JP3808719B2 - 基板処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの各種基板に対して、処理液を用いた処理を施すための基板処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置や液晶表示装置の製造工程では、基板に処理液(薬液または純水)を供給して基板の表面処理を行うための基板処理装置が用いられる。基板を1枚ずつ処理する枚葉型の基板処理装置は、たとえば、基板を水平に保持して回転させるスピンチャックと、このスピンチャックに保持された基板の上面に対向して配置された遮断板とを備えている。処理時には、スピンチャックによって基板が水平面内で回転されるとともに、遮断板が基板の上面に近接した位置に近づけられて回転される。遮断板の下面中央付近には、基板の上面に処理液を供給するための処理液供給ノズルが配置され、この処理液供給ノズルから基板の上面に向けて鉛直下向きに処理液が供給される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このような構成では、基板の上面に対してほぼ直角に処理液が入射するため、基板の上面における処理液の跳ね返りが大きく、その跳ね返った処理液が遮断板の下面に付着して基板汚染の原因になるおそれがあった。すなわち、遮断板の下面に付着していると、基板および遮断板を高速回転させて基板に付着した液滴を振り切る乾燥処理時に、その遮断板に付着した処理液が基板上に落下して、基板の上面に同心円状の処理液跡が形成されるおそれがある。また、遮断板の下面に付着した処理液が乾燥して結晶化することにより、パーティクルとなるおそれがある。
【0004】
そこで、この発明の目的は、とくに基板の上面における処理液の跳ね返りを抑制できる基板処理装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、基板(W)に処理液を用いた処理を施す基板処理装置であって、基板をほぼ水平に保持して回転させる基板保持回転手段(1)と、この基板保持回転手段に保持された基板の側方を取り囲むように設けられており、基板から周囲に飛散する処理液を捕獲するための飛沫捕獲手段(4)と、この飛沫捕獲手段に取り付けられており、上記基板保持回転手段に保持された基板に対して、平面視で基板の外方から処理液を供給するための処理液供給手段(5,6)と、上記飛沫捕獲手段を所定の上方位置と下方位置との間で昇降させる昇降駆動手段(44)とを備え、上記処理液供給手段は、上記飛沫捕獲手段が上記上方位置に上昇した状態で予め定める第1の処理液を基板に供給する第1ノズル(6)と、上記飛沫捕獲手段が上記下方位置に下降した状態で上記第1の処理液とは成分の異なる第2の処理液を基板に供給する第2ノズル(5)とを含み、上記第2ノズルおよび上記第1ノズルは、上記飛沫捕獲手段の上記上方位置と上記下方位置との高低差に等しい間隔を空けて、上下に並べて取り付けられていることを特徴とする基板処理装置である。
【0006】
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表す。以下、この項において同じ。
この発明によれば、処理液供給手段は、飛沫捕獲手段に取り付けられていて、平面視で基板の外方から基板に処理液を供給する。これにより、基板に供給された処理液は、スムーズに基板の表面に沿った流れを形成する。したがって、基板の表面における処理液の跳ね返りが小さく抑えられる。
【0007】
また、基板上面付近における気流の乱れを防止する目的で、基板上面に対向して遮断板(2)が配置されても、基板上面における処理液の跳ね返りが小さいから、遮断板に多量の処理液が付着するおそれがない。ゆえに、遮断板の下面から処理液や処理液の結晶が基板上に落下することによる基板汚染の問題を招くおそれはない。さらにまた、処理液が有する基板の表面に沿う方向の速度成分が、基板表面における処理液の流れを助勢するから、基板表面の中心に対して鉛直方向に処理液を供給する構成の装置に比べて、基板保持回転手段による基板の回転速度を低く抑えることができ、また、基板に供給される処理液の流量を小さく抑えることができる。よって、装置のランニングコストを低減することができる。
