JP3808634B2 - 感熱記録材料および感熱記録材料の製造方法 - Google Patents
感熱記録材料および感熱記録材料の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱記録材料および感熱記録材料の製造方法に関し、より詳細には、塗布面が均一であり、耐薬品性等に優れ、サーマルヘッドとのスティキング及び被りが少なく、画質が良好な感熱記録材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録材料は、安価であり、その記録機器はファクシミリや各種プリンター等のようにコンパクトでかつ保守も容易であるため、広い分野で使用されてきている。ところで、感熱記録材料は、一般に耐水性、耐薬品性、耐可塑剤性等に劣っているため、例えば、発色画像に水、油、プラスチックに含まれている可塑剤等と接触すると、画像濃度が著しく低下してしまうことがある。また、その表面性状が均一でないため、スティッキングを起こし、画像を低下させてしまうことがある。
【0003】
このような問題を解決するため、例えば、特開昭59−106995号公報等には、感熱記録層上にアセトアセチル化ポリビニルアルコール系樹脂および/または少なくともアクリロニトリルを共重合成分とするポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする保護層を設けて感熱記録材料の耐水性を向上させる技術が提案されている。また、特開平5−262038号公報には、感熱記録層に特定の構造を有するポリビニルアルコールを含有させ、画像の保存性等を向上させる技術が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記水溶性樹脂を含有する塗布液は、急激に粘度が上昇するため、安定的に塗工ができないという問題がある。また、水溶性樹脂が溶液中でゲル化し、塗布液の寿命が短い等の欠点もある。さらに、これらの塗布液を用いて実際に保護層等を作製すると、塗布液中のバインダーの一部が不溶化することがあり、その結果、保護層等の表面に凹凸ができ、感熱記録材料の表面性状が悪化することもある。表面性状の悪化は、印字の際のサーマルヘッド等のスティッキングによる面状欠陥等を生じさせ、画質の低下を招くことになる。
特公平1−17479号公報には、塗布面上の著しいハジキ跡に起因するスティキングなどを改善するために、保護層にアルキルスルホコハク酸塩を含有せしめ、表面張力を調製する方法が提案されている。しかしながら、このような方法では、鹸化度の高いPVAなど結晶性が高い水溶性樹脂を使用する場合、経時的に塗布液中にPVAの一部が析出するため均一な表面性状の層を形成することができない。
【0005】
本発明は、耐薬品性および耐水性に優れるとともに、表面性状が良好で、印字の際のサーマルヘッド等のスティッキングが発生しない、高画質な画像を形成し得る感熱記録材料を提供すること、および該感熱記録材料を安定的に製造し得る感熱記録材料の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の感熱記録材料は、少なくとも1層に水溶性樹脂と、安定化剤として下記一般式(A)で表わされる化合物および下記一般式(B)で表わされる化合物を含有する構成とした。
【0007】
【化5】
【0008】
一般式(A)において、R0 、R1 は炭素数6〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。Mはアルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアンモニウムを表す。
一般式(B)において、R2 は炭素数3〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。
【0012】
さらに、本発明は、
(1)水溶性樹脂と、前記安定化剤とを水中で加熱しつつ攪拌して水溶性樹脂溶液を調製する工程と、
(2)該水溶性樹脂溶液にさらに固体または液体成分を添加して塗布液を調製する工程と、
(3)該塗布液を支持体上に塗布し、乾燥して層を形成する工程
とを含む感熱記録材料の製造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
1.感熱記録材料
本発明の感熱記録材料は、支持体上に1以上の層を設けてなる感熱記録材料であって、少なくとも1層に水溶性樹脂と、安定化剤を含有する。安定化剤としては、下記(I)を必須成分として、下記(II)を任意成分として用いる。
(I)一般式(A)で表わされる化合物および一般式(B)で表わされる化合物
(II)一般式(C)で表わされる化合物
これらの安定化剤は、溶解状態にある水溶性樹脂を安定化し、水溶性樹脂が凝集し、沈殿するのを防止する機能を有する。そのため、上記安定化剤を含有する保護層や記録層には、水溶性樹脂の凝集等が起こらず、層表面が高い平滑性を有する感熱記録材料となる。
【0014】
(I)および(II)の安定化剤について、以下に各々説明する。
(I)一般式(A)で表わされる化合物および一般式(B)で表わされる化合物
【0015】
【化7】
【0016】
一般式(A)において、R0 、R1 は炭素数6〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。炭素数5以下では安定性が低下し、炭素数21以上では安定化剤の水溶性が低下するので好ましくない。アルキル基は、直鎖状のものであっても分岐状のものであってもよい。アルキル基、アリール基、およびアラルキル基の例としては、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、およびオクチルナフチル基等が挙げられる。アルキル基、アリール基、およびアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基等が挙げられる。
【0017】
Mはアルカリ金属(Na、K、Li等)、アンモニウム基(NH4 −)、アルキルアンモニウム基(R10−NH3 −)、またはアルカノールアンモニウム基(−R11(OH)NH3 −)のいずれかを表わす。アルキルアンモニウム基のアルキル基(R10)としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。また、アルカノールアンモニウム基のアルキレン基(R11)としては、アルキルアンモニウム基で例示したアルキル基から1個水素原子を除いた構造のアルキレン基が挙げられる。
【0018】
一般式(B)において、R2 は、炭素数3〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。アルキル基は、直鎖状のものであっても分岐状のものであってもよい。アルキル基、アリール基、およびアラルキル基の例としては、プロピル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、オクチルナフチル基等が挙げられる。アルキル基、アリール基、およびアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基等が挙げられる。
【0019】
(II)一般式(C)で表わされる化合物
【0020】
【化8】
【0021】
一般式(C)において、R3 は炭素数8〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。炭素数7以下では塗布液の安定性が低下し、21以上では安定化剤の水溶性が低下するので好ましくない。アルキル基は、直鎖状のものであっても分岐状のものであってもよよい。アルキル基、アリール基、およびアラルキル基の例としては、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、ノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、オクチルナフチル基等が挙げられる。アルキル基、アリール基、およびアラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル基等が挙げられる。
R4 はH、または−(CH2 )m −OSO3 Xを表わす。Xは一価のアルカリ金属、アンモニウム又はアルカノールアンモニウムを表し、一般式(A)のMと同様である。nは3〜20の整数を示し、好ましくは7〜18である。mは0〜6の整数を示し、好ましくは、2〜4である。
【0022】
安定化剤の固形分含有率が、水溶性樹脂に対して0.01重量%以上10重量%以下であるのが好ましく、0.1重量%以上5重量%以下となるのが特に好ましい。この割合で安定化剤を添加すると、効率よく水溶性樹脂を安定化できる。安定化剤として一般式(A)で表わされる化合物と、一般式(B)で表わされる化合物とを併用する場合は、その割合が重量比で、97/3〜20/80であるのが好ましく、96/4〜30/70であるのがより好ましい。一般式(B)で表わされる化合物の重量比がこの範囲より低下すると、塗布液の安定性が低下し、この範囲より大きくなるとぬれ性が低下する。これは、安定化剤全体の固形分含有率を上げることで改善されるが、製造コストの引き上げをもたらすことになる。
【0023】
水溶性樹脂としては、従来公知の材料を広く用いることができる。例えば、ポリビニルアルコール、エチレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。感熱記録材料用の塗布液としては、ポリビニルアルコール系樹脂が好ましく、特にエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましい。
【0024】
