JP4067244B2 - セグメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はシールド工法によりトンネルを構築する際に使用するコンクリート製のセグメント(セグメントピース)に係わり、特に、セグメントに突出して固着された雄金物を別のセグメントに形成した凹部に押し込んでセグメント間を接合する前記雄金物を有するセグメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
シールド工法では、外殻(シールド)でトンネル前面の土砂を防護しながら掘削すると同時に外殻を前方に押出し、これと並行して外殻内の後方でセグメントをリング状に組み立て、該リング状セグメントをトンネル軸方向に順次連続的に建て込むことによりトンネル内壁(ライニング)を形成する。外殻を押し出すには、数百トンから数千トンという大きな力がいるが、セグメントがその反力受けとなり、ジャッキで外殻を前方に送り出す。
【0003】
図5は構築中のシールドトンネルの一部破断斜視図であり、1はシールド機、1aは円筒状鋼製の外殻、1bは掘削機のカッタヘッド、2は地盤、3はセグメントリング、3aはセグメント、4はシールドジャッキである。構築中のトンネルの先頭位置にはシールド機1が配置しており、シールド機は筒状に形成された外殼1aを有している。外殼1aの前部には地盤2を堀進するためのカッタヘッド1bがあり、外殼1aの後部内周には複数のシールドジャッキ4が装着されている。それぞれのジャッキは選択的にセグメントの最前端に反力を求めることができる形で装着されている。外殼1a内の後部空間8にはセグメント組立て用のエレクタ(図示せず)が、セグメントを搬送装置(図示せず)から受け取ってこれを把持し、回転位置決め自在な形で設けられている。シールド外殼1aの後ろ側にはセグメント3aからなるトンネルが、筒状に構築形成されている。シールドトンネルは、それぞれが弧状に形成されたセグメント3aを周方向に接続してセグメントリング3を形成し、該セグメントリング3をシールド機1の堀進に伴ってトンネル軸方向に既に建て込んであるセグメントリングに継ぎ足すことにより構成される。
【0004】
すなわち、所定幅をなす弧状のセグメント(セグメントピース)3aをリング状に組み立てゝ1つのセグメントリング3を形成するもので、シールド堀進が1リング分進む毎に、既に建て込んだセグメントリングのトンネル進行方向に新たなセグメントリングを継ぎ足していく形で、セグメントの建て込み行う。従って、シールド機の外殻1aは、最新のセグメントリングの前端に反力を求める形で前進し、シールド機1が前進した分だけ、その後ろにセグメントリングからなるトンネルが構築されていく。
【0005】
セグメント3aは材質から、コンクリート製のセグメント、鋼セグメント、鋼コンクリート合成セグメントなどがある。セグメントとしてコンクリート製のセグメントを使用する場合、隣接するセグメント同士を締結するには、従来、ボルトボックスといわれる箱状の窪み及び接合用のボルト穴をセグメントに設けておき、これらを利用してボルト締結を行うセグメント継手が一般的であった(特開平10-153095号)。しかし、ボルト締結は作業が面倒となる問題があり、そこで、最近ではセグメント組立ての機械化を図るために、既に建て込まれたセグメントに新たなセグメントを押し当てるだけで締結出来るワンタッチ式の継手金物が各種開発されている。
【0006】
図6は従来のワンタッチ式セグメント継手部の断面拡大図であり、3a1,3a2は隣接するセグメントリングを構成するセグメントである。この従来のワンタッチ式の継手金物は、接合すべきセグメントの一方のセグメント3a1側に雄金物5を突出固着し、他方のセグメント3a2側に雌金物6を凹部7を形成するようにセグメント3a2のコンクリートに埋め込む形で取り付け、機械による押し込み力で雄雌の金物5,6を締結させるものである。このため、雌金物6に対する雄金物5の接合面には平滑性と密着力及び、摩擦が生じても損傷しない耐食性が要求され、雄金物5の表面に粉体塗装が施される。粉体塗装の例として、熱硬化型ポリエステルウレタン樹脂系の粉体塗料を静電塗装機や吹付ガンなどで塗装し、焼き付け乾燥させ、必要に応じて上塗塗装を施すものが知られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、粉体塗装を施すとコンクリートに対する付着製が悪くなるため、雄金物5のコンクリートセグメント3a1に対する引き抜き強度が低下し、継手部分そのものの強度に影響するという問題が生じる。
