JP3807969B2 - 平版印刷用原板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、支持体上に画像形成を行う親水層を有する現像不要のネガ型平版印刷用原板に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像記録したものは現像処理することなくそのまま印刷が可能な平版印刷用原板に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年進展が著しいコンピュータ・ツウ・プレート用刷版については、多数の研究がなされている。その中で一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後現像処理することなしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷用原板や、印刷機上で露光し、そのまま印刷できる平版印刷用原板が研究され、種々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、日本特許2938397号公報、特開平9−127683号公報およびWO99−10186号には、親水性表面を有する基板上に、熱可塑性ポリマー微粒子を親水性樹脂などのマトリックス中に分散した親水性の画像形成層を有する感熱性平版印刷用原板が開示されている。これらの公報には、赤外線露光などによって画像形成層に熱を加えると、熱可塑性ポリマー微粒子が溶融合体して、親水性画像形成層表面が親油性画像部に変換され、この画像部が形成された平版印刷版を印刷機に装着し、版胴を回転しながら印刷版に湿し水とインキを供給することによって、未加熱部分をあたかも現像処理したように除去してしまう方法(機上現像法)によって、従来行われていた自動現像機などを用いる現像処理を省略することが記載されている。
【0004】
また、特開2000−238452号には、光及び熱の少なくとも一方のエネルギーにより分解する基を表面に有するミクロゲルと赤外光吸収剤を画像形成層に含有する平版印刷用材料が機上現像できることが記載されている。
【0005】
しかしながら、上記の機上現像型の無処理平版印刷用原板には、未露光部の除去が印刷機の運転開始条件によって左右されたり、親油性成分を多く含んだ除去物が湿し水ローラや湿し水を汚染するため、良好な印刷物を得るのに、数十〜数百枚の印刷が必要だったり、ローラの洗浄を必要とするなど、コストおよび手間のかかる問題がある。
【0006】
1992年1月のResearch Disclosure No.33303等には、熱可塑性ポリマー微粒子を架橋した親水性樹脂中に分散した感熱層を有する感熱性平版印刷用原板が記載されている。また、特開平7−1849号、同7−1850号、同10−6468号および同11−70756号には、架橋した親水性バインダーポリマー中に親油性微粒子として親油性成分を内包するマイクロカプセルを分散した親水層を有する感熱性平版印刷原板が記載されている。これらの感熱性平版印刷原板は、露光による熱で形成された親油性画像部と未露光部の親水性非画像部との表面構成を印刷面として用いることにより、機上現像を必要とせず、完全無処理で湿し水を使用する平版印刷を行えることが記載されている。
【0007】
しかしながら、上記従来技術の完全無処理の平版印刷用原板は、印刷における汚れ難さおよび耐刷性が不十分である問題があった。
地汚れを改善するために、金属酸化物微粒子(SiO2、TiO2など)を親水性素材として用いることは知られており、特開2000−79771号公報に、100nm以下の金属微粒子を用いた記載がある。この金属微粒子は、無機表面が十分親水性であってかつ表面の粗さを高めて保水性も大きいので地汚れ性を向上させるが、一方保水性を高めるために表面粗さを大きくすると印刷初期のインキの払い性が悪くなるという欠点を有している。さらに、金属酸化物分散物を含む皮膜を形成させる際に皮膜のクラック防止(乾燥時に発生する微細なひび割れ)のために通常用いるPVA(ポリビニルアルコール)が、親水性を低下させ、その結果湿し水を絞った時に地汚れを生じ易くなることも判っており、膜物性に悪影響がなく、十分な親水性を得る手段は未だ得られていない。
【0008】
本発明者は、この問題解決方法の検討を進めたところ、シランカップリング基を末端に有する親水性ポリマーを金属酸化物微粒子と併用すると、原板表面に選択的に親水性ポリマーがグラフトされ、地汚れ性及び払い性の両方を向上させると共に、加熱により親油性画像部に変換した疎水性化樹脂微粒子の皮膜のインキ受容性も維持され、しかも耐刷性にも優れることを見出した。しかしながら、シランカップリング基を有する親水性ポリマー含有結着層(シリカゾルゲル)を硬膜するには脱水縮合反応を用いるので、高親水性でかつ高硬度なミクロ相分離構造を得るには一定以上の加熱が必要となる。しかし高温短時間乾燥を行なうと体積収縮による内部応力が高まるので、クラックが発生したり、あるいは疎水性化樹脂微粒子の安定性が損なわれるなどの欠点が生じた。
【0009】
以上に述べた従来技術の経緯が示すように、耐刷性に優れ、しかも地汚れや払い性などの印刷品質特性を満たそうとする試みは、膜物性や塗設層の構成物質の安定性、製造適性などの面で不利を伴なう結果となり、未だ十分に満足できる状況に達していない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した背景によって行なわれたものであり、上記問題点の解決を目的としている。すなわち、本発明の目的は、露光後、現像処理を行うことなく印刷することが可能であって、耐刷性に優れ、しかも地汚れが生じにくく、払い性も良好な平版印刷用原板を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
これらの問題に対し本発明者は、印刷原板の製造に際して形成される皮膜の強度と熱履歴の極性への影響とを詳細に検討した結果、親水性層を塗設したのち、これに以下の特定の熱処理を施すことによって、上記目的を達成できることを見出した。すなわち、本発明は、以下の通りである。
【0012】
支持体上に、疎水性化前駆体微粒子、光熱変換剤及びシランカップリングを末端に有する下記一般式で示される親水性ポリマーを含有する、熱により疎水化可能な親水性層を有する平版印刷用原板の製造方法であって、親水性層を塗設したのち50℃以上100℃以下で乾燥した後、さらに後加熱処理を加えることを特徴とする平版印刷用原板の製造方法。
【0014】
【化2】
Figure 0003807969
【0015】
一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、は0、1又は2を表し、nは1〜8の整数を表し、pは30〜300の整数を表す。Yは−NHCOCH3、−CONH2、−CON(CH32、−COCH3、−OCH3、−OH、−CO2M又は−CONHC(CH32SO3Mを表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。Lは、単結合又は有機連結基を表す。
【0016】
.後加熱処理が、温度が40℃〜90℃で、湿度が25%RH以上で原板表面の臨界湿度以下の雰囲気の下で原板を状態調節する加熱処理であることを特徴とする上記1に記載の平版印刷用原板の製造方法。
【0017】
本発明は、疎水性化前駆体微粒子、光熱変換剤及びシランカップリング基を末端に有する一般式(1)で示される親水性ポリマーを含有する、熱により疎水化可能な親水性層を有する印刷用原板の製造方法に関してなされた発明であって、その特徴は、特定条件の乾燥と後加熱を塗設した画像記録層に施すことである。この特定条件の乾燥と後加熱を施すことによって、耐刷性に優れ、地汚れが生じにくいことと、払い性が良好なことを両立させることが可能で、しかも膜の強度や寸法安定性などに悪影響を伴なわない平版印刷用原板を実現させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
〔乾燥及び後乾燥〕
はじめに、本発明の印刷用原板の製造方法の特徴である塗設した画像記録層(親水性層を画像記録層と呼ぶこともある)の乾燥及び後加熱について述べる。
親水性層の乾燥温度は、50℃以上100℃以下であり、好ましくは、55℃以上90℃以下であり、より好ましくは、60℃以上80℃以下である。乾燥時の湿度は、原板の臨界湿度以下である限り任意であるが、好ましくは、臨界湿度より少なくとも20%RH低湿度である。
また、後加熱は、乾燥された親水性層の状態調節のために行なうのであって、実施例の結果に示されるように、状態調節によって、膜の強度や寸法安定性が向上して、耐刷性、地汚れ抑止、払い性向上が、一層高いレベルで確保される。状態調節温度は室温よりも高く、乾燥工程における最高温度よりも低い温度で行なわれるが、好ましくは40℃〜80℃、より好ましくは50〜70℃であり、状態調節過程の湿度は、原板表面の臨界湿度以下の任意の湿度で行うことができるが、好ましくは、25%RH以上で原板表面の臨界湿度以下、より好ましくは,30%RH以上で原板表面の臨界湿度以下である。
【0019】
乾燥工程と後加熱(状態調節)工程とを上記した温湿度条件の範囲を超えた領域行なったり、状態調節工程を省略すると、本発明の目的とする効果は得られず、例えば上記範囲よりも低温度側(特に状態調節温度が)では、親水性層の硬膜強度が十分に得られず、結果として耐刷性が低下し、高温側及び/又は低湿度側では、微小な表面クラック発生による払い性の悪化と耐刷性低下を引き起こす。乾燥工程の雰囲気が臨界湿度よりも高いと乾燥が行なわれず、上記範囲より低湿度であると親水性層の表面極性や膜強度の増加が得られにくく、乾燥に続く後加熱による状態調節が印刷品質や耐刷性の向上に顕著な寄与を行なっている。
乾燥工程に要する時間は、親水性層の溶媒が実質的に除去される時間であって、具体的に1〜30分であり、好ましくは3〜20分である。また、乾燥工程に続く後加熱(状態調節)工程に要する時間は、親水性層中の三次元架橋及びミクロな層分離構造を形成吸うのに要する時間であって、具体的には1〜14日であり、好ましくは3〜7日である。
【0020】
なお、本明細書において、臨界湿度は、平衡湿度と同義であり、状態調節は、試料を温度と湿度の基準状態に置く操作、すなわち、JIS規格用語(JIS K6900)の定義の意味で用いており、文部科学省制定学術用語の状態調節と同義である。
【0021】
〔平版印刷版用基板〕
次ぎに、本発明で製造される平版印刷版用原板において、支持体上に設けられる疎水性化前駆体、光熱変換剤及びシランカップリング基を末端に有する一般式(1)で示される親水性ポリマーを含有する、熱により疎水化可能な親水性層の各構成材料について説明する。
【0022】
(末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー)
はじめに、末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーについて述べる。
ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマーとしては、下記一般式(1)で表されるポリマーが挙げられる。
【0023】
【化3】
Figure 0003807969
【0024】
一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、kは0、1又は2を表し、nは1〜8の整数を表し、pは30〜300の整数を表す。Yは−NHCOCH3、−CONH2、−CON(CH3)2、−COCH3、−OCH3、−OH、−CO2M又は−CONHC(CH3)2SO3Mを表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。
Lは、単結合又は有機連結基を表すが、ここで有機連結基とは、非金属原子からなる多価の連結基を示し、具体的には1〜60個の炭素原子、0〜10個の窒素原子、0〜50個の酸素原子、1〜100個の水素原子,0〜20個の硫黄原子から成り立つ基である。より具体的な連結基としては下記の構造単位またはこれらが組み合わされて構成された基を挙げることができる。
【0025】
【化4】
Figure 0003807969
【0026】
一般式(1)のシランカップリング基を有する親水性ポリマーの具体例としては以下のポリマーを挙げることができる。なお、下記具体例において、pは100〜250の間のいずれを採ることもできる。
【0027】
【化5】
Figure 0003807969
【0028】
本発明に係る上記親水性ポリマーは、下記一般式(2)で表されるラジカル重合可能なモノマーと、下記一般式(3)で表されるラジカル重合において連鎖移動能を有するシランカップリング剤とを用いてラジカル重合させることによって合成することができる。シランカップリング剤(式3)が連鎖移動能を有するため、ラジカル重合においてポリマー主鎖末端にシランカップリング基が導入されたポリマーを合成することができる。
【0029】
【化6】
Figure 0003807969
【0030】
<固体微粒子>
本発明に係る印刷用原板上の親水層は、さらに固体微粒子を含有していることが好ましく、上記したシランカップリング基を有する親水性ポリマーは、固体微粒子の表面に化学的に結合した形態で存在することが好ましい。また、上記以外の親水性ポリマーを表面に結合させた形態をも含んでいることも好ましい。本明細書では、固体粒子の表面に親水性ポリマーが化学的に結合することを、表面修飾とも言う。
【0031】
親水性ポリマーが結合する固体粒子としては、金属酸化物微粒子が好ましく、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化鉄、ジルコニアなどの金属酸化物;無水ケイ酸、含水ケイ酸カルシウム及び含水ケイ酸アルミニウムなどの、それ自体は可視域に吸収を持たないケイ素含有酸化物(ホワイトカーボンとも呼ばれる);クレー、タルク、カオリン、ふっ石などの粘土鉱物粒子等が使用できる。
無機粒子の平均粒径は10μm以下であることが好ましく、より好ましくは5nm〜5μm、更に好ましくは10nm〜5μmである。この範囲内において、以下に述べる光架橋性粒子の製造段階において、安定に製造することが可能であるとともに、支持体との良好な接着性が保て、また、表面付近の粒子も良好に保持される。
【0032】
