JP3808921B2 - 細胞接着阻害剤 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞接着阻害作用及び細胞浸潤阻害作用を有し、抗喘息剤、抗アレルギー剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤、抗炎症剤又は抗癌剤として有用なジアミン化合物又はその塩等を有効成分とする医薬品に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の炎症において、炎症部位への白血球やリンパ球の浸潤が認められる。このうち例えば、喘息患者の気管への好酸球の浸潤(大橋ら、アレルギー,39,1541-1549(1990))、動脈硬化症の血管へのマクロファージの浸潤(Ross R,Nature 362,801-809(1993))、急性炎症部位、接触性皮膚炎及び関節リウマチ患者の滑膜への種々の白血球の浸潤(Arend WP & Dayer JM,Arthritis Rheum.,33,305-315,(1990))がよく知られている。
【0003】
これらの白血球やリンパ球の浸潤は、サイトカイン、ケモカイン、リピッド及び補体等によって惹起される(Albelda SMら, FASEB J.,8,504-512(1994))。活性化した流血中の白血球は、IL-1やTNFαなどのサイトカインにより活性化した血管内皮細胞とローリング(rolling)又はテターリング(tethering)と呼ばれる相互作用を行い、血管内皮細胞と接着(adhesion)する。その後、血管内皮を潜りぬけ(transmigration)炎症部位へと浸潤する。
【0004】
この白血球と血管内皮細胞との相互作用の過程に、セレクチン、インテグリン及びインムノグロブリンファミリー、CD44などの種々の接着分子が関与していることが報告されている(Albelda SMら,FASEB J.,4,2868-2880(1990))。また、これらの接着分子はリンパ球のホーミングにも関与していることが報告されている(Shimizu Y ら,Immunology Today,13,106-112(1992))。更にこれらの接着分子は癌の転移における血管内皮細胞との接着にも関与していることが報告されている(Gorski A, Immunology Today,15,251-255(1994))。
このように白血球や癌細胞の血管内皮細胞への細胞接着は、種々の炎症疾患における白血球の炎症部位への浸潤又は癌の転移等に重要な役割を果たしている。従って、このような細胞接着及び細胞浸潤を阻害する物質が存在すれば喘息、アレルギー、リウマチ等の疾患及び炎症や癌の転移に対して有効な薬剤となりうる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、細胞接着及び浸潤阻害作用により、優れた抗喘息作用、抗アレルギー作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用など抗炎症作用及び抗癌作用を有する物質は未だ報告されていない。
従って本発明は細胞接着及び浸潤阻害作用を有し、更に優れた抗喘息作用、抗アレルギー作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用、抗炎症作用及び抗癌作用を有する物質を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状に鑑み、本発明者らは細胞接着及び浸潤を阻害する物質を得るべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)で表される化合物等が、優れた細胞接着阻害作用及び細胞浸潤阻害作用を有し、抗アレルギー剤、抗喘息剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤、抗炎症剤等として有用であることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示し、mは1〜3の数を、nは2又は3の数を示す〕
で表される化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する細胞接着阻害剤、細胞浸潤阻害剤、抗アレルギー剤、抗喘息剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤及び抗炎症剤を提供するものである。
【0010】
本発明で用いられる前記一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という)は、公知の化合物であり、例えば特開平3−2144号公報に記載されている。この公報には、当該化合物が脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血、一過性脳虚血発作、脳血管障害などの改善あるいは進展防止のために有効に使用できる脳保護剤として有用であることが示されているが、本剤が細胞接着及び浸潤を阻害するか否かは示唆されていない。
【0011】
【発明の実施の形態】
