JP3808250B2 - Cvd反応装置及び酸化物超電導体の製造方法 - Google Patents

Cvd反応装置及び酸化物超電導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上に薄膜を形成するCVD反応装置に係り、特に、長尺の基材上に薄膜を形成する際に用いて好適なCVD反応装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、化学気相堆積法(CVD法)は、スパッタなどの物理的気相堆積法(PVD法)や真空蒸着等の気相法に比べて、基材形状の制約が少なく、大面積の基材に高速で薄膜形成が可能な手法として広く知られている。ところが、このCVD法にあっては、原料ガスの仕込み組成や供給速度、キャリアガスの種類や反応ガスの供給量、あるいは、反応リアクタの構造に起因する成膜室でのガスの流れの制御など、他の成膜法には見られない独特の制御パラメータを数多く有しているがために、CVD法を用いて良質な薄膜形成を行うための条件の最適化が難しい欠点を有している。
【0003】
そこで、従来は図14に示すようなCVD反応装置210を用いてテープ状の基材に薄膜を形成していた。このCVD反応装置210は、筒型のリアクタ211を有し、該リアクタ211は隔壁212、213によって基材導入部214と反応生成室215と基材導出部216とに区画されている。隔壁212、213の下部中央には、テープ状の基材218が通過可能な通過孔(図示略)がそれぞれ形成されている。反応生成室215には、ガス拡散部220が取り付けられている。このガス拡散部220には供給管220bが接続されており、供給管220bから原料ガスや酸素がガス拡散部220を経て反応生成室215内に供給できるようになっている。
【0004】
また、リアクタ211内の反応生成室215の下方には、テープ状の基材218の長さ方向に沿って排気室217が設けられている。この排気室217の上部には、テープ状の基材218の長さ方向に沿って細長い長方形状のガス排気孔(図示略)が形成されている。また、排気室217の下部には2本の排気管223、223の一端がそれぞれ接続されており、これら排気管223、223の他端は真空ポンプ(図示略)に接続されている。排気管223、223は、リアクタ211内に通されたテープ状の基材218の長さ方向に沿って設けられている。また、このCVD反応装置210には、リアクタ211全体を覆う筒状ヒータ295が設けられている。例えば基材218に酸化物超電導薄膜を堆積させるためには、基材218の温度を700〜800℃程度に維持する必要があり、この筒状ヒータ295によってリアクタ211内の雰囲気が加熱され、間接的に基材218が700〜800℃程度に加熱される。
【0005】
このCVD反応装置210を用いて、例えば長尺の酸化物超電導体を製造する場合には、テープ状の基材218を反応生成室215に順次送りつつ、反応生成室215内にて基材218の表面上で原料ガスを化学反応させることにより酸化物超電導薄膜を堆積させるという方法が採られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CVD反応装置210にて用いられる原料ガスは、有機溶媒に金属キレートを溶解させたものを加熱してガス化させたもので、その温度は200〜300℃程度とされ、そのガス流量は1〜3L/分とされている。
従って、原料ガスの温度が反応生成室215内の温度よりも低いために、原料ガスが反応生成室215に導入されると反応生成室215内が冷却されて基材218の温度が低下するものと考えられている。
これを防ぐために、従来のCVD反応装置210においては、筒状ヒータ295の出力を、原料ガス導入による反応生成室215の温度低下を補完する程度に高めて、反応生成室215内の基材218の温度を700〜800℃程度に維持している。しかし、筒状ヒータ295はリアクタ211全体を加熱するよう構成されていると共に、反応生成室215を区画する隔壁212、213付近では原料ガスの流量が低く原料ガスによる温度低下の影響が小さいために、隔壁212、213付近の温度が800℃以上に加熱される。
【0007】
従って、リアクタ211内においては、図15に示すように、その長手方向に渡って温度分布が生じている。
即ち、図15においては、反応生成室215のほぼ中央では温度が800℃となっているが、隔壁212、213付近では820〜830℃となっている。
このような温度分布は、図16に示すような、3つの反応生成室315を有するリアクタ311の場合も同様であり、図16に示すように、リアクタ311の長手方向に渡って温度分布が生じている。即ち、図16においては、中央にある反応生成室315…では温度が800℃となっているが、その他の部分の温度は850〜900℃となっており、特に隔壁312、313付近では約900℃となっており、温度分布が顕著になっている。
【0008】
このようなリアクタ211、311の温度分布は、長尺の酸化物超電導体を連続的に製造する上で大きな問題となっている。例えば、図15に示すように、反応生成室215内で800℃程度の温度で形成された酸化物超電導薄膜が、隔壁213付近を通過した際に830℃程度に加熱されてしまい、酸化物超電導薄膜の組成が不均一になって、酸化物超電導体の超電導特性が低下してしまうという課題があった。
【0009】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、リアクタ内部の温度を均一にすることが可能なCVD反応装置を提供すると共に、長尺の基材に堆積させた酸化物超電導薄膜の超電導特性の低下を防止できる酸化物超電導体の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載のCVD反応装置は、移動中のテープ状の基材表面に原料ガスを化学反応させて薄膜を堆積させるCVD反応を行うリアクタと、前記リアクタに前記原料ガスを供給するガス拡散部と、前記リアクタ内のガスを排気する排気口に接続された排気管とが少なくとも備えられてなるCVD反応装置であり、前記リアクタには、基材導入部と反応生成室と基材導出部とが隔壁により区画されて形成され、前記リアクタを覆って前記リアクタ全体を加熱する主ヒータと、前記主ヒータの内側に設けられ、前記隔壁により区画された前記反応生成室全体を覆って前記反応生成室を加熱する補助ヒータとが備えられていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項2記載のCVD反応装置は、移動中のテープ状の基材表面に原料ガスを化学反応させて薄膜を堆積させるCVD反応を行うリアクタと、前記リアクタに前記原料ガスを供給するガス拡散部と、前記リアクタ内のガスを排気する排気口に接続された排気管とが少なくとも備えられてなるCVD反応装置であり、前記リアクタには、基材導入部と反応生成室と基材導出部とが隔壁により区画されて形成され、前記反応生成室がテープ状の基材の移動方向に直列に複数設けられて、前記各反応生成室の間に境界室が設けられ、前記リアクタの内部に前記基材導入部と反応生成室と境界室と基材導出部とを通過する基材搬送領域が形成されると共に、前記ガス拡散部が、前記各反応生成室ごとに設けられ、前記リアクタを覆って前記リアクタ全体を加熱する主ヒータと、前記主ヒータの内側に設けられ、前記隔壁により区画された前記各反応生成室全体をそれぞれ覆って加熱する複数の補助ヒータとが備えられていることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載のCVD反応装置は、先に記載のCVD反応装置であって、前記の各補助ヒータの温度をそれぞれ独立して制御可能な温度制御手段が備えられていることを特徴とする。
