添加量は、全エポキシ樹脂100重量部に対して50〜100重量部が好ましい。添加量が50重量部未満のときはエポキシ樹脂との架橋反応が十分に行われず、未反応成分が残存し十分な硬化物物性が得られないために好ましくない。又、添加量が100重量部を越えるときは、全エポキシ樹脂100重量部に対して三官能チオールが相対的に多くなるため、硬化後も未反応の三官能チオールが残存し十分な硬化物物性が得られないために好ましくない。
【0016】
本発明で用いるシランカップリング剤は界面密着力の向上のために使用する。これらの種類については特に限定されていないが、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、その使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、更に好ましくは0.5〜1重量部である。これらのシランカップリング剤をこの範囲内で添加することにより、著しくプラスティック基板への接着性が向上され、液晶セル内への外部水分の進入を抑制することが出来る。添加量が0.5重量部未満の場合、添加効果が得られない場合があり好ましくない。又、5重量部を越える場合には、エポキシ樹脂の架橋密度低下を引き起こして耐熱性が低下する場合があり好ましくない。
【0017】
本発明で用いる無機充填材は、平均粒径が1μm以下の無定型シリカと無定型シリカ以外の平均粒径が5μm以下のものからなる。平均粒径が1μm以下の無定型シリカはエポキシ樹脂組成物にチキソ性を付与するのが主目的である。通常の無定型シリカは、表面にシラノール基が露出しているために親水性であり、空気中の水分を吸着しやすい。このためにシール材の粘度及び硬化物の吸湿性にばらつきを与えることがあり好ましくない。そのため、ここでは予めシラノール表面をジメチルジクロロシランで前処理を行って、疎水化されたものを用いる方が好ましい。使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜5重量部である。添加量が1重量部よりも少ない場合、目的とする十分なチキソ性が得られない場合がありシール材が液ダレをおこす可能性があり印刷性の点で好ましくない。又、10重量部よりも多い場合にはシール材の粘度が大幅に増大し、印刷性を悪化させるために好ましくない。
【0018】
又、無定型シリカ以外の平均粒径が5μm以下の無機充填材としては例えば、各種金属の炭酸塩、硫酸塩、アルミナ、シリカ、酸化チタン等が挙げられる。いずれも液晶表示素子のギャップよりも小さな粒径分布を持つことが必須条件である。これらは主要な無機充填剤として用いられ、シール硬化物の樹脂分率を引き下げて耐水性、耐湿性、機械強度を向上させる役割がある。使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して20〜150重量部、好ましくは30〜120重量部、更に好ましくは40〜100重量部である。添加量が20重量部よりも少ない場合、目的とする機械強度が十分に得られない場合があり好ましくない。又、150重量部よりも多い場合には、シール材の粘度が大幅に増大し、印刷性を悪化させるために好ましくない。
【0019】
本発明のシール材組成物には、必要に応じて硬化促進剤を用いても良い。使用しうる硬化促進剤の種類及び量については特に限定されていないが、例えばトリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP)、TAPとオクチル酸の塩、イミダゾール誘導体、トリフェニルフォスフィン(TPP)、TPPの4級塩、ジアザビシクロウンデセン(DBU)の塩等が挙げられる。使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、更に好ましくは0.5〜1重量部である。添加量が0.5重量部よりも少ない場合、目的とする硬化促進作用が得られない場合があり好ましくない。又、5重量部よりも多い場合には、シール材の可使時間が極端に短縮されるためにポットライフの面で好ましくないばかりか、過剰に添加された硬化促進剤が液晶中に流入し液晶表示素子の消費電流特性を劣化させるために好ましくない。
【0020】
本発明のシール材組成物は成分を主剤と硬化剤とに分けた二液タイプとして製造し、使用に際して両者を十分に攪拌混合することが好ましい。この場合、主剤は全エポキシ樹脂、カップリング剤、無機充填剤をカップに秤量し、スリーワンモーターで予め攪拌混合してから三本ロールで更に混練を行って製造する。又、硬化剤は三官能チオール化合物、硬化促進剤、無機充填剤をカップに秤量し、スリーワンモーターで予め攪拌混合してから三本ロールで更に混練を行って製造する。
【0021】
本発明のシール材組成物を用いて液晶表示素子を製造する方法の例としては、相対向する液晶配向膜を形成した導電膜付きプラスティックフィルム基板の一方にシール材組成物をスクリーン印刷等の工程によりシールパターンを形成し、乾燥機等で予備乾燥させた後、もう一方の基板を貼り合わせ、必要に応じて加圧して、更に乾燥炉等でシール材組成物を加熱硬化させる。また、2枚の基板のギャップを保持するため、一方の基板上に予め所定の直径の球状、ロッド状スペーサーとして直径5〜8μmの球状シリカを散布しておく。又、シール材に所定の直径の球状、ロッド状スペーサーとして直径5〜8μmの球状シリカを1〜3%含有させても良い。貼り合わせが完了した基板は液晶を注入し、UV硬化樹脂等で注入口を封じることにより液晶表示素子を得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
[1]シール材組成物の製造
リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−49−10、旭電化(株)社製、)100重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)78重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.5重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの 酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0024】
[2]STN型液晶表示素子の作製と消費電流特性の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、以下の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子を作製した。
(シール印刷)
300メッシュの版を用いて、予め配向膜を形成させておいたITO膜付きプラ基板A(図1)の外周部に、スクリーン印刷によりシール材パターンを形成した。
(予備乾燥)
熱風乾燥機中、10分/70℃予備乾燥を行った。
(貼り合わせ/加熱硬化)
予め配向膜を形成させておいたITO膜付きプラ基板B(図1)を、印刷済みのプラ基板Aに貼り合わせた。尚、この時注入後の液晶のツイスト角が270度になるように、予め配向膜のラビング条件を考慮した。次に1kg/cm2の圧力をかけた状態で、熱風乾燥機中60分/120℃、その後60分/150℃加熱硬化させた。
(液晶注入、封口)
これに液晶(ロディック社製、DLC42111E057)を注入し、注入口をアクリル系UV硬化樹脂で封口して液晶表示素子を作製した。
(処理、測定)
次に、波形発生器を用いて32Hz/±3Vの正弦波を液晶表示素子に印加して、そのときに上下電極間に流れる電流値をデジタルマルチメーターで読みとり、消費電流値の初期値とした。その後85℃の乾燥機中に全ての液晶表示素子を放置し、所定時間ごとに取り出して室温下で消費電流値を測定した。
【0025】
[3]ピール強度測定用試験片の作製と接着力評価
又、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、以下の要領でピール強度測定用の試験片を作製し接着力の評価を行った。
(基板洗浄)
ITO付きPESフィルム(FST−2343、膜厚100μm、住友ベークライト社製)を純粋で洗浄し、次にイソプロピルアルコール溶液中に浸して超音波洗浄を5分行った後に、100℃で60分乾燥した。
(印刷/貼り合わせ)
上記シール材と300メッシュの版を用いて、 FST−2343上に先幅300μm、長さが5cmの直線をスクリーン印刷により形成した。
(予備乾燥)
熱風乾燥機中、10分/70℃予備乾燥を行った。
(貼り合わせ/加熱硬化)
次に、基板洗浄済みのFST−2343を貼り合わせて1kg/cm2の圧力をかけた状態で、熱風乾燥機中60分/120℃、その後60分/150℃加熱硬化させた。
(処理/測定)
図2のように幅が1cmとなるように硬化させたシール材付きのフィルムを短冊形に切り取り、ピール強度測定用の試験片とした。又、測定はテンシロン(オリエンテック社製)を用い、図3のようにフィルムのなす角が180度となるように引っ張って荷重を測定した。
【0026】
(実施例2)
[1]シール材組成物の製造
リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−49−10、旭電化(株)社製、)70重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)社製、)30重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)81重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.6重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0027】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0028】
(比較例1)
[1]シール材組成物の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)社製、)100重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)91重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.6重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を10/11の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0029】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0030】
(比較例2)
[1]シール材組成物の製造
リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−49−10、旭電化(株)社製、)40重量部、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(SR−8EGS、阪本薬品(株)社製、)60重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)78重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.8重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0031】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0032】
