JP3804854B2 - 回転記録媒体駆動装置及びその製造方法 - Google Patents

回転記録媒体駆動装置及びその製造方法 Download PDF

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  • Permanent Magnet Type Synchronous Machine (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク駆動装置(HDD)などに搭載される、回転記録媒体を駆動する回転記録媒体駆動装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の磁気ディスク駆動装置90は、図7において、ステータ92に固着されているシャフト18に軸受16、17を介して回転自在に支持され、かつ回転駆動すべき磁気ディスク(図示せず)の中心穴が嵌合可能な径の外側面を有するロータ91を具備した構成を有する。
【0003】
すなわち、磁気ディスク装置(HDD)の清浄空間内に位置する磁気ディスク駆動装置90は、少なくとも1枚の固定磁気ディスクを実装可能なディスク装着面10を外周に有するハブ11を有している。
【0004】
また磁気ディスク駆動装置90は、マグネット12およびロータヨーク13とハブ11とを含んだロータ91と、ロータ91を駆動するためのコイル14およびステータコア15とを有するステータ92とを備えている。
【0005】
ボールベアリング16、17の外輪がハブ11に固定される一方、ボールベアリング16、17の内輪がシャフト18に圧入または接着により固定されており、ロータ91はボールベアリング16、17を介してシャフト18によって回転自在に支持されている。
【0006】
ステータ92は、その主構造たる、アルミダイカスト成形によるハウジング93を有している。
ハウジング93の、ロータ91に対向しシャフト18に垂直な面に形成された凸部の外周にはコイル14を巻回したステータコア15が配設され、またハウジング93の中央の貫通孔にはシャフト18が固定されている。
【0007】
上記のハウジング93は、アルミダイカストにて成形した後、ステータコア15の取付け部とシャフト18の取付け部が同心円状になる様切削加工にて仕上げていた。
【0008】
上記の切削加工を行うことでステータコア15とシャフト18との同芯度が向上し、磁気ディスク駆動装置90の高精度の回転性能が維持できる構成であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上記したハウジング93は、アルミダイカストにて成形した後、前記ステータコア15の取付け部とシャフト18の取付け部が同心円状になる様切削加工にて仕上げる構成としていた。
【0010】
しかし上記の構成では、アルミダイカスト成形部材をさらに切削加工する必要があるため、コストが高い上、切削加工表面にあるポ−ラス(鬆)の内部に切削加工に用いる切削油や、洗浄液が残り、これらの残渣が、磁気ディスク駆動装置をHDDに組み込んだ後にガスとなって蒸発し、切削油の成分であるハイドロカ−ボンがヘッドやディスクに吸着したりすることにより、ヘッドクラッシュ等の原因となる、という問題があった。
【0011】
また、切削油の中に添加剤として含まれるイオウが蒸発したり、塩素系の洗浄液に含まれる塩素が蒸発すると、ディスクの表面が腐食して、デ−タが消えてしまうと言う問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、特に、プレス加工で形成された平板状のハウジングを有する構成とすることにより、ステータのハウジングを切削加工する際の残渣や切削油などが蒸発してヘッドやディスクに付着することにより信頼性が低下する恐れがなく、信頼性の向上した回転記録媒体駆動装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、下記(1)〜(6)の構成を有する回転記録媒体駆動装置を提供する。
(1)シャフトと、このシャフトが固着されプレス加工により形成された平板状のハウジングを有するステータと、前記シャフトに回転自在に軸支されて回転記録媒体が装着されるロータと、を具備した回転記録媒体駆動装置において、
前記ステータは、前記ハウジングの前記ロータ側に配設されたステータコアを備え、前記ハウジングは、このハウジングの前記ロータ側にリング状に突出する凸部を形成するよう前記ロータ側の面とは反対側の面に設けられたリング状の凹部を有し、前記凸部の内周面に前記シャフトが固着されると共に前記凸部の外周面にステータコアが配設されて成ることを特徴とする回転記録媒体駆動装置である。
(2)シャフトと、このシャフトが固着されプレス加工により形成された平板状のハウジングを有するステータと、前記シャフトに回転自在に軸支されて回転記録媒体が装着されるロータと、を具備した回転記録媒体駆動装置において、
前記ステータは、このハウジングの前記ロータ側に配設されたステータコアを備え、前記ハウジングは、このハウジングの前記ロータ側の面とは反対側の面においてリング状の凹部を形成するよう前記ロータ側にリング状に突出して設けられた凸部を有し、この凸部の内周面に前記シャフトが固着されると共に前記凸部の外周面にステータコアが配設される一方、前記凹部内に固化した接着剤を備えて成ることを特徴とする回転記録媒体駆動装置である。
(3)前記接着剤は、この接着剤の比重よりも大きい比重の粒子が混入されて成ることを特徴とする(3)記載の回転記録媒体駆動装置である。
(4)前記シャフト及び前記ハウジングを鉄系の材料で形成してなることを特徴とする(1)乃至(3)いずれかに記載の回転記録媒体駆動装置である。
(5)シャフトと、このシャフトが固着されプレス加工により形成された平板状のハウジングを有するステータと、前記シャフトに回転自在に軸支されて回転記録媒体が装着されるロータと、を具備し、前記ハウジングが、その前記ロータ側の面とは反対側の面においてリング状の凹部を形成するよう前記ロータ側にリング状に突出して設けられた凸部を有してなる回転記録媒体駆動装置の製造方法において、