化合物(1)において、式中、R1 〜R6 で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子が好ましい。低級アルキル基としては、炭素数1〜6のもの、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が好ましい。また低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6のもの、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられるが、就中、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0012】
化合物(1)は例えば特開平3-2144号公報に記載の方法、好ましくは該公報に記載の方法(1)に従って製造することができる。
本発明においては、これら化合物(1)の酸付加塩を用いることもでき、酸付加塩は常法により得ることができる。ここで酸付加塩の酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸;酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマール酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。また水和物は、化合物(1)及びその酸付加塩のいずれの水和物であってもよい。
【0013】
本発明の治療剤は、このような化合物(1)、その酸付加塩又は水和物を有効成分とするものであり、この有効成分を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、担体、希釈剤等を用いて錠剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、坐剤等の任意の剤型とすることができる。これらの製剤は公知の方法で製造することができる。例えば経口投与用製剤とする場合には、化合物(1)を澱粉、マンニトール、乳糖等の賦形剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤;結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸等の流動性向上剤などを適宜組み合わせて処方することにより製造することができる。
【0014】
本発明の治療剤の投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状等によって異なるが、化合物(1)として、通常成人の場合、1日0.1〜1,000mgを1〜3回に分けて投与するのが好ましい。
【0015】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0016】
製造例1
N,N’−ビス−((Z)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジンの製造:
塩化カルシウム管を付けたナスフラスコにジメチルホルムアミド20ml、(Z)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニルブロマイド1.2g、ホモピペラジン0.171g、炭酸カリウム0.514g及びヨウ化カリウム0.754gを入れ、浴温100℃にて2時間攪拌した。
反応後、酢酸エチルを加え、不溶物をセライトで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製して目的物を淡黄色油状物として0.745g得た。
この遊離塩基を2N塩酸/ジオキサンを用いて常法により処理し、淡黄色アモルファスとして目的物の2塩酸塩0.63gを得た。
【0017】
【0018】
製造例2
N,N’−ビス−(E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジンの製造:
塩化カルシウム管を付けたナスフラスコにジメチルホルムアミド20ml、(E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニルブロマイド1.37 g、ホモピペラジン0.195g、炭酸カリウム0.600g及びヨウ化カリウム0.862gを入れ、浴温100℃にて2時間攪拌した。
反応後、酢酸エチルを加え、不溶物をセライトで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製して目的物を淡黄色油状物として0.619g得た。
この遊離塩基を2N塩酸/ジオキサンを用いて常法により処理し、2塩酸塩0.534gを得た。
【0019】
【0020】
製造例3
N,N’−ビス−((E)−3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル)ピペラジンの製造:
2−メトキシ−シンナミルアルコール1.44gをチオニルクロライドを用いてクロル化した。以下、製造例2と同様にピペラジンと反応、処理し、無色プリズム晶として2塩酸塩314mgを得た。
融点:193〜194℃
【0021】
【化3】
【0022】
製造例4
N,N’−ビス−((E)−3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル)ホモピペラジンの製造:
2−メトキシ−シンナミルアルコールを用い、製造例3と同様にチオニルクロライド、次いでホモピペラジンと反応、処理し、淡黄色アモルファスとして目的物の遊離塩基を得た。
融点:181〜182℃
【0023】
【化4】
【0024】
製造例5
N,N’−ビス−((E)−5−(4−メトキシフェニル)−4−ペンテニル)ピペラジンの製造:
