JP3806862B2 - 空気調和機の制御方法及び空気調和システム並びにプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は空気調和機の制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から空気調和機の省電力のために種々の制御態様が提案されている。このような制御態様として、室外機の冷暖房能力を抑制して運転する室外機能力制御や、室内機を一定期間強制的にオフ(サーモオフ)させる室内機間欠運転制御や、設定温度の変更等が例挙できる。これらの制御態様の各々は、電力の低減量や、室内環境の改善度に相違がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、室内機間欠運転制御では電力低減の効果は高いが室内環境の改善度は低く、室外機能力制御では室内環境の改善度は高いが電力低減の効果は低い。従って、これらの制御態様を単独で用いる場合には、電力低減と室内環境の改善度とにはトレードオフが存在する。
【0004】
また、時間帯を決めてスケジュールによって設定温度を上下させる技術が、例えば特開2000-121126号公報に開示されている。これは主として電力のピークカットを可能とするものの、時間帯のみによって温度を設定するので、日々の天候によっては電力のピーク時間にずれが生じ、所望の効果を得られない可能性がある。
【0005】
この発明はかかる事情に鑑みて為されたもので、電力の低減と快適性とを両立する、空気調和機の制御方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明のうち第1の態様にかかるものは空気調和機(200)の制御方法であって、第1の制御態様(S13)と、前記第1の制御態様よりも消費電力の低減率が劣るものの、快適性に優れる第2の制御態様(S15)とを使い分ける。ここで前記第1の制御態様は前記第2の制御態様と比較して、前記空気調和機の負荷の大小に対する前記低減率の依存性が小さい。そして(a)外気の状況を示す第1の指標(A)に依存して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様とを使い分けるステップを備える。
【0008】
この発明の第1の態様にかかる空気調和機の制御方法において第1及び第2の制御態様を使う場合分けの例として、前記第1の指標は外気の状況が快適な程小さな値を採り、これが第1の選択定数(A1)以下の場合には、前記第1の制御態様が採用する。あるいは更に前記第1の指標が前記第1の選択定数よりも大きく、前記第1の選択定数よりも大きな第2の選択定数(A2)以下の場合には、前記第2の制御態様が採用される。
【0009】
第1の態様にかかる空気調和機の制御方法において望ましくは、前記第1の指標が前記第2の選択定数よりも大きい場合には、前記第1の制御態様及び前記第2の制御態様のいずれも採用されずに前記空気調和機が動作する(S16,S47)。
【0010】
例えば前記第1の指標は外気不快指数である。これが基づく外気の温湿度(Te,He)は、例えば所定時間毎に得られる。例えば前記不快指数は前記外気の温湿度に基づいて前記所定時間毎に求められる。あるいはまた例えば前記所定時間毎に求められた前記不快指数の平均値を前記不快指数として改めて得る。あるいは例えば前記所定時間毎に得られた前記温湿度の一日の最大値を用いて前記不快指数が求められる。あるいは例えば前記所定時間毎に得られた前記温湿度の一日の平均値を用いて前記不快指数が求められる。
【0011】
また前記第1の指標は外気温度(Te)であってもよい。
【0012】
この発明のうち第2の態様にかかるものは第1の態様にかかる空気調和機の制御方法であって、前記空気調和機は複数存在し、前記ステップ(a)の後に実行され、(b)前記空気調和機の各々に対して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが、前記空気調和機が空気調和を行う部屋の内部環境が快適な程小さな値を採る第2の指標(B)に依存して設定し直される。