前記ハウジングの前記凸部の外周面にステータコアを配設するステップと、前記ハウジングの前記凸部の内周面に前記シャフトを固着するステップと、前記ハウジングの前記凹部内に接着剤を充填して固化するステップと、を有することを特徴とする回転記録媒体駆動装置の製造方法である。
(6)前記接着剤は、この接着剤の比重よりも大きい比重の粒子が混入されて成ることを特徴とする(5)記載の回転記録媒体駆動装置の製造方法である
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転記録媒体駆動装置の実施の形態につき、その好ましい第1〜第の実施例について説明する。
【0015】
本発明の第1の実施例である磁気ディスク駆動装置1は、図1に示すように、ハブ11とマグネット12とロータヨーク13とを含んだロータ3が、シャフト18とハウジング2とコイル14とステータコア15とを有するステータ4にボールベアリング16、17を介して回転自在に保持された構成を有する。前述したものと同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0016】
上記の構成によって、磁気ディスク駆動装置1は、ハウジング2をプレスにて一体に加工し切削加工をしていないこと、ハウジング2の略中央のロータ3に対向する面には、同芯の外周面51と内周面52とを有するリング状の凸部5が、プレス加工により形成されていることを特徴とする。
【0017】
前記したハウジング2の材質は、アルミ、ステンレス、鉄等の板材を用いている。前記したハウジング2の材質が鉄の場合には、プレス後ニッケルや亜鉛、クロム等でメッキを施してもよい。
【0018】
上記の構成とする事により、切削加工が不要であるため、安価なハウジングを提供することが出来る。
【0019】
また、前記したハウジング2には、上記に説明したハウジング93において存在した切削加工に伴うポーラス(鬆)が無いため、鬆の内部に切削油や、洗浄液が残り、これらの残渣が、蒸発してヘッドがディスクに吸着したり、ヘッドクラッシュやデ−タイレ−ズ等の問題を発生する事が無いため、この結果,極めて信頼性の高い磁気ディスク駆動装置を提供する効果を奏するものである。
【0020】
さらに上記の構成においては、ハウジング2の略中央のロータ3に対向する面には、同芯の外周面51と内周面52とを有するリング状の凸部5が、プレス加工により一体に形成されており、外周面51がステータコア15の嵌合固定部であり、内周面52がシャフト18の嵌合固定部である構成としている。
【0021】
ハウジング2をプレス加工する金型を高精度に製作することにより外周面51と内周面52との同芯度を高精度で維持することにより、ステータコア15とシャフト18との同芯度を高い精度で維持して生産することができるので、磁気ディスク駆動装置1の性能と生産性とを向上させる効果を奏する。
【0022】
また、ハブ11の上部におけるボールベアリング16上方には蓋6が取付けられ、蓋6の外周部とハブ11の内径部は接着剤によってシールされているため、空気流によりボ−ルベアリング16、17内のオイルが蒸発してヘッドやディスクに吸着したり、ヘッドクラッシュをおこす恐れが低減されている。(上下の方向は、図1に図示された磁気ディスク駆動装置1の姿勢を基準としている)
【0023】
次に、本発明の第2の実施例である磁気ディスク駆動装置101は、図2に示すように、上記に説明した本発明の第1の実施例の構成に加えて、ハウジング102に設けられたリング状凸部105の外周面に段部1051を有し、ステータコア15の内径部は、小径部と大径部とを備えており、ステータコア15の下端面が上記の段部1051の上面に当設した後に接着またはカシメにて固定する構成としている。
【0024】
また、下側ボールベアリング17の下方に位置し、ハブの内周に嵌合して固定された、SUS製のリング状部材であるベアリングシール106を有する構成としている。
【0025】
また、モータ出力軸側のボールベアリング16上面には蓋6が取付けられ、蓋6の外周部とハブ11の内径部は接着剤によってシールされているため、空気流によりボ−ルベアリング16、17内のオイルが蒸発してヘッドがディスクに吸着したり、ヘッドクラッシュをおこす恐れが少ないのは、上記の第1の実施例と同様である。
【0026】
さらに下側ボールベアリング17の下側端面には、シャフト18とのギャップを0.5mm以下にてシール部材であるベアリングシール106を取付けることにより、蒸発したオイルがディスク側に飛散することが効果的に防止される。
【0027】
上記のように上面に蓋6、下側にベアリングシ−ル106を設けることにより、非常に高いシ−ル効果を得ることが出来る。
【0028】
また従来の構成ではボ−ルベアリング16、17内に組み込まれたシ−ルには、シ−ル効果の高いラバ−シ−ルが用いられていたが、本実施例においては、上記のようにベアリングシール106を有する構成としたので、シ−ル効果はラバーシールより低いが安価なSUS製のシ−ルを用いてもオイル蒸発による発生ダストを極限することが出来る。
【0029】
磁気ディスク駆動装置においては、磁気ディスク実装時の共振周波数が、ボ−ルベアリング16、17の持つ固有の振動成分とオ−バ−ラップ(重複)しないように構成することが重要である。
【0030】
通常オ−バ−ラップした場合は、シャフト18のスパン(ボールベアリング16、17同士の距離)やボ−ルベアリング16、17の玉数を設計上調整して構成する場合が多かった。
【0031】
本実施例の場合、ステータコア15の内径部は、小径部と大径部とを有し、前記ハウジング102のリング状凸部105外周に装着され、接着またはカシメにて固定する構成としている。
【0032】
従ってハブ11の下面に露出した構造に接触することなく、ステータコア15の大径部を有する部分の高さを増大させることが出来るので、ステータコア15を構成する板材の枚数を増減するのと同時に、リング状凸部105のハウジング102底面からの高さを増減し、限られたスペースの中でモータに必要な最適出力が得られる設計形状とすることが出来、設計上の自由度が増す効果がある。