(比較例3)
[1]シール材組成物の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)社製、)80重量部、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(SR−8EGS、阪本薬品(株)社製、)20重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)86重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.6重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0033】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例においては、いずれも500時間後の消費電流値の劣化が少なくピール強度も良好であった。比較例1では、消費電流値の劣化が少なかったが、ピール強度が劣った。比較例2では、ピール強度が良好な結果を示したが、消費電流値の劣化が大きかった。比較例3では、いずれも劣る結果であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のプラスティック基板LCD用シール材組成物は、消費電流特性及びピール強度の双方を高い次元で両立する材料であることから、それを用いることで信頼性に優れたSTN型液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ITO膜付きプラ基板A及びBの図
【図2】ピール強度測定用試験片の図
【図3】ピール強度測定方法の断面図
【発明の属する技術分野】
本発明はプラスティック基板液晶表示素子用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、液晶表示素子は基板にガラスを用いたものが大勢を占めていたが、近年エンジニアリングプラスティックを基板に持つプラスティック基板液晶表示素子(略してプラ基板LCD)が開発されてきている。
【0003】
プラ基板LCDの利点としてはガラス基板LCDに比べて薄い、軽い、曲面表示に対応出来る等が挙げられる。プラ基板LCD用シール材は、液晶分子と直接接触するために液晶分子に悪影響を及ぼさないことはもちろんであるが、プラ基板の持つ柔軟性に追随可能な可撓性を有した硬化物を与え、液晶表示素子の耐久性の面から優れた耐湿性を有し更に液晶セルの温度変化による膨張、収縮及び外部よりかかる様々なストレスに耐えうる強い接着性等の特性を有し、また、液晶セルギャップを一定に保持するため、スペーサーよりも大きな径を持つ充填材を含まないこと等が要求される。
【0004】
このようにプラ基板LCD用シール材に要求される特性は非常に多いが、特にシール材硬化物が十分な接着性を有し、且つ電気的信頼性に優れたシール材の従来例は極めて少ない。プラ基板LCDは携帯情報機器に搭載されることが多く、動作モードとしてはSTN型が多い。これらは携帯用であることから何よりも低電圧駆動タイプであることが必要とされている。一般的に低電圧駆動化を達成するためには、しきい値電圧の低い液晶が選択されている。しきい値電圧の低い液晶は低電圧領域で液晶のスイッチングを行うことが可能となり、省電力化を進めやすいためである。しかしながら、これらの液晶は従来タイプのものと比べて極性が強く、シール部や封口部から不純物が液晶中へ流入することによって導電性が敏感に変化し、STN型液晶表示素子の電気的信頼性の中で重要項目のひとつである消費電流特性を劣化させやすい。
【0005】
従来のシール材は可撓性の付与、接着力に重点がおかれており消費電流特性を考慮したものについてはその従来例が少ない。例えば、特公平6−90379号公報にはエポキシ化ポリエーテルグリコールを主成分とすることを特徴とするプラ基板LCD用シール材について言及してあるが、この系では可撓性、接着性には優れるものの消費電流特性に劣り、実用上好ましくない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、プラ基板の柔軟性に追随する可撓性を有し、且つ電気的信頼性に優れたプラ基板LCD用シール材組成物及びそれを用いた液晶表示素子を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、成分(a)〜(d)を必須成分とするプラ基板LCD用シール材組成物を見いだし、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
即ち本発明は、
(a)リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を70〜100重量%含有してなるエポキシ樹脂100重量部、
(b)一般式(1)で表される三官能チオール化合物50〜100重量部、
(c)シランカップリング剤0.5〜5重量部、
(d)無機充填材1〜10重量部、
を必須成分として含有することを特徴とするプラスティック基板LCD用シール材組成物で、及びそれを用いた液晶表示素子ある。
【0009】
【化1】
式中R1:-C2H4OCOC2H4SH
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で用いるリン酸変性ビスA型エポキシ樹脂は、基本骨格がビスフェノールA型で、且つ分子内でリン原子がキレートを形成した構造を一部有する2官能性のエポキシ樹脂である。リン酸変性ビスA型エポキシ樹脂を用いると、硬化時にキレート結合が切れてリン原子が導電膜であるITO膜界面と結合を形成するために、従来よりも大幅に接着性を向上させることが可能である。