結晶性の高い水溶性樹脂を用いて塗布液を調製すると、該塗布液を用いて作製した層の耐水性および耐薬品性が向上する。従って、感熱記録材料に高い耐水性等が要求される場合には、結晶性の高い水溶性樹脂を用いるのが好ましい。水溶性樹脂の結晶性は、樹脂の重合度や鹸化度等に応じて変化するので、これらの値を適当な値にすることにより樹脂の結晶性を調整すればよい。例えば、ポリビニルアルコールの場合は、鹸化度、およびエチレン変性度によって、結晶性は変化する。エチレン変性ポリビニルアルコールを水溶性樹脂として用いる場合は、鹸化度が80%モル以上のものが、結晶性が高くなるので好ましい。特に好ましくは88%モル以上99.8%モル以下である。
【0025】
水溶性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコールを用いる場合は、エチレン変性度は1モル%〜20モル%であるのが好ましく、4モル%〜12モル%であるのが特に好ましい。エチレン変性度がこの範囲未満であると耐水性が低下し、この範囲を超えると水溶性が低下する。エチレン変性ポリビニルアルコールは、その特性及び塗液安定性に悪影響を及ぼさない範囲で他の官能基でさらに変性されていてもよい。前記他の官能基の具体例としては、カルボキシル基、末端アルキル基、アミノ基、スルホン酸基、末端チオール基、シラノール基、アミド基などが挙げられる。前記エチレン変性ポリビニルアルコールに溶解性を付与する観点からは、これらの中でもカルボキシル基変性、アミノ基変性スルホン酸基等が有効である。
【0026】
本発明の感熱記録材料は、支持体上に感熱記録層のみが形成された単層構造、さらにその上に保護層が設けられた2層構造、および感熱記録層を複数有する多色用の多層構造、さらに2以上の感熱記録層間に中間層が設けられている多層構造の感熱記録材料のいずれであってもよい。感熱記録材料が単層構造の場合は、該層に前記水溶性樹脂と前記安定化剤とが含有されていて、2以上の層を有する多層構造の場合は、1以上の層に前記水溶性樹脂と前記安定化剤とが含有されている感熱記録材料である。感熱記録材料を構成している層(保護層、感熱記録層または中間層のいずれであってもよい。)の少なくとも1つに前記水溶性樹脂と前記安定化剤が含有されていればよい。中でも、最表面層である保護層に前記水溶性樹脂と前記安定化剤が含有されていると、サーマルヘッドのスティッキング等を最も効果的に防止できるので好ましい。
【0027】
前記水溶性樹脂は、層を形成するためのバインダーである。各層の目的に応じて、水溶性樹脂には他の成分が混合される。
以下、感熱記録層、保護層、中間層について説明する。
<感熱記録層>
感熱記録層は、熱によって発色する発色成分を少なくとも含有する。発色成分としては、以下のものが挙げられる。
(イ)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組合せ。
(ロ)ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ。
(ハ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀のような有機金属塩とプロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノンのような還元剤との組合せ。
(ニ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄のような長鎖脂肪族塩と没食子酸、サリチル酸アンモニウムのようなフェノール類との組合せ。
【0028】
(ホ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸などのニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウムのようなアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾンのような有機キレート剤との組合せ。
(ヘ)銀、鉛、水銀のような重金属、ナトリウムのようなアルカリ金属の硫酸塩と、Na−テトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素のような硫黄化合物との組合せ。
【0029】
(ト)ステアリン第二鉄のような脂肪族第二鉄塩と、3、4−ヒドロキシテトラフェニルメタンのような芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(チ)蓚酸塩、蓚酸水銀のような有機貴金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコールのような有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(リ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄のような脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
【0030】
(ヌ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛のような有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素のようなチオ尿素誘導体との組合せ。
(ル)ステアリン第二鉄、ステアリン酸銅のような高級脂肪酸重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(ヲ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ワ)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
【0031】
これらの中でも、本発明においては、(イ)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組み合わせ、(ロ)ジアゾ化合物とカプラーとの組み合わせ、および(ハ)有機金属塩と還元剤との組み合わせが好ましく、特に(イ)および(ロ)の場合が好ましい。これらの発色成分が呈する色相は、組み合わせられた各々の化合物が反応して生じる色素(例えば、(ロ)の場合は、ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応により生成するジアゾ色素)の構造により主に決定される。従って、所望の色相を発色する色素を生成するように、組み合わせられる化合物の化学構造を適宜選択すればよい。
以下に、(イ)〜(ハ)の各々について例示化合物を挙げて説明する。
【0032】
(イ)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組合せ
−電子供与性染料前駆体−
電子供与性染料前駆体としては、エレクトロンを供与して、或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有するものであって、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、顕色剤である電子受容性化合物と接触してこららの部分骨格が開環若しくは開裂する化合物が用いられる。例えば、トリフェニルメタンフタリド、インドリルフタリド等のフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロジピラン系化合物、ピリジン系化合物、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物など各種の電子供与性無色染料化合物が挙げられる。
【0033】
前記フタリド系化合物の具体例としては、米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細書第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号、同第3,509,174号等に記載されたものが挙げられる。
前記フルオラン系化合物の具体例としては、例えば、米国特許明細書第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3,959,571号等に記載されたものが挙げられる。
前記スピロジピラン系化合物の具体例としては、例えば、米国特許明細書第3,971,808号等に記載されたものが挙げられる。
前記ピリジン系化合物及びピラジン系化合物の具体例としては、例えば、米国特許明細書第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載されたものが挙げられる。
前記フルオレン系化合物の具体例としては、例えば、特開昭63−94878号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0034】
−電子受容性物質−
電子受容性物質としては、従来から公知のフェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等の化合物などが挙げられる。これらの例としては、特公昭40−9309号公報、同45−14039号公報、特開昭562−140483号公報、同48−51510号公報、同57−210886号公報、同58−87089号公報、同59−11286号公報、同60−76795号公報、同61−95988号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0035】