【0033】
また、上記第1および第2の実施例において、ハウジング2、102に設けられたリング状凸部5、105は、ハウジング2、102を底面から見るとリング状の凹部をなしており、この凹部に組み立て冶具(不図示)を嵌合させるなどして組立て時のモ−タ保持用に用いることが可能である。
【0034】
従って上記の形状にすることにより、モ−タの保持が容易になり、モ−タの組立てや、磁気ディスク型記憶装置(HDD)の組立てを容易にするものである。
【0035】
さて次に、前述した磁気ディスクモータ(スピンドルモータ)301を、図3乃至図6を用いて説明する。
【0036】
図3は磁気ディスクモータ(磁気ディスク駆動用モータ)301の側方より見た断面図である。
【0037】
図3において、磁気ディスク駆動用モータ301の概略は、ステータ部300と、ステータ部300に回転自在に配設したロータ部200とから構成される。
【0038】
ステータ部300は、軸(シャフト)203を固定したベース(ハウジング、モータベース)201と、ベース201の中央付近に配設されたステータコア202とを有している。
ベース201は、圧延鋼板をプレス加工にて一体形に成型し、防錆の為にたとえば、ニッケルメッキを表面に施している。
【0039】
また、防錆処理を施さなくても(防錆処理層を設けなくても)良い様にアルミの板材から一体成型してベース201を構成しても良い。
ステータコア202は、複数の突極を有し(図示せず)その各突極には駆動コイル204が巻かれている。
【0040】
ロータ部200は、上記した軸203に一対のベアリング204−1、204−2を介して配設されたハブ205等から構成され、ステータ部300によって回転自在に支持されている。
ハブ205は、磁気ディスク(図示せず)を支持固定するための円筒部205−1とフランジ部205−2とを有している。
【0041】
一対のベアリング204−1、204−2を挟んでステータ側の反対側にあるハブ205の端面は、カバー209で封止がなされている。
ハブ205のフランジ部205−2の下部(上下の方向は図3図示姿勢を基準とする)に円筒状のロータヨーク206とマグネット207とが固定されている。
【0042】
ステータコア202の突極部と、ハブ205に配設されたマグネット207とは、一定のギャップを介して径方向に対向している。
したがって、ステータコア202に巻かれた駆動コイル204の通電切り替え制御を行うことにより、駆動コイル204が生成する回転磁界に応じてハブ205の回転を制御することができる。
また本モータ301は、ステータコア202に巻かれた駆動コイル204を外部駆動回路(図示せず)に接続するプリント基板208を有する。
【0043】
以上の構成を有するスピンドルモータ301は、従来構成のモータとは異なり、ベース(ハウジング)201を圧延鋼板またはアルミの板材を使用しプレス加工により形成して構成している為、従来用いられたアルミダイキャスト製ベースに見られるような「す」(鬆、ポーラス)の発生は無い、という特徴を有する。
【0044】
従ってアルミダイキャストによりベースを構成していた従来のスピンドルモータ(図7を用いて先に説明した構成は、その一例である)が有する以下のような問題を解消する効果を発揮する。
即ち、既に説明した点も含めて従来のスピンドルモータの有する問題を説明すると、まず従来はベース(図7におけるハウジング93)がアルミダイキャストにより成型されているため、成型時に発生するガスがベース93の素材の内部に留まり、「す」が発生し易い構成であった。
【0045】
さらに、成形後のベース93に対し切削加工を施す必要がある為、切削時に使用する切削油及びその切削油を洗浄する時の洗浄液等が、ベース93の素材内部の「す」に残渣として残る場合がある。
「す」に残された成型時のガス、切削油及び洗浄液等の残渣は、磁気ディスク駆動用モータ(図7における磁気ディスク駆動装置90)が磁気ディスク装置(不図示、ハードディスクドライブ装置、HDD)に組み込まれた後に、磁気ディスク装置内部の温度上昇及び時間ともに徐々にアウトガスとしてベース93外部に漏出し、ハブ(図1 11)に取り付けられた磁気ディスクの表面を腐食させるといった信頼性上の問題を引き起こす恐れがあった。
【0046】
それに対し上記のスピンドルモータ301は、前述のようにベース201を圧延鋼板またはアルミの板材を使用してプレス加工により形成している為、アルミダイキャストに見られるような「す」の発生は無く、さらに切削加工を必要としない為、ベースから発生するアウトガスが殆ど無いので、磁気ディスク表面を腐食させて磁気ディスク装置の信頼性を低下させる等の問題を発生させることが無く、磁気ディスク装置の信頼性を向上させる効果を奏する。
【0047】
ここで本発明人が行なった、本実施例モータ301と従来構成のモータとの、ベースの清浄度に関する比較測定の結果を、図4を用いて説明する。
【0048】
図4図示中の「(a) イオン残滓(純水抽出)」は、部品として完成しモータに組み込む前のベース単品のイオン残滓を純水で抽出し、各成分の量を計測して比較したグラフである。
図示の如く、圧延鋼板を使用してプレス加工により形成した本実施例のモータ301のベース201(図4では「本発明モータ」と記す)は、アルミダイキャストで形成した従来のモータのベース(図4では「従来モータ」と記す)に対して残滓が各成分ともごく少ない量に極限されていることが明らかである。
【0049】
同様にして図4図示中の「(b) アウトガス量(85℃抽出)」は、本実施例モータと従来モータとのベース単品における摂氏温度85度環境下でのアウトガス量を比較したグラフであり、図示の如く従来よりも本実施例の方が、アウトガス量が圧倒的に少ない量に極限されていることが明らかである。
【0050】
