JP3808325B2 - 接合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの部材を互いに接合する接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、筒状のトンネル壁体を構成する場合、一般に、セグメントどうしをボルトによって接合していた。このボルトでセグメントどうしを接合する構造としては、セグメントの接合面の近傍に、セグメントの接合面どうしを当接した際に互いに連通する孔部を有する継手を埋め込んでおき、これら継手の孔部どうしが連通するように、セグメントの接合面を当接した状態で、孔部へボルトを挿通し、このボルトにナットを締結して接合する構造が一般的である。また、相互のセグメントにナット部材であるインサート金具を埋め込んでおき、隣接するセグメントに貫通したボルトを締結して互いに接合する構造もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構造では、建築現場にて継手の接合面に形成された孔部にボルトを挿通し、このボルトにナットを締結するという極めて煩雑な作業を要するという問題があった。しかも、上記のような接合構造では、継手の孔部どうしを正確に連通してセグメントを設置しなければならなかった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、例えばセグメントどうしのような2つの部材を作業性良く安定して接合することができる接合構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の接合構造は、
第1の部材と第2の部材とを接合する接合構造において、前記第1の部材に、前記第2の部材へ向かって延びるように設けられた接合棒と、前記第2の部材に設けられ、前記接合棒が挿入されることによって該接合棒を保持する接合具とを備え、前記接合棒は、挿入方向前端部に膨出部を備え、前記接合具は、前記接合棒を挿通可能な通路を有するとともに該通路の一部に前記膨出部を配置可能な拡大空間部を有するスリーブと、前記拡大空間部の一部に設けられていて該拡大空間部に配置された前記膨出部を係止して前記接合棒の挿入方向後方側への移動を規制する係止部とを備え、前記接合棒の基端に、挿入完了時点で前記スリーブの先端に被着する蓋体が設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、接合棒をスリーブに挿入すると、先端の膨出部がスリーブ内部の拡大空間部に填り込んで係止部に係止し、スリーブの内部で拘束される。これにより、接合棒を引き抜こうとする力、すなわち、接合棒の挿入方向後方側への力が作用しても、拡大空間部の一部に形成されている係止部と膨出部との係合関係から、接合具に接合された接合棒が引き抜かれるようなこともなく、第1の部材と第2の部材との接合は安定する。しかも、接合棒の挿入完了時点でスリーブの先端に蓋体が被着することにより、スリーブの外方への拡がりが事実上行われなくなるので、スリーブによる膨出部の拘束力がさらに強まる。これにより、接合棒の引き抜こうとして非常に強い力が作用してもスリーブが変形しなくなる。したがって、接合状態を更に強固に保つことができる。
【0015】
請求項2に記載の接合構造は、請求項1に記載の接合構造において、前記スリーブの周囲に該スリーブの外方への拡がりを阻止するように内方に作用する付勢力を発揮する弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、弾性部材がスリーブの外方への拡がりを阻止するように付勢力を発揮することにより、スリーブによる膨出部の拘束力が強まる。これにより、接合棒の引き抜こうとする強い力が作用しても、この力によるスリーブの外方への変形が抑制される。したがって、接合状態をより強固に保つことができる。
【0023】
請求項3に記載の接合構造は、請求項1または2に記載の接合構造において、前記スリーブの先端に近接する外側面に、周方向に連続する無端の溝が形成され、前記蓋体の内側には前記溝に嵌合する無端の突条部が形成されていることを特徴とする。
【0024】
