JP3805212B2 - ズームレンズ及びそれを有する光学機器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子スチルカメラ、レンズシャッターカメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ等に好適なズームレンズ及びそれを有する光学機器に関する。
【0002】
この他、本発明はCCD等の撮像素子を用いたデジタルスチルカメラに好適な小型で広画角であり、かつズーミング中射出瞳位置の変動が少なく、レンズ全長の短縮化を図った携帯性に優れたズームレンズ及びそれを有する光学機器に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来よりCCDを用いて静止画像を撮影する電子スチルカメラや動画像を撮影するビデオカメラ等の撮像装置(光学機器)に使用されるズームレンズにはカメラの小型化に伴いレンズ全長が短く小型で広画角のズームレンズが要求されている。
【0004】
ビデオカメラ等のCCDを用いた撮影装置に使用されるズームレンズのズームタイプとしては、最も物体側のレンズ群がズーミング(変倍)中固定された、正、負、正の屈折力のレンズ群で始まる3〜5群より成るズームタイプが多い。
【0005】
例えば特開昭63−81313号公報では正、負、正、正、の屈折力のレンズ群より成る4群を有し3倍程度の変倍比のズームレンズが提案されている。
【0006】
その後ビデオカメラ用レンズの発展は、高変倍化を中心に行なわれてきた。例えば特開平3−296706号公報では正、負、正、正、の屈折力のレンズ群よりなる4群を有し10倍程度の変倍比を持つズームレンズが提案されている。近年CCDを用いて静止画を撮影する、電子スチルカメラが注目を集めている。電子スチルカメラ用のズームレンズとしては、レンズ全長の極めて短い光学系が要求されている。
【0007】
又静止画の特性上、広画角であることが望ましい。更には動画のビデオカメラよりも高い光学性能を有することが望ましい。このように2.5〜3倍程度の比較的低倍率の変倍比であっても、広角域を含み、明るく、高い光学性能が得られるズームレンズが特公平6−66008号公報で提案されている。このズームレンズは負、正、の屈折力のレンズ群より成り各レンズ群の空気間隔変化によって変倍する2群ズームレンズである。
【0008】
この2群タイプのズームレンズの多くは、コンパクト化及び光学性能の点で十分でなかった。又ズーミング中に射出瞳の変動が大きいため、銀塩カメラ用としては問題ないもののCCDを用いる電子スチルカメラに用いる場合、設計上パワー配置に制約を受ける為大型化する傾向があった。
【0009】
負、正、正、の屈折力のレンズ群の3群を有し、広角端より望遠端へのズーミング中第2,第3群の間隔が広がるズームレンズかつ特開平7−52256号公報で提案されている。このズームレンズは負、正の屈折力の2群ズームレンズと同様に変倍に伴う射出瞳位置の変化が大きい。
【0010】
負、正、正、の屈折力のレンズ群の3群を有し、広角端より望遠端へのズーミング中第2,第3群の間隔が減少するズームレンズが米国特許第5434710号で提案されている。このズームレンズはレンズ枚数が多くコンパクト化には限界があった。
【0011】
負、正、正、正の屈折力のレンズ群の4群を有し、広角端より望遠端へのズーミング中第2,第3群の間隔が減少し、第4群がズーム中固定されたズームレンズが特開昭60−31110号公報で提案されている。このズームレンズは米国特許第5434710で提案されているズームレンズと同様レンズ枚数が多くコンパクト化には限界があった。又、変倍比は2程度である。
【0012】
負、正、正、正の屈折力のレンズ群の4群を有し、広画角で変倍比2.4程度の4群ズームレンズが特開平10−104520号公報で提案されている。ここで提案されているズームレンズはレンズ枚数が多く、レンズ全長が増大する傾向がある。
【0013】
又、負、正、正、正の屈折力のレンズ群の4群を有し、小型で変倍比3程度の4群ズームレンズが特開平11−84242号公報で提案されている。ここで提案されているズームレンズは、射出瞳のズーミング変動が比較的少なく、超コンパクトを優先したものである為、レンズ構成枚数が極めて少なく、画素数の少ない廉価版のデジタルカメラ用には適するものの、高画素のデジタルカメラに適した高性能は得られていない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