【0011】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、前記リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の他にも例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アルキル置換ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂等を併用しても良い。
【0012】
本発明で用いるエポキシ樹脂の添加量は、全エポキシ樹脂100重量部の内、リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を70〜100重量部含むものである。リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂の添加量が70重量部未満の場合には、シール材の硬化物は可撓性に乏しくなり電極を形成する導電膜であるITO膜表面との接着性にも乏しくなり好ましくない。
【0013】
STN型液晶表示素子における重要特性である消費電流特性はSTN型液晶セルを60〜90℃の雰囲気に放置した後に、室温に戻して所定の電圧を印加して上下電極間を流れる電流値を計測し時間ごとの変化を追跡したもので、消費電流値が初期値に比べて上昇の割合の少ないものが良い。本発明者らはシール材の耐熱性とSTN型液晶表示素子の消費電流特性には正の相関関係があることを実験的に確かめている。一般的に直鎖脂肪族エポキシ樹脂は、芳香族系のエポキシ樹脂に比べると耐熱性に劣ることは周知であるが、接着性と消費電流特性(耐熱性)を高いレベルで両立させるものとして、リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂が最も有効である。又室温で液状のリン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を用いる場合、溶剤を使用する必要がないことから基板上にシール材を塗布した後に予備乾燥等の必要が無いことと、残存溶剤の影響で消費電流特性を劣化させることが無いために特に有効である。
【0014】
本発明で用いるエポキシ樹脂硬化剤の三官能チオール化合物は、前記一般式(1)で表される構造を有している。
【0015】
本発明で用いる三官能チオール化合物の添加量は、全エポキシ樹脂100重量部に対して50〜100重量部が好ましい。添加量が50重量部未満のときはエポキシ樹脂との架橋反応が十分に行われず、未反応成分が残存し十分な硬化物物性が得られないために好ましくない。又、添加量が100重量部を越えるときは、全エポキシ樹脂100重量部に対して三官能チオールが相対的に多くなるため、硬化後も未反応の三官能チオールが残存し十分な硬化物物性が得られないために好ましくない。
【0016】
本発明で用いるシランカップリング剤は界面密着力の向上のために使用する。これらの種類については特に限定されていないが、例えばγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられ、その使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、更に好ましくは0.5〜1重量部である。これらのシランカップリング剤をこの範囲内で添加することにより、著しくプラスティック基板への接着性が向上され、液晶セル内への外部水分の進入を抑制することが出来る。添加量が0.5重量部未満の場合、添加効果が得られない場合があり好ましくない。又、5重量部を越える場合には、エポキシ樹脂の架橋密度低下を引き起こして耐熱性が低下する場合があり好ましくない。
【0017】
本発明で用いる無機充填材は、平均粒径が1μm以下の無定型シリカと無定型シリカ以外の平均粒径が5μm以下のものからなる。平均粒径が1μm以下の無定型シリカはエポキシ樹脂組成物にチキソ性を付与するのが主目的である。通常の無定型シリカは、表面にシラノール基が露出しているために親水性であり、空気中の水分を吸着しやすい。このためにシール材の粘度及び硬化物の吸湿性にばらつきを与えることがあり好ましくない。そのため、ここでは予めシラノール表面をジメチルジクロロシランで前処理を行って、疎水化されたものを用いる方が好ましい。使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して1〜10重量部、好ましくは2〜8重量部、更に好ましくは3〜5重量部である。添加量が1重量部よりも少ない場合、目的とする十分なチキソ性が得られない場合がありシール材が液ダレをおこす可能性があり印刷性の点で好ましくない。又、10重量部よりも多い場合にはシール材の粘度が大幅に増大し、印刷性を悪化させるために好ましくない。
【0018】
又、無定型シリカ以外の平均粒径が5μm以下の無機充填材としては例えば、各種金属の炭酸塩、硫酸塩、アルミナ、シリカ、酸化チタン等が挙げられる。いずれも液晶表示素子のギャップよりも小さな粒径分布を持つことが必須条件である。これらは主要な無機充填剤として用いられ、シール硬化物の樹脂分率を引き下げて耐水性、耐湿性、機械強度を向上させる役割がある。使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して20〜150重量部、好ましくは30〜120重量部、更に好ましくは40〜100重量部である。添加量が20重量部よりも少ない場合、目的とする機械強度が十分に得られない場合があり好ましくない。又、150重量部よりも多い場合には、シール材の粘度が大幅に増大し、印刷性を悪化させるために好ましくない。