さらに、飛沫捕獲手段には、第1の処理液を供給するための第1ノズルと第2の処理液を供給するための第2ノズルとが取り付けられており、これらの第2ノズルおよび第1ノズルは、飛沫捕獲手段の上方位置と下方位置との高低差に等しい間隔を空けて、上下に並べて取り付けられている。これにより、飛沫捕獲手段が上方位置にある時の第1ノズルの位置と飛沫捕獲手段が下方位置にある時の第2ノズルの位置とを一致させることができ、第1ノズルおよび第2ノズルから基板表面の同じ位置に処理液を供給することができる。そのため、第1ノズルから処理液を吐出させる時と第2ノズルから処理液を吐出させる時とで、処理液の流量や基板回転保持手段による基板回転速度などを変更することなく、基板に対して同様に処理液を供給することができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、上記飛沫捕獲手段は、上記上方位置に上昇した状態で上記基板保持回転手段に保持された基板の端面に対向する第1の処理液捕獲面(42)と、上記下方位置に下降した状態で上記基板保持回転手段に保持された基板の端面に対向する第2の処理液捕獲面(41)とを有するものであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置である。
【0009】
この発明によれば、たとえば、回転中の基板の表面に処理液が供給された場合に、基板の回転による遠心力を受けて基板端縁から側方に飛散する処理液は、飛沫捕獲手段が上方位置に上昇した状態では第1の処理液捕獲面に捕獲され、飛沫捕獲手段が下方位置に下降した状態では第2の処理液捕獲面に捕獲される。すなわち、飛沫捕獲手段が上方位置にある状態と下方位置にある状態とで、基板から振り切られる処理液の飛沫を異なる面で捕獲することができる。
【0010】
よって、請求項3記載のように、上記基板処理装置が、上記第1の処理液捕獲面で捕獲された処理液が流通する第1の捕獲液流通路(35)と、上記第2の処理液捕獲面で捕獲された処理液が流通する第2の捕獲液流通路(34)とをさらに備えている場合には、第1の処理液捕獲面で捕獲された処理液を第1の捕獲液流通路を通して回収し、第2の処理液捕獲面で捕獲された処理液を第2の捕獲液流通路を通して排液するといったことが可能になる。ゆえに、再利用可能な処理液を回収して再利用するようにすれば、その処理液の消費量を抑えることができ、装置のランニングコストの低減を図ることができる。
【0013】
請求項記載の発明は、上記処理液供給手段は、上記基板保持回転手段に保持された基板の上面に処理液を供給するものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置である。
この発明によれば、基板の上面における処理液の跳ね返りを抑制することができる。
なお、請求項に記載のように、上記処理液供給手段は、上記基板保持回転手段に保持された基板の上面において、上記基板保持回転手段による基板の回転中心を中心(O)とし、当該基板の回転半径のほぼ1/4の長さを半径とする円形領域内に処理液を供給するものであることが好ましい。
【0014】
また、請求項に記載のように、上記処理液供給手段は、処理液供給開始位置と上記基板の回転中心とを通る直線の基板上面への投影直線(L)に直交する基板直径(M)よりも上記処理液供給開始位置側の半円形領域内に処理液を供給するものであることがより好ましい。
さらには、請求項に記載のように、上記処理液供給手段は、上記処理液供給開始位置と上記基板の回転中心とを通る直線の基板上面への投影直線よりも基板回転方向に関して上流側の扇形領域内に処理液を供給するものであることがより一層好ましい。
【0015】
請求項記載の発明は、上記基板保持回転手段に保持された基板の上面に近接した位置に、その基板の上面に対向して配置される対向板(2)をさらに含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置である。
