JP3805977B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像クロックのジッタ量及びレーザ・スキャナ・ユニットのジッタ量を検出するジッタ量検出装置を備えた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記録媒体の画像を形成する場合において、その画像の高画質化は各色材の印字量を精度良く調整すると共に、画像形成ユニットの位置精度を向上させることによって達成される。例えば、タンデム方式の画像形成装置では、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色にレーザ・スキャナ・ユニット、感光体が設けられており、それらには必ず取り付け誤差が存在する。そのため、各色の主走査方向の書き込み倍率も異なり、倍率を一致させるために取り付け調整をする必要がある。
【0003】
また、モノクロ画像を書き込む場合においても、複写速度が可変となる構成では画像クロック周波数が可変となる構成にしなければならない。
【0004】
画像形成ユニットの位置精度はμmオーダーが必要であるが、今日の技術ではこの精度を出すことは困難で、たとえ達成できたとしても高価な装置になってしまう。更に、その精度を環境の変化も考慮して長時間にわたって維持することは不可能に近い。
【0005】
このような問題点を解決するものとして、例えば、特開平11−129526号公報に開示された画像形成装置がある。この公報では、機械的位置ずれを電気的に補正する構成が示されている。具体的には、基準となる色(例えば、黒)に対してずれた距離から電圧制御発振器(以下、VCOという。)に印加する電圧を変化させることにより、VCOが発振する基準クロック周波数を変化させて印字開始位置を一致させ、かつ書き込み倍率も一致させるというものである。
【0006】
これによれば、VCOに印加する電圧を変化させることにより基準クロック周波数を任意の値に変化させることができるので、画像記録の位置ずれが無くなり、任意の複写速度に設定することができるという特徴がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、VCO自体の発振周波数にもばらつき(ジッタ)があるため、単に印加する電圧を変えただけでは、供給される電圧に応じて発振する信号の周波数にもジッタを生じ、位置ずれ量を高精度に補正することはできない。
【0008】
また、レーザ・スキャナ・ユニットもポリゴンミラー回転モータの回転ばらつき、ポリゴンミラーの各反射面の状態のばらつきといった回転ジッタによって、記録媒体に印字される画像の印字位置が一致しなかったり画像形成装置が1ライン毎に主走査方向にばらつき、画像の乱れが発生するという問題点があった。
【0009】
この発明の目的は、VCOのジッタ量、レーザ・スキャナ・ユニットの回転ジッタ量の検出が可能な画像形成装置、又、これらのジッタ量に応じて各色の画像形成装置に接続するVCOの変更が可能な画像形成装置を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この発明は以下の構成を備えている。
【0011】
(1)互いに異なる色の画像を形成する複数の画像形成ユニットと、対応する画像形成ユニットに対する画像データの出力タイミングを決定するための画像クロック信号を発生する複数の画像クロック信号発生手段と、を備えた画像形成装置において、
前記画像クロック信号発生手段のそれぞれは、対応する画像形成ユニットの画像形成位置のずれ量に応じて画像クロック信号の周波数を変更する周波数可変機構と、
前記周波数可変機構から所定の第1検出期間に出力される画像クロック信号をカウントするカウンタと、
該カウンタのカウント値に基づいて周波数可変機構のジッタ量を第 1 のジッタ量として検出する第1のジッタ量検出手段と、
を備えており、さらに、
それぞれの画像クロック信号発生手段の第1のジッタ量に応じて、画像クロック信号発生手段と画像形成ユニットとの対応関係を切り換える切り換え手段を有することを特徴とする。
この構成においては、それぞれの画像形成ユニットからの印字位置を一致させるべく、それぞれの画像形成ユニットによって形成される画像形成位置の各画像形成ユニット間の相対的な物理的ずれ量を、所定の演算によって画像クロック信号の周波数のずれ量とし、かかる周波数のずれ量を周波数可変機構によって調整し、さらに、この周波数可変機構の動作の状態を示すジッタ量についても第1のジッタ量検出手段により点検される。
