JP2002120467A - 平版印刷版用原版 - Google Patents

平版印刷版用原版

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JP2002120467A
JP2002120467A JP2000315392A JP2000315392A JP2002120467A JP 2002120467 A JP2002120467 A JP 2002120467A JP 2000315392 A JP2000315392 A JP 2000315392A JP 2000315392 A JP2000315392 A JP 2000315392A JP 2002120467 A JP2002120467 A JP 2002120467A
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聡 星
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 現像処理を必要としないで、簡易に製版でき
て、直接に印刷機に装着して製版することが可能で、し
かも耐刷性にすぐれ、印刷面上の印刷汚れも少なく、と
くに、レーザー光による走査型の画像露光方式によって
容易に製版できて、画像部と非画像部との識別性に優れ
たヒートモード型の平版印刷版用原版を提供する。 【解決手段】 支持体上に、疎水性化前駆体と光熱変換
剤と金属微粒子とを含有する感光層を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、現像不要で、耐刷
性に優れた平版印刷版とすることができる平版印刷版用
原版に関する。より詳しくは、ヒートモードの画像記録
によって製版できて、かつディジタル信号に基づいた走
査露光による画像記録も可能であり、且つ現像すること
なく印刷機に装着して製版・印刷することも可能な平版
印刷版用原版に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とからなる。このような平版印刷版用原版と
しては、従来から、親水性支持体上に親油性の感光性樹
脂層を設けたPS版が広く用いられている。一方、近年
のこの分野の動向としては、画像情報をコンピュータを
用いて電子的に処理、蓄積、出力するディジタル化技術
に対応した新しい画像出力方式が種々実用されるように
なってきている。これに伴い、レーザ光のような高収斂
性の輻射線にディジタル化された画像情報を担持してこ
の光で原版を走査露光し、リスフィルムを介することな
く、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレー
ト技術が注目されている。したがって、この目的に適応
した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となって
いる。
【0003】デジタル化技術に組み込みやすい走査露光
による印刷版の製造方法として、最近、半導体レーザ、
YAGレーザ等の固体レーザで高出力のものが安価に入
手できるようになってきたことから、特にこれらのレー
ザを画像記録手段として用いる製版方法が有望視される
ようになっている。従来方式の製版方法では、感光性原
版に低〜中照度の像様露光を与えて光化学反応による原
版面の像様の物性変化によって画像記録を行っている
が、高出力レーザを用いた高パワー密度の露光を用いる
方法では、露光領域に瞬間的な露光時間の間に大量の光
エネルギーを集中照射して、光エネルギーを効率的に熱
エネルギーに変換し、その熱により化学変化、相変化、
形態や構造の変化などの熱変化を起こさせ、その変化を
画像記録に利用する。つまり、画像情報はレーザー光な
どの光エネルギーによって入力されるが、画像記録は熱
エネルギーによる反応によって記録される。通常、この
ような高パワー密度露光による発熱を利用した記録方式
はヒートモード記録と呼び、光エネルギーを熱エネルギ
ーに変えることを光熱変換と呼んでいる。
【0004】ヒートモード記録手段を用いる製版方法の
大きな長所は、室内照明のような通常の照度レベルの光
では感光せず、また高照度露光によって記録された画像
は定着が必須ではないことにある。つまり、画像記録に
ヒートモード感材を利用すると、露光前には室内光に対
して安全であり、露光後にも画像の定着は必須ではな
い。従って、例えばヒートモード露光により不溶化若し
くは可溶化する画像記録層を用い、機上現像方式にも望
ましく、コンピュータ・トゥ・プレート方式にも展開し
易い平版印刷版用原版を得ることも可能となると期待さ
れる。ヒートモード記録に基づく平版印刷版の好ましい
製造法の一つとして、親水性の基板上に疎水性の画像記
録層を設け、画像状にヒートモード露光し、疎水性層の
溶解性・分散性を変化させ、必要に応じて湿式現像によ
り非画像部を除去する方法が提案されている。
【0005】また、高出力のレーザー光の照射によって
熱の作用によって照射部の画像層を熱飛散させて除去す
る(アブレーションと呼ばれる)方法も開示されてい
る。さらに、表面の親水性・疎水性の度合の熱による変
化、すなわち極性変化を利用する簡易製版方法として、
疎水性ワックスやポリマーラテックスなどの熱可塑性ポ
リマーを親水層に添加して、熱により表面へ相分離させ
て疎水化する方法が特公昭44−22957号、特開昭
58−199153号、US3,168,864号など
で提案されている。しかし、これらの開示技術は識別性
が不足していること、とくに親水性が不足して印刷汚れ
が懸念されることなどにより改善が望まれている。画像
部と非画像部の十分な識別性は印刷品質や耐刷性の向上
に直結する基本的な重要特性であり、したがって識別性
と製版作業の簡易性を併せ有する製版技術、とりわけ、
識別性が高く、感度が十分で、現像処理が不要で、かつ
ヒートモードで製版できる技術の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ヒー
トモードの製版方式の前記した欠陥を解決して性能向上
を図ることである。すなわち、本発明の目的は、現像処
理を必要としないで、簡易に製版できて、直接に印刷機
に装着して製版することも可能な、しかも耐刷性にすぐ
れ、印刷面上の印刷汚れも少ないヒートモード型の平版
印刷版用原版を提供することにある。とくに、本発明の
目的は、レーザー光による走査型の画像露光方式によっ
て容易に製版できて、画像部と非画像部との識別性に優
れたヒートモード型の平版印刷版用原版を提供すること
にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の課題
に対して鋭意検討を行った結果、レーザー光を光熱変換
剤で変換した熱によって金属微粒子と疎水性化前駆体と
を熱融着させ、それにより得られたインキ受容性領域
(疎水性領域)が機械的強度(耐刷性)に優れることを
見出して、本発明を完成するに至った。すなわち本発明
は、支持体上に、疎水性化前駆体と光熱変換剤と金属微
粒子とを含有する感光層を有する平版印刷版用原版であ
る。
【0008】本発明の平版印刷版用原版は、その感光層
に含まれる金属微粒子の熱融着作用によって、像様疎水
性領域が画像記録層表面に形成される。すなわち、光熱
変換して生じた熱によって温度が金属微粒子の融点以上
に上昇し、その結果、金属微粒子が疎水性化前駆体と共
に熱融着して像様疎水性領域が感光層表面に形成され
る。このように、感光層の光照射を受けた部分では、融
着金属の表面層と疎水性化前駆体との熱融着層が像様疎
水性領域を形成し、識別性に優れた印刷品質が実現し、
しかも、このようにして形成された熱融着金属表面層は
機械的強度が大きいので耐刷性も優れる。加えて、本発
明の平版印刷版用原版を用いた製版工程は、レーザー光
照射等による画像形成の後、現像処理を必要としない簡
易なものであり、発明の目的を十分に満たすものであ
る。本発明の平版印刷版用原版は、ヒートモードの像様
光照射を行うだけで被照射部は、インキ受容性の像様疎
水性領域となり、親水性を示す画像記録層表面の非照射
領域と著しい極性の差を生じさせることができるので、
印刷汚れも少なく耐刷性も優れた印刷版を現像不要の簡
単な方法で作製できる。
【0009】本来、本発明の平版印刷版用原版の感光層
に含まれる金属微粒子にも、光熱変換剤としての機能を
有するものもあるが、平版印刷版用原版の感度を高くす
るため、即ち該金属微粒子の融着性を高めるために該金
属微粒子の粒径を小さくすると、該金属微粒子は、特に
長波長域の光吸収強度が小さくなりその光熱変換能を失
うことがあった。そこで本発明の平版印刷版用原版は、
その感光層に、粒径を小さくした金属微粒子の吸収極大
よりも長波長領域に吸収極大を有する光熱変換剤を必須
に含有させたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の具体的な態様の詳細は以
下に記す。本発明の平版印刷版用原版の感光層に含有さ
れる金属微粒子は、熱融着して疎水性領域を形成するす
るものであれば特に限定されないが、好ましくはSi、
Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、C
u、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、
Rh、In、Sn、W、Te,Pb、Ge、Re、Sb
の単体又は合金の微粒子が挙げられる。これらの金属微
粒子を構成する金属の中でもより好ましい金属は、熱融
着し易い融点がおよそ1000℃以下の金属、たとえば
Re、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb及び
Snである。また、とくに好ましいのは、融点も比較的
低い金属の微粒子、たとえばAg、Au、Cu、Sb、
Ge及びPbで、さらに好ましい元素はAg、Au及び
Cuが挙げられる。
【0011】これらの粒子の粒径は、1μm以下、好ま
しくは、0.001〜0.5μm、さらに好ましくは、
0.002〜0.2μmである。微小であるほど、熱融
着温度は低下する、つまりヒートモードの光感度が高く
なって好都合であるが、粒子の分散が難しく、1μmを
超えると、金属微粒子が熱融着し難くなり、感度が低下
する。以上に述べた金属単体及び合金の微粒子は、表面
を親水性化処理することによって、本発明の効果がより
発揮される。表面親水性化の手段は、親水性でかつ粒子
への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤で表面処
理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基をもつ物
質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性高分子皮
膜を設けるなどの方法を用いることができる。とくに好
ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば鉄微粒
子の場合は、70℃の珪酸ナトリウム(3%)水溶液に
30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水性化する
ことができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリ
ケート処理を行うことができる。
【0012】次に、本発明の平版印刷版用原版の感光層
に含有される、光熱変換剤について説明する。該光熱変
換剤としては、紫外線、可視光線、赤外線、白色光線等
の光を吸収して熱に変換し得る物質ならば全て使用で
き、特に好ましいのは、前記金属微粒子の吸収極大より
も長波長領域に吸収極大を有する、具体的には、波長7
60nmから1200nmの赤外線を有効に吸収する染
料及び顔料、すなわちIR色素である。
【0013】本発明に使用される染料としては、市販の
染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会
編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利
用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、
ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシア
ニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチ
ン染料、シアニン染料、金属チオレート錯体などの染料
が挙げられる。好ましい染料としては、例えば特開昭5
8−125246号、特開昭59−84356号、特開
昭59−202829号、特開昭60−78787号等
に記載されているシアニン染料、特開昭58−1736
96号、特開昭58−181690号、特開昭58−1
94595号等に記載されているメチン染料、特開昭5
8−112793号、特開昭58−224793号、特
開昭59−48187号、特開昭59−73996号、
特開昭60−52940号、特開昭60−63744号
等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−1
12792号等に記載されているスクワリリウム色素、
英国特許第434,875号記載のシアニン染料等を挙
げることができる。
【0014】また、米国特許第5,156,938号記
載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特
許第3,881,924号記載の置換されたアリールベ
ンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645
号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチ
ンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同
58−220143号、同59−41363号、同59
−84248号、同59−84249号、同59−14
6063号、同59−146061号に記載されている
ピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載
のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記
載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13
514号、同5−19702号公報に開示されているピ
リリウム化合物も好ましく用いられる。また、染料とし
て好ましい別の例として米国特許第4,756,993
号明細書中に式(I)、(II)として記載されている近
赤外吸収染料を挙げることができる。これらの染料のう
ち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクワリ
リウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体が
挙げられる。
【0015】本発明に使用される顔料としては、市販の
顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最
新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、
「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、
「印刷インキ技術」CMC出版、1984年刊)に記載
されている顔料が利用できる。顔料の種類としては、黒
色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔
料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉
顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的
には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔
料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アント
ラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオ
インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系
顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、
染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ
顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラッ
ク等が使用できる。これらの顔料のうち好ましいものは
カーボンブラックである。
【0016】これら顔料は表面処理をせずに用いてもよ
く、表面処理をほどこして用いてもよい。表面処理の方
法には樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性
剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカッ
プリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネート等)
を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。上記の表
面処理方法は、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、
「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)およ
び「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)
に記載されている。
【0017】顔料の粒径は0.01μm〜10μmの範
囲にあることが好ましく、0.05μm〜1μmの範囲
にあることがさらに好ましく、特に0.1μm〜1μm
の範囲にあることが好ましい。顔料の粒径が0.01μ
m未満のときは分散物の感応性組成物の塗布液中での安
定性の点で好ましくなく、また、10μmを越えると塗
布後の感光層の均一性の点で好ましくない。顔料を分散
する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いら
れる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、超
音波分散器、サンドミル、アトライター、パールミル、
スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーザ
ー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロー
ルミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は、「最新
顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)に記載が
ある。
【0018】これらの染料及び顔料は、感光層成分組成
物の全固形分に対し0.01〜30重量%、好ましくは
0.1〜10重量%、染料の場合、特に好ましくは0.
