JP3808809B2 - リード線の処理方法および処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リード線の処理方法および処理装置に関し、特に、リード線の先端部から露出させた導線の部分を折り曲げ、その部分に環状の接合部を形成するのに有効なリード線の処理方法および処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電子機器の電子回路等にリード線を接続するには、リード線の先端部から工具を用いて被覆を除去して導線を露出させ、露出させた導線を専用の工具を用いて手作業により折り曲げて環状に形成し、環状に形成した導線の部分に電子回路側の接続端子を挿通させ、接続端子と導線の環状の部分とをハンダ付けにより一体に接合することにより、リード線を電子回路側に接続している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リード線の先端部の導線を手作業により所定の大きさの環状に形成する場合、その作業に手間がかかり、生産効率が悪いものである。また、その作業に熟練を要するため、経験の浅い作業者では不良の発生率が高くなる。
【0004】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、リード線の先端部の導線を容易に所定の大きさの環状に形成することができ、生産効率を大幅に高めることができるとともに、経験の浅い作業者でも殆ど不良品を発生させることなく、一定の品質の環状に形成することができるリード線の処理方法および処理装置を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、以下のような手段を採用している。すなわち、請求項1に係る発明は、リード線の先端から露出させて表面にハンダ皮膜を形成させた導線を上下から挟み込む上下ガイドと、芯棒と、該芯棒に対して接離に可能に設けられるとともに、芯棒と協働して前記導線の部分を折り曲げる曲げ治具とからなる曲げ手段により、前記導線の部分を折り曲げ、その部分に環状の接合部を形成する曲げ工程を備え前記曲げ治具が、前記導線を前記芯棒に押付けて湾曲させる曲面を有し、該曲面を前記芯棒に対向させた状態で前記芯棒の周方向に設けられて、前記芯棒に対して接離可能な複数の曲げ板を備え、前記導線の根元側に配された最初の曲げ板を前記芯棒に接近させて前記導線を前記芯棒に押付け、前記最初の曲げ板の周方向に隣り合う二つ目の曲げ板からは、先に前記芯棒に接近させた別の曲げ板における一の端面にガイドさせながら前記芯棒に接近させ、前記導線を前記芯棒に押付けながら前記別の曲げ板における他の端面に当接させることにより、前記導線の根元側に配された曲げ板から周方向に隣り合う曲げ板を順次移動して、リード線の導線を芯棒の周囲に巻き付くように順次折り曲げて、前記接合部を形成することを特徴とする。
この発明によるリード線の処理方法によれば、リード線は、曲げ手段の上下ガイドにより上下から挟まれて上下方向の反りを規正された状態で、芯棒と曲げ治具との協働により折り曲げられて環状の接合部が形成されることになる。この際、リード線は、曲げ手段の芯棒に曲げ治具の各曲げ板を順次接近させることにより、芯棒の周囲に巻き付くように折り曲げられ、環状の接合部が形成されることになる。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のリード線の処理方法であって、前記リード線の前記導線を挿入させる挿入孔を有する検出治具と、該検出治具に設けられるとともに、前記挿入孔内に挿入される前記導線の外径および長が許容範囲内にあるか否かを検出するセンサからなる検出手段により行われる検出工程を備え、該検出工程が、前記挿入孔に挿入されて移動限界位置に至るまで、及び該移動限界位置から前記センサが検出できなくなる位置まで前記検出手段を移動して、前記センサによって前記導線の長さが許容範囲にあるか否かを検出することを特徴とする。
この発明によるリード線の処理方法によれば、検出工程において、リード線は、先端部の導線を検出手段の検出治具の挿入内に挿入させ、この挿入孔内において、センサからの信号により、導線の外径および長さが所定の範囲内にあるか否かが検出されることになる。
【0007】