これらの具体例としては、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、2,2’−ジヒドロキシビフェニール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4−ヒドロキシフエニル−3’,4’ジメチルフエニルスルホン、4−(4−イソプロポキシフエニルスルホニル)フエノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、1,4−ビス−(4’−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,3−ビス−(4’−ヒドロキシクミル)ベンゼン、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−クミル−5−t−オクチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、3−フェニル−5−t−オクチルサリチル酸、3−メチル−5−α−メチルベンジルサリチル酸、3−メチル−5−クミルサリチル酸、3,5−ジ−t−オクチルサリチル酸,3,5−ビス(α−メチルベンジル)サリチル酸,3−クミル−5−フェニルサリチル酸、5−n−オクタデシルサリチル酸、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3,5−ビス−t−オクチルサリチル酸、4−β−ドデシルオキシエトキシサリチル酸、4−メトキシ−6−ドデシルオキシサリチル酸、4−β−フェノキシエトキシサリチル酸、4−β−p−エチルフェノキシエトキシサリチル酸、4−β−p−メトキシフェノキシエトキシサリチル酸等及びこれらの金属塩等が挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
電子受容性物質の使用量としては、電子供与性染料前駆体の50〜800重量%が好ましく、100〜500重量%がより好ましい。使用量が、800重量%を越えても電子受容性物質を多量に添加することに見合う効果が得られず、50重量%未満であると発色が不十分になることがあり、いずれも好ましくない。
電子受容性物質と電子供与性染料前駆体を発色成分として水溶性樹脂の水溶液中に混合する場合は、電子受容性物質と電子供与性染料前駆体とを、同一の水溶性樹脂の水溶液に混合してもよいし、各々水溶性樹脂の水溶液に混合し、得られた2種の混合液をさらに混合してもよい。その他、発色助剤等の成分を混合してもよい。
【0037】
(ロ)ジアゾ化合物とカプラーの組み合わせ
−ジアゾ化合物−
ジアゾ化合物としては、カプラーと反応して発色するものは広く使用することができるが、光定着用の感熱記録材料に応用する場合は、特定の波長の光を受けると分解する光分解性ジアゾ化合物が好ましい。このようなジアゾ化合物としては、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスルホネート化合物、およびジアゾアミノ化合物等が挙げられる。ジアゾ化合物の具体例としては、特開昭60−184880号公報、同61−172789号公報、特開平2−147285号公報、特願平5−297024号公報、同5−122865号公報、同5−278608号公報等に記載された化合物が好適に挙げられる。
【0038】
例えば、1−ジアゾ−4−ジメチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−メチル−N−n−ドデシルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−エチル−N−n−ドデシルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−モルホリノベンゼン、1−ジアゾ−4−メチルベンジルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、1−ジアゾ−2−メトキシ−4−ジエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−2−n−ブトキシ−4−ジ−n−ブチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−2−n−ヘキシルオキシ−4−ジ−n−ヘキシルアミノベンゼン、1−ジアゾ−2−n−オクチルオキシ−4−ジ−n−オクチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−2−n−ヘキシルオキシ−4−ビス(2−シアノエチルアミノ)ベンゼン、1−ジアゾ−2−n−ヘキシルオキシ−4−N−n−ヘキシル−N−(1−メチル−2−p−メトキシフエノキシエチルアミノ)ベンゼン、1−ジアゾ−5−ブトキシ−2−クロル−4−ジメチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−5−メトキシ−2−クロル−4−ピペラジノベンゼン、1−ジアゾ−4−モルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−ピロリジノ−3−メトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(2−エチルヘキサノイルピペリジノ)−2,5−ジブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−〔α−(2,4ージtert−アミルフェノキシ)ブチリルピペリジノ〕ベンゼン、1−ジアゾ−2−N,N−ジエチルカルバモイル−5−エトキシ−4−ジエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−2−p−トリルチオ−5−フエノキシ−4−ジエチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−4′−メトキシスチルベン、1−ジアゾ−4−p−トリルチオ−2,5−ジエトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−p−トリルチオ−2,5−ジ−n−ブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(p−クロロフエニルチオ)−2,5−ジ−n−ブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(p−クロロフエニルチオ)−2,5−ジ−n−ブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(p−クロロフエニルチオ)−2,5−ジ−n−ペンチルオキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(4−メトキシフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(N,N−ジオクチルアミノカルボニル)ベンゼン、1−ジアゾ−4−(4−t−オクチルフェノキシ)ベンゼン、1−ジアゾ−4−(4−メトキシベンズアミド)−2,5−ジエトキシベンゼンなどが挙げられる。
【0039】
ジアゾ化合物は、酸アニオンとのジアゾニウム塩の形で塗布液中に含有させるのが好ましく、対アニオンの例としては、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルカルボン酸、炭素数1から9までのポリフルオロアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン酸、芳香族スルホン酸アニオン等が挙げられる。ジアゾ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
−カプラー−
カプラーとしては、塩基性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであれば特に制限はなく、いずれの化合物も可能である。例えば、特開平1−67379号公報、同2−54250号公報、同4−53794号公報、特願平6−18669号公報、同6−18670号公報などに記載されたものが好ましい。具体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モリホリノプロピルアミド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルホニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフエニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フエニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフエニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−ジシクロヘキシルバルビツール酸、1,3−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、1−n−オクチル−3−n−オクタデシルバルビツール酸、1−フエニル−3−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフエニル)バルビツール酸,1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)2−ピリドン、2−〔3−〔α−(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタンアミド〕ベンズアミド〕フェノール、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2,5−ジ−n−ヘプチルオキシ−1−アセトアセトアミドベンゼン、2,5−ジ−n−ブトキシ−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルフアモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、2′,5′−ジ−n−ヘプチルオキシベンズアミド、1−(4−n−オクチルオキシフエニル)−3−t−ブチル−5−アミノピラゾールなどが挙げられる。
【0041】