【0013】
この発明の第2の態様にかかる空気調和機の制御方法において第1及び第2の制御態様を使う場合分けの例として、前記第2の指標が第3の選択定数よりも大きく、前記第3の選択定数よりも大きな第4の選択定数(B2)以下の場合には、前記ステップ(a)で設定された前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが採用される。あるいは更に、前記第2の指標が前記第3の選択定数(B1)以下の場合には、前記第1の制御態様が採用される(S45)。あるいは更に前記内部環境を示す値が前記第4の選択定数よりも大きい場合には、前記第2の制御態様が採用される(S48)。
【0014】
あるいはまた前記ステップ(b)は、前記第1の指標に依存せずに実行される。
【0015】
例えば前記第2の指標は前記空気調和機が備える室内機の吸い込み温度である。あるいは前記第2の指標は不快指数である。前記不快指数は例えば前記室内機の吸い込み温度及び外気の絶対湿度から求められる。あるいはまた例えば前記室内機の吸い込み温度及び室内の相対湿度から求められる。第2の指標は所定時間毎に得てもよい。
【0016】
あるいはまた例えば前記第2の指標は、前記空気調和機が運転される直前での前記空気調和機が備える室内機の吸い込み温度と、前記空気調和機が停止している時間帯での前記室内機の平均温度との差として求められる。あるいは前記第2の指標は前記室内機の吸い込み温度と、前記空気調和機の設定温度との差として求められる。
【0017】
望ましくはこの発明の第1及び第2の態様にかかる空気調和機の制御方法において、前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、前記第1の制御態様は前記室内機を間欠運転する制御であり、前記第2の制御態様は前記室外機の能力を制限する制御である。
【0018】
この発明のうち第3の態様にかかるものは、制御テーブル(304)を作成する制御テーブル作成部(303)と、前記制御テーブルに基づいて空気調和機(200)の制御スケジュール(306)を作成する制御テーブル展開部(305)とを備える空気調和システム(300)であって、前記制御テーブルは第1の制御態様(S13)と、前記第1の制御態様よりも消費電力の低減率が劣るものの、快適性に優れる第2の制御態様(S15)とを使い分ける制御を示す。ここで前記第1の制御態様は前記第2の制御態様と比較して、前記空気調和機の負荷の大小に対する前記低減率の依存性が小さい。そして前記制御テーブルでは、外気の状況を示す第1の指標(A)に依存して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが設定される。
【0020】
この発明のうち第4の態様にかかるものは、第3の態様にかかる空気調和システムであって、前記空気調和機は複数設けられ、前記制御テーブル展開部において、前記空気調和機の各々に対して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが、前記空気調和機が空気調和を行う部屋の内部環境を示す第2の指標(B)に依存して設定し直される。
【0021】
この発明の第3の態様及び第4の態様にかかる空気調和システムが、遠隔監視センター(300a)と、現地制御システム(300b)とを備え、前記遠隔監視センターは前記制御テーブル作成部を、前記現地制御システムは前記制御テーブル展開部を、それぞれ有していてもよい。
【0022】
望ましくはこの発明の第3の態様及び第4の態様にかかる空気調和システムにおいて、前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、前記第1の制御態様は前記室内機を間欠運転する制御であり、前記第2の制御態様は前記室外機の能力を制限する制御である。
【0023】
なお、この発明のうち第1の態様及び第2の態様にかかる空気調和機の制御方法をコンピュータに実行させるプログラムも第5の態様として本発明の範疇にある。
【0024】
【発明の実施の形態】
発明の基本的な考え方.
