JP3833498B2 - 接合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、2つの部材を互いに接合する接合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、筒状のトンネル壁体を構成する場合、一般に、セグメントどうしをボルトによって接合していた。このボルトでセグメントどうしを接合する構造としては、セグメントの接合面の近傍に、セグメントの接合面どうしを当接した際に互いに連通する孔部を有する継手を埋め込んでおき、これら継手の孔部どうしが連通するように、セグメントの接合面を当接した状態で、孔部へボルトを挿通し、このボルトにナットを締結して接合する構造が一般的である。また、相互のセグメントにナット部材であるインサート金具を埋め込んでおき、隣接するセグメントに貫通したボルトを締結して互いに接合する構造もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような構造では、建築現場にて継手の接合面に形成された孔部にボルトを挿通し、このボルトにナットを締結するという極めて煩雑な作業を要するという問題があった。しかも、上記のような接合構造では、継手の孔部どうしを正確に連通してセグメントを設置しなければならなかった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、例えばセグメントどうしのような2つの部材を作業性良く安定して接合することができる接合構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、第1の部材と第2の部材とを接合する接合構造において、前記第1の部材に、前記第2の部材へ向かって延びるように設けられた接合棒と、前記第2の部材に設けられ、前記接合棒を挿通可能な通路を有し、該接合棒が挿入されることによって該接合棒を保持する接合具とを備え、前記接合棒は、該接合棒の挿入方向前端部から挿入方向後方側に向かって形成された切欠部によって挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能、且つ、拡大する方向に付勢力を有しており、前記接合棒には、該接合棒を縮小状態で保持する保持部材が設けられ、前記通路は、縮小状態の接合棒より大径、且つ拡大状態の接合棒より小径に設定されており、前記通路の一部に、前記接合棒の挿入に伴って前記保持部材による保持を解除する保持解除部材が設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、接合棒の挿入方向前端部は切欠部によって複数の分割前端部に分割されており、挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能、且つ、拡大する方向に付勢力を有している。また、挿入される前の接合棒にはこの接合棒を縮小状態で保持する保持部材が設けられている。そして、この接合棒を接合具の通路に挿入することにより、通路の一部に設けられた保持解除部材によって保持部材の保持が解除されるので、通路内において接合棒は前記付勢力によって拡大される。このとき、接合具の通路は、拡大状態の接合棒より小径に設定されているので、通路の内面と接合棒の外面とが当接することによって、接合棒が通路に保持される。このように、接合棒を接合具の通路に挿入するだけで、接合棒と接合具とを連結することができる。
【0007】
請求項2に記載の発明によれば、前記保持部材は、前記接合棒の前記前端部に被せられた可撓性部材であり、前記保持解除部材は、前記通路のうち前記接合棒の前記前端部と対向する位置に設けられた突起部であるので、接合棒を通路に挿入した際、接合棒の挿入方向前端部に設けられた可撓性部材が突起部に当たって撓むので、挿入に伴って可撓性部材による接合棒に対する保持が解除され、保持部材が前記付勢力によって拡大されることになる。
【0008】