ジアゾ化合物とカプラーのカップリング反応を促進する目的で、有機の塩基性物質を併用してもよい。塩基性物質としては、特願昭63−23490号明細書、特開平1−63187号公報などに記載されている。前記塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒素化合物が挙げられる。具体的には、N,N' −ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N' −ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N' −ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N' −ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N' −ビス〔3−(βーナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(βーナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N' −メチルピペラジン、1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(βーナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フエノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフエニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフエニルグアニジン等のグアニジン類などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
ジアゾ化合物とカプラーを、発色成分として水溶性樹脂の水溶液中に混合する場合は、常温でジアゾ化合物とカプラーが反応して発色してしまわないように、ジアゾ化合物をマイクロカプセル化した後、水溶性樹脂の水溶液中に添加するのが好ましい。例えば、ジアゾ化合物をマイクロカプセル化し、得られたマイクロカプセル(ジアゾ化合物を内包)を、水溶性樹脂の水溶液に混合する。別途、カプラーおよび塩基性化合物を水溶性樹脂の水溶液に混合して、適当な乳化助剤と共に乳化させる。その後、2種の混合液を混合し塗布液を製造することができる。マイクロカプセル化の方法としては、一般的に行われている方法を広く用いることができ、例えば、特開平2−141279号公報等に記載されている方法が好適に用いられる。
カプラーとジアゾ化合物の配合割合は、ジアゾ化合物1重量部に対し、カプラーが0.1〜30重量部となるのが好ましく、さらに、塩基性物質がジアゾ化合物1重量部に対し、0.1〜30重量部となるのが好ましい。
【0043】
(ハ)有機金属塩と還元剤との組み合わせ
有機金属塩と還元剤との組合せにおける有機金属塩としては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酢酸、パルミチン酢銀、ステアリン酸銀、アラキン酢銀及びベヘン酢銀のような長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩、ベンソトリアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾール銀塩及びフタラジノン銀塩のようなイミノ基を有する有機化合物の銀塩、s−アルキルチオグリコーレートのような硫黄含有化合物の銀塩、安息香酸銀及びフタル酢銀のような芳香族カルボン酸の銀塩、エタンスルホン酸銀のようなスルホン酸の銀塩、o−トルエンスルフィン酸銀のようなスルフィン酸の銀塩、フェニルリン酸銀のようなリン酸の銀塩、バルビツール酸銀、サッカリン酸銀、サリチルアルドキシムの銀塩及びこれらの任意の混合物がある。これらの化合物の中、長鎖脂肪族カルボン酸銀塩が好ましく、特にベヘン酸銀が好ましい。また、ベヘン酸を、ベヘン酸銀と共に使用しても良い。
【0044】
還元剤としては、特開昭53−1020号公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第11行目の記載に基づいて適宜使用することができるが、特に、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノール類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキシナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レダクトン類、ヒドロオキサミン類、ヒドラジド類、アミドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用することが好ましい。
これらの化合物の内、特に好ましいものは、ポリフェノール類、スルホンアミデフェノール類及びナフトール類等の芳香族有機還元剤である。
【0045】
その他、感熱記録層には、感熱記録材料の用途に応じて、熱可融性物質、紫外線吸収剤、顔料、増感剤、ワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染料、界面活性剤、紫外線吸収剤プリカーサー等を、添加することもできる。
【0046】
<保護層>
保護層には、感熱記録材料の用途に応じて、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤、紫外線吸収剤プリカーサー等を含有させることができる。
前記顔料としては、公知の有機又は無機の顔料が挙げられる。具体的には、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。
前記滑剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスなどが好適に挙げられる。
前記界面活性剤としては、フッ素系の界面活性剤などが好適に挙げられる。
【0047】
<中間層>
中間層には、感熱記録材料の用途等に応じて、前記保護層用塗布液の場合と同様に、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金属石鹸、紫外線吸収剤、紫外線吸収剤プリカーサー等を含有させることができる。
【0048】
<支持体>
支持体としては、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルム等が用いられる。また、支持体上に、下塗り層を設けてもよく、この場合、下塗り層を、前記水溶性樹脂と前記安定化剤とを含有する層としてもよい。
【0049】
<多色感熱記録材料>
多色の感熱記録材料については、その詳細が、例えば、特開平4−135787号公報、同4−144784号公報、同4−144785号公報、同4−194842号公報、同4−247447号公報、同4−247448号公報、同4−340540号公報、同4−340541号、同5−34860号等に記載されている。これらの多色感熱記録材料は多層構造であり、異なる色相に発色する感熱記録層が積層されている。各感熱記録層の発色色相を減色混合における3原色、即ちイエロー、マゼンタ及びシアンとなるように選択しておけば、フルカラーの画像記録が可能となる。感熱記録層や中間層に水溶性樹脂とともに前記安定化剤が含有されていてもよいが、特に保護層に水溶性樹脂と前記安定化剤が含有されているのが好ましい。
【0050】
2.感熱記録材料の製造方法
本発明の感熱記録材料は、塗布液を調製して、これを支持体上に塗布し、乾燥して層を形成することにより作製することができる。塗布の順番、塗布の回数によって、単層構造〜多層構造の種々の構成の感熱記録材料を作製することができる。前記水溶性樹脂と前記安定化剤とを含有する塗布液の調製は、水溶性樹脂と安定化剤とその他の成分(例えば、感熱記録層用の塗布液を調製する場合は発色成分等)を同時に水中で攪拌することにより行っても良いが、塗布液の安定性や、作製される層の表面性状が良好になるので、以下の工程により調製するのが好ましい。
【0051】
まず、(1)水溶性樹脂と、安定化剤とを水中で加熱しつつ攪拌して水溶性樹脂溶液を調製し、次に(2)該水溶性樹脂溶液にさらに固体または液体成分を添加して塗布液を調製する。
(1)の工程では、安定化剤と水溶性樹脂とを混合した後、該混合物に水を添加するか、または、水に安定化剤と水溶性樹脂を別々に添加する。添加後、水中に安定化剤と水溶性樹脂が充分に分散するように攪拌し、さらに加熱しながら攪拌して水溶性樹脂の水溶液を得る。加熱は、攪拌開始と同時に行ってもよいし、室温のまま攪拌し、水溶性樹脂を均一に分散させた後、加熱を開始してもよい。後者のほうが、水溶性樹脂が水中で凝集して析出することなく攪拌できるので好ましい。加熱温度は、高温である程、塗布液調整の効率が向上して好ましいが、高温過ぎると水溶性樹脂の鹸化が進行し、水溶性樹脂が析出する場合がある。加熱は、80℃以上100℃以下で行うのが好ましい。
【0052】
このように加熱混合することにより、水溶性樹脂の水溶液の液ライフが長期化する。従って、(2)の工程までに水溶性樹脂溶液を保存する必要がある場合にも、水溶性樹脂等の析出がなく、良好な液特性の塗布液が得られる。さらに、(2)の工程を経て製造される塗布液の保存安定性も改善される。
【0053】
(2)の工程では、前記水溶性樹脂の水溶液に固体または液体の成分を混合する。固体または液体の成分は、塗布液の用途に応じて選択される。例えば、感熱記録層用塗布液の場合は、発色成分と、その他、増感剤、界面活性剤、カブリ防止剤、滑り剤等の添加剤等を、保護層用および中間層用塗布液の場合は、顔料や紫外線吸収剤や前記添加剤等が挙げられる。固体成分は、粉末、結晶、いずれの固体状態であってもよい。液体成分は、均一液、分散液、乳化液等、いずれの液体状態であってもよい。水溶性樹脂の水溶液中に、固体または液体の成分を混合するには、例えば、ミキサー、ディソルバー、アトライター、およびサンドミル等の公知の混合装置を用いて均一に混合することができる。
【0054】
