JP3805868B2 - シールドトンネル覆工体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のセグメントをトンネルの周方向および軸線方向に組み立てて構築されるシールドトンネル覆工体に係り、特にセグメントがコンクリートからなり、周方向にプレストレスが導入されるシールドトンネル覆工体に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、シールドトンネルの覆工体は、工場生産されたセグメントを坑内で組み立てることによって構築される。組み立てられた覆工体はトンネルの周囲の地盤から作用する土圧および水圧に耐え得るように充分な強度を有している必要があり、特にセグメントの継手部において過度の変形が生じないものとしなければならない。
【0003】
このような覆工体を構成するセグメントは、鉄筋コンクリートからなるものが従来から広く用いられている。このようなセグメントの継手部は、例えば、鋼材の継手ボックスが固着されており、接合される二つのセグメントの継手ボックスをボルトによって相互に緊結する構造となっている。そして、周方向に連結されたセグメントはトンネルの軸線方向に順次配列されて連結される。
【0004】
しかし、上記のような連結構造では、それぞれのセグメントに継手部を設けており、セグメントの製造に多くの費用が必要となる。また、このような継手構造では組立時の変形が生じやすく、組み立て精度が低いという欠点がある。また、シールドトンネル覆工体の完成後においても、軟弱地盤中のシールドトンネルのように周方向の軸力に比べて曲げモーメントが卓越するような条件では、覆工体に過大な変形が生じてしまう。
【0005】
このような欠点を克服する構造として、コンクリートからなるセグメントの周方向および軸線方向にプレストレスを導入するものがある。このような覆工体のセグメント111は、図8に示すように、周方向の端部にほぼ平坦な端面111aを備えており、隣り合う他のセグメント112の端面112aと突き合わせるようにして組み立てられる。これらのセグメント111,112には、周方向にダクト113が設けられており、セグメントがリング状に組み立てられると、上記ダクト113にPC鋼材114を挿通し、緊張力が導入される。
【0006】
このリング状に組み立てられたセグメント組立体120は、図9に示すように、後方の組み立てが完了したセグメント組立体121と軸線方向に端面を突き合わせて連続するように配置される。そしてこれらのセグメントには軸線方向にも隣接するセグメントと連続するようにダクト122が設けられており、これにPC鋼材を挿通して緊張力が導入される。このように、セグメントの周方向及び軸線方向にプレストレスが導入され、組み立てられたセグメントは一体となり、連続した部材のように挙動する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようなシールドトンネル覆工体には次のような問題点がある。
セグメントにプレストレスを導入する場合、図9に示すように、周方向と軸線方向にダクトが配置されるが、小径のシールドトンネルではセグメントの厚さが小さく、ダクトのかぶりが充分にとれなくなる。このため、セグメントの製作が難しくなったり、鉄筋やPC鋼材に対する防錆効果が低下し、セグメントの耐久性が十分でなくなるという問題が生じる。また、周方向と軸線方向との双方にPC鋼材を配置するのでPC鋼材の量が多くなり、施工費用が増大してしまう。
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、使用するPC鋼材の量を低減するとともに、簡単な構造で周方向および軸線方向にセグメントを緊結することができるシールドトンネル覆工体を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、 コンクリートからなる複数のセグメントをシールドトンネル内の周方向および軸線方向に連結してトンネルの外周部の土圧および水圧に抵抗するシールドトンネル覆工体であって、 該シールドトンネル覆工体を構成するセグメントの任意の一つである第1のセグメントと、これと周方向に隣り合う第2のセグメントとが、シールドトンネルの軸線方向にずれた位置に配置され、 周方向に配置された複数のPC鋼材が、前記第1のセグメントを貫通するように配置され、 前記第1のセグメントを貫通する複数のPC鋼材の内の少なくとも1本は、前記第2のセグメントを貫通し、 他のPC鋼材は、前記第2のセグメントと軸線方向に隣り合うとともに、前記第1のセグメントと周方向に隣り合う第3のセグメントを貫通するものであることを特徴とするシールドトンネル覆工体を提供するものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、 前記第1のセグメントと、これと周方向に隣り合う第2のセグメントとの接合端面が、該シールドトンネルの軸線方向と角度を有する方向に設けられているものとする。