また、請求項2または請求項3のCVD反応装置には、前記の各ガス拡散部材に接続された複数の原料ガス供給手段と、前記排気管に接続されたガス排気手段と、前記各原料ガス供給手段及び前記ガス排気手段を制御する制御手段とが備えられ、前記の各原料ガス供給手段には、前記原料ガス供給源と、酸素ガス供給手段とがそれぞれ備えられ、前記の各原料ガス供給手段が、前記制御手段によりそれぞれ独立して制御され、前記の各反応生成室に供給される原料ガス中の酸素分圧が独立に制御可能とされることが好ましい。
【0013】
請求項4に記載の酸化物超電導体の製造方法は、先に記載のCVD反応装置を用いて酸化物超電導体を製造する方法であり、原料ガスの導入により前記反応生成室内の温度が低下した際に、前記反応生成室内の温度を、前記反応生成室を区画する隔壁付近の温度と一致させるように前記補助ヒータを制御しつつ、前記テープ状の基材に原料ガスを化学反応させて酸化物超電導薄膜を堆積することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置を図面を参照して説明する。
図1及び図2には、本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置10を示す。また、図3及び図4には、このCVD反応装置10を主として構成するリアクタ31及びガス拡散部40の詳細な構造を示す。
【0015】
このCVD反応装置10は、図1〜図4に示すように、横長の両端を閉じた筒型の石英製のリアクタ31を有し、このリアクタ31には、基材導入部34と反応生成室35と基材導出部36とが、隔壁32、33によって区画されることにより形成されている。なお、リアクタ31を構成する材料は、石英に限らずステンレス鋼などの耐食性に優れた金属であっても良い。
【0016】
上記隔壁32、33の下部中央には、長尺のテープ状の基材38が通過可能な通過孔39がそれぞれ形成されていて、リアクタ31の内部には、その中心部を横切る形で基材搬送領域Rが形成されている。更に、基材導入部34にはテープ状の基材38を導入するための導入孔が形成されるとともに、基材導出部36には基材38を導出するための導出孔が形成され、導入孔と導出孔の周縁部には、基材38を通過させている状態で各孔の隙間を閉じて基材導入部34と基材導出部36を気密状態に保持する封止機構(図示略)が設けられている。
【0017】
また、反応生成室35の天井部には、末広がり状の角錐台型のガス拡散部40が取り付けられている。
このガス拡散部40は、リアクタ31の長手方向に沿って配置された台形型の側壁41、41と、これら側壁41、41を相互に接続する前面壁42および後面壁43と、天井壁44とからなるガス拡散部材45を主体として構成されている。また、ガス拡散部材45の天井壁44には、原料ガスを供給する供給管53が接続されている。
なおまた、ガス拡散部材45の底面は、細長い長方形状の開口部46とされ、この開口部46を介してガス拡散部材45と反応生成室35が連通するように構成されている。
【0018】
また図1及び図2に示すように、CVD反応装置10には、リアクタ31の反応生成室35を加熱する筒状の補助ヒータ90と、リアクタ31全体を加熱する筒状の主ヒータ95とが備えられている。
更に、図2に示すように、CVD反応装置10には、主ヒータ95を覆う筒状の保温材98が備えられている。
主ヒータ95及び補助ヒータ90は、それぞれ別個の温度制御手段に接続されて、独立して温度制御されるように構成されている。
【0019】
補助ヒータ90は、リアクタ31の長さ方向のほぼ中央に位置して、隔壁32、33の間に位置する反応生成室35を少なくとも覆うように配置されている。
この補助ヒータ90は、2つの側部ヒータ91、92が、テープ状の基材38の進行方向両側からリアクタ31を挟むように互いに突き合わされて構成されている。
これら側部ヒータ91、92は、図5に示すシート型小ヒータ93が半円筒形状に丸められて成形されたものであり、この側部ヒータ91、92のそれぞれの一端91a、92aには、略矩形状の切欠部91b、92bがそれぞれ設けられていて、側部ヒータ91、92がリアクタ31に接合される際に、リアクタ31の上方に突出しているガス拡散部材45がこれらの切欠部91b、92bに嵌合して、側部ヒータ91、92とガス拡散部材45とが干渉しないように構成されている。
【0020】
側部ヒータ91、92を構成するシート型小ヒータ93は、例えば図5に示すように、線状の抵抗発熱体93aがつづら折れ状に折り曲げられて、これが耐熱性シート93bの全面に均一に分布するように配置されてなるものであり、抵抗発熱体93aには、例えばカンタル線(Fe−Cr−Al系合金)が好ましく用いられる。
【0021】
主ヒータ95は、図1及び図2に示すように、補助ヒータ90及びリアクタ31を覆うように配置されている。
この主ヒータ95は、上部ヒータ96及び下部ヒータ97が、上下方向からリアクタ31を挟むように互いに突き合わされて構成されている。
これら上部ヒータ96及び下部ヒータ97は、図6及び図7に示すシート型大ヒータ96a、97aがそれぞれ半円筒形状に丸められて成形されたものである。
上部ヒータ96のほぼ中央には角孔96bが設けられていて、上部ヒータ96がリアクタ31に接合される際に、リアクタ31の上方に突出しているガス拡散部材45が角孔96bを貫通して、上部ヒータ96とガス拡散部材45とが干渉しないように構成されている。
また、下部ヒータ97には、2つの丸孔97b、97bが設けられていて、下部ヒータ97がリアクタ31に接合される際に、リアクタ31の下方に突出している2本の排気管70b、70bが各丸孔97b、97bを貫通して、下部ヒータ97と排気管70b、70bとが干渉しないように構成されている。
【0022】
上部ヒータ96及び下部ヒータ97をそれぞれ構成するシート型大ヒータ96a、97aは、例えば図6及び図7に示すように、線状の抵抗発熱体96d、97dがつづら折れ状に折り曲げられて、これが耐熱性シート96c、97cの全面に均一に分布するように配置されてなるものであり、抵抗発熱体96d、97dには、例えばニクロム線(Ni−Cr系合金)が好ましく用いられる。
【0023】
図2に示すように、保温材98は、上部保温材98a及び下部保温材98bが、上下方向からリアクタ31を挟むように互いに突き合わされて構成されている。
これら上部保温材98a及び下部保温材98bは、シート状の保温材が半円筒形状に丸められて成形されたものである。
上部保温材98aのほぼ中央には角孔98cが設けられていて、上部保温材98aがリアクタ31に接合される際に、リアクタ31の上方に突出しているガス拡散部材45が角孔98cを貫通して、上部保温材98aとガス拡散部材45とが干渉しないように構成されている。
また、下部保温材98bには、2つの丸孔98d、98dが設けられていて、下部保温材98bがリアクタ31に接合される際に、リアクタ31の下方に突出している2本の排気管70b、70bが各丸孔98d、98dを貫通して、下部保温材98bと排気管70b、70bとが干渉しないように構成されている。
