JP2002331768A - 平版印刷版用原版及び印刷方法 - Google Patents

平版印刷版用原版及び印刷方法

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JP2002331768A
JP2002331768A JP2001138925A JP2001138925A JP2002331768A JP 2002331768 A JP2002331768 A JP 2002331768A JP 2001138925 A JP2001138925 A JP 2001138925A JP 2001138925 A JP2001138925 A JP 2001138925A JP 2002331768 A JP2002331768 A JP 2002331768A
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JP2001138925A
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English (en)
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Naonori Makino
直憲 牧野
Kiyosuke Kasai
清資 笠井
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Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機上現像性が良好であり、高感度、かつ高耐
刷性を有する平版印刷版を安定して作製できる平版印刷
版用原版を提供する。更に、印刷機上で画像形成層を形
成後、レーザ光走査露光等による画像を形成し、非画像
部は湿し水、インク、擦り等により除去でき、印刷汚れ
がなく、耐刷性の優れた印刷ができる印刷方法を提供す
る。 【解決手段】 支持体上に、針状フイラー、及びSiが
酸素原子を介して繋がったシロキサン結合を有する樹脂
と該樹脂と水素結合を形成し得る基を有する有機ポリマ
ーとの複合体からなる結着剤を少なくとも含有する親水
性層を有する基板上に、熱可塑性微粒子を含有する画像
形成層を有することを特徴とし、前記画像形成層13
が、荷電を有する熱可塑性微粒子分散液と基板11との
間に、電界を印加し、前記基板11上に電着させ形成さ
れる工程を有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は平版印刷版用原版お
よび印刷方法に関する。詳しくは、印刷作業を行うのと
同じ印刷機上で、印刷版用原版の形成、ディジタル信号
に基づいた画像の走査露光による製版を行い、現像する
ことなしに同じ印刷機で高感度で耐刷性に優れた印刷が
繰り返し可能な平版印刷版用原版及び印刷方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とから成る。このような平版印刷版は、従
来、通常、親水性支持体上に、親油性の感光性樹脂層を
設けたPS版にリスフィルムを介してマスク露光した
後、非画像部を現像液によって溶解除去することにより
製版していた。
【0003】近年、画像情報をコンピュータを用いて電
子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く
普及し、その結果、レーザ光の様な指向性の高い活性放
射線をディジタル化された画像情報に応じて走査し、リ
スフィルムを介することなく、平版印刷版用原版に対し
て直接画像形成を行うコンピュータ トゥ プレート
(CTP)技術が切望されている。
【0004】他方、従来のPS版による印刷版の製造
は、露光の後、非画像部を溶解除去する行程が不可欠で
あり、さらに通常は、現像処理された印刷版を水洗した
り、界面活性剤を含有するリンス液、アラビアガム、澱
粉誘導体等を含む不感脂化液で処理する後処理行程も必
要であった。この様な付加的な湿式の処理が不可欠であ
るという点は、従来技術に対し、改善の望まれてきたも
う一つの課題である。特に近年は、地球環境への配慮が
産業界全体の大きな関心事となっている。処理の簡素
化、乾式化、無処理化は、この様な環境面と、先述のデ
ィジタル化に伴った工程の合理化の両方の観点から、従
来にも増して、強く望まれるようになってきている。即
ち、近年の製版、印刷業界では製版作業の合理化が進め
られており、上記のような複雑なリスフィルムを介した
画像露光や湿式現像処理を必要とせず、CTP画像記録
後等にそのまま印刷に使用できる印刷版用原版が望まれ
ている。
【0005】処理工程をなくす方法の一つに、露光済み
の印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリン
ダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによ
って、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼
ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、
そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が
完了する方式である。このような機上現像に適した平版
印刷版用原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を
有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるの
に適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
【0006】特開2000−141933号公報には、
支持体上に、水分散性または非水分散性高分子重合体微
粒子を含有する層を有する画像形成材料に、赤外線半導
体レーザー光源を用いて画像露光を行い、該微粒子の熱
融着により画像を形成した後、印刷機に取り付け、オフ
セットインキを用いて印刷を開始し、印刷の初期に現像
され印刷版が作製される製版方法が記載されている。特
開平10−58851号公報には、親水性結合剤、光を
熱に変化しうる化合物および疎水性熱可塑性重合体粒子
等を含有する水性ベース被覆物(感熱層)を親水性支持
体上に設けた平版印刷部材が示され、赤外線レーザーを
走査露光して疎水性熱可塑性重合体粒子を熱により合体
させて画像形成した後、湿し水および/またはインキに
より機上現像できることが記載されている。しかしなが
ら、このように高分子重合体粒子を単に熱による融着、
合体で画像を作る方法では、良好な機上現像性を示すも
のの、耐水性、画像強度が弱いために耐刷性が不十分と
いう問題がある。さらに、特開平10−58851号公
報には、印刷部材の像形成及び印刷が同じ装置で実施さ
れる平版印刷部材の製造及び装置が開示され、疎水性熱
可塑性重合体粒子等を含有する水性ベース被覆物(感熱
層)を親水性支持体上に設けた平版印刷部材が示されて
いるが、このように疎水性熱可塑性重合体粒子を単に熱
による融着、合体で画像を作る方法では、良好な機上現
像性を示すものの、耐水性、画像強度が弱いために耐刷
性が不十分という問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、上記のような先行技術の欠点を克服した平版印刷版
用原版及び印刷方法を提供することである。すなわち機
上現像性が良好であり、高感度、かつ高耐刷性を有する
平版印刷版を安定して作製できる平版印刷版用原版を提
供することである。本発明の更なる目的は、印刷機上で
画像形成層を形成後、レーザ光走査露光等による画像を
形成し、非画像部は湿し水、インク、擦り等により除去
でき、印刷汚れがなく、耐刷性の優れた印刷ができる印
刷方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の目
的を達成すべく、鋭意検討した結果、支持体上に、針状
フイラーと有機無機複合体とを含有する親水性層を設け
た基板を用い、該基板上に熱可塑性微粒子を含有する画
像形成層を形成した平版印刷版用原版を使用することに
より、レーザ光走査露光等による画像を形成することが
でき、非画像部は湿し水、インク、擦り等により除去で
き、印刷汚れがなく、耐刷性の優れた印刷ができること
を見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は以下の通
りである。
【0009】(1)支持体上に、針状フイラー、及びS
iが酸素原子を介して繋がったシロキサン結合を有する
樹脂と該樹脂と水素結合を形成し得る基を有する有機ポ
リマーとの複合体からなる結着剤を少なくとも含有する
親水性層を有する基板上に、熱可塑性微粒子を含有する
画像形成層を有することを特徴とする平版印刷版用原
版。 (2)前記熱可塑性微粒子がa)熱により溶融する疎水
性熱可塑性ポリマー微粒子、b)熱反応性感応基を有す
るポリマー微粒子、及びc)熱反応性感応基を有する化
合物を内包するマイクロカプセルのうちの少なくともい
ずれかであることを特徴とする前記(1)記載の平版印
刷版用原版。 (3)前記画像形成層が、荷電を有する熱可塑性微粒子
分散液と基板との間に、電界を印加し、基板上に電着さ
せた熱可塑性微粒子を含有することを特徴とする前記
(1)又は(2)記載の平版印刷版用原版。 (4)前記基板が印刷機版胴上に設置され、荷電を有す
る熱可塑性微粒子分散液と基板との間に、電界を印加
し、基板上に熱可塑性微粒子を電着させ画像形成層を形
成する工程、該画像形成層を画像露光工程、インク、水
または擦りにより非画像部を除去した後に印刷を行う工
程を有することを特徴とする印刷方法。
【0010】本発明による平版印刷版用原版は基板の親
水性層に針状フィラーと上記有機無機複合体との組み合
わせを用いることが特徴の一つであり、各材料の相互作
用が高く、針状フィラーの分散性が良好となるため、製
版後、耐刷性に優れた膜が得られると同時に、針状フィ
ラーが形成する特殊な表面形態、つまり微細な網目形状
が形成されるため、画像形成層中の樹脂成分が画像形成
の熱により溶融し前記網目に密着しアンカー効果が発現
することにより耐刷性を向上できると考えられる。
【0011】本発明の平版印刷版用原版は、前記親水性
層を有する支持体(基板)上の画像形成層(感熱層)の
形成において、通常の塗布による形成以外に、荷電を有
する熱可塑性微粒子(高分子重合体微粒子)分散物に、
電界を印加して支持体上に、該微粒子を電着させること
も可能であることが特徴であり、具体的には、電子写真
液体現像剤のトナー粒子をその荷電を利用して電界印加
(電着)することにより、画像形成層を形成できる。そ
の結果、画像形成層は均一な熱可塑性高分子重合体微粒
子を主成分として構成され、該高分子重合体微粒子は支
持体に電着しているため、塗布に比べ微粒子同士が接し
合った空隙のある半接着状態で存在している。従って、
赤外線領域のレーザー光等の走査露光により微粒子の熱
融着による画像形成において、高分子重合体微粒子の熱
融着性が良好であり、強固な画像強度が得られ、かつ未
露光部の非画像部では、該微粒子がある程度の集団とな
って除去されるため除去性が良く、即ち良好な現像性を
有し、印刷機上で湿し水、またはインクにより除去で
き、印刷汚れがなく、耐刷性の優れた平版印刷版が作製
可能である。
【0012】本発明の印刷方法の他の特徴は、印刷機上
で版胴に設置した基板上に前記の電着により、画像形成
層を形成し、レーザ露光部の粒子の熱融着により基板上
にネガ像を形成し、未露光部は印刷機上で湿し水、また
はインクにより除去し、印刷することも可能である。従
って、本発明の印刷方法は、印刷機上で画像形成層の電
着形成、画像露光することにより、製版の過程がなくな
るComputer To Cylinder (CTC)の印刷方式を実現でき
る。通常のPS版の作成に要した多くの時間とコストが
不要になり、低価格、短納期の印刷物作成が可能とな
る。
【0013】熱可塑性微粒子(高分子重合体微粒子)を
荷電微粒子とすることによる特徴、メリットを列挙する
と下記の通りである。 (1)分散液の分散安定性が良好であり製造安定化が図
れる。 (2)荷電粒子とすることで電界下で基板に付着できる
(高精度の塗布装置が不要)。 (3)電着によって、単なる塗布よりも基板にしっかり
と吸着する。 (4)電着によって、粒子間にも単なる塗布より相互作
用があり、接触状態が発生するため、熱融着効率が大き
く、未露光部も集団で除去されるため、機上現像性が優
れる。 (5)粒子が基板上に積み重なった3次元構造を有して
おり、露光後も各粒子が融着して3次元構造を維持して
いることが観察され、露光部の表面積が大きくなりイン
ク受容性に有利である。 (6)その他、重合体微粒子が電気絶縁性液体(非水系
溶媒)中に分散されているものであり、水溶性の樹脂も
必要がないため、画像の耐水性が優れる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明の平版印刷版用原版は、支持体上に、親
水性層と、画像形成層とを順に有するが、支持体上に、
親水性層を有する構成を基板という。
【0015】先ず本発明の親水性層に供される針状フィ
ラーについて説明する。本発明に用いられる針状フィラ
ーは、無機物でも有機物でもよく、特に限定されない。
無機針状フィラーとしては、金属、酸化物、複合酸化
物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、
窒化物、炭化物、硫化物及びこれらの少なくとも2種以
上の複合化物等が挙げられ、具体的には、シリカ、硝
子、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、酸化ジルコン、
酸化錫、チタン酸カリウム、硼酸アルミニウム、酸化マ
グネシウム、硼酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、塩基性硫酸マ
グネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸
カルシウム、硫酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケ
イ酸マグネシウム、リン酸カルシウム、窒化珪素、窒化
チタン、窒化アルミ、炭化珪素、炭化チタン、炭化亜鉛
及びこれらの少なくとも2種以上の複合化物等が挙げら
れる。好ましくは、シリカ、硝子、酸化チタン、アルミ
ナ、導電性酸化チタン(酸化錫ドープ)、チタン酸カリ
ウム、硼酸アルミニウム、酸化マグネシウム、炭酸カル
シウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸
マグネシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が
挙げられる。
【0016】有機針状フィラーとして炭素化合物、高分
子ウィスカー、セルロース類及びこれらの少なくとも1
種以上と無機化合物との複合物が挙げられ、具体的に
は、グラファイト、カーボンナノチューブ、ポリオキシ
メチレンウィスカー、芳香族ポリエステルウィスカー、
アラミドウィスカー、酢酸セルロース、エチルセルロー
ス、微生物セルロース等が挙げられる。好ましくは、グ
ラファイト、ポリ(p−オキシベンゾイル)ウィスカ
ー、ポリ(2−オキシ−6−ナフトイル)ウィスカー、
微生物セルロース等が挙げられる。
【0017】針状フィラーの大きさは、平均直径が3μ
m以下、平均長さが100μm以下であることが好まし
く、より好ましくは、平均直径が0.01〜3μm、平
均長さ1〜100μm、更に好ましくは、平均直径が
0.02μm、平均長さ1〜50μmである。また、針
状フィラーのアスペクト比(平均長さ/平均直径)は5
〜10,000程度が適当であり、好ましくは10〜
5,000程度、より好ましくは20〜2,500程度
である。これらの範囲内とすることにより、上記本発明
の効果が有効に発現される。
【0018】本発明においては、用いるフィラーの全て
が針状フィラーである必要はなく、針状フィラーは量は
全フィラー量の25質量%以上であることが好ましく、
より好ましくは全フィラー量の50質量%以上、更に好
ましくは75質量%以上である。
【0019】上記針状フィラー以外に併用することがで
きるフィラーは、無機粒子でも有機粒子でもよく、特に
限定されない。無機粒子としては、例えば、金属粉体、
金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属炭化物及び
これらの複合化物等が挙げられ、好ましくは金属酸化物
及び金属硫化物等であり、より好ましくはガラス、Si
O2、TiO2、ZnO、Fe2O3、ZrO2、SnO2、ZnS、CuS等の粒子
が挙げられる。また、有機粒子としては、例えば合成樹
脂粒子、天然高分子粒子等が挙げられ、好ましくはアク
リル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレ
ンイミン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリウレア、
ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、カルボキシメ
チルセルロールス、ゼラチン、デンプン、キチン、キト
サン等であり、より好ましくはアクリル樹脂、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の樹脂粒子が挙
げられる。
【0020】複合体(結着樹脂)と全フィラーの混合比
(質量比)は、結着樹脂/全フィラーが好ましくは80
/20〜5/95、より好ましくは70/30〜5/9
5、更に好ましくは60/40〜5/95である。
【0021】次に、本発明の親水性層に供される結着樹
脂について説明する。本発明の結着樹脂は、Si原子が
酸素原子を介して繋がった結合含有の樹脂、即ち、Si