支持体上(直接塗布する場合はおよび、他の層を介して塗布する場合の双方を含む。)に前記方法によって得られた各層用の塗布液を塗布し、乾燥することにより各層を形成することができる。塗布液の塗布は、例えば、バーコーター法、エアナイフコーター法、ブレードコーター法、グラビヤコーター法、スプレーコーター法、ディップコーター法、カーテンコーター法等の方法に従って行うことができる。これらの中でも、カーテンコーター法が好ましく、自由落下カーテン膜を形成して、走行する支持体に衝突させる自由落下カーテン塗布法が特に好ましい。この自由落下カーテン塗布法によると、塗布面に泡等が生ずることなく、均一で良好な塗布面性状が得られるので好ましい。
【0055】
塗布量については、特に制限なく、感熱記録材料の用途等に応じて決定すればよいが、感熱記録層用塗布液が電子供与性染料を発色成分として含有する場合は、該染料の塗布量は、通常、0.1〜2.0g/m2 程度であり、好ましくは、0.2〜1.5g/m2 である。感熱記録層用塗布液がジアゾ化合物を発色成分として含有する場合は、該ジアゾ化合物の塗布量は、通常、0.05〜5.0g/m2 である。また、各層の塗布液中に含まれている水溶性樹脂の塗布量が、0.4〜5g/m2 であるのが好ましく、0.8〜1.6g/m2 がより好ましい。
【0056】
本発明の感熱記録材料は、ファクシミリや各種プリンターの、単色および多色用の記録紙として好適に用いられる。
【0057】
【実施例】
以下、本発明を実施例により、より詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、以下に記載される「部」、「%」は、特に断らない限り、それぞれ「重量部」、「重量%」を示す。
実施例1
エチレン変性ポリビニルアルコール(エチレン変性度10モル%、鹸化度98.5モル%、重合度550、以下「PVA−1」という。)7.0gと、安定化剤−1(一般式(A)のR0 およびR1 が2−エチルヘキシル基、Mがナトリウムである化合物)80mgと、安定化剤−2(一般式(B)のR2 が2−エチルヘキシル基である化合物)40mgと、水を92.0g加えて充分分散した後、95℃で2時間攪拌して、溶解した。その後、室温まで冷却して、濃度を調製して7.0%PVA−1溶液を調製した。
【0058】
【化9】
【0059】
2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン(電子供与性無色染料−1)と、4−β−p−メトキシフェノキシエトキシサリチル酸亜鉛(電子受容性化合物−1)と、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン(ヒンダートフェノール−1)と、シュウ酸ジベンジルエステル(増感剤−1)とを、各々20gずつ別々に前記7%PVA−1水溶液100gに混合した。一昼夜ボールミルで分散し、平均粒径1.5μm以下の分散液を各々得た。また炭酸カルシウム(顔料−1)80gをヘキサメタリン酸ソーダ0.5%溶液160gと共に、ホモジナイザで分散し顔料−1の分散液を得た。
【0060】
以上のようにして作製した各分散液を、電子供与性無色染料−1の分散液5g、電子受容性化合物−1の分散液10g、ヒンダートフェノール−1の分散液3g、増感剤−1の分散液10g、顔料−1の分散液5g、21%ステアリン酸亜鉛エマルジョン3gの割合で混合して、感熱記録層用塗布液を得た。
この感熱記録層用塗布液を秤量50g/m3 の上質紙上に、メイヤーバーを用いて塗布層の乾燥重量が5g/m3 になるように塗布し、50℃で1分間乾燥して感熱記録層を作製し、支持体と感熱記録層からなる感熱記録紙を得た。
【0061】
実施例2
実施例1のPVA溶液の調製において、PVA−1の代わりに、他のポリビニルアルコール(エチレン変性度7.5モル%、鹸化度98.5モル%、重合度1000、以下「PVA−2」という。)を用いた以外は実施例1と同様に感熱記録紙を製造した。
実施例3
実施例1のPVA溶液の調製において、PVA−1の代わりに、他のポリビニルアルコール(「PVA110」、クラレ社製:鹸化度98.5モル%、重合度1000、以下「PVA−3」という。)を用いた以外は実施例1と同様に感熱記録紙を製造した。
【0062】
実施例4
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−1を100mg、安定化剤−2を20mg用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を製造した。
実施例5
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−1を40mg、安定化剤−2を80mg用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
実施例6
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−1を25mg、安定化剤−2を95mg用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
実施例7
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−1を115mg、安定化剤−2を5mg用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
【0063】
実施例8
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−1の代わりに安定化剤−3(一般式(A)のR0 およびR1 が4−メチルペンチル基、Mがナトリウムである化合物)を80mg用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
【0064】
【化10】
【0067】
実施例9
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−2の代わりに、安定化剤−4(一般式(B)のR2 が−(iso)C3 H7 である化合物)を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
実施例10
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−2の代わりに、安定化剤−5(一般式(B)のR2 が−(n)C8 H17である化合物)を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
実施例11
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−2の代わりに、安定化剤−6(一般式(B)のR2 が−(n)C16H33である化合物)を用いた以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
【0068】
比較例1
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−1および安定化剤−2を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
比較例2
実施例1のPVA溶液の調製において、安定化剤−2を使用しなかった以外は、実施例1と同様に感熱記録紙を作製した。
【0069】
評価
液ライフの評価
実施例1〜実施例11および比較例1〜比較例2のPVA溶液、および感熱記録層用塗布液を各々3日間放置し、析出物の有無および、液の粘度上昇の有無を調べた。その後、PVA溶液については8mmφの1ミクロンフィルターを用いて、感熱記録層用塗布液については8mmφの30ミクロンフィルターを用いて、ろ過して、PVA溶液および感熱記録層用塗布液のろ過性を各々調べた。放置後も液の粘度が上昇してないと、液の液ライフが長いことになる。また、液のろ過時に、ろ過圧が高くならないものほど、液ライフが長いことになる。以下の基準で、各々の液ライフを評価した。
A:粘度上昇が認められず、ろ過を必要とせず、液ライフは極めて良好であった。
B:粘度は若干上昇しているが、200mlをろ過しても、ろ圧の上昇がなく、液ライフは良好である。
C:粘度は上昇しているが、200mlをろ過することができ、液ライフは普通であった。
D:粘度はかなり上昇していて、200mlろ過することができず、液ライフはやや悪かった。
E:液内に結晶性の析出物が観察され、ろ過できず、液ライフは悪かった。
【0070】
画像の画質評価
実施例1〜実施例11および比較例1〜比較例2で作製した感熱記録紙に、濃度0.8〜1.0の同一の画像パターンをサーマルヘッドにて印画し、目視にて画像を観察し、面状欠陥(長径0.1mm〜1.5mmの凹凸)の発生による画質の低下の度合いを評価した。以下の基準で、得られた画像の画質を評価した。C以上が実用可能なレベルである。
A:面状欠陥はなく、画質は極めて良好であった。
B:面状欠陥が若干観察されるが、画質は良好であった。
C:面状欠陥が若干観察されるが、画質は普通程度であった。
D:面状欠陥が観察され、画質はやや悪かった。
E:面状欠陥がかなり観察され、画質は悪かった。
【0071】
実施例1〜実施例11および、比較例1〜比較例2の評価結果を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1の結果から、感熱記録層中に、安定化剤として一般式(A)で表わされる化合物と一般式(B)で表わされる化合物を含有すると、画像中に面状欠陥が発生せず、高画質な画像を形成できることが実証された。また、これらの安定化剤を塗布液中に添加すると、塗布液の保存性が向上することが実証された。
【0074】
実施例12
実施例1と同様に7重量%PVA−1溶液を調製した。この7重量%PVA−1溶液44部に、水25部、20.5重量%ステアリン酸亜鉛分散液(「ハイドリンF115」、中京油脂社製)2.0部、フッ素系離型剤(「ME−313」、ダイキン社製)3.0部、および小麦デンプン(「KF−4」、龍島澱粉社製)0.5部を添加し、均一に攪拌した(以下「母液」という。)。
