JP2000280619A - 記録材料用組成物およびその製造方法、ならびに記録材料および記録材料の製造方法 - Google Patents

記録材料用組成物およびその製造方法、ならびに記録材料および記録材料の製造方法

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JP2000280619A
JP2000280619A JP11088205A JP8820599A JP2000280619A JP 2000280619 A JP2000280619 A JP 2000280619A JP 11088205 A JP11088205 A JP 11088205A JP 8820599 A JP8820599 A JP 8820599A JP 2000280619 A JP2000280619 A JP 2000280619A
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Tsunashige Ito
伊藤  維成
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 濾過性に優れた記録材料用組成物を提供する
こと、また透明性および均一性に優れ面状欠陥がなく、
かつ画質および耐薬品性が向上した記録材料を提供する
こと、さらに作業性に優れた前記記録材料用組成物また
は記録材料の製造方法を提供すること。 【解決手段】 平均鹸化度が95〜100%のポリビニ
ルアルコールまたは水溶性樹脂(ポリビニルアルコール
を除く)と、下記一般式(A)または下記一般式(B)
で表される化合物の1種以上を含有することを特徴とす
る記録材料用組成物、前記組成物を含む層を少なくとも
1層有する記録材料およびこれらの製造方法。 【化1】一般式(A) R1 −OH 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、記録材料および記
録材料の製造方法に関し、より詳細には、塗布面が均一
であり、耐薬品性等に優れた記録材料およびその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】記録材料、例えば、感熱記録材料は、安
価であり、その記録機器はファクシミリや各種プリンタ
ー等のようにコンパクトでかつ保守も容易であるため、
広い分野で使用されてきている。また、近年では多色化
に対応するため、或いは画像等をオーバーヘッドプロジ
ェクターにより投影したり、画像等をライトテーブル上
で直接観察したりする等のために、サーマルヘッドで直
接記録することのできる透明な感熱記録材料の開発が望
まれている。多色の感熱記録材料の場合、複数の感熱記
録層の各層の間には、隣接する層の色が混じり合わない
ようにするための中間層が設けられている。
【0003】また、感熱記録紙は様々な場所や状況の下
に使用されるようになってきており、使用態様によって
は、ポリ塩化ビニル製品等のプラスチック製品に接触す
る機会が多くなっている。ところが、ポリ塩化ビニル等
のプラスチック製品には、通常可塑剤が含まれており、
これに感熱記録材料が接触すると、プラスチック中の可
塑剤が感熱記録材料に移行し、それが感熱記録層に達す
ると、その部分を発色させ、いわゆるカブリが発生して
しまうことがある。また、発色画像に水、油、プラスチ
ックに含まれている可塑剤等と接触すると、画像濃度が
著しく低下してしまうことがある。このため、感熱記録
材料の最外層に保護層を設けることも行われている。こ
の他に、前記保護層と感熱記録層の間に中間層を設け
て、感熱記録材料に可塑剤や酸素に対するバリアー層を
付与することも行われている。
【0004】このような中間層または保護層としては、
水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール樹脂を使用す
る特開昭59−106995号公報、特開平5−262
038号公報、特公平1−17479号公報等が知られ
ている。中間層や保護層のバリアー性を高めるために
は、水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコール樹脂の分
子量や結晶性を高くすることが望ましい。しかし、分子
量や結晶性を高めると、水に対する溶解性が低下し、ま
た、塗工性(作業性)も著しく低下する。すなわち前記
水溶性樹脂を含有する塗布液は、急激に粘度が上昇する
ため、安定的に塗工ができないという問題がある。ま
た、水溶性樹脂が溶液中でゲル化し、塗布液の寿命(液
ライフ)が短い等の欠点もある。
【0005】さらに、上記のごとき水溶性樹脂をバイン
ダーとする溶液から薄膜を形成すると、その薄膜には面
状欠陥が生じ、被膜は不均一となり透明性が損なわれ、
また、画像形成を行った場合に、画像ムラを発生させ
る。反射型記録材料の場合は、この透明性が特に問題と
なることはないが、透過性記録材料の場合には、この問
題は商品価値に好ましくない影響を及ぼす。しかもその
被膜の面状欠陥を通って可塑剤が中間層等を通り抜け、
感熱記録層に達しカブリを発生させることになる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点に
鑑みなされたものであり、その目的は、濾過性に優れた
記録材料用組成物を提供すること、また透明性および均
一性に優れ面状欠陥がなく、かつ画質および耐薬品性が
向上した記録材料を提供すること、さらに作業性に優れ
た前記記録材料用組成物または記録材料の製造方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の記録
材料用組成物およびその製造方法、ならびに記録材料お
よびその製造方法を提供することにより解決される。な
お、以下において、「・・層の上」とは、必ずしもその
層に直接接する層だけを意味するものではない。 (1)平均鹸化度が95〜100%のポリビニルアルコ
ールまたは水溶性樹脂(ポリビニルアルコールを除く)
と、下記一般式(A)または下記一般式(B)で表され
る化合物の1種以上を含有することを特徴とする記録材
料用組成物。
【化3】一般式(A) R1 −OH 一般式(A)において、R1 は炭素数3〜20のアルキ
ル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜
20のアラルキル基を表わす。
【0008】
【化4】
【0009】一般式(B)において、R2 は炭素数8〜
20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、また
は炭素数6〜20のアラルキル基を表わし、n、n’お
よびn”は整数を表し、これらの合計が0〜30であ
る。前記記録材料用組成物において、一般式(A)また
は一般式(B)で表わされる化合物が、前記ポリビニル
アルコールまたは前記水溶性樹脂に対して0.01重量
%以上10重量%以下含まれることが好ましい。 (2)前記ポリビニルアルコールまたは前記水溶性樹脂
と、前記一般式(A)または前記一般式(B)で表され
る化合物とを、水中で加熱しつつ攪拌して溶解させるこ
とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録材
料用組成物の製造方法。前記製造方法において、加熱温
度が80〜100℃の範囲であることが好ましい。
【0010】(3)支持体上に1以上の層を設けてなる
記録材料であって、少なくとも1層が、平均鹸化度が9
5〜100%のポリビニルアルコールまたは水溶性樹脂
(ポリビニルアルコールを除く)と、前記一般式(A)
または前記一般式(B)で表される化合物の1種以上を
含有することを特徴とする記録材料。前記記録材料にお
いて、前記層が中間層または保護層であることが好まし
い。また、前記記録材料が、感熱記録材料であることが
好ましい。 (4)平均鹸化度95〜100%のポリビニルアルコ
ールまたは水溶性樹脂(ポリビニルアルコールを除く)
と、前記一般式(A)または前記一般式(B)で表され
る化合物とを、水中で加熱しつつ攪拌して溶液を調製す
る工程と、 該溶液に更に固体または液体成分を添加して塗布液を
調製する工程と、 該塗布液を支持体上に塗布乾燥して層を形成する工程
とを含む記録材料の製造方法。 前記製造方法において、加熱温度が80〜100℃の範
囲であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】1.記録材料用組成物 本発明の記録材料用組成物は、平均鹸化度が95〜10
0%の範囲にあるポリビニルアルコールまたは水溶性樹
脂(ポリビニルアルコールを除く)と、前記一般式
(A)で表される化合物または前記一般式(B)で表さ
れる化合物の1種以上を含有することを特徴としてい
る。(以下において、前記一般式(A)または(B)で
表される化合物と共に用いる前記ポリビニルアルコール
と前記水溶性樹脂の両者を合わせて単に「水溶性樹脂」
という。) 前記化合物は、水溶性樹脂の水溶液を調製する際の濾過
性を向上させ、該水溶性樹脂を含む溶液からは均一性、
透明性など面状状態が優れた層を形成することができ、
