JP3807736B2 - 車両用ドアサッシュ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用ドアサッシュに関するものであり、特に、冷間圧延鋼板等を用いてロール成形手段等により成形したサッシュ型材を基礎に、その端面どうしを互いに突合わせ接合することによってドア枠(サッシュ)を形成させるようにしたものにおいて、意匠面となるフランジ部の表面側には溶接手段を施さないようにして、フランジ部表面側における研削仕上げを不要化した車両用ドアサッシュに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車の側面を形成するドアのウインドゥガラス周りの車両用ドアサッシュは、例えば、特開平8−155568号公報あるいは図6に示すように、ルーフパネルのドア開口面に沿うように形成されるルーフ側サッシュ部材200と、上下方向に配置されるピラーであるBピラー等に沿うように形成される縦サッシュ部材100と、からなるものであり、これらが突合わせ部300において溶接手段により結合されることによってサッシュアセンブリ400が形成されるようになっているものである。そして、このようなサッシュアセンブリ400をドアパネル本体500に組み込むことによって車両用ドア600が形成されるようになっているものである。ところで、この車両用ドア600を形成するサッシュアセンブリ400のドア外板面を形成する部分は、意匠面を形成することとなるため、上記溶接手段による結合の後にサンダー手段等により、表面が段差あるいは歪み等のない状態に仕上げられるようになっているものである。そして、このようにきれいな面を有するように仕上げられたものの、その上面側から塗装処理等が施されるようになっているものである。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−155568号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、突合わせ溶接の施されたフランジ部の表面側は意匠面を形成することとなるため、上記溶接ビードの部分をサンダー仕上げ手段等にて粗仕上げ加工をし、その後に、細かな砥粒を有するサンドペーパー等にて鏡面状に仕上げるようにしているものである。従って、上記仕上げ加工のために、多くの手間を要してしまうと言う問題点がある。このような問題点を解決するために、サッシュ型材の切断面相互を結合させる突合わせ部におけるドア外板面を形成するサッシュ部材のフランジ部表面側には溶接を施さないようにするとともに、突合わせ部を形成する他の部分には溶接手段を施し、これによって、所定の接合強度を有するようにした車両用ドアサッシュを提供しようとするのが、本発明の目的(課題)である。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明においては次のような手段を講ずることとした。すなわち、請求項1記載の発明においては、ガラスランチャンネルの収納される溝部と、当該溝部の背面側に設けられるものであって底面部が上記溝部の底面部と接するように形成されるウェザストリップ保持用のリテーナ部と、これらリテーナ部及び溝部の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部と、からなるものであって、上記各部が冷間圧延鋼板を基にロール成形手段にて所定の横断面形態を有するように成形されるサッシュ型材を基礎に、これらサッシュ型材を複数本用意し、それらのうちのいずれか2本のものの切断面相互を突合わせた状態で接合する車両用ドアサッシュに関して、上記突合わせ接合部を、フランジ部側に設けられるものであって当該フランジ部表面側から底面部どうしの接合面側に向かって設けられる段違い部にて形成されるものと、上記フランジ部表面側とは反対の側のドアの内側面を形成する側に設けられるものであって所定の傾斜角を有する傾斜面にて形成される接合面と、からなるようにするとともに、上記フランジ部の表面側を除いた部分を溶接手段にて接合するようにした構成を採ることとした。
