JP3803487B2 - 基板冷却装置および基板冷却方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板およびプラズマディスプレイパネル(PDP)用ガラス基板などの各種被処理基板に対して、冷却処理を行うための基板冷却装置および基板冷却方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置の製造工程では、フォトリソグラフィ工程により、ガラス基板の表面に種々の薄膜が繰り返しパターン形成される。フォトリソグラフィ工程では、基板のレジスト膜を露光機によって露光し、この露光後のレジスト膜を現像することによって、所要のパターンのレジスト膜が基板上に形成される。
【0003】
露光機における露光精度を高めるためには、露光処理前の基板温度を厳密に管理して、基板の熱伸縮による露光位置や露光焦点のずれを最小化しなければならない。そのため、露光機に搬入される前の基板は、クーリングプレートと呼ばれる基板冷却体を有する基板冷却装置に搬入され、たとえば、23℃(常温)に冷却される。
【0004】
基板冷却装置には、従来から、クーリングプレートの表面に基板を真空吸着させることにより、熱伝導によって基板からの熱を奪う吸着式のものが広く用いられてきた。しかし、取り扱われる基板が大型化し、かつ、基板表面に形成される素子構造が微細化してきた今日では、基板を吸着式のクーリングプレートから剥離するときに生じる剥離帯電による静電破壊の問題が顕著になってきている。また、この剥離帯電によって発生する静電気が基板搬送用のロボットに流れ込み、基板の搬送が停止してしまうなどの周辺機器への悪影響もあった。そのため、いわゆるプロキシミティ式の基板冷却装置が好まれるようになってきている。
【0005】
プロキシミティ式の基板冷却装置では、クーリングプレートの表面に複数のプロキシミティボールが突設されており、このプロキシミティボール上に処理対象の基板が載置される。そして、基板とクーリングプレートとの間の間隙(0.1mmないし5mm)における熱対流やその間の空気を介しての熱伝導により、基板から熱が奪われ、基板の冷却処理が達成される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このプロキシミティ式の基板熱処理装置における問題は、基板のクーリングプレート対向面とその反対の面との間の温度差のために、基板に熱反りが生じることである。
【0007】
すなわち、たとえば、基板加熱処理装置によって加熱された後の基板をクーリングプレート上に載置して基板を冷却する場合には、図6に示すように、クーリングプレート1の基板冷却面1Aに対向した状態でプロキシミティボール3によって支持されている基板Sの下面の冷却は、その上面の冷却よりもすみやかに進行する。そのため、基板Sの下面の熱収縮量がその上面の熱収縮量よりも多くなり、基板Sの中央部Mがクーリングプレート1の基板冷却面1Aから浮き上がることになる。
【0008】
このような基板の熱反りのために、基板の全部分に対して均一な冷却処理を施すことができなくなるから、冷却処理後の基板の各部における温度分布が均一にならないという問題がある。すなわち、たとえば、図7に示すように、基板の中央部と周縁部とにおいて、比較的大きな温度差ΔT1が生じていた。
【0009】
また、基板の一部が、基板冷却面から浮き上がることにより、基板の冷却効率が悪く、基板に対する冷却処理に時間がかかるという問題もあった。
【0010】
さらに、基板加熱処理装置によって加熱された後の基板は、クーリングプレート1まで搬送されるまでの間に、基板Sの中央部よりもその周辺部のほうが自然放熱量が大きいため中央部に熱が篭り、クーリングプレート1に載置されるときには、基板Sの中央部の温度が周辺部に比べて必ず高くなっており、このことがさらに基板の温度分布の不均一の要因となっている。
【0011】
そこで、この発明の目的は、上述の技術的課題を解決し、基板に対して均一に冷却処理を施すことができる基板冷却装置および基板冷却方法を提供することである。
【0012】
また、この発明の他の目的は、基板に対する冷却処理を効率的に行える基板冷却装置および基板冷却方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、クリーンルーム内に設置され、室温を冷却目標温度として基板を冷却する基板冷却装置であって、基板を近接させて冷却するための室温に温度調整されたクーリングプレートの表面に突出して設けられ、少なくとも基板の中央部を含む部分を吸着するとともに、当該部分に密接しつつ当該部分を冷却する基板吸着面を有する吸着部と、上記クーリングプレートの表面のうちの上記吸着部の周囲に設けられ、上記基板とクーリングプレートの表面との間に上記基板の全周に開放した所定の間隙を規制する複数のプロキシミティボールを備え、当該間隙を保った状態で基板を冷却する間隙部と、上記間隙部において、上記基板とクーリングプレートの表面との間の間隙の雰囲気を換気する換気手段とを含み、上記換気手段は、上記間隙部において、上記基板とクーリングプレートの表面との間の間隙の雰囲気を排気する手段であることを特徴とする基板冷却装置である。