【0024】
主ヒータ95はリアクタ31全体を覆うように配置されているので、基材導入部34、反応生成室35及び基材導出部36は、主ヒータ95により同時に加熱される。
また、補助ヒータ90は反応生成室35を覆うように配置されているので、反応生成室35は補助ヒータ90によっても加熱される。
従って、反応生成室35は、補助ヒータ90及び主ヒータ95により加熱されることになり、反応生成室35に加えられる熱量が、基材導入部34及び基材導出部36に加えられる熱量よりも大きくなる。
また、補助ヒータ90内に組み込まれた抵抗発熱体93aにはカンタル線が好ましく用いられているが、このカンタル線は、主ヒータ95の抵抗発熱体96d、97dとして好ましく用いられるニクロム線よりも高温で使用することができるため、反応生成室35に加えられる熱量がより大きくなる。
【0025】
次に、リアクタ31の反応生成室35の下方には、図3に示すように基材搬送領域Rの長さ方向に沿って排気室70が設けられている。
また図4に示すように、この排気室70の上部には、基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材38の長さ方向に沿ってその両脇に位置するように細長い長方形状のガス排気孔70a、70aがそれぞれ形成されている。また、排気室70の下部には複数本(図面では2本)の排気管70bの一端がそれぞれ接続されており、一方、これら複数本の排気管70bの他端は、真空ポンプを備えた圧力調整装置(図示略)に接続されている。
また、図3に示すように、これら複数本の排気管70bの排気口70cは、基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材38の長さ方向に沿って、排気室70の基材導入部34側の端部底面と基材導出部36側の端部底面とにそれぞれ設けられている。
従って、ガス排気孔70a、70aが形成された排気室70と、排気口70cを有する複数本の排気管70b・・・と、圧力調整装置(図示略)によってガス排気手段が構成される。このような構成のガス排気手段は、CVD反応装置10の内部の原料ガスや酸素ガスや不活性ガスなどのガスをガス排気孔70a、70aから排気室70、排気口70c、排気管70bを経て排気できるようになっている。
【0026】
上記CVD反応装置10の供給管53には、原料ガス供給源(図示略)が接続されている。原料ガス供給源は、例えば、原料溶液タンクと、キャリアガス供給装置と、これら原料溶液タンクとキャリアガス供給装置に接続された気化器とからなり、気化器を100〜300℃程度に加熱しつつ、金属錯体を含む原料溶液とキャリアガスとをこの気化器に供給し、キャリアガス中に原料溶液を噴霧することにより原料ガスを生成して、この原料ガスを供給管53を介してCVD反応装置10に供給できるように構成されている。ここで生成された原料ガスの温度は200〜300℃程度とされている。
なお、供給管53の途中部分には、酸素ガス供給源(図示略)が分岐して接続され、供給管53を通過する原料ガスに酸素ガスを供給できるように構成されている。
【0027】
次に上記のCVD反応装置10を用いてテープ状の基材38上に薄膜を形成する方法を説明する。
上述のCVD反応装置10を用いて薄膜を形成するには、まず、テープ状の基材38と原料溶液を用意する。
この基材38は、長尺のものを用いることができるが、熱膨張係数の低い耐熱性の金属テープが特に良く用いられる。上記金属テープの構成材料としては、銀、白金、ステンレス鋼、銅、ハステロイ(C276等)などの金属材料や合金が好ましい。また、金属テープ以外では、各種ガラステープあるいはマイカテープなどの各種セラミックスなどからなるテープを用いても良い。
また、形成しようとする薄膜の種類によっては、あらかじめ基材38上に中間層を形成させておいても良い。例えば、形成しようとする薄膜が酸化物超電導薄膜である場合には、酸化物超電導薄膜の結晶配向性を整えるために、セラミックスの中間層を基材38に被覆することが好ましい。
上記中間層を構成する材料は、熱膨張係数が金属よりも酸化物超電導薄膜の熱膨張係数に近い、YSZ(イットリウム安定化ジルコニア)、SrTiO3 、MgO、Al23、LaAlO3、LaGaO3、YAlO3、ZrO2などのセラミックスが好ましく、これらの中でもできる限り結晶配向性の整ったものを用いることが好ましい。
【0028】
次に、薄膜をCVD反応により生成させるための原料溶液は、薄膜を構成する各元素の金属錯体を溶媒中に分散させたものが好ましい。例えば、薄膜として酸化物超電導薄膜を形成しようとする場合、より具体的には、Y1Ba2Cu37-xなる組成で広く知られるY系の酸化物超電導薄膜を形成する場合には、Ba-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン-ビス-1,10-フェナントロリン(Ba(thd)2(phen)2)と、Y(thd)2 と、Cu(thd)2などを使用することができ、他にはY-ビス-2,2,6,6-テト ラメチル-3,5-ヘプタンジオナート(Y(DPM)3)と、Ba(DPM)2と、 Cu(DPM)2などを用いることができる。
【0029】
なお、酸化物超電導薄膜には、Y系の他に、La2-xBaxCuO4の組成で代 表されるLa系、Bi2Sr2Can-1Cun2n+2(nは自然数)の組成で代表さ れるBi系、Tl2Ba2Can-1Cun2n+2(nは自然数)の組成で代表される Tl系のものなど多種類の酸化物超電導薄膜が知られているので、目的の組成に応じた金属錯塩を用いてCVD法を実施すれば良い。
ここで例えば、Y系以外の酸化物超電導薄膜を製造する場合には、必要な組成系に応じて、トリフェニルビスマス(III)、ビス(ジピバロイメタナト)ストロンチウム(II)、ビス(ジピバロイメタナト)カルシウム(II)、トリス(ジピバロイメタナト)ランタン(III)、などの金属錯塩を適宜用いてそれぞれの系の酸化物超電導薄膜の製造に供することができる。
【0030】
上記のテープ状の基材38を用意したならば、これをCVD反応装置10内の基材搬送領域Rに基材導入部34から所定の移動速度で送り込み、更に反応生成室35内の基材38を、補助ヒータ90及び主ヒータ95により700℃〜800℃程度に加熱する。
【0031】
なお、基材38を送り込む前に、不活性ガスをパージガスとしてCVD反応装置10内に送り込み、同時にCVD反応装置10の内部のガスを圧力調整装置(図示略)でガス排気孔70a、70aから排気室70、排気口70c、排気管70bを経て抜くことでCVD反応装置10内の空気等の不要なガスを排除して内部を洗浄しておくことが好ましい。
【0032】
基材38をCVD反応装置10内に送り込んだならば、形成しようとする薄膜が酸化物超電導薄膜であればCVD反応装置10内に酸素ガスを送り、更に前述の原料ガス供給源において原料溶液とキャリアガスとを気化器に供給して原料ガスを生成する。更に、CVD反応装置10の内部のガスをガス排気孔70a、70aから排気室70、排気口70c、排気管70bを経て排気し、CVD反応装置10内を負圧にする。
そして、供給管53を介してガス拡散部40に原料ガスを供給する。原料ガスは、内部が負圧にされたCVD反応装置10内に引き込まれる。また、これと同時に供給管53に分岐して接続された前述の酸素ガス供給源(図示略)から酸素ガスを供給して原料ガス中に酸素を混合する操作も行う。