その結果、さらに耐薬品性および画質を向上させること
ができる。
【0012】先ず、本発明の記録材料用組成物で使用す
る前記(I)一般式(A)で表わされる化合物および一
般式(B)で表わされる化合物について説明する。一般
式(A)において、R1 は炭素数3〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜2
0のアラルキル基を表わす。アルキル基は、直鎖状のも
のであっても分岐状のものであってもよい。アルキル基
の例としてはプロピル基、ヘキシル基、オクチル基、2
−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデ
シル基等が挙げられる。アリール基の例としてはノニル
フェニル基、ドデシルフェニル基、オクチルナフチル基
等が挙げられ、またアラルキル基の例としてはベンジル
基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。アルキル
基、アリール基、およびアラルキル基はさらに置換基を
有していてもよく、置換基としては、メチル基、エチル
基等の低級アルキル基等が挙げられる。
【0013】一般式(B)において、R2 は、炭素数8
〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、ま
たは炭素数6〜20のアラルキル基を表わす。アルキル
基は、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても
よい。アルキル基基の例としては、ヘキシル基、オクチ
ル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、
オクタデシル基等が挙げられる。アリール基の例として
はノニルフェニル基、ドデシルフェニル基、オクチルナ
フチル基等が挙げられ、またアラルキル基の例としては
ベンジル基、α−メチルベンジル基等が挙げられる。ア
ルキル基、アリール基、およびアラルキル基はさらに置
換基を有していてもよく、置換基としては、メチル基、
エチル基等の低級アルキル基等が挙げられる。n、
n’、およびn”は整数を表し、n、n’、およびn”
の合計は0〜30である。
【0014】前記各化合物の固形分含有率は、水溶性樹
脂に対して0.01重量%以上10重量%以下であるの
が好ましく、0.1重量%以上5重量%以下となるのが
特に好ましい。この割合で前記各化合物を添加すると、
水溶性樹脂から形成される被膜の均一性、透明性などを
効率よく向上させることができる。
【0015】水溶性樹脂としては、従来公知の材料を広
く用いることができる。先ず、平均平均鹸化度が95〜
100のポリビニルアルコールを挙げることができる。
平均鹸化度が95より小さいと結晶性が小さくなり、バ
リアー性が低下するので、鹸化度は95%以上であるこ
とが適切である。また、前記ポリビニルアルコールの重
合度は300〜3000の範囲にあることが望ましい。
重合度が300より小さいと結晶性が小さくなり、バリ
アー性が低下する。また重合度が3000より大きくな
ると水への溶解性が低下するので、前記範囲にあるのが
好ましい。また前記ポリビニルアルコールとしては、エ
チレン変性ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリ
ビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含ま
れる。他の水溶性樹脂としては、酢酸ビニル−アクリル
アミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱
粉、変性澱粉、メチルセルロース、エチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロ
ース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン
−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン
酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−
無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミ
ド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホ
ン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等が挙げられる。感熱記
録材料用の塗布液としては、ポリビニルアルコール系樹
脂が好ましく、特にエチレン変性ポリビニルアルコール
が好ましい。
【0016】結晶性の高い水溶性樹脂を用いて塗布液を
調製すると、該塗布液を用いて作製した層の耐水性およ
び耐薬品性が向上する。従って、感熱記録材料に高い耐
水性等が要求される場合には、結晶性の高い水溶性樹脂
を用いるのが好ましい。水溶性樹脂の結晶性は、樹脂の
重合度や鹸化度等に応じて変化するので、これらの値を
適当な値にすることにより樹脂の結晶性を調整すればよ
い。例えば、ポリビニルアルコールの場合は、鹸化度、
およびエチレン変性度によって、結晶性は変化する。エ
チレン変性ポリビニルアルコールを水溶性樹脂として用
いる場合は、鹸化度が80%モル以上のものが、結晶性
が高くなるので好ましい。特に好ましくは88%モル以
上99.8%モル以下である。
【0017】水溶性樹脂としてエチレン変性ポリビニル
アルコールを用いる場合は、エチレン変性度は1モル%
〜20モル%であるのが好ましく、4モル%〜12モル
%であるのが特に好ましい。エチレン変性度がこの範囲
未満であると耐水性が低下し、この範囲を超えると水溶
性が低下する。エチレン変性ポリビニルアルコールは、
その特性及び塗液安定性に悪影響を及ぼさない範囲で他
の官能基でさらに変性されていてもよい。前記他の官能
基の具体例としては、カルボキシル基、末端アルキル
基、アミノ基、スルホン酸基、末端チオール基、シラノ
ール基、アミド基などが挙げられる。前記エチレン変性
ポリビニルアルコールに溶解性を付与する観点からは、
これらの中でもカルボキシル基変性、アミノ基変性スル
ホン酸基等が有効である。
【0018】2.記録材料用組成物の製造方法 本発明の記録材料用組成物は、前記ポリビニルアルコー
ルまたは前記水溶性樹脂と、前記一般式(A)または前
記一般式(B)で表される化合物とを、水中で加熱しつ
つ攪拌して溶解させる方法により製造することが好まし
いが、この方法に限定されるものではない。前記方法に
おいては、前記各化合物と水溶性樹脂とを混合した後、
該混合物に水を添加するか、または、水に前記各化合物
と水溶性樹脂を別々に添加する。添加後、水中に前記各
化合物と水溶性樹脂が充分に分散するように攪拌し、さ
らに加熱しながら攪拌して水溶性樹脂の水溶液を得る。
加熱は、攪拌開始と同時に行ってもよいし、室温のまま
攪拌し、水溶性樹脂を均一に分散させた後、加熱を開始
してもよい。後者のほうが、水溶性樹脂が水中で凝集し
て析出することなく攪拌できるので好ましい。加熱温度
は、高温である程、塗布液調整の効率が向上して好まし
いが、高温過ぎると水溶性樹脂の鹸化が進行し、水溶性
樹脂が析出する場合がある。加熱は、80℃以上100
℃以下で行うのが好ましい。
【0019】このように加熱混合することにより、記録
材料用組成物の溶液の液ライフが長期化する。従って、
記録材料を作製するまでに前記組成物を保存する必要が
ある場合にも、水溶性樹脂等の析出がなく、良好な液特
性が得られる。さらに、この組成物を用いて調製される
記録材料用塗液の保存安定性も改善される。
【0020】3.記録材料 本発明の記録材料は、支持体上に1以上の層を設けてな
る記録材料であって、少なくとも1層に前記記録材料用
組成物を含むことを特徴とする。本発明において、水溶
性樹脂と、前記一般式(A)または前記一般式(B)で
表される化合物とを含有する層は、記録材料を構成する
記録層、中間層(記録層と記録層の間の層、記録層と保
護層の間の層等)、保護層等の各種層のいずれの層を形
成する際にも使用することができるが、特に中間層、保
護層、中でも中間層に適用することが好ましい。前記組
成物を記録層に使用する場合には、例えば、発色剤成分
または顕色剤成分の乳化・分散液を調製する際の保護コ
ロイド、あるいはこれらの成分を混合して、記録層用塗
布液を調製する際の保護コロイドとして用いることがで
きる。また、中間層に適用する場合は、中間層に使用す
る他の成分と共に水中で混合攪拌され、中間層用あるい
は保護層用の塗液とされる。記録材料を構成する層の1
層以上に前記層を適用すると、該層は面状欠陥がなく均
一性および透明性に優れ、また特に、保護層と記録層の
間の中間層および/または保護層にこの層を適用した場
合は、前記の可塑剤によるカブリを効果的に防止しう
る。
【0021】本発明の感熱記録材料は、支持体上に記録
層のみが形成された単層構造、さらにその上に保護層が
設けられた2層構造、および記録層を複数有する多色用