【0006】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、2本のサッシュ部材の切断面を互いに接合させる突合わせ接合部のうち、フランジ部の表面側に近い部分に段違い部を設け、これら段違い部を重ね合わせることによってフランジ部側の連結部を形成させるとともに、その他の残りの部分に、傾斜面からなる接合面を形成させるようにしたので、突合わせ接合部における係合長さ(結合長さ)が長くなり、サッシュアセンブリ全体の結合剛性等が高められるようになる。また、ドア外板面の意匠面を形成するフランジ部の表面側を除いた残りの部分を、所定の溶接手段を用いて接合するようにしたので、意匠面を形成するフランジ部表面には溶接が施されないようになり、従来行われていたような溶接ビード部の研削仕上げ等が不要となる。そして、このようなフランジ部の表面側には黒色テープが装着(貼り付け)されて、意匠面の見栄えが確保されるようになる。その結果、本発明のものにおいては、車両用ドアサッシュの製造コストの低減化を図ることができるようになる。
【0007】
次に、請求項2記載の発明について説明する。本発明の構成も、その基本的な点は、上記請求項1記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1記載の車両用ドアサッシュに関して、上記両フランジ部の間に形成される突合わせ面のところに熱硬化性樹脂シートを挿入するとともに、この熱硬化性樹脂シートを両フランジ部間に挟んだ状態で当該熱硬化性樹脂シートのフランジ部表面側にはみ出した部分を回転円盤状サンドペーパにて研削仕上げを行ない、このときに発生する摩擦熱にて上記熱硬化性樹脂シートを硬化させて上記両フランジ部間を接合させるようにした構成を採ることとした。
【0008】
このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、上記請求項1記載のものに加えて、更に、次のような作用を呈することとなる。すなわち、両フランジ部の間における突合わせ部のところに熱硬化性樹脂シートを挿入し、このような状態において意匠面となるフランジ部表面側へはみ出した熱硬化性樹脂シートを上記フランジ部とともに研削仕上げをする。この研削仕上げ時に発生する摩擦熱にて上記熱硬化性樹脂材を硬化させて両フランジ部における突合わせ部を接合させる。これによって、突合わせ部を形成する両フランジ部は、硬化した熱硬化性樹脂シートを介して接着されるようになる。その結果、フランジ部における突合わせ部の接合強度が強化されるとともに、このフランジ部間における接合面(突合わせ面)と他の部分における溶接接合面とは、所定の交叉角を有した状態で交わるように形成された2つの面から成り立っているので、サッシュアセンブリに入力される口開きモーメントに対して、その抵抗力が増大化されるようになる。従って、突合わせ接合部における口開き現象等が抑止され、フランジ部表面に設けられる黒色テープに亀裂等が生ずるのを未然に防止することができるようになる。
【0009】
次に、請求項3記載の発明について説明する。このものも、その基本的な点は、上記請求項1または請求項2記載のものと同じである。すなわち、本発明においては、請求項1または請求項2記載の車両用ドアサッシュに関して、上記フランジ部の表面側に形成されるものであって両フランジ部の突合わせ面にて形成される接触線を、いずれか一方側のサッシュ部材のフランジ部にて形成される内郭線の延長線上に設けるようにした構成を採ることとした。このような構成を採ることにより、本発明のものにおいては、意匠面を形成することとなるフランジ部表面側に形成される突合わせ面による線が、フランジ部の内郭線と一致するようになり、サッシュアセンブリとして組立てられた状態において、表面の仕上げを省略したとしても、フランジ部表面の見栄えに違和感を与えるようなことがなくなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、図1ないし図5を基に説明する。本実施の形態にかかるものは、車両用ドアサッシュに関するものであり、特に、本実施の形態においては、車両用サイドドアのうちのリア側ドアに用いられるドアサッシュを例に挙げて説明することとする。具体的には、本実施の形態にかかるドアサッシュは、図1に示すような所定の横断面形態を有するサッシュ型材を基礎に形成されるようになっているものである。このものは、一枚の冷間圧延鋼板等を用いてロール成形手段により一定断面形態を有するように成形されているものである。