一般にネガティブリード型のズームレンズにおいて、レンズ系全体のレンズ枚数を少なくし、レンズ構成の簡素化を図りつつ、広画角化を図りつつ全変倍にわたり良好なる光学性能を得るには各レンズ群の屈折力配置、各レンズ群のレンズ構成そして各レンズの材質の屈折率やアッベ数等を適切に設定する必要がある。各レンズ群の屈折力配置やレンズ構成やレンズの材料の選択が不適切であると変倍に伴う収差変動特に色収差の変動が大きくなり、全変倍範囲にわたり高い光学性能を得るのが難しくなってくる。
【0015】
例えば従来のネガティブリード型のズームレンズでは、第1レンズ群中の正レンズにアッベ数が24以上の硝材料が使用されているのが一般的であった。この為、第1レンズ群を負レンズ、正レンズの2枚構成で実現しようとすると、負レンズに偏肉比の大きな非球面レンズが必要となり、製造が困難になってくる傾向があった。
【0016】
本発明は、負の屈折力のレンズ群が先行するネガティブリード型のズームレンズにおいて、各レンズ群の屈折力やレンズの材質等を適切に設定することにより、レンズ系全体の簡素化を図りつつ、広画角で全変倍範囲にわたり高い光学性能を有したズームレンズ及びそれを用いた光学機器の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明のズームレンズは、物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群のみをレンズ群として有し、広角端に対して望遠端で、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が小さく、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間隔が大きくなるように、且つ第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が変化するように、少なくとも前記第2レンズ群と前記第3レンズ群を物体側へ移動させて変倍を行うズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、物体側より順に、負レンズ11、正レンズ12の2枚のレンズよりなり、前記第2レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを有し、前記正レンズ12の材料のアッベ数をνd12、負レンズ11の材料の屈折率とアッベ数を各々Nd11、νd11とするとき、
νd12 ≦ 18.9
Nd11 > 1.7
νd11 > 35
の条件を満足することを特徴としている。
【0018】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、撮像素子上に像を形成することを特徴としている。
【0019】
請求項3の発明の光学機器は、請求項1又は2のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴としている。
【0020】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、前記光学機器は、デジタルカメラであることを特徴としている。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の数値実施例1のズームレンズのレンズ断面図、図2〜図4は本発明の数値実施例1のズームレンズの広角端,中間のズーム位置,望遠端の収差図である。図5は本発明の数値実施例2のズームレンズの広角端のレンズ断面図、図6〜図8は本発明の数値実施例2の広角端,中間のズーム位置,望遠端の収差図である。図9は本発明の数値実施例3のズームレンズのレンズ断面図、図10〜図12は本発明の数値実施例3の広角端,中間のズーム位置,望遠端の収差図である。
【0022】
レンズ断面図において(A)は広角端のズーム位置、(B)は中間のズーム位置(C)は望遠端のズーム位置を示している。
【0023】
又レンズ断面図においてL1は負の屈折力の第1群(第1レンズ群)、L2は正の屈折力の第2群(第2レンズ群)、L3は正の屈折力の第3群(第3レンズ群)、L4は正の屈折力の第4群(第4レンズ群)である。矢印は広角側から望遠側への変倍を行う際の各レンズ群の移動方向を示す。SPは絞り、IPは像面である。Gはフェースプレート、色フィルター等のガラスブロックである。FPはフレアー絞りである。
【0024】
数値実施例1〜3のズームレンズでは広角端から望遠端への変倍に際して、第1群と第2群の間隔及び第2群と第3群の間隔が減少し、第3群と第4群の間隔が増加するように第2群と第3群をいずれも物体側へ移動させている。