含有樹脂と、この樹脂と水素結合を形成し得る基を含有
する有機ポリマーとの複合体から成る樹脂であることを
特徴とする。「Si含有樹脂と有機ポリマーとの複合
体」とは、ゾル状物質及びゲル状物質を含む意味に用い
る。
【0022】Si含有樹脂は「酸素原子−Si原子−酸
素原子」から成る結合を主として含有するポリマーを示
す。
【0023】Si含有樹脂は、下記一般式(I)で示さ
れるSi化合物の加水分解重縮合によって得られるポリ
マーであることが好ましい。 一般式(I) (R0)n0(Y)z-n 〔一般式(I)中、R0は水素原子、炭化水素基または
ヘテロ環基を表し、Yは反応性基を表し、M0はSiを
表し、zはM0(Si)の価数を表し、nは0、1、2、
3、または4を表す。但し、z−nは2以上である。〕 ここで、加水分解重縮合とは、反応性基が酸性ないし塩
基性条件下で加水分解、縮合を繰り返し、重合していく
反応である。
【0024】次に一般式(I)で示されるSi化合物に
ついて詳しく説明する。一般式(I)中のR0は、好ま
しくは、炭素数1〜12の置換されてもよい直鎖状もし
くは分岐状のアルキル基{例えば、メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシ
ル基等;これらの基に置換され得る基としては、ハロゲ
ン原子(塩素原子、フッ素原子、臭素原子)、ヒドロキ
シ基、チオール基、カルボキシ基、スルホ基、シアノ
基、エポキシ基、−OR′基(R′は、炭化水素基、例
えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、オクテニル基、2
−ヒドロキシエチル基、3−クロロプロピル基、2−シ
アノエチル基、N,N−ジメチルアミノエチル基、2−
ブロモエチル基、2−(2−メトキシエチル)オキシエ
チル基、2−メトキシカルボニルエチル基、3−カルボ
キシプロピル基、ベンジル基等を示す)、−OCOR′
基、−COOR′基、−COR′基、−N(R″)
(R″)(R″は、水素原子又は前記R′と同一の内容
を表し、各々同じでも異なってもよい)、−NHCON
HR′基、−NHCOOR′基、−Si(R′)3基、
−CONHR″基、−NHCOR′基等が挙げられる。
これらの置換基はアルキル基中に複数置換されてもよ
い)}、
【0025】炭素数2〜12の置換されてもよい直鎖状
又は分岐状のアルケニル基(例えば、ビニル基、プロペ
ニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、オ
クテニル基、デセニル基、ドデセニル基等、これらの基
に置換される基としては、前記アルキル基に置換される
基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換されてい
てもよい)、炭素数7〜14の置換されてもよいアラル
キル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、3−フェ
ニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチ
ル基等;これらの基に置換される基としては、前記アル
キル基に置換される基と同一の内容のものが挙げられ、
又複数置換されてもよい)、炭素数5〜10の置換され
てもよい脂環式基(例えば、シクロペンチル基、シクロ
ヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロ
ペンチルエチル基、ノルボニル基、アダマンチル基等、
これらの基に置換される基としては、前記アルキル基の
置換基と同一の内容のものが挙げられ、又複数置換され
てもよい)、炭素数6〜12の置換されてもよいアリー
ル基(例えばフェニル基、ナフチル基で、置換基として
は前記アルキル基に置換される基と同一の内容のものが
挙げられ、また複数置換されてもよい)、
【0026】又は、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子
から選ばれる少なくとも1種の原子を含有する縮環して
もよいヘテロ環基(例えばヘテロ環としては、ピラン
環、フラン環、チオフェン環、モルホリン環、ピロール
環、チアゾール環、オキサゾール環、ピリジン環、ピペ
リジン環、ピロリドン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾ
オキサゾール環、キノリン環、テトラヒドロフラン環等
で、置換基を含有してもよい。置換基としては、前記ア
ルキル基中の置換基と同一の内容のものが挙げられ、又
複数置換されてもよい)を表す。
【0027】反応性基Yは、好ましくは、ヒドロキシ
基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子又
はヨウ素原子を表す)、−OR1基、−OCOR2基、−
CH(COR3)(COR4)基、−CH(COR3
(COOR4)基、又は−N(R5)(R6)基を表す。
【0028】−OR1基において、R1は炭素数1〜10
の置換されてもよい脂肪族基(例えば、メチル基、エチ
ル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、プ
ロペニル基、ブテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル
基、オクテニル基、デセニル基、2−ヒドロキシエチル
基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル
基、2−(メトキシエチルオキシ)エチル基、2−
(N,N−ジエチルアミノ)エチル基、2−メトキシプ
ロピル基、2−シアノエチル基、3−メチルオキシプロ
ピル基、2−クロロエチル基、シクロヘキシル基、シク
ロペンチル基、シクロオクチル基、クロロシクロヘキシ
ル基、メトキシシクロヘキシル基、ベンジル基、フェネ
チル基、ジメトキシベンジル基、メチルベンジル基、ブ
ロモベンジル基等が挙げられる)を表す。
【0029】−OCOR2基において、R2は、R1と同
様の脂肪族基又は炭素数6〜12の置換されてもよい芳
香族基(芳香族基としては、前記R0中のアリール基で
例示したと同様のものが挙げられる)を表す。−CH
(COR3)(COR4)基及び−CH(COR3)(C
OOR4)基において、R3は炭素数1〜4のアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基
等)又はアリール基(例えば、フェニル基、トリル基、
キシリル基等)を表し、R4は炭素数1〜6のアルキル
基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基等)、炭素数7〜12のア
ラルキル基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェ
ニルプロピル基、メチルベンジル基、メトキシベンジル
基、カルボキシベンジル基、クロロベンジル基等)又は
アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル
基、メシチル基、メトキシフェニル基、クロロフェニル
基、カルボキシフェニル基、ジエトキシフェニル基等)
を表す。又−N(R5)(R6)基において、R5及びR
6は、互いに同じでも異なってもよく、各々、好ましく
は水素原子又は炭素数1〜10の置換されてもよい脂肪
族基(例えば、前記の−OR1基のR1と同様の内容のも
のが挙げられる)を表す。より好ましくは、R5とR6
炭素数の総和が12ケ以内である。
【0030】一般式(I)で示されるSi化合物の具体
例としては、以下のものが挙げられるが、これに限定さ
れるものではない。
【0031】メチルトリクロルシラン、メチルトリブロ
ムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエト
キシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチル
トリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エ
チルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシ
ラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルト
リクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−
プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキ
シシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n
−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリ
クロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘ
キシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシ
シラン、n−へキシルトリイソプロポキシシラン、n−
ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロ
ルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルト
リメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n
−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt
−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラ
ン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデ
シルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキ
シシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニ
ルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラ
ン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリ
t−ブトキシシラン、
【0032】テトラクロルシラン、テトラブロムシラ
ン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テ
トライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジ
メトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、
ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、
ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラ
ン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシ
シラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチル
ジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェ
ニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキ
シシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリブロムヒド
ロシラン、トリメトキシヒドロシラン、イソプロポキシ
ヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニル
トリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシ
ラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフ
ルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、
【0033】γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシ
シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−
メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、
γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ
−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシ
ラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ
−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピ
ルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピル
トリt−ブトキシンラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラ
ン、
【0034】Ti(OR)4(Rはアルキル基(例えば、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基等)を表す)、TiCl4、Zn(OR)
2、Zn(CH3COCHCOCH3)2、Sn(OR)4
Sn(CH3COCHCOCH3)4、Sn(OCOR)4
SnCl4、Zr(OR)4、Zr(CH3COCHCOC
3)4、Al(OR)3
【0035】次に、本発明に供される有機ポリマーにつ
いて説明する。本発明に用いられる有機ポリマーは、S
i含有樹脂と水素結合を形成し得る基(以下、特定の結
合基とも言う)を有する。特定の結合基としては、好ま
しくは、アミド結合(カルボン酸アミド結合及びスルホ
ンアミド結合を含む)、ウレタン結合及びウレイド結合
から選ばれる少なくとも一種の結合及び水酸基を挙げる
ことができる。
【0036】有機ポリマーは、繰り返し単位成分とし
て、本発明の特定の結合基を少なくとも1種ポリマーの
主鎖及び/又は側鎖に含有するものが挙げられる。好ま
しくは、繰り返し単位成分として、−N(R11)CO
−、−N(R11)SO2−、−NHCONH−及び−N
HCOO−から選ばれる少なくとも1種の結合がポリマ
ーの主鎖及び/又は側鎖に存在する成分、及び/又は−
OH基を含有する成分が挙げられる。上記アミド結合中
のR11は、水素原子又は有機残基を表し、有機残基とし
ては、一般式(I)中のR0における炭化水素基及びヘ
テロ環基と同一の内容のものが挙げられる。
【0037】ポリマー主鎖に本発明の特定の結合基を含
有するポリマーとしては、−N(R 11)CO−結合また
は−N(R11)SO2−結合を有するアミド樹脂、−N
HCONH−結合を有するウレイド樹脂、−NHCOO
−結合を含有するウレタン樹脂等が挙げられる。
【0038】アミド樹脂製造に供されるジアミン類とジ
カルボン酸類又はジスルホン酸類、ウレイド樹脂に用い
られるジイソシアナート類、ウレタン樹脂に用いられる
ジオール類としては、例えば高分子学会編「高分子デー
タハンドブック−基礎編−」第I章(株)培風舘刊(1
986年)、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハンドブッ
ク」大成社刊(1981年)等に記載されている化合物
を用いることができる。
【0039】また、他のアミド結合を有するポリマーと
して、下記一般式(II)で示される繰り返し単位含有の
ポリマー、ポリアルキレンイミンのN−アシル化体また
はポリビニルピロリドンとその誘導体が挙げられる。
【0040】
【化1】
【0041】式(II)中、Z1は−CO−、−SO2−又
は−CS−を表す。R20は式(I)中のR0と同一の内
容のものを表す。r1は水素原子又は炭素数1〜6のア
ルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブ
チル基、ペンチル基、ヘキシル基等)を表す。r1は同
じでも異なってもよい。pは2又は3の整数を表す。
【0042】一般式(II)で示される繰り返し単位を含
有するポリマーのうち、Z1が−CO−を表し、pが2
を表すポリマーは、置換基を有していてもよいオキサゾ
リンを触媒の存在下で開環重合することにより得られ
る。触媒としては、例えば、硫酸ジメチル、p−トルエ
ンスルホン酸アルキルエステルなどの硫酸エステルやス
ルホン酸エステル;ヨウ化アルキル(例えばヨウ化メチ
ル)などのハロゲン化アルキル;フリーデルクラフツ触
媒のうち金属フッ素化物;硫酸、ヨウ化水素、p−トル
エンスルホン酸などの酸や、これらの酸とオキザゾリン
との塩であるオキサゾリニウム塩などが使用できる。な
お、このポリマーは単独重合体であってもよく、共重合
体であってもよい。また、他のポリマーにこのポリマー
がグラフトした共重合体であってもよい。
【0043】オキサゾリンの具体例としては、例えば、
2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキサゾリン、2
−エチル−2−オキサゾリン、2−プロピル−2−オキ
サゾリン、2−イソプロピル−2−オキサゾリン、2−
ブチル−2−オキサゾリン、2−ジクロロメチル−2−
オキサゾリン、2−トリクロロメチル−2−オキサゾリ
ン、2−ペンタフルオロエチル−2−オキサゾリン、2
−フェニル−2−オキサゾリン、2−メトキシカルボニ