これにより、長時間の継続的な使用時においても、各画像形成ユニットからの印字位置を調整する周波数可変機構が正常に動作しているか否かの判断が、第1のジッタ量検出手段によって行なわれる。
さらに、画像形成ユニットの色毎に人間の視覚に与える影響が相違することから、各画像形成ユニットの色を合成した後において、視覚に与える影響の大きい色とそうでない色とによって、高画質化を図るにあたって許容されるジッタ量の許容限界も相違するため、ジッタ量の大きい画像信号発生手段を人間の視覚に与える影響が少ない色を形成する画像形成ユニットの周波数を調整することにより、合成画像の高画質化が図られる。
【0012】
(2)対応する色に係る画像書込処理をそれぞれ制御する複数の書込制御回路と、対応する書込制御回路に対する画像データの出力タイミングを決定するための画像クロック信号を発生する複数の画像クロック信号発生手段と、を備えた画像形成装置において、
前記画像クロック信号発生手段のそれぞれは、対応する色の画像に係る画像形成位置のずれ量に応じて画像クロック信号の周波数を変更する周波数可変機構と、
前記周波数可変機構から所定の第1検出期間に出力される画像クロック信号をカウントするカウンタと、
該カウンタのカウント値に基づいて周波数可変機構のジッタ量を第 1 のジッタ量として検出する第1のジッタ量検出手段と、
を備えており、さらに、
それぞれの画像クロック信号発生手段の第1のジッタ量に応じて、画像クロック信号発生手段と書込制御回路との対応関係を切り換える切り換え手段を有することを特徴とする。
【0013】
(3)前記画像形成ユニットはそれぞれ、基準クロック信号を発生させる基準クロック信号発生部と、
各ライン毎の画像形成に同期したライン走査同期信号を発生させる同期信号発生部と、
ライン走査同期信号の発生間隔に所定の整数を乗じて得られる第2検出期間における基準クロック信号をカウントするカウンタと、
該カウンタのカウント値によりライン走査同期信号発生周期のジッタを検出し、光走査部材の動作のジッタ量を第2のジッタ量として検出する第2のジッタ量検出手段と、
前記第1のジッタ量検出手段が検出した第1のジッタ量及び前記第2のジッタ量検出手段が検出した第2のジッタ量に基づいて第3のジッタ量を算出する第3のジッタ量算出手段と、
を備えており、
前記切り換え手段は、それぞれの画像クロック信号発生手段の前記第3のジッタ量に応じて、前記画像クロック信号発生手段と画像形成ユニットとの対応関係を切り換えることを特徴とする。
この構成においては、ライン走査同期信号の発生間隔を検出すべく、基準クロック信号を発生させる基準クロック信号発生部と、各ライン毎の画像形成に同期したライン走査同期信号を発生させる同期信号発生部とを設けたことにより、ライン走査同期信号の発生間隔に基づいて算出される所定の第2検出期間の間にカウントされる基準クロック信号の数から光走査部材の動作のジッタ量である第2のジッタ量の検出し、光走査光学系の評価がされる。
さらに、画像クロック信号発生手段のジッタ量と、ライン走査同期信号発生周期のジッタ量とを別々に検出し、それらの値に基づいて加算演算又は重みづけ等を考慮して第3のジッタ量を演算することから、演算の結果得られたジッタ量が画像に影響を及ぼすのに十分な大きさであるか否かの判断がされる。
【0014】
(4)前記切り換え手段は、前記第3のジッタ量が各色について設定された許容値以下にそれぞれなるように、画像クロック信号発生手段と画像形成ユニットとの対応関係を切り換えることを特徴とする。
【0015】
(5)前記切り換え手段は、視覚に与える影響の最も小さい色に係る画像形成ユニットに対応づけられた画像クロック信号発生手段を、視覚に与える影響のより大きい色に係る他の画像形成ユニットに対応づけることを特徴とする。
【0019】
(6)前記第1検出期間は、前記画像形成装置の主走査時間の1ライン以上10ライン以下に対応する期間であることを特徴とする。
この構成においては、前記第1検出期間が前記画像形成装置の主走査時間の1ライン以上10ライン以下に対応する期間、即ち短期間毎に区切ってあることから、検出期間中において前記周波数可変機構から出力される画像クロック信号の周期が平均化して、適正なジッタ量の測定が行なえなくなることがない。
【0020】
(7)前記第1のジッタ量検出手段は、少なくとも2個以上のクロック値記憶部を有し、それぞれの記憶部は前記クロック信号のカウントを複数回行なう動作中におけるカウント値の最大値と最小値とをそれぞれ保持し、これらの値に基づいてジッタ量の判定を行なうことを特徴とする。