【0014】
上記の構成によれば、基板の中央部を吸着部の基板吸着面に吸着した状態で冷却処理が行われるので、冷却処理中に基板の熱反りが生じることがない。これにより、基板の全域をクーリングプレートの表面に近接させた状態で基板を冷却できるので、基板の各部を均一に冷却でき、そのうえ、冷却効率が向上され、基板冷却処理に要する時間を短縮できる。
【0015】
また、温度が高く、冷却の困難な基板中央部の冷却を、吸着部によって確実に行うことができるから、基板の温度均一性のさらなる向上が図られる。
【0016】
一方、吸着部の周囲には間隙部が設けられているので、基板と吸着部との接触面積が過大になることがなく、そのため、基板をクーリングプレートの表面から離隔させる際に、基板上の素子構造等の静電破壊や周辺機器への悪影響を生じさせるほどの帯電が生じることがない。
【0018】
また、この発明では、間隙部材によって、基板とクーリングプレートの表面との間隙を間隙部の各部において均一にできるから、さらに、基板の温度均一性を向上できる。
【0020】
さらに、基板とクーリングプレートの表面との基板の全周に開放した間隙の雰囲気を排気することによってこの空間を換気することができるから、この空間に熱雰囲気が滞留することがない。これにより、基板の周辺部の冷却速度を向上できる。
【0021】
請求項2記載の発明は、上記間隙の雰囲気を排気する手段は、上記クーリングプレートの表面に形成された排気口を有することを特徴とする請求項1記載の基板冷却装置である。
請求項3記載の発明は、上記吸着部は、その中心位置が、上記冷却される基板の中心位置にほぼ一致するように設けられており、上記吸着部の外形は、上記冷却される基板の外形に対してほぼ相似した形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板冷却装置である。すなわち、吸着部の外周と基板の外周までの距離がいずれの方向においてもほぼ等しくされている。
【0022】
この構成によれば、基板の中央部および周辺部において、基板の中央から臨む全方向に関してほぼ均一な冷却処理を行うことができる。これにより、基板の温度均一性をさらに向上することができる。
【0023】
請求項4記載の発明は、クリーンルーム内で、室温に温度調整されたクーリングプレートの表面に基板を近接させ、室温を冷却目標温度として、基板を冷却する基板冷却方法において、基板の中央部を、上記クーリングプレートの表面に突出して設けた吸着部の基板吸着面に吸着させて密接させるとともに、この基板の周辺部において該基板と上記クーリングプレートの表面との間に該基板の全周に開放した間隙を設けた状態で、該基板を冷却することと、上記基板の周辺部における上記基板と上記クーリングプレートの表面との間隙を複数のプロキシミティボールによって規制することと、上記基板と上記クーリングプレートの表面との間の間隙の雰囲気を排気することとを含むことを特徴とする基板冷却方法である。
【0024】
この方法により、請求項1の発明と同様な効果を達成できる。
【0025】
請求項5記載の発明は、上記間隙の雰囲気の排気を上記クーリングプレートの表面に形成された排気口を介して行うことを特徴とする請求項4記載の基板冷却方法である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1は、この発明の一実施形態の基板冷却装置の構成を説明するための図解的な断面図である。この基板冷却装置は、クリーンルーム内に設置されて用いられ、たとえば、液晶表示装置の製造工程において、液晶表示装置用ガラス基板S(以下単に「基板S」という。)を室温(たとえば、23℃)を冷却目標温度として冷却するための装置である。
【0028】
このような基板冷却装置は、たとえば、フォトリソグラフィ工程において適宜用いられる。すなわち、フォトリソグラフィ工程には、基板Sの表面にレジストを塗布し、このレジストにベーク処理を施して乾燥させることによりレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程、レジスト膜が形成された基板Sを露光機に搬入し、レジスト膜を露光して潜像を形成する露光工程、露光されたレジスト膜に現像液を供給して潜像を現像する現像工程が含まれる。これらの工程のなかで、たとえば、レジスト塗布処理の前および露光処理の前などに、基板Sの冷却処理が行われる。図1の装置は、いずれの冷却処理にも適用可能であるが、たとえば、レジスト塗布後にレジストを乾燥させるプリベーク処理などのような加熱処理が施された後の基板Sを冷却する場合に、とくに有利に用いることができる。
【0029】
具体的構成について説明すると、この基板冷却装置は、隔壁10で区画されたほぼ直方体形状の処理室11内に、処理対象の基板Sよりも若干大きめのクーリングプレート12(基板冷却体)を有している。このクーリングプレート12は、ほぼ水平な表面12Aを有し、この表面12Aには、基板Sの中央部を吸着して冷却する吸着部51と、この吸着部51の周囲において、表面12Aとの間に一定の間隙(0.1〜5mm)を設けて基板Sの下面を支持する間隙部52とが設けられている。