ルエチル−2−オキサゾリン、2−(4−メチルフェニ
ル)−2−オキサゾリン、2−(4−クロロフェニル)
−2−オキサゾリンなどが挙げられる。好ましいオキサ
ゾリンには、2−オキサゾリン、2−メチル−2−オキ
サゾリン、2−エチル−2−オキサゾリンなどが含まれ
る。このようなオキサゾリンのポリマーは一種又は二種
以上使用できる。
【0044】一般式(II)で示される繰り返し単位を有
する他のポリマーについても、オキサゾリンの代わりに
チアゾリン、4,5−ジヒドロ−1,3−オキサジン又
は4,5−ジヒドロ−1,3−チアジンを用いて同様に
得ることができる。
【0045】ポリアルキレンイミンのN−アシル化体と
しては、カルボン酸ハライド類との高分子反応で得られ
る−N(CO−R20)−を含むカルボン酸アミド体、又
はスルホニルハライド類との高分子反応で得られる−N
(SO2−R20)−を含むスルホンアミド体(ここで、
20は上記式(II)におけるR20と同義である)が挙げ
られる。
【0046】また、ポリマーの側鎖に本発明の特定の結
合基を含有するポリマーとしては、少なくとも該特定の
結合基から選ばれた結合基の少なくとも1種を含有する
成分を主成分として含有するものが挙げられる。このよ
うな成分としては、例えば、アクリルアミド、メタクリ
ルアミド、クロトンアミド、ビニル酢酸アミドあるいは
以下の化合物が挙げられる。但し、本発明は、これらに
限定されるものではない。
【0047】
【化2】
【0048】
【化3】
【0049】一方、水酸基含有の有機ポリマーとして
は、天然水溶性高分子、半合成水溶性高分子、合成高分
子のいずれでもよく、具体的には小竹無二雄監修「大有
機化学19、天然高分子化合物I」朝倉書店刊(196
0年)、経営開発センター出版部編「水溶性高分子・水
分散型樹脂総合技術資料集」経営開発センター出版部刊
(1981年)、長友新治「新・水溶性ポリマーの応用
と市場」(株)シーエムシー刊(1988年)、「機能
性セルロースの開発」(株)シーエムシー刊(1985
年)等に記載のものが挙げられる。
【0050】例えば、天然及び半合成の高分子として
は、セルロース、セルロース誘導体(セルロースエステ
ル類;硝酸セルロース、硫酸セルロース、酢酸セルロー
ス、プロピオン酸セルロース、コハク酸セルロース、酪
酸セルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸酪酸セル
ロース、酢酸フタル酸セルロース等、セルロースエーテ
ル類;メチルセルロース、エチルセルロース、シアノエ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロ
キシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロー
ス、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシ
エチルセルロース等)、デンプン、デンプン誘導体(酸
化デンプン、エステル化デンプン類;硝酸、硫酸、リン
酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、コハク酸等のエステル
化体、エーテル化デンプン類;メチル化、エチル化、シ
アノエチル化、ヒドロキシアルキル化、カルボキシメチ
ル化等の誘導体)、アルギン酸、ペクチン、カラギーナ
ン、タマリンドガム、天然ガム類(アラビアガム、グア
ーガム、ローカストビーンガム、トラカガントガム、キ
サンタンガム等)、プルラン、デキストラン、カゼイ
ン、ゼラチン、キチン、キトサン等が挙げられる。
【0051】合成高分子としては、例えばポリビニルア
ルコール、ポリアルキレングリコール(ポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、(エチレングリ
コール/プロピレングリコール)共重合体等)、アリル
アルコール共重合体、水酸基を少なくとも1種含有のア
クリル酸エステルあるいはメタクリル酸エステルの重合
体もしくは共重合体(エステル置換基として、例えば2
−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、
2,3−ジヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシ−2
−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピル基、3−ヒド
ロキシ−2,2−ジ(ヒドロキシメチル)プロピル基、
ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、
等)、水酸基を少なくとも1種含有するアクリルアミド
又はメタクリルアミドのN−置換体の重合体もしくは共
重合体(N−置換基として、例えば、モノメチロール
基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル
基、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基、2,
3,4,5,6−ペンタヒドロキシペンチル基、等)等
が挙げられる。但し、合成高分子としては、繰り返し単
位の側鎖置換基中に少なくとも1個の水酸基を含有する
ものであれば、特に限定されるものではない。
【0052】本発明の有機ポリマーは単独で用いてもよ
いし、2種以上を併用してもよい。有機ポリマーの質量
平均分子量は、好ましくは103〜106、より好ましく
は5×103〜4×105である。
【0053】Si含有樹脂と有機ポリマーとの複合体に
おいて、Si含有樹脂と有機ポリマーの割合は広い範囲
で選択できるが、好ましくは金属含有樹脂/有機ポリマ
ーの質量比で10/90〜90/10、より好ましくは
20/80〜80/20である。この範囲において、画
像受理層の膜の強度、印刷時の湿し水に対する耐水性が
良好となる。
【0054】本発明の複合体を含む結着樹脂は、前記S
i化合物の加水分解重縮合により生成したSi含有樹脂
のヒドロキシル基と、有機ポリマー中の前記特定の結合
基とが水素結合作用等により均一な有機、無機ハイブリ
ッドを形成し、相分離することなくミクロ的に均質とな
る。Si含有樹脂に炭化水素基が存在する場合にはその
炭化水素基に起因して、有機ポリマーとの親和性がさら
に向上するものと推定される。また、本発明の複合体は
成膜性に優れている。
【0055】本発明の複合体は、前記Si化合物を加水
分解重縮合し、有機ポリマーと混合することにより製造
するか、または有機ポリマーの存在下、前記Si化合物
を加水分解重縮合することにより製造される。
【0056】好ましくは、有機ポリマーの存在下、前記
Si化合物をゾル−ゲル法により加水分解重縮合するこ
とにより本発明の有機・無機ポリマー複合体を得ること
ができる。生成した有機・無機ポリマー複合体におい
て、有機ポリマーは、Si化合物の加水分解重縮合によ
り生成したゲルのマトリックス(すなわち無機Si酸化
物の三次元微細ネットワーク構造体)中に均一に分散し
ている。
【0057】上記好ましい方法としてのゾル−ゲル法
は、従来公知のゾル−ゲル法を用いて行なうことができ
る。具体的には、「ゾル−ゲル法による薄膜コーティン
グ技術」(株)技術情報協会(刊)(1995年)、作
花済夫「ゾル−ゲル法の科学」(株)アグネ承風社
(刊)(1988年)、平島碩「最新ゾル−ゲル法によ
る機能性薄膜作成技術」総合技術センター(刊)(19
92年)等の成書に詳細に記載の方法に従って実施でき
る。
【0058】親水性層用の塗布液は、水系溶媒が好まし
く、更には塗液調整時の沈殿抑制による均一液化のため
に水溶性溶媒を併用する。水溶性溶媒としては、アルコ
ール類(メタノール、エタノール、プロピルアルコー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジプロピレングリコール、エチレン
グリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコール
モノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール
ジメチルエーテル、テトラヒドロピラン、等)、ケトン
類(アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン
等)、エステル類(酢酸メチル、エチレングリコールモ
ノアセテート等)、アミド類(ホルムアミド、N−メチ
ルホルムアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン
等)等が挙げられ、1種あるいは2種以上を併用しても
よい。
【0059】更に、一般式(I)で示される前記のSi
化合物の加水分解及び重縮合反応を促進するために、酸
性触媒又は塩基性触媒を併用することが好ましい。
【0060】触媒は、酸または塩基性化合物をそのまま
か、あるいは水またはアルコールなどの溶媒に溶解させ
た状態のもの(以下、それぞれ酸性触媒、塩基性触媒と
いう)を用いる。そのときの濃度については特に限定し
ないが、濃度が濃い場合は加水分解及び重縮合速度が速
くなる傾向がある。但し、濃度の濃い塩基性触媒を用い
ると、ゾル溶液中で沈殿物が生成する場合があるため、
塩基性触媒の濃度は1N(水溶液での濃度換算)以下が
望ましい。
【0061】酸性触媒または塩基性触媒の種類は特に限
定されないが、濃度の濃い触媒を用いる必要がある場合
には、焼結後に触媒結晶粒中にほとんど残留しないよう
な元素から構成される触媒がよい。具体的には、酸性触
媒としては、塩酸などのハロゲン化水素、硝酸、硫酸、
亜硫酸、硫化水素、過塩素酸、過酸化水素、炭酸、蟻酸
や酢酸などのカルボン酸、構造式RCOOHのRを他元
素または置換基によって置換した置換カルボン酸、ベン
ゼンスルホン酸などのスルホン酸など、塩基性触媒とし
ては、アンモニア水などのアンモニア性塩基、エチルア
ミンやアニリンなどのアミン類などが挙げられる。
【0062】その他、親水性層には、膜強度をより向上
させるために架橋剤を添加してもよい。架橋剤として
は、通常架橋剤として用いられる化合物を挙げることが
できる。具体的には、山下晋三、金子東助編「架橋剤ハ
ンドブック」大成社刊(1981年)、高分子学会編
「高分子データハンドブック、基礎編」培風館(198
6年)等に記載されている化合物を用いることができ
る。
【0063】例えば、塩化アンモニウム、金属イオン、
有機過酸化物、ポリイソシアナート系化合物(例えばト
ルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシ
アナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、ポ
リメチレンフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジ
イソシアナート、イソホロンジイソシアナート、高分子
ポリイソシアナート等)、ポリオール系化合物(例え
ば、1,4−ブタンジオール、ポリオキシプロピレング
リコール、ポリオキシエチレングリコール、1,1,1
−トリメチロールプロパン等)、ポリアミン系化合物
(例えば、エチレンジアミン、γ−ヒドロキシプロピル
化エチレンジアミン、フェニレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、変性脂肪
族ポリアミン類等)、ポリエポキシ基含有化合物及びエ
ポキシ樹脂(例えば、垣内弘編著「新エポキシ樹脂」昭
晃堂(1985年刊)、橋本邦之編著「エポキシ樹脂」
日刊工業新聞社(1969年刊)等に記載された化合物
類)、メラミン樹脂(例えば、三輪一郎、松永英夫編著
「ユリア・メラミン樹脂」日刊工業新聞社(1969年
刊)等に記載された化合物類)、ポリ(メタ)クリレー
ト系化合物(例えば、大河原信、三枝武夫、東村敏延編
「オリゴマー」講談杜(1976年刊)、大森英三「機
能性アクリル系樹脂」テクノシステム(1985年刊)
等に記載された化合物類)が挙げられる。
【0064】本発明の平版印刷版用原版の親水性層は後
述の支持体上に、従来公知の塗布方法のいずれかを用い
て塗布、乾燥することにより製膜される。形成される親
水性層の膜厚は0.2〜10μmが好ましく、より好ま
しくは0.5〜8μmである。この範囲で均一な厚みの
膜が形成され、且つ膜の強度が十分となる。本発明の平
版印刷版用原版の親水性層は、その表面の平滑性がベッ
ク平滑度で30(秒/10ml)以上が好ましい。ここ
でベック平滑度は、ベック平滑度試験機により測定する
ことができ、高度に平滑に仕上げられた中央に穴のある
円形のガラス板上に、試験片を一定圧力(1kg/cm
2)で押しつけ、減圧下で一定量(10ml)の空気
が、ガラス面と試験片との間を通過するのに要する時間
を測定するものである。
【0065】本発明の平版印刷版用原版は、前記親水性
層を有する基板上に少なくとも画像形成層(感熱層とも
いう)を有してなり、該画像形成層は、熱により溶融す
る疎水性熱可塑性ポリマー微粒子(以下、熱可塑性微粒
子又はポリマー微粒子と略す)を含有して構成され、さ
らに必要に応じて光熱変換剤、親水性樹脂その他の構成
成分を有して構成される。
【0066】〔熱可塑性微粒子〕本発明の平版印刷版用
原版の画像形成層は、熱可塑性微粒子(ポリマー微粒子
ともいう)を含有することが本発明の特徴的要素の一つ
である。該ポリマー微粒子を含有することにより、画像
様に加熱或いは露光した画像形成層の領域において、ポ
リマー微粒子間で溶融、融着が起こり、疎水化効果を向
上させることができる。よって、現像処理を要しない平
版印刷版用原版とする場合に特に有効であり、それ以外
の平版印刷版用原版の場合においても、画像部の親イン
ク性を高める上で有用である。微粒子ポリマーは熱によ
り反応する官能基を有さない微粒子ポリマーであって
も、熱により反応する官能基を有する微粒子ポリマーで
あっても良いが、熱により反応する官能基を有する微粒
子ポリマーの方が画像形成性の観点から好ましい。ま
た、本発明の平版印刷版用原版の画像形成層には、ポリ
マー微粒子の代替として、後述のような熱反応性基を有
する化合物を内包するマイクロカプセルを含有させるこ
とができる。
【0067】(熱反応性基を有さない微粒子ポリマー)本
発明の平版印刷版用原版の画像形成層に含まれる熱反応
性基を有さない微粒子ポリマーの具体例としては、例え
ば、エチレン、スチレン、塩化ビニル、(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、塩化ビニリデ
ン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾールなどのモノ
マーからのホモポリマーまたはコポリマーあるいはそれ
らの混合物を挙げることができる。その中で特に好適な
ものとしては、ポリスチレン、ポリメタアクリル酸メチ
ルを挙げることができる。上記効果を向上する点で、ガ
ラス転移点が10〜150℃のものが好ましく、10〜
120℃のものがより好ましい。
【0068】前記ガラス転移点が、10℃未満である
と、熱可塑性ポリマー微粒子を含有する画像形成層用塗
布液を支持体上に塗布、乾燥して画像形成層を形成する
過程において、バインダーとして含有する親水性高分子
化合物により完全に熱可塑性ポリマー微粒子が隔離され
て存在できない場合、熱可塑性ポリマー微粒子同士が互
いに融着を起こし、分散性に優れた画像形成層を形成す
ることができないことがある。一方、150℃を超える
と、熱可塑性ポリマーの熱融着が起こりくく、比較的小
出力のレーザーでは、強固な画像を形成することが困難
となることがある。
【0069】本発明の平版印刷版用原版の画像形成層に
含まれる熱反応性基を有さない微粒子ポリマー(疎水性
ポリマー)の重量平均分子量は5,000〜1,00
0,000の範囲であってよい。上記の微粒子ポリマー
の粒子径は、0.01〜50μmが好ましいが、より好
ましくは0.05〜10μmであり、さらに好ましくは
0.05〜2μmの範囲である。
【0070】これらの熱反応性官能基を有さない微粒子
ポリマー(熱可塑性ポリマー)の添加量は、画像形成層
固形分の5〜90重量%が好ましく、10〜80重量%
がより好ましく、さらに好ましくは15〜70重量%の
範囲である。
【0071】(熱反応性基を有する微粒子ポリマー)上記
の熱反応性官能基としては、重合反応を行うエチレン性
不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル
基、ビニル基、アリル基など)、付加反応を行うイソシ
アナート基又はそのブロック体、その反応相手である活
性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロ
キシル基、カルボキシル基など)、同じく付加反応を行
うエポキシ基、その反応相手であるアミノ基、カルボキ
シル基又はヒドロキシル基、縮合反応を行うカルボキシ
ル基とヒドロキシル基もしくはアミノ基、開環付加反応
を行う酸無水物とアミノ基もしくはヒドロキシル基など
を挙げることができる。しかし、化学結合が形成される
ならば、どのような反応を行う官能基でも良い。
【0072】本発明の画像形成層(感熱層)に用いる、
熱反応性官能基を有する微粒子ポリマーとしては、アク
リロイル基、メタクリルロイル基、ビニル基、アリル
基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキ
シル基、イソシアネート基、酸無水物およびそれらを保
護した基を有するものを挙げることができる。これらの
官能基のポリマー粒子への導入は、重合時に行ってもよ
いし、重合後に高分子反応を利用して行ってもよい。
【0073】重合時に導入する場合は、これらの官能基
を有するモノマーを乳化重合もしくは懸濁重合すること
が好ましい。そのような官能基を有するモノマーの具体
例として、アリルメタクリレート、アリルアクリレー
ト、ビニルメタクリレート、ビニルアクリレート、グリ
シジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−
イソシアネートエチルメタクリレート、そのアルコール
などによるブロックイソシアナート、2−イソシアネー
トエチルアクリレート、そのアルコールなどによるブロ
ックイソシアナート、2−アミノエチルメタクリレー
ト、2−アミノエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、2官
能アクリレート、2官能メタクリレートなどを挙げるこ
とができるが、これらに限定されない。
【0074】これらのモノマーと共重合可能な、熱反応
性官能基をもたないモノマーとしては、例えば、スチレ
ン、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、
アクリロニトリル、酢酸ビニルなどを挙げることができ
るが、熱反応性官能基をもたないモノマーであれば、こ
れらに限定されない。熱反応性官能基の導入を重合後に
行う場合に用いる高分子反応としては、例えば、WO9
6−34316号公報に記載されている高分子反応を挙
げることができる。
【0075】上記の熱反応性官能基を有する微粒子ポリ
マーの中で、微粒子ポリマー同志が熱により合体するも
のが好ましく、その表面は親水性で、水に分散するもの
が、特に好ましい。微粒子ポリマーのみを塗布し、凝固
温度よりも低い温度で乾燥して作製した時の皮膜の接触
角(空中水滴)が、凝固温度よりも高い温度で乾燥して
作製した時の皮膜の接触角(空中水滴)よりも低くなる
ことが好ましい。このように微粒子ポリマー表面を親水
性にするには、ポリビニルアルコール、ポリエチレング
リコールなどの親水性ポリマーまたはオリゴマー、また
は親水性低分子化合物を微粒子ポリマー表面に吸着させ
てやれば良いが、その方法はこれらに限定されるもので
はない。
【0076】これらの熱反応性官能基を有する微粒子ポ
リマーの凝固温度は、70℃以上が好ましいが、経時安
定性を考えると100℃以上がさらに好ましい。上記の
微粒子ポリマーの平均粒径は、0.01〜20μmが好
ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがより好ま
しく、特に0.1〜1.0μmが好ましい。この範囲内
で良好な解像度と経時安定性が得られる。
【0077】これらの反応性官能基を有する微粒子ポリ
マーの添加量は、画像形成層固形分の50重量%以上が
好ましく、60重量%以上がさらに好ましい。
【0078】本発明に用いられるマイクロカプセルは、
熱反応性官能基を有する化合物を内包している。この熱
反応性官能基を有する化合物としては、重合性不飽和
基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボキシレー
ト基、酸無水物基、アミノ基、エポキシ基、イソシアナ
ート基、及びイソシアナートブロック体を挙げることが
できる。
【0079】重合性不飽和基を有する化合物としては、
エチレン性不飽和結合、例えばアクリロイル基、メタク
リロイル基、ビニル基、アリル基などを少なくとも1
個、好ましくは2個以上有する化合物が好ましく、この
様な化合物群は当該産業分野において広く知られるもの
であり、本発明においては、これらを特に限定なく用い
ることができる。これらは、化学的形態としては、モノ
マー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオ
リゴマー、またはそれらの混合物、及びそれらの共重合
体である。
【0080】例として、不飽和カルボン酸(例えば、ア
クリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イ
ソクロトン酸、マレイン酸など)、そのエステル、不飽
和カルボン酸アミドが挙げられ、好ましくは、不飽和カ
ルボン酸と脂肪族多価アルコールとのエステルおよび不
飽和カルボン酸と脂肪族多価アミンとのアミドが挙げら
れる。また、ヒドロキシル基、アミノ基、メルカプト基
等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステルま
たは不飽和カルボン酸アミドと単官能もしくは多官能の
イソシアネートまたはエポキシドとの付加反応物、およ
び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応
物等も好適に使用される。また、イソシアナート基やエ
ポキシ基などの親電子性置換基を有する不飽和カルボン
酸エステルまたはアミドと、単官能もしくは多官能のア
ルコール、アミンまたはチオールとの付加反応物、さら
に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有
する不飽和カルボン酸エステルまたはアミドと、単官能
もしくは多官能アルコール、アミンまたはチオールとの
置換反応物も好適である。また、別の好適な例として、
上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸又はクロ
ロメチルスチレンに置き換えた化合物を挙げることがで
きる。
【0081】不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール
とのエステルである重合性化合物の具体例としては、ア
クリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリ
レート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,
3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレング
リコールジアクリレート、プロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ト
リメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロール
プロパントリアクリレート、トリメチロールプロパント
リス(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメ
チロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジ
アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアク
リレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、
ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリ
トールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトール
トリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、
ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサ
アクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イ
ソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー
等を挙げることができる。
【0082】メタクリル酸エステルとしては、テトラメ
チレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリ
コールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメ
タクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレ
ート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチ
レングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオ
ールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレ
ート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタ
エリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリト
ールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジ
メタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタク
リレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビト
ールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリ
ロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕
ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリロイルオキシ
エトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等を挙げることが
できる。
【0083】イタコン酸エステルとしては、エチレング
リコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタ
コネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、
1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレ
ングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジ
イタコネート、ソルビトールテトライタコネート等を挙
げることができる。
【0084】クロトン酸エステルとしては、エチレング
リコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジ
クロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、
ソルビトールテトラジクロトネート等を挙げることがで
きる。イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリ
コールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイ
ソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート
等を挙げることができる。マレイン酸エステルとして
は、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリ
コールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、
ソルビトールテトラマレート等を挙げることができる。
【0085】その他のエステルの例として、例えば、特
公昭46−27926号、特公昭51−47334号、
特開昭57−196231号記載の脂肪族アルコール系
エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−
5241号、特開平2−226149号記載の芳香族系
骨格を有するもの、特開平1−165613号記載のア
ミノ基を含有するもの等を挙げることができる。
【0086】また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カ
ルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチ
レンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリル
アミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミ
ド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、
ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレ
ンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミ
ド等を挙げることができる。その他の好ましいアミド系
モノマーの例としては、特公昭54−21726号記載
のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができ
る。
【0087】また、イソシアネートと水酸基の付加反応
を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適
であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭4
8−41708号公報中に記載されている1分子に2個
以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化
合物に、下記式(III)で示される水酸基を有する不飽
和モノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性不
飽和基を含有するウレタン化合物等が挙げられる。
【0088】一般式(III) CH2=C(R1)COOCH2CH(R2)OH (ただし、R1およびR2は、それぞれHまたはCH3
示す。)
【0089】また、特開昭51−37193号、特公平
2−32293号、特公平2−16765号に記載され
ているようなウレタンアクリレートや、特公昭58−4
9860号、特公昭56−17654号、特公昭62−
39417号、特公昭62−39418号記載のエチレ
ンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物も好適なも
のとして挙げることができる。
【0090】さらに、特開昭63−277653号、特
開昭63−260909号、特開平1−105238号
に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を
有するラジカル重合性化合物を好適なものとして挙げる
ことができる。
【0091】その他の好適なものの例としては、特開昭
48−64183号公報、特公昭49−43191号公
報、同52−30490号公報の各公報に記載されてい
るようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と
(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート
類等の多官能のアクリレートやメタクリレートを挙げる
ことができる。また、特公昭46−43946号公報、
特公平1−40337号公報、同1−40336号公報
記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号
公報に記載のビニルホスホン酸系化合物等も好適なもの
として挙げることができる。また、ある場合には、特開
昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル
基を含有する化合物も好適に使用される。さらに日本接
着協会誌、20巻7号、300〜308ページ(198
4年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介
されているものも好適に使用することができる。
【0092】好適なエポキシ化合物としては、グリセリ
ンポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジ
グリシジルエーテル、ポリプロピレンジグリシジルエー
テル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテ
ル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ビスフェノ
ール類もしくはポリフェノール類又はそれらの水素添加
物のポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0093】好適なイソシアネート化合物としては、ト
リレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネー
ト、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシ
アネート、シクロヘキサンフェニレンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネート、又
は、それらをアルコールもしくはアミンでブロックした
化合物を挙げることができる。
【0094】好適なアミン化合物としては、エチレンジ
アミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ポ
リエチレンイミンなどが挙げられる。
【0095】好適なヒドロキシル基を有する化合物とし
ては、末端メチロール基を有する化合物、ペンタエリス
リトールなどの多価アルコール、ビスフェノール・ポリ
フェノール類などを挙げることができる。好ましカルボ
キシル基を有する化合物としては、ピロメリット酸、ト
リメリット酸、フタル酸などの芳香族多価カルボン酸、
アジピン酸などの脂肪族多価カルボン酸などが挙げられ
る。好適な酸無水物としては、ピロメリット酸無水物、
ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物などが挙げられ
る。
【0096】エチレン状不飽和化合物の共重合体の好適