親水性と膜強度、更に親水性ポリマーによる表面修飾の容易性の観点から、上記無機粒子のうち特にケイ素含有酸化物が好ましい。具体的には、日産化学工業(株)製スノーテックスZL(粒径70〜100nmシリカ40%コロイド水溶液)、富士シリシア化学(株)製サイリシア350(粒径3.5μm)、日本アエロジル(株)製AEROSIL130(粒径160nmシリカ)、日本アエロジル(株)製AEROSIL200(粒径16nmシリカ)、水澤化学工業(株)製ミズカシルP−527U(粒径60nmシリカ)等が挙げられる。
【0033】
本発明で用いる、表面修飾された、あるいは表面修飾されていなくても表面親水性のゾル状粒子(これらを総括して、単にシリカ粒子ということもある)の各々の粒径が、前記範囲内において、画像記録層の膜強度が充分に保持され、レーザー光等により露光して製版し、印刷版として印刷すると、非画像部への印刷インクの付着汚れを生じない極めて親水性に優れたものになるという効果を発現する。また、親水性ゾル状粒子を画像記録層に添加する場合、その添加量は、画像記録層の固定物成分の5〜80質量%であり、好ましくは20〜60質量%である。
【0034】
<親水性ポリマーによる表面修飾>
親水性ポリマーによる表面修飾は、従来から公知の方法を適宜応用することによって製造することができる。例えば、ポリマー主鎖末端にシランカップリング基を有する親水牲ポリマーを用いてゾルゲル反応によりシリカ粒子表面に親水性ポリマーを容易に導入することができる。
用いることができる親水性ポリマーは、特に限定されないが、上記一般式(1)で示したシランカップリング基を含む親水性ポリマーを含んでいることがとくに好ましい。親水性ポリマーが有する親水性官能基としては、前記の一般式(1)の置換基Y及びLYのほかにカルボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基、アミノ基、及びその塩、アミド基、水酸基、エーテル基、ポリオキシエチレン基などを挙げることができる。
【0035】
したがって、シランカップリング基を有する親水性ポリマーにより表面修飾する方法としては、上記一般式(1)で示されるポリマーを固体微粒子に直接結合させる方法の他に、シリカ表面を重合開始能を有するシランカップリング剤で処理し、その後、親水性モノマーをグラフト重合反応させる方法が挙げられ、これにより親水性ポリマーにより修飾された表面修飾粒子を得ることができる。
【0036】
用いることができる親水性モノマーとしては、以下のモノマーを挙げることができる。例えば、(メタ)アクリル酸もしくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−モノメチロール(メタ)アクリルアミド、N−ジメチロール(メタ)アクリルアミド、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩、3−ビニルプロピオン酸もしくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ビニルスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、2−スルホエチレン(メタ)アクリレート、3−スルホプロピレン(メタ)アクリレートもしくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、ポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸もしくはそのアルカリ金属塩及びアミン塩、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルアミンもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、2−トリメチルアミノエチル(メタ)アクリレートもしくはそのハロゲン化水素酸塩等の、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸、アミノ基もしくはそれらの塩、等を使用することができる。
【0037】
上記の表面修飾方法について、具体的には、鈴木昇、湯沢信子、遠藤敦、宇津木弘「色材」57巻、429頁(1984)、吉岡博、池野正行「表面」21巻、33頁(1983)、字津木弘「表面」16巻、525頁(1978)、K. Tanaka, et al., Bull.Chem. Soc. Jpn., 53巻、 1242頁 (1980)、M.L. Hair, W. Hertl. J. Phys. Chem. 77巻、1965頁 (1973)、Ya.Davydov et Al., Chromatographia, 14巻、13頁 (1981)、K.Unger et al., Colloid Polym. Sci, 252巻、317頁 (1974)、R. Burwell, O. Lea1, J.Chem. Soc. Chem. Commun., 342頁 (1974)、W. Stoeber, Kolloid-Z 149頁、39頁(1956)、K. Yoshinaga, et. al., Polym. Adv. Technol, 3巻91頁(1992)、N. Tsubokawa, et al., Polym. J. 21巻、475頁(1989)、Franz.Pat.1368765、DAS 1163784等の総説及びそれに引例の文献、特許等の記載の方法に従って合成することができる。
【0038】
<表面修飾粒子同士の架橋>
表面修飾層の強化あるいは表面修飾された粒子同士の 結着性の強化のために用いることができる架橋剤としては、下記一般式(II)で表される加水分解重合性化合物を挙げることができる。
【0039】
【化7】
Figure 0003807969
【0040】
一般式(II)において、R5およびR6は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を表し、XはSi、Al、TiまたはZrを表し、mは0〜2の整数を表す。R5またはR6がアルキル基を表す場合の炭素数は好ましくは1から4である。またアルキル基またはアリール基は置換基を有してもよい。尚、この化合物は低分子化合物であり、分子量1000以下であることが好ましい。
【0041】
加水分解重合性化合物中にアルミニウムを含むものとしては、例えば、トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネート、テトラエトキシアルミネート等を挙げることができる。チタンを含むものとしては、例えば、トリメトキシチタネート、テトラメトキシチタネート、トリエトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネート、クロロトリメトキシチタネート、クロロトリエトキシチタネート、エチルトリメトキシチタネート、メチルトリエトキシチタネート、エチルトリエトキシチタネート、ジエチルジエトキシチタネート、フェニルトリメトキシチタネート、フェニルトリエトキシチタネート等を挙げることができる。ジルコニウムを含むものとしては、例えば、前記チタンを含むものに対応するジルコネートを挙げることができる。
【0042】
加水分解重合性化合物中にケイ素を含むものとしては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、トリプロポキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
これらの内特に好ましいものとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、シフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン等を挙げることができる。
【0043】
本発明で用いる表面修飾粒子と一般式(II)で表される化合物は、一種のみ使用しても2種以上を併用してもよい。また、一般式(II)の化合物は、部分的に加水分解後、脱水縮合していてもよい。基板に塗布する前の画像形成材料の溶液の状態における保存安定性を高めるために、一般式(II)で表される加水分解重合性有機金属化合物が部分加水分解重合した無機重合体の活性金属水酸基、例えば、シラノール基(Si−OH)を保護することが有効である。シラノール基の保護は、t−ブタノール、i−プロピルアルコール等の高級アルコールでシラノール基をエーテル化(Si−OR)することにより達成することができる(ここでRは、単に何らかの基であることを意味し、特定の基を表すものではない)。具体的には、シリカ微粒子が分散した無機相に前記高級アルコールを添加することにより実施することができる。このとき無機相の性質により、例えば、無機相を加熱して脱離した水を留去する等の手段により無機相を脱水することにより保存安定性をさらに向上させることができる。該加水分解重合の触媒となりうる酸、または塩基、例えば塩酸、アンモニア等が無機相中に存在する場合には、これらの濃度を下げることも一般的に有効である。これらは、無機相を酸、または塩基により中和することにより容易に実施することかできる。
【0044】
本発明において、表面修飾粒子が一般式(II)で表される架橋剤によって架橋された表面修飾粒子と架橋剤の複合体は平版印刷版用基板の親水層全固形分に対し2〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、特に好ましくは10〜50質量%の量で親水層中に含有させる。粒子の含有量が2質量%を下回ると保水性が不十分となり、地汚れが生じやすくなる。50質量%を上回ると親水層の強度が低下して耐刷性が低下し、また、支持体と親水層との接着性が低下する。
【0045】
<表面修飾粒子−架橋剤複合体形成法>
本発明における表面修飾粒子−架橋剤からなる有機無機複合体は、加水分解重合して調製され、その方法は公知のいかなる方法でもよく、例えば、「ゾル−ゲル法の科学」(アグネ承風社)記載の方法を用いることができる。好ましい例として、本発明の表面修飾粒子と架橋剤(例えば一般式(II)の化合物)が分散されたアルコール溶液、好ましくはメタノールまたはエタノール溶液に触媒として酸(リン酸、塩酸、硫酸、酢酸)特に好ましくはリン酸、塩酸、または、アルカリ(アンモニア水)を添加して、出発溶液を調製する。次に、0〜100°C、好ましくは10〜80°Cで還流下で5分〜6時間特に好ましくは10分〜2時間攪拌し、加水分解重合させて表面修飾粒子−架橋剤からなる有機無機複合体を形成させることができる。
【0046】
(光熱変換剤)
本発明に係る印刷用原版の親水性層に含まれる光熱変換剤は、吸光度が少なくとも0.3×103 cm-1の物質を指しており、好ましくは1×103cm-1以上、より好ましくは1×104cm-1以上でかつ吸収光は実質的に蛍光や燐光に変換されない物質を指す。なお、吸光度は透過濃度を厚みで除した値である。また、染料のように媒質中に実質的に分子分散している場合は、媒質の光吸収係数が上記の値である。いうまでもなく、多くの物質は多少とも光を吸収し、光を吸収すればそれによって励起したその物質のエネルギー準位は、基底準位に戻るときに蛍燐光を発しないかぎり、熱の放出となるので厳密には殆どの物質がたとえ僅かではあっても光熱変換作用を持っているといえる。したがって、光熱変換性の物質という場合には、目的とする熱変化をもたらすことができる大きさの光吸収特性を有する物質を指すのが適切であり、本発明における光熱変換剤は、その目的から少なくとも上記の吸光度を持っている物質を意味している。本発明に用いられる上記の要件を満たした光熱変換剤は、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物等の金属化合物、非金属単体及び化合物、炭素単体、顔料及び染料のいずれであってもよい。
【0047】
<光熱変換性の金属化合物微粒子>
光熱変換性の金属化合物微粒子は、それ自体が疎水性の物質からなるものも、親水性の物質からなるものも、またその中間のもののいずれでもよい。
【0048】
この種の好ましい金属化合物は、遷移金属の酸化物、周期律表の2〜8族の金属元素の硫化物及び周期律表の3〜8族の金属の窒化物である。遷移金属酸化物には鉄、コバルト、クロム、マンガン、ニッケル、モリブデン、テルル、ニオブ、イットリウム、ジルコニウム、ビスマス、ルテニウム、バナジウムなどの酸化物が含まれる。また、必ずしも遷移金属に含めない分類法もあるが、亜鉛、水銀、カドミウム、銀、銅の酸化物も本発明に用いることができる。これらの中では、FeO,Fe2 3 ,Fe3 4 ,CoO,Cr2 3 ,MnO2 ,ZrO2,Bi2 3 ,CuO,CuO2 ,AgO,PbO,PbO2 、VOx (x=1〜5)がとくに好ましい金属酸化物の例として挙げられる。VOx には、黒色のVO、V2 3 、VO2 、や褐色のV2 5 が挙げられる。
【0049】
好ましい無機金属酸化物としては、TiOx (x=1.0〜2.0)、SiOx (x=0.6〜2.0)、AlOx (x=1.0〜2.0)も挙げることができる。TiOx (x=1.0〜2.0)には、黒色のTiO、黒紫色のTi2 3 、結晶形と狭雑物によって種々の色を呈するTiO2 類がある。SiOx (x=0.6〜2.0)には、SiO、Si3 2 、無色あるいは共存物質によって紫、青、赤などの色を示すSiO2 が挙げられる。また、AlOx (x=1.5)には、無色あるいは共存物質によって赤、青、緑などに呈色するコランダムなどが挙げられる。
【0050】
金属酸化物が多価金属の低次酸化物の場合は、光熱変換剤であって、かつ自己発熱型の空気酸化反応物質でもある場合がある。その場合は、光吸収したエネルギーのほかに自己発熱反応の結果発生した熱エネルギーも利用できるので、好ましい。これらの多価金属の低次酸化物は、Fe,Co,Niなどの低次酸化物が挙げられる。具体的には、酸化第一鉄、四三酸化鉄、一酸化チタン、酸化第一錫、酸化第一クロムなどが挙げられる。その中でも酸化第一鉄、四三酸化鉄及び一酸化チタンが好ましい。
【0051】
自己発熱反応が起こるかどうかは、示差熱天秤(TG/DTA)により容易に確認することができる。示差熱天秤に、自己発熱反応物質を挿入して、温度を一定速度で上昇させていくと、ある温度で発熱ピークが出現して発熱反応が起こったことが観測される。金属あるいは低次酸化金属の酸化反応を自己発熱反応として用いた場合、発熱ピークが現れるとともに、熱天秤では重量が増えることも同様に観測される。繰り返しになるが、光・熱変換機構に加えて自己発熱反応エネルギーを利用することにより、従来よりも単位輻射線量当たり、より多くの熱エネルギーを、しかも持続的に利用することができ、そのために感度を向上させることができる。