の多層構造、さらに2以上の記録層間に中間層が設けら
れている、あるいは記録層と保護層の間に中間層が設け
られているような多層構造の感熱記録材料のいずれであ
ってもよい。感熱記録材料が単層構造の場合は、該層に
前記水溶性樹脂と前記安定化剤とが含有されていて、2
以上の層を有する多層構造の場合は、1以上の層に前記
水溶性樹脂と前記安定化剤とが含有されている感熱記録
材料である。感熱記録材料を構成している層(保護層、
記録層または中間層のいずれであってもよい。)の少な
くとも1つに前記水溶性樹脂と前記安定化剤が含有され
ていればよい。
【0022】前記水溶性樹脂は、層を形成するためのバ
インダーである。各層の目的に応じて、水溶性樹脂には
他の成分が混合される。以下に、記録材料、特に感熱記
録材料を構成する各層について説明する。 <感熱記録層>感熱記録層は、熱によって発色する発色
成分を少なくとも含有する。発色成分としては、以下の
ものが挙げられる。 (イ)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物の組合
せ。ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ。 (ロ)ジアゾ化合物とカプラーとの組合せ。 (ハ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀のような有機金属塩
とプロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン
のような還元剤との組合せ。 (ニ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄のよう
な長鎖脂肪族塩と没食子酸、サリチル酸アンモニウムの
ようなフェノール類との組合せ。
【0023】(ホ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸
などのニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩の
ような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロ
ンチウム、硫化カリウムのようなアルカリ土類金属硫化
物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェ
ニルカルバジド、ジフェニルカルバゾンのような有機キ
レート剤との組合せ。 (ヘ)銀、鉛、水銀のような重金属、ナトリウムのよう
なアルカリ金属の硫酸塩と、Na−テトラチオネート、
チオ硫酸ソーダ、チオ尿素のような硫黄化合物との組合
せ。
【0024】(ト)ステアリン第二鉄のような脂肪族第
二鉄塩と、3、4−ヒドロキシテトラフェニルメタンの
ような芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。 (チ)蓚酸塩、蓚酸水銀のような有機貴金属塩と、ポリ
ヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコールのよう
な有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。 (リ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄のような
脂肪族第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセ
シルカルバミド誘導体との組合せ。
【0025】(ヌ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベ
ヘン酸鉛のような有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N
−ドデシルチオ尿素のようなチオ尿素誘導体との組合
せ。 (ル)ステアリン第二鉄、ステアリン酸銅のような高級
脂肪酸重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛と
の組合せ。 (ヲ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのような
オキサジン染料を形成するもの。 (ワ)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との
組合せ。
【0026】これらの中でも、本発明においては、
(イ)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組
み合わせ、(ロ)ジアゾ化合物とカプラーとの組み合わ
せ、および(ハ)有機金属塩と還元剤との組み合わせが
好ましく、特に(イ)および(ロ)の場合が好ましい。
これらの発色成分が呈する色相は、組み合わせられた各
々の化合物が反応して生じる色素(例えば、(ロ)の場
合は、ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応に
より生成するジアゾ色素)の構造により主に決定され
る。従って、所望の色相を発色する色素を生成するよう
に、組み合わせられる化合物の化学構造を適宜選択すれ
ばよい。以下に、(イ)〜(ハ)の各々について例示化
合物を挙げて説明する。
【0027】(イ)電子供与性染料前駆体と電子受容性
化合物の組合せ −電子供与性染料前駆体− 電子供与性染料前駆体としては、エレクトロンを供与し
て、或いは酸等のプロトンを受容して発色する性質を有
するものであって、ラクトン、ラクタム、サルトン、ス
ピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、顕
色剤である電子受容性化合物と接触してこららの部分骨
格が開環若しくは開裂する化合物が用いられる。例え
ば、トリフェニルメタンフタリド、インドリルフタリド
等のフタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチ
アジン系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミ
ンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、ト
リアゼン系化合物、スピロジピラン系化合物、ピリジン
系化合物、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物など
各種の電子供与性無色染料化合物が挙げられる。
【0028】前記フタリド系化合物の具体例としては、
米国再発行特許明細書第23,024号、米国特許明細
書第3,491,111号、同第3,491,112
号、同第3,491,116号、同第3,509,17
4号等に記載されたものが挙げられる。前記フルオラン
系化合物の具体例としては、例えば、米国特許明細書第
3,624,107号、同第3,627,787号、同
第3,641,011号、同第3,462,828号、
同第3,681,390号、同第3,920,510
号、同第3,959,571号等に記載されたものが挙
げられる。前記スピロジピラン系化合物の具体例として
は、例えば、米国特許明細書第3,971,808号等
に記載されたものが挙げられる。前記ピリジン系化合物
及びピラジン系化合物の具体例としては、例えば、米国
特許明細書第3,775,424号、同第3,853,
869号、同第4,246,318号に記載されたもの
が挙げられる。前記フルオレン系化合物の具体例として
は、例えば、特開昭63−94878号公報等に記載さ
れたものが挙げられる。
【0029】−電子受容性物質− 電子受容性物質としては、従来から公知のフェノール誘
導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、
酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノ
ボラック樹脂、金属錯体等の化合物などが挙げられる。
これらの例としては、特公昭40−9309号公報、同
45−14039号公報、特開昭562−140483
号公報、同48−51510号公報、同57−2108
86号公報、同58−87089号公報、同59−11
286号公報、同60−76795号公報、同61−9
5988号公報等に記載されたものが挙げられる。
【0030】これらの具体例としては、4−t−ブチル
フェノール、4−フェニルフェノール、2,2’−ジヒ
ドロキシビフェニール、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン(ビスフェノールA)、4,4’−
sec−ブチリデンジフェノール、4,4’−シクロヘ
キシリデンジフェノール、4−ヒドロキシフエニル−
3’,4’ジメチルフエニルスルホン、4−(4−イソ
プロポキシフエニルスルホニル)フエノール、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、1,4−ビス
−(4’−ヒドロキシクミル)ベンゼン、1,3−ビス