また、本実施例のモータ301において、ベース201を圧延鋼板などの鉄系金属板材をプレス加工して形成した構成とすると、ステンレス等の鉄材で構成された軸203とベース201との線膨張係数がほぼ同一となるので、高温環境下におけるベース201と軸203との結合強度が大きな低下を来すことが無いため高温時のモータ共振周波数のシフト量が少ない、という新たな効果が発揮される。
【0051】
上記の、高温時のモータ共振周波数のシフト量が少ない、という効果について、本発明人が測定した結果を図5を用いて説明する。
図5は環境温度を変化させたときの共振周波数の変化を、鉄系金属をプレス加工してベース201を形成した本実施例のモータ(図5では×を用いてプロットしている)と、アルミダイキャスト製ベースを用いた従来技術のモータ(図5では○を用いてプロットしている)について測定し比較したグラフである。
図示の如く、従来の構成に比して本実施例のモータは環境温度変化時の共振周波数の変化が小さいことが明らかである。
【0052】
さらにスピンドルモータ301において、圧延鋼板のような磁性材でもある板材をプレス加工してベース201を形成してステータコア202の内周に位置させて構成した場合、ベース201が磁気回路の一部をなす構成となる為、従来構成の同じ大きさのモータと比較してモータの駆動トルクを向上させる、という更に新たな効果を奏する。
【0053】
上記の、モータの駆動トルクを向上させる効果を図6を用いて説明する。
図6は、磁性材プレス加工によるベース201を使用した本実施例モータ(図6中「本発明モータ」と記す)と、同じ大きさながらアルミダイキャスト製のベースを有する従来構成のモータ(図6中「従来モータ」と記す)とのトルク定数を計測、比較したグラフであり、本実施例モータの駆動トルクが向上していることが明らかである。
【0054】
以上詳細に説明したように、本発明においては、回転記録媒体駆動装置のステータは、プレス加工で形成された平板状のハウジング(ベース)を有する構成としたので、従来技術のハウジングにおいて存在した切削加工に伴うポーラス(鬆)が無く、またハウジングを形成するにあたって切削油や洗浄液を用いる必要が無いので、これらの残渣が蒸発してヘッドがディスクに吸着したり、ヘッドクラッシュやデ−タイレ−ズ等の問題を発生する恐れが無いため、極めて信頼性の高い回転記録媒体駆動装置を提供する効果を奏するものである。
【0055】
更に上記の構成としたことにより、従来構成のアルミダイキャスト製ハウジングに含まれていた「す」(鬆)が、プレス加工製のハウジング中に生じることはなく、この事からも上記の効果が確実に発揮される。
【0056】
さらに上記の構成としたので、ハウジングをプレス加工する金型を高精度に製作することによりハウジングが有するリング状凸部の外周面と内周面との同芯度を高精度で維持することで、ステータコイルとシャフトとの同芯度を高い精度で維持して生産することができるので、回転記録媒体駆動装置の性能と生産性とを向上させ、またコストを低減する効果を奏する。
【0057】
またハウジングをプレス加工により形成する構成としたので、ハウジングの材質を鉄系材料としたり、あるいは磁性材とすることが容易となる。
鉄系材料を用いれば、シャフトをステンレス等同じ鉄系材料で構成したモータにおいてはシャフトとハウジングとの線膨張係数がほぼ同一となり、モータの共振周波数の温度に応じた変化が減少する効果を奏する。
あるいは磁性材を用いれば、ハウジングも含めた磁気回路を構成することができ、モータの駆動トルクを向上させることができる。
【0058】
更に、上記の構成に加えてプレス加工により形成したハウジングの表面に防錆処理層を形成することにより、様々な環境条件下であってもハウジングに錆が発生することはなく、回転記録媒体駆動装置、回転記録媒体駆動装置を搭載する磁気ディスク装置等の信頼性を更に向上させることが可能となる。
【0059】
また上記の説明では、磁気ディスクを駆動する磁気ディスク駆動装置における実施について説明したが、その他の光磁気記録ディスクなどの回転記録媒体の駆動装置においても本発明は同様に実施が可能であり、本発明に含まれるものである。
【0060】
次に、本発明の実施の形態を適用した適用例を、図8〜図10を用いて説明する。
図8は本適用例の磁気ディスク駆動装置500の断面図である。
【0061】
図8において、本適用例の磁気ディスク駆動装置500の構成の概略は、ステータ部600と、このステータ部600に回転自在に取り付けたロータ部700とから構成される。
【0062】
ステータ部600は、ステータコアー502と軸503とを固定したベース501とから構成される。
ベース501は、圧延鋼板にて一体形に成型し、防錆の為にニッケルメッキを表面に施している。
ステータコアー502は、複数の突極(図示せず)を有し、その各突極には駆動コイル504が巻かれている。
【0063】
ロータ部700は、上記した軸502に一対のベアリング504−1、504−2を介してハブ505が固定され、回転自在に支持されている。
ハブ505は、磁気ディスク(図示せず)を支持固定するための円筒部505−1とフランジ部505−2とを有している。
【0064】
上記した一対のベアリング504−1、504−2に対し、反ステータ側に位置するハブ505の端面側は、カバー509で封止がなされている。
また、ハブ505のフランジ部505−2の下部に、円筒状のロータヨーク506とマグネット507とが固定されている。
ステータコア502の突極部とマグネット507とは、一定のギャップを介して径方向に対向している。
【0065】
適用例の磁気ディスク駆動装置500は、上記のように構成され、ステータコア502に巻かれた駆動コイル504の通電切り替えにより、前記ハブ505の回転を制御する機能を有している。
なお、図8に示すように、磁気ディスク駆動装置500にはステータコア502に巻かれた駆動コイル504を外部駆動回路(図示せず)に接続するプリント基板508が付属している。
【0066】
次に、図8及び図8の要部拡大図である図9を用いて、本適用例の磁気ディスク駆動装置500における特徴的な構成を、より詳細に説明する。
【0067】