本発明によれば、スリーブ側の溝に蓋体側の突条部が嵌合することにより、スリーブからの蓋体の離脱が防止される。これにより、蓋体によるスリーブの拘束状態が確保される。したがって、接合状態を更に強固に保つことができる。
【0025】
請求項4に記載の接合構造は、請求項1〜3のいずれかに記載の接合構造において、前記スリーブの先端面と外側面との間に斜面が形成され、前記蓋体の下縁は断面楔形に形成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明によれば、接合棒を挿入する過程でスリーブが外方に拡大変形しても、スリーブ側の斜面に楔形をなす蓋体の下縁が当接してスリーブを蓋体の内側に案内する。これにより、蓋体の被着がより確実に行われる。したがって、接合作業が容易になって作業性が向上する。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態による接合構造について図面を参照しながら説明するが、実施形態の説明に先立って本発明の参考技術について説明する。図1、図2、図3は本発明の接合構造の第1参考技術を示す側方断面図であって一連の接合動作を示している。
【0028】
図1において、接合構造は、トンネル壁体を構成する第1セグメント(第1の部材)Saと第2セグメント(第2の部材)Sbとを接合するものであって、第1セグメントSaに設けられた接合棒1と、第2セグメントSbに設けられた接合具2とを備えている。接合棒1は、第2セグメントSb側へ向かって延びるように設けられており、接合具2に対して、図1中、矢印y方向に挿入される。接合棒1の挿入方向後端側にはねじ部1aが形成されている。そして、第1セグメントSaに埋設されたインサートナット1bとねじ部1aとをねじ込むことにより、接合棒1と第1セグメントSaとが固定される。一方、接合棒1の挿入方向前端側には軸部1cより大径な大径部1dを有する膨出部21が形成されている。接合棒1は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、繊維強化プラスチックなどの各種合成樹脂によって構成される。合成樹脂によって構成することにより、成型を容易とし、低コストを実現している。もちろん、接合棒1を鋼などの各種金属によって構成してもよい。
【0029】
接合具2は、第2セグメントSbに埋設され、接合棒1を挿通可能な通路4を有するスリーブ23を有している。接合具2のうちスリーブ23は、第1筒状部材3と、第1筒状部材3に接続された第2筒状部材5とを備えており、これら2つの筒状部材の内部が通路4となっている。第2筒状部材5は、第1筒状部材3の内部に嵌合されることによって第1筒状部材3と接続している。第1接合部材3と第2接合部材5との接合は、例えばアーク溶接や接着剤を用いて行われている。第1筒状部材3の第2セグメントSb側端部には、通路4を塞ぐストッパー部6が設けられている。これら接合具2のスリーブ23を構成する第1筒状部材3、第2筒状部材5や蓋体6も、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、繊維強化プラスチックなどの各種合成樹脂によって構成されている。なお、接合具2を鋼などの各種金属によって構成してもよい。
【0030】
接合具2の通路4の途中にはリング状部材(係止部)7が配置されている。このリング状部材7も、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、繊維強化プラスチックなどの各種合成樹脂によって構成される。リング状部材7は開口部である挿通部8を有しており、この挿通部8に接合棒1が挿通されるようになっている。そして、図1や図4(a)の断面図などに示すように、この挿通部8は、第2セグメントSb側に向かって小さくなるようにテーパ状に形成されている。
【0031】
リング状部材7は、図4(b)の正面図に示すように、その一部を切られた切欠部9を有している。切欠部9が形成されていることによって、このリング状部材7の切欠部9近傍は図4(b)中、矢印y1に示すように弾性変形可能となっている。そして、この弾性変形に応じて、リング状部材7の挿通部8が拡大・縮小する方向に変形するようになっている。
【0032】