【0019】
本発明のシール材組成物には、必要に応じて硬化促進剤を用いても良い。使用しうる硬化促進剤の種類及び量については特に限定されていないが、例えばトリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP)、TAPとオクチル酸の塩、イミダゾール誘導体、トリフェニルフォスフィン(TPP)、TPPの4級塩、ジアザビシクロウンデセン(DBU)の塩等が挙げられる。使用量は用いる全エポキシ樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部、更に好ましくは0.5〜1重量部である。添加量が0.5重量部よりも少ない場合、目的とする硬化促進作用が得られない場合があり好ましくない。又、5重量部よりも多い場合には、シール材の可使時間が極端に短縮されるためにポットライフの面で好ましくないばかりか、過剰に添加された硬化促進剤が液晶中に流入し液晶表示素子の消費電流特性を劣化させるために好ましくない。
【0020】
本発明のシール材組成物は成分を主剤と硬化剤とに分けた二液タイプとして製造し、使用に際して両者を十分に攪拌混合することが好ましい。この場合、主剤は全エポキシ樹脂、カップリング剤、無機充填剤をカップに秤量し、スリーワンモーターで予め攪拌混合してから三本ロールで更に混練を行って製造する。又、硬化剤は三官能チオール化合物、硬化促進剤、無機充填剤をカップに秤量し、スリーワンモーターで予め攪拌混合してから三本ロールで更に混練を行って製造する。
【0021】
本発明のシール材組成物を用いて液晶表示素子を製造する方法の例としては、相対向する液晶配向膜を形成した導電膜付きプラスティックフィルム基板の一方にシール材組成物をスクリーン印刷等の工程によりシールパターンを形成し、乾燥機等で予備乾燥させた後、もう一方の基板を貼り合わせ、必要に応じて加圧して、更に乾燥炉等でシール材組成物を加熱硬化させる。また、2枚の基板のギャップを保持するため、一方の基板上に予め所定の直径の球状、ロッド状スペーサーとして直径5〜8μmの球状シリカを散布しておく。又、シール材に所定の直径の球状、ロッド状スペーサーとして直径5〜8μmの球状シリカを1〜3%含有させても良い。貼り合わせが完了した基板は液晶を注入し、UV硬化樹脂等で注入口を封じることにより液晶表示素子を得ることができる。
【0022】
【実施例】
以下に本発明の実施例及び比較例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
[1]シール材組成物の製造
リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−49−10、旭電化(株)社製、)100重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)78重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.5重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの 酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0024】
[2]STN型液晶表示素子の作製と消費電流特性の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、以下の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子を作製した。
(シール印刷)
300メッシュの版を用いて、予め配向膜を形成させておいたITO膜付きプラ基板A(図1)の外周部に、スクリーン印刷によりシール材パターンを形成した。
(予備乾燥)
熱風乾燥機中、10分/70℃予備乾燥を行った。
(貼り合わせ/加熱硬化)
予め配向膜を形成させておいたITO膜付きプラ基板B(図1)を、印刷済みのプラ基板Aに貼り合わせた。尚、この時注入後の液晶のツイスト角が270度になるように、予め配向膜のラビング条件を考慮した。次に1kg/cm2の圧力をかけた状態で、熱風乾燥機中60分/120℃、その後60分/150℃加熱硬化させた。
(液晶注入、封口)
これに液晶(ロディック社製、DLC42111E057)を注入し、注入口をアクリル系UV硬化樹脂で封口して液晶表示素子を作製した。
(処理、測定)
次に、波形発生器を用いて32Hz/±3Vの正弦波を液晶表示素子に印加して、そのときに上下電極間に流れる電流値をデジタルマルチメーターで読みとり、消費電流値の初期値とした。その後85℃の乾燥機中に全ての液晶表示素子を放置し、所定時間ごとに取り出して室温下で消費電流値を測定した。
【0025】
[3]ピール強度測定用試験片の作製と接着力評価
又、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、以下の要領でピール強度測定用の試験片を作製し接着力の評価を行った。
(基板洗浄)
ITO付きPESフィルム(FST−2343、膜厚100μm、住友ベークライト社製)を純粋で洗浄し、次にイソプロピルアルコール溶液中に浸して超音波洗浄を5分行った後に、100℃で60分乾燥した。
(印刷/貼り合わせ)
上記シール材と300メッシュの版を用いて、 FST−2343上に先幅300μm、長さが5cmの直線をスクリーン印刷により形成した。
(予備乾燥)
熱風乾燥機中、10分/70℃予備乾燥を行った。
(貼り合わせ/加熱硬化)