この構成においては、クロック値記憶部に記憶された最大値及び最小値に基づいて前記第1のジッタ量を求めることから、基準クロック信号発生手段の中心周波数がシフトしても影響がない。また、最大値と最小値との差によって、ジッタの振幅が把握され、カウント値のばらつき具合が正確に把握される。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のジッタ量検出手段が適用されるカラー画像形成装置の構成を示す図である。本実施形態に用いる画像形成装置1は、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、及びイエロー(Y)のそれぞれの画像を形成する画像形成ユニット2a〜2dを用紙搬送経路に沿って直線状に並べたタンデム方式のものである。
【0027】
まず、画像形成装置1の上部には原稿台20に載置された原稿の画像を読み取る画像読み取りユニット30が設けられている。画像読み取りユニット30には光学レンズ31と光電変換素子であるCCDラインセンサ32が備えられている。よって、読み取られた原稿の光像は光学レンズ31によって縮小され、CCDラインセンサ32上の所定の位置に結像される。CCDラインセンサ32は、結像された原稿からの光像を順次光電変換して電気信号として出力する。
【0028】
画像読み取りユニット30の下方には、4つの画像形成ユニット2a〜2dがあり、これらの画像形成ユニット2a〜2dはそれぞれレーザ・スキャナ・ユニット40a〜40dと画像形成部50a〜50dとから構成されている。尚、これらの詳細は後述する。
【0029】
そして、画像形成ユニット2の下方に転写搬送機構60が設けられており、転写搬送機構60の要部を構成する転写搬送ベルト61は、駆動ローラ62と従動ローラ64との間に略平行に伸びるように張架されている。このとき転写搬送ベルト61は駆動ローラ62の回転により矢印Zの方向に等速運動を行なっており、転写搬送ベルト61上に案内されてきた用紙を静電吸着し、順に上述の4つ画像形成ユニット2a〜2dの画像形成位置へと案内する。
【0030】
転写搬送ベルト機構60の下方には用紙トレイ71内の用紙を1枚ずつ分離して画像形成ユニット2a〜2dに供給する給紙機構70が設けられている。
【0031】
ここで、上述の画像形成ユニット2a〜2dに備えられた画像形成部50a〜50dの構成を説明する。各画像形成部50a(ブラック)、50b(シアン)、50c(マゼンタ)、及び50d(イエロー)はそれぞれ同一の構成をしている。各画像形成部50a〜50dは同図中の矢印方向に回転する感光体ドラム51a〜51dを備えており、感光体ドラム51a〜51dの近傍に感光体ドラム51a〜51dを一様に帯電する帯電器52a〜52d、感光体ドラム51a〜51d表面を露光して静電潜像を形成するレーザ・スキャナ・ユニット40a〜40d、感光体ドラム51a〜51d表面に形成された静電潜像をトナー像に顕像化する現像装置53a〜53d、顕像化された感光体ドラム51a〜51d上のトナー像を用紙に転写する転写用放電器54a〜54d、及び感光体ドラム51a〜51d上に残留するトナーを除去するクリーニング装置55a〜55dが感光体ドラム51a〜51dの回転方向に沿って順次配置されており、帯電、露光、現像及び転写の各工程からなる画像形成プロセスを行なう。
【0032】
ここで、図2を用いて上述のレーザ・スキャナ・ユニット40a〜40dの構成について説明する。
【0033】
上述の画像形成部50と同様に各レーザ・スキャナ・ユニット40a(ブラック)、40b(シアン)、40c(マゼンタ)、及び40d(イエロー)は同一の構成をしているが、それぞれ半導体レーザ発光部42a〜42d、コリメータレンズ43a〜43d、光走査部材であるポリゴンミラー41a〜41d、fθレンズ等からなるレンズ系44a〜44d、ビームディテクトセンサ(以下、BDセンサという。)45a〜45d、及び固定ミラー46a〜46dを備えている。
【0034】
半導体レーザ発光部42から発光したレーザビームはコリメータレンズ43によってビーム形状を成形され、ポリゴンミラー41に照射される。ポリゴンミラー41によって偏向されたレーザビームはレンズ系44を介して感光体ドラム51上に照射される。このとき、ポリゴンミラー41は図中の矢印の方向に回転しており、この回転運動とレンズ系44との作用によりレーザビームは感光体ドラム51上を等速直線運動で走査する。
【0035】