(E)−5−(4−メトキシフェニル)−4−ペンテニルブロマイド383mgを用い製造例2と同様に反応、処理して無色針状晶として遊離塩基198mlを得た。
【0025】
【0026】
以下に、本発明化合物の代表的なものにつき、細胞接着及び細胞浸潤阻害作用、更に、抗アレルギー作用、抗喘息作用、抗炎症作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0027】
試験化合物1
N,N’−ビス−((Z)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン 2塩酸塩(製造例1)
【0028】
試験化合物2
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン 2塩酸塩(製造例2)
【0029】
試験化合物3
N,N’−ビス−((E)−3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル)ピペラジン 2塩酸塩(製造例3)
【0030】
試験化合物4
N,N’−ビス−((E)−5−(4−メトキシフェニル)−2−ペンテニル)ピペラジン(製造例5)
【0031】
実施例1
(細胞接着阻害作用)
ロス(Ross)らの方法(J.Biol.Chem.,267,8537-8543(1992))を参考にして行った。すなわち、ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を48穴プレートでコンフルエントになるまで培養後、IL-1β又はTNFαを添加した。添加5時間後にPKH2(大日本製薬社製)にてFITCラベルしたヒト単球/組織球由来細胞であるU937を各ウェルに3×105細胞添加した。45分間室温で静置後、接着していないU937を洗い流し、1%Triton X-100で細胞を溶解して、残存している蛍光強度を測定した(Exi.494nm,Emi.504nm)。HUVECはEGM-UV(クラボウ社製)で、また、U937はRPMI 1640+10%FCSにて培養した。HUVECへの薬物の添加はIL-1β又はTNFα添加時に、U937へは細胞接着試験の24時間前に添加して作用を検討した。阻害活性は{(薬物無添加でIL-1β又はTNFα刺激血管内皮細胞への薬物無添加U937の接着細胞数)−(薬物無添加で無刺激の血管内皮細胞への薬物無添加U937の接着細胞数)=100%}として算定した。この結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2
(モルモット喘息モデルにおける好酸球浸潤抑制作用)
寺師らの方法(アレルギー,37,980-991(1988))に準じて、ハートレー(Hartley)系雄製モルモット(1群4−7匹,300g前後)を超音波ネブライザーを用いて、1日10分間連続9日間卵白アルブミン(10mg/ml)吸入曝露させ感作を成立させた。その翌日から、6日間試験化合物2(10又は30mg/kg)を連続腹腔内投与した。7日目にメトピロン(10mg/kg)とクロルフェニラミン(10mg/kg)を腹腔内投与し、30分後に卵白アルブミン(10mg/ml)を10分間吸入曝露、更に2時間後、試験化合物2を腹腔内投与した。24時間後、モルモットを脱血死させて気管を摘出し、ホルマリン固定した。そして、パラフィン包埋後、薄切切片を作製し、ルナ染色を行い、浸潤好酸球数を算定した。この結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例3
(マウス接触性皮膚炎におけるリンパ球浸潤抑制作用)
アシャーソン(Asherson)らの方法(Immunology,15,405-416(1968))に準じて、マウス接触性皮膚炎におけるリンパ球浸潤に対する作用を試験した。塩化ピクリルで感作されたddy系雄性マウス(1群10匹,28〜32g)に誘発前6日間試験化合物2(1又は10mg/kg)を連続腹腔内投与し、耳介に1%塩化ピクリル・オリーブ油溶液0.02mlを塗布した。24時間後両耳介をパンチ(7mmφ)し、重量の差を求めた。更に、耳介を包埋・凍結後、耳介に垂直方向に4μmの薄切切片を作製した。CD3陽性細胞を免疫染色し、CD3陽性細胞数を算定した。この結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例4
(ラットカラゲニン胸膜炎における白血球浸潤抑制作用)
キクチらの方法(Japan.J.Pharmacol.,39,467-473(1985))に準じて、ラットカラゲニン胸膜炎における白血球浸潤に対する作用を試験した。SD系雄性ラット(1群6匹,7週令)に2日間試験化合物2(10又は30mg/kg)を連続腹腔内投与し、最終投与2時間後に2%(W/V)カラゲニン溶液0.1mlを胸腔内投与した。投与16時間後に脱血死させ、胸水を採取し、胸水量及び胸水中の浸潤細胞数を算定した。この結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
実施例5
(マウスのII型コラーゲン関節炎に対する作用)
ランゲ(Ranges)らの方法(J.Exp.Med.,162,1105-1110(1985))に準じて行った。