5〜10重量%、顔料の場合、特に好ましくは1.0〜
10重量%の割合で添加することができる。顔料又は染
料の添加量が0.01重量%未満であると光熱変換効果
が乏しくなり、また30重量%を越えるとアブレーショ
ンによる皮膜の破壊という問題が生じる。上記光熱変換
剤の中でも、とくに好ましい染料は、水に溶ける染料も
しくはアセトン、THF、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、メチルエチルケトン、アセトニトリル
などの水に対する溶解性が高い溶媒に溶ける染料であ
る。具体例としては、以下に示す染料を挙げることがで
きるが、本発明に用いられる染料は、これらに限定され
ない。
【0019】
【化1】
【0020】
【化2】
【0021】
【化3】
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】
【化6】
【0025】その他に使用できる光熱変換剤としては、
金属及び金属酸化物粒子を用いることができる。金属及
び金属酸化物粒子としては、Al、Si、Sc、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、
Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、I
r、Os、Re、Au、Pt、In、Sn、Wの中から
選択され、粒子化して発熱層樹脂に分散しうるものを用
いることができる。とくに鉄、銀、白金、金、パラジウ
ムの金属微粒子が好ましい。そのほか、TiOx(x=
1.0〜2.0)、SiOx(x=0.6〜2.0)、
AlOx(x=1.0〜2.0)、銅、銀及び錫のアジ
ド化物などの金属アジド化合物も好ましい。これらの各
金属酸化物、窒化物及び硫化物は、いずれも公知の製造
方法によって得られる。また、チタンブラック、鉄黒、
モリブデン赤、エメラルドグリーン、カドミウム赤、コ
バルト青、紺青、ウルトラマリンなどの名称で市販され
ているものも多い。上記の金属化合物及び金属のほか
に、カーボンブラック、黒鉛(グラファイト)、骨炭
(ボーンブラック)などの非金属単体粒子や各種の有
機、無機顔料も光熱変換性微粒子として用いることがで
きる。
【0026】次に、本発明の平版印刷版用原版の感光層
の画像部の疎水性を向上させるために含有させる、疎水
性化前駆体について説明する。本発明の平版印刷版用原
版における疎水性化前駆体としては、熱により極性が疎
水性に変化する物質系を表面親水性にしたものを用いる
ことができる。以下の(1)及び(2)項に、疎水性化
前駆体の好ましい実施形態を示すが、本発明はこれらの
例に限定されるものではない。 (1)芯部に疎水性物質を内包し、かつ表面親水性の表
層部を有する複合構成の粒子分散物であって、光の照射
と光熱変換による熱の作用によって粒子形状がこわれて
内包されていた疎水性物質によって疎水性化が起こる前
駆体。 (2)表面親水性の熱架橋性の粒子分散物であって、熱
の作用で架橋反応が開始されることによって疎水性を発
現する前駆体。以下にこれらについてさらに説明する。
【0027】(1)芯部に疎水性物質を内包し、表面親
水性の表層部を有する複合構成の粒子分散物。 前者(1)の複合構成の粒子分散物の好ましい粒子の形
態としては、ヒートモードの画像露光がもたらす温度
で軟化あるいは溶融する熱可塑性樹脂を内包し、表面に
親水性ゾル粒子層を凝集付着させたいわゆるヘテロ凝集
表面層の複合粒子(以後へテロ凝集表面層粒子とも呼
ぶ)、同じく表面にゾルゲル変換物質を処理してゾル
ゲル変換によって親水性ゲルの表層を形成させた表面ヘ
テロ相の複合粒子(以後表面へテロ相粒子とも呼ぶ)、
分散重合で得た熱可塑性重合体の疎水性微粒子を芯部
としてその周囲に親水性ポリマーの重合層を形成させた
コアシェル型の複合粒子(以後コアシェル型粒子とも呼
ぶ)、熱拡散性あるいは熱可塑性の疎水性有機化合物
を親水性媒質中に乳化分散させた乳化物粒子(以後疎水
性有機物内包粒子とも呼ぶ)、及び疎水性の芯物質を
表面親水性の壁材料で保護したマイクロカプセル粒子
(以後単にマイクロカプセル粒子とも呼ぶ)が挙げられ
る。後者(2)の熱架橋の開始によって疎水性を発現す
る粒子分散物には、重合性モノマーと架橋性化合物と熱
重合開始剤の混合分散物が挙げられる。
【0028】(へテロ凝集表面層粒子)前者(1)の
のへテロ凝集表面層粒子は、モノマーを界面活性剤ミセ
ルで保護して乳化分散して重合させて得た熱軟化性又は
熱溶融性樹脂の乳化重合分散物粒子が内包されており、
光照射と光熱変換作用による熱の効果で、樹脂粒子が軟
化、溶融などを起こし、親水性の表面層を壊して粒子と
して存在していた近傍を疎水性化する。親水性の表面層
は、シリカ微粒子、アルミナ微粒子のような親水性の極
めて大きいゾル状の微粒子分散物を添加して樹脂の乳化
重合分散物粒子の周囲に吸着させて形成した保護層であ
る。ゾル状の微粒子分散物については、のちに親水性の
感光層の媒質への添加成分として説明するゾル状微粒子
と同じである。
【0029】(表面へテロ相粒子)前者(1)のとし
て挙げたへテロ表面相粒子は、上記と同じく熱軟化性
又は熱溶融性樹脂の乳化重合分散物粒子をコア粒子とし
て、その表面を親水性の画像記録層の媒質の項で述べる
ゾルゲル変換性物質で処理して粒子表面にゲル相を形成
させた親水性表面の粒子である。
【0030】(コアシェル型粒子)上記のコアシェル
型の複合粒子は、熱の作用で軟化、あるいは融解する樹
脂(以後、熱可塑性樹脂とも呼ぶ)の粒子分散物をその
モノマーの乳化重合によって調製し、これをコア粒子
(シード)として、その分散液に親水性モノマーを添加
して、コア粒子の表面に親水性モノマーを重合させて表
面親水性層とするコアシェル型の異相構造粒子である。
コア粒子を構成するモノマーは、次のの項で述べる高
分子化合物用のモノマー成分として示したA〜Lの群の
中で疎水性で熱可塑性樹脂用のものから選ばれる。同様
に親水性のシェル相を形成するモノマーは、AからLの
群の親水性モノマーから選択することができる。
【0031】(疎水性有機物内包粒子)上記の疎水性
有機物内包粒子は、内包される疎水性物質が乳化分散さ
れて親水性表面をもつ粒子形態をとっている。ヒートモ
ードの光照射による熱の作用によって乳化された粒子が
粒子形状を維持できなくなり、媒質への浸出、拡散、溶
解などによって前駆体の近傍を疎水性にする。疎水性の
有機低分子化合物及び有機高分子化合物の中にこの目的
に適合する化合物がある。
【0032】・有機低分子化合物 疎水性化前駆体が有機低分子化合物を内包する場合、好
ましい有機低分子化合物は、常圧において融点が300
℃以下、沸点が100℃以上の固体又は液体の有機化合
物又は水に対する溶解度又は吸水率が100g当たり2
g以下である有機高分子化合物であり、その両方を用い
ることも好ましい態様である。有機低分子化合物は、拡
散浸透性が比較的高いので、熱によって移動性が与えら
れると、粒子が存在していた近傍に拡散して直接あるい
は間接的に疎水性化する。また、常温で固体であり、熱
によって融解して疎水性領域を形成する化合物も含まれ
る。移動性が大きすぎると疎水性領域が広がり過ぎ、ま
た熱エネルギーの局部集中度が低下して疎水性化の効果
が減少する。したがって、上記の沸点と融点の条件を満
たす化合物が好ましい。ここで、低分子化合物と呼んで
いるのは沸点又は融点を有する化合物という意味で用い
ており、そのような化合物を通常分子量は2000以
下、多くは1000以下である。
【0033】また、上記の溶解度又は吸水率の条件は、
有機高分子化合物が疎水性であることの指標として経験
的に判った条件である。この条件であると、熱の作用に
よって粒子が存在していた近傍の有機高分子の状態の変
化によって粒子近傍の疎水性化を発現させることができ
る。疎水性化の目的に適う好適な有機低分子化合物は、
上記の化合物の移動性に関連する融点、沸点の観点とは
別に、前駆体の近傍をそれ自体で十分に疎水性と成しう
る必要性から、水への溶解性が極めて少ないか、有機性
の程度が高い必要がある。その条件を具体化して示した
のが、前記したように、有機低分子化合物が、25℃
における水100gへの溶解度が2g以下であるか、
有機概念図における有機性/無機性の比が0.7以上で
あるかの少なくともいずれかに相当する場合である。
【0034】有機概念図は、化合物の有機性及び無機性
の程度を示すのに実際的で簡便な実用尺度であり、その
詳細については、田中善生著「有機概念図」(三共出版
社、1983年初版刊行)の1〜31頁に詳記されてい
る。有機概念図上の上記の範囲の有機化合物が疎水性化
を促進する作用を持つ理由は不明であるが、この範囲の
化合物は、有機性が比較的大きい化合物であり、複合粒
子近傍を疎水性にする。有機概念図における有機性が1
00以上でその上限についての制約はとくにないが、通
常100〜1200、好ましくは100〜800であ
り、その有機性/無機性の比が0.7〜無限大(すなわ
ち無機性が0)、好ましくは0.9〜10の範囲に入る
有機化合物である。
【0035】この温度範囲の沸点をもつ有機低分子化合
物は、具体的には脂肪族及び芳香族炭化水素、脂肪族及
び芳香族カルボン酸、脂肪族及び芳香族アルコール、脂
肪族及び芳香族エステル、脂肪族及び芳香族エーテル、
有機アミン類、有機珪素化合物、また、効果は大きくは
ないが印刷用インキに添加できることが知られている各
種溶剤や可塑剤類の中に見られる。
【0036】好ましい脂肪族炭化水素は、炭素数8〜3
0の、より好ましくは炭素数8〜20の脂肪族炭化水素
であり、好ましい芳香族炭化水素は、炭素数6〜40
の、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素で
ある。好ましい脂肪族アルコールは、炭素数2〜30
の、より好ましくは炭素数2〜18の脂肪族アルコール
であり、好ましい芳香族アルコールは、炭素数6〜30
の、より好ましくは炭素数6〜18の芳香族アルコール
である。好ましい脂肪族カルボン酸は、炭素数2〜24
の脂肪族カルボン酸であり、より好ましくは炭素数2〜
20の脂肪族モノカルボン酸及び炭素数4〜12の脂肪
族ポリカルボン酸であり、また、好ましい芳香族カルボ
ン酸は、炭素数6〜30の、より好ましくは炭素数6〜
18の芳香族カルボン酸である。好ましい脂肪族エステ
ルは、炭素数2〜30の、より好ましくは炭素数2〜1
8の脂肪酸エステルであり、好ましい芳香族エステル
は、炭素数8〜30の、より好ましくは炭素数8〜18
の芳香族カルボン酸エステルである。好ましい脂肪族エ
ーテルは、炭素数8〜36の、より好ましくは炭素数8
〜18の芳香族エーテルであり、好ましい芳香族エーテ
ルは、炭素数7〜30の、より好ましくは炭素数7〜1
8の芳香族エーテルである。そのほか、炭素数7〜30
の、より好ましくは炭素数7〜18の脂肪族あるいは芳
香族アミドも用いることができる。
【0037】具体例としては、2,2,4−トリメチル
ペンタン(イソオクタン)、n−ノナン、n−デカン、
n−ヘキサデカン、オクタデカン、エイコサン、メチル
ヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2−メチルオク
タンなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシ
レン、クメン、ナフタレン、アントラセン、スチレンな
どの芳香族炭化水素;ドデシルアルコール、オクチルア
ルコール、n−オクタデシルアルコール、2−オクタノ
ール、ラウリルアルコールなどの1価アルコール;プロ
ピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエ
チレングリコール、グリセリン、ヘキシレングリコー
ル、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール;ベ
ンジルアルコール、4−ヒドロキシトルエン、フェネチ
ルアルコール、1−ナフトール、2−ナフトール、カテ
コール、フェノールなどの芳香族アルコール;酢酸、プ
ロピオン酸、酪酸、カプロン酸、アクリル酸、クロトン
酸、カプリン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪
族1価カルボン酸;しゅう酸、琥珀酸、アジピン酸、マ
レイン酸、グルタール酸などの多価脂肪族カルボン酸;
安息香酸、2−メチル安息香酸、4−メチル安息香酸な
どの芳香族カルボン酸;酢酸エチル、酢酸イソブチル、
酢酸−n−ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸
エチル、酪酸メチル、アクリル酸メチル、しゅう酸ジメ
チル、琥珀酸ジメチル、クロトン酸メチルなどの脂肪族
エステル;安息香酸メチル、2−メチル安息香酸メチル
などの芳香族カルボン酸エステル;イミダゾール、トリ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、シクロヘキシ
ルアミン、ヘキサメチレンテトラミン、トリエチレンテ
トラミン、アニリン、オクチルアミン、アニリン、フェ
ネチルアミンなどの有機アミン;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンゾフェノンな
どのケトン類、メトキシベンゼン、エトキシベンゼン、
メトキシトルエン、ラウリルメチルエーテル、ステアリ
ルメチルエーテルなどのエーテル及びステアリルアミ
ド、ベンゾイルアミド、アセトアミドなどのアミド類が
挙げられる。そのほか、沸点が前記の好ましい範囲にあ
るエチレングリコールモノエチルエーテル、シクロヘキ
サノン、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテートなど
の有機溶剤も使用することができる。
【0038】また、印刷用インキの成分であるアマニ
油、大豆油、けし油、サフラワー油などの油脂類、燐酸
トリブチル、燐酸トリクレシル、フタール酸ジブチル、
ラウリン酸ブチル、フタール酸ジオクチル、パラフィン
ワックスなどの可塑剤も挙げられる。
【0039】また、長鎖脂肪酸と長鎖一価アルコールの
エステル、すなわちワックスも、疎水性で適当に低融点
であって、光熱変換剤の近傍で光照射によって生じた熱
によって融解してその領域を疎水性化する好ましい低分
子有機化合物である。ワックスは、50〜200℃で溶
融するものが好ましく、その例としては、原料などによ
ってカルナバワックス、カスターワックス、マイクロク
リスタリンワックス、パラフィンワックス、セラックろ
う、パームろう、蜜ろう等と呼ばれているいずれをも用
いることができる。ワックス類のほかに、低分子量ポリ
エチレン;オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸な
どの固体酸;ベヘン酸銀、ステアリン酸カルシウム、パ
ルミチン酸マグネシウムなどの長鎖脂肪酸の金属塩など
の微粒子分散物も用いることができる。
【0040】・有機高分子化合物 上記した溶解度又は吸水性の条件を満たす好ましい有機
高分子化合物は、共存する低分子有機化合物に溶解可能
又はそれ自体が熱可塑性の疎水性高分子化合物であり、
例えば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリ
ビニルフェノール、ポリビニルハロゲン化フェノール、
ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビ
ニルブチラール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリウレ
ア、ポリイミド、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、フ
ェノール、ボラック又はレゾールフェノール類とアルデ
ヒド又はケトンとの縮合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リスチレン、アクリル系共重合樹脂などが挙げられる。
【0041】好ましい化合物の一つは、必ずしも熱可塑
性ではないが、有機低分子化合物か、フェノールノボラ
ック樹脂又はレゾール樹脂であり、フェノール、クレゾ
ール(m−クレゾール、p−クレゾール、m/p混合ク
レゾール)、フェノール/クレゾール(m−クレゾー
ル、p−クレゾール、m/p混合クレゾール)、フェノ
ール変性キシレン、tert−ブチルフェノール、オク
チルフェノール、レゾルシノール、ピロガロール、カテ
コール、クロロフェノール(m−Cl、p−Cl)、ブ
ロモフェノール(m−Br、p−Br)、サリチル酸、
フロログルシノールなどのホルムアルデヒドとの縮合の
ノボラック樹脂及びレゾール樹脂、さらに上記フェノー
ル類化合物とアセトンとの縮合樹脂などが挙げられる。
【0042】その他の好適な高分子化合物として以下
(A)〜(L)に示すモノマーをその構成単位とする通
常1万〜20万の分子量を持つ共重合体を挙げることが
できる。 (A)芳香族水酸基を有するアクリルアミド類、メタク
リルアミド類、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エ
ステル類およびヒドロキシスチレン類、例えばN−(4
−ヒドロキシフェニル)アクリルアミドまたはN−(4
−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、o−、m−
およびp−ヒドロキシスチレン、o−、m−およびp−
ヒドロキシフェニルアクリレートまたはメタクリレー
ト、(B)脂肪族水酸基を有するアクリル酸エステル類
およびメタクリル酸エステル類、例えば、2−ヒドロキ
シエチルアクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタ
クリレート、(C)アクリル酸メチル、アクリル酸エチ
ル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル
酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸シクロヘキ
シル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、アク
リル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、アク
リル酸−4−ヒドロキシブチル、グリシジルアクリレー
ト、N−ジメチルアミノエチルアクリレートなどの(置
換)アクリル酸エステル、(D)メタクリル酸メチル、
メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリ
ル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシ
ル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸オクチ
ル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メ
タクリル酸−2−クロロエチル、メタクリル酸4−ヒド
ロキシブチル、グリシジルメタクリレート、N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレートなどの(置換)メタクリ
ル酸エステル、
【0043】(E)アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメ
タクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチ
ルメタクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N
−ヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルアク
リルアミド、N−シクロヘキシルメタクリルアミド、N
−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエ
チルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N
−フェニルメタクリルアミド、N−ベンジルアクリルア
ミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ニトロフェ
ニルアクリルアミド、N−ニトロフェニルメタクリルア
ミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミドおよび
N−エチル−N−フェニルメタクリルアミドなどのアク
リルアミドもしくはメタクリルアミド、
【0044】(F)エチルビニルエーテル、2−クロロ
エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、
オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテルなど
のビニルエーテル類、(G)ビニルアセテート、ビニル
クロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル
などのビニルエステル類、(H)スチレン、メチルスチ
レン、クロロメチルスチレンなどのスチレン類、(I)
メチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビ
ニルケトン、フェニルビニルケトンなどのビニルケトン
類、(J)エチレン、プロピレン、イソブチレン、ブタ
ジエン、イソプレンなどのオレフィン類、
【0045】(K)N−ビニルピロリドン、N−ビニル
カルバゾール、4−ビニルピリジン、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリルなど、(L)N−(o−アミノ
スルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(m−アミ
ノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−(p−ア
ミノスルホニルフェニル)アクリルアミド、N−〔1−
(3−アミノスルホニル)ナフチル〕アクリルアミド、
N−(2−アミノスルホニルエチル)アクリルアミドな
どのアクリルアミド類、N−(o−アミノスルホニルフ
ェニル)メタクリルアミド、N−(m−アミノスルホニ
ルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスル
ホニルフェニル)メタクリルアミド、N−〔1−(3−
アミノスルホニル)ナフチル〕メタクリルアミド、N−
(2−アミノスルホニルエチル)メタクリルアミドなど
のメタクリルアミド類、また、o−アミノスルホニルフ
ェニルアクリレート、m−アミノスルホニルフェニルア
クリレート、p−アミノスルホニルフェニルアクリレー
ト、1−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)ア
クリレートなどのアクリル酸エステル類などの不飽和ス
ルホンアミド、o−アミノスルホニルフェニルメタクリ
レート、m−アミノスルホニルフェニルメタクリレー
ト、p−アミノスルホニルフェニルメタクリレート、1
−(3−アミノスルホニルフェニルナフチル)メタクリ
レートなどのメタクリル酸エステル類などの不飽和スル
ホンアミド。
【0046】これらの有機高分子化合物は、重量平均子
量が500〜20000、数平均分子量が200〜60
000であることが好ましい。
【0047】疎水性化前駆体は、有機低分子化合物の
み、あるいは高分子有機化合物のみで構成されていても
よいが、有機低分子化合物と高分子有機化合物の両方を
含んでいてもよく、さらに両者の親和性を高めるなどの
目的の第3成分を含んでいてもよい。
【0048】疎水性化前駆体の表面を親水性にするに
は、金属微粒子について前記した表面親水化方法を用い
ることもできる。例えば、親水性でかつ疎水性化前駆体
への吸着性を有する界面活性剤を添加して粒子表面を親
水性基の界面吸着層を形成させて粒子分散させる方法、
そのさい、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドンなどの保護コロイド性の親水性かつ表面吸
着性の高分子皮膜を設ける方法、さらにそれに界面活性
剤も介在させて粒子表面をより親水性且つ安定化させる
分散方法、粒子の構成物質と反応する親水性基をもつ物
質で表面処理したり、などの方法を用いることができ
る。疎水性化前駆体の表面親水性化に用いる界面活性剤
も、光熱変換剤の表面親水性化に関して述べた界面活性
剤を使用することができる。
【0049】以上の〜の各表面親水性の疎水性化前
駆体中の疎水性の構成成分(芯物質)の合計量は、疎水
性化前駆体の全量に対して、10〜95重量%が適当で
あり、20〜80重量%が好ましい。また、において
有機低分子化合物及び高分子有機化合物を共に使用する
場合、その比率は任意である。一方、親水性表面層を形
成する成分は、〜の形態によって界面活性剤、保護
コロイド、親水性重合樹脂、親水性ゾル、ゾルゲル変換
成分などと異なるが、また感光層の媒質中にも分布して
いる場合もあるが、疎水性前駆体の表面層を構成してい
る量は、疎水性化前駆体の全量に対して、5〜80重量
%であり、10〜50重量%であることが好ましい。ま
た、分散物粒子のサイズは、〜の形態によって最適
サイズの範囲は異なるが、ほぼ体積平均で5μm以下、
0.01μm以上が好ましく、更に好ましくは0.05
〜2μm、とくに好ましくは0.2〜0.5μmの範囲
に調整することが好ましい。
【0050】(マイクロカプセル粒子)次に、芯部に疎
水性物質を内包し、かつ表面親水性の表層部を有する複
合構成の粒子分散物の項として上記したマイクロカプ
セルの構成材料でカプセルの熱破壊により近傍を疎水性
化する疎水性化前駆体について述べる。本発明で用いる
マイクロカプセルは各種公知の方法で作成することがで
き、その芯物質(カプセル内に内包する物質)は、上記
した有機低分子化合物及び高分子有機化合物、さらにそ
れらを混和する有機溶剤類を用いることができる。すな
わち芯物質を有機溶剤と混合してから又は直接に、水性
媒体中に乳化分散し、油性液滴のまわりに高分子物質か
らなる壁膜を形成することにより調製することができ
る。マイクロカプセルの壁膜となる高分子物質の具体例
としては、例えばポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、
ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、アミノアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチ
レン樹脂、スチレン−アクリレート共重合体樹脂、スチ
レン−メタクリレート共重合体樹脂、ゼラチン、ポリビ
ニルアルコール等が挙げられる。これらのうち特に好ま
しい壁膜としてはポリウレタン・ポリウレア樹脂からな
る壁膜を有するマイクロカプセルである。
【0051】ポリウレタン・ポリウレア樹脂からなる壁
膜を有するマイクロカプセルは、多価イソシアネート等
の壁材をカプセル化するべき芯物質中に混合し、ポリビ
ニルアルコール等の保護コロイド物質を溶解した水性媒
体中に乳化分散し、液温を上昇させて油滴界面で高分子
形成反応を起こすことによって製造される。
【0052】ここで多価イソシアネート化合物の具体例
を以下に示すと、例えばm−フェニレンジイソシアネー
ト、p−フェニレンジイソシアネート、2,6−トリレ
ンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、ジフェニ
ルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジ
フェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、キシレ
ン−1,4−ジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
プロパンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−
1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソ
シアネート、シクロヘキシレン−1,2−ジイソシアネ
ート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート等
のジイソシアネート類、4,4′,4″−トリフェニル
メタントリイソシアネート、トルエン−2,4,6−ト
リイソシアネート等のトリイソシアネート類、4,4′
−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テ
トライソシアネート等のテトライソシアネート類、ヘキ
サメチレンジイソシアネートとメチメチロールプロパン
との付加物、2,4−トリレンジイソシアネートとトレ
メチロールプロパンとの付加物、キシリレンジイソシア
ネートとトリメチロールプロパンとの付加物、トリレン
ジイソシアネートとヘキサントリオールとの付加物等の
イソシアネートプレポリマー等が挙げられるが、上記化
合物に限定されるものではない。また、必要に応じ二種
類以上の併用も可能である。これらのうち特に好ましい
ものは分子内にイソシアネート基を三個以上有するもの
である。
【0053】カプセルの壁材としては、前記したゼラチ
ン、ポリウレア、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエス
テル、ポリカーボネート、メラミン等を用いることがで
きるが熱応答性マイクロカプセルを得るにはポリウレ
ア、ポリウレタン壁が好ましい。またカプセル壁に熱応
答性を付与するには、カプセル壁としてガラス転移点が
室温以上、200℃以下とすればよく、特に70℃〜1
50℃の範囲が好ましい。カプセル壁のガラス転移温度
を制御するには、カプセル壁のポリマー種を選ぶか、適
当な可塑剤を添加することで可能である。このような助
剤としては、フェノール化合物、アルコール化合物、ア
ミド化合物、スルホンアミド化合物等があり、これら
は、カプセルの芯物質中に含有させてもよいし、分散物
としてマイクロカプセル外に添加してもよい。
【0054】マイクロカプセル化の一般的な手法、用い
る素材などについては、米国特許第3726804号、
同第3796696号に記載されており、本発明にも適
用することができる。マイクロカプセルのサイズは、特
に画像の解像度向上及び取り扱い性の点から体積平均で
5μm以下、0.02μm以上が好ましく、更に好まし
くは0.05〜0.7μmの範囲に調整することが好ま
しい。
【0055】(2)重合性モノマー/架橋性化合物を含
み、熱破壊に伴って粒子の近傍に疎水性のポリマー/架
橋構造を形成する疎水性化前駆体。 前記の(2)項として記したこの疎水性化前駆体は、常
温では反応せず、熱の作用で重合反応が始まり、前駆体
粒子近傍を疎水性化する重合性モノマー/架橋性化合物
系を含んだ分散物である。この例としては、高温度で重
合反応とくに架橋反応が進行する重合性モノマー、架橋
基を持つ熱架橋性ポリマーやオリゴマー及び熱重合開始
剤を含む系が挙げられる。この分散物の表面親水性化に
は、上記〜の疎水性化前駆体の項で前記した表面親
水性化手段を用いて分散させることができる。
【0056】本発明の疎水性化前駆体に内包させる重合
性モノマー及び架橋性の化合物としては、例えばフェニ
ルイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネー
ト、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、3,3′−ジメチル
ビフェニル−4,4′−ジイソシアネート、1,5−ナ
フタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネー
ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホ
ロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、
リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソ
シアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ト
リデンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイ
ソシアネート、ポリメリック ポリイソシアネート等の
イソシアネート;トリメチロールプロパンと1,6−ヘ
キサンジイソシアネートあるいは2,4−トリレンジイ
ソシアネートといった上記ジイソシアネートとの1対3
モル付加体等のポリイソシアネート、
【0057】2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレ
ートのオリゴマーまたはポリマーなどのイソシアネート
化合物;N,N′−メチレンビスアクリルアミド、(メ
タ)アクリロイルモルホリン、ビニルピリジン、N−メ
チル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチル(メ
タ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノプロピ
ル(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジエチルアミ
ノエチル(メタ)アクリレート、N,N′−ジメチルア
ミノネオペンチル(メタ)アクリレート、N−ビニル−
2−ピロリドン、ダイアセトンアクリルアミド、N−メ
チロール(メタ)アミリルアミド、パラスチレンスルホ
ン酸もしくはその塩、
【0058】メトキシトリエチレングリコール(メタ)
アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート(PEGの数平均分子量40
0)、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量1000)、ブトキシエ
チル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)
アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メ
タ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール
(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メ
タ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ
(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)
アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、
【0059】ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート(PEGの数平均分子量400)、ポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート(PEGの数平均分
子量600)、ポリエチレングリコールジ(メタ)アク
リレート(PEGの数平均分子量1000)、ポリプロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート(PPGの数
平均分子量400)、2,2−ビス[4−(メタクリロ
キシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4
−(メタクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパ
ン、2,2−ビス[4−(メタクリロキシ・ポリエトキ
シ)フェニル]プロパンまたはそのアクリレート体、β
−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフ
タレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイ
ドロジェンサクシネート、ポリエチレンまたはポリプロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、3−クロ
ロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
【0060】1,3−ブチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アク
リレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレー
ト、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メ
タ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、
ステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)
アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、
テトラフルフリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メ
タ)アクリレート、モノ(2−アクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェートまたはそのメタクリル体、グ
リセリンモノまたはジ(メタ)アクリレート、トリス