この発明のように、基板の上面に対向して対向板が配置されても、基板上面における処理液の跳ね返りが小さいから、その対向板に多量の処理液が付着するおそれがない。ゆえに、対向板の下面から処理液や処理液の結晶が基板上に落下することによる基板汚染の問題を招くおそれはない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための概念図である。この基板処理装置は、基板の一例である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)Wに対して処理液による表面処理を施すためのものである。ウエハWに対する表面処理は、たとえば、ウエハWの表面を薬液または純水で洗浄する洗浄処理であってもよい。
【0017】
この基板処理装置は、ウエハWをほぼ水平に保持するとともに、その中心を通るほぼ鉛直な回転軸線まわりにウエハWを回転させるためのスピンチャック1を備えている。スピンチャック1は、チャック回転駆動機構11によって回転される回転軸12の上端に固定されている。この回転軸12は、中空軸となっていて、回転軸12の内部には、処理液としての薬液または純水が選択的に供給される下面処理液供給管13が挿通されている。下面処理液供給管13は、スピンチャック1に保持されたウエハWに近接する位置まで延びており、その先端には、ウエハWの下面中央に向けて処理液を吐出する下面ノズル14が形成されている。
【0018】
スピンチャック1の上方には、中心部に開口を有する円板状の遮断板2が設けられている。遮断板2は、アーム21の先端付近から垂下した支持軸22の下端に、スピンチャック1に保持されたウエハWの上面に対向するように取り付けられている。支持軸22の内部には、遮断板2の開口に連通した窒素ガス供給路23が形成されており、この窒素ガス供給路23には、ウエハ乾燥用の窒素ガスが供給されるようになっている。また、アーム21に関連して、遮断板2をスピンチャック1に保持されたウエハWの上面に近接した近接位置とスピンチャック1の上方に大きく退避した退避位置との間で昇降させるための遮断板昇降駆動機構24と、遮断板2をスピンチャック1によるウエハWの回転にほぼ同期させて回転させるための遮断板回転駆動機構25とが設けられている。
【0019】
スピンチャック1は、処理カップ3内に収容されている。この処理カップ3の底部には、スピンチャック1の周囲を取り囲むように、ウエハWの処理に用いられた後の処理液を排液するための排液溝31が形成されており、さらに、この排液溝31を取り囲むように、ウエハWの処理のために用いられた後の処理液を回収するための回収溝32が形成されている。排液溝31と回収溝32とは、筒状の仕切壁33によって区画されている。また、排液溝31には、図外の排液処理設備へと処理液を導くための排液ライン34が接続され、回収溝32には、図外の回収処理設備へと処理液を導くための回収ライン35が接続されている。
【0020】
処理カップ3の上方には、ウエハWからの処理液が外部に飛散することを防止するためのスプラッシュガード4が設けられている。このスプラッシュガード4は、ウエハWの回転軸線に対してほぼ回転対称な形状を有しており、上方部の内面は、ウエハWの回転軸線に対向するように開いた断面く字状の排液捕獲部41となっている。また、スプラッシュガード4の下方部には、ウエハWの回転半径方向外方に向かうに従って下方に向かう傾斜面の形態をなした回収液捕獲部42が形成されている。回収液捕獲部42の上端付近には、処理カップ3の仕切壁33を受け入れるための仕切壁収納溝43が形成されている。
【0021】
スプラッシュガード4に関連して、たとえば、ボールねじ機構などを含むスプラッシュガード昇降駆動機構44が設けられている。スプラッシュガード昇降駆動機構44は、スプラッシュガード4を、回収液捕獲部42がスピンチャック1に保持されたウエハWの端面に対向する回収位置と、排液捕獲部41がスピンチャック1に保持されたウエハWの端面に対向する排液位置との間で上下動させる。また、スプラッシュガード昇降駆動機構44は、スピンチャック1に対するウエハWの搬入/搬出の際に、スプラッシュガード4を排液位置よりも下方の退避位置に退避させる。
【0022】