BDセンサ45はレーザビームの印字開始位置P1よりも主走査方向上流側の位置P0でレーザビームを感知して、主走査方向のレーザビームの走査位置の同期をとるための水平同期信号であるBD信号を出力するセンサである。このBDセンサ45はレーザビームを反射する固定ミラー46を用いることによって感光体ドラム51上の仮想位置Xと光走査上等価となるユニット内の位置Yに配置されている。
【0036】
各レーザ・スキャナ・ユニット40では、感光体ドラム51の有効印字領域P1〜P2に先だって、図3のタイミングチャートに示すように、上記のBDセンサ45より出力されるBD信号(同図中BD)を検出し、このBD信号検出時点から、画像信号を書き込むための画像クロック信号(同図中VCLK)のクロックを所定数カウントした後、レーザビームを画像信号(同図中VIDEO)に応じて変調してライン走査を開始する。
【0037】
図4は本発明の基本的構成についてのブロック図である。上述の画像読取ユニットで読み取られた画像データはRGB(Red・Green・Blue)信号として画像処理部80に送られる。
【0038】
画像処理部80内には、通常の信号変換回路が備えられており、画像入力ユニット30から入力されるRGB信号を画像形成ユニット2a〜2dに対応したYMC信号に変換し、それぞれ画像形成ユニット2a(ブラック)、2b(シアン)、2c(マゼンタ)、2d(イエロ−)に対して出力する。
【0039】
このとき、これらの出力タイミングを制御しているのは画像クロック信号発生部90a〜90dであり、その詳細は後述する。また、画像形成ユニット2a〜2dは画像処理部80からの信号によって印字を行なうが、そのときのポリゴンミラ−41の動作状態についてのデータが画像処理部80に対して送られる。
【0040】
また、画像処理部80には、画像クロック信号発生部90の発振周波数のばらつき(ジッタ)を検出する第1のジッタ量検出手段及び画像形成ユニット中ポリゴンミラー41の回転モータのばらつき(ジッタ)を検出する第2のジッタ量検出手段、及び、これらの第1のジッタ量と第2のジッタ量とから第3のジッタ量を算出する第3のジッタ量算出手段が備えられている。
【0041】
本発明において電圧制御発振器(以下、VCOという。)の調整が済んだ各画像形成装置に関して、第1のジッタ量検出手段は所定時間におけるVCOのクロックをカウントし、複数回のカウント結果からカウント値のばらつき(ジッタ)に基づいてVCOを評価する。そして、この評価に応じて各色の画像形成ユニット装置2a〜2dと画像クロック信号発生部90a〜90dとの組み合わせを切り換える。この切り換えについては後述する。
【0042】
更に、BD信号を受信してから次のBD信号を受信するまでの基準クロックをカウントし、1回または複数回のカウント結果からBD信号間の基準カウント値との差(ジッタ量)に基づいて光走査光学系の評価をする。
【0043】
本発明のジッタ量検出装置では、VCOのジッタ量、光走査光学系のジッタ量について予め許容されるジッタ値を定めている。そのジッタ値より大きい場合は、警告メッセ−ジが表示される。検査において、警告メッセ−ジが出された画像形成装置は、交換、機械的調整或いはVCOの交換を行なう必要があることが認識される。
【0044】
ここで、図5を用いて本発明の画像クロック信号発生部90及び第1のジッタ量検出手段の説明をする。
【0045】
通常、画像を高画質化するには、それぞれの画像形成ユニット2a〜2dからの印字位置を精度良く調整し、かつ、この調整された位置が経時的に変化することなく維持され続けることが必要となる。この各画像形成ユニットからの印字位置のずれは、例えば、画像形成ユニット2a(ブラック)の画像形成位置との相対的なずれ量を求め、このずれ量の調整を行なうのに必要な調整量(物理的距離)を調整周波数に換算し、この周波数をVCOに印加する電圧を調整することにより修正することができる。
【0046】
図5は、図4における画像クロック信号発生部90及び第1のジッタ量検出手段89の構成を示したブロック図である。また、図6は図5の構成において実施された基準発振器のクロック信号波形、VCOカウント値、ジッタの最小値、最大値とそれらのロード信号波形、及び減算器出力値を示したタイミングチャートである。
【0047】
図5において、画像クロック信号発生部90は、画像処理部80への出力周波数よりも高い周波数を発振する基準クロック発振器91、基準クロック発振器91からの周波数をN分の1に分周する1/N分周器器92、位相比較器93、VCOに印加される電圧を変更するループフィルタ94、及び供給される電圧に対して発振する信号の周波数を変化させるVCO95を直列に配列し、VCO95から画像処理部80への出力を1/M分周器96を経由させて位相比較器93にフィードバックさせる構成を有している。