すなわち、ガラスランチャンネル(図示しない)が収納される溝部4、4’と、この溝部4、4’の背面側に設けられるものであって、その底面部51、51’が溝部4、4’の底面部41、41’とスポット溶接等の溶接手段6により接合されて形成されるウェザストリップ保持用のリテーナ部5、5’と、これらリテーナ部5、5’及び溝部4、4’の側壁42、42’、52、52’の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部7、7’と、溝部4、4’の一方の側面部に形成されるものであって車体側ウェザストリップと接触する接触部44、44’と、からなることを基本とするものである。
【0011】
このようなサッシュ型材を複数本用意するとともに、それらの端末部どうしを所定の手段にて接合させることによってサッシュアセンブリ1が形成されることとなる。具体的には、これらのうちの一方のもの、例えばルーフ側サッシュ部材3にベンディング加工等を施すことによってルーフの開口曲面に合わせた形態に成形するとともに、もう一方のものを、例えばBピラーに合わせて垂直状に成形加工してピラー側サッシュ部材2を形成させる。これらのものの、それぞれの一方の端末部を所定の形態に切断加工し、例えば図2ないし図4に示す如く、それらを接合させてリア側サイドドア用のサッシュアセンブリ1を形成させるようにする。
【0012】
次に、ルーフ側サッシュ部材3とピラー側サッシュ部材2との突合わせ面C周りにおける結合(接合)構造について、図2ないし図4を基に説明する。すなわち、ロール成形手段等により形成されたルーフ側サッシュ部材3とピラー側サッシュ部材2とを、それぞれの端末部を接合部が所定の形態を有するように切断加工する(図2,図3参照)。そして、それぞれの切断面を互いに突合わせる。
【0013】
この突合わせ部における切断面に関しては、本実施の形態においては、図2及び図3に示す如く、それぞれのサッシュ部材の突合わせ部側の端末部どうしを、段違い状に切断加工するようにする。そして、これら段違い状に成形加工された部分を重ね合わせる。具体的には、図2に示す如く、ルーフ側サッシュ部材3の端末部のところであってフランジ部7の表面側から底面部41、51の接合面にて形成される壁面の途中のところにかけて、略垂直状に、かつ、段違い状に切出して段違い部311を形成させる。そして、このような段違い部311の下方部のところ、具体的には底面部41、51の接合面にて形成される壁面の下方部から接触部44にかけて、接合部の角度が2等分化されるような所定の角度、例えば45°の傾斜角度を有するように切断をして、もう一方のサッシュ部材2との接合面31を形成させるようにする。
【0014】
これに対して、もう一方のサッシュ部材であるピラー側サッシュ部材2についても、上記ルーフ側サッシュ部材3の上記段違い部311のところに重ね合わされるように形成される段違い状のオーバハング部211を設けるようにする。具体的には、図3及び図4に示す如く、フランジ部7’の表面側から底面部41’、51’の接合面にて形成される壁面の途中にかけて、上記ルーフ側サッシュ部材の段違い部311における段違い深さ(H)の値と略等しい値の高さ(H)を有するようにオーバハング部211を設けるようにする。そして、このようなオーバハング部211の下方部のところから、接触部44’にかけて、接合部の角度が2等分化されるような所定の角度、例えば45°の傾斜角度を有するように切断加工をして、上記ルーフ側サッシュ部材3に設けられた接合面31に対向するように接合面21を形成させる。
【0015】
このように切断加工された両サッシュ部材2、3の、それぞれの端末部どうしを接合させる。具体的には、まず、図2に示すように切断加工されたルーフ側サッシュ部材3の先端部に形成された段違い部311上に、ピラー側サッシュ部材2に設けられたオーバハング部211を載せる(重ね合わせる)。また、これと同時に、接合部の角度が2等分化されるような所定の角度の傾斜面を有するように形成されたそれぞれの接合面21、31どうしを突合わせ接触させる。これによって、両サッシュ部材2、3の端末部どうしは、図1に示す如く、略直角を成した状態で突合わされる。このような状態において、上記接合面21、31を主にして、アーク溶接等の溶接手段を用いて両者2、3を接合させる。
【0016】