−(4’−ヒドロキシクミル)ベンゼン、4,4’−チ
オビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、4
−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、3,5−ジ−
t−ブチルサリチル酸、3−フェニル−5−(α,α−
ジメチルベンジル)サリチル酸、3−クミル−5−t−
オクチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル
酸、3−フェニル−5−t−オクチルサリチル酸、3−
メチル−5−α−メチルベンジルサリチル酸、3−メチ
ル−5−クミルサリチル酸、3,5−ジ−t−オクチル
サリチル酸,3,5−ビス(α−メチルベンジル)サリ
チル酸,3−クミル−5−フェニルサリチル酸、5−n
−オクタデシルサリチル酸、4−ペンタデシルサリチル
酸、3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)サリチ
ル酸、3,5−ビス−t−オクチルサリチル酸、4−β
−ドデシルオキシエトキシサリチル酸、4−メトキシ−
6−ドデシルオキシサリチル酸、4−β−フェノキシエ
トキシサリチル酸、4−β−p−エチルフェノキシエト
キシサリチル酸、4−β−p−メトキシフェノキシエト
キシサリチル酸等及びこれらの金属塩等が挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用
してもよい。
【0031】電子受容性物質の使用量としては、電子供
与性染料前駆体の50〜800重量%が好ましく、10
0〜500重量%がより好ましい。使用量が、800重
量%を越えても電子受容性物質を多量に添加することに
見合う効果が得られず、50重量%未満であると発色が
不十分になることがあり、いずれも好ましくない。電子
受容性物質と電子供与性染料前駆体を発色成分として水
溶性樹脂の水溶液中に混合する場合は、電子受容性物質
と電子供与性染料前駆体とを、同一の水溶性樹脂の水溶
液に混合してもよいし、各々水溶性樹脂の水溶液に混合
し、得られた2種の混合液をさらに混合してもよい。そ
の他、発色助剤等の成分を混合してもよい。
【0032】(ロ)ジアゾ化合物とカプラーの組み合わ
せ −ジアゾ化合物− ジアゾ化合物としては、カプラーと反応して発色するも
のは広く使用することができるが、光定着用の感熱記録
材料に応用する場合は、特定の波長の光を受けると分解
する光分解性ジアゾ化合物が好ましい。このようなジア
ゾ化合物としては、芳香族ジアゾニウム塩、ジアゾスル
ホネート化合物、およびジアゾアミノ化合物等が挙げら
れる。ジアゾ化合物の具体例としては、特開昭60−1
84880号公報、同61−172789号公報、特開
平2−147285号公報、特願平5−297024号
公報、同5−122865号公報、同5−278608
号公報等に記載された化合物が好適に挙げられる。
【0033】例えば、1−ジアゾ−4−ジメチルアミノ
ベンゼン、1−ジアゾ−4−N−メチル−N−n−ドデ
シルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−エチル−N
−n−ドデシルアミノベンゼン、1−ジアゾ−4−モル
ホリノベンゼン、1−ジアゾ−4−メチルベンジルアミ
ノベンゼン、1−ジアゾ−4−N−エチル−N−(2−
ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、1−ジアゾ−2−
メトキシ−4−ジエチルアミノベンゼン、1−ジアゾ−
2−n−ブトキシ−4−ジ−n−ブチルアミノベンゼ
ン、1−ジアゾ−2−n−ヘキシルオキシ−4−ジ−n
−ヘキシルアミノベンゼン、1−ジアゾ−2−n−オク
チルオキシ−4−ジ−n−オクチルアミノベンゼン、1
−ジアゾ−2−n−ヘキシルオキシ−4−ビス(2−シ
アノエチルアミノ)ベンゼン、1−ジアゾ−2−n−ヘ
キシルオキシ−4−N−n−ヘキシル−N−(1−メチ
ル−2−p−メトキシフエノキシエチルアミノ)ベンゼ
ン、1−ジアゾ−5−ブトキシ−2−クロル−4−ジメ
チルアミノベンゼン、1−ジアゾ−5−メトキシ−2−
クロル−4−ピペラジノベンゼン、1−ジアゾ−4−モ
ルホリノ−2,5−ジブトキシベンゼン、1−ジアゾ−
4−ピロリジノ−3−メトキシベンゼン、1−ジアゾ−
4−(2−エチルヘキサノイルピペリジノ)−2,5−
ジブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−〔α−(2,4
ージtert−アミルフェノキシ)ブチリルピペリジ
ノ〕ベンゼン、1−ジアゾ−2−N,N−ジエチルカル
バモイル−5−エトキシ−4−ジエチルアミノベンゼ
ン、1−ジアゾ−2−p−トリルチオ−5−フエノキシ
−4−ジエチルアミノベンゼン、4−ジアゾ−4′−メ
トキシスチルベン、1−ジアゾ−4−p−トリルチオ−
2,5−ジエトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−p−ト
リルチオ−2,5−ジ−n−ブトキシベンゼン、1−ジ
アゾ−4−(p−クロロフエニルチオ)−2,5−ジ−
n−ブトキシベンゼン、1−ジアゾ−4−(p−クロロ
フエニルチオ)−2,5−ジ−n−ブトキシベンゼン、
1−ジアゾ−4−(p−クロロフエニルチオ)−2,5
−ジ−n−ペンチルオキシベンゼン、1−ジアゾ−4−
(4−メトキシフェニルチオ)−2,5−ジエトキシベ
ンゼン、1−ジアゾ−4−(N,N−ジオクチルアミノ
カルボニル)ベンゼン、1−ジアゾ−4−(4−t−オ
クチルフェノキシ)ベンゼン、1−ジアゾ−4−(4−
メトキシベンズアミド)−2,5−ジエトキシベンゼン
などが挙げられる。
【0034】ジアゾ化合物は、酸アニオンとのジアゾニ
ウム塩の形で塗布液中に含有させるのが好ましく、対ア
ニオンの例としては、炭素数1から9までのポリフルオ
ロアルキルカルボン酸、炭素数1から9までのポリフル
オロアルキルスルホン酸、四フッ化ホウ素、テトラフェ
ニルホウ素、ヘキサフルオロリン酸、芳香族カルボン
酸、芳香族スルホン酸アニオン等が挙げられる。ジアゾ
化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併
用してもよい。
【0035】−カプラー− カプラーとしては、塩基性雰囲気でジアゾ化合物とカッ
プリングして色素を形成するものであれば特に制限はな
く、いずれの化合物も可能である。例えば、特開平1−
67379号公報、同2−54250号公報、同4−5
3794号公報、特願平6−18669号公報、同6−
18670号公報などに記載されたものが好ましい。具
体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒ
ドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−
ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モリホリノプロピルアミ
ド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒド
ロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシ−6−スルホ
ニルナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モル
ホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ
酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸ア
ニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジ
オン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−
テトラデシルオキシフエニル)−1,3−シクロヘキサ
ンジオン、5−フエニル−4−メトキシカルボニル−
1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n
−オクチルオキシフエニル)−1,3−シクロヘキサン
ジオン、1,3−ジシクロヘキシルバルビツール酸、
1,3−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、1−n−オ
クチル−3−n−オクタデシルバルビツール酸、1−フ
エニル−3−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフエニ
ル)バルビツール酸,1−フェニル−3−メチル−5−
ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)
−3−アニリノ−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4
−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)2