【0011】
(作用)
請求項1に記載のシールドトンネル覆工体では、セグメントの任意の一つである第1のセグメントは、軸線方向に配列された第2及び第3のセグメントの双方と周方向に隣接する。そして第1のセグメントを貫通して周方向に配置される複数のPC鋼材は第2のセグメントを貫通するものと、第3のセグメントを貫通するものとを含んでいる。このように周方向にPC鋼材を貫通して緊張することにより、周方向にプレストレスが導入され、周方向に隣り合う2つのセグメントの接合端面に圧縮力が生じる。
【0012】
このとき、これらのセグメントの接合端面には、周方向の圧縮力によりトンネルの軸線方向のずれに対抗する摩擦抵抗力が生じる。つまり、軸線方向に引張力が作用する場合、周方向に隣接するセグメント間で軸線方向の引張力が伝達され、さらに伝達された引張力は、他の隣接するセグメントに摩擦力として伝達される。このようにして、シールドトンネル覆工体に作用する周方向の引張力及び軸線方向の引張力は隣接するセグメントに伝達され、軸線方向にPC鋼材を配置しなくても、周方向に配置したPC鋼材の緊張のみで、隣接するセグメントを周方向及び軸線方向の双方に緊結することができる。したがって、少ないプレストレス量でも覆工体全体がほぼ一様な剛性を維持して、トンネルの外周部の土圧または水圧に抵抗することが可能となる。
【0013】
また、シールド掘進機は、建て込みが完了した最先端のセグメントに反力を負担させて前方へ押し出されるが、この反力は新たに建て込まれたセグメントを既に組立てられたセグメントに軸線方向に押し付けるように作用する。したがって、このような反力が作用している状態で周方向にプレストレスを導入すると、軸線方向に直列する二つのセグメント、つまり、上記第2及び第3のセグメント間に圧縮応力が作用した状態で新たなセグメントが一体に接合されることになる。このため、軸線方向とほぼ直角方向の接合端面に圧縮応力が作用した状態を維持することができ、漏水の防止効果、変形の低減効果が得られる。
【0014】
一方、上記のような構造では、周方向に隣り合うセグメントは軸線方向にずれた位置に配置されるので、順次セグメントを建て込んでゆくと、新たに建て込むセグメントの周方向の両側に隣接するセグメントが所定の位置に建て込まれた後に、これらのセグメントの間に挿入して建て込まなければならない部分が生じる。このとき、周方向の両側に隣接するセグメントとの接合端面が、両方とも軸線方向と平行になっていると、新たに建て込むセグメントを両側のセグメントの間に挿入するのが難しくなる。特に周方向にプレストレスが導入されていると、セグメントは周方向に圧縮変形を生じているので、ますますセグメントの建て込みが困難になる。
なお、周方向のプレストレスは、新たにセグメントが建て込まれた後、直ちに導入するのが望ましく、周方向の両側に隣接するセグメントがすでに建て込まれ、これらの間に新たにセグメントを挿入するときには両側に隣接するセグメントの後方はすでにプレストレスが導入されている場合が多くなる。
【0015】
これを解決するために、請求項2に記載のシールドトンネル覆工体では、第1のセグメントと、これと周方向に隣り合う第2のセグメントとの接合端面が、該シールドトンネルの軸線方向と角度を有する方向に設けられ、第1のセグメントより後から建て込まれる第2のセグメントは、挿入する部分の先端側すなわち後方側で幅が小さくなる形状としておくことで、周方向の両側に隣接するセグメントが既に所定位置に建て込まれていても、これらの間に新たなセグメントを挿入し、所定位置に建て込むことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本願発明の一実施形態であるシールドトンネル覆工体を示す概略断面図であり、図1(a)は横断面図、図1(b)は縦断面図である。また、図2は、上記シールドトンネル覆工体で用いられるセグメントを示す斜視図であり、図3は、上記シールドトンネル覆工体の展開図である。
このシールドトンネル覆工体は、円形の断面を有しており、図1(a)に示すように、周方向に6分割されたセグメント1,2,3,4,5,6で構成されている。これらのセグメントは、図1(b)に示すように、シールド掘進機の後方で円形断面のシールドトンネルの周囲に組み込まれるものである。