また、スプラッシュガード4の外周面には、スプラッシュガード4の上方に延びるようにノズル保持部材45が取り付けられており、このノズル保持部材45には、2つの処理液供給ノズル5,6が、それぞれの先端をウエハWに向けて斜めに下げた状態で上下に保持されている。下側の処理液供給ノズル6(第1ノズル)は、スプラッシュガード4が回収位置に上昇した状態で予め定める処理液(たとえば、BHF(Buffered hydrofluoric acid)またはDHF(Diluted hydrofluoric acid)などの薬液)をスピンチャック1に保持されたウエハWの上面に供給する薬液供給ノズルである。一方、上側の処理液供給ノズル5(第2ノズル)は、スプラッシュガード4が排液位置に下降した状態で、薬液供給ノズル6から供給される処理液とは成分の異なる処理液(たとえば、純水)をスピンチャック1に保持されたウエハWの上面に供給する純水供給ノズルである。
【0023】
処理液供給ノズル5,6は、スプラッシュガード4が回収位置に上昇した状態における処理液供給ノズル6の位置(高さ)とスプラッシュガード4が排液位置に下降した状態における処理液供給ノズル5の位置(高さ)とが一致するような間隔を空けて設けられている。すなわち、処理液供給ノズル5,6の間隔は、回収位置と排液位置と高さの差に等しくなるように設定されている。
また、処理液供給ノズル5,6は、スピンチャック1に保持されたウエハWの斜め上方からウエハWの上面の予め定める処理液供給位置に同じ入射角(たとえば、25度)で処理液を供給できるように、それぞれウエハWの上面における処理液の供給位置を調整可能に構成されている。すなわち、処理液供給ノズル6を例にとって説明すると、図2に示すように、処理液供給ノズル6は、ノズル保持部材45に固定される固定部61と、球状部621および細長いストレート部622からなるノズル部62と、このノズル部62を固定部61に取り付けるためのキャップ63とを含む構成である。キャップ63には、球状部621の外径よりもやや小さな径の開口631が形成されている。ノズル部62の球状部621を固定部61の先端に当接させた状態で、キャップ63の開口631にストレート部622を挿通して、そのキャップ63を固定部61の先端部に被着することにより、ノズル部62を固定部61に取り付けることができる。そして、キャップ63を少し緩めた状態で、固定部61に対するノズル部62の取付角度を調整することができ、その調整後にキャップ63を強く締めることにより、その調整後の取付角度でノズル部62を固定部61に対して固定することができる。また、固定部61およびノズル部62内には、図外の処理液供給源から供給されてくる処理液が流通する処理液流通路611,623が形成されており、これらの処理液流通路611,623は、固定部61に対するノズル部62の取付角度を調整可能な範囲内で常に連通するようになっている。よって、固定部61に対するノズル部62(ストレート部622)の取付角度を調整することにより、ノズル部62から吐出される処理液の方向を調整することができ、スピンチャック1に保持されたウエハWの上面における処理液供給位置を調整することができる。
【0024】
ウエハWの上面における処理液供給位置は、図3に示すように、スピンチャック1によるウエハWの回転中心Oを中心とし、ウエハWの回転半径のほぼ1/4の長さを半径とする円形領域内に設定されていることが好ましい。より具体的には、処理液供給位置Pは、平面視において、上記円形領域内であって、処理液供給開始位置である処理液供給ノズル5,6の先端とウエハWの回転中心Oとを通る直線Lに直交するウエハWの直径Mよりも処理液供給ノズル5,6の半円形領域(直径M上を含む。)内に設定されていることが好ましい。さらにまた、その半円形領域内であって、直線Lよりもスピンチャック1によるウエハWの回転方向上流側にある扇形領域(直線L上を含む。)内に設定されていることがより好ましい。このような領域内に処理液供給位置Pが設定されていることにより、処理液供給ノズル5,6から回転中のウエハWの上面に供給された処理液を、そのウエハWの回転に伴う遠心力によって、ウエハWの上面のほぼ全域に行き渡らせることができ、ウエハWの上面に処理液による処理を良好に施すことができる。
【0025】
ただし、ウエハWの上面における処理液の拡がり方は、処理液の濃度、処理液供給ノズル5,6から吐出される処理液の流量、スピンチャック1によるウエハWの回転速度などの各条件によって異なるので、処理液供給位置Pは、実際には、試験で良好な結果が得られた領域内に定められるとよい。たとえば、処理対象のウエハWが直径300mmのベアシリコンウエハであって、処理液が濃度1/100のDHFであり、処理液供給ノズル5,6から吐出される処理液の流量が2リットル/min、スピンチャック1によるウエハWの回転速度が500rpmに設定されている場合、処理液供給位置Pは、図4に二点鎖線で囲んで示す矩形状(約50mm×45mm)の領域A内に設定されることが好ましい。また、図4に二点鎖線で囲んで示す矩形状(約35mm×25mm)の領域B内に処理液供給位置Pが設定されることがより好ましい。