請求項3に係る発明は、リード線の先端から露出させて表面にハンダ皮膜を形成させた導線を上下から挟み込む上下ガイドと、芯棒と、該芯棒に対して接離に可能に設けられるとともに、芯棒と協働して前記導線の部分を折り曲げる曲げ治具とからなる曲げ手段を備え、前記曲げ治具が、前記導線を前記芯棒に押付けて湾曲させる曲面を有し、該曲面を前記芯棒に対向させた状態で前記芯棒の周方向に設けられて、前記芯棒に対して接離可能な複数の曲げ板を備え、前記導線の根元側に配された最初の曲げ板を前記芯棒に接近させて前記導線を前記芯棒に押付け、前記最初の曲げ板の周方向に隣り合う二つ目の曲げ板からは、先に前記芯棒に接近させた別の曲げ板における一の端面にガイドさせながら前記芯棒に接近させ、前記導線を前記芯棒に押付けながら前記別の曲げ板における他の端面に当接させることにより、前記導線の根元側に配された曲げ板から周方向に隣り合う曲げ板を順次移動して、リード線の導線を芯棒の周囲に巻き付くように順次折り曲げて、その部分に環状の接合部を形成することを特徴とする。
この発明によるリード線の処理方法によれば、リード線は、曲げ手段の上下ガイドにより上下から挟まれて上下方向のゆがみを規正された状態で、芯棒に曲げ治具の各曲げ板を順次接近させることにより、芯棒の周囲に巻き付くように折り曲げられ、環状の接合部が形成されることになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明によるリード線の処理方法および処理装置は、電子機器の電子回路等の接続端子にリード線を接続する場合に有効に適用することができるものであって、図1に示すように、リード線1の先端部から露出させた導線3の部分を環状の接合部4に形成するためのものである。
【0012】
すなわち、本発明によるリード線の処理方法は、「切断工程」、「被覆除去工程」、「フラックス塗布工程」、「ハンダ付け工程」、「長さ検出工程」、「曲げ工程」を機械により自動的に行うように構成したものである。以下、各工程について詳しく説明する。
【0013】
▲1▼「切断工程」
切断工程では、リール(図示せず)の周囲に巻回されている一連のリード線をリールから引き出し、切断装置(図示せず)の切断部に導き、切断装置を作動させて所定の長さに連続的に切断し、所定の長さのリード線(図1参照)を所定本数形成する。
【0014】
▲2▼「被覆除去工程」
被覆除去工程では、所定の長さのリード線を被覆除去装置(図示せず)に供給し、被覆除去装置を作動させてリード線の一方の先端部及び他方の先端部から所定の長さの被覆を除去し、一方の先端部及び他方の先端部から所定の長さの導線を露出させる。他方の先端部の導線には、圧着端子を適宜の手段によりかしめ付ける。
【0015】
▲3▼「フラックス塗布工程」
フラックス塗布工程では、リード線の一方の先端部の導線の表面にフラックスを塗布し、導線の表面に付着している酸化物を除去し、次のハンダ付け工程においてハンダ被膜を形成し易くする。
【0016】
▲4▼「ハンダ付け工程」
ハンダ付け工程では、フラックス塗布工程で酸化物を除去したリード線の一方の先端部の導線をハンダ槽(図示せず)の溶融ハンダ内に浸漬し、導線の表面に所定の厚みのハンダ皮膜を形成する。
【0017】
▲5▼「長さ検出工程」
長さ検出工程では、表面にハンダ被膜を形成した導線が所定の外径および長さに形成されているか否かを検出し、許容範囲から外れるものを排除し、許容範囲内にあるものを次の曲げ工程に送り込む。
【0018】
長さ検出工程においては、図2に示すような検出手段5が用いられる。すなわち、この検出手段5は、リード線1の導線3を挿入させる挿入孔7と、挿入孔7をその軸線と直交する方向から貫通する検出孔8とを有する検出治具6と、検出治具6の検出孔8に光信号を通すことにより、挿入孔7内に挿入されるリード線1の導線3の長さを検出するセンサ9とを備えている。
【0019】
センサ9はパルスカウントできるもので、該センサ9が検出治具6と一体的にリード線1の導線3側に一定速度で所定長さ移動するとき、センサ9によってリード線1の導線3の挿入を検出してから導線3側へ予め設定した移動限界位置に至るまでのパルス数をカウントし、これによってリード線1の導線の長さが許容範囲内にあるか否かを検出する。また、この長さ検出工程では、センサ9および検出治具6が、導線3とは逆側の初期位置へ戻るよう移動するときにも、移動限界位置からセンサ9によって導線3の挿入が検出できなくなるまでのパルス数をカウントし、これによってもリード線1の導線の長さが許容範囲内にあるか否かを検出する。つまり、リード線1の導線3の長さを二重に検出する。さらに、この検出手段5では、リード線1の導線3が検出治具6の挿入孔7に挿入できるかどうかによって、リード線1の導線3の外径が所定値以下であるか否かも検出する。