(2−アクリロキシエチル)イソシアヌレートまたはそ
のメタクリル体、2−イソシアナトエチル(メタ)アク
リレート等の多官能(メタ)アクリルモノマー類あるい
はこれらと単官能(メタ)アクリレートとの組合せなど
が挙げられる。
【0061】これらの重合性又は架橋性化合物を用いる
場合には、熱重合開始剤を添加して熱による効果を促進
することが好ましい。熱重合開始剤としては、メチルエ
チルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキ
サイド、n−ブチル4、4−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)バレレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオ
キシ)ブタン、クメンハイドロパーオキサイイド、p−
メンタンハイドロパーオキサイイド、t−ヘキシルパー
オキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエー
ト、t−ブチルパーオキシアセテートなどの過酸化物が
挙げられる。これらの重合性及び架橋性有機化合物の添
加量は、疎水性前駆体の全量に対して、5〜95重量%
が適当であり、20〜90重量%が好ましく、実質的に
300〜80重量%が最も好ましい。また、熱重合触媒
の添加量は、重合性及び架橋性有機化合物の添加量の5
0%以下、好ましくは30%以下、より好ましくは1〜
10%である。
【0062】本発明の平版印刷版用原版の感光層は、前
記金属微粒子と光熱変換剤と疎水性化前駆体のみからな
るものであってもよいが、好ましくは該金属微粒子、光
熱変換剤、疎水性化前駆体が親水性の結着樹脂に分散し
た層構成である。とくに親水性の結着樹脂が、親水性高
分子結着樹脂又は親水性のゾルゲル変換系結着樹脂であ
ることが好ましく、そのなかでも高い親水性及び熱反応
による感光層の破壊に耐えうる結着樹脂としてポリシロ
キサンのゲル組織を形成する性質を有するゾルゲル変換
系結着樹脂が好ましい。
【0063】以下に感光層の親水性結着樹脂について説
明する。本発明の平版印刷版用原版の感光層(画像記録
層ともいう)のとくに好ましい結着剤は、以下に述べる
ゾルゲル変換系結着樹脂である。本発明に好ましく適用
できるゾルゲル変換が可能な系は、多価元素から出てい
る結合基が酸素原子を介して網目状構造を形成し、同時
に多価金属は未結合の水酸基やアルコキシ基も有してい
てこれらが混在した樹脂状構造となっている高分子体で
あって、アルコキシ基や水酸基が多い段階ではゾル状態
であり、脱水縮合が進行するのに伴って網目状の樹脂構
造が強固となる。
【0064】ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基
を有する化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪
素、チタン及びジルコニウムなどであり、これらはいず
れも本発明に用いることができるが、以下はもっとも好
ましく用いることのできるシロキサン結合によるゾルゲ
ル変換系について説明する。アルミニウム、チタン及び
ジルコニウムを用いるゾルゲル変換は、下記の説明の珪
素をそれぞれの元素に置き換えて実施することができ
る。すなわち、とくに好ましく用いられるのはゾルゲル
変換が可能な、少なくとも1個のシラノール基を有する
シラン化合物を含んだ系である。
【0065】以下に、ゾルゲル変換を利用する系につい
てさらに説明する。ゾルゲル変換によって形成される無
機親水性結着樹脂は、好ましくはシロキサン結合および
シラノール基を有する樹脂であり、本発明の平版印刷版
用原版の画像記録層は、少なくとも1個のシラノール基
を有するシラン化合物を含んだゾルの系である塗布液
を、塗布後の経時の間に、シラノール基の加水分解縮合
が進んでシロキサン骨格の構造が形成され、ゲル化が進
行することによって形成される。
【0066】ゲル構造を形成するシロキサン樹脂は、下
記一般式(I)で、また少なくとも1個のシラノール基
を有するシラン化合物は、下記一般式(II)で示され
る。また、画像記録層に含まれる物質系は、必ずしも一
般式(II)のシラン化合物単独である必要はなく、一般
には、シラン化合物が部分加水重合したオリゴマーから
なっていてもよく、あるいは、シラン化合物とそのオリ
ゴマーの混合組成であってもよい。
【0067】
【化7】
【0068】上記一般式(I)のシロキサン系樹脂は、
下記一般式(II)で示されるシラン化合物の少なくとも
1種を含有する分散液からゾル−ゲル変換によって形成
され、一般式(I)中のR01〜R03の少なくとも一つは
水酸基を表し、他は下記一般式(II)中の記号のR0
びYから選ばれる有機残基を表わす。
【0069】一般式(II) (R0nSi(Y)4-n
【0070】一般式(II)中、R0は水酸基、炭化水素
基又はヘテロ環基を表わす。Yは水素原子、ハロゲン原
子、−OR3、−OCOR4、又は、−N(R5)(R6
を表す(R3、R4は、各々炭化水素基を表し、R5、R6
は同じでも異なってもよく、水素原子又は炭化水素基を
表す)。nは0、1、2又は3を表わす。
【0071】一般式(II)中のR0の炭化水素基又はヘ
テロ環基とは、例えば炭素数1〜12の置換されてもよ
い直鎖状もしくは分岐状のアルキル基(例えば、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル
基、ドデシル基等;これらの基に置換される基として
は、ハロゲン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原
子)、ヒドロキシ基、チオール基、カルボキシ基、スル
ホ基、シアノ基、エポキシ基、−OR′基(R′は、メ
チル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル
基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、プロペニル
基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シアノ
エチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−ブロ
モエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエチル
基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボキシ
プロピル基、ベンジル基等を示す)、
【0072】−OCOR''基(R''は、前記R'と同一
の内容を表わす)、−COOR''基、−COR''基、−
N(R''')( R''')(R'''は、水素原子又は前記R'
と同一の内容を表わし、各々同じでも異なってもよ
い)、−NHCONHR''基、−NHCOOR''基、−
Si(R'')3基、−CONHR'''基、−NHCOR''
基等が挙げられる。これらの置換基はアルキル基中に複
数置換されてもよい)、炭素数2〜12の置換されても
よい直鎖状又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル
基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセ
ニル基、オクテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、
これらの基に置換される基としては、前記アルキル基に
置換される基と同一の内容のものが挙げられる)、炭素
数7〜14の置換されてもよいアラルキル基(例えば、
ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、
ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基等;これらの
基に置換される基としては、前記アルキル基に置換され
る基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されて
もよい)、
【0073】炭素数5〜10の置換されてもよい脂環式
基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2
−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル
基、ノルボニル基、アダマンチル基等、これらの基に置
換される基としては、前記アルキル基の置換基と同一の
内容のものが挙げられ、又複数置換されてもよい)、炭
素数6〜12の置換されてもよいアリール基(例えばフ
ェニル基、ナフチル基で、置換基としては前記アルキル
基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、又、
複数置換されてもよい)、又は、窒素原子、酸素原子、
イオウ原子から選ばれる少なくとも1種の原子を含有す
る縮環してもよいヘテロ環基(例えば該ヘテロ環として
は、ピラン環、フラン環、チオフェン環、モルホリン
環、ピロール環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリ
ジン環、ピペリジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾー
ル環、ベンゾオキサゾール環、キノリン環、テトラヒド
ロフラン環等で、置換基を含有してもよい。置換基とし
ては、前記アルキル基中の置換基と同一の内容のものが
挙げられ、又複数置換されてもよい)を表わす。
【0074】一般式(II) 中のYの−OR3基、−OC
OR4基又は−N(R5)(R6)基の置換基としては、
例えば以下の置換基を表わす。−OR3基において、R3
は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪族基(例え
ば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプ
チル基、ヘキシル基、ペンチル基、オクチル基、ノニル
基、デシル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル
基、ヘキセニル基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒ
ドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メ
トキシエチル基、2−(メトキシエチルオキソ)エチル
基、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メ
トキシプロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオ
キサプロピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル
基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシク
ロヘキシル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル
基、フェネチル基、ジメトキシベンジル基、メチルベン
ジル基、ブロモベンジル基等が挙げられる)を表わす。
【0075】−OCOR4基において、R4は、R3と同
一の内容の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されても
よい芳香族基(芳香族基としては、前記R中のアリール
基で例示したと同様のものが挙げられる)を表わす。又
−N(R5)(R6)基において、R5、R6は、互いに同
じでも異なってもよく、各々、水素原子又は炭素数1〜
10の置換されてもよい脂肪族基(例えば、前記の−O
3基のR3と同様の内容のものが挙げられる)を表わ
す。より好ましくは、R5とR6の炭素数の総和が16個
以内である。一般式(II)で示されるシラン化合物の具
体例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定
されるものではない。
【0076】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロピルシラ
ン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラ−n−ブトキ
シシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロム
シラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキ
シシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルト
リt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチ
ルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラ
ン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリ
クロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プ
ロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシ
シラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−
プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリク
ロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−へキ
シルトリメトキシシラン、n−へキシルトリエトキシシ
ラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−へ
キシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロル
シラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリ
メトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−
デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−
ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、
n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシル
トリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシ
ラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n
−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、
【0077】フェニルトリクロルシラン、フェニルトリ
ブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニル
トリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラ
ン、フェニルトリt−ブトキシシラン、ジメトキシジエ
トキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブ
ロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエ
トキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニル
ジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェ
ニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラ
ン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジ
メトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ト
リエトキシヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、ト
リメトキシヒドロシラン、イソプロポキシヒドロシラ
ン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロル
シラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシ
シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプ
ロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリ
フルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロ
ピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラ
ン、
【0078】トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリ
シドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタア
クリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタ
アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メ
タアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタ
アクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノ
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メル
カプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイ
ソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−
ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げ
られる。
【0079】本発明の平版印刷版用原版の親水性の画像
記録層の無機親水性結着樹脂形成に用いる一般式(II)
で示されるシラン化合物とともに、Ti、Zn、Sn、