DBA/1雄性マウス(6〜7週令)の尾根部にフロインドコンプリートアジュバントに懸濁させた牛由来のII型コラーゲン100μgを内皮注射し、更に21日後に同様に追加免疫を行った。薬物は追加免疫の2日前から7日後まで毎日1回、計10回、腹腔内に投与した。関節炎の程度は前肢足蹠の厚みを計測して評価した。また、血清中のII型コラーゲンに対する抗体価(IgG+IgM)はELISA法によって測定した。この結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
以下に具体的な製剤例を示す。
【0042】
【表6】
実施例6(カプセル剤)
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン・2塩酸塩 30mg
微結晶セルロース 30mg
乳糖 57mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
全量 120mg
【0043】
上記成分を常法により混合したのちゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤を得た。
【0044】
【表7】
実施例7(錠剤)
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン・2塩酸塩 30mg
でん粉 44mg
でん粉(のり用) 5.6mg
ステアリン酸マグネシウム 0.4mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 20mg
全量 120mg
【0045】
上記成分を常法により混合し錠剤を得た。
【0046】
実施例8(注射剤)
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン・2塩酸塩100mg及び塩化ナトリウム900mgを約80mlの注射用蒸留水に溶かし、次いで得られた溶液に注射用蒸留水を加え、総量100mlにする。これを無菌濾過したのち遮光アンプル10本に分注、シールし、無菌の注射剤を得た。
【0047】
【発明の効果】
本発明に用いる化合物(1)は優れた細胞接着及び浸潤阻害作用を有し、毒性も少ないので、抗喘息剤、抗アレルギー剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤等の抗炎症剤又は抗癌剤として有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、細胞接着阻害作用及び細胞浸潤阻害作用を有し、抗喘息剤、抗アレルギー剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤、抗炎症剤又は抗癌剤として有用なジアミン化合物又はその塩等を有効成分とする医薬品に関する。
【0002】
【従来の技術】
種々の炎症において、炎症部位への白血球やリンパ球の浸潤が認められる。このうち例えば、喘息患者の気管への好酸球の浸潤(大橋ら、アレルギー,39,1541-1549(1990))、動脈硬化症の血管へのマクロファージの浸潤(Ross R,Nature 362,801-809(1993))、急性炎症部位、接触性皮膚炎及び関節リウマチ患者の滑膜への種々の白血球の浸潤(Arend WP & Dayer JM,Arthritis Rheum.,33,305-315,(1990))がよく知られている。
【0003】
これらの白血球やリンパ球の浸潤は、サイトカイン、ケモカイン、リピッド及び補体等によって惹起される(Albelda SMら, FASEB J.,8,504-512(1994))。活性化した流血中の白血球は、IL-1やTNFαなどのサイトカインにより活性化した血管内皮細胞とローリング(rolling)又はテターリング(tethering)と呼ばれる相互作用を行い、血管内皮細胞と接着(adhesion)する。その後、血管内皮を潜りぬけ(transmigration)炎症部位へと浸潤する。
【0004】
この白血球と血管内皮細胞との相互作用の過程に、セレクチン、インテグリン及びインムノグロブリンファミリー、CD44などの種々の接着分子が関与していることが報告されている(Albelda SMら,FASEB J.,4,2868-2880(1990))。また、これらの接着分子はリンパ球のホーミングにも関与していることが報告されている(Shimizu Y ら,Immunology Today,13,106-112(1992))。更にこれらの接着分子は癌の転移における血管内皮細胞との接着にも関与していることが報告されている(Gorski A, Immunology Today,15,251-255(1994))。
このように白血球や癌細胞の血管内皮細胞への細胞接着は、種々の炎症疾患における白血球の炎症部位への浸潤又は癌の転移等に重要な役割を果たしている。従って、このような細胞接着及び細胞浸潤を阻害する物質が存在すれば喘息、アレルギー、リウマチ等の疾患及び炎症や癌の転移に対して有効な薬剤となりうる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、細胞接着及び浸潤阻害作用により、優れた抗喘息作用、抗アレルギー作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用など抗炎症作用及び抗癌作用を有する物質は未だ報告されていない。
従って本発明は細胞接着及び浸潤阻害作用を有し、更に優れた抗喘息作用、抗アレルギー作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用、抗炎症作用及び抗癌作用を有する物質を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