図1乃至図3はそれぞれ空気調和機の負荷が低、中、高である場合の消費電力の1分間の平均値(単に「平均電力」と称す)の経時変化を示すグラフである。これらの図において(a),(b)にはそれぞれ室内機間欠運転制御、室外機能力制御を採用した場合を示している。図中で黒丸は空気調和機の平均電力を示し、左側の縦軸に則ってプロットされている。図中で白四角は当該空気調和機による空気調和の対象となっている室内の不快指数を示し、右側の縦軸に則ってプロットされている。
【0025】
負荷の大小によらず、室内機間欠運転制御のサーモオフの期間を3分とし、サーモオフの終了後、次のサーモオフの開始までには最低7分間が保持されている。また、負荷の大小によらず、室外機能力制御においては最大能力として、冷凍能力が定格値の40%となる能力を採用している。
【0026】
図1乃至図3のそれぞれにおいて(a),(b)を比較すると、負荷の大小によらず、室外機能力制御の方が、室内機間欠運転制御よりも不快指数の悪化を抑制するの効果が大きい。また室内機間欠運転制御は室外機能力制御よりも消費電力を抑制する効果が大きい。
【0027】
また、図1乃至図3の(a)同士を比較すると、室内機間欠運転制御は負荷の大小によらず消費電力の低減率はほぼ一定であるものの、負荷が高いほど不快指数を抑制する効果が小さい。これはサーモオフによって消費電力の低減量は急激に下がるが、これに伴って室内の温熱環境も急激に悪化するためである。また図1乃至図3の(b)同士を比較すると、負荷が低いほど消費電力を抑制する効果が小さい。これは負荷が低いと図1(b)に示されるように、ほぼ常時最低能力近傍で運転することになるからである。
【0028】
そこで本発明では、これら2つの制御態様を使い分けて空気調和機を制御し、消費電力の低減と室内環境の改善とを両立する。とりわけ、2つの制御態様を使い分けの判断は外気の状況あるいは更に室内環境に基づいて行われる。もちろん、下記実施の形態のみならず、この発明の基本的な考え方も本発明の範疇にある。
【0029】
第1の実施の形態.
図4は本発明の第1の実施の形態における動作を示すフローチャートである。ステップS10において、外気の状況として、例えば気象予報データを入力する。気象予報データは気象会社等から発表される1時間毎の温湿度を採用することができる。そしてステップS11において外気不快指数Aを算出する。外気不快指数Aは、外気温度、外気湿度をそれぞれTe、Heとして下式で算出することができる。
【0030】
【数1】
【0031】
この値が70であれば一部の人が不快であり、75であれば半数の人が不快であり、80であれば全員が不快であるとされている。つまり、不快指数Aは快適な程小さな値を採る、第1の指標として採用できる。
【0032】
外気不快指数Aは1時間毎の温湿度に対応して複数求めてもよいし、それらの最大値あるいは平均値のみを採用してもよい。外気の温湿度は予測値であっても実測値であってもよい。
【0033】
そして外気不快指数AはステップS12,S14において制御選択定数A1,A2(>A1)と比較される。その大小関係に基づいて、ステップS13,S15,S16に振り分けられて制御態様が使い分けられ、あるいはいずれの制御態様も用いられずに、後述する制御テーブルがステップS17で作成される。
【0034】
まずステップS12において、外気不快指数Aが制御選択定数A1以下であるか否かが判断される。判断結果が「YES」であれば、ステップS13に進み第1の制御態様である室内機間欠運転制御が採用される。ステップS12の判断結果が「NO」であれば、ステップS14に進み、外気不快指数Aが制御選択定数A1より大で制御選択定数A2以下であるか否かが判断される。判断結果が「YES」であれば、ステップS15に進み、第2の制御態様である室外機能力制御が採用される。ステップS14の判断結果が「NO」であれば、ステップS16に進み、室内機間欠運転制御、室外機能力制御のいずれも採用されない。そしてステップS13,S15,S16のいずれからもステップS17に進み、空気調和機の制御態様を決めた制御テーブルを作成する。
【0035】
以上のようにして外気不快指数Aが比較的小さな値(制御選択定数A1以下)、例えば図1に示された場合には、室内機間欠運転制御を採用する(ステップS13)。室外機能力制御は負荷が低いほど消費電力を抑制する効果が小さいが、室内機間欠運転制御は負荷が低くても消費電力の低減率が大きく、また負荷が低いほど不快指数の悪化を抑制する効果が大きいからである。
【0036】
外気不快指数Aがやや大きな値(制御選択定数A1より大で制御選択定数A2以下)、例えば図2に示された場合には、室外機能力制御を採用する(ステップS15)。室内機間欠運転制御は負荷が高いほど不快指数の悪化を抑制する効果が小さいが、室外機能力制御は負荷が高くても不快指数の悪化を抑制でき、また消費電力の低減率が大きいからである。
【0037】