図8及び図9図示のように、ベース501における軸嵌合部501−1には、内周面に幅0.1〜2mm、深さ0.01〜0.1mm程度の環状の凹溝501−2を設けており、この凹溝501−2は、シャフト503をベース501に固定する際に用いる接着剤の溜まりの機能を有する。
【0068】
さらに軸嵌合部501−1のロータ側端面を、R形状(R0.3〜R1.5)501−3にしており、シャフト503とベース501との間に挟まれる、上記R形状が形成する空間を、同様にシャフト503をベース501に固定する際に用いる接着剤溜まりとしている。
【0069】
また、図9に詳細に示すように、ベース501の軸嵌合部501−1の形状において、板材の肉厚t1と、バーリング加工により、もとの板材より薄く加工された後の軸嵌合部の肉厚寸法t2と、シャフト503と嵌合する軸方向の嵌合長であるバーリング長さLとの関係を、0.5t1≦t2またはL≦2t1 …(式1)として構成している。
【0070】
上記の式1を満足する構成とすることにより、磁気ディスク駆動装置500において機械的剛性に応じて決まる共振周波数が最適な値に設定される。この効果を図11、図12を用いて具体的に説明する。
【0071】
適用例の構成がもたらす効果を説明するに先立ち、本適用例を含む磁気ディスク駆動装置において、共振周波数(共振点)を特定の範囲内に限定して設定する意義、必要性について説明する。
他の種種の機械的構成と同様に、磁気ディスク駆動装置では、機械的寸法、材料の特性、部品相互の組み立て構造等で決まる、固有の共振周波数を有している。
共振周波数とは、外部から振動が加えられ、共振が発生する時の振動の周波数であり、共振点とも言う。
この共振周波数は、個体差をもってさまざまな値にバラツキを持つ場合、次に示すような問題点が発生する。
【0072】
共振周波数のバラツキにより生じる第1の問題点は、共振周波数が磁気ディスク駆動装置に含まれる動作部品の固有の振動数と一致することで、振動が発生しディスクにおける情報の書き込み、読み出し時のエラーが生じる点である。
磁気ディスク駆動装置に含まれる動作部品、例えばボールべアリングは、その回転周波数により決まる固有の振動数(周波数)を有する。ボールベアリングの固有振動数が磁気ディスク駆動装置の共振周波数に一致したとすると、磁気ディスク駆動装置の動作時に共振による大なる振動が発生し、データエラーが発生する恐れが有った。
【0073】
更に、共振周波数のバラツキにより生じる第2の問題点は、共振周波数が磁気ディスク駆動装置へ外部から加わる振動と一致すると、振動が増幅され磁気ディスク駆動装置の破壊が起こる恐れがある点である。
磁気ディスク駆動装置を組み込んだ、例えばハードディスクドライブ装置は、屋内に固定的に設置されて用いられるばかりではなく、モバイル機器(携行、携帯可能な小型機器)に組み込まれたり、あるいは車載用機器に組み込まれるなど、用途が広がりつつある。
従って磁気ディスク駆動装置は、外部から所定範囲の周波数を有する振動が加わっても破壊されること無く機能、性能を維持すべき、対振動信頼性性能を満足することが求められている。
対振動信頼性性能として特に求められる振動の周波数条件としては、前述のように携行時や車載時の振動を想定し、所定の周波数より低周波側の、広い周波数範囲として設定されることが一般的である。
【0074】
上記にあげた2つの問題点に対して、従来技術に係る構成の磁気ディスク駆動装置では、個体差により共振周波数がバラツキを有する構成であり、特に低周波側にバラツキを有した場合には、ボールベアリングの固有振動数や、外部から加わる振動により共振現象が起こり、データエラーや機器の破壊が発生する恐れがあった。
【0075】
適用例では、上記の問題点を解決するために、磁気ディスク駆動装置の共振周波数の個体差によるバラツキを低減し、特に低域側にバラツキが無いよう、機械的剛性を向上させて、所定値以上の共振周波数を有するように構成したものである。
【0076】
再び本適用例の構成に戻り説明を続けると、図11は、本適用例の磁気ディスク駆動装置500において、ベース501の軸嵌合部を除く板材の肉厚t1と、ベース501におけるシャフト503と嵌合する軸方向の嵌合長であるバーリング長さL(横軸に示す)とを変化させたときの回転駆動時の共振周波数の変化(縦軸に示す)を示す特性グラフである。ベース501の板材の肉厚t1は、1.0mm及び1.2mmの場合を示している。
【0077】
図11に明らかなように、
L≦2t1…(式2)
とした領域では共振周波数は高域で飽和し、安定している。すなわち磁気ディスク駆動装置500の低周波域における共振を低減させている。
このように共振周波数を高域で安定させることにより、磁気ディスク駆動装置500に含まれるボールベアリング504−1、504−2等の構成が有する固有の振動数に対して、磁気ディスク駆動装置500の共振周波数(共振点)を離れた値に設定でき、磁気ディスク駆動装置500の回転駆動時の不要、有害な共振を防止でき、磁気ディスクのデータ記録や読み取り時のエラーを防止することが出来るとともに、磁気ディスク駆動装置500に対し外部から加わることが想定される周波数の振動に対しても共振現象が発生せず、破壊等の不具合が発生する恐れが無い。
【0078】
また、図12は、同様に本適用例の磁気ディスク駆動装置500において、ベース501の軸嵌合部を除く板材の肉厚t1と、ベース501におけるバーリング加工により元の板材より薄く加工された後の軸嵌合部の肉厚寸法t2(横軸に示す)とを変化させたときの磁気ディスク駆動装置500の共振周波数の変化(縦軸に示す)を示す特性グラフである。ベース501の板材の肉厚t1は、1.0mm及び1.2mmの場合を示している。
【0079】
図12に明らかなように、
0.5t1≦t2…(式3)
とした領域では共振周波数は高域で安定して高止まりしている。すなわち磁気ディスク駆動装置500の低周波域における共振を低減させている。