なものとして、アリルメタクリレートの共重合体を挙げ
ることができる。例えば、アリルメタクリレート/メタ
クリル酸共重合体、アリルメタクリレート/エチルメタ
クリレート共重合体、アリルメタクリレート/ブチルメ
タクリレート共重合体などを挙げることができる。
【0097】(熱反応性基を有する化合物を内包するマ
イクロカプセル)本発明の平版印刷版用原版の画像形成
層には、ポリマー微粒子の代替として熱反応性基を有す
る化合物を内包するマイクロカプセルを含有させること
ができる。該マイクロカプセルは、熱反応性基を有する
化合物を内包している。この熱反応性官能基を有する化
合物としては、重合性不飽和基、ヒドロキシル基、カル
ボキシル基あるいはカルボキシレート基あるいは酸無水
物、アミノ基、エポキシ基、および、イソシアナート基
あるいはそのブロック体から選ばれた少なくとも一個の
官能基を有する化合物を挙げることができる。
【0098】マイクロカプセル化する方法としては、公
知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造
方法としては、米国特許2800457号、同2800
458号にみられるコアセルベーションを利用した方
法、英国特許990443号、米国特許3287154
号、特公昭38−19574号、同42−446号、同
42−711号にみられる界面重合法による方法、米国
特許3418250号、同3660304号にみられる
ポリマーの析出による方法、米国特許3796669号
に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方
法、米国特許3914511号に見られるイソシアネー
ト壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同
4087376号、同4089802号にみられる尿素
―ホルムアルデヒド系もしくは尿素ホルムアルデヒド−
レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4
025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド
樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特
公昭36−9163号、同51−9079号にみられる
モノマー重合によるin situ法、英国特許930
422号米国特許3111407号にみられるスプレー
ドライング法、英国特許952807号、同96707
4号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに
限定されるものではない。
【0099】本発明に用いられる好ましいマイクロカプ
セル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性
質を有するものである。このような観点から、マイクロ
カプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエ
ステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれら
の混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレ
タンが好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性官能基
を有する化合物を導入しても良い。
【0100】上記のマイクロカプセルの平均粒径は、
0.01〜20μmが好ましいが、中でも0.05〜
2.0μmがさらに好ましく、0.10〜1.0μmが
特に好ましい。この範囲内で、良好な解像度と経時安定
性が得られる。このようなマイクロカプセルは、カプセ
ル同志が熱により合体してもよいし、合体しなくとも良
い。要は、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカ
プセル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したも
の、又は、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱に
より化学反応を起こせば良い。添加された親水性樹脂、
又は、添加された低分子化合物と反応してもよい。また
2種類以上のマイクロカプセルに、それぞれ異なる官能
基で互いに熱反応するような官能基をもたせることによ
って、マイクロカプセル同士を反応させてもよい。従っ
て、熱によってマイクロカプセル同志が、熱で溶融合体
することは画像形成上好ましいことであるが、必須では
ない。
【0101】マイクロカプセルの画像形成層への添加量
は、固形分換算で、好ましくは10〜60重量%、さら
に好ましくは15〜40重量%である。この範囲内で、
良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が
得られる
【0102】マイクロカプセルを画像形成層に添加する
場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイ
クロカプセル分散媒中に添加することができる。このよ
うな溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する
化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
このような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マ
イクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存する
が、多くの市販されている溶剤から容易に選択すること
ができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁から
なる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、
エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多
価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好
ましい。
【0103】具体的化合物としては、メタノール、エタ
ノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒ
ドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケ
トン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
モノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドな
どがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を
2種以上用いても良い。
【0104】マイクロカプセル分散液には溶解しない
が、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることが
できる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるもの
であるが、通常、塗布液の5〜95重量%が好ましく、
より好ましい範囲は、10〜90重量%、特に好ましい
範囲は15〜85重量%である。
【0105】本発明の画像形成層には、このように熱反
応性基を有する微粒子ポリマー又はマイクロカプセルを
用いるので、必要に応じてこれらの反応を開始又は促進
する化合物を添加してもよい。反応を開始又は促進する
化合物としては、熱によりラジカル又はカチオンを発生
するような化合物を挙げることができ、例えば、ロフィ
ンダイマー、トリハロメチル化合物、過酸化物、アゾ化
合物、ジアゾニウム塩又はジフェニルヨードニウム塩な
どを含んだオニウム塩、アシルホスフィン、イミドスル
ホナートなどが挙げられる。これらの化合物は、画像形
成層固形分の1〜20重量%の範囲で添加することがで
きる。好ましくは3〜10重量%の範囲である。この範
囲内で、機上現像性を損なわず、良好な反応開始又は促
進効果が得られる。
【0106】(光熱変換剤)本発明の画像形成層には、
光を吸収し発熱する光熱変換剤を含有させることが望ま
しい。光熱変換剤は微粒子外に存在させてもよいが、微
粒子中に含有させる方が耐刷性向上の点から好ましい。
微粒子中に存在させるには、例えば、水に不溶性の光熱
変換剤を熱硬化性化合物と共に非水溶性の有機溶剤に溶
解し、乳化分散後、有機溶剤を飛ばしながら微粒子状に
固化させる方法がある。一方、微粒子外に存在させるに
は、水に可溶の光熱変換剤を親水性樹脂中に添加するこ
とで行われる。
【0107】本発明に用いられる光熱変換剤としては7
00nm以上の光を吸収する物質が特に好ましく、種々
の顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。
【0108】顔料としては、市販の顔料およびカラーイ
ンデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本
顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技
術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技
術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤
外吸収性の顔料が利用できる。
【0109】これら顔料は、添加される層に対する分散
性を向上させるため、必要に応じて公知の表面処理を施
して用いることができる。表面処理の方法には、親水性
樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を
付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、ア
ルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、
イソシアナート化合物等)を顔料表面に結合させる方法
等が考えられる。
【0110】顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲
にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範
囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法とし
ては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分
散技術が使用できる。特に好ましい顔料としては、カー
ボンブラックを挙げることができる。
【0111】染料としては、市販の染料および文献(例
えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年
刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の
「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市
場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)あ
るいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。
具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロン
アゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、
カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染
料、シアニン染料などの赤外線吸収染料が好ましい。
【0112】さらに、例えば、特開昭58−12524
6号、特開昭59−84356号、特開昭60−787
87号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−
173696号、特開昭58−181690号、特開昭
58−194595号等に記載されているメチン染料、
特開昭58−112793号、特開昭58−22479
3号、特開昭59−48187号、特開昭59−739
96号、特開昭60−52940号、特開昭60−63
744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開
昭58−112792号等に記載されているスクワリリ
ウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染
料や米国特許第4,756,993号記載の染料、米国
特許第4,973,572号記載のシアニン染料、特開
平10−268512号記載の染料、特開平11−23
5883号記載のフタロシアニン化合物を挙げることが
できる。
【0113】また、染料として米国特許第5,156,
938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、ま
た、米国特許第3,881,924号記載の置換された
アリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−1
42645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開
昭58−181051号、同58−220143号、同
59−41363号、同59−84248号、同59−
84249号、同59−146063号、同59−14
6061号に記載されているピリリウム系化合物、特開
昭59−216146号記載のシアニン染料、米国特許
第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリ
リウム塩等や特公平5−13514号、同5−1970
2号公報に開示されているピリリウム化合物、エポリン
社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、
エポライトIII−125等も好ましく用いられる。これ
らの中で、画像形成層の親水性樹脂中などの親水性マト
リックス中に添加するのに好ましい染料は水溶性染料
で、以下に具体例を示す。
【0114】
【化4】
【0115】
【化5】
【0116】本発明の画像形成層の微粒子中など親油性
物質中に添加する光熱変換剤としては、親油性の染料が
より好ましい。具体例として以下の染料を挙げることが
できる。
【0117】
【化6】
【0118】
【化7】
【0119】本発明の画像形成層などには、光熱変換剤
として金属微粒子を用いることもできる。金属微粒子の
多くは、光熱変換性であって、かつ自己発熱性でもあ
る。好ましい金属微粒子として、Si、Al、Ti、
V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、
Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、S
n、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体又は合金
あるいはそれらの酸化物、硫化物の微粒子が挙げられ
る。これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好まし
い金属は、光照射によって熱融着し易い融点がおよそ1
000℃以下で赤外、可視又は紫外線領域に吸収をもつ
金属、たとえばRe、Sb、Te、Au、Ag、Cu、
Ge、Pb及びSnである。また、とくに好ましいの
は、融点も比較的低く、熱線に対する吸光度も比較的高
い金属の微粒子、たとえばAg、Au、Cu、Sb、G
e及びPbで、とくに好ましい元素はAg、Au及びC
uが挙げられる。
【0120】また、例えばRe、Sb、Te、Au、A
g、Cu、Ge、Pb、Snなどの低融点金属の微粒子
とTi、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自己
発熱性金属の微粒子を混合使用するなど、2種以上の光
熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、P
t、Pdなど微小片としたときに光吸収がとくに大きい
金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いる
ことは好ましい。
【0121】以上に述べた金属単体及び合金の微粒子
は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効
果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性で
かつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤
で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基
を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性
高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。
特に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば
鉄微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3%)
水溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水