斯かる実状に鑑み、本発明者らは細胞接着及び浸潤を阻害する物質を得るべく鋭意研究を行った結果、下記一般式(1)で表される化合物等が、優れた細胞接着阻害作用及び細胞浸潤阻害作用を有し、抗アレルギー剤、抗喘息剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤、抗炎症剤等として有用であることを見出し本発明を完成した。
【0007】
すなわち本発明は、次の一般式(1)
【0008】
【化2】
【0009】
〔式中、R1 、R2 、R3 、R4 、R5 及びR6 は同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基又は低級アルコキシ基を示し、mは1〜3の数を、nは2又は3の数を示す〕
で表される化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する細胞接着阻害剤、細胞浸潤阻害剤、抗アレルギー剤、抗喘息剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤及び抗炎症剤を提供するものである。
【0010】
本発明で用いられる前記一般式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)という)は、公知の化合物であり、例えば特開平3−2144号公報に記載されている。この公報には、当該化合物が脳出血、脳梗塞、クモ膜下出血、一過性脳虚血発作、脳血管障害などの改善あるいは進展防止のために有効に使用できる脳保護剤として有用であることが示されているが、本剤が細胞接着及び浸潤を阻害するか否かは示唆されていない。
【0011】
【発明の実施の形態】
化合物(1)において、式中、R1 〜R6 で示されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられるが、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子が好ましい。低級アルキル基としては、炭素数1〜6のもの、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、特にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等が好ましい。また低級アルコキシ基としては、炭素数1〜6のもの、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられるが、就中、メトキシ基、エトキシ基又はプロポキシ基が好ましい。
【0012】
化合物(1)は例えば特開平3-2144号公報に記載の方法、好ましくは該公報に記載の方法(1)に従って製造することができる。
本発明においては、これら化合物(1)の酸付加塩を用いることもでき、酸付加塩は常法により得ることができる。ここで酸付加塩の酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸;酢酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマール酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸などが挙げられる。また水和物は、化合物(1)及びその酸付加塩のいずれの水和物であってもよい。
【0013】
本発明の治療剤は、このような化合物(1)、その酸付加塩又は水和物を有効成分とするものであり、この有効成分を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、担体、希釈剤等を用いて錠剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、坐剤等の任意の剤型とすることができる。これらの製剤は公知の方法で製造することができる。例えば経口投与用製剤とする場合には、化合物(1)を澱粉、マンニトール、乳糖等の賦形剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤;結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸等の流動性向上剤などを適宜組み合わせて処方することにより製造することができる。
【0014】
本発明の治療剤の投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状等によって異なるが、化合物(1)として、通常成人の場合、1日0.1〜1,000mgを1〜3回に分けて投与するのが好ましい。
【0015】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0016】
製造例1
N,N’−ビス−((Z)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジンの製造:
塩化カルシウム管を付けたナスフラスコにジメチルホルムアミド20ml、(Z)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニルブロマイド1.2g、ホモピペラジン0.171g、炭酸カリウム0.514g及びヨウ化カリウム0.754gを入れ、浴温100℃にて2時間攪拌した。