【0052】
光熱変換性微粒子が金属硫化物からなる場合、好ましい金属硫化物は、遷移金属などの重金属硫化物である。中でも好ましい硫化物には鉄、コバルト、クロム、マンガン、ニッケル、モリブデン、テルル、ストロンチウム、錫、銅、銀、鉛、カドミウムの硫化物が挙げられ、とりわけ、硫化銀、硫化第一鉄及び硫化コバルトが好ましい。
【0053】
光熱変換性微粒子が金属窒化物からなる場合、好ましい金属窒化物は、金属のアジド化合物である。とくに銅、銀及び錫のアジド化物が好ましい。これらのアジド化合物は、光分解によって発熱する自己発熱性化合物でもある。そのほかの好ましい無機金属窒化物には、TiNx (x=1.0〜2.0)、SiNx (x=1.0〜2.0)、AlNx (x=1.0〜2.0)などが挙げられる。TiNx (x=1.0〜2.0)としては、青銅色のTiNや褐色のTiNx (x=1.3)が挙げられる。SiNx (x=1.0〜2.0)としては、Si2 3 ,SiN,Si3 4 が挙げられる。また、AlNx (x=1.0〜2.0)にはAlNなどを挙げることができる。
【0054】
上記の各金属酸化物、硫化物及び窒化物は、いずれも公知の製造方法によって得られる。また、チタンブラック、鉄黒、モリブデン赤、エメラルドグリーン、カドミウム赤、コバルト青、紺青、ウルトラマリンなどの名称で市販されているものも多い。
【0055】
これら親水性の金属化合物の粒子サイズは、粒子を構成する物質の屈折率や吸光係数によって最適サイズがことなるが、一般に0.005〜5μmであり、好ましくは0.01〜3μmである。粒子サイズが、微小に過ぎると光散乱により、粗大に過ぎると粒子界面反射により、光吸収の非効率化がおこる。
【0056】
<光熱変換性の金属微粒子>
次に、光熱変換性の金属微粒子について述べる。金属粒子の多くは、光熱変換性であってかつ自己発熱性でもあって光吸収によって熱を発生させた上にその熱をトリガーとする発熱反応によってさらに多量の熱を供給する。
【0057】
金属微粒子としては、Mg、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Sb、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pb等の微粒子が含まれる。これらの金属微粒子は光熱変換性であると同時に自己発熱性でもある。この中でも、吸収光の光熱変換によって得た熱エネルギーにより、酸化反応等の発熱反応を容易に起こすものが好ましく、具体的には、Al、Si、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、In、Sn、Wが好ましい。その中でもとくに輻射線の吸光度が高く、自己発熱反応熱エネルギーの大きいものとして、Fe、Co、Ni、Cr、Ti、Zrが好ましい。
【0058】
また、これらの金属は、単体粒子のみでなく、2成分以上の合金で構成されていてもよく、また、金属と前記した金属酸化物、窒化物、硫化物及び炭化物等で構成された粒子でもよい。金属単体の方が酸化等の自己発熱反応熱エネルギーは大きいが、空気中での取り扱いが煩雑で、空気に触れると自然発火する危険があるものもある。そのような金属粉体は、表面から数nmの厚みは金属の酸化物、窒化物、硫化物、炭化物等で覆われている方が好ましい。これらの粒子の粒径は、10μm以下、好ましくは、0.005〜5μm、さらに好ましくは、0.01〜3μmである。0.01μm以下では、粒子の分散が難しく、10μm以上では、印刷物の解像度が悪くなる。
【0059】
<光熱変換性の非金属単体>
本発明では、上記の金属化合物及び金属のほかに、非金属単体及び非金属化合物の光熱変換性微粒子も用いられる。これらの光熱変換性微粒子には、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、骨炭(ボーンブラック)などの単体粒子のほか各種の有機、無機顔料が挙げられる。
【0060】
<光熱変換性の顔料及び染料>
本発明には、画像形成用の照射光に対して光熱変換性の微粒子分散性の任意の顔料及び染料を用いることができる。顔料は、金属錯体顔料、非金属顔料のいずれであってもよい。また、複合粒子内に分子分散(狭義の染料)状態で存在してもよい。したがって以下の記述において、顔料という場合には、分子分散した染料も含めることもある。また、染料という場合には、顔料と狭義の染料を含めた広義の意味で用いる。固体粒子状態か分子分散状態かは、媒体の状態によって変わりうることであり、光熱変換性はいずれの状態でも発現できるので、本明細書においては、両者を纏めて説明する。
【0061】
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体などの染料が挙げられる。好ましい染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許第434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。
【0062】
また、米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料として好ましい別の例として米国特許第4,756,993号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近赤外吸収色素を挙げることができる。上記の中でも赤外線領域に強い吸収域をもつ染料が好ましく、それらは、ポリメチン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物、トリアリールメタン色素、金属ジチオレンから選ばれる色素である。これらのうち更に好ましいものとしては、ポリメチン色素、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム色素、ジインモニウム色素、フタロシアニン化合物であり、その中でも合成適性の観点からポリメチン色素、シアニン色素、フタロシアニン化合物がもっとも好ましい。
【0063】
本発明において使用される顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものはカーボンブラックである。
【0064】
これら顔料は表面処理をせずに用いてもよく、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)および「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載されている。
【0065】
顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μmの範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μm未満のときは分散物の感光性組成物の塗布液中での安定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると塗布後の画像記録層の均一性の点で好ましくない。顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載がある。
【0066】
また、下記の染料も本発明に用いることができる。すなわち、コバルトグリーン(C.I.77335),エメラルドグリーン(C.I.77410),フタロシアニンブル−(C.I.74100),銅フタロシアニン(C.I.74160),ウルトラマリン(C.I.77007),紺青(C.I.77510),コバルト紫(C.I.77360),パリオジェン赤310(C.I.71155),パーマネントレッドBL(C.I.71137),ペリレン赤(C.I.71140),ローダミンレーキB(C.I.45170:2),ヘリオボルドーBL(C.I.14830),ライトファーストレッドトーナーR(C.I.12455),ファーストスカーレットVD、リゾールファーストスカーレットG(C.I.12315),パーマネントブラウンFG(C.I.12480),インダンスレンブリリアントオレンジRK(C.I.59300),赤口黄鉛(C.I.77601),ハンザイエロー10G(C.I.11710),チタンイエロー(C.I.77738),亜鉛黄(C.I.77955),クロムイエロー(C.I.77600)などが挙げられる。そのほかには、静電記録用トナーに用いられる各種の顔料も好ましく用いることができる。
【0067】
これらの染料は、画像記録層の組成物全固形分に対し0.01〜50質量%、好ましくは0.1〜10質量%、染料の場合特に好ましくは0.5〜10質量%、顔料の場合特に好ましくは1.0〜10質量%、銀微粒子の場合特に好ましくは0.2〜3質量%の割合で添加することができる。顔料、染料などの添加量が0.01質量%未満であると感度が低くなり、また50質量%を越えると印刷時非画像部に汚れが発生しやすい。
【0068】
また、上記の金属化合物、金属粉体、非金属単体あるいは染料(顔料)などの光熱変換剤の画像記録層における含有量は、複合粒子の固形の構成成分の1〜95質量%であり、好ましくは、3〜90質量%、より好ましくは、5〜80質量%である。1質量%以下では発熱量が不足し、95質量%以上では膜強度が低下する。
【0069】
上記の金属化合物、金属粉体、非金属単体、顔料などの各光熱変換剤が粒子状の場合、それらの粒子はそれ自体の表面が疎水性、親水性あるいは中間的な性質のいずれであってもよい。表面疎水性の場合は、大抵の例では疎水性化前駆体と共存できるが、表面親水性の光熱変換剤や疎水性であっても分散性改良などのために必要であれば、粒子の表面に、界面活性剤による表面処理、脱気後水蒸気存在下でプラズマ照射を行う水酸基導入処理や、テトラエトキシシランなどによるシリケート処理を施すなどの公知の方法によって表面の親水性・疎水性の程度を調節してもよい。
【0070】
(疎水性化前駆体)
以上で光熱変換剤の説明を終わり、次に疎水性化前駆体について説明する。本発明では、公知のいろいろの熱により物性が変化する物質系を疎水性化前駆体として用いることができる。以下にその例を示すが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
好ましい疎水性化前駆体は、それ自体が熱や光の作用で親水性から疎水性に変換しうる単一組成の微粒子分散物、及び疎水性物質と親水性物質の複合構成の表面親水性の粒子分散物であって、熱又は光の作用によって疎水性物質が粒子及びその近傍を疎水性化する複合粒子分散物がある。前者に付いては、熱融解などによって疎水性が発現する粒子分散物が挙げられ、後者に付いては、複合粒子の形態が、コアシェル型を始めとする表面・内部の二重構造となっている粒子、マイクロカプセル型粒子及び架橋構造粒子が挙げられる。いずれにおいても、複合粒子を構成する有機材料は、光照射によって粒子が破壊されると疎水性化作用を発揮する。以下,各形態の疎水性化前駆体について述べる。
【0071】
<単一組成の微粒子分散物>
好ましい疎水性前駆体としては、それ自体が疎水性であって熱によって物理的な状態が変化すると、浸出、拡散、溶解などによって複合粒子内及び近傍を疎水性にする単体や化合物の分散物があげられる。疎水性の有機低分子化合物及び有機高分子化合物の中にこの目的に適合する化合物がある。
【0072】
疎水性化前駆体が有機低分子化合物である場合、好ましい有機低分子化合物は、常圧において融点が300℃以下、沸点が100℃以上の固体又は液体の有機化合物又は水に対する溶解度又は吸水率が100g当たり2g以下である有機高分子化合物であり、その両方を用いることも好ましい態様である。有機低分子化合物は、拡散浸透性が比較的高いので、熱によって移動性が与えられると、粒子近傍に拡散して直接あるいは間接的に疎水性化する。また、常温で固体であり、熱によって融解して疎水性領域を形成する化合物も含まれる。移動性が大きすぎると疎水性領域が広がり過ぎ、また熱エネルギーの局部集中度が低下して疎水性化の効果が減少する。したがって、上記の沸点と融点の条件を満たす化合物が好ましい。ここで、低分子化合物と呼んでいるのは沸点又は融点を有する化合物という意味で用いており、そのような化合物を通常分子量は2000以下、多くは1000以下である。また、上記の溶解度又は吸水率の条件は、有機高分子化合物が疎水性であることの指標として経験的に判った条件である。この条件であると、熱の作用によって粒子周囲の有機高分子の状態の変化によって粒子近傍の疎水性化を発現させることができる。
【0073】
疎水性化の目的に適う好適な有機低分子化合物は、上記の化合物の移動性に関連する融点、沸点の観点とは別に、粒子近傍をそれ自体で親水性とするのに十分な疎水性である必要があという観点から、水への溶解性が極めて少ないか、有機性の程度が高いことが必要なことを経験している。その条件を具体化して示したのが、前記課題解決手段の第5項に示したように、有機低分子化合物が、25℃における水100gへの溶解度が2g以下であるか、有機概念図における有機性/無機性の比が0.7以上であるかの少なくともいずれかであることが好ましい。
【0074】
有機概念図は、化合物の有機性及び無機性の程度を示すのに実際的で簡便な実用尺度であり、その詳細については、田中善生著「有機概念図」(三共出版社、1983年初版刊行)の1〜31頁に詳記されている。有機概念図上の上記の範囲の有機化合物が疎水性化を促進する作用を持つ理由は不明であるが、この範囲の化合物は、有機性が比較的大きい化合物であり、粒子近傍を疎水性にする。有機概念図における有機性が100以上でその上限についての制約はとくにないが、通常100〜1200、好ましくは100〜800であり、その有機性/無機性の比が0.7〜無限大(すなわち無機性が0)、好ましくは0.9〜10の範囲に入る有機化合物である。
【0075】
この温度範囲の沸点をもつ有機低分子化合物は、具体的には脂肪族及び芳香族炭化水素、脂肪族及び芳香族カルボン酸、脂肪族及び芳香族アルコール、脂肪族及び芳香族エステル、脂肪族及び芳香族エーテル、有機アミン類、有機珪素化合物、また、効果は大きくはないが印刷用インキに添加できることが知られている各種溶剤や可塑剤類の中に見られる。
【0076】