この突合わせ溶接を行う場所としては、例えば図4に示すように、リテーナ部5、5’の一方の側壁であってフランジ部7、7’の裏面側の部分(52,52’)のところに施されるもの(溶接W1)と、それぞれの底面部41、41’、51、51’の接合面にて形成される壁面の下方部に形成されるものであって接触部44、44’を主に形成されるところに施されるもの(溶接W2)と、更に、追加的に設けられるものとして溝部4、4’のもう一方の側壁と接触部44、44’との連結部の付近に施されるもの(溶接W3)と、が挙げられる。このように、本実施の形態のものにおいては、意匠面を形成するフランジ部7、7’側には溶接手段が施されない状態で両サッシュ部材2、3の突合わせ接合が行われるようになる。そして、このように形成されたサッシュアセンブリ1の上記フランジ部7、7’の表面に所定の黒色テープ等を貼付けることによって見栄えに優れた車両用ドアサッシュが効率良く形成(製造)されることとなる。
【0017】
このように、フランジ部7、7’側には溶接手段を施さないようにしたものにおいて、更に、上記接合部における強度・剛性を向上させるために、本実施の形態においては、上記突合わせ面C(図1参照)のところに、図2及び図3に示すような熱硬化性樹脂材からなるシート状の接着剤(熱硬化性樹脂シート)9を設けるようにする。具体的には、仮結合されたルーフ側サッシュ部材3の先端部に形成された突合わせ部73とピラー側サッシュ部材2のフランジ部7’の内郭線71’の延長線上に形成される部分との間に、熱硬化性樹脂シート9を挿入する(図3参照)。ここに用いられる熱硬化性樹脂シート9は、接着剤として用いられるものであって、例えばクロロプレンフォームを基材とし、金属どうしの接着に適したものが挙げられる。そして、この熱硬化性樹脂シート9は、厚さが1mm以下の値を有するものであって、幅が10mm、長さが25mmから35mmの値を有するようになっているものである。また、接着が可能となる温度条件としては、好ましくは150℃前後がよい。本実施の形態においては、フランジ部7、7’の表面側にはみ出した熱硬化性樹脂シート9をフランジ部7、7’側から所定の砥粒を有する円盤状サンドペーパを用いたサンダー仕上げ手段等にて軽い仕上げ加工を施すことによって硬化させる。具体的には、上記回転円盤状サンドペーパによる研削仕上げにより発生した摩擦熱によって上記熱硬化性樹脂シート9を硬化させる。これによって、突合わせ部73と内郭線71’とにて形成される突合わせ面Cのところだけではなく、ルーフ側サッシュ部材3及びピラー側サッシュ部材2の両フランジ部7、7’の裏面側にも上記熱硬化性樹脂材が廻り込み、両フランジ部7、7’間は強固に結合(接合)されることとなる。その結果、上記熱硬化性樹脂シート9にて結合された両サッシュ部材2、3からなるサッシュアセンブリ1の上記突合わせ面C周りにおける強度・剛性が強化されることとなる。
【0018】
次に、本実施の形態のものについての、その作用等について説明する。本実施の形態のものにおいては、フランジ部7、7’の表面側には従来のものにおけるような溶接が施されていなくても、他の部分、特に接触部44、44’を主とした部分には、図4に示すような溶接部(W1,W2,W3)が設けられるようになっているので、突合わせ面C周りにおける結合強度及び剛性は、十分に確保されるようになる。また、フランジ部7、7’の間の突合わせ面Cには、熱硬化性樹脂シート9を挿入するとともに、この熱硬化性樹脂シート9を突合わせ部におけるフランジ部7、7’の表面を仕上げる際に行われる砥石車等によるサンダー仕上げ時に発生する摩擦熱にて硬化させるようにしたので、上記熱硬化性樹脂シート9の接着作用にて突合わせ面Cの強度・剛性が高められることとなる。このような簡単な仕上げ工程を経ることによって、フランジ部7、7’の表面部の見栄えが確保されたうえで、接合部の強度・剛性も確保されたサッシュアセンブリ1が形成されることとなる。このようにして形成されたサッシュアセンブリ1のフランジ部7、7’側の表面に黒色テープを貼り付けることによって、見栄えに優れた車両用ドアサッシュが効率良く形成されることとなる。すなわち、意匠面となるフランジ部7、7’の外表面部には溶接が施されていないため、溶接ビード等を削り取るための複雑でめんどうな研削仕上げ作業が不必要となる。従って、仕上げに要する工数が低減化され、製造コストの低減化が図られるようになる。