請求項3に記載の発明によれば、前記接合棒は、前記切欠部によって複数に分割された分割前端部のそれぞれに固定された複数のリング状部材を備え、前記保持部材は、前記接合棒の内部で移動自在に配置され、前記複数のリング状部材のそれぞれに係合することによって前記接合棒を縮小状態に保持可能、且つ該接合棒の前記前端部より挿入方向前方側に突出する複数の突出部を有しており、前記通路には、前記突出部と対向する位置に配置されたストッパー部が設けられているので、接合棒を通路に挿入した際、保持部材のうち接合棒の前端部より挿入方向前方側に突出した突出部がストッパー部に当たって、保持部材は後方側に移動される。すると、この突出部とリング状部材との係合が解除されるので、接合棒が前記付勢力によって拡大されることになる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、前記通路の内面及び前記接合棒の外面の少なくとも一方に凸部が設けられているので、通路の内面と接合棒の外面との摩擦抵抗が大きくなり、接合具と接合棒との連結を安定化することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の接合構造について図面を参照しながら説明する。図1、図2、図3は本発明の接合構造の第1実施形態を示す側方断面図であって一連の接合動作を示している。
【0013】
図1において、接合構造は、トンネル壁体を構成する第1セグメント(第1の部材)Saと第2セグメント(第2の部材)Sbとを接合するものであって、第1セグメントSaに設けられた接合棒1と、第2セグメントSbに設けられた接合具2とを備えている。接合棒1は、第2セグメントSb側へ向かって延びるように設けられており、接合具2に対して、図1中、矢印y方向に挿入される。接合棒1の挿入方向後端側にはねじ部1aが形成されている。そして、第1セグメントSaに埋設されたインサートナット1bとねじ部1aとをねじ込むことにより、接合棒1と第1セグメントSaとが固定される。一方、接合棒1の挿入方向前方側の外面には雄ねじ溝(凸部)1cが形成されている。接合棒1は、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、繊維強化プラスチックなどの各種合成樹脂によって構成される。合成樹脂によって構成することにより、成型を容易とし、低コストを実現している。もちろん、接合棒1を鋼などの各種金属によって構成してもよい。
【0014】
接合具2は、第2セグメントSbに埋設され、接合棒1を挿通可能な通路4を有している。接合具2は、筒状部材3と、筒状部材3の第2セグメントSb側端部に設けられ、通路4を塞ぐ蓋体(ストッパー部)6とを備えている。これら接合具2を構成する筒状部材3、蓋体6も、ポリカーボネート、ポリスチレン、ナイロン、繊維強化プラスチックなどの各種合成樹脂によって構成されている。なお、接合具2を鋼などの各種金属によって構成してもよい。
【0015】
接合棒1は、この接合棒1の挿入方向前端部1dから挿入方向後方側に向かって形成された切欠部8を有している。図4は接合棒1を前端部1d側から見た図である。図4に示すように、本実施形態においては、接合棒1は4つの切欠部8を有しており、前端部1dは切欠部8によって4つに分割されている。そして、前端部1dを含む接合棒1は、切欠部8を拡げたり縮めたり変形することによって、挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能となっている。
なお、図4では、縮小状態の接合棒1が示されており、後述する保持部材10は図示されていない。
【0016】
図1に戻って、接合棒1の前端部1dには、接合棒1を保持する保持部材10が設けられている。この保持部材10は、切欠部8によって複数に分割された分割前端部のそれぞれを保持可能な形状を有しており、例えば、キャップ状に形成されている。あるいは、本実施形態においては、前端部1dは4つに分割されているので、保持部材10として、正面視十字状に形成され、前端部1d近傍の側面を保持するカギ部を有する形状としてもよい。
【0017】
この保持部材10は可撓性部材によって構成されている。すなわち、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン、ポリスチレン、あるいはナイロンなどの各種合成樹脂、合成ゴム、あるいは撓み変形可能な程度の厚さを有する金属製部材などによって構成されている。
【0018】
保持部材10は、接合棒1の前端部1dに対して被せられるように設けられている。このとき、保持部材10は接合棒1を縮小状態で保持する。ここで、接合棒1は、外部からの力を作用されていない状態(通常状態)では、拡大しているように設定されている。一方、保持部材10は接合棒1を縮小した状態で前端部1dに被さって保持している。すなわち、接合棒1は、保持部材10に保持されることによって、拡大する方向に付勢力を有することになる。
【0019】