反応後、酢酸エチルを加え、不溶物をセライトで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製して目的物を淡黄色油状物として0.745g得た。
この遊離塩基を2N塩酸/ジオキサンを用いて常法により処理し、淡黄色アモルファスとして目的物の2塩酸塩0.63gを得た。
【0017】
【0018】
製造例2
N,N’−ビス−(E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジンの製造:
塩化カルシウム管を付けたナスフラスコにジメチルホルムアミド20ml、(E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニルブロマイド1.37 g、ホモピペラジン0.195g、炭酸カリウム0.600g及びヨウ化カリウム0.862gを入れ、浴温100℃にて2時間攪拌した。
反応後、酢酸エチルを加え、不溶物をセライトで濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。残渣に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=50:1)で精製して目的物を淡黄色油状物として0.619g得た。
この遊離塩基を2N塩酸/ジオキサンを用いて常法により処理し、2塩酸塩0.534gを得た。
【0019】
【0020】
製造例3
N,N’−ビス−((E)−3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル)ピペラジンの製造:
2−メトキシ−シンナミルアルコール1.44gをチオニルクロライドを用いてクロル化した。以下、製造例2と同様にピペラジンと反応、処理し、無色プリズム晶として2塩酸塩314mgを得た。
融点:193〜194℃
【0021】
【化3】
【0022】
製造例4
N,N’−ビス−((E)−3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル)ホモピペラジンの製造:
2−メトキシ−シンナミルアルコールを用い、製造例3と同様にチオニルクロライド、次いでホモピペラジンと反応、処理し、淡黄色アモルファスとして目的物の遊離塩基を得た。
融点:181〜182℃
【0023】
【化4】
【0024】
製造例5
N,N’−ビス−((E)−5−(4−メトキシフェニル)−4−ペンテニル)ピペラジンの製造:
(E)−5−(4−メトキシフェニル)−4−ペンテニルブロマイド383mgを用い製造例2と同様に反応、処理して無色針状晶として遊離塩基198mlを得た。
【0025】
【0026】
以下に、本発明化合物の代表的なものにつき、細胞接着及び細胞浸潤阻害作用、更に、抗アレルギー作用、抗喘息作用、抗炎症作用、抗リウマチ作用、抗動脈硬化作用の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
【0027】
試験化合物1
N,N’−ビス−((Z)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン 2塩酸塩(製造例1)
【0028】
試験化合物2
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン 2塩酸塩(製造例2)
【0029】
試験化合物3
N,N’−ビス−((E)−3−(2−メトキシフェニル)−2−プロペニル)ピペラジン 2塩酸塩(製造例3)
【0030】
試験化合物4
N,N’−ビス−((E)−5−(4−メトキシフェニル)−2−ペンテニル)ピペラジン(製造例5)
【0031】
実施例1
(細胞接着阻害作用)
ロス(Ross)らの方法(J.Biol.Chem.,267,8537-8543(1992))を参考にして行った。すなわち、ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)を48穴プレートでコンフルエントになるまで培養後、IL-1β又はTNFαを添加した。添加5時間後にPKH2(大日本製薬社製)にてFITCラベルしたヒト単球/組織球由来細胞であるU937を各ウェルに3×105細胞添加した。45分間室温で静置後、接着していないU937を洗い流し、1%Triton X-100で細胞を溶解して、残存している蛍光強度を測定した(Exi.494nm,Emi.504nm)。HUVECはEGM-UV(クラボウ社製)で、また、U937はRPMI 1640+10%FCSにて培養した。HUVECへの薬物の添加はIL-1β又はTNFα添加時に、U937へは細胞接着試験の24時間前に添加して作用を検討した。阻害活性は{(薬物無添加でIL-1β又はTNFα刺激血管内皮細胞への薬物無添加U937の接着細胞数)−(薬物無添加で無刺激の血管内皮細胞への薬物無添加U937の接着細胞数)=100%}として算定した。この結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例2
(モルモット喘息モデルにおける好酸球浸潤抑制作用)