ここで、外部からの力を作用されていない状態(通常状態)におけるリング状部材7の挿通部8の径の少なくとも一部は、接合棒1の径より小さくなるように設定されている。本実施形態においては、挿通部8は第2セグメントSb側に向かって小さくなるようにテーパ状に形成されているが、この第2セグメントSb側の径が、少なくとも接合棒1のうち、膨出部21の大径部1dより小さくなるように設定されている。一方、挿通部8のうち第1セグメントSa側の径は膨出部21の大径部1dより若干大きくあるいはほぼ同じに設定されており、接合棒1をリング状部材7の挿通部8に挿入しやすいようにしている。
【0033】
そして、リング状部材7の挿通部8が拡径されるように弾性変形された際には、リング状部材7は挿通部8を縮小する方向に付勢力を有することになる。
【0034】
図1に戻って、通路4は、第1筒状部材3の内部と第2筒状部材5の内部とが接続されることによって形成されている。ここで、第1筒状部材3の内部にはリング用段部3aが形成されており、リング状部材7は、第2筒状部材5の第2セグメントSb側の端面5aとリング用段部3aとによって形成された凹部(リング用係止部)10に配置されている。リング状部材7は、凹部10に配置されていることによって、第1セグメントSa側及び第2セグメントSb側への移動を規制されている。
【0035】
第1筒状部材3の内径は、リング状部材7の内径より大きく設定されている。すなわち、リング状部材(係止部)7に対して第2セグメント(第2の部材)Sb側には、このリング状部材7によって形成される空間より拡大された拡大空間部Sが、第1筒状部材3によって形成されている。
【0036】
凹部10とリング状部材7との間にはOリング(可撓性部材)11が設けられている。Oリング11によって、リング状部材7が挿通部8を拡大・縮小するように変形した際のリング状部材7と凹部10(通路4)との干渉が抑えられる。なお、凹部10とリング状部材7との間には、リング状部材7の変形に伴う衝撃を和らげることが可能なものなら何でもよく、Oリングのような弾性部材に限らず金属ベローズのような部材でもよい。すなわち、撓む性質を有するものであれば何でもよい。
【0037】
以上説明したような構成を有する接合構造によって、第1セグメントSaと第2セグメントSbとを接合する手順について説明する。
まず、図1に示すように、接合棒1のねじ部1aと第1セグメントSaに埋設されているインサートナット1bとを螺着することによって、第1セグメントSaに接合棒1を固定する。また、第2セグメントSbに、第1筒状部材3をストッパー部6とともに埋設する。そして、第1筒状部材3の内部に第1セグメントSa側からOリング11とともにリング状部材7を挿入し、リング用段部3aに係合する。
【0038】
そして、リング用段部3aに配置されたリング状部材7を抑えるように、第1筒状部材3の内部に第1セグメントSa側から第2筒状部材5を挿入し、アーク溶接や接着剤を用いた接合によって第1筒状部材3と第2接合部材5とを接続する。第1筒状部材3に挿入された第2筒状部材5の第2セグメントSb側の端面5aによってリング状部材7はリング用段部3aに抑えつけられる。こうして、リング用段部3aと第2筒状部材5の端面5aとにより形成された凹部(係止部)10によって、リング状部材7の第1セグメントSa側及び第2セグメントSb側への移動(通路4方向の移動)が規制される。
【0039】
接合具2を第2セグメントSbに設けたら、通路4に向かって矢印y方向に接合棒1を挿入する。通路4に挿入された接合棒1の膨出部21は、やがて、リング状部材7に達する。このとき、リング状部材7の挿通部8は第2セグメントSb側に向かって小さくなるように形成されており、挿通部8の第1セグメントSa側の径は接合棒1の膨出部21より若干大きいかほぼ同じに設定されている。
【0040】
図2に示すように、接合棒1を更に押し込むことによって、挿通部8を拡大するように変形可能に設けられているリング状部材7は挿通部8を拡大させる。このとき、リング状部材7の外径は凹部10(通路4)の径より小さく形成されており、リング状部材7と凹部10との間にはOリング11が設けられているので、リング状部材7の挿通部8を拡大させるような変形は妨げられない。
【0041】