【0020】
そして、導線3の長さが検出されたリード線1は、導線3の外径および長さが許容範囲から外れるものは排除され、許容範囲内に入るものは次の曲げ工程に送られ、導線の部分に曲げ加工が施されるものである。
【0021】
▲6▼「曲げ工程」
曲げ工程では、図3〜図7に示す曲げ手段10を用い、リード線1の先端部の導線3を折り曲げて、図1に示すような環状の接合部4に形成する。ここで、曲げ手段10は、下ガイド11と、下ガイド11から出没可能に設けられる芯棒12と、下ガイド11の上方に上下方向に移動可能に設けられるとともに、下方への移動時に下ガイド11から突出する芯棒12の上端部を挿入させて芯棒12を支持する上ガイド13と、芯棒12の周囲に芯棒12を囲むように設けられる曲げ治具14とを備えている。
【0022】
曲げ治具14は、図4〜図7に示すように、芯棒12の周囲に周方向に向かって90°間隔ごとに設けられる第1曲げ板15、第2曲げ板16、及び第3曲げ板17の3枚の曲げ板を有し、各曲げ板15、16、17は、芯棒12に対して水平方向から各々独立して接離可能となっている。各曲げ板15、16、17の芯棒12との対向面には、それぞれ所定のアール面15a、16a、17aが設けられ、各曲げ板15、16、17を芯棒12に接近させたときに、このアール面15a、16a、17aでリード線1の導線3を芯棒12の表面に押し付けることにより、導線3が芯棒12の周面に巻き付くように折り曲げられるものである。
【0023】
リード線1は、導線3の折り曲げ時に芯棒12に連設されている把持部材18によって上下方向から把持され、導線3を下ガイド11上であって、芯棒12と曲げ治具14との間の所定の位置に至るように保持される。
【0024】
そして、把持部材18によりリード線1を把持し、この状態で図4に示すようにリード線1の導線3を曲げ治具14と芯棒12との間に挿入し、上ガイド13が下降することにより下ガイド11との間で導線3を上下から挟み込み、この状態で図5に示すように、第1曲げ板15を芯棒12の方向に移動させて、そのアール面15aで導線3を芯棒12の表面に押し付け、図6に示すように、第2曲げ板16を芯棒12の方向に移動させて、そのアール面16aで導線3を芯棒12の表面に押し付け、図7に示すように、第3曲げ板17を芯棒12の方向に移動させて、そのアール面17aで導線3を芯棒12の表面に押し付けることで、導線3が芯棒12の周面に巻き付くように折り曲げられ、環状の接合部4が形成されるものである。
【0025】
そして、導線3の折り曲げが完了した後に、各曲げ板15、16、17を芯棒12から離間させて、芯棒12を下ガイド11内に没入させ、把持部材18によるリード線1の把持状態を解除することにより、導線3の先端部に環状の接合部4を形成したリード線1が得られるものである。
【0026】
上記のように構成したこの実施の形態によるリード線の処理装置にあっては、機械を用いて自動的にリード線1の導線3の部分に環状の接合部4を形成することができるので、接合部を形成する作業が容易となり、生産効率を高めることができる。また、作業に熟練が不要であるので、経験の浅い作業者であっても不良を殆ど発生させることなく、一定の品質、精度の環状の接合部4を形成することができることになる。
【0027】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明による請求項1に記載のリード線の処理方法によれば、上下ガイドにより上下から挟み込んだ状態で、芯棒に対して曲げ治具を接近させることにより、リード線の導線が上下方向の反りを規正されながら折り曲げられて環状に形成されることになる。また、芯棒に対して曲げ治具の各曲げ板を順次接近させることにより、リード線の導線が芯棒の周囲に巻き付くように折り曲げられ、環状に形成されることになる。従って、導線の折り曲げ作業に熟練を要することなく、経験の浅い作業者であっても一定の品質で折り曲げ作業を行うことができることになる。
【0028】
また、請求項2に記載のリード線の処理方法によれば、検出工程において、導線の長さが許容範囲から外れるものは排除され、許容範囲内に入るもののみが次の曲げ工程に送られることになるので、導線の長さが許容範囲から外れるものが曲げ工程に送られて、導線の環状が許容範囲から外れて形成されるようなことはない。従って、導線の長さの不良により不良品が発生することは殆どなく、所定の品質のものを安定して生産することができることになる。
【0029】