【0033】
次に、CVD反応装置10の内部においては、供給管53からガス拡散部40に侵入した原料ガスが、ガス拡散部40の天井壁44と前面壁42と後面壁43に沿って拡散しながら反応生成室35側に移動する。
ガス拡散部40において拡散された原料ガスは、ガス拡散部40の前面壁42と後面壁43に沿って更に拡散しながら反応生成室35の内部を通り、次いで基材38を上下に横切るように移動してガス排気孔70a、70aに引き込まれるように移動させることにより、加熱された基材38の上面側で原料ガスを反応させて反応生成物を堆積させる。
【0034】
ここで、原料ガスが反応生成室35に導入されると、原料ガスの温度が反応生成室35内の雰囲気の温度よりも低いために、反応生成室35内の雰囲気が冷却されて基材38の温度が低下する傾向にあるが、反応生成室35は主ヒータ95及び補助ヒータ90によって加熱されていて、これらのヒータ90、95から受ける熱量が大きいために、原料ガスが導入された場合でも反応生成室35内の雰囲気の温度が低下することがなく、基材38の温度がCVD反応を行うに最適な温度である700〜800℃に保たれる。
また、反応生成室35を区画する隔壁32、33付近は、原料ガスの影響を受けないために温度が低下することがなく主ヒータ95のみにより加熱されて700〜800℃の温度に維持され、反応生成室35と隔壁32、33付近との間においては、図8に示すように、温度が一定になって温度分布が生じることがない。
従って、酸化物超電導薄膜が形成された基材38が、反応生成室35から隔壁33付近に移動した際に、800℃を超える温度に加熱されることがないので、酸化物超電導薄膜の特性が低下することがない。
【0035】
上述のCVD反応装置10には、リアクタ31全体を加熱する筒状の主ヒータ95と、リアクタ31の反応生成室35のみを加熱する補助ヒータ90とが備えられており、反応生成室35に与えられる熱量が基材導入部34及び基材導出部36に与えられる熱量よりも大とされているので、原料ガスが反応生成室35に導入されても反応生成室35の温度が低下することがなくリアクタ31内部の温度分布が一定に保たれるために、基材38が反応生成室35を通過して隔壁33付近に達したときでも基材38の温度が上昇することがなく、酸化物超電導体の超電導特性の低下を防ぐことができる。
【0036】
また、反応後の残余ガスを基材38の側方に配置されたガス排気孔70a…から排気室70、排気口70c、排気管70bを経て排出できるので、基材導入部34側にも基材導出部36側にも残余ガスを到達させるおそれが少ない。よって、残余ガスにより目的の組成とは異なった組成の薄膜や堆積物あるいは反応生成物を基材導入部34側において、あるいは基材導出部36側において生成させてしまうことはなくなる。
更に、形成しようとする薄膜が酸化物超電導薄膜のように酸素を含有する場合には、成膜時に基材導出部36に酸素ガスを送ると共に原料ガスに酸素ガスを混合することにより、基材38上の酸化物超電導薄膜に酸素を供給し、酸化物超電導薄膜にできる限りの酸素供給を行うので、より膜質の良好な酸化物超電導薄膜を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置を図面を参照して説明する。
図9及び図10には、本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置110を示す。また、図11及び図12には、このCVD反応装置110を主として構成するリアクタ131及びガス拡散部140の詳細な構造を示す。
【0038】
このCVD反応装置110には、図9及び図10に示すように、略同等の構造を有する3つのCVDユニットA、B、Cが組み込まれ、このCVDユニットA、B、C内においてテープ状の基材38に酸化物超電導薄膜が形成されるようになっている。
【0039】
CVD反応装置110は、図9及び図10に示すように、横長の両端を閉じた筒型の石英製のリアクタ131を有し、このリアクタ131は、隔壁132、133によって図9の左側から順に基材導入部134と反応生成室135と基材導出部136に区画されているとともに、隔壁137によって、反応生成室135が3分割されて、それぞれが前述のCVDユニットA、B、Cの一部を構成するとともに、各反応生成室135…の間には、境界室138、138が区画されて設けられいる。なお、リアクタ131を構成する材料は、石英に限らずステンレス鋼などの耐食性に優れた金属であっても良い。
【0040】
隔壁132、133、137…の下部中央には、図9に示すように、長尺のテープ状の基材38が通過可能な通過孔139がそれぞれ形成されていて、リアクタ131の内部には、その中心部を横切る形で基材搬送領域Rが形成されている。さらに、基材導入部134にはテープ状の基材38を導入するための導入孔が形成されるとともに、基材導出部136には基材38を導出するための導出孔が形成され、導入孔と導出孔の周縁部には、基材38を通過させている状態で各孔の隙間を閉じて基材導入部134と基材導出部136を気密状態に保持する封止機構(図示略)が設けられている。
【0041】
また、各反応生成室135…の天井部には、図9及び図10に示すように角錐台型のガス拡散部140…が3つ取り付けられている。ガス拡散部140は、リアクタ131の長手方向に沿って配置された台形型の側壁141、141と、これら側壁141、141を相互に接続する前面壁142および後面壁143と、天井壁144とからなるガス拡散部材145を主体として構成され、更に天井壁144に接続された供給管153を具備して構成されている。また、図11に示すように、供給管153の先端部には、スリットノズル153aが設けられている。
また図9に示すように、ガス拡散部材145の底面は、長方形状の開口部146…とされ、この開口部146…を介してガス拡散部材145…と反応生成室135…が連通するように構成されている。
【0042】
図9〜図11に示すように、境界室138の天井部には、遮断ガス供給手段138Bが供給管138Aを介して接続され、遮断ガス供給手段138Bが、境界室138の両側の反応生成室135、135同士を遮断するための遮断ガスを供給し、供給管138Aの接続部分が遮断ガス噴出部138aを介して接続され、遮断ガスとしてたとえばアルゴンガスが選択される。
【0043】
また図9及び図10に示すように、CVD反応装置110には、リアクタ131の各反応生成室135…を加熱する3つの筒状の補助ヒータ190…と、リアクタ131全体を加熱する筒状の主ヒータ195とが備えられている。
更に、図10に示すように、CVD反応装置110には、主ヒータ195を覆う筒状の保温材198が備えられている。
3つの補助ヒータ190…は、図10に示すように、温度制御手段183に接続されて、各補助ヒータ190がそれぞれ独立して温度制御されるように構成されている。
【0044】
3つの補助ヒータ190…は、隔壁132、133、137…により区画されてなる3つの反応生成室135…をそれぞれ覆うように配置されている。
補助ヒータ190は、2つの側部ヒータ191、192が、テープ状の基材38の進行方向両側からリアクタ131を挟むように互いに突き合わされて構成されている。