挿通部8の第1セグメントSa側の径は、接合棒1の膨出部21より大きいかほぼ同じに形成されているので、挿通部8に対する接合棒1の挿入動作は安定して行われる。そして、挿通部8は第2セグメントSb側に向かって小さくなるようにテーパ状に形成されているので、接合棒1をテーパ形状に案内させつつ挿通部8に押し込むことに伴って、挿通部8は拡径される。
【0042】
そして、図3に示すように、接合棒1の膨出部21がリング状部材7を通過して第1筒状部材Sによって形成された拡大空間部Sに配置されると、リング状部材7は挿通部8の径を縮小する方向に付勢力を有しているので、接合棒1の軸部1cを締め付けるように変形し、接合棒1を保持する。このとき、挿通部8の第2セグメントSb側の径は接合棒1の膨出部21の大径部1dより小さく設定されており、リング状部材7より第2セグメントSb側に形成されている拡大空間部21に配置された膨出部21によって、接合棒1は第1セグメントSa側の移動(挿入方向後方側への移動)を規制され、接合具2から引き抜かれることがない。こうして、接合棒1と接合具2とが固定され、第1セグメントSaと第2セグメントSbとが接合される。
【0043】
以上説明したように、接合棒1を第1筒状部材3及び第2筒状部材5からなるスリーブ23に挿入すると、先端の膨出部21がスリーブ23内部の拡大空間部Sに填り込んで係止部であるリング状部材7に係止し、スリーブ23の内部で拘束される。これにより、接合棒1を引き抜こうとする力、すなわち、接合棒1の挿入方向後方側への力が作用しても、拡大空間部Sのうち接合棒1の挿入方向後方側に配置されているリング状部材(係止部)7と膨出部21との係合関係から、接合具2に接合された接合棒1が引き抜かれるようなこともなく、第1セグメントSaと第2セグメントSbとの接合は安定する。
【0044】
通路4に配置され、切欠部9の作用によって挿通部8を拡大・縮小するように変形可能なリング状部材7は、挿通部8を縮小する方向に付勢力を有しているとともに、挿通部8を縮小した際、接合棒1より小径になる部分を有するように設定されているので、接合具2の通路4に挿入された接合棒1は、リング状部材7の挿通部8を通過する際、膨出部21で挿通部8を押し拡げるように通過した後、リング状部材7の挿通部8を縮小する方向に作用する付勢力によって締め付けられる。このように、接合棒1を接合具2の通路4に挿入するだけで、接合棒1と接合具2とを連結することができる。このとき、リング状部材7は、通路4の途中に設けられた凹部10によって通路4方向への移動を規制されているので、接合棒1の挿入動作を安定して行うことができるとともに、接合具2に接合された接合棒1が引き抜かれるようなこともなく、第1セグメントSaと第2セグメントSbとの接合は安定される。
【0045】
接合棒1の膨出部21は、リング状部材7より第2セグメントSb側の拡大空間部Sに配置された際、リング状部材7によって挿入方向後方側への移動を規制されるので、接合棒1は接合具2から引き抜かれるようなことがない。したがって、第1セグメントSaと第2セグメントSbとの接合は安定する。
【0046】
接合具1は、内部にリング状部材7の第2セグメントSb側への移動を規制するリング用段部3aを備えた第1筒状部材3と、第1筒状部材3の内部に配置されたリング状部材7の第1セグメントSa側への移動を規制するように第1筒状部材3に接続される第2筒状部材5とを有しているので、第2セグメントSbに接合具2を設ける際には、第2セグメントSbに第1筒状部材3を設け、この第1筒状部材3のリング用段部3aにリング状部材7を配置した後、第1筒状部材3に第2筒状部材5を接続すればよいので、第2セグメントSbに対する接合具2の取り付けを作業性良く行うことができる。
【0047】
挿通部8は第2セグメントSbに向かって縮まるようにテーパ状に形成されており、挿通部8の第1セグメントSa側の径は接合棒1の膨出部21より若干大きいかほぼ同じに設定されているので、接合棒1をリング状部材7の挿通部8に挿入しやすくなっている。一方、挿通部8の第2セグメントSb側の径は接合棒1の膨出部21より小さく設定されているので、接合棒1の保持を安定して行うことができる。
【0048】
凹部10とリング状部材7との間にOリング11を備えるので、リング状部材7が挿通部8を拡大・縮小するように変形した際、リング状部材7と通路4との干渉を抑えることができる。
【0049】