性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で
表面シリケート処理を行うことができる。
【0122】これらの粒子の粒径は、10μm以下、好
ましくは、0.003〜5μm、さらに好ましくは、
0.01〜3μmである。微小であるほど、熱融着温度
は低下する、つまりヒートモードの光感度が高くなって
好都合であるが、粒子の分散が難しく、10μm以上で
は、印刷物の解像度が悪くなる。
【0123】本発明の画像形成層は、上記の荷電を有す
る熱可塑性微粒子の電着による形成以外に、通常の塗布
液を調製し、前記基板上に塗布し、乾燥して形成するこ
ともできる。このような通常の画像形成層の形成の場合
について説明する。 (親水性樹脂)本発明の画像形成層中には親水性樹脂が
含有させることが好ましい。親水性樹脂が含有されるこ
とで機上現像性が良好となるばかりか、画像形成層自体
の皮膜強度も向上する。親水性樹脂としては、例えばヒ
ドロキシル基、カルボキシル基、ヒドロキシエチル基、
ヒドロキシプロピル基、アミノ基、アミノエチル基、ア
ミノプロピル基、カルボキシメチル基などの親水基を有
するものが好ましい。
【0124】具体的な親水性樹脂として、アラビアゴ
ム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、カルボキシメチ
ルセルロース及びそのナトリウム塩、セルロースアセテ
ート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸
コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポ
リアクリル酸類及びそれらの塩、ポリメタクリル酸類及
びそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモ
ポリマー及びコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレー
トのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロキシプロピル
メタクリレートのホモポリマー及びコポリマー、ヒドロ
キシプロピルアクリレートのホモポリマー及びコポリマ
ー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマー及
びコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポ
リマー及びコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒ
ドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール
類、ならびに加水分解度が少なくとも60重量%、好ま
しくは少なくとも80重量%の加水分解ポリビニルアセ
テート、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリ
マー及びコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマー
及びポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポ
リマー及びコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸及びその塩のホモポリマー及びコ
ポリマー等を挙げることができる。
【0125】親水性樹脂の画像形成層中への添加量は、
2〜40重量%が好ましく、3〜30重量%がさらに好
ましい。この範囲内で、機上現像性と耐刷性とが良好と
なる。
【0126】本発明の画像形成層には、必要に応じてこ
れら以外に種々の化合物を添加してもよい。例えば、可
視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使
用することができる。具体的には、オイルイエロー#1
01、オイルイエロー#103、オイルピンク#31
2、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイル
ブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラック
BS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学
工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタル
バイオレット(CI42555)、メチルバイオレット
(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミン
B(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI
42000)、メチレンブルー(CI52015)等、
及び特開昭62−293247号に記載されている染料
又は酸化チタンなどの顔料を挙げることができる。これ
らの着色剤は、画像形成後、画像部と非画像部の区別が
つきやすいので、添加する方が好ましい。なお、添加量
は、画像形成層塗布液全固形分に対し、0.01〜10
重量%が好ましい。
【0127】本発明の画像形成層は、必要に応じて、特
開平9−171250号に記載されている加熱時に親水
性樹脂を架橋結合しうる架橋結合剤、特願2000−6
970号に記載されている、加熱時の反応を開始又は促
進する化合物、又は微粒子状ポリマー中の反応性基と反
応することができる官能基またはその保護基を有する化
合物を含有することができる。
【0128】また、本発明においては、画像形成層がラ
ジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化
合物を含有する場合は、塗布液の調製中もしくは保存中
においての不要な熱重合を阻止するために、少量の熱重
合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止
剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、
ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−
ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス
(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′
−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシルアミン
アルミニウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量
は、全組成物の重量に対して約0.01重量%〜約5重
量%が好ましい。また必要に応じて、酸素による重合阻
害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような
高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で
画像形成層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導
体の添加量は、全組成物の約0.1重量%〜約10重量
%が好ましい。
【0129】また、本発明における画像形成層塗布液中
には、機上現像の安定性を広げるため、特開昭62−2
51740号や特開平3−208514号に記載されて
いるような非イオン界面活性剤、特開昭59−1210
44号、特開平4−13149号に記載されているよう
な両性界面活性剤を添加することができる。非イオン界
面活性剤の具体例としては、ソルビタントリステアレー
ト、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタントリオレ
ート、ステアリン酸モノグリセリド、ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0130】両性界面活性剤の具体例としては、アルキ
ルジ(アミノエチル)グリシン、アルキルポリアミノエ
チルグリシン塩酸塩、2−アルキル−N−カルボキシエ
チル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイ
ン、N−テトラデシル−N,N−ベタイン型(例えば、
商品名アモーゲンK、第一工業(株)製)等が挙げられ
る。上記非イオン界面活性剤及び両性界面活性剤の画像
形成層塗布液中に占める割合は、0.05〜15重量%
が好ましく、より好ましくは0.1〜5重量%である。
【0131】さらに、本発明に係る画像形成層中には、
必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤が
加えられる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン
酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、
フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリ
クレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オ
レイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。
【0132】本発明の画像形成層は、上記各成分の必要
なものを溶媒に溶かして塗布液を調製し、適当な支持体
上に塗布し、乾燥して設けられる。使用する溶媒として
は、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチル
エチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メト
キシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテー
ト、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキ
シエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチル
アセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラ
メチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホ
キシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、
水等を挙げることができ、単独又は混合して使用される
が、これに限定されるものではない。溶媒中の上記成分
(添加剤を含む全固形分)の濃度は、好ましくは1〜5
0重量%である。
【0133】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画
像形成層の乾燥塗布量は、用途によって異なるが、一般
的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法
としては、種々の方法を用いることができるが、例え
ば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カー
テン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード
塗布、ロール塗布等を挙げることができる。
【0134】本発明に係る画像形成層塗布液には、塗布
性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−
170950号に記載されているようなフッ素系界面活
性剤を添加することができる。好ましい添加量は、全画
像形成層の材料固形分中0.01〜1重量%、さらに好
ましくは0.05〜0.5重量%である。
【0135】本発明の画像形成層は、上記熱可塑性微粒
子及び後述の必要なその他のを各成分を適当な溶媒に分
散または溶かして塗布液を調製し、後述の支持体上に塗
布し、乾燥して設けることができるが、荷電を有する熱
可塑性微粒子分散液と支持体との間に電界を印加して、
該支持体上に該高分子重合体微粒子を電着させ、該高分
子重合体微粒子を含有する画像形成層を形成することが
できる。本発明の平版印刷版用原版の特徴である、上記
の画像形成層(感熱層)の形成に用いられる荷電を有す
る熱可塑性微粒子分散液(トナーともいう)ついて説明
する。本発明の熱可塑性微粒子分散液は少なくとも上記
の熱可塑性微粒子(高分子重合体微粒子等)、後述の荷
電調節剤、分散剤、分散媒および必要に応じて光熱変換
剤を含有する。
【0136】(荷電調節剤)荷電調節剤は従来、公知の
ものを使用することができる。例えばナフテン酸、オク
テン酸、オレイン酸、ステアリン酸等の脂肪酸の金属
塩、スルホコハク酸エステルの金属塩、特公昭45−5
56、特開昭52−37435、特開昭52−3704
9等に示されている油溶性スルホン酸金属塩、特公昭4
5−9594に示されているリン酸エステルの金属塩、
特公昭48−25666に示されているアビエチン酸も
しくは水素添加アビエチン酸の金属塩、特公昭55−2
620に示されているアルキルベンゼンスルホン酸Ca
塩類、特開昭52−107837、特開昭52−389
37、特開昭57−90643、特開昭57−1397
53等に示されている芳香族カルボン酸あるいはスルホ
ン酸の金属塩類、ポリオキシエチル化アルキルアミンの
ような非イオン性界面活性剤、レシチン、アマニ油等の
油脂類、ポリビニルピロリドン、多価アルコールの有機
酸エステル、特開昭57−210345に示されている
リン酸エステル系界面活性剤、特公昭56−24944
に示されているスルホン酸樹脂等を使用することができ
る。また特開昭60−21056、特開昭61−509
51に記載されたアミノ酸誘導体も使用することができ
る。前記アミノ酸誘導体とは、下記一般式(1)または
(2)で表わされる化合物、またはアミノ酸を有機溶媒
中でチタン化合物と反応させた反応混合物を更に水と混
合して反応させた反応混合物である。
【0137】
【化8】
【0138】(式中、R1、R2は水素原子、炭素数1〜
22までのアルキル基、置換アルキル基(置換基として
はジアルキルアミノ基、アルキルオキシ基、アルキルチ
オ基)、炭素数6〜24までのアリール基、置換アリー
ル基(置換基としてはジアルキルアミノ基、アルキルオ
キシ基、アルキルチオ基、クロル基、ブロム基、シアノ
基、ニトロ基、ヒドロキシル基)、アラルキル基、炭素
数1〜22までのアシル基、アルキルスルホニル基、ア
ルキルホスホニル基又は炭素数6〜24までのアリール
スルホニル基、アリールスルホニル基を示す。R1、R2
はそれぞれ同じであっても異なっても良く、R1−R2
環を形成してもよいが同時に水素原子になることはな
い。Aは炭素数1〜10までのアルキレン基又は置換ア
ルキレン基を示す。Xは水素原子もしくは1価から4価
までの金属、もしくは4級アンモニウム陽イオンを示
す。nは正の整数を示す。)
【0139】これらの内で好ましいものとしては、ナフ
テン酸の金属塩、ジオクチルスルホコハク酸の金属塩、
レシチン、前記アミノ酸誘導体を挙げることができる。
更に好ましいものとしては、ナフテン酸のジルコニウ
ム、コバルト、マンガン塩、ジオクチルスルホコハク酸
のカルシウム、ナトリウム塩、前記一般式(1)の化合
物の金属塩を挙げることができる。一般式(1)の化合
物の金属塩としては、チタン、コバルト、ジルコニウ
ム、ニッケルの塩が特に好ましい。これらの荷電調節剤
としては、2種以上の化合物を併用することも可能であ
る。
【0140】(分散剤)分散剤は荷電を有する高分子重
合体微粒子(トナーともいう)の分散性を高める樹脂で
あり、担体液体に対して、溶解又は膨潤することによ
り、トナーの分散性を高める樹脂類である。例えば、ス
チレン−ブタジエン、ビニルトルエン−ブタジエン、ブ
タジエン−イソプレン等のゴム類、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート等の長鎖アルキル
基を有するアクリル系単量体の重合体、およびそれらと
他の単量体(スチレン、(メタ)アクリル酸およびその
メチル、エチル、プロピルエステル等)との共重合体、
更にはグラフト共重合体、ブロック共重合体を用いるこ
とができる。これら好ましい分散剤の内でも、合成ゴム
系分散剤は有効であり、更にはスチレン−ブタジエン共
重合体のランダム又はブロック共重合体は極めて有効な
分散剤として使用できる。
【0141】〔荷電を有する熱可塑性粒子分散液の製造
方法〕先ず、前記被覆剤である樹脂と光熱変換剤を混合
し、被覆剤の軟化温度以上でバンバリミキサー、エクス
トルーダー、ニーダー、三本ロールミル等の混練機によ
って溶融混練し、混和物を得る。別の方法として被覆剤
の親溶剤に樹脂を溶解し光熱変換剤を加え、ボールミ
ル、アトライター、サンドミル、バンバリミキサー、エ
クストルーダー、ニーダー、および三本ロールミル等の
分散機および混練機によって分散混練した後、この混練
物を乾燥又は非溶剤に添加して沈殿させて混和物を得
る。このうち溶融混練の方法が、他の方法に比べて光熱
変換剤と被覆剤の付着性が良好で次の分散過程および経
時による脱着が少なく、好ましい方法である。次に、こ
の様にして得られた混和物を乾式粉砕した後、分散剤と
ともにボールミル、アトライター、ペイントシェカー、
サンドミル等の分散機によって湿式分散しトナー濃厚液
を得る。このトナー濃厚液を、荷電調節剤を含有した担
体液に添加させて高分子重合体微粒子分散液を得る。
【0142】その他(濃度、比率など) 粒子濃度(被覆剤樹脂と光熱変換剤の濃度)は特に限定
されないが、使用液で行なう場合1リットル当り約0.