通路4は、第1セグメントSa側の第1通路4aと、第1通路4aと連続するように第2セグメントSb側に設けられ、第1通路4aより小径な第2通路4bとを有している。第2通路4bの内面には雌ねじ溝(凸部)4cが形成されている。第1通路4aは、縮小状態の接合棒1より大径に設定されており、接合棒1の挿入動作を容易にしている。第2通路4bは、縮小状態の接合棒1より大径、且つ、拡大状態の接合棒1より小径に設定されており、縮小状態の接合棒1の挿入を可能としている。
【0020】
通路4の第2セグメントSb側に設けられた蓋体6には、突起部(保持解除部材)12が設けられている。この突起部12は、蓋体6の第1セグメントSa側(通路4側)に設けられ、第1セグメントSa側に向かって突出している。このとき、突起部12は、通路4内において挿入される接合棒1の前端部1dと対向する位置に設けられた構成となっている。
【0021】
以上説明したような構成を有する接合構造によって、第1セグメントSaと第2セグメントSbとを接合する手順について説明する。
まず、図1に示すように、接合棒1のねじ部1aと第1セグメントSaに埋設されているインサートナット1bとを螺着することによって、第1セグメントSaに接合棒1を固定する。また、第2セグメントSbに、筒状部材3と突起部12を有する蓋体6とを埋設する。
【0022】
接合具2を第2セグメントSbに設けたら、図2に示すように、保持部材10よって縮小状態となっている接合棒1を通路4に向かって矢印y方向に挿入する。このとき、通路4は縮小状態の接合棒1より大径に設定されているため、挿入動作は安定して行われる。通路4に挿入された接合棒1の前端部1dは、突起部12に達する。そして、接合棒1の前端部1dに被せられている保持部材10と突起部12とが当接する。
【0023】
図3に示すように、接合棒1を更に押し込むことによって、接合棒1の前端部1dに被せられている保持部材10が突起部12によって撓むように変形される。可撓性部材からなる保持部材10は、突起部12によって、その一部が、切欠部8によって複数に分割された分割前端部の間に入り込むように変形される。そして、この保持部材10が撓むように変形することによって、保持部材10による接合棒1の前端部1dに対する保持が解除される。
【0024】
保持部材10による保持が解除されることにより、接合棒1は前記付勢力によって拡径する。このとき、接合棒1は通常状態(外部からの力を作用されていない状態)では第2通路4bより大径に設定されているので、保持が解除されたことにより、外面の雄ねじ溝1cを通路4の内面の雌ねじ溝4cに当接する。すなわち、接合棒1は拡大することによって通路4(第2通路4b)に締め付けられるように保持される。こうして、接合棒1と接合具2とが固定され、第1セグメントSaと第2セグメントSbとが接合される。
【0025】
以上説明したように、接合棒1の前端部1dを切欠部8によって複数の分割前端部に分割して挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能にしておき、接合棒1の前端部1dに、この接合棒1を拡大する方向に付勢力を有するように縮小状態で保持する保持部材10を被せ、通路4の内部うち、挿入される接合棒1の前端部1dと対向する位置に突起部12を設けたことにより、接合棒1を通路4に挿入するだけで、保持部材10が突起部12によって撓むように変形され、通路4内において保持部材10の保持を解除することができる。そして、拡大するように付勢力を有している接合棒1は通路4内において拡径するので、拡大状態の接合棒1より小径に設定されている通路4の内面と接合棒1の外面とが当接することによって、接合棒1が通路4に保持される。このように、接合棒1を接合具2の通路4に挿入するだけで、接合棒1と接合具2とを容易に連結することができる。
【0026】
また、接合棒1の外面と通路4の内面とのそれぞれに雄ねじ溝1c及び雌ねじ溝4cを設けたことにより、通路4の内面と接合棒1の外面との摩擦抵抗が大きくなるので、接合棒1は接合具2から引き抜かれることがなくなる。したがって、接合棒1と接合具2との連結を安定化することができる。
【0027】
なお、本実施形態においては、凸部は雄ねじ溝(雌ねじ溝)とされているが、例えばイボ状凸部や粗目状凸部など、摩擦抵抗を大きくする形状であればよい。また、本実施形態においては、なお、切欠部8の数は4つであるが、4つに限らず、任意の数でよい。
【0028】
なお、本実施形態においては、保持部材10はキャップ形状、あるいは正面視十字状に形成され、前端部1d近傍の側面を保持可能なカギ部を有する形状とされているが、例えば、正面視十字状に形成された保持部材と分割前端部のそれぞれとを接着剤によって接合することにより接合棒を縮小状態に保持するようにしてもよい。そして、保持部材による保持の解除は、突起部12によって保持部材を撓ませ、接着剤による接合を解除することによって行われる。