なお、凹部10とリング状部材7との間には、Oリング11を設けない構成とすることも可能である。この場合、凹部10とリング状部材7との間には、リング状部材7の挿通部8を拡大するような変形を妨げないように、離間部を設けておく。すなわち、リング状部材7の外径を、凹部10(通路4)の内径より小さく設定しておく。このとき、凹部10によってリング状部材7の通路4方向への移動が規制されていることにより、通路4に挿入された接合棒1のリング状部材7による保持を安定して行うことができる。
【0050】
次に、第2参考技術について、図5を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、前述した第1参考技術と同一あるいは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略もしくは省略する。
図5に示す第2参考技術による接合構造の特徴的な部分は、接合具2を構成する第1筒状部材3と第2筒状部材5との接続構造である。図5に示すように、第2筒状部材5の外周面にはおねじ溝5bが設けられており、第1筒状部材3の内周面にはめねじ溝3bが設けられている。そして、第2筒状部材5の全てが第1筒状部材3の内側に包まれるように配置され、おねじ溝5bとめねじ溝3bとを螺着することによって、第1筒状部材3と第2筒状部材5とが接続される。この場合、第2セグメントSbの第1セグメントSaと対向する面に、第1筒状部材3及び第2筒状部材5の後端面のそれぞれが露出している。
【0051】
以上説明したように、第1筒状部材3の内周面にめねじ溝3bを設け、第2筒状部材5の外周面におねじ溝5bを設け、めねじ溝3bとおねじ溝5bとの螺着によって、第1筒状部材3と第2筒状部材5とを接続してもよい。そして、第1筒状部材3の内部に第2筒状部材5の全てを配置するようにしたことにより、接合具2の挿入方向の長さを短くすることができ、これに伴って、接合棒1の軸部1cの長さを短くすることができる。
【0052】
次に、接合構造の第3参考技術について、図6を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、前述した第1、第2参考技術と同一あるいは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略もしくは省略する。
図6に示す第3参考技術に係る特徴的な部分は、第2参考技術同様、接合具2を構成する第1筒状部材3と第2筒状部材5との接続構造である。図6に示すように、第2筒状部材5の内周面にはめねじ溝5cが設けられており、第1筒状部材3の外周面にはおねじ溝3cが設けられている。そして、第2筒状部材5が第1筒状部材3を包むように配置され、おねじ溝3cとめねじ溝5cとを螺着することによって、第1筒状部材3と第2筒状部材5とが接続される。この場合、第2セグメントSbの第1セグメントSaと対向する面に、第2筒状部材5の後端面のみが露出している。
【0053】
以上説明したように、第1筒状部材3の外周面におねじ溝3cを設け、第2筒状部材5の内周面にめねじ溝5cを設け、おねじ溝3cとめねじ溝5cとの螺着によって、第1筒状部材3と第2筒状部材5とを接続してもよい。そして、第2筒状部材5の内部に第1筒状部材3の一部を配置するようにしたことにより、接合具2の挿入方向の長さを短くすることができ、これに伴って、接合棒1の軸部1cの長さを短くすることができる。
【0054】
次に、本発明の実施形態による接合構造について、上述した参考技術と図7〜図10を参照しながら説明する。図7は本実施形態の接合構造を示す図であって、接合前状態での断面図である。図8はスリーブを接合棒の反挿入方向から見た図、図9は同接合構造の構成要素であるスリーブを側方から見た図である。また、図10は同接合構造を示す図であって、接合前状態の断面図である。
【0055】
図7に示すように、本実施形態の接合構造は、第1セグメントSaに固定され、第2セグメントSbに向かって延出する円柱状の接合棒1と、セグメントSbに形成された配設孔Hの内部に配設され、接合棒1が挿入された場合にこの接合棒1を固定する接合具2とによって接合される概略構成を有している。接合棒1は、基端に形成されたねじ部1aを第1セグメントSaに埋設固定されたインサート1bに螺着することで第1セグメントSaに固定されている。