以上から本発明の目的は、表面に粉体塗装を施すワンタッチ式の継手金物を用いる場合において、継手部分の高強度を確保できるセグメントを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は本発明によれば、セグメントに突出して固着された雄金物を別のセグメントに形成した凹部に押し込んでセグメント間を接合する前記雄金物を有するセグメントにおいて、雄金物内部を所定の充填材たとえばセメンとモルタルで充填すると共に、セグメント本体部から雄金物の突出部分内部に渡ってアンカーボルトを埋設してなるセグメントにより達成される。
雄金物の表面には粉体塗装が施されているので、そのコンクリートに埋め込まれた部分はコンクリートに対する付着性が悪くなるが、アンカーボルトによって、十分な密着強度が確保される。また、アンカーボルトは雄金物内のコンクリートに差し込まれた補強鉄筋として機能する形となるため、継手部の強度、及びセグメント本体と雄金物との一体性(即ち継手強度)を向上できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1はワンタッチ式の継手部を備えたセグメントの接合方法の説明図、図2は本発明のセグメントの断面図である。
図1に示すように、各セグメント3a1,3a2のトンネル軸方向及びトンネル周方向の4つの側面(継ぎ手面)111〜114には継手部が形成される。このうち、周方向に隣接するセグメントの継手部には公知のクイックジョイントが設けられるが、本発明と関係がないため図示及び説明を省略する。トンネル軸方向に隣接するセグメント3a1,3a2の継手部にはワンタッチ式のリング間継手が用いられる。すなわち、セグメント3a1,3a2の継ぎ手面111,112に複数(図では3組)のワンタッチ式の継手部が設けられており、一方のセグメント3a1の継手部における雄部121〜123を他方のセグメント3a2の継手部における雌部131〜133に圧着締結させることにより両者は接合する。
【0010】
図2に示すように、本実施例で用いられるセグメント(セグメントピース)3a1,3a2は弧状に形成されたコンクリート製のセグメント本体15を有しており、このセグメント本体15のトンネル軸方向の一方の継手面112に雄部121〜123が、他方の継ぎ手面111には雌部131〜133が形成されている。つまり、1ケのセグメントのトンネル軸方向両端面には3箇所の雄部121〜123と3箇所の雌部131〜133が設けられている。尚、雄部、雌部の配設箇所数は3箇所に限らず、2箇所であっても良い。
【0011】
雄部121には図3(b)に示すようにその外面に粉体塗装Aが施された雄金物16が、その半分をセグメント3a1の本体部分をなすコンクリート中に埋め込まれ、残り半分を突出させた形で設けられている。雄金物16の内部にはセメントモルタルが、セグメント本体のコンクリートと一体をなす形で充填されている。又、雄金物16の内部端部からセグメント本体内に渡って全ネジ鉄筋、異形鉄筋等からなるアンカー棒(アンカーボルト)19が埋設された形で設けられている。アンカーボルト19は雄金物の略倍の長さを備え、雄金物16の内部に埋設されている長さとセグメント本体内に埋設されている長さは略等しくなっている。
【0012】
雌部131には、図3(a)に示すように、外周にポリエチレンフォーム20が被覆された雌金物17がセグメント端部から突出しないようコンクリート中に埋め込まれた形で設けられており、雌金物の内部にはコンクリートが非充填であることによる凹部18が設けられている。凹部18の長さL1は雄金物17の突出した長さL2より若干大きく形成されており、又、雌金物17の内径D1は雄金物16の外形D2より僅かに小さく形成されている。実施例では図3に示すようにD1=44mm、D2=45mmである。セグメントの建て込みに際して、既に建て込まれたセグメント3a2の雌金物17に新たなセグメント3a1の雄金物16を、シールドジャッキの押し込み力を利用して圧入させる形で両者を締結する。このリング間継手の雄金物16と雌金物17の係合に際して、双方の位置及び軸心の向きに若干のずれが発生するが、ポリエチレンフォーム20が該ずれを吸収する。このため、 セグメント本体15のコンクリートを破壊することなく両者が正しく締結する。また、雄金物16の外面には粉体塗装が施されているので、雌金物17の接合面に対し円滑に嵌合し、両者が緊密に密着する。そして、雄雌金物の圧着締結による摩擦が生じても金属表面の耐食性は確保される。