【0029】
次に、本発明の接合構造の参考例について、図5を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、前述した第1実施形態と同一あるいは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略もしくは省略する。
【0030】
図5に示すように、第1セグメントSaには接合棒1が設けられ、第2セグメントSbには接合具2が設けられている。接合棒1には、第1実施形態同様、前端部1dから後方側に向かって切欠部8が形成されており、挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能となっている。また、接合具2の通路4も、第1実施形態同様、縮小状態の接合棒1より大径、且つ、拡大状態の接合棒1より小径に設定されている。そして、通路4のうち、第2セグメントSb側の端部には蓋体6が設けられ、この蓋体6には、挿入される接合棒1の前端部1dに対向する位置に突起部12が設けられている。
【0031】
本参考例における特徴的な部分は、接合棒1には保持部材が設けられていない点である。そして、接合棒1は、通常状態(外部からの力が作用されていない状態)においては、縮小状態になるように設定されている。すなわち、接合棒1は、例えば塑性変形によって、通常状態において縮小状態になるように設定されている。
【0032】
以上説明したような構成を有する接合構造によって第1セグメントSaと第2セグメントSbとの接合を行うには、まず、縮小状態に維持されている接合棒1を接合具2の通路4に挿入する。挿入された接合棒1の前端部1dはやがて突起部12に達する。そして、接合棒1を更に押し込むことにより、突起部12が、切欠部8によって形成された分割前端部のそれぞれの間に入り込んで、接合棒1を拡径させる。このとき、接合具2の通路4は、拡大状態の接合棒1より小径に設定されているので、通路4の内面と接合棒1の外面とが当接し、接合棒1が通路4に保持される。さらに、突起部12も接合棒1の前端部1d(分割前端部)に締め付けられるように保持される。このように、参考例における接合構造を用いても、接合棒1を接合具2の通路に挿入するだけで、接合棒1と接合具2とを安定して連結することができる。
【0033】
次に、本発明の接合構造の第2実施形態について、図6を参照しながら説明する。ここで、以下の説明において、前述した第1実施形態、参考例と同一あるいは同等の構成部分については同一の符号を用いるとともに、その説明を簡略もしくは省略する。
【0034】
図6に示すように、第1セグメントSaには接合棒1が設けられ、第2セグメントSbには接合具2が設けられている。接合棒1には、前端部1dから後方側に向かって切欠部8が形成されており、挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能となっている。接合具2の通路4は、縮小状態の接合棒1より大径、且つ、拡大状態の接合棒1より小径に設定されている。そして、通路4のうち、第2セグメントSb側の端部には蓋体(ストッパー部、保持解除部材)6が設けられている。ここで、本実施形態においては、蓋体6には突起部は設けられていない。
【0035】
図7は接合棒1の前端部1d近傍を示す図であって、図7(a)は側面図、図7(b)は前端部1d側から見た正面図である。図7及び図6に示すように、接合棒1は、切欠部8によって複数に分割された分割前端部8a、8b、8c、8dを有しており、これら分割前端部8a〜8dのそれぞれには、リング状部材14a、14b、14c、14dがそれぞれ固定されている。これらリング状部材14a〜14dは、例えばひも状部材や合成樹脂製の環状部材によって構成されている。あるいは、リング状部材14a〜14dはそれぞれ分割前端部8a〜8dと一体整形されている。そして、図7(b)に示すように、接合棒1のうち、分割前端部8a〜8dによって囲まれた内部は空間となっている。
【0036】