【0017】
上記セグメント1,2,3,4,5,6は、コンクリートでできており、図1(b)に示すように、内外面が六角形となっている。そして、図2に示すように、円筒曲面の一部を構成するように湾曲した断面を有する部材であり、複数のほぼ同形状のセグメントが組み合わされることによって環状の覆工体を形成するものである。また、セグメント内には、シールドトンネルの周方向にPC鋼材を挿通するためのダクト12が設けられている。
【0018】
これらのセグメントは次のように組み立てられている。
任意の一つのセグメントを第1のセグメント1とすると、この第1のセグメント1は、図1(b)に示すように、周方向に隣り合う第2のセグメント2と軸線方向にずれた位置に配置される。また、第2のセグメント2の後方にあって、これと軸線方向に隣接する第3のセグメント7も、第1のセグメント1の後部で周方向に隣接するように配置され、組み立てられた複数のセグメントがハニカム状に配列される。そして、周方向に隣り合う二つのセグメントの接合端面3a,7aが、シールドトンネルの軸線方向と角度を有する方向に設けられている。
【0019】
このように組み立てられた各セグメント間では、上記ダクト12が周方向に連通され、シールドトンネルの最下部にあるセグメント6内で、埋設された定着体13に接続されている。
この定着体13は、図4に示すように、二つの筒状体がX状となるように一体化された形状を有するもので、上記ダクト12内にPC鋼材11が挿通されると、覆工体内を一周して両端がそれぞれこの定着体13の二つの貫通孔13a,13bを通って覆工体の内側に引き出されるようになっている。また、セグメント1の内側には切り欠き14が設けられ、定着体13の貫通孔が設けられた部分の端面13c,13dがこの切り欠き14内に露出している。
【0020】
覆工体内を一周してこの切り欠き14から引き出されたPC鋼材11は、この切り欠き14内でRチェア15およびセンターホールジャッキ16を装着し、緊張力を導入することができるようになっている。定着体13の貫通孔は上記端面13c,13d付近で拡径されており、緊張力が導入されたPC鋼材11をくさび17によって該定着体13に定着することができるようになっている。
【0021】
このように周方向に連通したダクト内に挿入されるPC鋼材は、図3に示すように、第1のセグメント1を2本が貫通するように配置され、1本のPC鋼材11aは、第1のセグメント1と周方向に隣り合う第2のセグメント2を貫通する位置に、他のPC鋼材11bは、第2のセグメント2の後方にあって軸線方向に隣り合うとともに、第1のセグメントと周方向に隣り合う第3のセグメント7を貫通する位置に配置されている。
【0022】
このようなPC鋼材11を緊張することにより、周方向にプレストレスが導入され、周方向に隣り合う2つのセグメントの接合端面3a,7aに圧縮力が生じるとともに、トンネルの軸線方向へのずれに抵抗する摩擦力が生じる。したがって、軸線方向に引張力が作用すると、上記摩擦力により周方向に隣接するセグメントに伝達され、このセグメントの断面に作用する引張応力として後方に伝達される。伝達された引張応力は、後方で周方向に隣接する他のセグメントに摩擦力として伝達され、シールドトンネルの軸線方向に引張力が伝達される。このため、軸線方向にPC鋼材を配置する必要がなく、PC鋼材の周方向への緊張のみで、隣接するセグメントを軸線方向に緊結することができる。したがって、少ないPC鋼材量でも覆工体全体がほぼ一様な剛性を維持することになり、トンネルの外周部からの土圧または水圧に抵抗するとともに軸線方向の引張力又は曲げに対しても抵抗することが可能となる。
【0023】
また、周方向に隣り合うセグメントの接合端面3a,7aは軸線方向に角度を有する方向に設けられ、ハニカム状にセグメントが組み立てられるので、既に組み立てられたセグメントには周方向にプレストレスが導入されていても、新たに建て込まれるセグメントは容易に組み立てることができる。
【0024】
さらに、次のような効果も期待できることになる。
シールド掘進機18は、建て込みが完了した最先端のセグメント2,4,6[図1(b)にはセグメント4は示されていない]に推進ジャッキ19の反力を負担させて前方に押し出される。このため、最新に建て込まれたセグメント2,4,6には後方へ押し付ける力が作用し、後方に隣接するセグメント(例えば符号7で示すセグメント)との接合端面に圧縮応力が作用する。このような状態で、周方向に配列された6つのセグメント1,2,3,4,5,6を貫通する周方向のPC鋼材を緊張し、プレストレスを導入すると、これらが一体に接合されるとともに、最新に建て込まれたセグメント2,4,6とその後方に隣接するセグメントとの接合端面に作用する圧縮応力がそのまま残った状態となる。したがって、軸方向とほぼ垂直な接合端面には、PC鋼材の緊張力による直接的なプレストレスは導入されるものではないが、残留する圧縮応力によって漏水の防止効果、変形の低減効果が得られる。