Zr、Al等のゾル−ゲル変換の際に樹脂に結合して成
膜可能な金属化合物を併用することができる。用いられ
る金属化合物として、例えば、Ti(OR'')4(R''
はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチ
ル基、ヘキシル基等)、TiCl4、Zn(OR'')2
Zn(CH3COCHCOCH32、Sn(OR'')4
Sn(CH3COCHCOCH34、Sn(OCO
R″)4、SnCl4、Zr(OR'')4、Zr(CH3
OCHCOCH34、Al(OR'')3、Al(CH3
OCHCOCH33等が挙げられる。
【0080】更に、一般式(II)で示されるシラン化合
物、更には併用する前記の金属化合物の加水分解及び重
縮合反応を促進するために、酸性触媒又は塩基性触媒を
併用することが好ましい。触媒は、酸あるいは塩基性化
合物をそのままか、あるいは水またはアルコールなどの
溶媒に溶解させた状態のもの(以下、それぞれ酸性触
媒、塩基性触媒という)を用いる。そのときの濃度につ
いては特に限定しないが、濃度が濃い場合は加水分解、
重縮合速度が速くなる傾向がある。但し、濃度の濃い塩
基性触媒を用いると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場
合があるため、塩基性触媒の濃度は1N(水溶液での濃
度換算)以下が望ましい。
【0081】酸性触媒あるいは塩基性触媒の種類は特に
限定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場
合には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよ
うな元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性
触媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫
酸、亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸蟻
酸や酢酸などのカルボン酸、そのRCOOHで表される
構造式のRを他元素または置換基によって置換した置換
カルボン酸、ベンゼンスルホン酸などのスルホン酸な
ど、塩基性触媒としては、アンモニア水などのアンモニ
ア性塩基、エチルアミンやアニリンなどのアミン類など
が挙げられる。以上述べたように、ゾル−ゲル法によっ
て作成される画像記録層は、本発明の平版印刷版用原版
にとくに好ましい。上記のゾル−ゲル法のさらに詳細
は、作花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風
社(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法に
よる機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(1
992年)等の成書等に詳細に記述されている。
【0082】また、本発明の平版印刷版用原版の画像記
録層に含有される結着樹脂として、上記のゾルゲル変換
系結着樹脂のほかに、画像記録層としての適度な強度と
表面の親水性を付与する水酸基を有する有機高分子化合
物を用いることができる。具体的には、ポリビニルアル
コール(PVA)、カルボキシ変性PVA等の変性PV
A、澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘
導体、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢
酸ビニル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸
共重合体、アルギン酸及びそのアルカリ金属塩、アルカ
リ土類金属塩又はアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポ
リアクリル酸塩、ポリ(エチレンオキサイド)、水溶性
ウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリヒドロキ
シエチルアクリレート、ポリエチレングリコールジアク
リレート系ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミドポリ
マー等の水溶性樹脂が挙げられる。
【0083】又、上記水酸基を有する有機高分子化合物
を架橋し、硬化させる耐水化剤としては、グリオキザー
ル、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデ
ヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN
−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂な
どのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−
ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合
物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコールジグ
リシジルエーテル、ポリアミド・ポリアミン・エピクロ
ロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂
などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオ
グリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアク
リル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物な
どのポリカルボン酸類、ほう酸、チタニルスルフェー
ト、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋
剤、変成ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。
そのほか、塩化アンモニウム、シランカップリング剤、
チタネートカップリング剤などの架橋触媒を併用でき
る。
【0084】本発明において、上記水酸基を有する有機
高分子化合物中でも、好ましくはゼラチンを主として使
用される。ゼラチンは誘導タンパク質の一種であるが、
いずれのコラーゲンから製造されたゼラチンでも、特に
限定されるることなく使用することができる。好ましく
は、淡色、透明、無味、無臭の外観を示すものがよい。
更には、写真乳剤用ゼラチンが、水溶液とした場合の粘
度、ゲルのゼリー強度等の物性が一定の範囲内にあるこ
とからより好ましい。
【0085】また、ゼラチンを結着樹脂として用いた画
像記録層は、ゼラチン硬化性化合物を併用し、該層を硬
化して、耐水性良好なものとするのが好ましい。ゼラチ
ン硬化性化合物としては、従来、公知の化合物を用いる
ことができる。例えば、T.H.James 「The theory of th
e Photographic Process」第2章 セクションIII ,Mac
millan Publishinng Co. Innc. (1977年刊)、リサ
ーチ・ディスクロージャー誌No.17643,P26
(1970年12月発行)等に記載されている。
【0086】好ましくは、スクシンアルデヒド、グルタ
ルアルデヒド、アジポアルデヒドのジアルデヒド類、ジ
ケトン類(例えば、2,3−ブタンジオン、2,5−ヘ
キサンジオン、3−ヘキセン−2,5−ジオン、1,2
−シクロペンタンジオン等)、電子吸引基を隣接結合し
た二重結合を2個以上有する活性オレフィン化合物等が
挙げられる。
【0087】ゼラチン硬化性化合物は、ゼラチン100
重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましい。より
好ましくは、0.8〜10重量部である。この範囲にお
いて、得られた画像記録層は、膜強度が保持され、耐水
性を示すと同時に、画像の記録層の親水性を阻害しな
い。
【0088】さらに、前記画像記録層中には、上記した
金属微粒子、光熱変換剤、疎水性化前駆体、親水性結着
樹脂のほかに、親水性の程度の制御、記録層の物理的強
度の向上、層を構成する組成物相互の分散性の向上、塗
布性の向上、印刷適性の向上、製版作業性の便宜上など
の種々の目的の化合物を添加することができる。これら
の添加物には、例として以下のものが挙げられる。
【0089】<無機粒子>本発明の平版印刷版用原版の
画像記録層は、前記光熱変換剤、親水性制御や皮膜性強
化用の有機高分子化合物、親水性向上と皮膜性向上用の
水酸基を有する有機高分子化合物の他に、無機粒子をさ
らに含有してもよい。無機粒子としては、特に限定され
ないが、好ましくはシリカ、アルミナ、酸化チタン、水
酸化チタン、水酸化鉄、酸化マグネシウム、炭酸マグネ
シウム、アルギン酸カルシウムであり、これらは光熱変
換性ではなくても親水性を助長したり、ゾルゲル膜の強
化などに用いることができる。好ましくは、親水性のゾ
ル状粒子であり、例えばシリカゾル、アルミナゾル、酸
化チタンゾル、アルギン酸カルシウムゾルまたはこれら
の混合物である。より好ましくは、シリカゾル、アルミ
ナゾル、アルギン酸カルシウムゾル又はこれらの混合物
である。
【0090】シリカゾルは、表面に多くの水酸基を持
ち、内部はシロキサン結合(−Si−O−Si)を構成
している。粒子径1〜100nmのシリカ超微粒子が、
水もしくは、極性溶媒中に分散したものであり、コロイ
ダルシリカとも称されているものである。具体的には、
加賀美敏郎、林瑛監修「高純度シリカの応用技術」第3
巻、(株)シーエムシー(1991年)に記載されてい
る。又アルミナゾルは、5〜200nmのコロイドの大
きさをもつアルミナ水和物(ベーマイト系)で、水中の
陰イオン(例えば、フッ素イオン、塩素イオン等のハロ
ゲン原子イオン、酢酸イオン等のカルボン酸アニオン
等)を安定剤として分散されたものである。上記親水性
ゾル状粒子は、平均粒径が10〜50nmのものが好ま
しいが、より好ましい平均粒径は10〜40nmのもの
である。これら親水性ゾル状粒子は、いずれも、市販品
として容易に入手できる。
【0091】親水性ゾル状粒子(単にシリカ粒子という
こともある)の粒径が上記範囲内にあると、結着樹脂内
で、前記金属微粒子、光熱変換剤、疎水性化前駆体とと
も安定に分散して、画像記録層の膜強度を充分に保持
し、しかもレーザー光等により露光して製版し、印刷版
として印刷すると、非画像部への印刷インクの付着汚れ
を生じない極めて親水性に優れたものになるという効果
を発現する。また、本発明に使用する上記金属微粒子、
光熱変換剤、疎水性化前駆体と併用してもよいシリカ粒
子の存在割合は100/0〜10/90の重量比(金属
微粒子/シリカ粒子)であり、好ましくは100/0〜
20/80の重量比である。また、金属微粒子、、光熱
変換剤、疎水性化前駆体及び親水性ゾル状粒子を画像記
録層に添加する場合、その合計の添加量は、画像記録層
の固形物成分の2〜95重量%であり、好ましくは5〜
85重量%である。
【0092】<有機高分子化合物>上記した目的のため
に、とくに親水性の調節や画像記録層の強度、該記録層
中の他の成分の相互溶解性の改善などのために、画像記
録層中に有機高分子化合物を添加することができる。添
加する有機高分子化合物としては、例えば、ポリ塩化ビ
ニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルフェノール、
ポリビニルハロゲン化フェノール、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、ポ
リアミド、ポリウレタン、ポリウレア、ポリイミド、ポ
リカーボネート、エポキシ樹脂、フェノールノボラック
又はレゾールフェノール類とアルデヒド又はケトンとの
縮合樹脂、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、シリコ
ーン樹脂などが挙げられる。
【0093】本発明の画像記録層に用いられる有機高分
子化合物は、水性エマルジョンから構成されたものが好
ましく用いられる。水性エマルジョンとは、微小なポリ
マー粒子と、必要に応じて該粒子を分散安定化する保護
剤とからなる粒子を水中に分散させた疎水性ポリマー懸
濁水溶液のことである。本発明に用いられる水性エマル
ジョンの具体例としては、ビニル系ポリマーラテックス
(ポリアクリレート系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸
ビニル系など)、共役ジエン系ポリマーラテックス(メ
タクリル酸メチル−ブタジエン系、スチレン−ブタジエ
ン系、アクリロニトリル−ブタジエン系、クロロプレン
系など)およびポリウレタン樹脂などが挙げられる。有
機高分子化合物を画像記録層に添加する場合、その添加
量は具体的には、画像記録層の固形物に対して1〜20
重量%が適当であり、2〜10重量%が好ましい。
【0094】<染料及び顔料>本発明の画像記録層には
更に、着色して版種を判別するための染料や顔料を添加
することができる。この染料は光熱変換剤として機能し
てもよい。好ましい染料の例としては、ローダミン6G
塩化物、ローダミンB塩化物、クリスタルバイオレッ
ト、マラカイトグリーンシュウ酸塩、オキサジン4パー
クロレート、キニザリン、2−(α−ナフチル)−5−
フェニルオキサゾール、クマリン−4が挙げられる。他
の染料として具体的には、オイルイエロー#101、オ
イルイエロー#103、オイルピンク#312、オイル
グリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#6
03、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイ
ルブラックT−505(以上、オリエント化学工業
(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイ
オレット(CI42555)、メチルバイオレット(C
I42535)、エチルバイオレット、メチレンブルー
(CI52015)、パテントピュアブルー(住友三国
化学社製)、ブリリアントブルー、メチルグリーン、エ
リスリシンB、ベーシックフクシン、m−クレゾールパ
ープル、オーラミン、4−p−ジエチルアミノフェニル
イミナフトキノン、シアノ−p−ジエチルアミノフェニ
ルアセトアニリドなどに代表されるトリフェニルメタン
系、ジフェニルメタン系、オキサジン系、キサンテン
系、イミノナフトキノン系、アゾメチン系またはアント
ラキノン系の染料あるいは特開昭62−293247号
公報に記載されている染料を挙げることができる。上記
色素は、画像記録層中に添加される場合は画像記録層全
固形分に対し、通常約0.02〜10重量%、より好ま
しくは約0.1〜5重量%含有される。
【0095】<界面活性剤>本発明の平版印刷版用原版
の感光層中には、印刷条件に対する安定性を拡げるた
め、公知のノニオン系及びアニオン系界面活性剤のほ
か、特開平2−195356号公報に記載されているよ
うなカチオン界面活性剤、含フッ素界面活性剤、及び特
開昭59−121044号及び特開平4−13149号
公報に記載されている両性界面活性剤を添加することが
できる。ノニオン系界面活性剤の具体例としては、ソル
ビタントリステアレート、ソルビタンモノパルミテー
ト、ソルビタントリオレート、ステアリン酸モノグリセ
リド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等が
挙げられる。アニオン系界面活性剤の具体例としては、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸
ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウ
ム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル硫
酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物
などが挙げられる。
【0096】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン
やN−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、商
品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。カチオン活性剤の具体例としては、ラウリルアミン
アセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ア
ルキルベンジルジメチルアンモンモニウムクロライドな
どが挙げられる。上記界面活性剤の感光層全固形物中に
占める割合は、0.05〜15重量%が好ましく、より
好ましくは0.1〜5重量%である。
【0097】画像記録層には、場合によりさらに、上記
の界面活性剤の添加量の範囲内でフッ素系の界面活性剤
を用いることもできる。具体的にはパーフルオロアルキ
ル基を有する界面活性剤が好ましく、カルボン酸、スル
ホン酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのいづれかを
有するアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族アミン、
第4級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性
剤、又はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポリオキ
シ化合物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキシド縮
合型、ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオン型界
面活性剤などが挙げられる。
【0098】〔塗布〕上記した各構成成分から選択され
た成分を混合し、調整された塗布液を、後述の支持体等
の上に、従来公知の塗布方法のいずれかを用いて、塗布
・乾燥し、成膜する。塗布する方法としては、公知の種
々の方法を用いることができるが、例えば、バーコター
塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディッ
プ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布
等を挙げることができる。本発明の平版印刷版用原版の
感光層中には、塗布性を良化するための界面活性剤、例
えば、前述した各種界面活性剤を添加することができ
る。好ましい添加量は、感光層全固形物分に対し、0.