−ピリドン、2−〔3−〔α−(2,4−ジ−t−アミ
ルフェノキシ)ブタンアミド〕ベンズアミド〕フェノー
ル、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミノ)トルエ
ン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミノメチル)
ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセト
ニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトア
ニリド、ピバロイルアセトアニリド、2,5−ジ−n−
ヘプチルオキシ−1−アセトアセトアミドベンゼン、
2,5−ジ−n−ブトキシ−1−ピバロイルアセトアミ
ドベンゼン、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルフ
アモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、
2′,5′−ジ−n−ヘプチルオキシベンズアミド、1
−(4−n−オクチルオキシフエニル)−3−t−ブチ
ル−5−アミノピラゾールなどが挙げられる。
【0036】ジアゾ化合物とカプラーのカップリング反
応を促進する目的で、有機の塩基性物質を併用してもよ
い。塩基性物質としては、特願昭63−23490号明
細書、特開平1−63187号公報などに記載されてい
る。前記塩基性物質としては、第3級アミン類、ピペリ
ジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン
類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の含窒
素化合物が挙げられる。具体的には、N,N' −ビス
(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジ
ン、N,N' −ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−
2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N' −ビス
〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプ
ロピル〕ピペラジン、N,N' −ビス(3−フェニルチ
オ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N'
ビス〔3−(βーナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピ
ル〕ピペラジン、N−3−(βーナフトキシ)−2−ヒ
ドロキシプロピル−N' −メチルピペラジン、1,4−
ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキ
シ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N
−〔3−(βーナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピ
ルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−
ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス
〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキ
シ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フエノキ
シ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシ
ルピペリジンなどのピペリジン類、トリフエニルグアニ
ジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシ
ルフエニルグアニジン等のグアニジン類などが好適に挙
げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2
種以上を併用してもよい。
【0037】ジアゾ化合物とカプラーを、発色成分とし
て水溶性樹脂の水溶液中に混合する場合は、常温でジア
ゾ化合物とカプラーが反応して発色してしまわないよう
に、ジアゾ化合物をマイクロカプセル化した後、水溶性
樹脂の水溶液中に添加するのが好ましい。例えば、ジア
ゾ化合物をマイクロカプセル化し、得られたマイクロカ
プセル(ジアゾ化合物を内包)を、水溶性樹脂の水溶液
に混合する。別途、カプラーおよび塩基性化合物を水溶
性樹脂の水溶液に混合して、適当な乳化助剤と共に乳化
させる。その後、2種の混合液を混合し塗布液を製造す
ることができる。マイクロカプセル化の方法としては、
一般的に行われている方法を広く用いることができ、例
えば、特開平2−141279号公報等に記載されてい
る方法が好適に用いられる。カプラーとジアゾ化合物の
配合割合は、ジアゾ化合物1重量部に対し、カプラーが
0.1〜30重量部となるのが好ましく、さらに、塩基
性物質がジアゾ化合物1重量部に対し、0.1〜30重
量部となるのが好ましい。
【0038】(ハ)有機金属塩と還元剤との組み合わせ 有機金属塩と還元剤との組合せにおける有機金属塩とし
ては、具体的には、ラウリン酸銀、ミリスチン酢酸、パ
ルミチン酢銀、ステアリン酸銀、アラキン酢銀及びベヘ
ン酢銀のような長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩、ベンソト
リアゾール銀塩、ベンズイミダゾール銀塩、カルバゾー
ル銀塩及びフタラジノン銀塩のようなイミノ基を有する
有機化合物の銀塩、s−アルキルチオグリコーレートの
ような硫黄含有化合物の銀塩、安息香酸銀及びフタル酢
銀のような芳香族カルボン酸の銀塩、エタンスルホン酸
銀のようなスルホン酸の銀塩、o−トルエンスルフィン
酸銀のようなスルフィン酸の銀塩、フェニルリン酸銀の
ようなリン酸の銀塩、バルビツール酸銀、サッカリン酸
銀、サリチルアルドキシムの銀塩及びこれらの任意の混
合物がある。これらの化合物の中、長鎖脂肪族カルボン
酸銀塩が好ましく、特にベヘン酸銀が好ましい。また、
ベヘン酸を、ベヘン酸銀と共に使用しても良い。
【0039】還元剤としては、特開昭53−1020号
公報第227頁左下欄第14行目〜第229頁右上欄第
11行目の記載に基づいて適宜使用することができる
が、特に、モノ、ビス、トリス又はテトラキスフェノー
ル類、モノ又はビスナフトール類、ジ又はポリヒドロキ
シナフタレン類、ジ又はポリヒドロキシベンゼン類、ヒ
ドロキシモノエーテル類、アスコルビン酸類、3−ピラ
ゾリドン類、ピラゾリン類、ピラゾロン類、還元性糖
類、フェニレンジアミン類、ヒドロキシルアミン類、レ
ダクトン類、ヒドロオキサミン類、ヒドラジド類、アミ
ドオキシム類、N−ヒドロキシ尿素類等を使用すること
が好ましい。これらの化合物の内、特に好ましいもの
は、ポリフェノール類、スルホンアミデフェノール類及
びナフトール類等の芳香族有機還元剤である。
【0040】その他、感熱記録層には、感熱記録材料の
用途に応じて、熱可融性物質、紫外線吸収剤、顔料、増
感剤、ワックス、帯電防止剤、消泡剤、導電剤、蛍光染
料、界面活性剤、紫外線吸収剤プリカーサー等を、添加
することもできる。本発明の感熱記録層用塗布液を調製
する際、保護コロイド等として水溶性樹脂を用いる場合
には、本発明の特定の化合物を含む水溶性樹脂の溶液
が、好適に用いられる。
【0041】<保護層>保護層には、感熱記録材料の用
途に応じて、前記で説明したような水溶性樹脂バインダ
ーの他、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白
剤、金属石鹸、紫外線吸収剤、紫外線吸収剤プリカーサ
ー等を含有させることができる。前記顔料としては、公
知の有機又は無機の顔料が挙げられる。具体的には、炭
酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、酸
化チタン、タルク、ロウ石、カオリン、焼成カオリン、
非晶質シリカ、尿素ホルマリン樹脂粉末、ポリエチレン
樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末などが挙げられ
る。これらは1種単独で使用してもよいし、二種以上を
併用してもよい。前記滑剤として、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸カルシウム、パラフィンワックス、ポリエ
チレンワックスなどが好適に挙げられる。前記界面活性
剤としては、フッ素系の界面活性剤などが好適に挙げら
れる。前記保護層に用いるバインダーとしては、本発明
の特定の化合物を含む前記水溶性樹脂が好適に用いられ
る。
【0042】<中間層>中間層 は、感熱記録材料の用
途等に応じて、前記保護層用塗布液の場合と同様に、水