【0056】
接合棒1の先端には膨出部21が形成されている。膨出部21は下方が先鋭な略円錐状で、接合棒1と連続する部分には鈎形の大径部1dが形成されている。
【0057】
接合具2は、接合棒1が挿入されるスリーブ23と、スリーブ23の周囲を取り囲むように配設された弾性部材30とを備えている。スリーブ23は、接合棒1を挿入される先端を配設孔Hから突出させない位置とし、図示しない基端の大径部(図9に図示)を埋設することで第2セグメントSbに固定されている。また、弾性部材30はスリーブ23の先端を配設孔H内において若干露出させるように配設されている。
【0058】
スリーブ23の内部には、接合棒1の膨出部21を包むように係止する拡大空間部Sが形成されており、拡大空間部Sをなすスリーブ23の内壁には膨出部21の大径部1dを係止する段部(係止部)24が形成されている。
【0059】
図8、図9に示すように、スリーブ23には、接合棒1を挿入される先端から挿入方向に向けて割断されるように複数のスリット25が形成されている。各スリット25は、スリーブ23を接合棒1の挿入方向からみて放射状をなすように等間隔に配置されている。
【0060】
接合棒1の基端には、挿入完了時点でスリーブ23の先端に被着する蓋体13が設けられている。なお、蓋体13は接合棒1とともに第1セグメントSaに固定されている。
【0061】
スリーブ23の先端に近接する外側面には、周方向に連続する無端の溝26が形成されている。一方、蓋体13の内側には溝26に嵌合する無端の突条部14が形成されている。
【0062】
スリーブ23の先端面と外側面との間には周方向に一連の斜面27が形成されている。一方、蓋体13の下縁15は断面楔形に形成されている。
【0063】
以上のような構成を有する接合構造による、第1,第2セグメントSa,Sb間の接合作業について説明する。
第1,第2セグメントSa,Sb間が離間した状態(図7参照)から、第2セグメントSbのスリーブ23に接合棒1を挿入するように第1セグメントSaを接近させていく。この接近動作に伴ってスリーブ23内に挿入されていく接合棒1は、円錐状の膨出部21によって、スリット25を割り広げていく。
【0064】
そして、膨出部21が拡大空間部Sに填り込んだとき、スリーブ23が弾性部材30の付勢力を受けて元の形状に復帰し、膨出部21の大径部1dがスリーブ23側の段部(係止部)24に係止する(図10参照)。
【0065】
さらに、膨出部21が拡大空間部Sに填り込むと同時に蓋体13がスリーブ23の先端に被着し、スリーブ23側の溝26と突条部14とを嵌合させて固定される。蓋体13がスリーブ23に被着する過程では、スリーブ23側の斜面27に蓋体13の楔形の下縁15が当接し、蓋体13をスリーブ23の外側に案内する。
これにより、接合棒1が接合具2に対して抜出不可に固定されるので、第2セグメントSbに対する第1セグメントSaの接合作業が完了する。
【0066】
この構成によれば、第1,第2セグメントSa,Sbどうしを接合させる際に、単に、第1セグメントSaに設けられた接合棒1を第2セグメントSbに設けられた接合具2へ挿入させることにより、極めて容易に、接合具2に接合棒1を係止させ、それぞれを接合させることができる。
【0067】
なお、上記実施形態における接合構造は、トンネルを構成するセグメントSa,Sbどうしを接合するものであるが、トンネルのセグメントに限らず、任意の部材どうしを接合する際に適用可能であることはもちろんである。
【0069】
【発明の効果】
本発明の接合構造によれば、接合棒をスリーブに挿入すると、先端の膨出部がスリーブ内部の拡大空間部に填り込んで係止部に係止し、スリーブの内部で拘束される。これにより、接合棒を引き抜こうとする力が作用しても、拡大空間部の一部に形成されている係止部と膨出部との係合関係から、接合具に接合された接合棒が引き抜かれることなく、第1の部材と第2の部材とを強固に安定して接合することができる。
そして、本発明により、ボルトを継手の接合面に形成された孔部へ挿通させてナットを締結させていた従来構造と比較して、その接合作業にかかる労力を大幅に低減させることができる。また、接合時に、現場にて用意する部品を少なくすることができ、部品の搬入、準備等の作業を軽減することができ、省力化を図ることもできる。さらに、ロボットを使った自動組み立ての実現にも貢献が期待できる。