【0019】
なお、このような構成からなるものにおいて、上記サッシュアセンブリ1を形成するサッシュ部材2、3の突合わせ接合部における突合わせ面Cの形態に関する、その変形例について、図5を基に説明する。このものは、図5に示す如く、突合わせ面Cが、ルーフ側サッシュ部材3を形成するフランジ部7の内郭線71の延長線上に形成されるようになっていることを特徴とするものである。従って、段違い部はピラー側サッシュ部材2側のフランジ部7’から底面部41’、51’の接合面にて形成される壁面にかけて形成されるようになるとともに、当該段違い部のところに重ね合わされるオーバハング部はルーフ側サッシュ部材3のフランジ部7側に形成されるようになる。そして、このような段違い部のところにルーフ側サッシュ部材3に設けられたオーバハング部を載せた(重ね合わせた)状態にて、接合部の角度が2等分化されるような所定の角度の傾斜面を有するように形成された接合面21、31どうしを接合させて、サッシュアセンブリ1が形成されるようになる。このように、本変形例のものは、突合わせ面Cの位置がルーフ側サッシュ部材3を形成するフランジ部7の内郭線71の、その延長線上に形成されるようになっていること以外は、既に述べてきた図1ないし図4に示すものと同じである。
【0020】
なお、本実施の形態においては、上記各図により詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態のものに限られるものではない。具体的には、本実施の形態においてはリア側サイドドアについて説明をして来たが、サイドドアのフロント側ドア、あるいは後面ドア等にも、本発明の技術内容を適用することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、ガラスランチャンネルの収納される溝部と、当該溝部の背面側に設けられるものであって底面部が上記溝部の底面部と接するように形成されるウェザストリップ保持用のリテーナ部と、これらリテーナ部及び溝部の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部と、からなるサッシュ型材を基礎に、これらサッシュ型材を複数本用意し、それらのうちのいずれか2本のものの切断面相互を突合わせた状態で接合する車両用ドアサッシュに関して、上記突合わせ接合部におけるフランジ部の表面側に近いところに段違い部を設け、これら段違い部を重ね合わせることによってフランジ部側の連結部を形成させるとともに、その他の残りの部分に、傾斜面からなる接合面を形成させるようにしたので、フランジ部の表面側に形成される接合ラインが短くなり、突合せ部における口開き状態が目立たないようになった。また、意匠面を形成するフランジ部表面には溶接が施されないようになり、従来行われていたような溶接ビード部の研削仕上げ等が不要となった。そして、このようなフランジ部の表面側には黒色テープが装着(貼り付け)されてドアサッシュが形成されるようになっているので、車両用ドアサッシュの製造コストの低減化を図ることができるようになった。
【0022】
また、本発明においては、上記両フランジ部の間に形成される突合わせ面のところに熱硬化性樹脂シートを挿入するとともに、この熱硬化性樹脂シートを両フランジ部間に挟んだ状態で上記熱硬化性樹脂シートを硬化させて、上記両フランジ部間を接合させるようにした構成を採ることとしたので、両サッシュ部材における突合わせ接合部における結合強度が高められ、突合わせ面あるいは口開き現象が未然に防止されるようになった。また、このような結合強度の強化を、意匠面となるフランジ部表面側へはみ出した熱硬化性樹脂シートを上記フランジ部とともに研削仕上げをする、この研削仕上げ時に発生する摩擦熱にて上記両フランジ部間に設置された熱硬化性樹脂シートを硬化させて両フランジ部における突合わせ部を接合させるようにしたので、従来行われていたサンダー仕上げ加工が省略されるようになった。その結果、サッシュアセンブリの製造コストの低減化を図ることができるようになった。また、フランジ部間における接合面(突合わせ面)と他の部分における溶接接合面とは、所定の交叉角を有した状態で交わるように形成された2つの面から成り立っているので、サッシュアセンブリに入力される口開きモーメントに対して、その抵抗力が増大化されるようになり、突合わせ接合部における口開き現象等が抑止され、フランジ部表面に設けられた黒色テープに亀裂等が生ずるのを未然に防止することができるようになった。