好ましい脂肪族炭化水素は、炭素数8〜30の、より好ましくは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素であり、好ましい芳香族炭化水素は、炭素数6〜40の、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素である。好ましい脂肪族アルコールは、炭素数2〜30の、より好ましくは炭素数2〜18の脂肪族アルコールであり、好ましい芳香族アルコールは、炭素数6〜30の、より好ましくは炭素数6〜18の芳香族アルコールである。好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数2〜24の脂肪族カルボン酸であり、より好ましくは炭素数2〜20の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数4〜12の脂肪族ポリカルボン酸であり、また、好ましい芳香族カルボン酸は、炭素数6〜30の、より好ましくは炭素数6〜18の芳香族カルボン酸である。好ましい脂肪族エステルは、炭素数2〜30の、より好ましくは炭素数2〜18の脂肪酸エステルであり、好ましい芳香族エステルは、炭素数8〜30の、より好ましくは炭素数8〜18の芳香族カルボン酸エステルである。好ましい脂肪族エーテルは、炭素数8〜36の、より好ましくは炭素数8〜18の芳香族エーテルであり、好ましい芳香族エーテルは、炭素数7〜30の、より好ましくは炭素数7〜18の芳香族エーテルである。そのほか、炭素数7〜30の、より好ましくは炭素数7〜18の脂肪族あるいは芳香族アミドも用いることができる。
【0077】
具体例としては、2,2,4−トリメチルペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオクタンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、ナフタレン、アントラセン、スチレンなどの芳香族炭化水素;ドデシルアルコール、オクチルアルコール、n−オクタデシルアルコール、2−オクタノール、ラウリルアルコールなどの1価アルコール;プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール;ベンジルアルコール、4−ヒドロキシトルエン、フェネチルアルコール、1−ナフトール、2−ナフトール、カテコール、フェノールなどの芳香族アルコール;酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン酸、カプリン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪族1価カルボン酸;しゅう酸、琥珀酸、アジピン酸、マレイン酸、グルタール酸などの多価脂肪族カルボン酸;安息香酸、2−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸などの芳香族カルボン酸;酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、アクリル酸メチル、しゅう酸ジメチル、琥珀酸ジメチル、クロトン酸メチルなどの脂肪族エステル;安息香酸メチル、2−メチル安息香酸メチルなどの芳香族カルボン酸エステル;イミダゾール、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、シクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンテトラミン、アニリン、オクチルアミン、アニリン、フェネチルアミンなどの有機アミン;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノンなどのケトン類、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、メトキシトルエン、ラウリルメチルエーテル、ステアリルメチルエーテルなどのエーテル及びステアリルアミド、ベンゾイルアミド、アセトアミドなどのアミド類が挙げられる。
【0078】
また、印刷用インキの成分であるアマニ油、大豆油、けし油、サフラワー油などの油脂類、燐酸トリブチル、燐酸トリクレシル、フタール酸ジブチル、ラウリン酸ブチル、フタール酸ジオクチル、パラフィンワックスなどの可塑剤も挙げられる。
【0079】
そのほか、沸点が前記の好ましい範囲にあるエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキサノン、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなどの有機溶剤も使用することができる。また、後にマイクロカプセルの項に記す芯側(カプセル壁の内側)に添加してもよい有機溶剤も用いることができる。
【0080】
好ましい有機珪素化合物は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどで代表されるオルガノポリシロキサン化合物であり、とくに重合度が12以下のオルガノポリシロキサン類である。これらの好ましいオルガノポリシロキサンはシロキサン結合単位当たり1〜2個の有機基が結合しており、その有機基は、炭素数が1〜18のアルキル基及びアルコキシ基、炭素数が2〜18のアルケニル基及びアルキニル基、炭素数が6〜18のアリール基、炭素数が7〜18のアラルキル基、炭素数が5〜20の脂環式基である。また、これらの有機置換基には、さらにハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基が置換してもよい。また、上記のアリール基、アラルキル基、脂環式基には、上記の炭素数の範囲でメチル基、エチル基又はプロピル基などの低級アルキル基がさらに置換していてもよい。
【0081】
本発明に使用できる好ましい有機珪素化合物は、重合度が2〜10のジメチルポリシロキサン、重合度が2〜10のジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン共重合物、重合度が2〜8のジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン共重合物、重合度が2〜8のジメチルシロキサン−モノメチルシロキサン共重合物でこれらのポリシロキサン化合物の端末はトリメチルシラン基である。そのほか、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,5−ビス(3−アミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、1,3−ジブチル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,5−ジブチル−1,1,3,3,5,5−ヘキサエチルトリシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサエチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、3−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,1,3,3,5,5,5−ヘプタメチル−トリシロキサン、デカメチルテトラシロキサンなどが挙げられる。
【0082】
特に好ましいシロキサン化合物として、市販のいわゆるシリコーンオイルがあり、ジメチルシリコーンオイル(市販品では、例えばシリコーンKF96(信越化学工業(株)製)、メチルフェニルシリコーンオイル(市販品では、例えばシリコーンKF50(信越化学工業(株)製)、メチルハイドロジェンシリコーンオイル(市販品では、例えばシリコーンKF99(信越化学工業(株)製)が挙げられる。
【0083】
また、長鎖脂肪酸と長鎖一価アルコールのエステル、すなわちワックスも、疎水性で適当に低融点であって、光熱変換性の微粒子の近傍で光照射によって生じた熱によって融解してその領域を疎水性化する好ましい低分子有機化合物である。ワックスは、50〜200°Cで溶融するものが好ましく、その例としては、原料などによってカルナバワックス、カスターワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、セラックろう、パームろう、蜜ろう等と呼ばれているいずれをも用いることができる。ワックス類のほかに、低分子量ポリエチレン;オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸などの固体酸;ベヘン酸銀、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウムなどの長鎖脂肪酸の金属塩などの微粒子分散物も用いることができる。
【0084】
これらの複合粒子に内包することができる有機低分子化合物を用いる場合、その添加量は、光熱変換性の微粒子に対して、10〜300質量%が適当であり、20〜200質量%が好ましく、特に30〜150質量%が最も好ましい。
【0085】
・有機高分子化合物
上記した溶解度又は吸水性の条件を満たして疎水性化前駆体粒子を形成し得る好ましい有機高分子化合物としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルフェノール、ポリビニルハロゲン化フェノール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フェノール、ボラック、又はレゾールフェノール類とアルデヒド又はケトンとの縮合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シリコーン樹脂、活性メチレン、フェノール性水酸基、スルホンアミド基、カルボキシル基等のアルカリ可溶性基を有するアクリル系共重合体およびこれらの二元、又は三元以上の共重合樹脂、カゼイン、セルロース誘導体などが挙げられる。
【0086】
好ましい化合物の一つは、フェノールノボラック樹脂又はレゾール樹脂であり、フェノール、クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノール/クレゾール(m−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノール変性キシレン、tert−ブチルフェノール、オクチルフェノール、レゾルシノール、ピロガロール、カテコール、クロロフェノール(m−Cl、p−Cl)、ブロモフェノール(m−Br、p−Br)、サリチル酸、フロログルシノールなどのホルムアルデヒドとの縮合のノボラック樹脂及びレゾール樹脂、さらに上記フェノール類化合物とアセトンとの縮合樹脂などが挙げられる。
【0087】
その他の好適な高分子化合物として以下(A)〜(H)に示すモノマーをその構成単位とする通常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げることができる。
(A)アクリルアミド類、メタクリルアミド類、例えばN−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、o−、m−およびp−ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレート、
(B)アクリル酸エステル類、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレート、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置換)アクリル酸エステル、
(C)メタクリル酸エステル類、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリル酸エステル、
【0088】
(D)エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなどのビニルエーテル類、
(E)ビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニルなどのビニルエステル類、
(F)スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、
(G)メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン類、
【0089】
(H)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなど。
【0090】
これらの有機高分子化合物の合成によるものは、重量平均子量が500〜20000、数平均分子量が200〜60000であることが好ましく、天然高分子に由来するものは、加水分解されて低分子量化されていてもよい。有機高分子化合物を用いる場合、その添加量は、有機高分子化合物を光熱変換性の微粒子に対して、10〜300質量%が適当であり、20〜200質量%が好ましく、特に30〜100質量%が最も好ましい。
【0091】
<複合粒子からなる疎水性前駆体>
次に、複合組成の疎水性化前駆体について述べる。複合組成の疎水性前駆体のとくに好ましい形態は、光熱変換剤と疎水性化前駆物質を内包する複合粒子である。なお、混乱がない限り複合粒子そのものも、複合粒子に内包される疎水性化前駆物質も疎水性化前駆体と呼ぶ。好ましい複合粒子の形態は、下記の(1)及び(2)項に記す複合粒子であるが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0092】
(1)芯部に光熱変換剤と疎水性化前駆物質を内包し、かつ表面親水性の表層部を有する複合構成の粒子分散物であって、光の照射と光熱変換による熱の作用によって粒子形状がこわれて内包されていた疎水性物質によって疎水性化が起こる前駆体。
(2)表面親水性の熱架橋性の粒子分散物であって、熱の作用で架橋反応が開始されることによって疎水性を発現する前駆体。以下にこれらについてさらに説明する。
【0093】
上記(1)の芯部に疎水性物質を内包し、表面親水性の表層部を有する複合構成の粒子分散物の好ましい粒子の形態としては、(イ)ヒートモードの画像露光がもたらす温度で軟化あるいは溶融する熱可塑性樹脂と光熱変換剤を内包し、表面に親水性ゾル粒子層を凝集付着させたいわゆるヘテロ凝集表面層の複合粒子(以後へテロ凝集表面層粒子とも呼ぶ)、(ロ)同じく樹脂と光熱変換剤を内包した芯部の表面にゾルゲル変換物質を処理してゾルゲル変換によって親水性ゲルの表層を形成させた表面ヘテロ相の複合粒子(以後表面へテロ相粒子とも呼ぶ)、(ハ)分散重合で得た熱可塑性重合体の疎水性微粒子と疎水性化前駆体を芯部としてその周囲に親水性ポリマーの重合層を形成させたコアシェル型の複合粒子(以後コアシェル型粒子とも呼ぶ)、(ニ)熱拡散性あるいは熱可塑性の疎水性有機化合物と光熱変換剤とを混合して、これを親水性媒質中に共乳化分散させた乳化物粒子(以後疎水性有機物内包粒子とも呼ぶ)、及び(ホ)疎水性化前駆体と光熱変換剤を芯物質として、それを表面親水性の壁材料で保護したマイクロカプセル粒子(以後単にマイクロカプセル粒子とも呼ぶ)が挙げられる。