次に、基板洗浄済みのFST−2343を貼り合わせて1kg/cm2の圧力をかけた状態で、熱風乾燥機中60分/120℃、その後60分/150℃加熱硬化させた。
(処理/測定)
図2のように幅が1cmとなるように硬化させたシール材付きのフィルムを短冊形に切り取り、ピール強度測定用の試験片とした。又、測定はテンシロン(オリエンテック社製)を用い、図3のようにフィルムのなす角が180度となるように引っ張って荷重を測定した。
【0026】
(実施例2)
[1]シール材組成物の製造
リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−49−10、旭電化(株)社製、)70重量部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)社製、)30重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)81重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.6重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0027】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0028】
(比較例1)
[1]シール材組成物の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)社製、)100重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)91重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.6重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を10/11の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0029】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0030】
(比較例2)
[1]シール材組成物の製造
リン酸変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂(EP−49−10、旭電化(株)社製、)40重量部、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(SR−8EGS、阪本薬品(株)社製、)60重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)78重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.8重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0031】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0032】
(比較例3)
[1]シール材組成物の製造
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ(株)社製、)80重量部、ポリエチレングリコール型エポキシ樹脂(SR−8EGS、阪本薬品(株)社製、)20重量部、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(サイラエースS―510、チッソ(株)社製)1重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)60重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い主剤を得た。又、三官能チオール化合物(THEIC−BMPA、淀化学(株)社製、)86重量部、トリスジメチルアミノメチルフェノール(TAP、化薬アクゾ(株)社製)0.6重量部、平均粒径16nmの無定型シリカ(日本アエロジル(株)社製、R−972)2重量部、 平均粒径0.15μmの酸化チタン(A−100、石原産業(株)社製)80重量部をスリーワンモーターで攪拌混合した後に三本ロールで更に混練を行い硬化剤を得た。これらの主剤/硬化剤を1/1の比で十分に混合し、シール材組成物を得た。
【0033】
[2]消費電流特性とピール強度の評価
次に、このシール材組成物に直径7μmの球状スペーサーを1%混合し、実施例1の要領で消費電流特性評価用のSTN型液晶表示素子、及びピール強度測定用の試験片を作製して評価を行った。評価結果は表1に示す通りである。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例においては、いずれも500時間後の消費電流値の劣化が少なくピール強度も良好であった。比較例1では、消費電流値の劣化が少なかったが、ピール強度が劣った。比較例2では、ピール強度が良好な結果を示したが、消費電流値の劣化が大きかった。比較例3では、いずれも劣る結果であった。
【0036】
【発明の効果】
本発明のプラスティック基板LCD用シール材組成物は、消費電流特性及びピール強度の双方を高い次元で両立する材料であることから、それを用いることで信頼性に優れたSTN型液晶表示素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ITO膜付きプラ基板A及びBの図
【図2】ピール強度測定用試験片の図
【図3】ピール強度測定方法の断面図
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