【0026】
図5は、この基板処理装置の動作について説明するための図である。処理前のウエハWは、図示しない搬送ロボットによって搬入されてきて、スピンチャック1に受け渡される。このとき、スプラッシュガード4は、ウエハWの搬入を阻害しないように待避位置にある。また、図5には示されていないが、遮断板2も、ウエハWの搬入を阻害しないように、スピンチャック1の上方に大きく離れた待避位置にある。
【0027】
スピンチャック1にウエハWが保持されると、図5(a)に示すように、スプラッシュガード4が、待避位置から回収位置まで上昇されて、スプラッシュガード4の回収液捕獲部42がスピンチャック1に保持されたウエハWの端面に対向する。この状態で、スピンチャック1(すなわち、ウエハW)が予め定める回転速度で回転される。また、処理液供給ノズル(薬液供給ノズル)6および下面ノズル14から同じ薬液が吐出される。処理液供給ノズル6から吐出される薬液は、ウエハWの上面の処理液供給位置Pに斜め上方から供給され、その薬液のウエハWの上面に沿う方向の速度成分およびウエハWの回転に伴って受ける遠心力により、ウエハWの上面を処理液供給ノズル6から離れる方向に流れる。一方、下面ノズル14から吐出される薬液は、ウエハWの下面の中心付近に供給されて、ウエハWの回転に伴って受ける遠心力により、そのウエハWの下面の中心付近からウエハWの回転半径方向外方側へと導かれる。これにより、ウエハWの上下面のほぼ全域に薬液が隈無く行き渡り、ウエハWの上下面に対して薬液による処理を良好に行うことができる。
【0028】
この薬液処理の際に、ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散した薬液は、スプラッシュガード4の回収液捕獲部42に捕獲される。そして、この回収液捕獲部42を伝い、回収液捕獲部42の下端縁から処理カップ3の回収溝32へと落下する。こうして回収溝32に集められた薬液は、回収ライン35を介して回収され、以降の薬液処理に再利用される。これにより、薬液を使い捨てる構成に比べて、薬液の消費量を格段に低減することができる。
【0029】
ウエハWを予め定める時間にわたって薬液で処理した後は、処理液供給ノズル6および下面ノズル14からの薬液の吐出が停止される。そして、図5(b)に示すように、スプラッシュガード4が、回収位置から排液位置まで下降されて、スプラッシュガード4の排液捕獲部41がスピンチャック1に保持されたウエハWの端面に対向する。このとき、スピンチャック1によるウエハWの回転は続けられており、この回転しているウエハWの上下面に向けて、処理液供給ノズル(純水供給ノズル)5および下面ノズル14から純水が吐出される。処理液供給ノズル5から吐出される純水は、ウエハWの上面の処理液供給位置Pに斜め上方から供給され、その純水のウエハWの上面に沿う方向の速度成分およびウエハWの回転に伴って受ける遠心力により、ウエハWの上面を処理液供給ノズル5から離れる方向に流れる。一方、下面ノズル14から吐出される純水は、ウエハWの下面の中心付近に供給されて、ウエハWの回転に伴って受ける遠心力により、そのウエハWの下面の中心付近からウエハWの回転半径方向外方側へと導かれる。これにより、ウエハWの上下面のほぼ全域に純水が隈無く行き渡り、ウエハWの上下面に付着した薬液を洗い流すためのリンス処理が行われる。
【0030】
ウエハWの周縁から振り切られて側方に飛散したリンス処理後の純水は、スプラッシュガード4の排液捕獲部41に捕獲された後、この排液捕獲部41を伝って、回収液捕獲部42の下端縁から処理カップ3の回収溝32へと落下し、排液ライン34を介して排液される。