【0023】
また、本発明においては、上記フランジ部の表面側に形成されるものであって両フランジ部の突合わせ面にて形成される接触線を、いずれか一方側のサッシュ部材のフランジ部にて形成される内郭線の延長線上に設けるようにした構成を採ることとしたので、意匠面を形成することとなるフランジ部表面側に形成される突合わせ面による線が、フランジ部の内郭線と一致するようになり、サッシュアセンブリとして組立てられた状態において、フランジ部表面の見栄えが向上するようになった。従って、このようなサッシュアセンブリのフランジ部表面側に黒色テープを貼り付けることによって、あるいは適当なガーニッシュ等を取付けることによって見栄えに優れたドアサッシュを効率良く形成させる(製造する)ことができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかるサッシュアセンブリの全体構成を示す平面図である。
【図2】本発明にかかるサッシュアセンブリを形成する各サッシュ部材の突合わせ部の形態を示す展開斜視図である。
【図3】フランジ部の突合わせ部間に熱硬化性樹脂シートを挟むようにしたものについての全体構成を示す展開図である。
【図4】両サッシュ部材の突合わせ接合部における溶接箇所を説明する分解断面図である。
【図5】突合わせ面の形態を変えた変形例の内容を示す平面図である。
【図6】従来の車両用ドアサッシュを示す概略外観側面図である。
【符号の説明】
1 サッシュアセンブリ
2 ピラー側サッシュ部材
21 接合面
211 オーバハング部
3 ルーフ側サッシュ部材
31 接合面
311 段違い部
4 溝部
4’ 溝部
41 底面部
41’ 底面部
42 側壁(フランジ部側)
42’ 側壁(フランジ部側)
44 接触部
44’ 接触部
5 リテーナ部
5’ リテーナ部
51 底面部
51’ 底面部
52 側壁(フランジ部側)
52’ 側壁(フランジ部側)
7 フランジ部
7’ フランジ部
71 内郭線
71’ 内郭線
73 突合わせ部
9 熱硬化性樹脂シート
Claims (3)
- ガラスランチャンネルの収納される溝部と、当該溝部の背面側に設けられるものであって底面部が上記溝部の底面部と接するように形成されるウェザストリップ保持用のリテーナ部と、これらリテーナ部及び溝部の間を連結するように形成されるものであってドア外板面の一部を形成するフランジ部と、からなるものであって、上記各部が冷間圧延鋼板を基にロール成形手段にて所定の横断面形態を有するように成形されるサッシュ型材を基礎に、これらサッシュ型材を複数本用意し、それらのうちのいずれか2本のものの切断面相互を突合わせた状態で接合する車両用ドアサッシュにおいて、上記突合わせ接合部を、フランジ部側に設けられるものであって当該フランジ部表面側から底面部どうしの接合面側に向かって設けられる段違い部にて形成されるものと、上記フランジ部表面側とは反対の側のドアの内側面を形成する側に設けられるものであって所定の傾斜角を有する傾斜面にて形成される接合面と、からなるようにするとともに、上記フランジ部の表面側を除いた部分を溶接手段にて接合するようにしたことを特徴とする車両用ドアサッシュ。
- 請求項1記載の車両用ドアサッシュにおいて、上記両フランジ部の間に形成される突合わせ面のところに熱硬化性樹脂シートを挿入するとともに、この熱硬化性樹脂シートを両フランジ部間に挟んだ状態で当該熱硬化性樹脂シートのフランジ部表面側にはみ出した部分を回転円盤状サンドペーパにて研削仕上げを行ない、このときに発生する摩擦熱にて上記熱硬化性樹脂シートを硬化させて上記両フランジ部間を接合させるようにしたことを特徴とする車両用ドアサッシュ。
- 請求項1または請求項2記載の車両用ドアサッシュにおいて、上記フランジ部の表面側に形成されるものであって両フランジ部の突合わせ面にて形成される接触線を、いずれか一方側のサッシュ型材のフランジ部にて形成される内郭線の延長線上に設けるようにしたことを特徴とする車両用ドアサッシュ。
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