JP3808115B2 - キセロゲル、及びそれらの調製方法と利用 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は、本明細書において「キセロゲル」と呼称される改質SiO2ゲルの調製方法、及び前記方法で調製されたキセロゲル及びそれらの利用に関するものである。
【0002】
広い意味における、即ち「分散媒として空気を有するゲル」の意味におけるエーロゲル(aerogel)は、適当なゲルを乾燥させることによって調製される。この意味において「エーロゲル」という用語は、より狭い意味におけるエーロゲル、即ちキセロゲル及びクリヨゲル(cryogel)を含む。この関係において、臨界温度を超える温度で、臨界圧力を超える圧力から開始して極めて実質的にゲルの液体を除去する場合、乾燥ゲルは、より狭い意味においてエーロゲルと呼称される。一方、臨界未満条件下で、例えば液体/蒸気境界相を形成させることによって、ゲルの液体を除去する場合には、生成するゲルはキセロゲルと呼称される。
【0003】
調製されるキセロゲルは、慣用のSiO2エーロゲルと関連のあるものであるが、それらと同一のものではない。
【0004】
SiO2エーロゲルは、優れた断熱作用を有することで知られている。前記エーロゲルは、例えばエタノール中テトラエチルオルトシリケートの酸水解によって調製される。前記酸水解において、ゲルの構造は、温度、pH及びゲル化プロセスの時間によって決定される。しかしながら、強力に乾燥させている間には、毛管力が生じるので、一般的に、湿潤ゲルを乾燥させるとゲル構造は崩壊する。ゲルの崩壊は、溶媒の臨界温度及び臨界圧力を超える条件下で乾燥を実行することによって防止することができる。液体/気体相境界はこの領域で消失するので、毛管力も生じず、ゲルは乾燥中に変化せず、即ち乾燥中にゲルの収縮も起こらない。この乾燥技術に基づく調製方法は、例えば欧州特許出願第0 396 076号又はWO 92 03378 で開示されている。しかしながら、この方法では、例えばエタノールを用いる場合には、240℃を超える温度及び40バールを超える圧力が必要である。乾燥前にエタノールを二酸化炭素で置換すると約40℃まで乾燥温度を低下させることができるが、圧力は80バール必要である。
【0005】
乾燥前にシリル化剤(silylating agent)と反応させるときには、臨界未満条件下で、SiO2エーロゲルを乾燥させることができる、ことを発見した。得られる生成物は、本明細書では「キセロゲル」と呼称する。それらは優れた断熱材である。
【0006】
本発明は、以下の工程:即ち、
a)酸イオン交換樹脂又は鉱酸を用いて、水性水ガラス溶液のpHを≦3.0、好ましくは≦2.2に調整する工程、
b)塩基を加えることによって、前記工程で製造された珪酸をSiO2ゲルに重縮合させ、更に、工程a)で鉱酸を用いている場合には、電解質がなくなるまで水でゲルを適当に洗浄する工程、
c)冷却すると2つの相へと分離する共沸混合物を水と共に形成する有機溶媒を用いて抽出蒸留することによって、ゲルの含水率が≦5重量%となるまで、工程b)で得られたゲルから水を除去する工程、
d)工程c)で得られたゲルをシリル化剤と反応させる工程、
e)工程c)で用いた有機溶媒の臨界圧力未満及び/又は臨界温度未満の圧力及び温度において、工程d)で得られたシリル化ゲルを乾燥させる工程
を含む、キセロゲルを調製する方法に関するものである。
【0007】
酸イオン交換樹脂は、好ましくは、工程a)で用い;スルホン酸基を含む酸性イオン交換樹脂がこの目的には特に適する。鉱酸を用いる場合には、塩酸及び硫酸が特に適する。一般的に、水ガラスとしてはナトリウム水ガラス及び/又はカリウム水ガラスが用いられる。水ガラスの濃度は、好ましくは1 − 20重量%、最も好ましくは5 − 12重量%である。
【0008】
工程b)で好ましく用いられる塩基は、NH4OH、NaOH、KOH、Al(OH)3及び/又はコロイド珪酸である。工程a)で鉱酸を用いた場合は、塩基を用いて製造されたSiO2ゲルを電解質がなくなるまで水で適当に洗浄する;好ましくは、洗浄は、排水される洗浄水が脱イオン水と同じ導電率を有するようになるまで続ける。
【0009】
好ましくは、工程c)の前に、一般的に0 − 150℃、好ましくは80.0− 130℃、pH4 − 11、好ましくは4 − 9において、ゲルを熟成させる。熟成させる時間は、一般的に10秒 − 48時間、好ましくは10秒 − 5時間である。
【0010】
工程c)では、ゲル中に含まれている水を、有機溶媒による抽出蒸留によって、ゲルの含水率が5重量%を超えなくなるまで、好ましくは≦2重量%となるまで除去する。用いられる溶媒は、冷却すると、2つの液相へと、即ち水性相及び溶媒相へと分離する共沸混合物を水と共に形成しなければならない。適当な溶媒としては、例えばトルエン、ジ-n-ブチルエーテル又はメチルイソブチルケトンが挙げられる。好ましくはトルエンを用いる。
【0011】
共沸混合物を冷却したときに生成する溶媒相は、プロセスへと戻すことができる。
【0012】
工程a)から工程c)は、一般的に、溶液の凝固点と、溶媒の沸点との間の温度で行う。
【0013】