【0025】
又、第1群を像面側に凸状の軌跡の一部を用いて移動させている。図1の数値実施例1では第4群を像面側へ移動させている。図5、図9の数値実施例2、3では変倍に際して第4群を固定としている。
【0026】
本実施形態のズームレンズは、第1レンズ群は物体側より順に、非球面を有する負レンズ11と正レンズ12の2枚のレンズよりなり、前記第2レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを有し、前記第1レンズ群中の正レンズ12の材料のアッベ数をνd12とするとき、
νd12≦18.9・・・(1)の条件を満足している。
【0027】
又、本実施形態では、負レンズ11の材料の屈折率をNd11、アッベ数を
νd11とするとき、
Nd11 > 1.7 ・・・(2)
νd11 > 35 ・・・(3)
の条件を満足している。
【0028】
次に前述の条件式の技術的意味について説明する。
【0029】
条件式(1)は 第1群中の正レンズ12の材料のアッベ数に関するもので、条件式(1)の上限を超えて正レンズの材料のアッベ数が大きくなると、第1群中の非球面を施した負レンズの偏肉比が大きくなり成型が困難となってくる。
【0030】
条件式(2)の下限を超えて負レンズ11の材料の屈折率が低くなると第1群中の非球面を施した負レンズの偏肉比が大きくなり成型が困難となってくる。
【0031】
条件式(3)の下限を超えて負レンズ11の材質のアッベ数が小さくなると、望遠域における軸上色収差が補正困難となるので良くない。
【0032】
本実施形態において、更に好ましくは条件式(2)、(3)を次の如く設定するのが良い。
【0033】
Nd11 > 1.72 ・・・(2a)
νd11 > 38 ・・・(3a)
本実施形態では以上の構成によって、レンズ枚数の削減を計り、レンズ全長の短縮化を達成したにもかかわらず、3倍程度の変倍比を有しつつ、明るく、高い光学性能を有し、広角域を含みつつ、簡易な鏡筒構造で実現可能なデジタルスチルカメラ等の光学機器に適したズームレンズを達成している。
【0034】
次に各数値実施例のレンズ構成について説明する。
【0035】
数値実施例1〜3においては、いずれも物体側より負、正、正、正の屈折力のレンズ群にて構成している。
【0036】
数値実施例1〜3において第1群は、物体側より順に、物体側に比べて像面側のレンズ面の曲率がきつく、かつ像面側に非球面を有する負レンズ11と超分散のガラス材料を用いた物体側が凸の正メニスカスレンズ12の2枚にて構成している。
【0037】
第2群は、物体側より絞り、2枚の正レンズ、負レンズの3枚にて構成している。
【0038】
第3群は、正の単レンズにて構成している。
【0039】
第4群は、像面側に比べて物体側のレンズ面の曲率がきつい正の単レンズにて構成している。
【0040】
本実施形態では、以上のように負、正、正、正、の屈折力のレンズ群の4群を有し、各群のレンズ構成、非球面の位置、移動方法等を最適に配置し、レンズ枚数の削減を計り、レンズ全長の短縮化を達成したにもかかわらず、3倍程度の変倍比を有しつつ、明るく、極めて高い光学性能を有し、広角域を含んだ、デジタルスチルカメラに適したズームレンズを達成している。
【0041】
又、第1レンズ群中の正レンズの材料に超高分散ガラスを使用する事により第1レンズ群中の負レンズのパワー(焦点距離の逆数)も弱め、偏肉比を緩和する事により非球面レンズの成型を容易にしている。
【0042】
本発明は大別して第1、第2発明の2つの発明を含んでいる。このうち第1発明のズームレンズは、物体側より順に負の屈折力の第1群、正の屈折力の第2群を少なくとも有し、第1、第2レンズ群の空気間隔変化によって変倍を行うことを基本構成とし、第1レンズ群のレンズ構成を前述の如く設定するとともに、条件式(1)を満足するようにしている。又、更に好ましくは条件式(2)、(3)を満足するようにしている。
【0043】
又、第2発明では、物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群を有し、広角端に対して望遠端での第1レンズ群と第2レンズ群の間隔が小さく、第3レンズ群と第4レンズ群の間隔が大きくなるように、且つ第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が変化しており、少なくとも第2レンズ群と第3レンズ群を物体側へ移動させて変倍を行うことを基本構成とし、第1レンズ群のレンズ構成を前述の如く設定するとともに条件式(1)〜(3)を満足するようにしている。