図6に戻って、接合棒1のうち、分割前端部8a〜8dによって囲まれた内部空間には、保持部材10が配置されている。このとき、保持部材10は接合棒1の内部空間において移動可能に設けられている。すなわち、保持部材10は接合棒1には固定されていない。図8は保持部材10を示す図であって、図8(a)は側面図であり、図8(b)は正面図である。図8に示すように、保持部材10は複数の突出部20を有している。この突出部20は、接合棒1の分割前端部8a〜8dのそれぞれに設けられたリング状部材14a〜14dのそれぞれに対応するように設けられており、本実施形態においては突出部20は4つ設けられている。すなわち、突出部20は分割前端部のそれぞれに対応して設けられたリング状部材と同じ数だけ設けられている。この突出部20はリング状部材14a〜14dに挿入可能な程度の大きさを有している。
【0037】
図9は、接合棒1の内部空間に保持部材10が配置された際の前端部1d側から見た正面図である。図6、図9に示すように、接合棒1の内部空間に配置されている保持部材10は、その突出部20を、接合棒1の分割前端部8a〜8dのそれぞれに設けられているリング状部材14a〜14dに、前端部1dより第2セグメントSb側(挿入方向前方側)に突出するように挿入している。このとき、保持部材10は、接合棒1を縮小状態に保持している。つまり、前端部1dの内部空間は、外部からの力を作用されていない状態(通常状態)においては、保持部材10より大径に形成されており、保持部材10の突出部20と分割前端部8a〜8dのそれぞれに設けられているリング状部材14a〜14dとを係合することによって、分割前端部8a〜8dのそれぞれは内側に(接合棒1の軸線に近づくように)変形され、この変形によって接合棒1が縮小状態となる。接合棒1の分割前端部8a〜8dは保持部材10に保持されることによって、拡大する方向に付勢力を有することになる。
【0038】
以上説明したような構成を有する接合構造によって第1セグメントSaと第2セグメントSbとの接合を行うには、まず、接合棒1の内部空間に保持部材10を配置し、図6、図9などに示すように、保持部材10の突出部20を分割前端部8a〜8dのそれぞれに設けられたリング状部材14a〜14dに挿入し、接合棒1を縮小状態としておく。このとき、通常状態(外力を作用されていない状態)では、接合棒1は拡大状態に設定されている。したがって、保持部材10によって縮小状態にされることによって、接合棒1は拡大する方向に付勢力を有した状態となっている。
【0039】
次いで、保持部材10によって縮小状態に保持されている接合棒1を接合具2の通路4に挿入する。通路4は、縮小状態の接合棒1より大径に設定されているので、挿入動作は安定して行われる。やがて、通路4に挿入された接合棒1の前端部1dは通路4の第2セグメントSb側の端部に設けられた蓋体(ストッパー部、保持解除部材)6に達する。そして、接合棒1を更に押し込むことにより、接合棒1の前端部1dより第2セグメントSb側に突出している突出部20と蓋体6とが当接し、突出部20が蓋体6によって第1セグメントSa側(挿入方向後方側)に押し込まれる。
【0040】
保持部材10の突出部20が蓋体(保持解除部材)6によって第1セグメントSa側に押し込まれることにより、接合棒1の内部空間で移動自在に設けられている保持部材10は第1セグメントSa側に移動される。すると、この保持部材10の第1セグメントSa側への移動に伴って、突出部20がリング状部材14a〜14dより抜ける。すなわち、接合棒1を縮小状態に保持していた保持部材10による保持が解除される。保持部材10による保持が解除されることによって、接合棒1は前記付勢力によって拡径される。通路4のうち第2通路4bは、拡大状態の接合棒1より小径に設定されているので、接合棒1の外面と通路4の内面とが当接し、接合棒1は通路4に締め付けられるように保持される。このように、第2実施形態における接合構造を用いても、接合棒1を接合具2の通路4に挿入するだけで、接合棒1と接合具2とを安定して連結することができる。
なお、本実施形態において、切欠部8(分割前端部)は4つであり、これに対応してリング状部材、突出部20もそれぞれ4つ設けられた構成であるが、もちろん、任意の数だけ設けることが可能である。
【0041】
なお、第1実施形態、参考例、第2実施形態における接合構造は、トンネルを構成するセグメントSa、Sbどうしを接合するものであるが、トンネルのセグメントに限らず、任意の部材どうしを接合する際に適用可能であることはもちろんである。
【0042】
【発明の効果】