これら側部ヒータ191、192は、シート型小ヒータが半円筒形状に丸められて成形されたものであり、この側部ヒータ191、192のそれぞれの一端191a、192aが、ガス拡散部材145の側壁141、141に突き合わされると共に、他端191b、192bが相互に突き合わされている。
【0045】
側部ヒータ191、192を構成するシート型小ヒータは、前述した図5に示すシート型小ヒータ93とほぼ同様な構成であり、線状の抵抗発熱体がつづら折れ状に折り曲げられ、これが耐熱性シートの全面に均一に分布するように配置されてなるもので、抵抗発熱体には、例えばカンタル線(Fe−Cr−Al系合金)が好ましく用いられる。
【0046】
主ヒータ195は、図9及び図10に示すように、3つの補助ヒータ190…及びリアクタ131を覆うように配置されている。
この主ヒータ195は、上部ヒータ196及び下部ヒータ197が、上下方向からリアクタ131を挟むように互いに突き合わされて構成されている。
これら上部ヒータ196及び下部ヒータ197は、シート型大ヒータがそれぞれ半円筒形状に丸められて成形されたものである。
図10に示すように、上部ヒータ196には3つの角孔196b…が設けられていて、上部ヒータ196がリアクタ131に接合される際に、リアクタ131の上方に突出しているガス拡散部材145が角孔196bを貫通して、上部ヒータ196とガス拡散部材145とが干渉しないように構成されている。
また、下部ヒータ197には、4つの丸孔197b…が設けられていて、下部ヒータ197がリアクタ131に接合される際に、リアクタ131の下方に突出している4本の排気管170b…が各丸孔197b…を貫通して、下部ヒータ197と排気管170b…とが干渉しないように構成されている。
【0047】
上部ヒータ196及び下部ヒータ197をそれぞれ構成するシート型大ヒータは、前述した図6及び図7に示すシート型大ヒータ96a、97aとほぼ同様な構成であり、線状の抵抗発熱体がつづら折れ状に折り曲げられ、これが耐熱性シートの全面に均一に分布するように配置されてなるものであり、抵抗発熱体には、例えばニクロム線(Ni−Cr系合金)が好ましく用いられる。
【0048】
保温材198は、上部保温材198a及び下部保温材198bが、上下方向からリアクタ131を挟むように互いに突き合わされて構成されている。
これら上部保温材198a及び下部保温材198bは、シート状の保温材が半円筒形状に丸められて成形されたものである。
図10に示すように、上部保温材198aには3つの角孔198c…が設けられていて、上部保温材198aがリアクタ131に接合される際に、リアクタ131の上方に突出しているガス拡散部材145が角孔198cを貫通して、上部保温材198aとガス拡散部材145とが干渉しないように構成されている。
また、下部保温材198bには、4つの丸孔198d…が設けられていて、下部保温材198bがリアクタ131に接合される際に、リアクタ131の下方に突出している4本の排気管170b…が各丸孔198d…を貫通して、下部保温材198bと排気管170b…とが干渉しないように構成されている。
【0049】
主ヒータ195がリアクタ131全体を覆うように配置されているので、基材導入部134、3つの反応生成室135…、境界室138、138及び基材導出部136は主ヒータ195により同時に加熱される。
また、3つの補助ヒータ190…が各反応生成室135…をそれぞれ覆うように配置されているので、各反応生成室135…は補助ヒータ190…によっても加熱される。
従って、各反応生成室135…は、補助ヒータ190…及び主ヒータ195により加熱されることになり、各反応生成室135…に加えられる熱量は、基材導入部134、境界室138、138及び基材導出部136に加えられる熱量よりも大きくなる。
また、各補助ヒータ190…内に組み込まれた抵抗発熱体にはカンタル線が好ましく用いられているが、このカンタル線は、主ヒータ195の抵抗発熱体として好ましく用いられるニクロム線よりも高温で使用することができるため、各反応生成室135…に加えられる熱量がより大きくなる。
【0050】
次に、各反応生成室135…および境界室138、138の下方には、図11に示すように上記基材搬送領域Rの長さ方向に沿って各反応生成室135…および境界室138…を貫通するように排気室170が設けられている。この排気室170の上部には、図12に示すように、基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材38の長さ方向に沿って細長い長方形状のガス排気孔170a、170aが各反応生成室135…および境界室138…を貫通するようにそれぞれ形成されている。
【0051】
また、排気室170の下部には複数本(図面では4本)の排気管170bの一端がそれぞれ接続されており、一方、これら複数本の排気管170b…の他端は、真空ポンプを備えた圧力調整装置(図示略)に接続されている。また、図11及び図12に示すようにこれら複数本の排気管170b…の排気口170c、170eは、基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材38の長さ方向に沿って設けられており、排気口170cは排気室170における基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材38の長さ方向の隔壁132の上流および隔壁133の下流側に位置され、排気口170eは境界室138の両側の隔壁137、137に亘って位置するように基材搬送領域Rに通されたテープ状の基材38の長さ方向に延長されている。
【0052】
このように、ガス排気孔170a、170aが形成された排気室170と、排気口170c、170eを有する複数本の排気管170b・・・と、圧力調整装置(図示略)によってガス排気手段が構成される。このような構成のガス排気手段は、CVD反応装置110の内部の原料ガスや酸素ガスや不活性ガス、および遮断ガスなどのガスをガス排気孔170a、170aから排気室170、排気口170c、170e、排気管170b…を経て排気できるようになっている。
【0053】
上記CVD反応装置110の各供給管153…には、原料ガス供給源(図示略)がそれぞれ接続されている。原料ガス供給源は、例えば、原料溶液タンクと、キャリアガス供給装置と、これら原料溶液タンクとキャリアガス供給装置に接続された気化器とからなり、気化器を100〜300℃程度に加熱しつつ、金属錯体を含む原料溶液とキャリアガスとをこの気化器に供給し、キャリアガス中に原料溶液を噴霧することにより原料ガスを生成して、この原料ガスを各供給管153…を介してCVD反応装置110の各ガス拡散部140…にそれぞれ供給できるように構成されている。なお、生成された原料ガスの温度は、200〜300℃とされている。
なお、各供給管153…の途中部分には、酸素ガス供給源(図示略)が分岐して接続され、各供給管153…を通過する原料ガスに酸素ガスを供給できるように構成されている。
【0054】
次に上記のCVD反応装置110を用いてテープ状の基材38上に薄膜を形成する方法を説明する。
上述のCVD反応装置110を用いて薄膜を形成するには、まず、テープ状の基材38と原料溶液を用意する。この基材38は、前述したものと全く同様なものを用いることができる。
また、原料溶液については、例えば形成しようとする薄膜が酸化物超電導薄膜である場合には、前述と同様なものを用いることができる。