しかし、外気不快指数Aが更に大きな値(制御選択定数A2より大)、例えば図3に示された場合では、2つの制御態様のいずれをも採用しない(ステップS16)。室内機間欠運転制御を採用した場合はもちろん、室外機能力制御を採用しても、室内不快指数の悪化を抑制することができないからである。
【0038】
以上のように本実施の形態における制御方法によれば、2つの制御態様を外気の状況に基づいて使い分けることにより、消費電力の低減と室内環境の改善とを両立することができる。
【0039】
図5は本実施の形態の制御方法を採用可能な空気調和システムの動作を示すフローチャートである。まずステップS21において気象予測データを参照する。このステップS21には図4のステップS10を採用することができ、気象予測データとしては、制御が行われる日の1時間毎の温湿度を例挙できる。その後ステップS22に進み、外気不快指数、気象予測より制御態様を判断する。外気不快指数は図4のステップS11について説明したようにして求めることができる。ステップS22では外気不快指数の他に、更に他の気象予測をも外気の状況として制御の判断材料としている。
【0040】
その後ステップS23に進み、制御が行われる日の1日の制御テーブルを作成する。これは図4のステップS17に対応している。例えば制御選択定数A1,A2を一日の間じゅう同じ値を採用する場合には、2つの制御態様のいずれも採用しないか、あるいはいずれか一方の制御態様が採用されるかについて、制御が行われる日について一種類に決定される。また制御選択定数A1,A2を午前と午後とで異なる値に設定して、制御態様の選択結果を午前と午後とで異ならせてもよいし、気象予測データの対象となる時間帯毎に制御選択定数A1,A2を設定し、それぞれに対して図4に示されるようにして制御態様を選択してもよい。
【0041】
図5に戻り、ステップS24に進み、ステップS23で求められた制御テーブルに基づき、所定のコントローラによって空気調和機の制御が行われる。
【0042】
図6は図5に示されたフローチャートを実行できる空気調和システム300の構成を例示するブロック図である。空気調和システム300は気象予測データ受信部301を備えており、これは気象会社等100から発表される気象予測データ101を受信する。空気調和システム300は制御判定部302も備えており、図5に示されたステップS21,S22はこれにより実行できる。つまり気象予測データ受信部301が受信した気象予測データ101に基づき制御態様が判断される。
【0043】
空気調和システム300は制御テーブル作成部303も備えており、図5に示されたステップS23はこれにより実行できる。つまり制御判定部302によって判断された制御態様に基づいて、制御が行われる日の制御テーブル304が作成される。
【0044】
空気調和システム300は制御テーブル展開部305も備えており、これは制御テーブル304に従って省電力制御スケジュール306を作成する。空気調和システム300は制御指示部307も備えており、これは省電力制御スケジュール306に従って空気調和機200に制御指示を与える。つまり図5のステップS24は制御テーブル展開部305及び制御指示部307によって実行できる。
【0045】
図7は空気調和システム300が遠隔監視センター300aと現地制御システム300bとに分かれている場合を例示するブロック図である。遠隔監視センター300aは上記で説明された機能を有する気象予測データ受信部301、制御判定部302、制御テーブル作成部303の他、制御テーブル304を現地制御システム300bへと送信する制御テーブル送信部308を備えている。また現地制御システム300bは制御テーブル304を遠隔監視センター300aから受信する制御テーブル送信部309と、上記で説明された機能を有する制御テーブル展開部305及び制御指示部307を備えている。
【0046】
図8は図7に示された空気調和システム300において実行可能な動作を示すフローチャートである。図5に示されたフローチャートと比較して、ステップS23とステップS24の間に、ステップS31,S32が介挿されている。ステップS31は制御テーブル送信部308において実行できる処理であり、制御テーブル304を現地制御システム300bへと送信するステップである。またステップS32は制御テーブル受信部309において実行できる処理であり、制御テーブル304を遠隔監視センター300aから受信するステップである。従って、ステップS21,S22,S23,S31は遠隔監視センター300aにおいて、ステップS32,S24は現地制御システム300bにおいて、それぞれ実行できる。
【0047】
上述の第1の指標としては外気不快指数を例にとって説明したが、外気温度Teをそのまま採用してもよい。所定温度以上では外気温度Teが低いほど快適だからである。また外気温度検出器が設定できる場合には外気温度Teは実測値を採用してもよい。例えば午前5時の外気温度Teを実測して用いることもできる。また1時間毎の実測値を採用してもよく、その場合には制御態様の使い分けは1時間毎に設定し直すことができる。実測値は気象会社等100から得ることとしてもよい。
【0048】
第2の実施の形態.