工程d)では、溶媒含有ゲルをシリル化剤と反応させる。用いられるシリル化剤は、一般的に、R1 4-nSiCln 又は R1 4-nSi(OR2n(式中、n=1 − 3であり、R1及びR2は、互いに独立に、C1 − C6-アルキル、シクロヘキシル又はフェニルである)で表されるシランである。又、シラザンも適当である。モノ、ジ-又はトリメチルシクロシラン、トリメチルメトキシシラン又はヘキサメチル-ジシラザンが好ましく用いられる。一般的に、反応は、必要であれば、例えばトルエン、アセトン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、ジ-n-ブチルエーテル、i-プロパノール又はメチルイソブチルケトンのような溶媒中において、20 −100℃、好ましくは30 − 70℃の温度で行う。シリル化は、加圧下で、好ましくは25バール以下の圧力において適当に行うこともできる。適当な場合には、シリル化されたゲルは、乾燥前に洗浄することもできる。
【0014】
工程e)では、シリル化ゲルを、−30℃から溶媒の沸点までの温度で、好ましくは−30 − 200℃、特に好ましくは0 − 150℃の温度で乾燥させる。乾燥のために用いられる圧力は、好ましくは0.001 − 20バール、特に好ましくは0.01 − 5バールである。一般的に、乾燥は、ゲルが残留溶媒含有率0.1重量%未満を有するようになるまで続ける。
【0015】
特別な熱的特性を得るためには、キセロゲルが更に(例えばカーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄及び二酸化ジルコニウムのような)IR不透明化剤を含んでいると有利な場合がある。好ましくは、これらのIR不透明化剤は、前記の場合において、工程b)の前に添加する。
【0016】
本発明に従う方法を実施例を掲げて説明する。
【0017】
(実施例)
ナトリウム水ガラス溶液(SiO2含有率6重量%、Na2O:SiO2比 2:3)1リットルを、酸イオン交換樹脂(Duolite(登録商標) C20 という名称で市販されている、スルホン酸基を有するスチレン/ジビニルベンゼンコポリマー)0.5リットルが充填されているカラム(直径50mm、長さ300mm)の中に通した。流出して来る溶液はpH1.5を有していた。次に、その溶液を、1モル濃度のNH4OH溶液を用いてpH5.6に調整した。生成したゲルを50℃で24時間熟成させ、次に、約100℃で、水分離器を有する抽出容器において、トルエン3リットルを用いて水を抽出した。水の計算量(約920ml)を分別後に抽出を止めた。次に、50℃で12時間、トリメチルクロロシラン(TMCS)を用いて(トルエン含有ゲル1g当たりTMCS 0.05g)、トルエン含有ゲルをシリル化した。そのゲルを、大気圧下、窒素でフラッシュされた乾燥器の中で乾燥させた(40℃で6時間、50℃で2時間、更に150℃で12時間)。
【0018】
このようにして得られた透明なキセロゲルは、0.12g/cm3の密度を有していた。BET比表面積は920m2/gであった。λ値は0.016W/mKであった。熱伝導率は、熱線法(例えば、O.Nielsson、 G.Ruschenpohler、 J.Gross、 J.Fricke、 High-Temperatures-High-Pressures、 Vol.21、 267-274(1989))で測定した。

Claims (8)

  1. 以下の工程:即ち、
    a)酸イオン交換樹脂又は鉱酸を用いて、水性水ガラス溶液のpHを≦3.0に調整する工程、
    b)塩基を加えることによって前記工程で製造された珪酸をSiO2ゲルに重縮合させ、更に、工程a)で鉱酸を用いている場合には、電解質がなくなるまで水でゲルを洗浄する工程、
    c)冷却すると2つの相へと分離する共沸混合物を水と共に形成する有機溶媒を用いて抽出蒸留することによって、ゲルの含水率が≦5重量%となるまで、工程b)で得られたゲルから水を除去する工程、
    d)工程c)で得られたゲルをシリル化剤と反応させる工程、
    e)工程c)で用いた有機溶媒の臨界圧力未満及び/又は臨界温度未満の圧力及び温度において、工程d)で得られたシリル化ゲルを乾燥させる工程
    を含む、キセロゲルを調製する方法。
  2. 酸イオン交換樹脂を工程a)で用いる請求項1記載の方法。
  3. 工程b)において塩基としてNH4OH、NaOH、KOH、Al(OH)3及び/又はコロイド珪酸を用いる請求項1又は2記載の方法。
  4. 水を工程c)で除去する前に、工程b)で得られたSiO2ゲルを、温度0 − 150℃及びpH4 − 11において、10秒 − 48時間熟成させる請求項1 − 3の少なくとも1つに記載の方法。
  5. 工程c)において有機溶媒としてトルエン、ジ-n-ブチルエーテル又はメチルイソブチルケトンを用いる請求項1 − 4の少なくとも1つに記載の方法。
  6. 工程d)においてシリル化剤としてモノ-、ジ-又はトリメチルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン又はヘキサメチルジシラザンを用いる請求項1 − 5の少なくとも1つに記載の方法。
  7. 工程e)において、温度-30 − 200℃でシリル化ゲルを乾燥させる請求項1 − 6のいずれかに記載の方法。
  8. 工程e)において、圧力0.001 − 20バール下でシリル化ゲルを乾燥させる請求項1 − 7のいずれかに記載の方法。
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