1g〜10gであり、トナー濃厚液の場合は約10gか
ら500gの濃度である。被覆剤樹脂と光熱変換剤の使
用割合は、光熱変換剤1重量部に対して、被覆剤樹脂を
約0.1〜20重量部使用することが好ましく、特に約
0.5〜5重量部が好ましい。また、分散剤は光熱変換
剤1重量部に対して約0.1〜10重量部、好ましくは
約0.2〜5重量部用いられる。荷電調節剤はトナー濃
厚液の場合には約1×10-4〜1モル/リットル、好ま
しくは約1×10-3〜1×10-1モル/リットルが用い
られる。希釈液の場合は約1×10-6〜1×10-2モル
/リットル、好ましくは約1×10-5〜1×10-3モル
/リットルが用いられる。
【0143】荷電を有する熱可塑性粒子分散液に用いら
れる電気絶縁性液体としては公知の多種類のものが使用
可能であるが、現像操作中静電潜像を損わないようにす
る必要性から電気抵抗109Ω・cm以上、誘電率3以
下の非水溶液を選ぶことが望ましい。また被覆剤に対し
て溶解性の低いものを選ぶ必要がある。一般的には脂肪
族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲ
ン化炭化水素、ポリシロキサン類等を用いることができ
るが、揮発性・安定性・毒性・臭気等の点からイソパラ
フィン系石油溶剤が好適である。イソパラフィン系石油
溶剤としてはエッソ社製アイソパーG、アイソパーH、
アイソパーL、アイソパーK、シェル石油会社製シェル
ゾール71等が挙げることができる。
【0144】荷電を有する熱可塑性粒子分散液に用いら
れる熱可塑性微粒子(高分子重合体微粒子)は、粒子の
経時安定性、沈降性を向上させる目的で、加熱処理を行
うことができる。加熱条件としては、粒子に用いる高分
子樹脂の軟化開始点より20℃低い温度から軟化温度範
囲の温度で加熱処理することが好ましい。
【0145】以下に本発明の印刷方法及び印刷機につい
て詳細に説明する。本発明の平版印刷機の印刷部を示す
図1および図2に基づき説明する。図1は、本発明の印
刷機上で画像形成層の形成および直接作像・製版を行う
ための装置の一例の概略図である。シート状又はウエブ
状の印刷用紙(被印刷物)12は、圧胴7とブランケッ
ト胴6の間に挟まれる。ブランケット胴6は円筒形版胴
1に接触しており、円筒形版胴1から後述するインキ付
け像を被印刷物12に転写するための転写手段である。
この円筒形版胴1は、外周面に親水性層を有する支持体
(基板)11が設置されている。基板11の外周面に形
成される荷電を有する分散物(トナーともいう)の電着
による粒子層(画像形成層)13は、円筒形版胴1に近
接して取り付けられている後述の電着装置2によって形
成される。
【0146】画像形成層13が形成されと、円筒形版胴
1に近接して装備した描画装置(作像ユニット)3によ
り、印刷すべきデジタルデータに応じて前記親水性支持
体11上の画像形成層13の表面上に赤外線レーザーを
走査露光させ画像を正確な見当で焼き付ける。画像形成
層13の表面にインキ受理区域(熱可塑性微粒子の熱融
着部、疎水性)とインク反撥区域(熱可塑性微粒子の非
熱融着部、親水性)から成る像パターンを形成する。
【0147】作像(画像形成)が行われる間は、印刷機
は、「刷り動作オフ」モード(印刷動作を行わない作動
態様)におかれている。即ち、この「刷り動作オフ」モ
ードでは、円筒形版胴1は、他のどの胴にも接触してい
ない。描画装置3による作像が終ると、印刷機は「刷り
動作オン」モード(印刷動作を行う作動態様)に切り換
えられ、円筒形版胴1に近接して装備したインク・水供
給装置4により、支持体11上の作像された画像形成層
13の表面は、慣用のオフセット態様又は無水オフセッ
ト態様でインキ付けされる。未露光部の非画像部は、印
刷の初期において、該微粒子がある程度の集団となって
いるため除去性(現像性)が良く、印刷機上で湿し水、
またはインクにより除去できる。
【0148】図2は、本発明の印刷機上で円筒形版胴1
に装備された機上電着装置2の概略図である。電着装置
2は上述したように円筒形版胴1の外周面に設置された
親水性支持体11と対向電極(電着ヘッドともいう)2
0との間に電着液(荷電を有する分散物、トナーともい
う)を電着液供給液スリット21より供給しつつ電界
(直流電源27)を印加し、版胴1を回転することによ
り支持体11上に該分散物を連続的に電着し、粒子層
(画像形成層)13を形成する装置である。電着装置2
は図2に示すように、電着液タンク25、ポンプ26、
電着ヘッド20、ブレード(またはローラー)24、電
着液供給液スリット21、電着液回収第1スリット22
および電着液回収第2スリット23から構成され、電着
ヘッド20と版胴1上に設置した親水性支持体11との
間に直流電圧を印加できるような構成を有する。親水性
支持体11と電着ヘッド20との間隔は1mm〜20m
mが好ましい。印加電圧は100V〜5000V、電着
量は0.1〜2gが好ましい。この電着ヘッド20は直
接印刷機上に設置しても、印刷機と独立した構造のもの
で、使用時に印刷機に設置しても良い。電着後は、微粒
子の担体液を除去する。担体液を除去する方法として
は、エアナイフスクイズ、コロナスクイズ、ローラスク
イズ等の方法があり、電着液回収第1スリット22およ
び電着液回収第2スリット23により回収される。
【0149】本発明に使用される支持体としては、表面
処理されたアルミニウム板、プラスチック支持体、また
は、耐水処理きれた紙を用いることができる。さらに具
体的には、陽極酸化されたアルミニウム板、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルム、ポリエチレンでラミネート
された紙を挙げることができる。
【0150】該アルミニウム板は、純アルミニウム板お
よびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合
金板であり、さらにはアルミニウムまたはアルミニウム
合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているもの
である。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ
素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、
ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元
素の含有量は高々10重量%以下である。しかし、本発
明に適用されるアルミニウム板は、従来より公知公用の
素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができ
る。
【0151】本発明で用いられる上記の基板の厚みは
0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜
0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mm
である。
【0152】アルミニウム板を使用するに先立ち、表面
の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好まし
い。表面処理により、親水性層との接着性の確保が容易
になる。
【0153】アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々
の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する
方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化
学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械
的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラス
ト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることが
できる。化学的方法としては、特開昭54−31187
号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の
飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化
学的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含む
電解液中で交流または直流により行う方法がある。ま
た、特開昭54−63902号に開示されているように
混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができ
る。
【0154】上記の如き方法による粗面化は、アルミニ
ウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.
0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗
面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウ
ムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエ
ッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望に
より耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。
アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質とし
ては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が
可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるい
はそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は
電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理
条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定
し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%
溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2
電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれ
ば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.
0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好
ましい。
【0155】本発明の平版印刷版用原版は、親油性物質
による画像形成層表面の汚染防止のため、画像形成層上
に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本
発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易
に除去できるものであり、水溶性の有機高分子化合物か
ら選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる水溶性の有機
高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜が
フィルム形成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸
ビニル(但し加水分解率65%以上のもの)、ポリアク
リル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリア
クリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン
塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはア
ミン塩、ポリメタクリル酸共重合体、そのアルカリ金属
塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合
体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピ
ロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、
ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ
−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスル
ホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリ−
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホ
ン酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、
アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチ
ルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセ
ルローズ等)、その変性体 、ホワイトデキストリン、
プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げる
ことができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二
種以上混合して用いることもできる。
【0156】また、オーバーコート層には、前記の水溶
性光熱変換剤を添加しても良い。さらに、オーバーコー
ト層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の
場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオ
ン系界面活性剤を添加することができる。オーバーコー
ト層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好まし
い。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚
れなどの親油性物質による画像形成層表面の良好な汚染
防止ができる。
【0157】本発明の平版印刷版用原版は熱により画像
形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画
像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電
灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光など
が用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を
放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤
外線レーザによる露光が好適である。画像露光された本
発明の平版印刷版用原版は、それ以上の処理なしに印刷
機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷
することができる。また、これらの平版印刷版用原版
は、日本特許2938398号に記載されているよう
に、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭
載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水又はイ
ンクをつけて機上現像することも可能である。また、こ
れらの平版印刷版用原版は、水または適当な水溶液を現
像液とする現像をした後、印刷に用いることもできる。
【0158】
【実施例】以下に本発明を実施例により更に具体的に説
明するが、勿論本発明の範囲はこれらによって限定され
るものではない。
【0159】〔基板の作製〕 (アルミニウム支持体の作製)厚さ0.24mmのJI
S−A−1050に従うアルミニウム板の表面を、ナイ
ロンブラシとパミストン(400メッシュ)の水懸濁液
とで砂目立てした後、水でよく洗浄した。次に、10重
量%の水酸化ナトリウム水溶液に70℃で60秒間浸漬
してエッチングした後、流水で水洗いした。20重量%
の硝酸水溶液で中和、洗浄してから、水洗いした。得ら
れたアルミニウム板を、矩形波の交番波形電流(条件:
陽極時電圧12.7V、陽極時電気量に対する陰極時電
気量の比が0.9、陽極時電気量160クーロン/dm
2)を用いて、0.5重量%の硝酸アルミニウムを含む1
重量%硝酸水溶液中で電解粗面化処理を行った。得られ
た板の表面粗さは、0.6μm(Ra表示)であった。
この処理に続いて、1重量%の水酸化ナトリウム水溶液
に40℃で30秒間浸漬した後、30重量%の硫酸水溶
液中、55℃で1分間処理した。次に、厚さが2.5g
/dm2になるように、20重量%の硫酸水溶液中で直
流電流を用いて電流密度2A/dm2の条件下で、陽極
酸化処理をした。これを水洗、乾燥して支持体を作製し
た。
【0160】<親水性層Aの形成> (親水性層A塗布液の調製)下記の組成物1を、ガラス
ビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機(株))に
て室温で10分間分散した後、更に、組成物2を33g
添加し、ペイントシェーカー(東洋精機(株))にて室
温で1分間分散した後、ガラスビーズを濾別して、親水
性層Aの塗布液を得た。
【0161】 (組成物1) チタン酸カリウムウィスカーティスモN (大塚化学(株)、平均直径0.4μm、平均長さ15μm) 31g PVA117(クラレ(株))の5wt%水溶液 70g コロイダルシリカ20%水溶液;スノーテックC (日産化学工業(株)) 60g
【0162】 (組成物2) テトラエトキシシラン 92g エタノール 163g 水 163g 硝酸 0.1g
【0163】前記アルミニウム支持体上に、上記親水性
層塗布液Aを、ワイヤーバーを用いて乾燥後の塗布量が
5g/m2になるように塗布し、オーブンで100℃、
10分間乾燥した。平版印刷用原版をベック平滑度試験
機(熊谷理工(株)製)を用い、空気容量10ccの条件
にてその平滑度を測定したところ、105(sec/10c
c)であった。また、平版印刷用原版の表面に、蒸留水
2μlを乗せ、30秒後の表面接触角(度)を表面接触
角計(商品名CA−D、協和界面科学(株)製)を用い
て測定したところ、5度以下であった。
【0164】〔実施例1〕 (微粒子(1)の調製)酢酸エチル21.0gに、重量
平均分子量2000のフェノールのクレゾール樹脂PR
−54020(住友デュレス(株)製)6.0g、光熱
変換剤(本明細書記載のIR−26)1.5g、アニオ
ン界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂(株)
製)0.1gを溶解し、油相を作製した。これに4%の
ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)
水溶液36.0gの水相を加え、ホモジナイザーで10
000rpmで10分間乳化させた。水を24.0g加
えた後に、この液を50℃で3時間、有機溶剤を飛ばし
ながら加熱した。固形分濃度を測定したところ15.0
重量%であった。また平均粒径は0.3μmであった。
【0165】<画像形成層(1)の形成>次に下記組成
の画像形成層(画像形成層(1))塗布液を作成し、ロ
ッドバー塗布を行った。乾燥条件は、オーブン使用、6
0℃120秒であり、画像形成層乾燥塗布量は1.2g
/m2であった。
【0166】 [画像形成層(1)塗布液] 水 30g 微粒子(1)(固形分換算) 2.0g メガファックF−171 0.1g (大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) ポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205) 0.2g
【0167】〔実施例2〕 (微粒子層(2)の調製)アセトニトリル5.0g、酢
酸エチル16.0gにエポキシ樹脂エピコート1002
(油化シェルエポキシ(株)製)6.0g及び、光熱変
換剤(本明細書記載のIR−26)1.5g、パイオニ
ンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを溶解し、
油相を作製した。以下、微粒子(1)の合成例と同様に
して、固形分濃度14.0重量%、平均粒径は0.35
μmの微粒子(2)の分散液を作製した。
【0168】<画像形成層(2)の形成>次に下記組成
の画像形成層(画像形成層(2))塗布液を作成し、ロ
ッドバー塗布を行った。乾燥条件は、オーブン使用、6
0℃120秒であり、画像形成層乾燥塗布量は1.2g
/m2であった。
【0169】 [画像形成層(2)塗布液] 水 30g 微粒子(2)(固形分換算) 2.0g メガファックF−171 0.1g (大日本インキ化学工業(株)製フッ素系界面活性剤) ポリビニルアルコール(クラレ(株)製:PVA205) 0.2g
【0170】〔実施例3〕 (微粒子(3)の合成)アリルメタクリレート7.5
g、ブチルメタクリレート7.5g、ポリオキシエチレ
ンノニルフェノール水溶液(濃度9.84×10-3mo
ll-1)200mlを加え、250rpmでかき混ぜな
がら、系内を窒素ガスで置換する。この液を25℃にし
た後、セリウム(IV)アンモニウム塩水溶液(濃度
0.984×10-3moll-1)10ml添加する。こ
の際、硝酸アンモニウム水溶液(濃度58.8×10-3
moll-1)を加え、PHを1.3〜1.4に調整す
る。その後8時間これを攪拌した。このようにして得ら
れた液の固形分濃度は9.5%であり、平均粒径は0.