【0075】
別途、イオン交換した20重量%カオグロス(白石工業社製)水溶液12.5部、ポイズ532A(花王社製)0.06部、ハイドリンZ−7(中京油脂社製)1.87部、10重量%ポリビニルアルコール(「PVA105」、クラレ社製)1.25部、および2重量%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.30部を混合し、ダイノミルにて微分散を行い、顔料分散液を得た。
この顔料分散液4.4部を、母液30部に添加し、30分以上攪拌して保護層用塗布液を製造した。
【0076】
実施例1で作製した感熱記録紙上に、得られた保護層用塗布液を塗布層の乾燥重量が1.23g/m3 になるように塗布し、50℃で1分間乾燥して保護層を作製し、支持体、感熱記録層、および保護層からなる感熱記録紙を得た。
【0077】
実施例13
実施例1で作製した感熱記録紙の代わりに、比較例1で作製した感熱記録紙を用いた以外は、実施例12と同様に感熱記録紙を作製した。
実施例14
保護層用塗布液の調製において、安定化剤−1および安定化剤−2を添加しなかったPVA−1溶液を用いた以外は、実施例12と同様に感熱記録紙を作製した。
【0078】
比較例3
実施例1で作製した感熱記録紙の代わりに、比較例1で作製した感熱記録紙を用い、また、保護層用塗布液の調製において、安定化剤−1および安定化剤−2を添加しなかったPVA−1溶液を用いて実施例12と同様に感熱記録紙を作製した。
【0079】
実施例12〜実施例14および比較例3について、前記と同様な液ライフおよび画質の評価を行った。感熱記録層用の塗布液の液ライフ評価については、実施例1または比較例1と同様であるので省略し、保護層用塗布液の液ライフについてのみ評価した(但し、実施例14については、評価を省略した。)。尚、保護層用塗布液の液ライフ評価は、前記感熱記録層塗布液の評価と同様に行った。結果を以下の表2に示す。
【0080】
【表2】
【0081】
表2の結果から、保護層中に安定化剤−1および安定化剤−2が含有されていると、画像に面状欠陥が発生しづらく、高画質な画像を形成し得ることが実証できた。また、感熱記録層のみに安定化剤が含有されている場合であって、保護層には安定化剤が含有されていない場合(実施例14)であっても、面状欠陥の発生が低減できることが分かった。
【0082】
実施例15
実施例12と同様に保護層用塗布液を調製し、さらに、以下の様に光透過率調整層用塗布液、および感熱記録層用塗布液を作製した。
光透過率調整層用塗布液の製造
構造式(1)の化合物1.5部、構造式(2)の化合物(還元剤)0.5部、酢酸エチル6.0部、およびリン酸トリクレジル0.8部を混合して充分に溶解した。カプセル壁材としてキシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン(75%酢酸エチル溶液:「タケネートD110N」、武田薬品社製)3.0部をこの溶液に添加し、均一になるように攪拌した。別に、8重量%のカルボキシ変性ポリビニルアルコール(「KL−318」、クラレ社製)水溶液29.7部を用意し、先の溶液に添加し、ホモジナーザにて乳化分散した。乳化液を40部のイオン交換水に添加し、40℃で3時間攪拌して、カプセル化反応を行った。次に、7.0部のイオン交換樹脂(「アンバーライトMB−03」、オルガノ社製)を添加し、さらに1時間攪拌し、光透過率調製層用塗布液を作製した。カプセルの平均粒径は、0.35μmであった。
【0083】
【化12】
【0084】
感熱記録層用塗布液Aの製造
(ジアゾ化合物マイクロカプセル液の調製)
ジアゾ化合物として365nmに分解の最大吸収波長を有する構造式(3)の化合物2.8部、硫酸ジブチル2.8部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(「イルガキュア651」、チバ・ガイギ社製)0.56部を酢酸エチル19.0部に溶解した。さらに、高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニルを5.9部およびリン酸トリクレジル2.5部を先の溶液に添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75%酢酸エチル溶液:「タケネートD110N」、武田薬品社製)7.6部をこの溶液にさらに添加し、均一に攪拌した。別途、10重量%ドデシルスルホン酸ナトリウム溶液2.0部を加えた6重量%ゼラチン(「MGP−9066」、ニッピゼラチン工業社製)水溶液64部を用意し、先のジアゾニウム塩化合物溶液を添加し、ホモジナイザにて乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え、均一化した後、攪拌しながら40℃まで昇温し、3時間カプセル反応を行った。この後、35℃に液温を下げ、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)6.5部と、「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)13部とを加え、さらに1時間攪拌した。この後、イオン交換樹脂をろ過して、ジアゾ化合物マイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.64μmであった。
【0085】
【化13】
【0086】
(カプラー乳化分散液の調製)
カプラーとして構造式(4)の化合物を3.0部、トリフェニルグアニジン4.0部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン4.0部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールを8.0部、2−エチルヘキシル−4−ヒドロキシベンゾエート8.0部、および酸化防止剤として構造式(5)の化合物を2.0部、および1,1,3,−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタンを2.0部、酢酸エチル10.5部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるリン酸トリクレジル0.48部、マレイン酸ジエチル0.24部、バイオニンA41C(竹本油脂社製)1.27部を添加した後、加熱し、均一に混合した。別途調製した8重量%ゼラチン(「#750ゼラチン」、新田ゼラチン社製)水溶液93部に加えた後、ホモジナイザにて乳化分散した。残存する酢酸エチルを蒸発させ、カプラー乳化分散液を得た。
【0087】
【化14】
【0088】
前記ジアゾ化合物マイクロカプセル液と、カプラー乳化分散液と、さらにスチレン−ブタジエンゴム(「SBR:SN307」、住友ノーガタック社製)をそれぞれ、ジアゾ化合物とカプラーの含有重量比が1/2となるように、また、ジアゾ化合物とスチレン−ブタジエンゴムの含有重量比が、1/6.4となるように混合し、感熱記録層用塗布液Aを得た。
【0089】
感熱記録紙の製造
上質紙にポリエチレンをラミネートした支持体上に、ワイヤーバーで、感熱記録層用塗布液A、光透過率調製層用塗布液、および実施例16で製造した保護層用塗布液を各々、塗布量が乾燥重量で8.33g/m2 、2.50g/m2 、および1.23g/m2 となるように順次塗布し、乾燥して、3層構造の感熱記録紙を得た。
【0090】
実施例16
実施例12と同様に保護層用塗布液を調製した。また、実施例15と同様に、感熱記録層用塗布液Aおよび光透過率調製層用塗布液を調製した。さらに、以下の様に感熱記録層用塗布液Bおよび中間層用塗布液1を調製した。
感熱記録層用塗布液Bの製造
(電子供与性染料カプセル液の調製)
電子供与性染料前駆体として、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリドを0.39部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン0.19部、2,5−tert−オクチルハイドロキノン0.29部、構造式(5)の化合物0.27部を酢酸エチル0.93部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるフェネチルクメンを0.54部添加し、加熱して均一混合した。カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75重量%酢酸エチル溶液:「タケネートD110N」、武田薬品社製)1.0部を、この溶液にさらに添加し、均一に攪拌した。
【0091】
別途、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液0.07部を添加した6重量%ゼラチン(「MGP−9066」、ニッピゼラチン工業社製)水溶液36.4部を用意し、先の電子供与性染料前駆体溶液を添加し、ホモジナイザにて乳化分散し、乳化分散液を得た(以下、「一次乳化分散液」という。)。別途、3−(o−メチル−p−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド6.0部、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン3.0部、2,5−tert−オクチルハイドロキノン4.4部を、酢酸エチル14.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるフェネチルクメンを8.4部添加し、均一に攪拌した溶液に、先に用いた「タケネートD110N」を7.8部、メチレンジイソシアネート(「ミリオネートMR200」、日本ポリウレタン社製)5.9部を添加し、均一に攪拌した。この溶液と、10%ドデシルスルホン酸ナトリウム水溶液1.2部を、先に示した一次乳化分散液に添加し、ホモジナイザにて乳化分散し、乳化分散液を得た(以下、「二次乳化分散液」という。)。この二次乳化分散液に、水60.0部、ジエチレントリアミン0.4部を加え、均一化した後、攪拌しながら65℃に昇温して、3.5時間カプセル化反応を行い、目的の電子供与性染料カプセル液を得た。カプセルの平均粒径は、1.9μmであった。