このように共振周波数を高域で安定させることにより、上記と同様に、磁気ディスク駆動装置500に含まれるボールベアリング504−1、504−2等の構成が有する固有の振動数に対して、磁気ディスク駆動装置500の共振周波数(共振点)を離れた値に設定でき、磁気ディスク駆動装置500の回転駆動時の不要、有害な共振を防止でき、磁気ディスクのデータ記録や読み取り時のエラーを防止することが出来るとともに、磁気ディスク駆動装置500に対し外部から加わることが想定される周波数の振動に対しても共振現象が発生せず、破壊等の不具合が発生する恐れが無い。
【0080】
なお、本適用例では0.5t1≦t2かつL≦2t1(式4)として構成することで、上記に説明した効果が相乗され、より確実に磁気ディスク駆動装置500の回転駆動時の不要、有害な共振を防止でき、磁気ディスクのデータ記録や読み取り時のエラーを防止することが出来る。
一方、上記の式2、又は式3のいずれかを満足するよう構成した場合でも、上記の説明及び図11、図12の特性から明らかな如く、上記した効果を発揮することが可能である。
【0081】
また、先に図7を用いて説明した従来技術に係る磁気ディスク駆動装置90では、ハウジング(本適用例のベース501に相当)93は、アルミダイカストにより形成されていたので、ハウジング93の特定個所を切削加工するなどして寸法形状を変え、磁気ディスク駆動装置90の共振周波数を変えて最適値に設定することは可能であった。
しかし、第1の実施例として図1〜図3を用いて説明した磁気ディスク駆動装置1、101、301ではベース2、102、201は板金材料をプレス成形して形成しているので、従来のように切削加工を用いて共振周波数を設定することは容易ではない、という問題があった。
適用例の磁気ディスク駆動装置500は上記の問題を解決する効果を有するものである。
【0082】
また、上記したように本適用例では、ベース501の軸嵌合部501−1の内周面に幅0.1〜2mm、深さ0.01〜0.1程度の凹溝501−2を設けた事により、凹溝部501−2に接着剤が充填され、シャフト503とベース501との嵌合強度が向上し、磁気ディスク駆動装置500の機械的剛性が、高まる。
図13は、上記の嵌合強度が向上を示す図であって、凹溝501−2が有る場合と無い場合とで、ベース501に嵌合し接着固定したシャフト503の抜去力を比較したグラフである。
【0083】
図13から明らかなように、凹溝501−2を設けることによって嵌合強度が向上する。凹溝501−2を設けない構成とした場合、嵌合強度が低下する理由は、ベース501の軸嵌合部501−1の内径の寸法制度を高めるため、ベース501を形成するプレス成形の最終工程で軸嵌合部501−1の内径をサイジング等の工程により仕上げを行っており、その結果軸嵌合部501−1の内径の表面粗さが1S以下に仕上がっており、表面の凹凸が少なく接着強度が不足するからである。
【0084】
適用例では上記のように構成したので、シャフト503の嵌合強度が向上し、磁気ディスク駆動装置500の機械的剛性が高まる。
機械的な剛性が高まることにより、例えば高温あるいは低温環境下においても磁気ディスク駆動装置500の共振周波数が低下するなど大きく変化し、上記したようなデータエラーや共振による破壊が起こる、といった不具合が防止される効果も有る。
【0085】
また凹溝501−2を軸嵌合部501−1内周面に形成するに当たっては、プレス成形によりベース501の平面形状を形成する際に、その後軸嵌合部501−1内周面となるべき板材上の位置にあらかじめ凹溝501−2を形成しておく。
その後バーリング加工(圧延により円筒状の形状を形成する加工方法)により軸嵌合部501−1内周面を形成することにより、軸嵌合部501−1内周面におのずと凹溝501−2が形成される方法によってもよい。
【0086】
次に、本発明の実施の形態に係る第の実施例を、図14〜図15を用いて説
明する。
【0087】
図14は、本実施例の磁気ディスク駆動装置800の断面図である。
図14において、磁気ディスク駆動装置800の概略の構成は、ステータ部900とこのステータ部900に回転自在に取り付けたロータ部1000とから構成されている。
【0088】
ステータ部900は、ステータコアー802とシャフト803を固定したベース801とを有している。
ベース801は、圧延鋼板にて一体形に成型し、防錆の為にニッケルメッキを施している。また、防錆処理を施さなくても良い様にアルミの板材から一体成型してベースを構成しても良い。
【0089】
ステータコアー802は、複数の突極(図示せず)を有し、各突極には駆動コイル804が巻かれている。
ロータ部1000は、上記したシャフト803に一対のベアリング804−1、804−2を介してハブ805が固定され、ステータ部900により回転自在に支持されている。
【0090】
ハブ805は、磁気ディスク(図示せず)を支持固定するための円筒部805−1とフランジ部805−2とを有している。
一対のベアリング804−1、804−2の反ステータ側の端面側のハブ805の部位は、カバー809で封止されている。
【0091】
また、ハブ805のフランジ部805−2の下部に円筒状のロータヨーク806とマグネット807とが固定されている。
ステータコア802の突極部とマグネット807とは、一定のギャップを介して径方向に対向している。
本実施例の磁気ディスク駆動装置800は上記のように構成したので、ステータコア802に巻かれた駆動コイル804の通電切り替えにより、前記ハブ805の回転を制御することができる。
なお、図14中には、ステータコア802に巻かれた駆動コイル804を外部駆動回路(図示せず)に接続するプリント基板808を図示している。
【0092】
次に、本実施例の特徴的な構成を説明するに先立ち、本実施例の磁気ディスク駆動装置800が特に解決しようとしている問題点を説明する。
【0093】
磁気ディスク駆動装置においては一般に共振周波数(共振点)が存在し、それが個体差をもってばらついたり、特に低域側にバラツキを持った場合には種種の不具合が発生することは先に第3実施例において説明した通りである。
【0094】