【0094】
上記(2)の熱架橋の開始によって疎水性を発現する複合粒子分散物には、重合性モノマーと架橋性化合物と光熱変換剤と熱重合開始剤の混合分散物が挙げられる。
【0095】
・へテロ凝集表面層粒子
へテロ凝集表面層粒子は、モノマーを界面活性剤ミセルで保護して乳化分散して重合させて得た熱軟化性又は熱溶融性樹脂の乳化重合分散物粒子が内包されており、光熱変換剤は乳化に先立って内包される混合物に添加される。光照射と光熱変換剤による熱の効果で、樹脂粒子が軟化、溶融などを起こし、親水性の表面層をこわして粒子として存在していた近傍を疎水性化する。親水性の表面層は、シリカ微粒子、アルミナ微粒子のような親水性のきわめて大きいゾル状の微粒子分散物を添加して樹脂の乳化重合分散物粒子の周囲に吸着させて形成した保護層である。ゾル状の微粒子分散物については、のちに親水性の画像記録層の媒質への添加成分として説明するゾル状微粒子と同じである。
【0096】
・表面へテロ相粒子
へテロ表面相粒子は、同じく光熱変換剤を存在指せて得た熱軟化性又は熱溶融性樹脂の乳化重合分散物粒子をコア粒子として、その表面を親水性の画像記録層の媒質の項で述べるゾルゲル変換性物質で処理して粒子表面にゲル相を形成させた親水性表面の粒子である。
【0097】
・コアシェル型粒子
コアシェル型の複合粒子は、熱の作用で軟化、あるいは融解する樹脂(以後熱可塑性樹脂とも呼ぶ)の粒子分散物をそのモノマーの乳化重合によって調製する。光熱変換剤は、乳化重合前または後にその系に添加する。この混合分散物をコア粒子(シード)として、その分散液に親水性モノマーを添加して、コア粒子の表面に親水性モノマーを重合させて表面親水性層とするコアシェル型の異相構造粒子である。コア粒子を構成するモノマーは、単一組成の疎水性化前駆体の項で述べた高分子化合物用のモノマー成分A〜Hの群の中で疎水性で熱可塑性樹脂用のものから選ばれる。同様に親水性のシェル相を形成するモノマーは、AからHの群のモノマーに水酸基やカルボキシ基を含む親水性置換基を有する親水性モノマーから選択することができる。
【0098】
・疎水性有機物内包粒子
疎水性有機物内包粒子は、内包される疎水性物質が乳化分散されて水中油滴型(O/W型)の分散形態の親水性表面をもつ複合粒子となっている。ヒートモードの光照射による熱の作用によって乳化された粒子が粒子形状を維持できなくなり、媒質への浸出、拡散、溶解などによって前駆体の近傍を疎水性にする。前記した疎水性の有機低分子化合物及び有機高分子化合物の中にこの目的に適合する化合物がある。
【0099】
複合粒子は、有機低分子化合物のみ、あるいは高分子有機化合物のみで構成されていてもよいが、有機低分子化合物と高分子有機化合物の両方を含んでいてもよく、さらに両者の親和性を高めるなどの目的の第3成分を含んでいてもよい。光熱変換剤と有機疎水性化前駆体を内包した水中油滴型乳化分散物は、公知の製造方法、例えば日本化学会編「化学便覧応用編(II) 1212〜1213ページ及び1357〜1364ページの記載に準拠して製造することができる。
【0100】
複合粒子の表面を親水性にするには、光熱変換剤の表面親水性・疎水性度の調節方法について前記した表面親水性化方法を用いることもできる。例えば、親水性でかつ疎水性化前駆体への吸着性を有する界面活性剤を添加して粒子表面を親水性基の界面吸着層を形成させて粒子分散させる方法などを用いることができる。また、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの保護コロイド性の親水性かつ表面吸着性の高分子皮膜を設ける方法、さらにそれに界面活性剤も介在させて粒子表面をより親水性且つ安定化させる分散方法、粒子の構成物質と反応する親水性基をもつ物質で表面処理する、などの方法をを用いることができる。
【0101】
以上の各表面親水性の複合粒子中の疎水性の構成成分(芯物質)の合計量は、複合粒子の全量に対して、10〜95質量%が適当であり、20〜80質量%が好ましい。また、有機低分子化合物及び高分子有機化合物を共に使用する場合、その比率は任意である。一方、親水性表面層を形成する成分は、界面活性剤、保護コロイド、親水性重合樹脂、親水性ゾル、ゾルゲル変換成分などと異なるが、また親水性層の媒質中にも分布している場合もあるが、複合粒子の表面層を構成している量は、複合粒子の全量に対して、5〜80質量%であり、10〜50質量%であることが好ましい。また、分散物粒子のサイズは、ほぼ体積平均で5μm以下、0.01μm以上が好ましく、更に好ましくは0.05〜2μm、とくに好ましくは0.2〜0.5μmの範囲に調整することが好ましい。
【0102】
・マイクロカプセル粒子
次に、マイクロカプセルの構成材料でカプセルの熱破壊により近傍を疎水性化する複合粒子について述べる。本発明で用いるマイクロカプセルは各種公知の方法で作成することができる。すなわち疎水性化前駆物質を、又は該前駆物質と光熱変換性の固体微粒子を有機溶剤との混合物をカプセルに内包して、油性液滴の回りに高分子物質からなる壁膜を形成させたマイクロカプセル分散物を調製することができる。また、光熱変換剤が色素の場合、有機用材に溶かして分子分散させてもよい。マイクロカプセルの壁膜となる高分子物質の具体例としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチレン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらのうち特に好ましい壁膜としてはポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルである。
【0103】
ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁膜を有するマイクロカプセルは、多価イソシアネート等の壁材をカプセル化するべき芯物質中に混合し、ポリビニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解した水性媒体中に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子形成反応を起こすことによって製造される。
【0104】
ここで多価イソシアネート化合物の具体例を以下に示すと例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等のジイソシアネート類、4,4′,4″−トリフェニルメタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキサメチレンジイソシアネートとメチメチロールプロパンとの付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトレメチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレンジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等のイソシアネートプレポリマー等が挙げられるが上記化合物に限定されるものではない。また必要に応じ二種類以上の併用も可能である。これらのうち特に好ましいものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するものである。
【0105】
光熱変換剤が固体微粒子の場合、その微粒子をカプセルの芯に取り込むには、微粒子を有機溶剤と混合してから乳化分散する。有機溶剤としては下記の各種溶剤を用いることができる。すなわち、高沸点オイルが用いられ、具体的にはリン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、アルキル化ナフタレン、ジアリールエタン、塩素化パラフィン等が挙げられる。具体例としてはりん酸トリクレジル、りん酸トリオクチル、りん酸オクチルジフェニル、りん酸トリシクロヘキシル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジラウレート、フタル酸ジシクロヘキシル、オレイン酸ブチル、ジエチレングリコールベンゾエート、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジオクチル、トリメリット酸トリオクチル、クエン酸アセチルトリエチル、マレイン酸オクチル、マレイン酸ジブチル、イソアミルビフェニル、塩素化パラフィン、ジイソプロピルナフタレン、1,1′−ジトリルエタン、2,4−ジターシャリアミルフェノール、またはN,N−ジブチル−2−ブトキシ−5−ターシャリオクチルアニリンの高沸点オイルが挙げられる。また、低沸点の補助溶剤を加えることもできる。補助溶剤の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド、シクロヘキサノン等が挙げられる。又ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、ハイドロキノン誘導体等の添加剤を前記混合溶剤中に加えてもよい。
【0106】
またマイクロカプセル化の際に分散媒側に用いられる保護コロイドとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコール、ヒドロキシメチルセルロースやカルボキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、カゼインなど、マイクロカプセル芯剤側の乳化分散の際に壁材成分側に添加する高分子材料として前記した各種保護コロイドを用いることができる。
【0107】
カプセルの壁材としては、前記したゼラチン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエステル、ポリカーボネート、メラミン等を用いることができるが熱応答性マイクロカプセルを得るにはポリウレア、ポリウレタン壁が好ましい。またカプセル壁に熱応答性を付与するには、カプセル壁としてガラス転移点が室温以上、200℃以下とすればよく、特に70〜150℃の範囲が好ましい。
【0108】
カプセル壁のガラス転移温度を制御するには、カプセル壁のポリマー種を選ぶか、適当な可塑剤を添加することで可能である。このような助剤としては、フェノール化合物、アルコール化合物、アミド化合物、スルホンアミド化合物等があり、これらは、カプセルの芯物質中に含有させてもよいし、分散物としてマイクロカプセル外に添加してもよい。
【0109】
マイクロカプセル化の一般的な手法、用いる素材などについては、米国特許第3726804号、同第3796696号に記載されており、本発明にも適用することができる。
【0110】
また、マイクロカプセルの芯材としては、上記した以外に(1)の単一組成の疎水性化前駆体分散物の項で前記した低分子有機化合物及び高分子有機化合物も使用することができる。
【0111】
これらの光熱変換剤以外の芯材及び壁材の量は、光熱変換剤に対して、10〜300質量%が適当であり、20〜200質量%が好ましく、特に30〜150質量%が最も好ましい。マイクロカプセルのサイズは、特に画像の解像度向上及び取り扱い性の点から体積平均で20μm以下、0.1μm以上が好ましく、更に好ましくは0.2〜0.7μmの範囲に調整することが好ましい。この際粒径の測定には粒径測定器LA−910(堀場製作所)を用いた。
【0112】
(2)重合性モノマー/架橋性化合物を含み、熱破壊に伴って粒子の近傍に疎水性のポリマー/架橋構造を形成する複合粒子。
前記の(2)項のこの複合粒子は、常温では反応せず、熱の作用で重合反応が始まり、前駆体粒子近傍を疎水性化する重合性モノマー/架橋性化合物系と光熱変換剤を含んだ分散物である。重合性モノマー/架橋性化合物系の例としては、高温度で重合反応とくに架橋反応が進行する重合性モノマー、架橋基を持つ熱架橋性ポリマーやオリゴマー及び熱重合開始剤を含む系が挙げられる。
【0113】
本発明の複合粒子に内包させる重合性モノマー及び架橋性の化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチルビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリデンジイソシアネート、ポリメチレン ポリフェニルイソシアネート、ポリメリック ポリイソシアネート等のイソシアネート;トリメチロールプロパンと1,6−ヘキサンジイソシアネートあるいは2,4−トリレンジイソシアネートといった上記ジイソシアネートとの1対3モル付加体等のポリイソシアネート、
【0114】
2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートのオリゴマーまたはポリマーなどのイソシアネート化合物;N,N′−メチレンビスアクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルアミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−2−ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アミリルアミド、パラスチレンスルホン酸もしくはその塩、
【0115】
メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量400)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
【0116】
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量400)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量600)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量1000)、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(PPGの数平均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパンまたはそのアクリレート体、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ポリエチレンまたはポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0117】