01〜1重量%であり、更に好ましくは0.05〜0.
5重量%である。
【0099】塗布、乾燥後に得られる感光層塗布量(固
形分)は、用途によって異なるが、一般的な平版印刷版
用原版についていえば、0.1〜30g/m2が好まし
く、0.3〜10g/m2がより好ましい。また、上記
塗布工程で画像記録層が形成された平版印刷版用原版の
画像記録層を、カルボキシル基、水酸基、硫酸基、スル
ホン酸基、スルフィン基、リン酸基、硝酸基、ハライド
基等の親水性基と下記の各一般式のR1の説明に示すハ
ロゲン化銀へ吸着する金属吸着基とを合わせ持つ有機硫
黄化合物で処理すると、この硫黄化合物が画像記録層に
含有されている金属微粒子に吸着されて画像記録層の親
水性が向上する。像様光の照射領域の金属微粒子は、熱
融着層を形成するので有機硫黄化合物の効果は失われ、
有機硫黄化合物による処理を行わなかったときと同様に
疎水性である。その結果、非照射領域の親水性と照射領
域の疎水性の差がより大きくなり識別性が一層高くな
る。好ましい硫黄化合物は、次の一般式(A)〜一般式
(D)で示される。
【0100】 RSM 一般式(A) RSR 一般式(B) RSSR 一般式(C)
【0101】
【化8】
【0102】上記一般式(A)、一般式(B)及び一般
式(C)において、Mは、水素原子、アルカリ金属原
子、アルカリ土類金属原子、アンモニウム基を表し、R
はXn、R7を示す。ここにXは、OH、CO2M、NH
2、SO3M、SO4M、SO2M及びアミノ基から選択さ
れる水溶性基であり、Mは前記と同義である。nは、1
〜4の整数である。R7はXで表される水溶性基で置換
された、炭素数が1〜12、好ましくは1〜8の、アル
キル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、ア
ルキルアミノ基及びヘテロ環基を表す。
【0103】R7がヘテロ環基の場合、好ましいヘテロ
環基は、イミダゾール基、オキサゾール基、チアゾール
基、ピラゾール基、イソチアゾール基、インダゾール
基、トリアゾール基、テトラゾール基、チアジアゾール
基、イミダゾリン基、オキサゾリン基、チアゾリン基、
ピラゾリン基、イソチアゾリン基、インダゾリン基、チ
アゾリジン基などのアゾール基、ピラジル基、ピペラジ
ル基、ピペリジル基、ピリダジン基、ピロロ基、ピリジ
ル基、モルホリノ基、チアジノ基などを挙げることがで
きる。また、R7基は、R’基を置換基として有しても
よく、R’基はR7基と同義である。また、2つのR7
が結合して環を形成してもよい。同一分子内に複数のR
7基やR’基が含まれる場合、R7基同士、R’基同士あ
るいはR7基とR’基とは、同じでも異なってもよい。
上記一般式(B)及び(C)における同一分子内の2つ
のRは、上記のRの定義に従うかぎり、互いに同じであ
っても異なってもよい。
【0104】一般式(D)において、R8およびR9
は、チオカルボニル基と結合しており、それぞれRと同
義である。また、各一般式において、分子中に2個以上
のR基、R8基およびR9基を有する場合、それらは同じ
でも異なってもよい。以下に上記一般式(A)〜(D)
の化合物の具体例を示す。
【0105】
【化9】
【0106】
【化10】
【0107】
【化11】
【0108】上記有機硫黄化合物による処理は、該有機
硫黄化合物を含む溶液に平版印刷版用原版を浸漬して行
われる。有機硫黄化合物を含む溶液の有機硫黄化合物の
濃度は、その化合物の溶解度以下の任意の濃度を選ぶこ
とができるが、通常10-5〜101mo1/リットル、
好ましくは10-4〜100mo1/リットル、より好ま
しくは10-3〜10-1mol/リットルの水溶液を用い
て30秒〜10分程度、好ましくは30秒から3分程度
の浸漬処理を行う。その際、温度は室温でよいが、温水
としてもよく、また溶液に適当な撹拌を加えることが好
ましい。また有機硫黄化合物の溶液の溶媒には通常水が
用いられるが、メタノール、エタノール、アセトンなど
水と混和性の有機溶剤が混合された水性溶媒でもよい。
有機硫黄化合物による親水化処理は、前述の浸漬方法に
よる以外にも、印刷版用原版を作製する際に、塗布液へ
該化合物を添加して用いることもできる。上記有機硫黄
化合物の添加量は、画像記録層全固形分に対して、0.
1〜10重量%、より好ましくは、1〜5重量%含有さ
れる。
【0109】次に、本発明の平版印刷版用原版が発熱層
を有する場合について説明する。前記光熱変換剤は、本
発明の平版印刷版用原版の画像記録層に含有させること
に加え、さらに該画像記録層と隣接する下層を発熱層と
して、この発熱層に含有させることが、発熱効率の向上
や断熱効果等の点で好ましい。親水性画像記録層の下に
設けられる該発熱層は、熱伝導率が低く支持体への熱拡
散を抑制する有機性または無機性の樹脂、および、発熱
源となる光熱変換剤からなる。有機あるいは無機高分子
化合物からなる樹脂は、親水性あるいは、疎水性のもの
から広く選択することができる。
【0110】例えば疎水性を有する樹脂としてはポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、
アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、
ポリビニルブチラール樹脂、ニトロセルロース、ポリア
クリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、
ポリウレタン、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコ
ール共重合体、塩化ビニル−樹脂ビニル−マレイン酸共
重合体、塩化ビニル−アクリレート共重合体、ポリ塩化
ビニリデン、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合
体などがあげられる。前記疎水性を有する樹脂は、水性
エマルジョンから構成されたものも用いることができ
る。水性エマルジョンとは、微小なポリマー粒子と、必
要に応じて該粒子を分散安定化する保護剤とからなる粒
子を水中に分散させた疎水性ポリマー懸濁水溶液のこと
である。
【0111】本発明に用いられる水性エマルジョンの具
体例としては、ビニル系ポリマーラテックス(ポリアク
リレート系、酢酸ビニル系、エチレン−酢酸ビニル系な
ど)、共役ジエン系ポリマーラテックス(メタクリル酸
メチル−ブタジエン系、スチレン−ブタジエン系、アク
リロニトリル−ブタジエン系、クロロブレン系など)お
よびポリウレタン樹脂などが挙げられる。次に、親水性
を有する樹脂としては、具体的には、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、カルボキシ変性PVA等の変性PV
A、澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース誘
導体、アルギン酸アンモニウム、ポリアクリル酸、ポリ
アクリル酸塩、ポリエチレンオキサイド、水溶性ウレタ
ン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、ポリヒドロキシエチ
ルアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレー
ト系ポリマー、N−ビニルカルボン酸アミドポリマー、
カゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニ
ル−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
体等の水溶性樹脂等が挙げられる。
【0112】又、上記親水性を有する樹脂を架橋し、硬
化させて用いることが好ましく、耐水化剤としては、グ
リオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホ
ルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロー
ル尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリア
ミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンや
ビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビ
ニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、ポリアミド・ポリアミン・
エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒド
リン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステ
ルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、
ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共
重合物などのポリカルボン酸類、ほう酸、チタニルスル
フェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系
架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられ
る。そのほか、塩化アンモニウム、シランカップリング
剤、チタネートカップリング剤などの架橋触媒を併用で
きる。
【0113】さらに、無機高分子としては、ゾルゲル変
換によって形成される無機マトリックスが好ましい。本
発明に好ましく適用できるゾルゲル変換が可能な系は、
多価元素に結合した結合基が酸素原子を介して網目状構
造を形成し、同時に多価金属は未結合の水酸基やアルコ
キシ基も有していてこれらが混在した樹脂状構造となっ
ている高分子体であって、アルコキシ基や水酸基が多い
段階ではゾル状態であり、エーテル結合化が進行するの
に伴って網目状の樹脂構造が強固となる。また、樹脂組
織の親水性度が変化する性質に加えて、水酸基の一部が
固体微粒子に結合することによって固体微粒子の表面を
修飾し、親水性度を変化させる働きをも併せ持ってい
る。ゾルゲル変換を行う水酸基やアルコキシ基を有する
化合物の多価結合元素は、アルミニウム、珪素、チタン
及びジルコニウムなどであり、これらはいずれも本発明
に用いることができる。親水性層との接着性の観点か
ら、これら樹脂のうち、とくに親水性樹脂が好ましい。
【0114】発熱層に含有させる光熱変換剤としては、
前述の光熱変換剤ものと同様のものを用いることができ
る。発熱層中には、上記した樹脂および光熱変換剤のほ
かに、発熱層の物理的強度の向上、層を構成する組成物
相互の分散性の向上、塗布性の向上、親水性層との接着
性向上などの理由で、種々の目的の化合物を添加するこ
とができる。これらの添加物には、例として以下のもの
が挙げられる。
【0115】<無機微粒子>これらの添加物としては、
シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウ
ム、アルギン酸カルシウムなどが挙げられ、これらは光
熱変換性ではなくても皮膜の強化などに用いることがで
きる。 <界面活性剤>本発明の発熱層中には、塗布性を改良す
るため、ノニオン系及びアニオン系界面活性剤のほか、
特開平2−195356号公報に記載されているような
カチオン界面活性剤、含フッ素界面活性剤、及び特開昭
59−121044号及び特開平4−13149号公報
に記載されている両性界面活性剤を添加することができ
る。上記界面活性剤の発熱層全固形物中に占める割合
は、0.05〜15重量%が好ましく、より好ましくは
0.1〜5重量%である。
【0116】発熱層には、場合によりさらに、上記の界
面活性剤の添加量の範囲内でフッ素系の界面活性剤を用
いることもできる。具体的にはパーフルオロアルキル基
を有する界面活性剤が好ましく、カルボン酸、スルホン
酸、硫酸エステル及びリン酸エステルのいづれかを有す
るアニオン型の界面活性剤、又は、脂肪族アミン、第4
級アンモニウム塩のようなカチオン型の界面活性剤、又
はベタイン型の両性界面活性剤、又は、ポリオキシ化合
物の脂肪族エステル、ポリアルキレンオキシド縮合型、
ポリエチレンイミン縮合型のようなノニオン型界面活性
剤などが挙げられる。
【0117】次に、本発明の平版印刷版用原版がオーバ
ーコート層を有する場合について説明する。本発明の平
版印刷版用原版は、その画像記録層の汚れを防止するこ
とを目的に、該画像記録層上にオーバーコート層を設け
ても良い。この様なオーバーコート層は、主に水溶性高
分子化合物からなる。オーバーコート層に含有される水
溶性高分子化合物は、オーバーコート層の結着樹脂とし
て機能する。水溶性高分子化合物としては、例えば水酸
基、カルボキシル基、塩基性窒素含有基等の基を十分に
有する高分子が挙げられる。
【0118】具体的には、ポリビニルアルコール(PV
A)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、アラビア
ガム、ポリアクリルアミド及びその共重合体、アクリル
酸共重合体、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共
重合体、酢酸ビニル/無水マレイン酸共重合体、スチレ
ン/無水マレイン酸共重合体、焙焼デキストリン、酵素
分解デキストリン、酵素分解エーテル化デキストリン、
澱粉およびその誘導体、カルボキシメチルセルロース、
カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒド
ロキシエチルセルロースのようなセルロース誘導体、カ
ゼイン、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル
−クロトン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合
体、アルギン酸及びそのアルカリ金属塩、アルカリ土類
金属塩又はアンモニウム塩、ポリアクリル酸、ポリ(エ
チレンオキサイド)、水溶性ウレタン樹脂、水溶性ポリ
エステル樹脂、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、N
−ビニルカルボン酸アミドポリマー等が挙げられる。
【0119】なかでも、ポリビニルアルコール(PV
A)、カルボキシ変性PVA等の変性PVA、アラビア
ガム、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、アクリル
酸共重合体、ポリビニルピロリドン、アルギン酸及びそ
のアルカリ金属塩の使用が好ましい。塗布液中の上記水
溶性樹脂の含有量は、3〜25重量%が適当であり、好
ましい範囲は10〜25重量%である。なお、本発明に
おいては上記水溶性樹脂を2種以上混合使用しても良
い。
【0120】また、オーバーコート層が含有する他の成
分として、画像記録層の熱融着を効果的に行うため、発
熱層に記載した光熱変換剤を含有してもよい。また、塗
布液中には、そのほかに種々の界面活性剤を添加しても
よい。使用できる界面活性剤としてはアニオン界面活性
剤又はノニオン界面活性剤が挙げられる。アニオン界面
活性剤としては脂肪族アルコール硫酸エステル塩類、脂
酒石酸、リンゴ酸、乳酸、レプリン酸、有機スルホン酸
などがあり、鉱酸としては硝酸、硫酸、燐酸等が有用で
ある。鉱酸、有機酸又は無機塩等の少なくとも1種もし
くは2種以上併用してもよい。用いられる界面活性剤と
しては、前述の親水性画像記録層に用いられる界面活性
剤と同様なものを用いることができる。界面活性剤は水
可溶性層の全固形分当たり、好ましくは0.01〜1重
量%であり、更に好ましくは0.05〜0.5重量%で
ある。
【0121】上記成分の他、必要により湿潤剤としてグ
リセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコー
ル等の低級多価アルコールも使用することができる。こ
れら湿潤剤の使用量はオーバーコート層中に0.1〜
5.0重量%となる量が適当であり、好ましい範囲は
0.5〜3.0重量%となる量である。以上の他に本発
明の平版印刷版用原版のオーバーコート層の塗布液に
は、防腐剤などを添加することができる。例えば安息香
酸及びその誘導体、フェノール、ホルマリン、デヒドロ
酢酸ナトリウム等を0.005〜2.0重量%の範囲で
添加できる。塗布液には消泡剤を添加することもでき
る。好ましい消泡剤には有機シリコーン化合物が含ま
れ、その添加量は0.0001〜0.1重量%の範囲が
好ましい。
【0122】つぎに画像記録層、発熱層等を塗設する支
持体について述べる。支持体には、寸度的に安定な板状
物が用いられる。本発明に用いることができる支持体と
しては、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた
紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅、ニッケ
ル、ステンレス鋼等)、プラスチックフィルム(例え
ば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン
酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、
硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネ
ート、ポリビニルアセタール等)、上記の金属がラミネ
ート又は蒸着された紙もしくはプラスチックフィルム等
が含まれる。好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、アルミニウム、又は印刷版上で腐食しにくいSUS
鋼板であり、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価
であるアルミニウム板が好ましい。
【0123】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10重量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる支
持体の厚みはおよそ0.05mm〜0.6mm程度、好
ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.