【0013】
本発明のセグメントを製造するには、図4の▲1▼に示すように、まず、雄金物16の外側表面に粉体塗装Aを施す。粉体塗装は静電塗装機等により雄金物16の外側表面に満遍なく塗装してよく、非塗装部を確保する必要はない。次に▲2▼に示すように雄金物内部に適度のセメントモルタル21を充填しておいて、アンカー棒19を挿入して養生する。アンカー棒としては、異形棒鋼、全ネジ棒鋼等の表面凹凸があるものが好ましい。また、長さは、雄金物16の2倍程度が好ましい。こうして▲3▼の状態にしたアンカー棒付き雄金物を、雌金物、及びトンネル周方向の継手面に埋設する公知のクイックジョイントと共に、セグメント形成用型枠22の所定位置に仮固定して、所定配合のコンクリートを打設充填する。
【0014】
上記のようにセグメントを製造することにより、セグメント本体15のコンクリート打設に際して既に雄金物16の内部にはコンクリートが入っているので、雄金物内部にエアが残ってしまうことはなく、セグメントを構成するすべての部分にコンクリートが密実充填できる。従って継手部を含めたセグメント全体の高強度が保証される。また、雄金物16の表面には粉体塗装Aが施されているので、そのコンクリートに埋め込まれた部分はコンクリートに対する付着性が悪くなるが、アンカー棒19によって、十分な密着強度が確保できる。また、アンカー棒19は雄金物内のコンクリートに差し込まれた補強鉄筋として機能する形となるため、継手部の強度、及びセグメント本体15と雄金物16との一体性(即ち継手強度)も向上する。
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明は請求の範囲に記載した本発明の主旨に従い種々の変形が可能であり、本発明はこれらを排除するものではない。
【0015】
【発明の効果】
以上本発明によれば、雄金物内部を所定の充填材たとえばセメントモルタルで充填し、セグメント本体部から雄金物の突出部分内部に渡ってアンカーボルトを埋設してセグメントを構成したから、表面に粉体塗装を施した雄金物のコンクリートに対する付着性が悪くなっても、アンカーボルトによって、十分な密着強度が確保できる。また、アンカーボルトは雄金物内のコンクリートに差し込まれた補強鉄筋として機能する形となるため、継手部の強度、及びセグメント本体と雄金物との一体性(即ち継手強度)を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ワンタッチ継手を備えたセグメントの接合方法の説明図である。
【図2】本発明のセグメントの断面図である。
【図3】本発明に用いるリング間継手の雄金物及び雌金物の一部破断外観図である。
【図4】本発明のセグメントの製造方法説明図である。
【図5】構築中のシールドトンネルの一部破断斜視図である。
【図6】従来のセグメント継手部の拡大断面図である。
【符号の説明】
3a1,3a2・・セグメント(セグメントピース)
15・・セグメント本体
121〜123・・雄部
131〜133・・雌部
16・・雄金物
17・・雌金物
18・・凹部
19・・アンカーボルト
20・・ポリエチレンフォーム

Claims (1)

  1. セグメントに突出して固着された雄金物を別のセグメントに形成した凹部に押し込んでセグメント間を接合する前記雄金物を有するセグメントにおいて、
    雄金物内部を充填材で充填すると共に、セグメント本体部から雄金物の突出部分内部に渡ってアンカーボルトを埋設してなることを特徴とするセグメント。
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