【0048】
また、画像クロック信号発生部90内の基準クロック発振器91からの出力は基準時間発生器81へも送られており、基準時間発生器81で所定の検出期間を発生させてカウンタとなるVCOクロックカウンタ82へと出力する。VCOクロックカウンタ82からの出力は第1のジッタ量検出手段89へと出力される。
ここで、第1のジッタ量検出手段89は最大値又は最小値を記憶するラッチ83a〜b、入力される値と最大値又は最小値とを比較する比較器84a〜b、及びラッチ83a〜bからジッタ量を算出する減算器85を含んでいる。
【0049】
まず、基準クロック発振器91からの基準となるクロックを1/N分周器92で周波数を下げ、これと1/M分周器96で周波数が変更されたクロックとの位相の違いを位相比較器93で比較し、その差からVCO95に印加される電圧をループフィルタ94で変更して基準のクロックに合わせる。
【0050】
次に、基準クロック発振器91からの基準クロックを用いて所定の基準時間を発生させる基準時間発生器81で設定した所定時間のゲート信号を基準時間発生器から送信して、ゲート信号がONの状態の間、VCOから発振されたクロックをカウントする。なお、本発明においてこの所定時間を第1検出期間と呼ぶ。
【0051】
ここで、この所定時間は主走査方向のラインの10ライン分以下、さらに好ましくは、4ライン分を走査するのに要する時間とする。具体的には、基準クロック発振器81から発振された基準クロックの数に基づいて基準時間発生器81から発生するゲート信号のON時間を算出し、このゲート信号をVCOクロックカウンタ82へ出力する。VCOクロックカウンタ82へはVCO95のクロックも入力されており、VCOクロックカウンタ82はゲート信号がON状態の間、VCO95のクロックをカウントする。カウントされたカウント値は、その値が最大値であるか最小値であるかを判断するそれぞれの比較器84a〜84bに入力され、現在の最大値及び最小値と比較されて最大値又は最小値と判断された場合には、最大値又は最小値が記録されたラッチ83a〜83bの値を更新する。
なお、測定開始時には最大値が記憶されたラッチ83aの値は0に設定されており、最小値が記憶されたラッチ83bの値は、例えば100,000という大きめの値に設定されている。
【0052】
そして、入力されたカウント値が最大値のとき、最大値用比較器84aからロード信号がラッチ83aへ送信され、ラッチ83aに記憶された最大値を入力されたカウント値に置き換える。入力されたカウント値が最小値のときは同様に最小値用比較器84bによって入力されたカウント値を最小値に置き換える。このようにしてVCO95のクロックを所定回数測定した後、ラッチ83a〜83bに記憶された最大値と最小値を減算器85に入力してその差を求め、VCO95のジッタ判定データとしてCPUへ出力する。
【0053】
一方、光走査光学系の評価は、BD信号を受信してから次のBD信号を受信するまでの基準クロックのカウントにより行なわれる。BD信号間の基準時間は予め分かっており、これに基づき理想となるクロックの算出ができる。そして、BD信号発生から次のBD信号発生までの間の基準クロックをカウントし、理想となるクロックのカウント値と比較することで、光走査光学系の評価が行なえる。ここでは、ポリゴンミラー41の面倒れの影響を除くため、ポリゴンミラー41の面数分だけBD信号を検知する間のクロックをカウントし、その累積カウント値でジッタ量を判断する。
【0054】
本発明の画像形成ユニット2a(ブラック)、2b(シアン)、2c(マゼンタ)、2d(イエロー)の光走査光学系の評価について図7及び図8を用いて説明する。図7はポリゴンモータのジッタ量をCPUに出力する構成を示すブロック図であり、図8は図7の構成において実施されたレーザ・スキャナ・ユニット40a〜40dの基準クロック信号波形、BD信号波形、基準クロックカウント値を示したタイミングチャ−トである。
【0055】
ポリゴンミラー41を回転させてBDセンサ45がレーザビームの走査光を検出するとBD信号が出力される。ゲート信号発生器はその信号を受けてゲート信号を出力する。ゲート信号発生器86は、例えばポリゴンミラー41の6面分のクロックをカウントすると設定したときは、7個目のBD信号を受信するまでゲート信号をONに維持する。ゲート信号はクロックカウンタ87へ入力される。クロックカウンタ87へは基準クロックも入力され、ゲート信号がONの状態にある間のクロックをカウントする。そうして測定したカウント値をCPUへ出力してゲート信号がON状態にあるときの理想カウント値と実際カウントしたカウント値の差(ジッタ量)に基づいて光走査光学系の評価をする。