【0025】
次に、上記のようなセグメントを接合してシールドトンネル覆工体を組み立てる工程について説明する。
上記セグメントは六角形であるので、図1(b)に示すように、覆工体の切羽側の端部では、間隔をおいて3つのセグメント2,4,6が配置された状態となっている。
図示しないシールド掘進機により、切羽での掘削がセグメントの一単位分(セグメントの軸線方向長さの1/2)進行すると、シールド掘進機の後部と、上記セグメント2,4,6の接合端面との間に、図3に示すように新たな3つのセグメント8,9,10を、後方側(切羽と反対側)および両側で隣り合うセグメントと端面をぴったり突き合わせるようにして建て込む。これにより、新たなセグメント8,9,10のダクトの一つが、既に組み立てられたセグメント2,4,6のダクト12と連通する。
【0026】
その後、PC鋼材11bを定着体13の端面から、定着体の貫通孔及びこれと接続されたダクト12に挿通する。そして周方向に一周して定着体13の他の貫通孔から覆工体内側へ引き出す。上記PC鋼材11の一方の端部(定着端)は、くさび17で定着体13に定着し、他端(緊張端)はセンタホールジャッキ16で把持して、定着体13に反力を負担させてPC鋼材11を緊張する。
このとき、先にも述べたように、緊張に先立ってシールド掘進機18を前方に押し出し、その反力をセグメント8,9,10に負担させておくのが望ましい。これにより、セグメント8,9,10はこれらの後方に隣接するセグメント1,3,5に押し付けられており、このような状態で一体化される。
【0027】
PC鋼材11に所定の緊張力が導入されると、定着端と同様にくさび17を押し込み、PC鋼材11を定着体13に定着する。この後、切り欠き14にコンクリートを充填して覆工体の内面を仕上げる。
【0028】
その後、掘削がセグメントの一単位分進行すると、既に建て込まれたセグメント8,9,10の間に、新たな3つのセグメントを建て込み、各セグメント間で連通するダクト12にPC鋼材11を挿通する。そして、上記と同様の方法によりPC鋼材11を緊張して定着する。このようにPC鋼材11の緊張・定着を行うことによって、PC鋼材11からコンクリートに曲率中心方向への力が周方向に分布して作用し、覆工体には周方向の軸圧縮力が生じる。
【0029】
図5は、本願発明の他の実施形態であるシールドトンネル覆工体を示す概略構成図であり、図5(a)は横断面図、図5(b)は縦断面図である。また、図6は、上記シールドトンネル覆工体で用いられるセグメントを示す斜視図であり、図7は、上記シールドトンネル覆工体の展開図である。
このシールドトンネル覆工体は、各セグメントが、図5(b)に示すように長方形の対向する角が斜めに切除された六角形の形状からなるものであり、周方向に隣接するセグメントがその軸線方向の長さの1/3ずつずれるように順次配置して組み立てられている。つまり、このセグメントの任意の一つである第1のセグメント21と周方向に隣り合う第2のセグメント27とはシールドトンネルの軸線方向に1/3だけずれた位置に配置され、さらにこの第2のセグメントは、第1のセグメントの反対側で前方に1/3だけずれた位置にあるセグメント28と隣接している(図7参照)。
【0030】
一方、第2のセグメント27の後方にあってこれと軸線方向に隣接する第3のセグメント22は、第1のセグメント21の後部で、1/3の長さの範囲が隣接するように配置されている。
また、第1のセグメント21の周方向の反対側では、軸線方向に並んだ2つのセグメント29,26と隣接し、前部1/3の範囲で前方側のセグメント29と、後方2/3の範囲で後方側のセグメント26と端面を突き合わせて接合されている。
そして、第1のセグメント21の第3のセグメント22との接合端面及び第3のセグメントと反対側で隣接するセグメント29との接合端面は軸線方向と角度を有するものとなっている。
【0031】
このようなセグメントの各々には、図5に示すように、周方向にPC鋼材を貫通するための3つのダクト32が設けられており、組み立てられた各セグメント間で、上記ダクト32が周方向に連通するようになっている。