こうしてリンス処理が終了すると、処理液供給ノズル5および下面ノズル14からの純水の吐出が停止される。そして、スピンチャック1によるウエハWの回転速度が上げられて、ウエハWの表面に付着している液滴を遠心力で振り切って乾燥させる処理が行われる。この乾燥処理の際、遮断板2が、退避位置からウエハWの上面に近接した近接位置まで下降され、その近接位置でウエハWと同じ方向にほぼ同速度で高速回転される。また、遮断板2の中心部の開口から、ウエハWと遮断板2との間の空間に窒素ガスが供給される。これにより、ウエハWと遮断板2との間の空間に窒素ガスの安定した気流が生じ、ウエハWの表面に処理液の跡などを残すことなく、ウエハWを良好に乾燥させることができる。
【0031】
乾燥処理の終了後は、遮断板2が近接位置から退避位置に戻されるとともに、スピンチャック1によるウエハWの回転が停止される。また、スプラッシュガード4が排液位置から退避位置まで下降される。そして、図示しない搬送ロボットの働きによって、スピンチャック1に保持されている処理後のウエハWが搬出されていく。
以上のように、この実施形態によれば、ウエハWの上面に供給される処理液は、エハWの斜め上方に設けられた処理液供給ノズル5,6から吐出されて、ウエハWの上面に対して斜めに入射する。これにより、処理液は、スムーズにウエハWの上面に沿った流れを形成し、ウエハWの上面を処理液供給ノズル5,6から離れる方向に流れる。したがって、ウエハWの上面における処理液の跳ね返りが小さいから、この処理液供給時に遮断板2がウエハWの上面に近接していなくても、ウエハWの表面で跳ね返った処理液が外部に飛散するおそれはない。
【0032】
また、ウエハWの上面に遮断板2が近接していないから、遮断板2に処理液が付着するおそれがない。ゆえに、遮断板2の下面から処理液の結晶がウエハW上に落下することによるウエハWの汚染の問題を招くおそれがない。
なお、この実施形態では、ウエハWへの処理液の供給時には、遮断板2は退避位置に退避されているとしたが、たとえば、ウエハWの上面付近における気流の乱れを防止する目的で、遮断板2が処理液供給ノズル5,6による処理液の供給を阻害しない高さに配置されてもよい。このように遮断板2がウエハWの上面に近づけられても、ウエハWの上面における処理液の跳ね返りが小さいから、遮断板2に多量の処理液が付着するおそれはなく、遮断板2の下面から処理液や処理液の結晶がウエハW上に落下することによるウエハWの汚染の問題を招くおそれはない。
【0033】
さらにまた、処理液が有するウエハWの上面に沿う方向の速度成分が、ウエハWの上面における処理液の流れを助勢するから、ウエハ上面の中心に対して鉛直方向に処理液を供給する構成の装置に比べて、スピンチャック1によるウエハWの回転速度を低く抑えることができ、また、ウエハWに供給される処理液の流量を小さく抑えることができる。よって、装置のランニングコストを低減することができる。
【0034】
また、処理液供給ノズル5,6がスプラッシュガード4に取り付けられていることにより、処理液供給ノズル5,6を適切な位置に配置しておけば、スプラッシュガード4が回収位置にある時の処理液供給ノズル6の位置とスプラッシュガード4が排液位置にある時の処理液供給ノズル5の位置とを一致させることができ、処理液供給ノズル5,6からウエハWの上面の同じ位置Pに処理液を供給することができる。これにより、処理液供給ノズル5から処理液を吐出させる時と処理液供給ノズル6から処理液を吐出させる時とで、処理液の流量やスピンチャック1によるウエハWの回転速度などを変更することなく、ウエハWの上面に対して同様に処理液を供給することができる。
【0035】
この発明の一実施形態の説明は以上の通りであるが、この発明は、他の形態で実施することもできる。たとえば、上述の実施形態では、ウエハWの下面には、ウエハWの下面中央に近接した下面ノズル14から処理液が供給されるとしているが、ウエハWの斜め下方に処理液供給ノズルを配置し、この処理液供給ノズルからウエハWの下面に対して斜めに処理液が供給されるようにしてもよい。こうすることにより、ウエハWの下面における処理液の跳ね返りを抑制することができる。
【0036】
また、処理対象の基板は、ウエハWに限らず、液晶表示装置用ガラス基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板および磁気/光ディスク用基板などの他の種類の基板であってもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係る基板処理装置の構成を説明するための概念図である。