【0055】
テープ状の基材38を用意したならば、これをCVD反応装置110内の基材搬送領域Rに基材導入部134から所定の移動速度で送り込み、更に各反応生成室135内の基材38を、3つの補助ヒータ190…及び主ヒータ195により700℃〜800℃程度に加熱する。
【0056】
なお、基材38を送り込む前に、不活性ガスをパージガスとしてCVD反応装置110内に送り込むとともに、各境界室138、138内に遮断ガス噴出部138aを介して遮断ガスを送り込み、同時にCVD反応装置110の内部のガスを圧力調整装置(図示略)でガス排気孔170a、170aから排気室170、排気口170c、170e、排気管170b…を経て抜くことでCVD反応装置110内の空気等の不要ガスを排除して内部を洗浄しておくことが好ましい。
【0057】
基材38をCVD反応装置110内に送り込んだならば、CVD反応装置110の内部に酸素ガスを送り、更に前述の原料ガス供給源において原料溶液とキャリアガスとを気化器に供給して原料ガスを生成する。更に、CVD反応装置110の内部のガスをガス排気孔170a、170aから排気室170、排気口170c、排気管170bを経て排気し、CVD反応装置110内を負圧にする。
そして、各供給管153…を介して各ガス拡散部140…に原料ガスを供給する。原料ガスは、内部が負圧にされたCVD反応装置110内に引き込まれる。また、これと同時に各供給管153に分岐して接続された前述の酸素ガス供給源(図示略)から酸素ガスを供給して原料ガス中に酸素を混合する操作も行う。
【0058】
次に、CVD反応装置110の内部においては、各供給管153…から各ガス拡散部140…に出た原料ガスが、各ガス拡散部140…のそれぞれの前面壁142及び後面壁143に沿って拡散しながら各反応生成室135…側に移動し、各反応生成室135…の内部を通り、次いで基材38を上下に横切るように移動してガス排気孔170a、170aに引き込まれるように移動させることにより、加熱された基材38の上面側で原料ガスを反応させて反応生成物を堆積させる。
【0059】
ここで、原料ガスが各反応生成室135…に導入されると、原料ガスの温度が各反応生成室135…内の雰囲気の温度よりも低いために、各反応生成室135…内の雰囲気が冷却されて基材38の温度が低下する傾向にあるが、各反応生成室135…は主ヒータ195及び補助ヒータ190…によって加熱されていて、これらのヒータ190、195…から受ける熱量が大きいために、原料ガスが導入された場合でも各反応生成室135…の雰囲気の温度が低下することがなく、基材38の温度がCVD反応を行うに最適な温度である700〜800℃に保たれる。
【0060】
また、各反応生成室135…を区画する隔壁132、133、137…付近は、原料ガスの影響を受けないために温度が低下することがなく主ヒータ195のみにより加熱されて700〜800℃の温度に維持され、各反応生成室135…と隔壁132、133、137…付近との間においては、温度分布が生じることがない。
従って、酸化物超電導薄膜が形成された基材38が、各反応生成室135…から隔壁133、137…付近に移動した際に、800℃を超える温度に加熱されることがないので、酸化物超電導薄膜の特性が低下することがない。
【0061】
また、各補助ヒータ190…の設定温度は、温度制御手段183によってそれぞれ独立に設定することができるので、例えば図13に示すように、CVDユニットAの温度を800℃、CVDユニットBの温度を810℃、CVDユニットCの温度を820℃に各々設定することにより、基材38が進行するにつれて温度を徐々に高くするように設定すれば、組成が均一な酸化物超電導薄膜が形成されて、酸化物超電導体の超電導特性をより向上させることが可能になる。
【0062】
また、基材38上に反応生成物を堆積させるときに、前述の圧力調整装置(図示略)でガス排気孔170a、170aから排気室170、排気口170c、170e、排気管170b…を経て排気するとともに各排気管170b…内のガス流れを調整することにより、基材搬送領域Rを移動中のテープ状の基材38の長さ方向への原料ガスの流れ状態を制御しながらCVD反応を行う。同時に、遮断ガス供給手段138Bにより境界室138に遮断ガスを供給して、ガス排気孔170a、170aから排気室170、排気口170e、排気管170b…を経て排気することにより反応生成室135、135同士の反応ガスの流通を遮断して各反応生成室135…内における酸素分圧等のガス状態の独立を維持する。
【0063】
また、CVD反応装置110内で反応が進行する間に、基材搬送領域Rを移動中のテープ状の基材38の長さ方向への原料ガスや酸素ガスなどのガスの流れ状態が変化して酸化物超電導薄膜に悪影響を与える恐れを生じることがあるので、リアクタ131の基材搬送領域R内に設けられた流量計でガスの流量変化を測定し、この測定結果に基づいてCVD反応装置110に供給する酸素ガス量を調整し、ガス流れ状態が常に好ましい流れ状態になるように制御し、これによってテープ状の基材38の長さ方向に対し厚さの分布や組成が均一な酸化物超電導薄膜を常に形成することができる。
【0064】
上述のCVD反応装置110は、リアクタ131に反応生成室135がテープ状の基材38の進行方向に直列に複数設けられているため、複数回のCVD反応を連続して行うことができ、1つの反応生成室のみの製造時に比べて、薄膜の形成速度の向上と、形成される薄膜の膜厚の向上を図ることができる。
【0065】
また、リアクタ131には、リアクタ131全体を加熱する主ヒータ195と、各反応生成室135…をそれぞれ別個に加熱する補助ヒータ190…とが備えられており、各反応生成室135に与えられる熱量が基材導入部134、境界室138、138及び基材導出部135に与えられる熱量よりも大とされているので、原料ガスが各反応生成室135…に導入されても各反応生成室135…の温度が低下することがなくリアクタ131内部の温度分布が一定に保たれるために、基材38が反応生成室135を通過して隔壁137、137若しくは隔壁123付近に達したときでも基材38の温度が上昇することがなく、酸化物超電導体の特性の低下を防ぐことができる。
また、隣り合う反応生成室135、135の間に境界室138が設けられ、この境界室138に遮断ガスが供給される構造であるため、隣り合う反応生成室135、135間を遮断して、各反応生成室135、135内部の反応ガス濃度、酸素分圧等の薄膜形成条件を独立に設定することができる。
【0066】
更に、各補助ヒータ190…は温度制御手段138にそれぞれ独立に制御されて、各反応生成室135…内にある基材38の温度が別個独立に制御可能とされているので、各反応生成室135…における基材38の温度を任意に変更することが可能となり、各反応生成室135…におけるCVD反応の条件を異ならしめることができるので、たとえば基材38に酸化物超電導薄膜を形成して酸化物超電導体を得ようとする場合には、各反応生成室135…において最適な条件で酸化物超電導薄膜を形成でき、酸化物超電導体の超電導特性をより向上することができる。
【0067】
更に、上述のCVD反応装置110は、基材搬送領域Rを移動中の基材38の長さ方向への原料ガスや酸素ガスなどのガスの流れ状態を制御しながらCVD反応を行うことができるので、テープ状の基材38の長さ方向に対し厚さの分布や組成が均一な酸化物超電導薄膜を形成することができ、臨界電流密度等の超電導特性の優れた酸化物超電導体を効率よく製造できる。