空気調和システム300において、室外機や室内機が複数設けられている場合には、それらが空気調和を行う部屋のそれぞれにおいて別個に空気調和機の制御態様を設定してもよい。例えばステップS17、制御テーブル作成部303では建物全体の制御テーブル304を作成する。そしてステップS24、制御テーブル展開部305では、制御テーブル304に基づきつつも、室内機が設けられている部屋の室内環境に応じて制御態様を設定し直して省電力制御スケジュール306を作成し、部屋毎に消費電力の低減と室内環境の改善とを両立することができる。
【0049】
図9は本発明の第2の実施の形態における動作を示すフローチャートである。ステップS40において、室内環境、例えば内部発熱負荷を測定する。具体的には例えば空気調和機の室内機の吸い込み温度Bを測定する。その測定は空気調和機が運転される直前であってもよいし、また夜間に空気調和機が停止している時間帯での室内機の平均温度を採用してもよい。
【0050】
そして吸い込み温度BはステップS44,S46において制御選択定数B1,B2(>B1)と比較され、その大小関係に基づいて、ステップS45,S47,S48に振り分けられて制御態様が使い分けられる。所定温度以上では気温が低いほど快適なので、吸い込み温度Bは室内の内部環境が快適な程小さな値をとる第2の指標として採用できる。
【0051】
ステップS44,S46での判断に先立ち、ステップS17(あるいはステップS23)で作成された省電力制御スケジュール306はステップS16に基づいて「制御を行わない」と決定されていたか否かが、ステップS42において判断される。「制御を行わない」と決定されていれば、ステップS42で「YES」と判断され、ステップS47に進んで制御テーブル304と同じ内容で省電力制御スケジュール306を作成する。即ちこの場合のステップS47は「制御を行わない」という内容を維持することになる。
【0052】
ステップS42において「NO」と判断されれば、ステップS44に進み、吸い込み温度Bが制御選択定数B1以下であるか否かが判断される。判断結果が「YES」であれば、比較的に負荷が低い場合であるので、ステップS45に進み第1の制御態様である室内機間欠運転制御が採用される。ステップS44の判断結果が「NO」であれば、ステップS46に進み、吸い込み温度Bが制御選択定数B1より大で制御選択定数B2以下であるか否かが判断される。判断結果が「NO」であれば、比較的に負荷が高い場合であるので、ステップS48に進み第2の制御態様である室外機能力制御が採用される。ステップS46の判断結果が「YES」であれば、ステップS47に進み、制御テーブル304と同じ内容で省電力制御スケジュール306を作成する。つまり部屋のそれぞれにおいて別個に空気調和機の制御態様の設定は行わない。
【0053】
そしてステップS45,S47,S48のいずれからもステップS49に進み、空気調和機の制御態様を部屋毎に決めた省電力制御スケジュール306を作成する。
【0054】
本実施の形態においてステップS42の判断を省略してもよい。即ち外気不快指数A(あるいはその他の第1の指標)に依存せず、ステップS44、S46の判断を行って制御態様を設定してもよい。
【0055】
本実施の形態において、第2の指標として室内不快指数を採用してもよい。室内不快指数は室内機の吸い込み温度と相対湿度とから求められる。相対湿度は、気象会社等100から得られる空気調和機が設置された地域の絶対湿度と、室内機の吸い込み温度とから見積もることができる。また湿度検出器が設置可能であれば相対湿度の実測値を得てもよい。
【0056】
第2の指標として温度上昇傾向を採用してもよい。これは空気調和機が運転される直前の室内機の吸い込み温度と、夜間に空気調和機が停止している時点での室内機の吸い込み温度との差として得ることができる。
【0057】
第2の指標として部屋の躯体温度、例えば床の温度が測定できる場合にはこれを採用してもよい。
【0058】
また空気調和機が動作中の室内機の吸い込み温度と、空気調和機の設定温度との差を第2の指標として採用してもよい。その場合には制御態様の使い分けは1時間毎に設定することができる。
【0059】
なお、各実施例の動作制御はコンピュータに行わせることができる。そしてかかる動作制御をコンピュータに実行させるプログラムについても本発明の範疇にある。
【0060】
【発明の効果】
この発明のうち第1の態様にかかる空気調和機の制御方法及び第3の態様にかかる空気調和システムによれば、外気状況に基づいて、消費電力の低減と室内環境の改善とを両立することができる。
【0062】
この発明のうち第2の態様にかかる空気調和機の制御方法及び第4の態様にかかる空気調和システムによれば、空気調和機が空気調和を行う部屋の室内環境に基づいて、消費電力の低減と室内環境の改善とを両立することができる。
【0063】