1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グリセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートまたはそのメタクリル体、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー類あるいはこれらと単官能(メタ)アクリレートとの組合せなどが挙げられる。
【0118】
これらの重合性又は架橋性化合物を用いる場合には、熱重合開始剤を添加して熱による効果を促進することが好ましい。熱重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、n−ブチル4、4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、クメンハイドロパーオキサイイド、p−メンタンハイドロパーオキサイイド、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化物が挙げられる。
【0119】
これらの重合性及び架橋性有機化合物の添加量は、複合粒子の全固形分重量に対して、5〜95質量%が適当であり、20〜90質量%が好ましく、実質的に300〜80質量%が最も好ましい。また、熱重合触媒の添加量は、重合性及び架橋性有機化合物の添加量の50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは1〜10%である。
【0120】
これらの重合性及び架橋性有機化合物の添加量は、光熱変換性の微粒子に対して、10〜300質量%が適当であり、20〜200質量%が好ましく、特に30〜100質量%が最も好ましい。また、熱重合触媒の添加量は、重合性及び架橋性有機化合物の添加量の50%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは1〜10%である。
【0121】
(親水性 結着剤)
本発明に用いる疎水性化前駆体及び光熱変換剤を内包する複合粒子を含んだ画像記録層の親水性 結着剤について述べる。
【0122】
親水性 結着剤は、親水性高分子、金属水酸化物と金属酸化物の系からなるゾル・ゲル変換性材料である。すでに述べた親水性ポリマーで修飾された無機微粒子、とくに表面修飾物が架橋構造を有する無機微粒子、親水性基で表面親水性である光熱変換剤よ複合粒子が、その表面の親水性層が 結着剤としての機能をも備えている場合には、 結着剤を新たに用いなくてもよい。 結着剤は親水性層の構成成分の分散媒として作用し、層の物理的強度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上などの種々の目的に適う構成となっている。また、前記した親水性の赤外線吸収色素のように親水性の媒質に分子分散可能な光熱変換物質を媒質の中に溶解あるいは染着させてもよい。
親水性の画像記録層は、ゾルゲル変換系であることがとくに本発明に望ましい。そのなかでもポリシロキサンのゲル組織を形成する性質を有するゾルゲル変換系が好ましい。
【0123】
<ゾルゲル変換系の媒質>
本発明において画像記録層のとくに好ましい媒質は、以下に述べるゾルゲル変換系である。すなわち、塗布液の状態ではゾル状態であるが、塗布後乾燥し、経時する間にゲル状態となり、印刷版に適用できる。本発明に好ましく適用できるゾルゲル変換が可能な系は、多価元素から出ている結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体であって、塗布前のアルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態であり、塗布後、エステル結合化が進行するのに伴って網目状の樹脂状構造が強固となり、ゲル状態になる。また、樹脂組織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持っている。ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタン及びジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明に用いることができるが、以下はもっとも好ましく用いることのできるシロキサン結合によるゾルゲル変換系について説明する。アルミニウム、チタン及びジルコニウムを用いるゾルゲル変換は、下記の説明の珪素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができる。
【0124】
以下に、ゾルゲル変換を利用する系についてさらに説明する。ゾルゲル変換によって形成される無機親水性マトリックスは、好ましくはシロキサン結合およびシラノール基を有する樹脂であり、本発明の平版印刷版用原版の画像記録層は、少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液を、塗布後の経時の間に、シラノール基の加水分解縮合が進んでシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進行することにより形成される。また、このゲル構造のマトリックスの中には、膜強度、柔軟性などの物理的性能向上や、塗布性の向上、親水性の調節などの目的で、上記の親水性ポリマーや架橋剤などを添加することも可能である。ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下記一般式(I)で、また少なくとも1個のシラノール基を有するシラン化合物は、下記一般式(III)で示される。また、画像記録層に含まれる親水性から疎水性に変化する物質系は、必ずしも一般式(III)のシラン化合物単独である必要はなく、一般には、シラン化合物が部分加水重合したオリゴマーからなっていてもよく、あるいは、シラン化合物とそのオリゴマーの混合組成であってもよい。
【0125】
【化8】
Figure 0003807969
【0126】
上記一般式(I)のシロキサン系樹脂は、下記一般式(III)で示されるシラン化合物の少なくとも1種を含有する分散液からゾル−ゲル変換によって形成され、一般式(I)中のR01〜R03の少なくとも一つは水酸基を表し、他は下記一般式(III)中の記号のR0及びY1から選ばれる有機残基を表わす。
【0127】
一般式(III)
(R0nSi(Y1)4-n
一般式(III)中、R0の、水酸基、炭化水素基又はヘテロ環基を表わす。Y1は水素原子、ハロゲン原子、−OR11、−OCOR12、又は、−N(R13)(R14)を表す(R11、R12は、各々炭化水素基を表し、R13、R14は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を表す)。nは0、1、2又は3を表わす。
【0128】
一般式(III)中のR0の炭化水素基又はヘテロ環基としては、炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等;これらの基に置換される基としては、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR′基(R′は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロモエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシプロピル基、ベンジル基等を示す)、
【0129】
−OCOR″基(R″は、前記R′と同一の内容を表わす)、−COOR″基、−COR″基、−N(R''')( R''' )(R''' は、水素原子又は前記R′と同一の内容を表わし、各々同じでも異なってもよい)、−NHCONHR″基、−NHCOOR″基、−Si(R″)3 基、−CONHR''' 基、−NHCOR″基、等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基中に複数置換されてもよい)、炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられる)、炭素数7〜14の置換されてもよいアラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、
【0130】
炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭素数6〜12の置換されてもよいアリール基(例えばフェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又、複数置換されてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子、イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環してもよいヘテロ環基(例えば該ヘテロ環としては、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記アルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)を表わす。
【0131】
一般式(III) 中のY1の−OR11基、−OCOR12基又は−N(R13)(R14)基としては、たとえば以下の基を表す。−OR11基において、R11は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブトキシ基、ヘプチル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
【0132】
−OCOR12基において、R12は、R11と同一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されてもよい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わす。又−N(R13)(R14)基において、R13、R14は、互いに同じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−OR11基のR11と同様の内容のものが挙げられる)を表わす。より好ましくは、R11とR12の炭素数の総和が16個以内である。一般式(III)で示されるシラン化合物の具体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0133】
テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−へキシルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、
【0134】
フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、
【0135】
トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0136】
本発明における画像記録層形成に用いる一般式(III)で示されるシラン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、Zr、Al等のゾル−ゲル変換の際に樹脂に結合して成膜可能な金属化合物を併用することができる。用いられる金属化合物として、例えば、Ti(OR″)4(R″はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等)、TiCl4、Zn(OR″)2、Zn(CH3COCHCOCH32、Sn(OR″)4、Sn(CH3COCHCOCH34、Sn(OCOR″)4、SnCl4、Zr(OR″)4、Zr(CH3COCHCOCH34、Al(OR″)3等が挙げられる。
【0137】
更に、一般式(III)で示されるシラン化合物、更には併用する前記の金属化合物の加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸性触媒又は塩基性触媒を併用することが好ましい。触媒は、酸あるいは塩基性化合物をそのままか、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒という)を用いる。そのときの濃度については特に限定しないが、濃度が濃い場合は加水分解、重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の濃い塩基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、塩基性触媒の濃度は1N(水溶液での濃度換算)以下が望ましい。
【0138】
酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないような元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0139】
以上述べたように、ゾル−ゲル法によって作成される画像記録層は、本発明の平版印刷版用原版にとくに好ましい。上記のゾル−ゲル法のさらに詳細は、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1992年)等の成書等に詳細に記述されている。
【0140】
<親水性高分子結着材>
本発明の平版印刷版用原板の画像記録層に含有される高分子化合物としては、画像記録層としての適度な強度と表面の親水性を付与する目的の、水酸基を有する有機高分子化合物を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール(PVA),カルボキシ変性PVA等の変性PVA,澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズのようなセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸及びその塩、ポリアクリアミド、及びアクリル酸、アクリアミドなど水溶性のアクリル系モノマーを主な構成成分として含む水溶性アクリル系共重合体等の水溶性樹脂が挙げられる。