寺師らの方法(アレルギー,37,980-991(1988))に準じて、ハートレー(Hartley)系雄製モルモット(1群4−7匹,300g前後)を超音波ネブライザーを用いて、1日10分間連続9日間卵白アルブミン(10mg/ml)吸入曝露させ感作を成立させた。その翌日から、6日間試験化合物2(10又は30mg/kg)を連続腹腔内投与した。7日目にメトピロン(10mg/kg)とクロルフェニラミン(10mg/kg)を腹腔内投与し、30分後に卵白アルブミン(10mg/ml)を10分間吸入曝露、更に2時間後、試験化合物2を腹腔内投与した。24時間後、モルモットを脱血死させて気管を摘出し、ホルマリン固定した。そして、パラフィン包埋後、薄切切片を作製し、ルナ染色を行い、浸潤好酸球数を算定した。この結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
実施例3
(マウス接触性皮膚炎におけるリンパ球浸潤抑制作用)
アシャーソン(Asherson)らの方法(Immunology,15,405-416(1968))に準じて、マウス接触性皮膚炎におけるリンパ球浸潤に対する作用を試験した。塩化ピクリルで感作されたddy系雄性マウス(1群10匹,28〜32g)に誘発前6日間試験化合物2(1又は10mg/kg)を連続腹腔内投与し、耳介に1%塩化ピクリル・オリーブ油溶液0.02mlを塗布した。24時間後両耳介をパンチ(7mmφ)し、重量の差を求めた。更に、耳介を包埋・凍結後、耳介に垂直方向に4μmの薄切切片を作製した。CD3陽性細胞を免疫染色し、CD3陽性細胞数を算定した。この結果を表3に示す。
【0036】
【表3】
【0037】
実施例4
(ラットカラゲニン胸膜炎における白血球浸潤抑制作用)
キクチらの方法(Japan.J.Pharmacol.,39,467-473(1985))に準じて、ラットカラゲニン胸膜炎における白血球浸潤に対する作用を試験した。SD系雄性ラット(1群6匹,7週令)に2日間試験化合物2(10又は30mg/kg)を連続腹腔内投与し、最終投与2時間後に2%(W/V)カラゲニン溶液0.1mlを胸腔内投与した。投与16時間後に脱血死させ、胸水を採取し、胸水量及び胸水中の浸潤細胞数を算定した。この結果を表4に示す。
【0038】
【表4】
【0039】
実施例5
(マウスのII型コラーゲン関節炎に対する作用)
ランゲ(Ranges)らの方法(J.Exp.Med.,162,1105-1110(1985))に準じて行った。
DBA/1雄性マウス(6〜7週令)の尾根部にフロインドコンプリートアジュバントに懸濁させた牛由来のII型コラーゲン100μgを内皮注射し、更に21日後に同様に追加免疫を行った。薬物は追加免疫の2日前から7日後まで毎日1回、計10回、腹腔内に投与した。関節炎の程度は前肢足蹠の厚みを計測して評価した。また、血清中のII型コラーゲンに対する抗体価(IgG+IgM)はELISA法によって測定した。この結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
以下に具体的な製剤例を示す。
【0042】
【表6】
実施例6(カプセル剤)
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン・2塩酸塩 30mg
微結晶セルロース 30mg
乳糖 57mg
ステアリン酸マグネシウム 3mg
全量 120mg
【0043】
上記成分を常法により混合したのちゼラチンカプセルに充填し、カプセル剤を得た。
【0044】
【表7】
実施例7(錠剤)
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン・2塩酸塩 30mg
でん粉 44mg
でん粉(のり用) 5.6mg
ステアリン酸マグネシウム 0.4mg
カルボキシメチルセルロースカルシウム 20mg
全量 120mg
【0045】
上記成分を常法により混合し錠剤を得た。
【0046】
実施例8(注射剤)
N,N’−ビス−((E)−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−4−ペンテニル)ホモピペラジン・2塩酸塩100mg及び塩化ナトリウム900mgを約80mlの注射用蒸留水に溶かし、次いで得られた溶液に注射用蒸留水を加え、総量100mlにする。これを無菌濾過したのち遮光アンプル10本に分注、シールし、無菌の注射剤を得た。
【0047】
【発明の効果】
本発明に用いる化合物(1)は優れた細胞接着及び浸潤阻害作用を有し、毒性も少ないので、抗喘息剤、抗アレルギー剤、抗リウマチ剤、抗動脈硬化剤等の抗炎症剤又は抗癌剤として有用である。
Claims (7)
- 請求項1記載の化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する細胞浸潤阻害剤。
- 請求項1記載の化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する抗アレルギー剤。
- 請求項1記載の化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する抗喘息剤。
- 請求項1記載の化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する抗炎症剤。
- 請求項1記載の化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する抗リウマチ剤。
- 請求項1記載の化合物、その酸付加塩、又はこれらの水和物を有効成分として含有する抗動脈硬化剤。
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