この発明のうち第5の態様にかかるプログラムによれば、第1の態様及び第2の態様にかかる空気調和機の制御方法をコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気調和機の消費電力の平均電力の経時変化を示すグラフである。
【図2】空気調和機の消費電力の平均電力の経時変化を示すグラフである。
【図3】空気調和機の消費電力の平均電力の経時変化を示すグラフである。
【図4】本発明の第1の実施の形態における動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施の形態を採用可能な空気調和システムの動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態を採用可能な空気調和システムの構成を例示するブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態を採用可能な空気調和システムの構成を例示するブロック図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態を採用可能な空気調和システムが実行可能な動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態における動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
200 空気調和機
300 空気調和システム
300a 遠隔監視センター
300b 現地制御システム
303 制御テーブル作成部
304 制御テーブル
305 制御テーブル展開部
306 省電力制御スケジュール
Claims (27)
- 第1の制御態様(S13)と、前記第1の制御態様よりも消費電力の低減率が劣るものの、快適性に優れる第2の制御態様(S15)とを使い分ける、空気調和機(200)の制御方法であって、
前記第1の制御態様は前記第2の制御態様と比較して、前記空気調和機の負荷の大小に対する前記低減率の依存性が小さく、
(a)外気の状況を示す第1の指標(A)に依存して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様とを使い分けるステップ
を備え、
前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、
前記第1の制御態様は前記室内機を間欠運転する制御であり、前記第2の制御態様は前記室外機の能力を制限する制御である空気調和機の制御方法。 - 前記第1の指標は前記外気の状況が快適な程小さな値を採り、これが第1の選択定数(A1)以下の場合には、前記第1の制御態様が採用される、請求項1に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第1の指標が前記第1の選択定数よりも大きく、前記第1の選択定数よりも大きな第2の選択定数(A2)以下の場合には、前記第2の制御態様が採用される、請求項2に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第1の指標が前記第2の選択定数よりも大きい場合には、前記第1の制御態様及び前記第2の制御態様のいずれも採用されずに前記空気調和機が動作する(S16,S47)、請求項3に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第1の指標は外気不快指数(A)である、請求項1に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記外気不快指数が基づく外気の温湿度(Te,He)を所定時間毎に得る、請求項5に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記外気不快指数は前記外気の温湿度に基づいて前記所定時間毎に求められる、請求項6に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記所定時間毎に求められた前記外気不快指数の平均値を前記外気不快指数として改めて得る、請求項7に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記所定時間毎に得られた前記温湿度の一日の最大値を用いて前記不快指数が求められる、請求項6に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記所定時間毎に得られた前記温湿度の一日の平均値を用いて前記外気不快指数が求められる、請求項6に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第1の指標は外気温度(Te)である、請求項1に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記空気調和機は複数存在し、