15mm〜0.3mmである。
【0124】アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所
望により、表面の圧延油を除去するための例えば界面活
性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶液などによる脱脂
処理が行われる。アルミニウム板の表面の粗面化処理
は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗
面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法
および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われ
る。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨
法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用
いることができる。化学的方法としては、特開昭54−
31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミ
ニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。ま
た、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸など
の酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法が
ある。また、特開昭54−63902号に開示されてい
るように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用すること
ができる。このような粗面化方法のうち、特に特開昭5
5−137993号公報に記載されているような機械的
粗面化と電気化学的粗面化を組合せた粗面化方法が、感
脂性画像の支持体への接着力が強いので好ましい。
【0125】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線表面粗さ(Ha)が0.3〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗
面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウ
ムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエ
ッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望に
より耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
【0126】アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられ
る電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電
解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、ク
ロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電
解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽
極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるの
で一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1
〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜6
0A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の
範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、
1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2
あることが好ましい。陽極酸化皮膜の量は1.0g/m
2より少ないと耐刷性が不十分であったり、傷が付き易
くなる。
【0127】これらの陽極酸化処理の内でも、とくに英
国特許第1,412,768号公報に記載されている硫
酸中で高電流密度で陽極酸化する方法及び米国特許第
3,511,661号公報に記載されている燐酸を電解
浴として陽極酸化する方法が好ましい。
【0128】支持体と画像記録層の密着性を確保するた
めに支持体表面にシランカップリング剤や、場合によっ
てはチタンカップリング剤を含んだ下塗り液を塗布して
もよい。シランカップリング剤は、主に一般式(RO)
3SiR'(R、R’はアルキル基など)で表され、RO
基は加水分解してOH基となって支持体表面とエーテル
結合で結合し、一方R’基が画像記録層の結着樹脂と加
水分解とエーテル結合形成を行って密着性が向上する。
シランカップリング剤としては、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキ
シ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシ
シラン、γ−グリコシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロ
ピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−
(β−アミノプロピル)ジメトキシシランなどが挙げら
れる。画像記録層との密着性を確保するためには、プラ
スチック支持体は塗布の前に公知の方法で帯電処理が施
される。
【0129】〔製版方法〕次に、この平版印刷版用原版
からの平版印刷版の製版方法について説明する。この平
版印刷版用原版は、波長760〜1200nmの赤外線
を放射する固体レーザー又は半導体レーザー、キセノン
放電灯などの高照度フラッシュ光や赤外線ランプ露光な
どの光熱変換型の露光も用いることができる。
【0130】画像の書き込みは、面露光方式、走査方式
のいずれでもよい。前者の場合は、赤外線照射方式や、
キセノン放電灯の高照度の短時間光を原版上に照射して
光・熱変換によって熱を発生させる方式である。赤外線
灯などの面露光光源を使用する場合には、その照度によ
っても好ましい露光量は変化するが、通常は、印刷用画
像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2
の範囲であることが好ましく、0.1〜1J/cm2
範囲であることがより好ましい。支持体が透明である場
合は、支持体の裏側から支持体を通して露光することも
できる。その露光時間は、0.01〜1msec、好ま
しくは0.01〜0.1msecの照射で上記の露光強
度が得られるように露光照度を選択するのが好ましい。
照射時間が長い場合には、熱エネルギーの生成速度と生
成した熱エネルギーの拡散速度の競争関係から露光強度
を増加させる必要が生じる。
【0131】後者の場合には、赤外線成分を多く含むレ
ーザー光源を使用して、レーザービームを画像で変調し
て原版上を走査する方式が行われる。レーザー光源の例
として、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、ヘ
リウムカドミウムレーザー、YAGレーザーを挙げるこ
とができる。レーザー出力が0.1〜300Wのレーザ
ーで照射をすることができる。また、パルスレーザーを
用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは
2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場
合の露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が
0.1〜10J/cm2の範囲であることが好ましく、
0.3〜1J/cm2の範囲であることがより好まし
い。支持体が透明である場合は、支持体の裏側から支持
体を通して露光することもできる。
【0132】平版印刷版を製版する際、画像露光した
後、必要であれば非画像部を保護するために版面保護剤
(いわゆる、ガム液)を含んだ整面液を塗布する「ガム
引き」といわれる工程が行なわれる。ガム引きは、平版
印刷版の親水性表面が空気中の微量混入成分の影響を受
けて親水性が低下するのを防ぐため、非画像部の親水性
を高めるため、製版後印刷するまでの期間又は印刷を中
断してから再び開始するまでの間に平版印刷版が劣化す
るのを防止するため、印刷機に取りつける場合などのよ
うに平版印刷版を取り扱う時に指の油、インキなどが付
着して非画像がインキ受容性となって、汚れるのを防止
するため、更に、平版印刷版を取り扱う時に非画像部及
び画像部に傷が発生することを防止するため、などの種
々の目的をもって行われる。
【0133】この目的に使用される皮膜形成性を有する
水溶性樹脂の好ましい具体例としては、例えばアラビア
ガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロ
ース、カルボキシエチルセルロース、メチルセルロース
等)及びその変性体、ポリビニルアルコール及びその誘
導体、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド及び
その共重合体、アクリル酸共重合体、ビニルメチルエー
テル/無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル/無水マレ
イン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、
焙焼デキストリン、酵素分解デキストリン、酵素分解エ
ーテル化デキストリン等が挙げられる。整面液中の保護
剤中の上記水溶性樹脂の含有量は、3〜25重量%が適
当であり、好ましい範囲は10〜25重量%である。な
お、本発明においては上記水溶性樹脂を2種以上混合使
用しても良い。
【0134】平版印刷版用版面保護剤には、そのほかに
種々の界面活性剤を添加してもよい。使用できる界面活
性剤としてはアニオン界面活性剤又はノニオン界面活性
剤が挙げられる。アニオン界面活性剤としては脂肪族ア
ルコール硫酸エステル塩類、脂酒石酸、リンゴ酸、乳
酸、レプリン酸、有機スルホン酸などがあり、鉱酸とし
ては硝酸、硫酸、燐酸等が有用である。鉱酸、有機酸又
は無機塩等の少なくとも1種もしくは2種以上併用して
もよい。
【0135】上記成分の他、必要により湿潤剤としてグ
リセリン、エチレングリコール、トリエチレングリコー
ル等の低級多価アルコールも使用することができる。こ
れら湿潤剤の使用量は保護剤中に0.1〜5.0重量%
が適当であり、好ましい範囲は0.5〜3.0重量%で
ある。以上の他に本発明の平版印刷版用版面保護剤に
は、防腐剤などを添加することができる。例えば安息香
酸及びその誘導体、フェノール、ホルマリン、デヒドロ
酢酸ナトリウム等を0.005〜2.0重量%の範囲で
添加できる。版面保護剤には消泡剤を添加することもで
きる。好ましい消泡剤には有機シリコーン化合物が含ま
れ、その添加量は0.0001〜0.1重量%の範囲が
好ましい。
【0136】版面保護剤には画像部の感脂性低下を防ぐ
ため有機溶剤を含有させることができる。好ましい有機
溶剤には水難溶性のものであり、沸点が約120℃〜約
250℃の石油留分、例えばジブチルフタレート、ジオ
クチルアジペートなどの凝固点が15℃以下で沸点が3
00℃以上の可塑剤が挙げられる。このような有機溶剤
は0.05〜5重量%の範囲で添加される。版面保護剤
は均一溶液型、サスペンジョン型、エマルジョン型のい
ずれの形態をも採ることができるが、特に上記のような
有機溶剤を含むエマルジョン型において、すぐれた性能
を発揮する。この場合、特開昭55−105581号公
報に記載されているように界面活性剤を組合せて含有さ
せることが好ましい。
【0137】画像露光され、露光後に水現像され、更に
必要であればガム引きを行った印刷版用原版は、印刷機
に版を装着し印刷を行うこともできる。また、露光後た
だちに(現像工程を経ずに)印刷機に版を装着し印刷を
行うこともできる。あるいは、印刷機に印刷版用原版を
装着しておいて、レーザーによる画像状の走査露光を行
って機上で平版印刷版を形成させることもできる。即
ち、本発明の平版印刷版用原版を使用する製版方法で
は、特に現像処理を経ることなく平版印刷版を製版し得
る。
【0138】
【実施例】以下、実施例により、本発明を詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 合成例1<熱可塑性微粒子ポリマーA(疎水性化前駆体
A)の作製> スチレン100g、水200g、界面活性剤XL−10
2F(ライオン(株)製)(4.7%水溶液)10gを三ツ
口フラスコに入れ、窒素を注入しながら、80℃に昇温
した。その後約30分攪拌後、K2S2O8を1g添加し、8
0℃で6時間乳化重合を行い、粒径約0.1μmのポリ
スチレン微粒子Aを作成した。
【0139】合成例2<熱可塑性微粒子ポリマーB(疎
水性化前駆体B)の作製> メチルメタクリレート15.0gに、ポリオキシエチレ
ンフェノール水溶液(濃度9.8×10-3mol/リットル)2
00mlを加え、250rpmで攪拌しながら、系内を窒素
ガスで置換した。この溶液を25℃にした後、セリウム
(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度0.984×10-3mol
/リットル)10ml添加した。この際硝酸アンモニウム水溶
液(濃度58.8×10-3mol/リットル)を加え、pH1.