溶性樹脂(ポリビニルアルコールを含む)バインダーの
他、顔料、滑剤、界面活性剤、分散剤、蛍光増白剤、金
属石鹸、紫外線吸収剤、紫外線吸収剤プリカーサー等を
含有させることができる。前記中間層に用いるバインダ
ーとしては、本発明の特定の化合物を含む前記水溶性樹
脂が好適に用いられる。
【0043】<支持体>支持体としては、酸性紙、中性
紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合
成紙、プラスチックフィルム等が用いられる。また、支
持体上に、下塗り層を設けてもよく、この場合、下塗り
層を、前記水溶性樹脂と前記安定化剤とを含有する層と
してもよい。
【0044】<多色感熱記録材料>多色の感熱記録材料
については、その詳細が、例えば、特開平4−1357
87号公報、同4−144784号公報、同4−144
785号公報、同4−194842号公報、同4−24
7447号公報、同4−247448号公報、同4−3
40540号公報、同4−340541号、同5−34
860号等に記載されている。これらの多色感熱記録材
料は多層構造であり、異なる色相に発色する感熱記録層
が積層されている。各感熱記録層の発色色相を減色混合
における3原色、即ちイエロー、マゼンタ及びシアンと
なるように選択しておけば、フルカラーの画像記録が可
能となる。感熱記録層や中間層に水溶性樹脂とともに前
記安定化剤が含有されていてもよいが、特に保護層に水
溶性樹脂と前記安定化剤が含有されているのが好まし
い。
【0045】4.記録材料の製造方法 本発明の記録材料の製造方法は、前記のごとく、(1)
平均鹸化度95〜100%のポリビニルアルコールまた
は水溶性樹脂(ポリビニルアルコールを除く)と、前記
一般式(A)または前記一般式(B)で表される化合物
とを、水中で加熱しつつ攪拌して溶液を調製する工程
と、(2)該溶液に更に固体または液体成分を添加して
塗布液を調製する工程と、(3)該塗布液を支持体上に
塗布乾燥して層を形成する工程とを含むことを特徴とす
る。(1)の工程である、前記水溶性樹脂と前記化合物
とを含有する溶液の調製は、前述した2.の、記録材料
用組成物の製造方法におけるのと同様に行われるので、
ここでの説明は省略する。前記(2)および(3)の工
程では、前記水溶性樹脂の水溶液に固体または液体の成
分を混合して塗布液を調製し、該塗布液を支持体上に塗
布乾燥する工程が行われる。固体または液体の成分は、
塗布液の用途に応じて選択される。例えば、感熱記録層
用塗布液の場合は、発色成分と、その他、増感剤、界面
活性剤、カブリ防止剤、滑り剤等の添加剤等を、保護層
用および中間層用塗布液の場合は、顔料や紫外線吸収剤
や前記添加剤等が挙げられる。固体成分は、粉末、結
晶、いずれの固体状態であってもよい。液体成分は、均
一液、分散液、乳化液等、いずれの液体状態であっても
よい。水溶性樹脂の水溶液中に、固体または液体の成分
を混合するには、例えば、ミキサー、ディソルバー、ア
トライター、およびサンドミル等の公知の混合装置を用
いて均一に混合することができる。
【0046】支持体上(直接塗布する場合はおよび、他
の層を介して塗布する場合の双方を含む。)に前記方法
によって得られた各層用の塗布液を塗布し、乾燥するこ
とにより各層を形成することができる。塗布液の塗布
は、例えば、バーコーター法、エアナイフコーター法、
ブレードコーター法、グラビヤコーター法、スプレーコ
ーター法、ディップコーター法、カーテンコーター法等
の方法に従って行うことができる。これらの中でも、カ
ーテンコーター法が好ましく、自由落下カーテン膜を形
成して、走行する支持体に衝突させる自由落下カーテン
塗布法が特に好ましい。この自由落下カーテン塗布法に
よると、塗布面に泡等が生ずることなく、均一で良好な
塗布面性状が得られるので好ましい。
【0047】塗布量については、特に制限なく、感熱記
録材料の用途等に応じて決定すればよいが、感熱記録層
用塗布液が電子供与性染料を発色成分として含有する場
合は、該染料の塗布量は、通常、0.1〜2.0g/m
2 程度であり、好ましくは、0.2〜1.5g/m2
ある。感熱記録層用塗布液がジアゾ化合物を発色成分と
して含有する場合は、該ジアゾ化合物の塗布量は、通
常、0.05〜5.0g/m2 である。また、各層の塗
布液中に含まれている水溶性樹脂の塗布量が、0.4〜
5g/m2 であるのが好ましく、0.8〜1.6g/m
2 がより好ましい。
【0048】本発明の感熱記録材料は、ファクシミリや
各種プリンターの、単色および多色用の記録紙として好
適に用いられる。
【0049】以下に、実施例を示し本発明を具体的に説
明するが、本発明は以下実施例のみに限定されるもので
はない。文中で使用する濃度は、全て重量%である。以
下、乳化分散液とは、水中油滴分散型分散物を意味す
る。
【0050】実施例1 [感熱記録層用塗液の調製] <カプセル液(A)の調整>下記構造式(1)で示され
る化合物19.0g、
【0051】
【化5】
【0052】下記構造式(2)で示される化合物4.2
g、
【0053】
【化6】
【0054】下記構造式(3)で示される化合物7.4
g、
【0055】
【化7】
【0056】下記構造式(4)で示される化合物0.6
g、
【0057】
【化8】
【0058】下記構造式(5)で示される化合物1.9
g、
【0059】
【化9】
【0060】及び下記構造式(6)で示される化合物
0.8g
【0061】
【化10】
【0062】を酢酸エチル36gに添加して70℃に加
熱、溶解した後35℃に冷却した。これにn−ブタノー
ル0.8g、「タケネートD119N」(カプセル壁
剤:武田薬品工業株式会社製)11.2g、「タケネー
トD110N」(カプセル壁剤:武田薬品工業株式会社
製)4.1g、「スミジュールN3200」(カプセル
壁材:住友バイエルウレタン社製)10.5gを加え、
35℃40分間保温した。得られた溶液を8重量%のポ
リビニルアルコール水溶液(「PVA217E」:
(株)クラレ製)75gと水26gを混合した水相に混
合した後、エースホモジナイザー(日本精機株式会社
製)を用いて10000rpmで5分間乳化を行なっ
た。得られた乳化液に更に140gの水及びテトラエチ
レンペンタミン1.0gを添加した後、50℃で3時間
カプセル化反応を行なって平均粒径0.7μmのカプセ
ル液(A)を調整した。なお、平均粒径は全てレーザー
回折粒度分布測定装置(「LA700」:株式会社堀場
製作所製)を用いて測定した50%体積平均粒径の値を
使用した。
【0063】<カプセル液(B)の調製>前記構造式
(1)で示される化合物19.0g、前記構造式(2)
で示される化合物4.2g、前記構造式(3)で示され
る化合物7.4g、前記構造式(4)で示される化合物
0.6g、前記構造式(5)で示される化合物1.9
g、及び前記構造式(6)で示される化合物0.8gを
酢酸エチル36gに添加して70℃に加熱、溶解した後
30℃に冷却した。これに「タケネートD110N」
(カプセル壁剤:武田薬品工業株式会社製)15.0
g、「バーノックD750」(カプセル壁剤:大日本イ
ンキ株式会社製)10.4gを加え、35℃5分間保温
した。得られた溶液を8重量%のポリビニルアルコール
水溶液(「PVA217E」:(株)クラレ製)75g
と水26gを混合した水相に混合した後、エースホモジ
ナイザー(日本精機株式会社製)を用いて10000r
pmで5分間乳化を行なった。得られた乳化液に更に1
40gの水及びテトラエチレンペンタミン1.0gを添
加した後、50℃で3時間カプセル化反応を行なって平
均粒径0.7μmのカプセル液(B)を調製した。
【0064】<電子受容性化合物乳化分散液(A)の調
製>下記構造式(7)で示される化合物3.4g、
【0065】
【化11】
【0066】下記構造式(8)で示される化合物8.3
g、
【0067】
【化12】
【0068】下記構造式(9)で示される化合物8.3
g、
【0069】
【化13】
【0070】下記構造式(10)で示される化合物5.
8g、
【0071】
【化14】
【0072】下記構造式(11)で示される化合物3.
9g、
【0073】
【化15】
【0074】下記構造式(12)で示される化合物3.
5g、
【0075】
【化16】
【0076】トリクレジルフォスフェート0.8g、及
びマレイン酸ジエチル0.4gを、酢酸エチル15gに
添加し溶解した。
【0077】得られた溶液を15重量%のポリビニルア
ルコール水溶液(「PVA205C」:(株)クラレ
製)40g、2.0重量%のドデシルベンゼンスルフォ
ン酸ナトリウム水溶液9g及び、下記構造式(13)で
示される化合物
【0078】
【化17】
【0079】の2重量%水溶液9gを混合した水相に加
えた後、エースホモジナイザー(日本精機株式会社製)
を用いて10、000rpmで3分間乳化を行い電子受
容性化合物乳化分散液を調製した。得られた平均粒径は
0.32μmであった。
【0080】[中間層用塗液の調製]水4700gに、
ポリビニルアルコール(平均鹸化度98.5モル%、重
合度2400)300gと、本発明の化合物(一般式
(B)のR2 がC1123で、n+n’+n”=0)0.