【0056】
上述のVCO95のジッタ量及び光走査光学系のジッタ量の検出は各色について行なわれ、最初に設定されたそれぞれの色に対応するジッタ量を判定する。このとき、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(BK)のうち、人間の目の識別感度が最も低いのはイエロー(Y)であり、他の色と比較してジッタ量が多くても、人間の目に映る画像にはそれほど影響がない。従って、4色に対応するVCO95のうち、最もジッタ量が多いVCO出力をイエロー用に切り換えることによって、上記4色を合成した後における画質を向上することができ、またVCO95を交換する頻度も減少する。
【0057】
ここで図9を用いて、VCO95の切り換えを行なうための構成について説明する。同図はVCO95の切り換えを行なうためのブロック図を示している。VCOのジッタ量と光走査光学系のジッタ量が、各色毎にそれぞれ独立してCPUから読み書き可能なメモリに記憶されており、記憶した内容は画像形成装置本体の電源を切っても消えないようになっている。ジッタ量の測定を行なった場合、その結果がメモリに記憶され、以降再測定するまで記憶値によって制御される。CPUからは、VCO出力の切り換え信号が出ており、それらは同図が示すように、各色のVCOと各色の画像処理(書込制御)回路との間に設けたセレクタの切り換えを行なう。通常、セレクタは、ある色のVCO出力がその色用の画像処理に接続されるように設定される。電源を入れたときや、VCO及び光走査光学系のジッタ量を測定後CPUは前記ジッタ量の記憶値を各色比較し、VCOジッタ量と光走査光学系ジッタ量との和が、画像に影響を及ぼす大きさであるか否かを判断する。その大きさが画像に影響を及ぼさない程度であるとき、セレクタの切り換えは不要である。仮にブラック(BK)のジッタ量の和が大きく、画像に影響が出るとを判断されると、イエロー(Y)のVCOのジッタ量を確認し、ブラック(BK)とイエロー(Y)とのVCOを入れ換えて、入れ換えたブラック(BK)のVCOジッタ量と光走査光学系のジッタ量との和を再計算し、画像への影響の有無を判定する。VCO95の切り換えを行なって画像への影響がなければ、セレクタ選択信号をブラック(BK)のVCO出力がイエロー(Y)の画像処理に入力されるようにし、イエロー(Y)のVCO出力がブラック(BK)の画像処理に入力されるように、第1セレクタと第4セレクタとを設定変更する。
【0058】
VCOを切り換えても画像への影響が基準レベルを満たさないと判断された場合は、図示しない操作部にVCO95の交換、或いはレーザ・スキャナ・ユニット40の交換・調整を促すメッセージを表示する。
【0059】
ここでは、ジッタ量が大きなVCO95をイエロー(Y)の光走査光学系に接続する例について述べたが、例えば、ジッタ量が大きな光走査光学系があり、これに接続されているVCOジッタ量と光走査光学系のジッタ量との和が画質に影響を与えるレベルと判断された場合、ジッタ量が最も小さなVCO95をジッタ量が大きな光走査光学系に接続し、画像形成装置1の総合的なジッタ量、すなわち第3のジッタ量が大きくならないようにする構成としてもよい。さらには、第3のジッタ量の算出手段としてVCO95のジッタ量及び光走査光学系のジッタ量のそれぞれを重みづけし、画像形成装置1の総合的なジッタ量を計算することもできる。
【0060】
このような構成にすることにより、各基準ブロックが有するVCO95の各々を適切な色のVCO95に割り当てることができる。
【0061】
なお、上述の実施形態においては、複数の画像形成ユニットからなる画像形成装置1のそれぞれの画像形成ユニット2からの印字位置の調整のために周波数可変機構を用いているが、例えば、単一の画像形成ユニット2からなる画像形成装置1であっても、複写速度が可変となる構成であれば、画像クロック周波数が可変になる構成にする必要があり、かかる場合には上述の実施形態で用いている周波数可変機構を備えさせる必要が生じる。
【0062】
よって、この場合においても周波数可変機構の動作状況を知ることが重要であることは言うまでもなく、本発明は単一の画像形成ユニット2からなる画像形成装置に用いても相当の効果を奏することができる。