4μmであった。
【0171】<画像形成層(3)の形成>次に下記組成
の画像形成層(画像形成層(3))塗布液を作成し、ロ
ッドバー塗布を行った。乾燥条件は、オーブン使用、6
0℃120秒であり、画像形成層乾燥塗布量は1.2g
/m2であった。
【0172】 [画像形成層(3)塗布液] 微粒子(3)(固形分換算) 5g ポリヒドロキシエチルアクリレート (重量平均分子量2.5万) 0.5g 光熱変換剤(本明細書記載のIR−11) 0.3g 水 100g
【0173】〔実施例4〕 (マイクロカプセルの調製)油相成分として、キシレン
ジイソシアネート40g、トリメチロールプロパンジア
クリレート10g、アリルメタクリレートとブチルメタ
クリレートの共重合体(モル比7/3)10g、パイオ
ニンA41C(竹本油脂製)0.1g、ヨードニウム塩
(下記構造)2gを酢酸エチル60gに溶解した。水相
成分として、PVA205(クラレ製)の4%水溶液を
120g作製した。油相成分および水相成分をホモジナ
イザーを用いて10000rpmで乳化した。その後、
水を40g添加し、室温で30分、さらに40℃で3時
間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル
液の固形分濃度は20%であり、平均粒径は0.5μm
であった。
【0174】
【化9】
【0175】<画像形成層(4)の形成>次に下記組成
の画像形成層(画像形成層(4))塗布液を作成し、ロ
ッドバー塗布を行った。乾燥条件は、オーブン使用、6
0℃120秒であり、画像形成層乾燥塗布量は1.2g
/m2であった。
【0176】 (画像形成層(4)塗布液) 合成したマイクロカプセル(固形分換算) 5g トリメチロールプロパントリアクリレート 3g 光熱変換剤(本明細書記載のIR−11) 0.3g 水 60g 1−メトキシ−2−プロパノール 40g
【0177】〔実施例5〕 (微粒子層(5)の調製)カーボンブラック(三菱化学
(製)#40)1重量部、ステアリルメタクリレート・
メチルメタクリレート共重合体(モル比1:9)合成品
2重量部を混合し、3本ロールミルで120℃−30分
間溶融混練した。室温に冷却した後、ハンマーミルおよ
びピンミルで粗粉砕および微粉砕した。この粉砕物を用
い下記の組成にして分散した。
【0178】 (微粒子(5)分散液の組成) 上記粉砕物 3重量部 ソルプレン1205(旭化成社製)の5重量%溶液 20重量部
【0179】分散はまずアトライターで予備分散を行な
い、次にスーパーミルで周速10m/秒の条件で本分散
を2時間行なった。この様にして得られた分散液の固形
分濃度は13wt%である。分散中の温度は35℃にな
る様にした。
【0180】この様にして得られた分散液に対し次の操
作を行なった。上記分散液をアイソパーGで2倍に希釈
し、本明細書に記載された一般式(1)においてR1
n−C817、R2:n−C1827CO、X:Ni、A:
24、n=2で示される荷電調節剤をトナー粒子1g
当り1×10-4モル量含有させ、50℃−3日間加熱処
理した。その間、撹拌操作は一切行なわなかった。荷電
量を特開昭57−58176号記載の装置で測定した結
果35mV/cmであった。又、粒子サイズを堀場製作所製
粒子サイズ測定装置CAPA500で測定したところ
0.46μmであった。更に、得られた分散液をアイソ
パーGで希釈し粒子の固形分濃度を1g/リットルとした。
【0181】<画像形成層(5)の形成>上記で作成し
た微粒子(5)分散液中に、前記親水性層を有するアル
ミニウム支持体(基板)を浸漬し、アルミニウム支持体
をプラス極とし、アルミニウム基板から1cmの距離を
おいて、分散液中にマイナスの対向電極を設置した。そ
してプラス極とマイナス極の間に2000Vの直流電圧
を印加し、基板上には0.6g/m2の高分子重合体微
粒子(5)の電着物が形成し、自然乾燥して平版印刷版
用原版を得た。
【0182】このようにして得られた機上現像可能な平
版印刷版用原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザを
搭載したクレオ社製トレンドセッター3244VFSに
て、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エ
ネルギー100mJ/cm2、解像度2400dpiの
条件で露光した後、処理することなく、ハイデルベルグ
社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取付け、湿し水を
供給したのち、インキを供給し、さらに紙を供給し印刷
を行った。すべての原板について問題なく機上現像する
ことができ、印刷可能であった。各原版に用いた親水性
層、画像形成層の微粒子及び得られた印刷物の枚数(耐
刷性)を表1に示した。汚れ難さのレベルは、いずれも
良好なレベルにあった。
【0183】〔比較例1〜5〕実施例1〜5において、
上記親水性層塗布液Aを前記親水性アルミニウム支持体
上に塗布する代わりに、下記の表面処理を行った他は、
実施例1〜5と同様な操作で比較用平版印刷版用原版を
作製し、露光、印刷評価した。その結果を第1表に示
す。
【0184】(比較例1〜5の支持体表面処理)作製し
た支持体を、3号ケイ酸ソーダ(SiO2:28〜30
重量%、Na2O:9〜10重量%、Fe:0.02重
量%以下)の2.5重量%水溶液(pH:11.2)に
70℃で13秒浸漬して、水洗した。蛍光X線分析で測
定したシリケート量は、10mg/m2であった。
【0185】〔実施例6〜10〕実施例1〜5におい
て、上記親水性層Aの塗布液を前記親水性アルミニウム
支持体上に塗布する代わりに、下記の親水性層Bの塗布
液をアルミニウム支持体上に塗布した他は、実施例1〜
5と同様な操作で平版印刷版用原版を作製し、露光、印
刷評価した。耐刷性の結果を表1に示した。汚れ難さの
レベルは、いずれも良好なレベルにあった。
【0186】<親水性層Bの形成> (親水性層B塗布液の調製)下記の組成物3を、ガラス
ビーズと共にペイントシェーカー(東洋精機(株))に
て室温で10分間分散した後、更に、組成物4を33g
添加し、ペイントシェーカー(東洋精機(株))にて室
温で1分間分散した後、ガラスビーズを濾別して、親水
性層Bの塗布液を得た。
【0187】 (組成物3) 導電性酸化チタンウィスカーFT1000 31g (石原産業(株)、平均直径0.1μm、平均長さ6μm) PVA117(クラレ(株))の5wt%水溶液 70g コロイダルシリカ20%水溶液;スノーテックC (日産化学工業(株)) 60g
【0188】 (組成物4) テトラメトキシシラン 92g エタノール 163g 水 163g 硝酸 0.1g
【0189】
【表1】
【0190】〔実施例11〕 (画像形成層の機上電着、機上露光、機上現像による印
刷方法)上記の実施例1〜5で用いた親水性層を有する
アルミニウム支持体(基板)を、東京航空計器株式会社
製、オフセット印刷機の版胴上に設置した。さらに、図
2に示すように電着ユニットをアルミニウム基板から5
mmの距離をおいて設置した。アルミニウム支持体をプラ
ス極とし、電着ユニットとの間に直流電圧2000Vを印加
した。次に、上記の実施例5で調製した微粒子(5)分
散液を電着タンクへ入れ、ポンプによって電着ユニット
とアルミニウム支持体の間に送液した。アルミニウム支
持体をプラス極とし、電着ユニットをマイナス極とし、
プラス極とマイナス極の間に2000Vの直流電圧を印加
し、基板上に0.6g/m2の微粒子(5)の電着物が
形成した。このものを波長830nmの赤外光を発する
半導体レーザで露光した。露光後、現像することなく、
湿し水としてIF201(富士写真フイルム(株)製)
を、インキとしてGEOS墨(大日本インキ(株)製)
を用い、印刷を行った。その結果、50枚目から地汚れ
のない印刷物が得られ、2万枚の印刷が可能であった。
汚れ難さのレベルは、良好なレベルにあった。
【0191】以上の結果は、本発明による平版印刷版用
原版が、高感度で耐刷力及び汚れ難さが優れていること
を示している。
【0192】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による平版
印刷版用原版は基板の親水性層(中間層)に針状フィラ
ーと上記有機無機複合体との組み合わせを用いるのが特
徴の一つであり、製版後、耐刷性に優れた膜が得られる
と同時に、針状フィラーが形成する特殊な表面形態、つ
まり微細な網目形状が形成されるため、画像形成層中の
樹脂成分が画像形成の熱により溶融し前記網目に密着し
アンカー効果が発現することにより耐刷性を向上するこ
とができる。本発明の平版印刷版用原版は、前記親水性
層を有する支持体(基板)上の画像形成層(感熱層)の
形成において、通常の塗布による形成以外に、荷電を有
する熱可塑性微粒子(高分子重合体微粒子)分散物に、
電界を印加して支持体上に、該微粒子を電着させること
も可能であり、画像形成層は均一な熱可塑性微粒子を主
成分として構成され、赤外線領域のレーザー光等の走査
露光により微粒子の熱融着による画像形成において、微
粒子の熱融着性が良好であり、強固な画像強度が得ら
れ、かつ未露光部の非画像部では、該微粒子がある程度
の集団となって除去されるため除去性が良く、即ち良好
な現像性を有し、印刷機上で湿し水、またはインクによ
り除去でき、印刷汚れがなく、耐刷性の優れた平版印刷
版が作製可能である。本発明の印刷方法の他の特徴は、
印刷機上で版胴に設置した基板上に前記の電着により、
画像形成層を形成し、レーザ露光部の粒子の熱融着によ
り基板上にネガ像を形成し、未露光部は印刷機上で湿し
水、またはインクにより除去し、印刷することも可能で
ある。従って、本発明の印刷方法は、印刷機上で画像形
成層の電着形成、画像露光することにより、製版の過程
がなくなるComputer To Cylinder (CTC)の印刷方式を実
現できる。通常のPS版の作成に要した多くの時間とコ
ストが不要になり、低価格、短納期の印刷物作成が可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の印刷機の一例の概略図である。
【図2】図1の印刷機に装備された機上電着装置の概略
図である。
【符号の説明】
1:版胴 2:電着装置 3:描画装置 4:インク・水供給装置 5:版画洗浄装置 6:ブランケット胴 7:圧胴 11:基板 12:被印刷物 13:画像形成層 20:電着ヘッド 21:電着液供給スリット 22:電着液回収第1スリット 23:電着液回収第2スリット 24:ブレード 25:電着タンク 26:ポンプ 27:直流電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H084 AA14 AA32 AA40 BB13 CC05 2H114 AA04 AA22 AA24 BA01 BA10 DA38 DA62 DA74 DA76 DA79 EA01 EA03 FA16 4J002 AB023 AB033 CB003 CF163 CK01X CK02X CL063 CL07X CP01W CP03W CP09W CP10W CP14W CP16W DA016 DA026 DB016 DE076 DE086 DE096 DE106 DE136 DE146 DE186 DE236 DF016 DF036 DG046 DG056 DH046 DJ006 DJ016 DL006 FA073 FA076 GS00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に、針状フイラー、及びSiが
    酸素原子を介して繋がったシロキサン結合を有する樹脂
    と該樹脂と水素結合を形成し得る基を有する有機ポリマ
    ーとの複合体からなる結着剤を少なくとも含有する親水
    性層を有する基板上に、熱可塑性微粒子を含有する画像
    形成層を有することを特徴とする平版印刷版用原版。
  2. 【請求項2】 前記熱可塑性微粒子がa)熱により溶融
    する疎水性熱可塑性ポリマー微粒子、b)熱反応性感応
    基を有するポリマー微粒子、およびc)熱反応性感応基
    を有する化合物を内包するマイクロカプセルのうち少な
    くともいずれかであることを特徴とする請求項1記載の
    平版印刷版用原版。
  3. 【請求項3】 前記画像形成層が、荷電を有する熱可塑
    性微粒子分散液と基板との間に、電界を印加し、前記基
    板上に電着させた熱可塑性微粒子を含有することを特徴
    とする請求項1又は2記載の平版印刷版用原版。
  4. 【請求項4】 前記基板が印刷機版胴上に設置され、荷
    電を有する熱可塑性微粒子分散液と基板との間に、電界
    を印加し基板上に熱可塑性微粒子を電着させ画像形成層
    を形成する工程、該画像形成層を画像露光工程、イン
    ク、水または擦りにより非画像部を除去した後に印刷を
    行う工程を有することを特徴とする印刷方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008105339A1 (ja) * 2007-02-27 2008-09-04 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 印刷版材料
US11760081B2 (en) 2020-09-04 2023-09-19 Eastman Kodak Company Lithographic printing plate precursor and method of use

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