このとき、図7に示すように、第1のセグメント21を貫通する3本のPC鋼材31a,31b,31cのうち、2本のPC鋼材31a,31bが、該第1のセグメント21と周方向に隣り合う第2のセグメント27を貫通し、他の1本のPC鋼材31cは、第2のセグメント27と軸線方向の後方に隣り合うとともに、第1のセグメント21と周方向に隣り合う第3のセグメント22を貫通する。
【0032】
また、第1のセグメント21の周方向の反対側では、前方側に配置された1本のPC鋼材31aが前方側にずれた位置で隣接するセグメント29を貫通し、他の2本31b,31cが後方で隣接するセグメント26を貫通するように配置されている。
【0033】
上記セグメント間で連通されたダクト32は、シールドトンネルの最下部にあるセグメント26内で、埋設された定着体33に接続されている。なお、定着体33の構成は図1および図4に示す定着体と同じものであり、同様の方法でPC鋼材の挿通及び緊張・定着を行うことができる。また、シールドトンネル覆工体の他の構成は図1に示す覆工体と同じである。
このようなシールドトンネル覆工体では、図1に示すものと同様に、周方向のプレストレスによってセグメントを周方向及び軸線方向に緊結することができる。また、らせん状にセグメントを容易に組み立ててゆくことができる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本願発明に係るシールドトンネル覆工体では、隣接するセグメントが軸線方向にずらして組み立てられており、セグメントを周方向に緊張するだけで、任意の1つのセグメントは軸線方向に隣接する2つのセグメントの双方と周方向に圧接され、セグメント間に作用する摩擦力によりセグメントを軸線方向に緊結することができる。このため、PC鋼材の量を低減することができ、少ない施工費用で変形が少なく目開き等による止水性の低下が少ないシールドトンネル覆工体を得ることができる。
また、周方向に隣り合う2つのセグメントの接合端面が軸線方向と角度を有する方向に設けられているので、セグメントの組み立て作業を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態であるシールドトンネル覆工体を示す概略断面図である。
【図2】図1に示すシールドトンネル覆工体で用いられるセグメントを示す斜視図である。
【図3】図1に示すシールドトンネル覆工体の展開図である。
【図4】図1に示すシールドトンネル覆工体で用いられる定着体を示す正面図及び縦断面図である。
【図5】本願発明の他の実施形態であるシールドトンネル覆工体を示す概略断面図である。
【図6】図5に示すシールドトンネル覆工体で用いられるセグメントを示す斜視図である。
【図7】図5に示すシールドトンネル覆工体の展開図である。
【図8】従来から知られているシールドトンネル覆工体のセグメントの接合部の一例を示す概略断面図である。
【図9】従来から知られているシールドトンネル覆工体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、2、3、4、5、6、7、8、9 セグメント
11、31 PC鋼材
12、32 ダクト
13、33 定着体
14、34 切り欠き
15、35 Rチェア
16、36 センターホールジャッキ
17 くさび
18 シールド掘進機
19 推進ジャッキ
21、22、23、24、25、26、27、28、29 セグメント
Claims (2)
- コンクリートからなる複数のセグメントをシールドトンネル内の周方向および軸線方向に連結してトンネルの外周部の土圧および水圧に抵抗するシールドトンネル覆工体であって、
該シールドトンネル覆工体を構成するセグメントの任意の一つである第1のセグメントと、これと周方向に隣り合う第2のセグメントとが、シールドトンネルの軸線方向にずれた位置に配置され、
周方向に配置された複数のPC鋼材が、前記第1のセグメントを貫通するように配置され、
前記第1のセグメントを貫通する複数のPC鋼材の内の少なくとも1本は、前記第2のセグメントを貫通し、
他のPC鋼材は、前記第2のセグメントと軸線方向に隣り合うとともに、前記第1のセグメントと周方向に隣り合う第3のセグメントを貫通するものであることを特徴とするシールドトンネル覆工体。 - 前記第1のセグメントと、これと周方向に隣り合う第2のセグメントとの接合端面が、該シールドトンネルの軸線方向と角度を有する方向に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシールドトンネル覆工体。
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