【0063】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、
(1)複写速度が可変となるような構成では画像クロック周波数が可変となる構成にする必要があり、この画像クロック周波数を調整するために周波数可変機構を設けることになるが、この周波数可変機構が正常に動作しているか否かを第1のジッタ量検出手段の表示内容によって認識することができ、周波数可変機構によって正確に複写速度に適合した画像クロック周波数となるように調整されているか否かを認識することができる。
【0064】
(2)それぞれの画像形成ユニットからの印字位置を一致させるべく、それぞれの画像形成ユニットによって形成される画像形成位置の各画像形成ユニット間の相対的な物理的ずれ量を、所定の演算によって画像クロック信号の周波数のずれ量とし、かかる周波数のずれ量を周波数可変機構によって調整し、またこの周波数可変機構の動作についても第1のジッタ量検出手段が点検することができる。
【0065】
これにより、長時間の継続的な使用時においても、各画像形成ユニットからの印字位置を調整する周波数可変機構が正常に動作しているか否かの判断が、第1のジッタ量検出手段によって行なうことができる。
【0066】
(3)前記第1検出期間が前記画像形成装置の主走査時間の1ライン以上10ライン以下に対応する期間、即ち短期間毎に区切ってあることから、検出期間中において前記周波数可変機構から出力される画像クロック信号の周期が平均化して、適正なジッタ量の測定が行なえなくなることをなくすことができる。
【0067】
(4)ライン走査同期信号の発生間隔を検出すべく、基準クロック信号を発生させる基準クロック信号発生部と、各ライン毎の画像形成に同期したライン走査同期信号を発生させる同期信号発生部とを設けたことにより、ライン走査同期信号の発生間隔に基づいて算出される所定の第2検出期間の間にカウントされる基準クロック信号の数から光走査部材の動作のジッタ量である第2のジッタ量の検出し、光走査光学系の評価をすることができる。
【0068】
(5)クロック値記憶部に記憶された最大値及び最小値に基づいて前記第1のジッタ量を求めることから、基準クロック信号発生手段の中心周波数がシフトしても影響がない。また、最大値と最小値との差によって、ジッタの振幅が把握され、カウント値のばらつき具合を正確に把握することができる。
【0069】
(6)画像クロック信号発生手段のジッタ量と、ライン走査同期信号発生周期のジッタ量とを別々に検出し、それらの値に基づいて加算演算又は重みづけ等を考慮して第3のジッタ量を演算することから、演算の結果得られたジッタ量が画像に影響を及ぼすのに十分な大きさであるか否かの判断をすることができる。
【0070】
(7)画像形成ユニットの色毎に人間の視覚に与える影響が相違することから、各画像形成ユニットの色を合成した後において、視覚に与える影響の大きい色とそうでない色とによって、高画質化を図るにあたって許容されるジッタ量の許容限界も相違するため、ジッタ量の大きい画像信号発生手段を人間の視覚に与える影響が少ない色を形成する画像形成ユニットの周波数を調整することにより、合成画像の高画質化を図ることができる。
【0071】
よって、VCOのジッタ量、レーザ・スキャナ・ユニットの回転ジッタ量の検出が可能な画像形成装置、又、これらのジッタ量に応じて各色の画像形成装置に接続するVCOの変更が可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の構成を示す図である。
【図2】本発明のレーザ・スキャナ・ユニットの構成を示す図である。
【図3】本発明のレーザ・スキャナ・ユニットのタイミングチャートである。
【図4】本発明の全体を示すブロック図である。
【図5】第1のジッタ量検出手段のブロック図である。
【図6】第1のジッタ量検出手段のタイミングチャートである。
【図7】第2のジッタ量検出手段のブロック図である。
【図8】第2のジッタ量検出手段のタイミングチャートである。
【図9】VCOの切り換えを示すブロック図である。
【符号の説明】
1−画像形成装置
2(2a〜2d)−画像形成ユニット
20−原稿台
30−画像読取ユニット
31−光学レンズ
32−CCDラインセンサ
40(40a〜40d)−レーザ・スキャナ・ユニット
50(50a〜50d)−画像形成部
60−転写搬送機構
70−給紙機構
80−画像処理部
81−基準時間発生器
82−VCOクロックカウンタ
83(83a〜83b)−ラッチ
84(84a〜84b)−比較器