【0068】
なお、上述のCVD反応装置110においては、横長型のリアクタ131を用い、水平位置に各反応生成室135…を接続する構成の装置について説明したが、リアクタ内を移動中のテープ状の基材のガスの流れ状態を制御できれば、リアクタは横型に限らず縦型であっても良いし、また、原料ガスを流す方向は上下方向に限らず左右方向や斜めの方向でも良く、基材の搬送方向も左右方向あるいは上下方向のいずれでも良いのは勿論である。また、リアクタ自体の形状も筒型のものに限らず、ボックス型や容器型、球形連続型などのいずれの形状でも差し支えないのは勿論である。
上述のCVD反応装置110は、酸化物超電導導体の製造装置に好適に用いることができる。また、本発明の酸化物超電導体の製造方法は、酸化物超電導導体の製造方法に好適に用いることができる。
【0069】
【実施例】
(実施例1)
1Ba2Cu37-xなる組成で知られるY系の酸化物超電導薄膜を形成するために、CVD用の原料溶液としてBa-ビス-2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタ ンジオン-ビス-1,10-フェナントロリン(Ba(thd)2(phen)2)と、 Y(thd)2と、Cu(thd)2を用いた。これらの各々をY:Ba:Cu=1.0:1.9:2.7のモル比で混合し、テトラヒドロフラン(THF)に3.0重量%になるように添加したものを原料溶液とした。
【0070】
テープ状の基材はNi合金の1種であるハステロイC276(米国、Haynes Stellite Co.の商品名で、Cr14.5〜16.5%、Mo15.0〜17.0%、Co 2.5%以下、W3.0〜4.5%、Fe4.0〜7.0%、C0.02%以下、Mn1.0%以下、残部Niの組成)からなる長さ100mm、幅10mm、厚さ0.2mmのハステロイテープを鏡面加工し、このハステロイテープの上面にイオンビームアシストスパッタリング法により厚さ0.5μmのYSZ(Y23安定化ジルコニア)面内配向中間膜を形成したものを用いた。
【0071】
次に、図1〜図2に示す構造のCVD反応装置10を用い、原料ガス供給源の気化器の温度を230℃に設定し、原料溶液の供給速度を0.3ml/分に設定し、CVD反応装置10内の基材の移動速度を20cm/時間、反応生成室35内の基材の温度を800℃、リアクタ31内の圧力を5Toor、CVD反応装置への酸素ガス供給量を45〜55ccm、酸素分圧を0.45Toorに酸素濃度計測装置で一定になるように設定して連続蒸着を行った。また、導入する原料ガスの総量を545〜555ccmとした。更に、連続蒸着を行う際には、主ヒータ95と補助ヒータ90の両方を作動させて反応生成室35内の基材の温度を800℃に維持した。
このようにして、YSZ面内配向中間膜上に厚さ1.0μmのY1Ba2Cu37-xなる組成の酸化物超電導薄膜を形成し、長さ100mm、幅10mmの実施例1の酸化物超電導体を得た。
【0072】
(比較例1)
次に、連続蒸着を行う際に、補助ヒータ90を停止し、主ヒータ95のみを作動させて反応生成室35内の基材の温度を800℃に維持したこと以外は、上記の実施例1の酸化物超電導体を製造する場合と同様にして、比較例1の酸化物超電導体を得た。
【0073】
実施例1の酸化物超電導体の臨界電流密度を4端子法により測定したところ、3.0×105A/cm2(77K、0T)を示し、良好な超電導特性を有していることが判明した。
また同様にして比較例1の酸化物超電導体の臨界電流密度を測定したところ、1.0×105A/cm2(77K、0T)を示し、比較例1の酸化物超電導体は、実施例1の酸化物超電導体よりも超電導特性に劣ることが判明した。
これは、比較例1の酸化物超電導体の製造時にCVD反応装置10の補助ヒータ90を作動させなかったため、リアクタ31の長手方向に温度分布が生じていて、基材が反応生成室35を通過して反応生成室35と基材導出部36とを区画する隔壁33付近に達した際に、基材の温度が上昇して酸化物超電導薄膜が変質したためと推定される。
【0074】
(実施例2)
実験例1で用いたものと同じ原料溶液とテープ状の基材を用意した。
次に、図9〜図10に示す構造のCVD反応装置110を用い、原料ガス供給源の気化器の温度を230℃に設定し、原料溶液の供給速度を0.3ml/分に設定し、CVD反応装置110内の基材テープの移動速度を1m/時間、リアクタ131内の圧力を5Toor、CVD反応装置110への酸素ガス供給量を45〜55ccmとして連続蒸着を行った。
尚、CVDユニットA、B、Cにおける酸素分圧をそれぞれ0.45Torr、0.50Torr、0.55Toorとした。
また、CVDユニットA、B、Cの各反応生成室135…内の基材の温度を全て800℃とした。このとき、主ヒータ195と各補助ヒータ190…の全てを作動させて各反応生成室135…内の基材を800℃に維持した。
このようにして、YSZ面内配向中間膜上に厚さ0.6μmのY1Ba2Cu37-xなる組成の酸化物超電導薄膜を形成し、長さ100mm、幅10mmの実施例2の酸化物超電導体を得た。
【0075】
(実施例3)
次に、連続蒸着を行う際に、温度制御手段により各補助ヒータ190…の設定温度を異ならしめて、CVDユニットA、B、Cの各反応生成室135…の基材の温度をそれぞれ800℃、810℃、820℃として基材が進むにつれて温度が高くなるように設定したこと以外は、上記の実施例2の酸化物超電導体を製造する場合と同様にして、実施例3の酸化物超電導体を得た。
【0076】
(比較例2)
更に、連続蒸着を行う際に、各補助ヒータ190…を停止し、主ヒータ195のみを作動させて各反応生成室135…内の基材を800℃に維持したこと以外は、上記の実施例2の酸化物超電導体を製造する場合と同様にして、比較例2の酸化物超電導体を得た。
【0077】
実施例2及び実施例3の酸化物超電導体の臨界電流密度を77K、0Tの条件で測定したところ、それぞれ9.0×104A/cm2、2.0×105A/cm2を示し、実施例3の方が高い値を示した。
また同様にして比較例2の酸化物超電導体の臨界電流密度を測定したところ、1.0×104A/cm2(77K、0T)を示し、比較例2の酸化物超電導体は、実施例2及び3の酸化物超電導体よりも低い値を示した。
【0078】
実施例3の臨界電流密度が実施例2よりも高かったのは、実施例3の酸化物超電導体を製造する際に、各補助ヒータ190…を制御して基材がリアクタ131内を移動するにつれて徐々に温度が高くなるようにしたので、酸化物超電導薄膜の組成を均一にすることができたためと推定される。
また、比較例2の臨界電流密度が実施例2、3より低かったのは、比較例2の製造時にCVD反応装置110の各補助ヒータ190…を作動させなかったため、リアクタ131の長手方向に温度分布が生じていて、基材が反応生成室を通過して反応生成室135と境界室138若しくは基材導出部136とを区画する隔壁137、133付近に達した際に、基材の温度が上昇して酸化物超電導薄膜が変質したためと推定される。
【0079】
【発明の効果】