5gを添加し、十分分散させた後、95℃で2時間攪拌
して、溶解させた。その後室温まで冷却して、濃度を調
整して5.8%のポリビニルアルコール溶液(「PVA
−1溶液」という。)を調製した。このPVA−1溶液
1000gに、下記構造式(14)で示される化合物
【0081】
【化18】
【0082】の2重量%水溶液50gおよび2−エチル
ヘキシルコハク酸ナトリウムの2重量%水溶液50gを
添加し、中間層液を調製した。
【0083】[保護層用塗液の調製] <保護層用顔料散液の調製>水90gにカオリン(「カ
オグロス」:水沢化学社製)20gを加え3時間撹拌し
た。
【0084】この分散液100gに分散剤(「ポイズ5
32A」:花王株式会社製)0.5g、10%ポリビニ
ルアルコール水溶液(「PVA105」:(株)クラレ
製)10g、30重量%ステアリン酸亜鉛分散液(「Z
−7−30」:中京油脂株式会社製)10g、10%ド
デシルベンゼンスルフォン酸Na塩水溶液0.5gを加
え、ボールミルで分散して平均粒径0.8μmの保護層
用顔料散液を調製した。
【0085】<保護層用塗液の調製>水50g、6重量
%メチルセルロース水溶液(「メトローズSM−1
5」、軟化温度210℃;信越化学社製)50g、2
0.5重量%ステアリン酸亜鉛分散物(「F155」:
中京油脂社製)0.5g、1.0%ほう酸水溶液25
g、上記カオリン分散液7g、4%フッ素ポリマー水分
散液(「ME413」:ダイキン工業社製)0,5g、
10%ドデシルベンゼンスルフォン酸Na塩水溶液1g
及び前記構造式(14)で示される化合物の2重量%水
溶液15g及び40%グリオキザール水溶液1.0gを
混合して保護層用塗液を得た。
【0086】[光遮断層(BC層)用塗液の調製]石灰
処理ゼラチン1kg、平均粒子径5.7μmの球形PM
MAマット剤12wt%を含むゼラチン分散物757
g、下記構造式(15)ないし(20)で示される化合
物を以下の含有率で含む紫外線吸収剤の乳化物3761
g[(乳化物1kg当りの紫外線吸収剤含有量は、化合
物(15)9.8g、化合物(16)8.4g、化合物
(17)9.8g、化合物(18)13.9g、化合物
(19)29.3g)、1,2−ベンズイソチアゾリン
−3−オンを1.75g、ポリ(p−ビニルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム)(分子量約40万)64.2g、
化合物(20)10.0g、ポリエチルアクリレートの
ラテックス20%液を3180ml、N,N’−エチレ
ン- ビス(ビニルスルホニルアセトアミド)75.0
g、及び1,3−ビス(ビニルスルホニルアセトアミ
ド)プロパン25.0g]、および水を全量が62.7
7リットルとなるように加えて、BC層用塗液を調製し
た。
【0087】
【化19】
【0088】
【化20】
【0089】
【0090】[光反射防止層(BPC層)用塗液の調
製]石灰処理ゼラチン1kg、平均粒子径0.70μm
の球形PMMAマット剤15wt%を含むゼラチン分散
物2000g、メタノール1268ml、1,2−ベン
ズイソチアゾリン−3−オン1.75g、ポリアクリル
酸ナトリウム(分子量約10万)64.4g、ポリ(p
−ビニルベンゼンスルホン酸ナトリウム)(分子量約4
0万)54.0g、p−t−オクチルフェノキシポリオ
キシエチレン−エチルスルホン酸ナトリウム25.2
g、N−プロピル−N−ポリオキシエチレン−パーフル
オロオクタンスルホン酸アミドブチルスルホン酸ナトリ
ウム5.3g、及びパーフルオロオクタンスルホン酸カ
リウム7.1gを苛性ソーダでpH=7.0に調整した
後水を加えて全量を66.79リットルとなるよう調製
した。
【0091】[透明支持体の作製]厚さ175μm、J
IS−Z8701記載の方法により規定された色度座標
上の、x=0.2850、y=0.2995に着色され
た青色のポリエチレンテレフタレート(PET)フィル
ムの一方の面に、SBRラテックスを乾燥塗布量が0.
3g/m2 になるように塗布した。この上に5重量%ゼ
ラチン水溶液(「#810」:新田ゼラチン社製)20
0g、5重量%の粒径2μmのポリメチルメタクリレー
ト樹脂粒子のゼラチン分散物(ポリメチルメタクリレー
ト樹脂の含有率10重量%)0.5g、3重量%1,2
−ベンゾチアゾリン−3−オン水溶液1.0g、及び2
重量%スルフォ琥珀酸ジ(2−エチル)ヘキシル水溶液
10gを混合した塗液を、乾燥塗布量が0.1g/m2
になるように塗布した。引続き、他方の面にも同様に塗
布を行った。
【0092】[感熱記録材料の作製]前記両面下塗りを
施した支持体上の一方の面に、支持体に近い側からBC
液、BPC液の順でそれぞれ塗布量が44.0ml/m
2 、18.5mlm2 となるように塗布、乾燥した。
【0093】次にBC層及びBPC層を設けたのと反対
側の面に、前記カプセル液(A)(固形分濃度27%)
4.2g、前記カプセル液(B)(固形分濃度27%)
10.0g、前記電子受容性化合物乳化分散液(固形分
濃度21重量%)40g、20重量%コロイダルシリカ
(「スノーテックスO」:日産化学社製)1.25g及
び下記構造式(21)で示される化合物
【0094】
【化21】 構造式(21)
【0095】の50重量%水溶液0.4gを混合し、乾
燥重量が13.5g/m2 になるように塗布乾燥した。
引き続きこの塗布物の上に、前記中間層用塗液を乾燥重
量が1.5g/m2 になるように塗布乾燥した。引き続
きこの中間層の上に前記保護層用塗液を乾燥重量が2.
5g/m2 になるように塗布乾燥し、本発明の感熱記録
材料を得た。
【0096】実施例2 実施例1の中間層液の調製で用いた化合物の代わりに、
前記一般式で示される化合物(一般式(B)のR2 が−
1123でn+n’+n”=20)0.3gを用いた以
外は実施例1と同様にして、本発明の感熱記録材料を得
た。
【0097】実施例3 実施例1の中間層液の調製で用いた化合物の代わりに、
前記一般式で示される化合物(一般式(B)のR1 が2
−エチルヘキシル基)0.3gを用いた以外は実施例1
と同様にして、本発明の感熱記録材料を得た。
【0098】実施例4 <ジアゾニウム塩マイクロカプセルの調製>下記構造式
(22)で示されるジアゾニウム化合物5.0g、
【0099】
【化22】
【0100】にメチレンクロライド15g、トリクレジ
ルフォスフェート5g、トリメチロールプロパントリメ
タクリレート15gおよびm−キシリレンジイソシアナ
ートのトリメチロールプロパン3:1付加物の75重量
%酢酸エチル溶液(タケネートD110N:武田薬品工
業(株)製)20gを加え、均一に混合して油相溶液を
作製した。得られた油相溶液を7重量%のポリビニルア
ルコール(PVA217E:(株)クラレ製、平均鹸化
度88モル%、平均重合度1700)水溶液60gの水
相に混合した後、エースホモジナイザー(日本精機株式
会社製)を用いて8000rpmで5分間乳化を行っ
た。得られた乳化液に更に50gの水を添加した後、4
0℃で3時間カプセル化反応を行って平均粒径1.5μ
mのカプセル液を調製した。反応終了後に得られた液に
イオン交換樹脂(MB−3:オルガノ(株)製)10m
lを添加し30分攪拌した後、濾過してカプセル液を得
た。
【0101】<カプラー乳化液の調製>下記構造式(2
3)で示されるカプラー化合物4.3g
【0102】
【化23】
【0103】および下記構造式(24)で示されるカプ
ラー化合物0.7g、
【0104】
【化24】
【0105】1,2,3−トリフェニルグアニジン5
g、トリクレジルフォスフェート0.8gおよびマレイ
ン酸ジエチル0.2gを、酢酸エチル25gに添加して
溶解した。得られた溶液を8重量%のポリビニルアルコ
ール水溶液40gと水15g、およびドデシルベンゼン
スルフォン酸ナトリウム0.5gを混合した水相に混合
した後、エースホモジナイザー(日本精機株式会社製)
を用いて10,000rpmで平均粒径0.5μmにな
るように乳化を行った。
【0106】<感熱記録材料の作製>前記ジアゾニウム
化合物を含有するカプセル液(固形分濃度25重量%)
5.0gと、カプラー(固形分濃度16重量%)乳化物
15.0g、20重量%コロイダルシリカ(日産化学ス
ノーテックスO)0.73gを攪拌混合し、混合した液
を実施例1で使用した支持体上に、固形分で15g/m
2 になるように塗布、乾燥して感熱記録層を形成した。
次にこの塗布物の上に、実施例1の中間層用塗液を乾燥
重量が1.5g/m2になるように塗布乾燥した。さら
に実施例1の保護層用塗液を乾燥後の固形分で2.5g
/m2 になるように塗布乾燥して透明な感熱記録材料を
作製した。
【0107】実施例5 <保護層液の調製>水4700gに、ポリビニルアルコ
ール((株)クラレ製:PVA124C、平均鹸化度9
8.5モル%、重合度2400)300gと本発明の化
合物(一般式(B)のR2 が−C1123で、n+n’+
n”=20)0.3gを添加し十分分散させた後、95
℃で2時間攪拌して、溶解させた。その後室温まで冷却
して、濃度を調整して5.8%のポリビニルアルコール
溶液(PVA−2溶液)を調製した。水50g、上記
5.8重量%PVA水溶液50g、20.5%ステアリ
ン酸亜鉛分散物(中京油脂(株)製:F155)0.5
g、1.0%ホウ酸水溶液25g、上記カオリン分散液
7g、4%フッ素ポリマー水分散液(ダイキン工業
(株)製:ME413)0.5g、10%ドデシルベン
ゼンスルフォン酸ナトリウム水溶液1g、及び前記構造
式(14)で示される化合物の2重量%水溶液15g及
び40%グリオキザール水溶液1.0gを混合して保護
層液を得た。
【0108】<感熱記録材料の作製>実施例1の支持体
のBC層及びBPC層を設けたのと反対側の面に、実施
例1のカプセル液(A)(固形分濃度27%)4.2
g、カプセル液(B)(固形分濃度27%)10.0
g、電子受容性化合物乳化物分散液(固形分濃度21重
量%)40g、20重量%コロイダルシリカ(日産化学
(株)製:スノーテックスO)1.25gおよび前記構
造式(21)で示される化合物の50重量%水溶液0.