前記ステップ(a)の後に実行され、
(b)前記空気調和機の各々に対して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが、前記空気調和機が空気調和を行う部屋の内部環境が快適な程小さな値を採る第2の指標(B)に依存して設定し直される、請求項1に記載の空気調和機の制御方法。 - 前記第2の指標が第3の選択定数よりも大きく、前記第3の選択定数よりも大きな第4の選択定数(B2)以下の場合には、前記ステップ(a)で設定された前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが採用される、請求項12に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第2の指標が前記第3の選択定数(B1)以下の場合には、前記第1の制御態様が採用される(S45)、請求項13に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第2の指標が前記第4の選択定数よりも大きい場合には、前記第2の制御態様が採用される(S48)、請求項13及び請求項14のいずれか一つに記載の空気調和機の制御方法。
- 前記ステップ(b)は、前記第1の指標に依存せずに実行される、請求項12乃至請求項15のいずれか一つに記載の空気調和機の制御方法。
- 前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、
前記第2の指標は前記室内機の吸い込み温度(B)である、請求項12に記載の空気調和機の制御方法。 - 前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、
前記第2の指標は不快指数である、請求項12に記載の空気調和機の制御方法。 - 前記不快指数は前記室内機の吸い込み温度及び外気の絶対湿度から求められる、請求項18に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記不快指数は前記室内機の吸い込み温度及び室内の相対湿度から求められる、請求項18に記載の空気調和機の制御方法。
- 前記第2の指標(B)は所定時間毎に得られる、請求項17乃至請求項20のいずれか一つに記載の空気調和機の制御方法。
- 前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、
前記第2の指標は前記空気調和機が運転される直前の前記室内機の吸い込み温度と、前記空気調和機が停止している時間帯での前記室内機の平均温度との差として求められる、請求項12に記載の空気調和機の制御方法。 - 前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、
前記第2の指標は前記室内機の吸い込み温度と、前記空気調和機の設定温度との差として求められる、請求項12に記載の空気調和機の制御方法。 - 第1の制御態様(S13)と、前記第1の制御態様よりも消費電力の低減率が劣るものの、快適性に優れる第2の制御態様(S15)とを使い分ける制御を示す制御テーブル(304)を作成する制御テーブル作成部(303)と、
前記制御テーブルに基づいて空気調和機(200)の制御スケジュール(306)を作成する制御テーブル展開部(305)と
を備え、
前記第1の制御態様は前記第2の制御態様と比較して、前記空気調和機の負荷の大小に対する前記低減率の依存性が小さく、
前記制御テーブルでは、外気の状況を示す第1の指標(A)に依存して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが設定され、
前記空気調和機は室外機及び室内機を備え、
前記第1の制御態様は前記室内機を間欠運転する制御であり、前記第2の制御態様は前記室外機の能力を制限する制御である空気調和システム(300)。 - 前記空気調和機は複数設けられ、
前記制御テーブル展開部において、前記空気調和機の各々に対して、前記第1の制御態様と前記第2の制御態様との使い分けが、前記空気調和機が空気調和を行う部屋の内部環境を示す第2の指標(B)に依存して設定し直す、請求項24記載の空気調和システム。 - 遠隔監視センター(300a)と、
現地制御システム(300b)と
を備え、
前記遠隔監視センターは前記制御テーブル作成部を、前記現地制御システムは前記制御テーブル展開部を、それぞれ有する、請求項24及び請求項25のいずれか一つに記載の空気調和システム。 - 請求項1乃至請求項23のいずれか一つに記載の空気調和機の制御方法をコンピュータに実行させるプログラム。
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