本発明の接合構造によれば、接合棒の挿入方向前端部は切欠部によって複数の分割前端部に分割されており、挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能、且つ、拡大する方向に付勢力を有している。また、挿入される前の接合棒にはこの接合棒を縮小状態で保持する保持部材が設けられている。そして、この接合棒を接合具の通路に挿入することにより、通路の一部に設けられた保持解除部材によって保持部材の保持が解除されるので、通路内において接合棒は前記付勢力によって拡大される。このとき、接合具の通路は、拡大状態の接合棒より小径に設定されているので、通路の内面と接合棒の外面とが当接することによって、接合棒が通路に保持される。このように、接合棒を接合具の通路に挿入するだけで、接合棒と接合具とを容易に安定して連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の接合構造の第1実施形態を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合される前の状態を示す図である。
【図2】本発明の接合構造の第1実施形態を示す断面図であって、接合棒の前端部が保持部材に保持される直前の状態を示す図である。
【図3】本発明の接合構造の第1実施形態を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合された後の状態を示す図である。
【図4】本発明の接合構造の第1実施形態に係る接合棒を挿入方向前方側から見た図である。
【図5】 本発明の接合構造の参考例を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合される前の状態を示す図である。
【図6】 本発明の接合構造の第2実施形態を示す断面図であって、第1の部材と第2の部材とが接合される前の状態を示す図である。
【図7】 本発明の接合構造の第2実施形態に係る接合棒の前端部近傍を示す図であって、(a)は側面図、(b)は前端部側から見た正面図である。
【図8】 本発明の接合構造の第2実施形態に係る保持部材を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図9】 本発明の接合構造の第2実施形態に係る接合棒を挿入方向前方側から見た図である。
【符号の説明】
1 接合棒
1d 前端部
2 接合具
3 筒状部材
4 通路
6 蓋体(ストッパー部、保持解除部材)
8 切欠部
8a〜8d 分割前端部
10 保持部材
12 突起部(保持解除部材)
14a〜14d リング状部材
20 突出部
1c 雄ねじ溝(凸部)
4c 雌ねじ溝(凸部)
Sa 第1セグメント(第1の部材)
Sb 第2セグメント(第2の部材)
Claims (4)
- 第1の部材と第2の部材とを接合する接合構造において、
前記第1の部材に、前記第2の部材へ向かって延びるように設けられた接合棒と、
前記第2の部材に設けられ、前記接合棒を挿通可能な通路を有し、該接合棒が挿入されることによって該接合棒を保持する接合具とを備え、
前記接合棒は、該接合棒の挿入方向前端部から挿入方向後方側に向かって形成された切欠部によって挿入方向と交わる方向に拡大・縮小するように変形可能、且つ、拡大する方向に付勢力を有しており、
前記接合棒には、該接合棒を縮小状態で保持する保持部材が設けられ、
前記通路は、縮小状態の接合棒より大径、且つ拡大状態の接合棒より小径に設定されており、
前記通路の一部に、前記接合棒の挿入に伴って前記保持部材による保持を解除する保持解除部材が設けられていることを特徴とする接合構造。 - 請求項1に記載の接合構造において、
前記保持部材は、前記接合棒の前記前端部に被せられた可撓性部材であり、
前記保持解除部材は、前記通路のうち前記接合棒の前記前端部と対向する位置に設けられた突起部であることを特徴とする接合構造。 - 請求項1に記載の接合構造において、
前記接合棒は、前記切欠部によって複数に分割された分割前端部のそれぞれに固定された複数のリング状部材を備え、
前記保持部材は、前記接合棒の内部で移動自在に配置され、前記複数のリング状部材のそれぞれに係合することによって前記接合棒を縮小状態に保持可能、且つ該接合棒の前記前端部より挿入方向前方側に突出する複数の突出部を有しており、
前記通路には、前記突出部と対向する位置に配置されたストッパー部が設けられていることを特徴とする接合構造。 - 請求項1〜3のいずれか記載の接合構造において、
前記通路の内面及び前記接合棒の外面の少なくとも一方に凸部が設けられていることを特徴とする接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001165731A JP3833498B2 (ja) | 2001-05-31 | 2001-05-31 | 接合構造 |
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