85−減算器
86−ゲ−ト信号発生器
87−クロックカウンタ
90(90a〜90d)−画像クロック信号発生部
91−基準クロック発振器
92−1/N分周器
93−位相比較器
94−ル−プフィルタ
95−VCO
96−1/M分周器
Claims (7)
- 互いに異なる色の画像を形成する複数の画像形成ユニットと、対応する画像形成ユニットに対する画像データの出力タイミングを決定するための画像クロック信号を発生する複数の画像クロック信号発生手段と、を備えた画像形成装置において、
前記画像クロック信号発生手段のそれぞれは、対応する画像形成ユニットの画像形成位置のずれ量に応じて画像クロック信号の周波数を変更する周波数可変機構と、
前記周波数可変機構から所定の第1検出期間に出力される画像クロック信号をカウントするカウンタと、
該カウンタのカウント値に基づいて周波数可変機構のジッタ量を第1のジッタ量として検出する第1のジッタ量検出手段と、
を備えており、さらに、
それぞれの画像クロック信号発生手段の第1のジッタ量に応じて、画像クロック信号発生手段と画像形成ユニットとの対応関係を切り換える切り換え手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 対応する色に係る画像書込処理をそれぞれ制御する複数の書込制御回路と、対応する書込制御回路に対する画像データの出力タイミングを決定するための画像クロック信号を発生する複数の画像クロック信号発生手段と、を備えた画像形成装置において、
前記画像クロック信号発生手段のそれぞれは、対応する色の画像に係る画像形成位置のずれ量に応じて画像クロック信号の周波数を変更する周波数可変機構と、
前記周波数可変機構から所定の第1検出期間に出力される画像クロック信号をカウントするカウンタと、
該カウンタのカウント値に基づいて周波数可変機構のジッタ量を第1のジッタ量として検出する第1のジッタ量検出手段と、
を備えており、さらに、
それぞれの画像クロック信号発生手段の第1のジッタ量に応じて、画像クロック信号発生手段と書込制御回路との対応関係を切り換える切り換え手段を有することを特徴とする画像形成装置。 - 前記画像形成ユニットはそれぞれ、基準クロック信号を発生させる基準クロック信号発生部と、
各ライン毎の画像形成に同期したライン走査同期信号を発生させる同期信号発生部と、
ライン走査同期信号の発生間隔に所定の整数を乗じて得られる第2検出期間における基準クロック信号をカウントするカウンタと、
該カウンタのカウント値によりライン走査同期信号発生周期のジッタを検出し、光走査部材の動作のジッタ量を第2のジッタ量として検出する第2のジッタ量検出手段と、
前記第1のジッタ量検出手段が検出した第1のジッタ量及び前記第2のジッタ量検出手段が検出した第2のジッタ量に基づいて第3のジッタ量を算出する第3のジッタ量算出手段と、
を備えており、
前記切り換え手段は、それぞれの画像クロック信号発生手段の前記第3のジッタ量に応じて、前記画像クロック信号発生手段と画像形成ユニットとの対応関係を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記切り換え手段は、前記第3のジッタ量が各色について設定された許容値以下にそれぞれなるように、画像クロック信号発生手段と画像形成ユニットとの対応関係を切り換えることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記切り換え手段は、視覚に与える影響の最も小さい色に係る画像形成ユニットに対応づけられた画像クロック信号発生手段を、視覚に与える影響のより大きい色に係る他の画像形成ユニットに対応づけることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 前記第1検出期間は、前記画像形成装置の主走査時間の1ライン以上10 ライン以下に対応する期間であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- 前記第1のジッタ量検出手段は、少なくとも2個以上のクロック値記憶部を有し、それぞれの記憶部は前記クロック信号のカウントを複数回行なう動作中におけるカウント値の最大値と最小値とをそれぞれ保持し、これらの値に基づいてジッタ量の判定を行なうことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
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