4gを混合し、乾燥重量が13.5g/m2 となるよう
に塗布乾燥した。この塗布物の上に、上記保護層用塗液
を乾燥重量が2.5g/m2 になるように塗布乾燥し、
本発明の感熱記録材料を得た。
【0109】比較例1 実施例1の中間層用塗液の調製の際に使用したポリビニ
ルアルコール溶液(PVA−1溶液)において、本発明
による化合物を使用しないポリビニルアルコール溶液
(「PVA−3溶液」という。)を使用する他は、実施
例1と同様にして感熱記録材料を得た。 比較例1 実施例5の保護層用塗液の調製の際に使用したポリビニ
ルアルコール溶液(PVA−2溶液)において、本発明
による化合物を使用しないポリビニルアルコール溶液
(「PVA−4溶液」という。)を使用する他は、実施
例5と同様にして感熱記録材料を得た。
【0110】[評価]上記実施例1〜5及び比較例1〜
2より得られた塗布液、感熱記録材料において下記の評
価を行った。 <液ライフの評価>上記実施例1〜4の中間層用塗布液
および該塗布液の調製の際に使用したポリビニルアルコ
ール溶液(PVA−1溶液)、実施例5の保護層用塗布
液および該塗布液の調製の際に使用したポリビニルアル
コール溶液(PVA−2溶液)、比較例1の中間層用塗
布液および該塗布液の調製の際に使用したポリビニルア
ルコール溶液(PVA−3溶液)、並びに比較例2の保
護層用塗布液および該塗布液の調製の際に使用したポリ
ビニルアルコール溶液(PVA−4溶液)について、3
日間放置後の濾過圧の上昇の有無および残渣発生の有無
について、150g/minの液量で20mmφの10
μmフィルターに液を流して調べた。 <画像の画質評価>上記実施例1〜5及び比較例1〜2
において作製した感熱記録材料に、濃度1.0〜1.2
の均一画像パターンをサーマルヘッドで印画し、目視で
画像を観察し、面状欠陥(長径0.1mm〜1.5mm
の濃度ムラ)発生数をカウントした。 <耐可塑剤性の評価>実施例1〜4および比較例1で作
製した感熱記録材料に、濃度1.0〜1.2の均一画像
パターンをサーマルヘッドで印画した。可塑剤(アジピ
ン酸オクチル)を0.5g/m2 塗布した可塑剤紙を印
画紙に接触させた後、約50g/cm 2 の荷重をかけ、
40℃/60%の温湿度条件で7日間放置し、可塑剤紙
接触部分と非接触部分の濃度むらを目視評価した。液ラ
イフ評価の結果を表1に、画質評価および耐可塑剤性の
評価を表2に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】表1の結果から、本発明の化合物を含む水
溶性樹脂溶液およびこの溶液を含む記録材料用塗液は濾
過性に変化がなく、また残渣も発生せず、塗布液の保存
性(液ライフ)が向上することが分かる。また、この塗
液から形成された層の均一性および透明性は極めて優れ
ていた。また表2の結果から、上記塗液から形成された
層を有する感熱記録材料は、面状欠陥が極めて少ない良
好な画質を与えることが確認され、また耐可塑剤性も良
好であることが確認される。
【0114】
【発明の効果】本発明の記録材料は、塗液を調製する際
に、前記水溶性樹脂に特定の化合物を含ませたことによ
り、濾過特性を著しく向上させることができ、記録材料
を作製する際の作業性が優れている。また上記塗液から
形成される層は均一性および透明性が良好であり、この
ような層を有する記録材料は透明記録材料として用いた
場合にもその面状状態が優れている。さらに前記のよう
な層を有する記録材料は面状欠陥がなく画質が向上して
おり、さらに耐薬品性にも優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 7/12 C09D 129/04 Z 129/04 B41M 5/18 101C 101E 101F C08K 5/15 F Fターム(参考) 2H026 AA07 CC05 CC07 DD43 DD45 DD46 FF11 FF13 4J002 AB00X AB01X AB03X AD01X AD02X AF03X BC04X BC10X BE02W BF02X BG12X BJ00X EC016 EJ026 EL087 4J038 CE021 DF012 JA19 JA22 JA64 JA72 NA04 PB11

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均鹸化度が95〜100%のポリビニ
    ルアルコールまたは水溶性樹脂(ポリビニルアルコール
    を除く)と、下記一般式(A)または下記一般式(B)
    で表される化合物の1種以上を含有することを特徴とす
    る記録材料用組成物。 【化1】一般式(A) R1 −OH 一般式(A)において、R1 は炭素数3〜20のアルキ
    ル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜
    20のアラルキル基を表わす。 【化2】 一般式(B)において、R2 は炭素数8〜20のアルキ
    ル基、炭素数6〜20のアリール基、または炭素数6〜
    20のアラルキル基を表わし、n、n’およびn”は整
    数を表し、これらの合計が0〜30である。
  2. 【請求項2】 一般式(A)または一般式(B)で表わ
    される化合物が、前記ポリビニルアルコールまたは前記
    水溶性樹脂に対して0.01重量%以上10重量%以下
    含まれることを特徴とする請求項1に記載の記録材料用
    組成物。
  3. 【請求項3】 前記ポリビニルアルコールまたは前記水
    溶性樹脂と、前記一般式(A)または前記一般式(B)
    で表される化合物とを、水中で加熱しつつ攪拌して溶解
    させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載
    の記録材料用組成物の製造方法。
  4. 【請求項4】 加熱温度が80〜100℃の範囲である
    ことを特徴とする請求項3に記載の記録材料用組成物の
    製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体上に1以上の層を設けてなる記録
    材料であって、少なくとも1層が、平均鹸化度が95〜
    100%のポリビニルアルコールまたは水溶性樹脂(ポ
    リビニルアルコールを除く)と、前記一般式(A)また
    は前記一般式(B)で表される化合物の1種以上を含有
    することを特徴とする記録材料。
  6. 【請求項6】 前記層が中間層であることを特徴とする
    請求項5に記載の記録材料。
  7. 【請求項7】 前記層が保護層であることを特徴とする
    請求項5に記載の記録材料。
  8. 【請求項8】 上記記録材料が感熱記録材料であること
    を特徴とする請求項5ないし請求項7のいずれか1項に
    記載の記録材料。
  9. 【請求項9】 (1)平均鹸化度95〜100%のポリ
    ビニルアルコールまたは水溶性樹脂(ポリビニルアルコ
    ールを除く)と、前記一般式(A)または前記一般式
    (B)で表される化合物とを、水中で加熱しつつ攪拌し
    て溶液を調製する工程と、(2)該溶液に更に固体また
    は液体成分を添加して塗布液を調製する工程と、(3)
    該塗布液を支持体上に塗布乾燥して層を形成する工程と
    を含む記録材料の製造方法。
  10. 【請求項10】 加熱温度が80〜100℃の範囲であ
    ることを特徴とする請求項9に記載の記録材料の製造方
    法。
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