また、図14において、ベース801は、圧延鋼板にて一体形に成型して構成されているので、圧延鋼板の原反のばらつきにより、磁気ディスク駆動装置の剛性、すなわち共振周波数がロットごとの変動してしまう恐れが従来はあった。
【0095】
またベース801は、上記した様に金属板にて一体成型されている為、ステータ802を支持する絞り部801−2と、シャフト803を指示する絞り部801−3とを持っており、従ってベース801の反ロータ側面には、凹部801−4が形成されている。
【0096】
本実施例の磁気ディスク駆動装置800では、この凹部801−4に、たとえばエポキシ樹脂系の接着剤810を充填し、この接着剤810の充填量を増減させて管理する事により、磁気ディスク駆動装置800の機械的剛性のコントロールが可能とし、このことにより磁気ディスク駆動装置800の共振周波数を所望の値に調整し、設定を行う構成としている。
すなわち、ステータ(図14)900に固着されているシャフト803に軸受804−1、804−2を介して回転自在に支持され、かつ回転駆動すべき回転媒体(磁気ディスク)の中心穴が嵌合可能な径の外側面を有するロータ1000を具備し、前記ステータ900は、プレス加工で形成された平板状のハウジング(ベース、モータベース)801と、前記ハウジング801の中心付近に配設したステータコア802とを備え、前記ハウジング801は、前記ロータ1000側に突出形成され、かつその内周面には前記シャフト803が嵌合固定され、その外周面には前記ステータコア802が配設されるリング状凸部を具備する回転媒体駆動装置(磁気ディスク駆動装置、モータ)800における、前記回転媒体駆動装置800に対し振動が加えられた時に共振が発生する前記振動の周波数である共振周波数(共振点)の調整方法において、前記共振周波数が所定値となるよう、前記ハウジング801の前記リング状凸部の内部801−4に前記所定値に応じた重量の接着剤(エポキシ系接着剤)810を充填して固化するステップを有することを特徴とする回転記録媒体駆動装置800の共振周波数の調整方法としている。
【0097】
さらに、接着剤810の中にガラス粉末または、金属粉末のような、比重が接着剤810より大きい粒子を混入した接着剤を使用し、さらに剛性を向上させる構成としてもよい。
【0098】
また、この凹部801−4は、磁気ディスク駆動装置800において外部に面する外面に設けられているので、塗布後の接着剤810から漏出するガス等により、磁気ディスク駆動装置800に装着されている磁気ディスク表面に被膜が生じてデータエラーが発生する等の問題も防止できる。
【0099】
図15は、本実施例の磁気ディスク駆動装置800において、凹部801−4に充填する接着剤810の重量(横軸)を変化させたときの、磁気ディスク駆動装置800の共振周波数(縦軸)の変化特性を示すグラフである。
また接着剤810は、混入物が無い場合(「エポキシ系接着剤」と記載)と、ガラス粉末を重量比で10%混入した場合とを示してある。
【0100】
図15から明らかなように、充填する接着剤810の量を増すことにより共振周波数は、より高域へと遷移しており、共振周波数の所望値への調整、設定が可能となっている。すなわち本実施例の構成によれば、磁気ディスク駆動装置800の低周波域における共振が低減される。
また比重がより大きい粒子を接着剤810に混入することにより、共振周波数の高域への遷移がより大幅となっている。
【0101】
本実施例の磁気ディスク駆動装置800、及び磁気ディスク駆動装置の共振周波数の調整方法によれば、金属板原反の厚みバラツキ等により、完成した磁気ディスク駆動装置800の共振周波数にバラツキが生じた場合でも、磁気ディスク駆動装置800の個体毎、あるいはロット毎に充填量を管理しつつ接着剤810をベース801の凹部801−4に充填することにより、共振周波数を不具合の生じない範囲内に調整、設定することが出来、データエラーや破壊等、共振に伴う不具合を防止することが出来る。
【0102】
更に、磁気ディスクを1枚載置したり、あるいは2枚載置したりというように複数の異なる機種に対して、同一の寸法形状を有するベースを共通部品として使用しつつ、異なる機種にあわせて異なる充填量の接着剤を充填する等の対応を行うことにより、従来は機種毎にことなる形状寸法のベースを別途生産していたのに対し、部品を共通化し、磁気ディスク駆動装置800の生産の合理化、コスト削減を可能とする効果も発揮される。
【0103】
【発明の効果】
明によれば、例えばアルミダイキャストを切削加工したハウジングを用いずにプレス加工で形成された平板状のハウジングであるから、このハウジングにはポーラス(鬆)は形成時に発生することはなく、また切削油や洗浄液を当然に用いないので、この結果,切削加工して作成する従来のハウジングのように、この切削油や洗浄液等の残渣が装置内で蒸発してヘッドやディスクに不要に吸着してこれによってヘッドクラッシュやデ−タイレ−ズ等の問題が発生することを未然に確実に防止することができ、極めて信頼性の高い回転記録媒体駆動装置を提供することができる。
また、前記したハウジングは金型を使用したプレス加工によりリング状凸部を形成しているから、リング状凸部の外周面と内周面との同芯度を高精度で維持でき、これによってステータコイルとシャフトとの同芯度を高い精度で維持することができるから、これを用いた回転記録媒体駆動装置の回転ムラを極めて確実に低減することができる。
更に、前述したハウジングは、金型を使ったプレス加工で形成しているものであるから、従来のもののようにアルミダイキャストを切削加工することによって形成されるハウジングと比較して、生産性を向上させることができるとともに、コストを大幅に低減することができる
さらに、ハウジングのリング状凸部の内部に接着剤を充填し固化させて、回転媒体駆動装置の低周波域における共振を低減する構成としたので、データのリード、ライトエラーや回転記録媒体駆動装置の共振による破壊を防止することが出来るとともに、部品を共通化して回転記録媒体駆動装置の生産の合理化、コスト削減を可能とする顕著な効果を発揮するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施例である磁気ディスク駆動装置の断面図である。