さらに、請求項3に記載のリード線の処理装置によれば、上下ガイドにより上下から挟み込んだ状態で、芯棒に対して曲げ治具を接近させることにより、リード線の導線が上下方向の反りを規正されながら折り曲げられて環状に形成されることになる。従って、導線の折り曲げ作業に熟練を要することなく、経験の浅い作業者であっても一定の品質で折り曲げ作業を行うことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるリード線の処理方法および処理装置によって処理されたリード線を示す説明図である。
【図2】 本発明によるリード線の処理方法の検出工程を示した説明図である。
【図3】 本発明によるリード線の処理方法の曲げ工程を示した説明図であって、上下ガイドと芯棒と把持部材との関係を示した説明図である。
【図4】 本発明によるリード線の処理方法の曲げ工程および処理装置を示した説明図であって、曲げ治具と芯棒との間にリード線の導線を挿入した状態を示した説明図である。
【図5】 曲げ治具の第1曲げ板を芯棒に接近させて、導線を芯棒に押し付けた状態を示した説明図である。
【図6】 曲げ治具の第2曲げ板を芯棒に接近させて、導線を芯棒に押し付けた状態を示した説明図である。
【図7】 曲げ治具の第3曲げ板を芯棒に接近させて、導線を芯棒に押し付けた状態を示した説明図である。
【符号の説明】
1 リード線
2 被覆
3 導線
4 接合部
5 検出手段
6 検出治具
7 挿入孔
9 センサ
10 曲げ手段
11 下ガイド
12 芯棒
13 上ガイド
14 曲げ治具

Claims (3)

  1. リード線の先端から露出させて表面にハンダ皮膜を形成させた導線を上下から挟み込む上下ガイドと、芯棒と、該芯棒に対して接離に可能に設けられるとともに、芯棒と協働して前記導線の部分を折り曲げる曲げ治具とからなる曲げ手段により、前記導線の部分を折り曲げ、その部分に環状の接合部を形成する曲げ工程を備え
    前記曲げ治具が、前記導線を前記芯棒に押付けて湾曲させる曲面を有し、該曲面を前記芯棒に対向させた状態で前記芯棒の周方向に設けられて、前記芯棒に対して接離可能な複数の曲げ板を備え、
    前記導線の根元側に配された最初の曲げ板を前記芯棒に接近させて前記導線を前記芯棒に押付け、前記最初の曲げ板の周方向に隣り合う二つ目の曲げ板からは、先に前記芯棒に接近させた別の曲げ板における一の端面にガイドさせながら前記芯棒に接近させ、前記導線を前記芯棒に押付けながら前記別の曲げ板における他の端面に当接させることにより、前記導線の根元側に配された曲げ板から周方向に隣り合う曲げ板を順次移動して、リード線の導線を芯棒の周囲に巻き付くように順次折り曲げて、前記接合部を形成することを特徴とするリード線の処理方法。
  2. 請求項1に記載のリード線の処理方法であって、前記リード線の前記導線を挿入させる挿入孔を有する検出治具と、該検出治具に設けられるとともに、前記挿入孔内に挿入される前記導線の外径および長が許容範囲内にあるか否かを検出するセンサとからなる検出手段により行われる検出工程を備え、
    該検出工程が、前記挿入孔に挿入されて移動限界位置に至るまで、及び該移動限界位置から前記センサが検出できなくなる位置まで前記検出手段を移動して、前記センサによって前記導線の長さが許容範囲にあるか否かを検出することを特徴とするリード線の処理方法。
  3. リード線の先端から露出させて表面にハンダ皮膜を形成させた導線を上下から挟み込む上下ガイドと、芯棒と、該芯棒に対して接離に可能に設けられるとともに、芯棒と協働して前記導線の部分を折り曲げる曲げ治具とからなる曲げ手段を備え、
    前記曲げ治具が、前記導線を前記芯棒に押付けて湾曲させる曲面を有し、該曲面を前記芯棒に対向させた状態で前記芯棒の周方向に設けられて、前記芯棒に対して接離可能な複数の曲げ板を備え、
    前記導線の根元側に配された最初の曲げ板を前記芯棒に接近させて前記導線を前記芯棒に押付け、前記最初の曲げ板の周方向に隣り合う二つ目の曲げ板からは、先に前記芯棒に接近させた別の曲げ板における一の端面にガイドさせながら前記芯棒に接近させ、前記導線を前記芯棒に押付けながら前記別の曲げ板における他の端面に当接させることにより、前記導線の根元側に配された曲げ板から周方向に隣り合う曲げ板を順次移動して、リード線の導線を芯棒の周囲に巻き付くように順次折り曲げて、その部分に環状の接合部を形成することを特徴とするリード線の処理装置。
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