3〜1.4に調整した。その後6時間これを攪拌した。
このようにして得られた液の固形分濃度は10.5%で
あり、平均粒径は0.1μmであった。
【0140】合成例3<熱可塑性微粒子ポリマーC(疎
水性化前駆体C)の作製> グリシジルメタクリレート2.0g、メチルメタクリレ
ート13.0g、ポリオキシエチレンフェノール水溶液
(濃度9.8×10-3mol/リットル)200mlを加え、25
0rpmでかき混ぜながら、系内を窒素ガスで置換する。
この液を25℃にした後、セリウム(IV)アンモニウム塩
水溶液(濃度0.984×10-3mol/リットル)10mlを添
加する。この際硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8
×10-3mol/リットル)を加え、pH1.3〜1.4に調整
する。その後8時間これを攪拌した。このようにして得
られた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は
0.4μmであった。
【0141】合成例4<マイクロカプセルD(疎水性化
前駆体D)の作製> 油相成分として、キシレンジイソシアネート40g、ト
リメチロールプロパンジアクリレート10g、アリルメ
タクリレートとブチルメタクリレートの共重合体(モル
比7/3)10g、パイオニンA41C(竹本油脂製)0.1
gを酢酸エチル60gに溶解した。水相成分として、P
VA205(クラレ製)の4%水溶液を120g作製し
た。油相成分および水相成分をホモジナイザーを用いて
15000rpmで乳化した。その後、水を40g添加
し、室温で30分、さらに40℃で3時間攪拌した。こ
のようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度
は20%であり、平均粒径は0.3μmであった。
【0142】合成例5<親水性Agコロイドの調製> 蒸留水228mlとクエン酸ナトリウム水溶液(32wt%)3
92mlの混合水溶液を約1℃に冷却し、攪拌しながら、
硫酸第一鉄水溶液(30wt%)70mlを添加した。均一に混
合された後、激しく攪拌しながら、硝酸銀水溶液(10wt
%)70mlを30秒以内に添加終了するように添加した。
約10分後に攪拌を停止した。出来上がったAgコロイ
ド中の不要な塩類を除去するため、UF装置で水洗を施
した。UF装置はAmicon社のCH2PRS型を用い、フィルタ
ーはS1Y30(カットオフ分子量30,000)を用いた。水洗
は、伝導度が約50μS/cmになるまで行った。水洗
後、Ag濃度が2wt%になるように調整した。Agコロ
イドの平均粒子サイズは6.5nmであった。
【0143】合成例6<比較用親水性Agコロイドの調
製> クエン酸ナトリウム水溶液(32wt%)784mlの混合水溶
液を約1℃に冷却し、攪拌しながら、硫酸第一鉄水溶液
(30wt%)140mlを添加した。均一に混合された後、激
しく攪拌しながら、硝酸銀水溶液(10wt%)140mlを3
0秒以内に添加終了するように添加した。約10分後に
攪拌を停止した。出来上がったAgコロイド中の不要な
塩類を除去するため、UF装置で水洗を施した。UF装
置はAmicon社のCH2PRS型を用い、フィルターはS1Y30(カ
ットオフ分子量30,000)を用いた。水洗は、伝導度が約
50μS/cmになるまで行った。水洗後、Ag濃度が2
wt%になるように調整した。Agコロイドの平均粒子サ
イズは15nmであった。
【0144】〔実施例1〕 <アルミニウム支持体の作製>99.5質量%アルミニ
ウムに、銅を0.01質量%、チタンを0.03質量
%、鉄を0.3質量%、ケイ素を0.1質量%含有する
JIS A105のアルミニウム材の厚み0.24mm圧延
板を、400メッシュのパミストン(共立窯業製)の20
質量%水性懸濁液と、回転ナイロンブラシ(6,10-ナイロ
ン)とを用いてその表面を砂目立てした後、よく水で洗
浄した。次に、10質量%水酸化ナトリウム水溶液に7
0℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗
した。更に、20質量%硝酸水溶液で中和し、水洗浄し
た。得られたアルミニウム板を1.0質量%硝酸水溶液
(硝酸アルミニウム0.5質量%含有)中で、陽極時電圧
12.7ボルト、陽極時電気量に対する陰極時電気量の
比が0.9、陽極時電気量160クローン/dm2の条件
の矩形波交番波形の電流を用いて電解粗面化処理を行っ
た。得られた基板の表面粗さは、0.6μm(Ra表示)で
あった。この処理に続いて、40℃の1質量%水酸化ナ
トリウム水溶液中に30秒間浸漬して、エッチングした
後、水洗した。次に、55℃、30質量%の硫酸水溶液
中に1分間浸漬した。さらに、35℃の硫酸20質量%
水溶液(アルミニウム0.8質量%含有)中で直流電流を
用いて、陽極酸化皮膜質量が2.5g/dm2となるよう
に陽極酸化処理を行った。これを水洗、乾燥して支持体
を作製した。
【0145】<画像記録層の塗設>下記組成からなる水
系塗布液を調製し、前記アルミニウム支持体上にバーコ
ーターにて、乾燥膜質量が3.0g/m2になるように塗
布を行い、次いでオーブンにて100℃10分間乾燥し
た。
【0146】 (画像記録層塗布液組成) PVA117(クラレ(株)製)5%水溶液 100 g コロイダルシリカ20%水溶液 125 g ゾルゲル調製液 49.5 g 疎水性化前駆体A 200 g 合成例5で調製した銀コロイド水溶液 20 g 下記赤外光吸収染料(1) 0.05g 水 505.5 g
【0147】ここに使用したゾルゲル調製液は、下記の
組成をもつ。
【0148】 (ゾルゲル調製液:室温、2時間熟成) テトラエトキシシラン 15.0g エタノール 30.0g 0.1モル/リットル硝酸 4.5g
【0149】
【化12】
【0150】得られた平版印刷版用原版の表面の水滴接
触角を測定したところ、拡張濡れを示して非常に親水性
の高い表面であった。
【0151】<画像形成>水冷式40W赤外線半導体レ
ーザを搭載したクレオ社製トレンドセッター3244V
FSにて、出力8.5W、外面ドラム回転数100rp
m、版面エネルギー200mJ/cm2、解像度2400dpi
の条件で露光し、露光部表面に熱融着した画像領域が形
成された。この印刷版の照射領域表面の水滴接触角は1
08度を示し、疎水性の高い表面に変化した。その後現
像処理することなく、製版した。
【0152】<印刷>印刷機にRYOBI-3200MCDを用い、
湿し水にEU-3(富士写真フイルム(株)製)の1容量%水溶
液を用い、インキはGEOS(N)墨を用いた。はじめに、湿
し水の供給を行い、次いでインクを供給して印刷を開始
し、10,000枚まで印刷汚れがなく、高品質な印刷物が得
られた。
【0153】〔実施例2〜4〕実施例1の疎水性化前駆
体Aを疎水性化前駆体B、CおよびDに各々変更し、実
施例1と同様に平版印刷版用原版を作製した。得られた
印刷版用原版表面の水滴接触角を測定したところ、いず
れも拡張濡れを示して非常に親水性の高い表面であっ
た。次いで、同様に画像形成、印刷評価を行った結果を
表1に示す。
【0154】
【表1】
【0155】〔実施例5〜10〕実施例1において、画
像記録層用の塗布液に用いた合成例5のAgコロイド2
質量%に代えて、下記表2に示される金属コロイド2質
量%溶液を用いて調製した以外は、実施例1と同様に版
材を作成した。このようにして作製した平版印刷版用原
版表面の水滴接触角を測定したところ、いずれも拡張濡
れを示し、非常に親水性の高い表面であった。像様照射
によって得られた印刷版の照射領域表面の金属コロイド
およびポリスチレン微粒子が熱融着した領域の水滴接触
角は表2に示す通りであり、着肉は均一で非画像部の地
汚れもなく良好な印刷物を得た。さらに10,000枚まで印
刷汚れがなく、高品質な印刷物が得られた。
【0156】
【表2】
【0157】〔実施例11〕実施例1のアルミニウム支
持体と画像記録層の間に下記組成の発熱層を設けた以外
は、実施例1と同様に版材を作成した。 <発熱層の作製>下記組成の塗布液を調整し、上記の陽
極酸化アルミニウム支持体上に、1.0g/m2厚の発熱
層を作成した。
【0158】 ブチラール樹脂BM-S(積水化学(株)製) 10%MEK溶液 59g カーボンブラック分散物(固形分21%) 13.5g MEK(メチルエチルケトン) 62.7g
【0159】次いで、レーザー露光による像様照射およ
び、印刷評価を行った。結果は、実施例1と比較して、
さらに少ない露光エネルギー(版面エネルギー120mJ
/cm2)で画像形成が可能であり、実施例1と同様に、1
0,000枚まで印刷汚れがなく、高品質な印刷物が得られ
た。
【0160】〔実施例12〕下記組成からなる水系塗布
液を調製し、実施例11記載の平版印刷版用原版の親水
性画像記録層上にバーコーターで0.5g/m2の乾燥膜
厚になるようにオーバーコート層を塗布し、オーブン中
で100℃1分間乾燥した。
【0161】 (オーバーコート層塗布液組成) ポリアクリル酸(平均分子量20,000)10%溶液 350 g 前記赤外光吸収染料(1)(1質量%水溶液) 2.5g
【0162】実施例11と比較して、さらに少ない露光
エネルギー(版面エネルギー100mJ/cm2)で画像形成
が可能であり、実施例11と同様に、10,000枚まで印刷
汚れがなく、高品質な印刷物が得られた。
【0163】〔比較例1〕(赤外光吸収染料なし) 実施例1において、画像記録層用の塗布液に用いた赤外
光吸収染料(1)を除いた以外は、実施例1と同様に版材
を作成した。このようにして作製した平版印刷版用原版
表面の水滴接触角を測定したところ、いずれも拡張濡れ
を示し、非常に親水性の高い表面であった。実施例1と
同様の露光エネルギーにより像様照射して得られた印刷
版の照射領域表面の金属コロイドおよびポリスチレン微
粒子が熱融着した領域の水滴接触角は96°であり、刷
り始めの着肉は均一であったが、5,000枚で着肉不良が
生じ耐刷性の低下が認められた。
【0164】〔比較例2〕(金属微粒子なし) 実施例1において、画像記録層用の塗布液に用いた銀コ
ロイドを除いた以外は、実施例1と同様に版材を作成し
た。このようにして作製した平版印刷版用原版表面の水
滴接触角を測定したところ、いずれも拡張濡れを示し、
非常に親水性の高い表面であった。実施例1と同様の露
光エネルギーにより像様照射して得られた印刷版の照射
領域表面のポリスチレン微粒子が熱融着した領域の水滴
接触角は102°であり、刷り始めの着肉は均一であっ
たが、2,000枚で着肉不良が生じ耐刷性の低下が認めら
れた。
【0165】〔比較例3〕(大サイズ金属微粒子) 実施例1において、画像記録層用の塗布液に用いた銀コ
ロイドを合成例6に示す粒子径の大きい銀コロイドに変
更した以外は、実施例1と同様に版材を作成した。この
ようにして作製した平版印刷版用原版表面の水滴接触角
を測定したところ、いずれも拡張濡れを示し、非常に親
水性の高い表面であった。実施例1と同様の露光エネル
ギーにより像様照射して得られた印刷版の照射領域表面
のポリスチレン微粒子が熱融着した領域の水滴接触角は
63°であり、十分疎水化することができず、刷り始め
の着肉も不均一であり、良好な印刷物が得られなかっ
た。
【0166】
【発明の効果】本発明の平版印刷版用原版は、感光層に
疎水性化前駆体と光熱変換剤と金属微粒子とを含有する
ことにより、現像処理を必要としないで簡易に製版で
き、直接に印刷機に装着して製版することも可能で、し
かも耐刷性にすぐれ、印刷面上の印刷汚れも少なく、レ
ーザー光による走査型の画像露光方式によって容易に製
版でき、画像部と非画像部との識別性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H025 AA00 AA12 AC08 AD01 AD03 BH03 CC08 CC20 FA03 FA10 2H096 AA00 AA07 BA16 BA20 EA04 2H114 AA04 AA24 BA01 DA04 DA15 DA25 DA38 DA51 DA73 DA78 EA01 EA03 EA04 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、疎水性化前駆体と光熱変換
    剤と金属微粒子とを含有する感光層を有する平版印刷版
    用原版。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008102758A1 (ja) * 2007-02-23 2008-08-28 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 平版印刷版材料、平版印刷版の作製方法及び平版印刷版
US7763159B2 (en) 2003-08-23 2010-07-27 Chul-sang Jeong Nanocomposite solution with complex-function and method for preparation thereof

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WO2008102758A1 (ja) * 2007-02-23 2008-08-28 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 平版印刷版材料、平版印刷版の作製方法及び平版印刷版

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