しかも、接合棒の挿入完了時点でスリーブの先端に蓋体が被着することにより、スリーブの外方への拡がりが事実上行われなくなるので、スリーブによる膨出部の拘束力がさらに強まる。これにより、接合棒の引き抜こうとして非常に強い力が作用してもスリーブが変形しなくなる。したがって、接合状態を更に強固に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接合構造の第1参考技術を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合される前の状態を示す図である。
【図2】本発明の接合構造の第1参考技術を示す断面図であって、接合棒の前端部が保持部材に保持される直前の状態を示す図である。
【図3】本発明の接合構造の第1参考技術を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合された後の状態を示す図である。
【図4】本発明の接合構造の第1参考技術に係るリング状部材を示す図である。
【図5】本発明の接合構造の第2参考技術を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合された後の状態を示す図である。
【図6】本発明の接合構造の第3参考技術を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合された後の状態を示す図である。
【図7】本発明の接合構造の実施形態を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合される前の状態を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る接合構造の構成要素であるスリーブを側方から見た図である。
【図9】本発明の実施形態に係る接合構造の構成要素であるスリーブを接合棒の挿入方向から見た図である。
【図10】本発明の実施形態に係る接合構造を示す図であって、接合後の状態での断面図である。
【符号の説明】
1 接合棒
1d 大径部
2 接合具
3 第1筒状部材(スリーブ)
3a リング用段部
4 通路
5 第2筒状部材(スリーブ)
7 リング状部材(係止部)
8 開口部(挿通部)
9 切欠部
10 凹部(リング用係止部)
11 Oリング(可撓性部材)
13 蓋体
14 突条部
21 膨出部
23 スリーブ
24 段部(係止部)
25 スリット
26 溝
27 斜面
30 弾性部材
S 拡大空間部
Sa 第1セグメント(第1の部材)
Sb 第2セグメント(第2の部材)
Claims (4)
- 第1の部材と第2の部材とを接合する接合構造において、
前記第1の部材に、前記第2の部材へ向かって延びるように設けられた接合棒と、
前記第2の部材に設けられ、前記接合棒が挿入されることによって該接合棒を保持する接合具とを備え、
前記接合棒は、挿入方向前端部に膨出部を備え、
前記接合具は、前記接合棒を挿通可能な通路を有するとともに該通路の一部に前記膨出部を配置可能な拡大空間部を有するスリーブと、前記拡大空間部の一部に設けられていて該拡大空間部に配置された前記膨出部を係止して前記接合棒の挿入方向後方側への移動を規制する係止部とを備え、
前記接合棒の基端に、挿入完了時点で前記スリーブの先端に被着する蓋体が設けられていることを特徴とする接合構造。 - 請求項1に記載の接合構造において、
前記スリーブの周囲に該スリーブの外方への拡がりを阻止するように内方に作用する付勢力を発揮する弾性部材が設けられていることを特徴とする接合構造。 - 請求項1または2に記載の接合構造において、
前記スリーブの先端に近接する外側面に、周方向に連続する無端の溝が形成され、前記蓋体の内側には前記溝に嵌合する無端の突条部が形成されていることを特徴とする接合構造。 - 請求項1〜3のいずれかに記載の接合構造において、
前記スリーブの先端面と外側面との間に斜面が形成され、前記蓋体の下縁は断面楔形に形成されていることを特徴とする接合構造。
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