【0092】
(電子受容性化合物分散液の調製)
電子受容性化合物としてビスフェノールP30部を、ゼラチン(「MGP−9066」、ニッピゼラチン工業社製)2.0重量%水溶液82.5部中に添加し、2重量%2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム水溶液7.5部を加えて、ボールミルにて24時間分散して、分散液を作製した。この分散液に、15重量%ゼラチン(「#750ゼラチン」、新田ゼラチン社製)水溶液36.0部を加え、均一に攪拌して、目的とする電子受容性化合物分散液を得た。分散液中の電子受容性化合物の平均粒径は0.5μmであった。
【0093】
電子供与性染料カプセル液と、電子受容性化合物分散液と、15重量%ゼラチン(「#750ゼラチン」、新田ゼラチン社製)水溶液、スチルベン系蛍光増白剤(「Whitex−BB」、住友化学社製)を各々、電子供与性染料/電子受容性化合物の含有重量比が1/14、電子供与性染料/「#750ゼラチン」の含有重量比が1.1/1、電子供与性染料/蛍光増白剤の含有重量比が5.3/1となるように混合し、目的の感熱記録層用塗布液Bを得た。
【0094】
中間層用塗布液1の製造
14重量%ゼラチン(「#750ゼラチン」、新田ゼラチン社製)水溶液に4重量%ホウ酸水溶液8.2部、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2重量%水溶液1.2部、(CH2 =CHSO2 CH2 CONHCH2 )−(CH2 NHCOCH2 SO2 CH=CH2 )とCH2 −(CH2 NHCOCH2 SO2 CH=CH2 )の3:1混合物(重量比)の2重量%水溶液7.5部を添加し、均一に攪拌し、目的の中間層用塗布液1を得た。
【0095】
感熱記録紙の製造
上質紙にポリエチレンをラミネートした支持体上に、ワイヤーバーで、感熱記録層用塗布液B、中間層用塗布液1、感熱記録層用塗布液A、光透過率調製層用塗布液、および実施例16と同様に調製した保護層用塗布液を塗布量が乾燥重量で各々、7.12g/m2 、3.28g/m2 、8.33g/m2 、2.50g/m2 、1.23g/m2 となるように塗布し、乾燥して、5層構造の感熱記録紙を製造した。
【0096】
実施例17
実施例12と同様に保護層用塗布液を調製した。また、実施例15と同様に、感熱記録層用塗布液Aおよび光透過率調製層用塗布液を調製し、実施例16と同様に感熱記録層用塗布液Bおよび中間層用塗布液1を調製した。さらに、以下の様に感熱記録層用塗布液Cおよび中間層用塗布液2を調製した。
感熱記録層用塗布液Cの製造
(ジアゾ化合物マイクロカプセル液の調製)
ジアゾ化合物として420nmに分解の最大吸収波長を有する構造式(6)の化合物3.5部、および構造式(7)の化合物0.9部を、酢酸エチル16.4部に溶解し、さらに高沸点溶媒であるイソプロピルビフェニル9.8部を添加し、加熱して均一に混合した。カプセル壁材として、キシリレンジイソシアナート/トリメチロールプロパン付加物(75%酢酸エチル溶液:「タケネートD110N」、武田薬品社製)4.5部、キシリレンジイソシアナート/ビスフェノールA付加物の30重量%酢酸エチル溶液4.2部をこの溶液にさらに添加し、均一に攪拌した。別途、界面活性剤としてScraphAG−8(日本精化社製)0.36部を添加した6重量%ゼラチン水溶液77部を用意し、先のジアゾニウム塩化合物溶液を添加し、ホモジナイザにて乳化分散した。得られた乳化液に水20部を加え、均一化した後、攪拌しながら40℃まで昇温し、3時間カプセル反応を行った。この後、35℃に液温を下げ、イオン交換樹脂「アンバーライトIRA68」(オルガノ社製)6.5部と、「アンバーライトIRC50」(オルガノ社製)13部を加え、さらに1時間攪拌した。この後、イオン交換樹脂をろ過した後、カプセル液10部に対して0.4部の1重量%ハイドロキノン水溶液を添加して攪拌した。このようにして、目的のジアゾ化合物マイクロカプセル液を得た。カプセルの平均粒径は0.91μmであった。
【0097】
【化15】
【0098】
(カプラー乳化分散液の調製)
カプラーとして構造式(8)の化合物を2.4部、トリフェニルグアニジン2.5部、1,1−(p−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン2.5部、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノールを3.6部、2−エチルヘキシル−4−ヒドロキシベンゾエート3.2部と、および構造式(9)の化合物を0.8部、酢酸エチル8.0部に溶解し、さらに「バイオニンA41C」(竹本油脂社製)1.0部を添加した後、加熱し、均一に混合した。別途、10重量%ゼラチン水溶液(「#750ゼラチン」、新田ゼラチン社製)水溶液75.0部に加えた後、ホモジナイザにて乳化分散した。残存する酢酸エチルを蒸発させ、目的とするカプラー乳化分散液を得た。
【0099】
【化16】
【0100】
前記ジアゾ化合物マイクロカプセル液と、カプラー乳化分散液と、さらにスチレン−ブタジエンゴム(「SBR:SN307」、住友ノーガタック社製)をそれぞれ、ジアゾ化合物とカプラーの含有重量比が1/3.2となるように、また、ジアゾ化合物とスチレン−ブタジエンゴムの含有重量比が、1/1となるように混合し、感熱記録層用塗布液Cを得た。
【0101】
中間層用塗布液2の製造
13%ゼラチン水溶液57部に、(4−ノニルフェノキシトリオキシエチレン)ブチルスルホン酸ナトリウムの2重量%水溶液0.4部、(CH2 =CHSO2 CH2 CONHCH2 )−(CH2 NHCOCH2 SO2 CH=CH2 )とCH2 −(CH2 NHCOCH2 SO2 CH=CH2 )の3:1混合物(重量比)の2重量%水溶液8.3部、「PVP−k15」(GAF五協産業社製)2.4部を添加し、均一に攪拌して目的とする中間層用塗布液2を製造した。
【0102】
感熱記録紙の製造
上質紙にポリエチレンをラミネートした支持体上に、メイヤーバーで、感熱記録層用塗布液B、中間層用塗布液1、感熱記録層用塗布液A、中間層用塗布液2、感熱記録層用塗布液C、光透過率調製層用塗布液、および実施例16で製造した保護層用塗布液を各々、塗布量が乾燥重量で7.12g/m2 、3.28g/m2 、8.33g/m2 、3.13g/m2 、8.06g/m2 、2.50g/m2 および1.23g/m2 となるように塗布し、乾燥して、7層構造の感熱記録紙を製造した。
【0103】
比較例4
保護層用塗布液調製に安定化剤−1および安定化剤−2を用いなかった以外は、実施例15と同様に3層構造の感熱記録紙を作製した。
比較例5
保護層用塗布液調製に安定化剤−1および安定化剤−2を用いなかった以外は、実施例16と同様に5層構造の感熱記録紙を作製した。
比較例6
保護層用塗布液調製に安定化剤−1および安定化剤−2を用いなかった以外は、実施例17と同様に7層構造の感熱記録紙を作製した。
【0104】
画像記録
実施例15および比較例4の感熱記録紙について、京セラ社製のサーマルヘッドKST型を用いて、単位面積当たりの記録エネルギーが62mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決めて印字したところ、マゼンタ色に発色した。ついで、この感熱記録紙を発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプに15秒さらして定着し、画像を得た。
【0105】
実施例16および比較例5の感熱記録紙について、京セラ社製のサーマルヘッドKST型を用いて、(1)単位面積当たりの記録エネルギーが62mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決めて印字し、その後、発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプに15秒さらして定着し、画像を得た。(2)再度、単位面積当たりの記録エネルギーが86mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決めて印字し、画像を得た。(1)のみの記録が行われた部分はマゼンタ色に、(2)のみの記録が行われた部分は青色に、(1)および(2)の記録が重複して行われた部分は紫色に発色し、未記録部分は灰白色であった。
【0106】
実施例17および比較例6の感熱記録紙について、京セラ社製のサーマルヘッドKST型を用いて、(1)単位面積当たりの記録エネルギーが35mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決めて印字し、その後、発光中心波長420nm、出力40Wの紫外線ランプに10秒さらして定着し、イエローの画像を形成した。(2)再度、単位面積当たりの記録エネルギーが66mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決めて印字し、その後、発光中心波長365nm、出力40Wの紫外線ランプに15秒さらして定着し、マゼンタの画像を得た。(3)再度、単位面積当たりの記録エネルギーが90mJ/mm2 となるようにサーマルヘッドに対する印加電力およびパルス幅を決めて印字し、シアンの画像を得た。この結果、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各発色画像の他に、イエローとマゼンタとの重複部分に赤色、マゼンタとシアンの重複部分に青色、イエローとシアンの発色部分に緑色、およびイエロー、マゼンタ、およびシアンの重複部分に黒色の発色を得た。
【0107】
画像の画質評価