本発明のCVD反応装置には、リアクタ全体を加熱する筒状の主ヒータと、リアクタの反応生成室のみを加熱する補助ヒータとが備えられており、反応生成室に与えられる熱量が基材導入部及び基材導出部に与えられる熱量よりも大とされているので、原料ガスが反応生成室に導入されても反応生成室内の雰囲気の温度が低下することがなくリアクタ内部の温度分布が一定に保たれるために、基材が反応生成室を通過して隔壁付近に達したときでも基材の温度が上昇することがなく、酸化物超電導体の超電導特性の低下を防ぐことができる。
【0080】
本発明のCVD反応装置は、リアクタに反応生成室が基材の進行方向に直列に複数設けられているため、複数回のCVD反応を連続して行うことができ、1つの反応生成室のみの製造時に比べて、薄膜の形成速度の向上と、形成される薄膜の膜厚の向上を図ることができる。
また、リアクタには、リアクタ全体を加熱する主ヒータと、各反応生成室をそれぞれ別個に加熱する補助ヒータとが備えられており、各反応生成室に与えられる熱量が基材導入部、境界室及び基材導出部の与えられる熱量よりも大とされているので、原料ガスが各反応生成室に導入されても各反応生成室の雰囲気の温度が低下することがなくリアクタ内部の温度分布が一定に保たれるために、基材が反応生成室を通過して隔壁付近に達したときでも基材の温度が上昇することがなく、酸化物超電導体の特性の低下を防ぐことができる。
【0081】
また、本発明のCVD反応装置においては、各補助ヒータが温度制御手段によりそれぞれ独立に制御されて、各反応生成室内にある基材の温度が別個独立に制御可能とされているので、各反応生成室における基材の温度を任意に変更することが可能となり、各反応生成室におけるCVD反応の条件を異ならしめることができるので、たとえば基材に酸化物超電導薄膜を形成して酸化物超電導体を得ようとする場合には、各反応生成室において最適な条件で酸化物超電導薄膜を形成でき、組成の均一な酸化物超電導薄膜が得られるので、酸化物超電導体の超電導特性をより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置を示す分解斜視図である。
【図2】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置を示す正面図である。
【図3】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置のリアクタの詳細な構造を示す正面断面図である。
【図4】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置のリアクタの詳細な構造を示す平面断面図である。
【図5】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置の補助ヒータを構成する側部ヒータの構成図である。
【図6】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置の主ヒータを構成する上部ヒータの構成図である。
【図7】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置の主ヒータを構成する下部ヒータの構成図である。
【図8】 本発明の第1の実施形態であるCVD反応装置のリアクタ内の温度分布を示すグラフである。
【図9】 本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置を示す分解斜視図である。
【図10】 本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置を示す正面図である。
【図11】 本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置のリアクタの詳細な構造を示す正面断面図である。
【図12】 本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置のリアクタの詳細な構造を示す平面断面図である。
【図13】 本発明の第2の実施形態であるCVD反応装置のリアクタ内の温度分布を示すグラフである。
【図14】 従来のCVD反応装置を示す図であって、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
【図15】 従来のCVD反応装置のリアクタ内の温度分布を示すグラフである。
【図16】 従来のCVD反応装置のリアクタ内の温度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
10、110 CVD反応装置
31、131 リアクタ
32、33、132、133、137 隔壁
34、134 基材導入部
35、135 反応生成室
36、136 基材導出部
138 境界室
38 基材
40、140 ガス拡散部
45、145 ガス拡散部材
70a、170a ガス排気孔
70b、170b 排気管
70c、170c 排気口
90、190 補助ヒータ
95、195 主ヒータ
183 温度制御手段
R 基材搬送領域

Claims (4)

  1. 移動中のテープ状の基材表面に原料ガスを化学反応させて薄膜を堆積させるCVD反応を行うリアクタと、前記リアクタに前記原料ガスを供給するガス拡散部と、前記リアクタ内のガスを排気する排気口に接続された排気管とが少なくとも備えられてなるCVD反応装置であり、
    前記リアクタには、基材導入部と反応生成室と基材導出部とが隔壁により区画されて形成され、
    前記リアクタを覆って前記リアクタ全体を加熱する主ヒータと、前記主ヒータの内側に設けられ、前記隔壁により区画された前記反応生成室全体を覆って前記反応生成室を加熱する補助ヒータとが備えられていることを特徴とするCVD反応装置。
  2. 移動中のテープ状の基材表面に原料ガスを化学反応させて薄膜を堆積させるCVD反応を行うリアクタと、前記リアクタに前記原料ガスを供給するガス拡散部と、前記リアクタ内のガスを排気する排気口に接続された排気管とが少なくとも備えられてなるCVD反応装置であり、
    前記リアクタには、基材導入部と反応生成室と基材導出部とが隔壁により区画されて形成され、
    前記反応生成室がテープ状の基材の移動方向に直列に複数設けられて、前記各反応生成室の間に境界室が設けられ、前記リアクタの内部に前記基材導入部と反応生成室と境界室と基材導出部とを通過する基材搬送領域が形成されると共に、前記ガス拡散部が、前記各反応生成室ごとに設けられ、
    前記リアクタを覆って前記リアクタ全体を加熱する主ヒータと、前記主ヒータの内側に設けられ、前記隔壁により区画された前記各反応生成室全体をそれぞれ覆って加熱する複数の補助ヒータとが備えられていることを特徴とするCVD反応装置。
  3. 請求項2に記載のCVD反応装置であって、前記の各補助ヒータの温度をそれぞれ独立して制御可能な温度制御手段が備えられていることを特徴とするCVD反応装置。
  4. 請求項1ないし請求項3にいずれかに記載のCVD反応装置を用いて酸化物超電導体を製造する方法であり、
    原料ガスの導入により前記反応生成室内の温度が低下した際に、前記反応生成室内の温度を、前記反応生成室を区画する隔壁付近の温度と一致させるように前記補助ヒータを制御しつつ、前記テープ状の基材に原料ガスを化学反応させて酸化物超電導薄膜を堆積することを特徴とする酸化物超電導体の製造方法。
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