【0044】
次に、本発明のズームレンズの数値実施例を示す。各数値実施例においてiは物体側からの光学面の順序を示し、Riは第i番目の光学面(第i面)の曲率半径、Diは第i面と第i+1面との間の間隔、Niとνiはそれぞれd線に対する第i番目の光学部材の材質の屈折率、アッベ数を示す。また、もっとも像側の2つの面はフェースプレート等のガラス材である。またkを離心率、B,C,D、E・・・・を非球面係数、光軸からの高さhの位置での光軸方向の変位を面頂点を基準にしてxとするとき非球面形状は、
x=(h2/R)/[1+{1−(1+k)(h/R)21/2]+Bh4+Ch6 +Dh8+Eh10・・・
で表示される。但しRは曲率半径である。又、各数値実施例における上述した条件式との対応を表1に示す。
【0045】
【外1】
Figure 0003805212
【0046】
【外2】
Figure 0003805212
【0047】
【外3】
Figure 0003805212
【0048】
【表1】
Figure 0003805212
【0049】
次に本発明のズームレンズを撮影光学系として用いたレンズシャッター形式のデジタルカメラの実施形態を図13を用いて説明する。
【0050】
図13において、10はコンパクトカメラ本体、11は本発明のズームレンズによって構成された撮影光学系、12はカメラ本体に内蔵されたストロボ、13は外部式ファインダー、14はシャッターボタンである。
【0051】
このように本発明のズームレンズをレンズシャッターカメラ等の光学機器に適用することにより、小型で高い光学性能を有する光学機器を実現している。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、負の屈折力のレンズ群が先行するネガティブリード型のズームレンズにおいて、各レンズ群の屈折力やレンズの材質等を適切に設定することにより、レンズ系全体の簡素化を図りつつ、広画角で全変倍範囲にわたり高い光学性能を有したズームレンズ及びそれを用いた光学機器を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 数値実施例1のレンズ断面図
【図2】 数値実施例1の広角端の収差図
【図3】 数値実施例1の中間の収差図
【図4】 数値実施例1の望遠端の収差図
【図5】 数値実施例2のレンズ断面図
【図6】 数値実施例2の広角端の収差図
【図7】 数値実施例2の中間の収差図
【図8】 数値実施例2の望遠端の収差図
【図9】 数値実施例3のレンズ断面図
【図10】 数値実施例3の広角端の収差図
【図11】 数値実施例3の中間の収差図
【図12】 数値実施例3の望遠端の収差図
【図13】 本発明の光学機器の要部概略図
【符号の説明】
L1 第1群
L2 第2群
L3 第3群
L4 第4群
SP 絞り
IP 像面
G ガラスブロック
d d線
g g線
S サジタル像面
M メリディオナル像面

Claims (4)

  1. 物体側より順に、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、正の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群のみをレンズ群として有し、広角端に対して望遠端で前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が小さく、前記第3レンズ群と前記第4レンズ群の間隔が大きくなるように、且つ第2レンズ群と第3レンズ群の間隔が変化するように、少なくとも前記第2レンズ群と前記第3レンズ群を物体側へ移動させて変倍を行うズームレンズにおいて、前記第1レンズ群は、物体側より順に、負レンズ11、正レンズ12の2枚のレンズよりなり、前記第2レンズ群は少なくとも1枚の負レンズを有し、前記正レンズ12の材料のアッベ数をνd12、負レンズ11の材料の屈折率とアッベ数を各々Nd11、νd11とするとき、
    νd12 ≦ 18.9
    Nd11 > 1.7
    νd11 > 35
    の条件を満足することを特徴とするズームレンズ。
  2. 撮像素子上に像を形成することを特徴とする請求項1のズームレンズ。
  3. 請求項1又は2のズームレンズと、該ズームレンズによって形成される像を受光する撮像素子とを有することを特徴とする光学機器。
  4. 前記光学機器は、デジタルカメラであることを特徴とする請求項3の光学機器。
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