【図2】本発明に係る第2の実施例である磁気ディスク駆動装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施例である磁気ディスクモータの断面図である。
【図4】図3のモータと従来構成のモータにおける、ベース清浄度を比較したグラフである。
【図5】図3のモータと従来構成のモータにおける、共振周波数温度特性を比較したグラフである。
【図6】図3のモータと従来構成のモータにおける、トルク定数を比較したグラフである。
【図7】従来の磁気ディスク駆動装置の断面図である。
【図8】本発明の適用例である磁気ディスク駆動装置
の断面図である。
【図9】図8の要部拡大図である。
【図10】図8の要部拡大図である。
【図11】図8の磁気ディスク駆動装置における共振周波数の変化を示す特性図である。
【図12】図8の磁気ディスク駆動装置における共振周波数の変化を示す特性図である。
【図13】図8の磁気ディスク駆動装置におけるシャフトの接着強度を示す特性図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る第の実施例である磁気ディスク駆動装置の断面図である。
【図15】図14の磁気ディスク駆動装置における共振周波数の変化を示す特性図である。
【符号の説明】
1 磁気ディスク駆動装置(回転記録媒体駆動装置)
2 ベース、モータベース(ハウジング)
3 ロータ
4 ステータ
5 リング状凸部
10 ハブ外側面(ロータ外側面)
14 コイル
15 ステータコア
16 ボールベアリング(軸受)
17 ボールベアリング(軸受)
18 シャフト(軸)
51 リング状凸部外周面
52 リング状凸部内周面
101 スピンドルモータ、磁気ディスク駆動用モータ(回転記録媒体駆動装置)
102 ベース、モータベース(ハウジング)
103 ロータ
104 ステータ
105 リング状凸部
200 ロータ
201 ベース、モータベース(ハウジング)
202 ステータコア
203 軸(シャフト)
204 コイル
204−1、204−2 ベアリング(軸受)
205−1 ハブ外側面(ロータ外側面)
300 ステータ
301 スピンドルモータ、磁気ディスク駆動用モータ(回転記録媒体駆動装置)
500 磁気ディスク駆動装置、モータ(回転記録媒体駆動装置)
501 ベース、モータベース(ハウジング)
501−1 軸嵌合部(リング状凸部の内周面)
501−2 凹溝(環状の溝)
502 ステータコア
503 シャフト
504−1、504−2 ボールベアリング(軸受)
505−1 ロータの外側面
600 ステータ
700 ロータ
800 磁気ディスク駆動装置、モータ(回転記録媒体駆動装置)
801 ベース、モータベース(ハウジング)
801−4 リング状凸部の内部
802 ステータコア
803 シャフト
804−1、804−2 ボールベアリング(軸受)
810 エポキシ系接着剤(接着剤)
900 ステータ
1000 ロータ

Claims (6)

  1. シャフトと、
    このシャフトが固着されプレス加工により形成された平板状のハウジングを有するステータと、
    前記シャフトに回転自在に軸支されて回転記録媒体が装着されるロータと、を具備した回転記録媒体駆動装置において、
    前記ステータは、
    前記ハウジングの前記ロータ側に配設されたステータコアを備え、
    前記ハウジングは、
    このハウジングの前記ロータ側にリング状に突出する凸部を形成するよう前記ロータ側の面とは反対側の面に設けられたリング状の凹部を有し、前記凸部の内周面に前記シャフトが固着されると共に前記凸部の外周面にステータコアが配設されて成ることを特徴とする回転記録媒体駆動装置。
  2. シャフトと、
    このシャフトが固着されプレス加工により形成された平板状のハウジングを有するステータと、
    前記シャフトに回転自在に軸支されて回転記録媒体が装着されるロータと、を具備した回転記録媒体駆動装置において、
    前記ステータは、
    このハウジングの前記ロータ側に配設されたステータコアを備え、
    前記ハウジングは、
    このハウジングの前記ロータ側の面とは反対側の面においてリング状の凹部を形成するよう前記ロータ側にリング状に突出して設けられた凸部を有し、
    この凸部の内周面に前記シャフトが固着されると共に前記凸部の外周面にステータコアが配設される一方、
    前記凹部内に固化した接着剤を備えて成ることを特徴とする回転記録媒体駆動装置。
  3. 前記接着剤は、この接着剤の比重よりも大きい比重の粒子が混入されて成ることを特徴とする請求項2記載の回転記録媒体駆動装置。
  4. 前記シャフト及び前記ハウジングを鉄系の材料で形成してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の回転記録媒体駆動装置。
  5. シャフトと、このシャフトが固着されプレス加工により形成された平板状のハウジングを有するステータと、前記シャフトに回転自在に軸支されて回転記録媒体が装着されるロータと、を具備し、
    前記ハウジングが、その前記ロータ側の面とは反対側の面においてリング状の凹部を形成するよう前記ロータ側にリング状に突出して設けられた凸部を有してなる回転記録媒体駆動装置の製造方法において、
    前記ハウジングの前記凸部の外周面にステータコアを配設するステップと、
    前記ハウジングの前記凸部の内周面に前記シャフトを固着するステップと、
    前記ハウジングの前記凹部内に接着剤を充填して固化するステップと、を有することを特徴とする回転記録媒体駆動装置の製造方法。
  6. 前記接着剤は、この接着剤の比重よりも大きい比重の粒子が混入されて成ることを特徴とする請求項5記載の回転記録媒体駆動装置の製造方法
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