【0141】
又、上記水酸基を有する有機高分子化合物を架橋し、硬化させる耐水化剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等のアミノプラストの初期縮合物、メチロール化ポリアミド樹脂、ポリアミド・ポリアミン・エピクロルヒドリン付加物、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、変性ポリアミドポリイミド樹脂等が挙げられる。その他、更には、塩化アンモニウム、シランカップリング剤の架橋触媒等が併用できる。
【0142】
〔塗布〕
本発明における親水層は、通常上記各成分を溶媒に溶かして、適当な支持体上に塗布することにより製造することができる。ここで使用する溶媒としては特に限定されるものではなく、例えば、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン、トルエン、水等を挙げることができる。
これらの溶媒は単独あるいは混合して使用される。溶媒中の上記成分(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜50質量%である。
【0143】
塗布性を良化するための界面活性剤、例えば特開昭62−170950号公報に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、画像形成層全固形物分に対し、0.01〜1質量%であり、更に好ましくは0.05〜0.5質量%である。
【0144】
塗布、乾燥後に得られる支持体上の塗布量(固形分)は、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができるが、例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0145】
塗布後の乾燥工程及び後加熱(状態調節)工程については、前記した。
本発明の親水性層の膜厚は、好ましくは0.001g/m2〜10g/m2、より好ましくは0.01g/m2〜5g/ m2である。塗布、乾燥後に得られる画像形成層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的な平版印刷版用原板についていえば、0.5〜5.0g/m2が好ましく、0.5〜2.0g/m2がより好ましい。
この範囲内において、本発明の親水性の効果が良好に発揮し得るとともに、支持体との密着性も良好であり、十分な耐刷性が得られる。
【0146】
(表面保護層)
本発明の平版印刷用原板の表面は、親水性であるので、使用前の取り扱い中に環境の雰囲気の影響によって疎水性化したり、温湿度の影響を受けたり、あるいは機械的な傷など又は汚れなどの影響を受けやすい。通常、製版工程で版面に整面液(ガム液ともいう)を塗布して保護作用を行うが、原板製作の際に、保護液を塗布しておくと製造直後からこのような保護作用が得られること、及び製版工程においてあらたに整面液を塗布する手間が省けて作業性が向上することなどの利点があり、とくに親水性表面を有する本発明においては、この効果が大きい。
【0147】
(下塗り層)
本発明では、更に上記支持体と親水性層との間に、下塗り層を設けることが好ましい。本発明において好ましい下塗層は、親水性結合剤及びシリカを含有する下塗層である。
【0148】
下塗層中の親水性結合剤として、通常蛋白質、好ましくはゼラチンを使用できる。しかしながら、ゼラチンは一部又は全面的に合成、半合成又は天然重合体で置換できる。ゼラチンに対する合成代替物には、例えばポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピラゾール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、及びそれらの誘導体、特にそれらの共重合体がある。ゼラチンに対する天然代替物には、例えば他の蛋白質例えばゼイン、アルブミン及びカゼイン、セルロース、サッカライド、澱粉及びアルギネートがある。一般にゼラチンに対する半合成代替物には、変性天然生成物、例えばゼラチンをアルキル化剤又はアシル化剤で変換することにより、又はゼラチンに重合性単量体をグラフトすることによって得られるゼラチン誘導体、及びセルロース誘導体例えばヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロース、フタロイルセルロース及びセルロースサルフェートがある。
【0149】
前記下塗層中の好ましいシリカは、アニオン系の二酸化ケイ素である。コロイドシリカは好ましくは少なくとも100m2/gの表面積、更に好ましくは少なくとも300m2/gの表面積を有する。
【0150】
コロイドシリカの表面積は、J. Amer. Chem. Soc. 60巻(1938年)の309〜312頁にS. Brunauer , P. H. Emmett 及びE. Teller によって発表されたBET値法により測定する。
【0151】
シリカ分散液は、他の物質例えばアルミニウム塩、安定剤、殺菌剤等も含有できる。
【0152】
かかる種類のシリカは、KIESELSOL 100, KIESELSOL 300 及びKIESELSOL500 (KIESELSOL はドイツ国レファークゼンの Farbenfabriken Bayer AGの登録商標であり、数字はm2/gでの表面積を表す)の名で市販されている。
【0153】
下塗層中でのシリカに対する親水性結合剤の重量比は、1未満であるのが好ましい。下限はそれ程重要ではないが、少なくとも0.2であるのが好ましい。シリカに対する親水性結合剤の重量比は0.25〜0.5であるのが更に好ましい。
【0154】
前記下塗層の被覆量は、200mg/m2より大であることが好ましく、また750mg/m2未満であることが好ましい。更に好ましくは250mg/m2〜500mg/m2である。
【0155】
前述した下塗層組成物の被覆は、所望によって界面活性剤の存在下に、水性コロイド分散液から行うのが好ましい。
【0156】
[その他の層]
支持体の裏面には、必要に応じてバックコートが設けられる。かかるバックコートとしては特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物及び特開平6−35174号公報に記載の有機又は無機金属化合物を加水分解及び重縮合させて得られる金属酸化物からなる被覆層が好ましく用いられる。これらの被覆層のうち、Si(OCH3)4、Si(OC25)4、Si(OC37)4、Si(OC49)4等のケイ素のアルコキシ化合物が安価で入手し易く、それから得られる金属酸化物の被覆層が親水性に優れており特に好ましい。
【0157】
〔支持体〕
本発明に使用される支持体としては、特に制限はないが、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネート若しくは蒸着された、紙若しくはプラスチックフィルム等が挙げられる。
本発明の支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が好ましく、その中でも、前記支持体表面を兼ねることができるポリエステルフィルムが特に好ましい。
【0158】
本発明に使用される好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート若しくは蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.8mmである。
【0159】
本発明では、前記のように支持体表面が粗面化されていることが好ましい。
固体表面に粗面を設けるためには、様々な手段を採用することができる。例えば、固体表面の表面をサンドブラスト加工やブラシ加工などで機械的にこすり、表面を削って凹部を形成し、粗面を設けることができる。また、機械的エンボス加工でも凹凸を設けることができる。さらに、グラビア印刷などで表面に凸部を形成して粗面を設けてもよい。固体微粒子(マット剤)を含有する層を、塗布あるいは印刷のような手段で固体表面の表面に形成して粗面を設けてもよい。固体微粒子は、高分子フィルムを作成する段階で高分子フィルム中に含有させ(内添し)、高分子フィルム表面に凹凸を形成することもできる。さらに、溶剤処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理、X線照射処理等を用いて粗面を形成することもできる。以上の手段を組み合わせて実施してもよい。サンドブラスト加工もしくは樹脂の印刷により粗面を形成する手段もしくは固体微粒子を添加して凹凸を形成する手段が、特に好ましく実施できる。
【0160】
(固体微粒子法)
上記固体微粒子としては、金属微粒子、金属酸化物微粒子、有機または無機の高分子または低分子微粒子などの様々な種類の物質を利用できる。微粒子の具体例としては、銅粉、スズ粉、鉄粉、酸化亜鉛粉、酸化珪素粉、酸化チタン粉、酸化アルミニウム粉、二硫化モリブデン粉、炭酸カルシウム粉、クレー、マイカ、コーンスターチ、窒化ホウ素、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン樹脂粒子、フッ素樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、アクリロニトリル共重合体樹脂粒子、ステアリン酸亜鉛およびベヘン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子の平均粒子径は、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましい。微粒子をシート表面に付着させる、あるいは微粒子含有層をシート表面に設ける場合、微粒子の平均粒子径は粗面の凹凸の大きさとほぼ対応する。微粒子をシート中に内添する場合、粗面の凹凸の大きさは微粒子の平均粒子径とシートの厚さにより決定される。従って、後者の場合は最適な凹凸の大きさを得るため、シートと微粒子の組み合わせにより実験的に最適な粒子径を決定する必要がある。
【0161】
支持体表面に固体微粒子を固定して凹凸を形成する方法の具体例としては、フィルム形成の前に固体微粒子を添加しフィルムを形成する方法、固体微粒子をバインダーに分散させた液を塗布乾燥させる方法、フィルム形成後に微小粒子を機械的圧力でフィルム中に押し込む方法、フィルム形成後に固体微粒子を電着する方法等が挙げられる。
フィルム形成の前に固体微粒子を添加しフィルムを形成する方法の具体的な方法としては次のような例を挙げることができる。固体微粒子として顔料を配合したPETマスターバッチを溶融押出し後、冷却ドラム上に成膜し、次いで縦方向・横方向の順に延伸し、最後に熱処理することにより、凹凸のあるPETフィルムが得られる。顔料には酸化チタン、アルミナ、シリカのうち、1種または2種以上を配合したものを用いることができる。フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)は配合する顔料の粒径と配合量で調整できる。例えば、顔料の粒径が1〜10μm程度のものを0.5〜5質量%程度配合することにより調整でき、顔料の粒径が大きい程、配合量が多い程中心線平均表面粗さは増大する。目的の凹凸表面を得るためには、顔料の粒径を決定し、配合量を調整する必要がある。
【0162】
(サンドブラスト法)
サンドブラスト法とは細かい粒度の研削材を高分子フィルム表面に高速投射することによりフィルム表面に凹凸をつける方法である。サンドブラスト処理は公知の方法でよく、例えばカーボランダム(炭化珪素粉)、金属粒子等を圧搾空気と共にフィルム表面に強力に吹き付け、その後水洗乾燥を経て目的を達成することができる。サンドブラスト処理によるフィルムの中心線平均表面粗さの制御は、吹き付ける粒子の粒径、処理量(面積当たりの処理頻度)により行うことができ、粒子の粒径が大きくなる程、処理量が多くなる程、フィルム表面の中心線平均表面粗さは大きくなる。
さらに詳しくは、サンドブラスト処理は、研削材を圧縮空気でフィルム表面に吹き付けることにより表面処理を行うものであり、それによって形成される凹凸は、サンドブラスト処理の条件により調整される。
【0163】
処理条件としてはサンドブラスト吹き出しノズルから研削材を吹き出してフィルムに吹き付けるのであるが、研削材の吹き出し量(ブラスト量)、サンドブラスト吹き出しノズルとフィルムとの角度及び間隔(ブラスト角度、ブラスト距離)を調整する必要がある。そして、エアチャンバーから送り出す圧縮空気によってホッパー内の研削材をサンドブラスト吹き出しノズルから吹き出させてフィルム表面に吹き付けることにより、適正化した処理条件でサンドブラスト処理をするのである。これらの方法は具体的にはたとえば、特開平8-34866号公報、特開平11-90827号公報、特開平11-254590号公報どに公知の方法として記載されている。
ここで、かかるサンドブラスト処理における処理条件は、処理後に研削材や被研削物がフィルム表面に残らず、また、フィルムの強度が低下しないような条件にする必要があるが、かかる処理条件は経験的に適宜設定することができる。
【0164】
具体的には、研削材としてはけい砂その他の研削材が用いられるが、特には粒径が0.05〜10mm、更には0.1〜1mmのけい砂を用いることが好ましい。また、ブラスト距離は100〜300mmとするのが好ましく、ブラスト角度は45〜90度、更には45〜60度とするのが好ましい。また、ブラスト量は1〜10kg/min とすることが好ましい。サンドブラスト処理により、ポリイミドフィルム表面に該研削材や被研削物が残らないようにし、更に研削深さを制御するためである。なお、研削深さは0.01〜0.1μmにとどめることが好ましく、それによりフィルムの強度が低下しないようにすることができる。
【0165】
[製版方法]
次に、この平版印刷版用原板の製版方法について説明する。この平版印刷版用原板は、例えば、熱記録ヘッド等により直接画像様に感熱記録を施したり、波長760〜1200nmの赤外線を放射する固体レーザー又は半導体レーザー、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ光や赤外線ランプ露光などの光熱変換型の露光も用いることができる。
【0166】