【図2】処理液供給ノズルの構成を示す断面図である。
【図3】処理液供給ノズルによる処理液供給位置を説明するための平面図である。
【図4】処理液供給ノズルによる処理液供給位置のさらに具体的な例を説明するための図である。
【図5】この基板処理装置の動作について説明するための図であり、(a)はスプラッシュガードが回収位置にある時の状態を示し、(b)はスプラッシュガードが排液位置にある時の状態を示している。
【符号の説明】
1 スピンチャック
2 遮断板
3 処理カップ
4 スプラッシュガード
5 処理液供給ノズル
6 処理液供給ノズル
11 チャック回転駆動機構
31 排液溝
32 回収溝
34 排液ライン
35 回収ライン
41 排液捕獲部
42 回収液捕獲部
44 スプラッシュガード昇降駆動機構
L 直線
M 直径
O 回転中心
P 処理液供給位置
W ウエハ

Claims (8)

  1. 基板に処理液を用いた処理を施す基板処理装置であって、
    基板をほぼ水平に保持して回転させる基板保持回転手段と、
    この基板保持回転手段に保持された基板の側方を取り囲むように設けられており、基板から周囲に飛散する処理液を捕獲するための飛沫捕獲手段と、
    この飛沫捕獲手段に取り付けられており、上記基板保持回転手段に保持された基板に対して、平面視で基板の外方から処理液を供給するための処理液供給手段と
    上記飛沫捕獲手段を所定の上方位置と下方位置との間で昇降させる昇降駆動手段とを備え、
    上記処理液供給手段は、上記飛沫捕獲手段が上記上方位置に上昇した状態で予め定める第1の処理液を基板に供給する第1ノズルと、上記飛沫捕獲手段が上記下方位置に下降した状態で上記第1の処理液とは成分の異なる第2の処理液を基板に供給する第2ノズルとを含み、
    上記第2ノズルおよび上記第1ノズルは、上記飛沫捕獲手段の上記上方位置と上記下方位置との高低差に等しい間隔を空けて、上下に並べて取り付けられていることを特徴とする基板処理装置。
  2. 記飛沫捕獲手段は、上記上方位置に上昇した状態で上記基板保持回転手段に保持された基板の端面に対向する第1の処理液捕獲面と、上記下方位置に下降した状態で上記基板保持回転手段に保持された基板の端面に対向する第2の処理液捕獲面とを有するものであることを特徴とする請求項1記載の基板処理装置。
  3. 上記第1の処理液捕獲面で捕獲された処理液が流通する第1の捕獲液流通路と、
    上記第2の処理液捕獲面で捕獲された処理液が流通する第2の捕獲液流通路とをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の基板処理装置。
  4. 上記処理液供給手段は、上記基板保持回転手段に保持された基板の上面に処理液を供給するものであることを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置。
  5. 上記処理液供給手段は、上記基板保持回転手段に保持された基板の上面において、上記基板保持回転手段による基板の回転中心を中心とし、当該基板の回転半径のほぼ1/4の長さを半径とする円形領域内に処理液を供給するものであることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
  6. 上記処理液供給手段は、処理液供給開始位置と上記基板の回転中心とを通る直線の基板上面への投影直線に直交する基板直径よりも上記処理液供給開始位置側の半円形領域内に処理液を供給するものであることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
  7. 上記処理液供給手段は、上記処理液供給開始位置と上記基板の回転中心とを通る直線の基板上面への投影直線よりも基板回転方向に関して上流側の扇形領域内に処理液を供給するものであることを特徴とする請求項記載の基板処理装置。
  8. 上記基板保持回転手段に保持された基板の上面に近接した位置に、その基板の上面に対向して配置される対向板をさらに含むことを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の基板処理装置。
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