実施例15〜実施例17および比較例4〜比較例6の記録紙に記録した画像について、実施例1と同様に面状欠陥の発生を目視にて観察し、画質の評価を行った。評価基準は、実施例1と同様である。評価結果および保護層用塗布液の液ライフ(実施例12と同様)を表3に示した。
【0108】
【表3】
【0109】
安定化剤−1および安定化剤−2を含有する保護層を、カラー画像形成用(単色および多色を含む。)記録紙上に設けた場合も、画像に面状欠陥が発生しづらく、得られる画像が高画質であることが実証された。
【0110】
実施例18
感熱記録層用塗布液MC−4の調製
(電子供与性無色染料を内包するカプセル液(MC−1)の調製)
下記構造式(I−1)、(E−2)、(E−3)、(I−3)、(E−5)、および(E−6)で表わされる化合物を各々、10.9g、1.4g、2.1g、2.6g、0.4g、および0.4g、酢酸エチル18g中で加熱溶解した。その後、40℃まで冷却した後、カプセル壁剤(「タケネートD110N」、武田薬品工業社製)3.4g、カプセル壁剤(「タケネートD127N」、武田薬品社製)10.2g、およびn−ブタノール0.4gを添加し、40℃で40分攪拌した。
【0111】
得られた溶液を、7%PVA−2溶液(実施例1で調製した7%PVA−1溶液において、PVA−1の代わりに「PVA217C」(クラレ社製PVA)を用いて調製したPVA溶液)46gと水7gとを混合した水相に添加した後、エースホモジナイザー(日本精機社製)を用い、10000rpmで5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に、さらに水66gおよびテトラエチレンペンタミン0.6gを添加した後、60℃で4時間カプセル化反応を行わせて、平均粒径が0.6μmのカプセル液MC−1を得た。
尚、平均粒子径は、レーザ回折粒度分布測定装置(「LA700」、堀場製作所社製)を用いて測定した50%体積平均粒子径である。以下においても、特に断らない限り、平均粒子径は、同様に測定した50%体積平均粒子径を示す。
【0112】
(電子供与性無色染料を内包したカプセル液(MC−2)の調製)
下記構造式(I−1)、(E−2)、(E−3)、(I−3)、(E−6)、および(E−7)で表わされる化合物を各々、10.5g、1.4g、2.0g、4.2g、0.4g、および0.3g、酢酸エチル20g中で加熱溶解した。その後、60℃まで冷却した後、カプセル壁剤(「タケネートD110N」、武田薬品工業社製)3.7g、カプセル壁剤(「タケネートD140N」、武田薬品社製)8.7gを添加し、攪拌した。
【0113】
得られた溶液を、MC−1で調製した7%PVA−2溶液46gと水7gとを混合した水相に添加した後、エースホモジナイザー(日本精機社製)を用い、10000rpmで5分間乳化分散を行った。得られた乳化液に、さらに水70gおよびテトラエチレンペンタミン0.8gを添加した後、60℃で3時間カプセル化反応を行わせて、平均粒子径が0.6μmのカプセル液MC−2を得た。
【0114】
【化17】
【0115】
【化18】
【0116】
(電子受容性化合物(顕色剤)乳化分散液(MC−3)の調製)
下記構造式(F−1)、(F−2)、(F−3)、(F−4)、(F−5)、(F−6)、(F−7)、および(F−8)で表わされる化合物を各々、1.7g、5.5g、3.5g、3.4g、3.5g、4.6g、21.6g、および4.5g、「TCP」(大八化学社製のオイル)1.1g、「DEM」(大八化学社製のオイル)0.6g、および酢酸エチル17.7gを混合した溶液に溶解させた。
【0117】
得られた溶液を、7%PVA−3溶液(実施例1で調製したPVA−1溶液において、PVA−1の代わりに、「PVA205C」(クラレ社製PVA)を用いて調製したPVA溶液)46.7gと、MC−1の調製に用いた7%PVA−2溶液70.2g、ドデシルスルホン酸ナトリウム0.5g、および水33.7gを混合した水相に添加した後、エースホモジナイザー(日本精機社製)を用い、10000rpmで3分間乳化分散し、平均粒径が0.6μmの電子受容性化合物(顕色剤)乳化物分散液(MC−3)を得た。
【0118】
【化19】
【0119】
【化20】
【0120】
カプセル液MC−1を5.4g、カプセル液MC−2を11.5g、顕色剤乳化分散物MC−3を70g、および水26gを混合して、感熱記録層用塗布液MC−4を調製した。
【0121】
下塗り用塗布液の調製
ゼラチン5%水溶液(「#810」、新田ゼラチン社製)200g、粒子径2μmのポリメチルメタクリレート樹脂粒子を5%分散したゼラチン0.5g、1,2−ベンゾチアゾリン−3−オン3%水溶液1.0g、スルホン酸ジ(2−エチル)ヘキシル2%水溶液10gを混合して、下塗り層用塗布液を得た。
【0122】
感熱記録紙の作製
青色に着色された厚みが175μmのポリエチレンテレフタレートの一方の面にSBRラテックスを固形分重量で0.3g/m2 となるようにして塗布した後、前記下塗り層用塗布液を片面当たりの固形分重量が0.1g/m2 となるように塗布して、透明支持体を得た。次に、この透明支持体の一方の面(下塗り層を塗布した面と異なる面)に、前記感熱記録層用塗布液MC−4を固形分重量で14g/m2 となるように、塗布・乾燥して実施例18の感熱記録材料を作製した。
【0124】
実施例19
実施例18で作製した感熱記録紙上に下記のように調製した保護層用塗布液を用いて保護層を設け、感熱記録層および保護層からなる2層構造の感熱記録紙を作製した。
保護層用塗布液の調製
水27.1g、7%PVA−4溶液(実施例1で用いた7%PVA−1溶液の調製において、PVA−1の代わりに、「PVA124C」(クラレ社製PVA)を用いて調製したPVA溶液)17.1g、スルホコハク酸ジオクチルのナトリウム塩2%溶液0.3g、水酸化アルミニウム分散物(実施例1の7%PVA−1溶液の調製において、PVA−1の代わりに「PVA105」(クラレ社製のPVA)を用いて調製した7%PVA溶液28.6gと、水71.4gとを混合した液に水酸化アルミニウム20gをボールミルで分散させたもの)15.0g、およびステアリン酸亜鉛(「ハイドリンZ」、中京油脂社製)0.5gを混合して、保護層用塗布液を得た。
【0125】
実施例20
実施例18において用いたPVA溶液の安定化剤(安定化剤−1および安定化剤−2)の代わりに、安定化剤−7(一般式(C)において、R 3 がノニルフェニル基、n=10、R 4 がHである化合物)を用いた以外は、実施例18と同様に感熱記録紙を作製し、この感熱記録紙上に前記保護層用塗布液を用いて保護層を設け、感熱記録層および保護層からなる2層構造の感熱記録紙を作製した。
【0126】
実施例21
実施例19の保護層用塗布液の調製において、7%PVA−4溶液に含有される安定化剤(安定化剤−1および安定化剤−2)の代わりに、安定化剤−8(一般式(C)のR3 がノニルフェニル基、n=10、R4 がHである化合物)を用いた以外は、実施例19と同様に感熱記録層および保護層からなる2層構造の感熱記録紙を作製した。
【0127】
比較例7
実施例18の感熱記録層用塗布液の調製において、PVA溶液として、安定化剤を含有しないPVA溶液を用いた以外は、実施例18と同様に単層構造の感熱記録紙を得た。
比較例8
実施例19の感熱記録層用塗布液、および保護層用塗布液の調製において、PVA溶液として、安定化剤を含有しないPVA溶液を用いた以外は、実施例19と同様に感熱記録層および保護層からなる2層構造の感熱記録紙を作製した。
【0128】
実施例18〜実施例21および比較例7〜比較例8について、実施例1と同様な評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0129】
【表4】
【0130】
【発明の効果】
本発明の感熱記録材料は、表面性状が良好で、印字の際のサーマルヘッド等のスティッキング等が発生せず、高画質な画像を形成し得る。また、本発明の感熱記録材料の製造方法によれば、高画質な画像を形成し得る感熱記録材料を安定的に製造し得る。
Claims (7)
- 一般式(A)で表わされる化合物と、一般式(B)で表わされる化合物の固形分含有率の和が、水溶性樹脂に対して0.01重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の感熱記録材料。
- 一般式(A)で表わされる化合物と一般式(B)で表わされる化合物が重量比で97/3〜20/80で層に含有されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感熱記録材料。
- 水溶性樹脂がポリビニルアルコール系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の感熱記録材料。
- ポリビニルアルコール系樹脂の鹸化度が80モル%以上であることを特徴とする請求項4に記載の感熱記録材料。
- (1)水溶性樹脂と、下記一般式(A)で表わされる化合物と、下記一般式(B)で表わされる化合物とを水中で加熱しつつ攪拌して水溶性樹脂溶液を調製する工程と、
(2)該水溶性樹脂溶液にさらに固体または液体成分を添加して塗布液を調製する工程と、
(3)該塗布液を支持体上に塗布し、乾燥して層を形成する工程
とを含む感熱記録材料の製造方法。
一般式(B)において、R2 は炭素数3〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。 - (1)の工程において、加熱温度が80℃以上100℃以下であることを特徴とする請求項6に記載の感熱記録材料の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21772098A JP3808634B2 (ja) | 1998-07-31 | 1998-07-31 | 感熱記録材料および感熱記録材料の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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