画像の書き込みは、面露光方式、走査方式のいずれでもよい。前者の場合は、赤外線照射方式や、キセノン放電灯の高照度の短時間光を原板上に照射して光・熱変換によって熱を発生させる方式である。赤外線灯などの面露光光源を使用する場合には、その照度によっても好ましい露光量は変化するが、通常は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2 の範囲であることが好ましく、0.1〜1J/cm2 の範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することもできる。その露光時間は、0.01〜1msec、好ましくは0.01〜0.1msecの照射で上記の露光強度が得られるように露光照度を選択するのが好ましい。照射時間が長い場合には、熱エネルギーの生成速度と生成した熱エネルギーの拡散速度の競争関係から露光強度を増加させる必要が生じる。
【0167】
後者の場合には、赤外線成分を多く含むレーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変調して原板上を走査する方式が行われる。レーザー光源の例として、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザーを挙げることができる。レーザー出力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2 の範囲であることが好ましく、0.3〜1J/cm2 の範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することもできる。
【0168】
平版印刷版を製版する際、画像露光したのち、更に必要であれば非画像部を保護するために版面保護剤(いわゆる、ガム液)を含んだ整面液を塗布する「ガム引き」といわれる工程が行なわれることが多いが、本発明の方法で製造した平版印刷用原板は、機上で簡易に製版して印刷せきるので、整面液の処理は必要がないが、湿し水処理に代えて整面液処理してもよい。整面液処理は、平版印刷版の親水性表面が空気中の微量混入成分の影響を受けて親水性が低下するのを防ぐため、非画像部の親水性を高めるため、製版後印刷するまでの期間又は印刷を中断してから再び開始するまでの間に平版印刷版が劣化するのを防止するため、印刷機に取りつける場合などのように平版印刷版を取り扱う時に指の油、インキなどが付着して非画像がインキ受容性となって、汚れるのを防止するため、更に、平版印刷版を取り扱う時に非画像部及び画像部に傷が発生することを防止するため、などの種々の目的をもって行われる。
【0169】
本発明に使用される皮膜形成性を有する水溶性樹脂の好ましい具体例としては、例えばアラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル酸共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、焙焼デキストリン、酸素分解デキストリン、酵素分解エーテル化デキストリン等が挙げられる。
【0170】
整面液中の保護剤中の上記水溶性樹脂の含有量は、3〜25質量%が適当であり、好ましい範囲は10〜25質量%である。なお、本発明においては上記水溶性樹脂を2種以上混合使用しても良い。
【0171】
平版印刷版用版面保護剤には、そのほかに種々の界面活性剤を添加してもよい。使用できる界面活性剤としてはアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、脂酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レプリン酸、有機スルホン酸などがあり、鉱酸としては硝酸、硫酸、燐酸等が有用である。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上併用してもよい。
【0172】
上記成分の他必要により湿潤剤としてグリセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコール等の低級多価アルコールも使用することができる。これら湿潤剤の使用量は保護剤中に0.1〜5.0質量%が適当であり、好ましい範囲は0.5〜3.0質量%である。以上の他に本発明の平版印刷版用版面保護剤には、防腐剤などを添加することができる。例えば安息香酸及びその誘導体、フェノール、ホルマリン、デヒドロ酢酸ナトリウム等を0.005〜2.0質量%の範囲で添加できる。版面保護剤には消泡剤を添加することもできる。好ましい消泡剤には有機シリコーン化合物が含まれ、その添加量は0.0001〜0.1質量%の範囲が好ましい。
【0173】
【実施例】
以下実施例に基いて本発明の原板及びその印刷方法を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。特に断りのない限り、「部」および「%」は、いずれも、質量基準であるものとする。乾燥固形分比は、試料溶液約1gを秤量するとともに、120℃で、1時間乾燥後の試料を秤量し、その質量比により求めた。数平均分子量は、GPCにより測定し、ポリスチレン換算の分子量で記した。酸価は、所定量の試料溶液を秤量し、濃度既知の水酸化カリウムのメタノール溶液で滴定して求めた。粒径は、大塚電子(株)レー
ザードップラー式粒度分布計ELS-800で測定した。
【0174】
<PET支持体の作製>
188μm厚のPETベース(東洋紡製セステル)の片表面をサンドプラスト法
によりマット加工施し,表面粗さ0.32μm(Ra表示)を得た。
【0175】
<下塗り層の作製>
下記組成の塗布液を調製し、上記のPETベース上に、1.Og/m2厚の下塗り層を塗布して支持体を作製し、以下の実施例の感光層の塗設に用いた。
メタノールシリカ(日産化学(株)製30wt%メタノール分散液) 0.75g
下記二酸化チタン分散物(固形分27%) l.20g
下記ゾルゲル調整液 O.66g
PVAl17(クラレ(株)製ケン化度98.5%PVA)の4%水溶液 O.38g
S-113(旭硝子(株)製フツ素系界面活性剤)の3%水溶液 O.25g
メタノール 2.93g
水 8.65g
【0176】
・二酸化チタン分散物
下記処方の分散液を100ミリリットルガラスビンに入れて3mmφのガラスビーズ充填後ペイントシェーカーにて20分間攪拌して分散した。
二酸化チタン粉体(Aldrich製ルチル型) 6.00g
PVAl17(クラレ株製ケン化度98・5%PVA)の4%水溶液 15.00g
水 3.00g
【0177】
・ゾルゲル調整液
(ゾルゲル調製液:室温、2時間熟成)
テトラメトキシシラン(信越シリコーン社製LS540) 8.47g
メタノール 1.82g
水 14.5g
0.1モル/リットルりん酸 0.28g
【0178】
<画像記録層の塗設>
・疎水性化前駆体(A)の作製
油相成分として、ポリメチルメタクルート30g、バイオニンA41C(竹本油脂製)0・5gを酢酸エチル75.Og、メチルエチルケトン30.0の混合溶媒に溶解した。水相成分として、PVA205(ケン化度88%クラレ製)の4%水溶液を100g作製した。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、水を80g添加し、室温で30分、さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたポリマー微粒子分散液の固形分濃度は16%であり、平均粒径は0.23μmであった。
【0179】
・末端にシランカップリング基を有する親水性ポリマー(P−1)の合成
三ロフラスコにアクリルアミド25g、3−メルカブトプロピルトリメトキシシ ラン3・5g、ジメチルホルムアミド51.3gを入れて窒素気流下、65℃まで加熱 し、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.25g添加し、 反応を開始した。6時間攪拌した後、室温まで戻して酢酸エチル1.5L中に投 入したところ固体が析出した。その後、ろ過を行い、十分酢酸エチルで洗浄し 、乾燥を行った(収量21g)。 GPC(ポリスチレン標準)により5000の重量平 均分子量を有するポリマーであることが分かった。
【0180】
・ゾルゲル調製液
精製水5.12g、エチルアルコール8.14g中にテトラメトキシシラン(信越シ リコーン製LS−540)4.60g, コロィダルシリカ微粒子(日産化学(株)製、 スノ-テックスC 20%H20)2.04g、上記の末端にシランカップリング基を有 する親水性ポリマーの4wt%水溶液1.70g、 1規定の硝酸水溶液3.02gを入れ 60℃、2時間攪拌して混合した後、室温まで徐冷してゾルゲル調製液とした。
・塗設
下記組成からなる水系塗布液を調製し、前記発熱層上にバーコーターにて、乾燥膜質量が3.O g/m2になるように塗布を行い、次いでオーブンにて下 記の乾燥条件で乾燥した。その後、更に表1に記載の条件下で、後加熱を行な った。
【0181】
Figure 0003807969
【0182】
【化9】
Figure 0003807969
【0183】
<画像形成>
水冷式40W赤外線半導体レザーを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244V FSにて、出力12W、外面ドラム回転数94rpm、版面エネルギー300mJ/cm2、解像度2400dpiの条件で露光し、露光部表面に熱融着した画像領域が形成された。その後現像処理することなく製版した。
【0184】
<印刷>
印刷機にRYOBI3200MCDを用い、混し水にEU−3(富士写真フィルム(株)製)の1容量%水溶液を用い、インキは、大日本インキ製GEOS(N)墨を用いた。画像形成、皮膜の接触角及び印刷評価を行なった結果を表1に示す。なお、表1における耐刷性は、印刷汚れを生じることなく印刷可能な枚数であり 本実施例においては、5万枚の印刷を行ったので、 耐刷性は正確には5万枚以上とすベきであるが、「以上」は省略して示してある。又、払い性、地汚れ性の評価方法及び接触角、硬度の物性特性評価は下記で行なった。
【0185】
払い性:湿し水を絞り、版全面にインキを行き渡らせた後、印刷機を停止し、5分後、インキ/湿し水を加えた時の良好な印刷物が得られるまでの損紙の数を下記の5段階評価する。
(5:10枚以内、4: 10〜20枚、3:20〜30枚、2:30〜40枚、1:40枚以上)
地汚れ性:湿し水の量を、インキ/湿し水の通常のバランス量より絞り(水メモリ3以下)非画像部のインキの付着の程度を下記の5段階で官能評価する。
(○:良好、△:微かに地汚れ、×:激しく地汚れ)
接触角:協和界面科学(株)製contact analyzer CA-Dを用い, 空中水滴法で 水滴に対する接触角を、滴下後1分後に測定する。
ダイナミック硬度:島津製作所製ダイナミック超微小硬度計にて測定。
(試験荷重2.OmN、負荷速度0・236994mN/sec、圧子形状115)
【0186】
タイナミック硬度とは、圧子を押し込んで行く過程の荷重と、押し込み深きから得られる硬さで、試料の塑性変形だけでなく弾性変形をも含んだ状態での材料強度特性。試験荷重P(mN)、圧子の試料への侵入量(押し込み探さ)D(μm)とした時、タイナミック硬度DHは以下の式で定義される。
DH=αP/D2
(ここにαは圧子形状による定数で3・8584(圧子115の場合)である)。
クラック発生頻度:反射顕微鏡による表面観察によって3段階でクラック発生の程度を評価する。
○:発生なし
△:クラックを認めるが、10μm以下の長さで、発生頻度も1個/100mm2以下
×:顕著な発生
【0187】
<結果>
乾燥及び状態調節条件と試験結果とをまとめて表1に示す。
【0188】
【表1】
Figure 0003807969
【0189】
比較例1、2の、低温乾燥、低温後加熱(状態調節)の場合や比較例3、5の後加熱を行なわない場合は、高い硬度が得られないので、耐刷力が2万程度しか得られていないことを示している。又、比較例6,7の高温乾燥した場合は、高い硬度は得られるが、クラックが発生してそれにに起因すると思われる親水性の低下による汚れと、耐磨耗性の低下と考えられる耐刷性の低下が見られた。更に、比較例4の結果は、後加熱の条件が低湿度であっても高い硬度が得られず、そのため耐刷力が2万程度しか得られていないことが示された。一方、50℃以上100℃以下という明細書に規定したマイルドな乾燥の温度と湿度の範囲で状態調節することによって特異的にクラックを防止すると共に、高い親水性、硬度を実現することが出来た。結果として4万枚(実施例1)及び5万枚以上(実施例2〜8)の耐刷力と優れた汚れ抑止性と払い性を有する平版印刷用原板を構築することが可能となった。
【0190】
【発明の効果】
支持体上に、疎水性化前駆体微粒子、光熱変換剤及びシランカップリング基を有する親水性ポリマーを含有する親水性層を塗設して50℃以上100℃以下で乾燥した後、さらに後加熱(状態調節)を施す本発明の製造方法による平版印刷用原板は、露光後、現像処理を行うことなく印刷することができて、耐刷性が改良されており、しかも汚れ難さと払い性も良好である。

Claims (2)

  1. 支持体上に、疎水性化前駆体微粒子、光熱変換剤及びシランカップリングを末端に有する下記一般式で示される親水性ポリマーを含有する、熱により疎水化可能な親水性層を有する平版印刷用原板の製造方法であって、親水性層を塗設したのち50℃以上100℃以下で乾燥した後、さらに後加熱処理を加えることを特徴とする平版印刷用原板の製造方法。
    Figure 0003807969
    (式中、R 1 、R 2 、R 3 及びR 4 はそれぞれ水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、mは0、1又は2を表し、nは1〜8の整数を表し、pは10〜800の整数を表す。Yは−NHCOCH 3 、−CONH 2 、−CON(CH 3 2 、−COCH 3 、−OCH 3 、−OH、−CO 2 M又は−CONHC(CH 3 2 SO 3 Mを表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属及びオニウムからなる群から選択されるいずれかを表す。Lは、単結合又は有機連結基を表す。)
  2. 後加熱処理が、温度が40℃〜90℃で、湿度が25%RH以上で原板表面の臨界湿度以下の雰囲気の下で原板を状態調節する加熱処理であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷用原板の製造方法。
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