【0030】
クーリングプレート12の内部には、冷却水経路14が形成されており、この冷却水経路14に、温調水ユニット15からの温度調整された冷却水(たとえば23℃。すなわち室温)が供給され、冷却水経路14を出た冷却水は再び温調水ユニット15に帰還されるようになっている。
【0031】
クーリングプレート12を上下方向に貫通するように複数本のリフトピン16が配置されており、このリフトピン16と、このリフトピン16を昇降するエアシリンダなどを含む昇降駆動機構17とによって、基板Sをクーリングプレート12の表面12Aに対して近接/離隔させる近接/離隔機構が構成されている。リフトピン16は、その上端に基板Sを支持することができ、昇降駆動機構17による昇降によって、基板Sを、図外の基板搬送ロボットとの間での基板受け渡しのための基板受け渡し高さ(二点鎖線の位置)に支持できる他、クーリングプレート12の表面12Aよりも下方にその上端を埋没させることにより、基板Sを表面12A上に載置することができる(実線の位置)。
【0032】
基板搬送ロボットが対向可能な前面隔壁10Aには、基板受け渡し高さに対応する位置に、基板通過口19が形成されており、この基板通過口19を開閉するためのシャッタ機構20が設けられている。このシャッタ機構20は、基板通過口19を閉塞することができるシャッタ板21と、このシャッタ板21を、基板通過口19を閉塞した閉成位置と、基板通過口19を開放した開成位置との間で移動させるシャッタ駆動機構22とを有している。シャッタ板21を開成位置として基板通過口19を開放した状態では、基板搬送ロボットの基板保持ハンドは、処理室11内に入り込んで、リフトピン16との間で基板Sの授受を行うことができる。
【0033】
前面隔壁10Aに対向する後面隔壁10Bは、大略的にホーン形状に形成されており、そのほぼ中央部には、排気口30が形成されている。この排気口30には、排気ダクト31の一端が接続されている。そして、この排気ダクト31の途中部に介装された排気弁33を開閉することにより、必要に応じて、処理室11内の雰囲気の排気を行えるようになっている。
【0034】
上記温調ユニット15、昇降駆動機構17、シャッタ駆動機構22および排気弁33の開閉などは、マイクロコンピュータなどを備えた制御装置35によって制御される。
【0035】
図2は、クーリングプレート12による基板Sの保持構造を示す拡大断面図であり、図3は、クーリングプレート12の平面図である。クーリングプレート12は、基板Sとほぼ相似形で、かつ、この基板Sよりも大きな長方形の表面12Aを備えている。このクーリングプレートの表面12Aの中央付近には、平面視において基板Sとほぼ相似の長方形に構成された上記の吸着部51が設けられており、その周辺のクーリングプレートの表面12A上の領域が間隙部52となっている。吸着部51は、その中心位置が、基板Sの中心位置とほぼ一致するように設けられている。
【0036】
間隙部52には、ほぼ球状のプロキシミティボール53(間隙部材)が、たとえば格子状に複数個配列されている。これにより、間隙部52においては、基板Sは、クーリングプレートの表面12Aとの間に一定の間隙δを保持した状態で、支持されていて、この間隙δは基板Sの全周に開放している。
【0037】
一方、吸着部51は、間隙部52における表面12Aよりも、上記間隙δにほぼ等しい高さだけ突出し、間隙部52における表面12Aとほぼ平行な基板吸着面55を有している。この基板吸着面55には、複数の吸着口56が、たとえば格子状に配列されて、開口している。
【0038】
吸着口56は、クーリングプレート12の内部に形成された吸着路57を介して配管58に接続されている。この配管58は、真空源61に接続されている吸着配管62と、吸着解除用ガスとしての窒素ガスを供給する窒素ガス供給源に接続された吸着解除配管63との両方に接続されている。吸着配管62には、吸着用バルブ65が介装されており、吸着解除配管63には、吸着解除バルブ66が介装されていて、これらは、制御装置35によって開閉制御されるようになっている。
【0039】
一方、間隙部52におけるクーリングプレート12の表面12Aには、プロキシミティボール53を避けた位置に、複数の排気口70が、たとえば格子状に配列されて形成されている。クーリングプレート12の内部には、これらの複数の排気口70と連通した排気通路71が形成されており、この排気通路71は、排気管72を介して適当な排気設備(図示せず)に接続されている。上記排気口70、排気通路71および排気管72などが、換気手段を構成している。
【0040】
この基板冷却装置の動作について概説すれば次のとおりである。
【0041】
たとえば、図示しない加熱処理装置による加熱処理を受けた後の基板は、基板搬送ロボットによって、処理室11内に搬入される。このとき、制御装置35は、シャッタ駆動機構22を制御してシャッタ板21を開成させるとともに、昇降駆動機構17を制御して、リフトピン16を上昇させておく。基板搬送ロボットは、この上昇位置にあるリフトピン16に、未処理の基板Sを置くことになる。
【0042】
その後、制御装置35は、吸着用バルブ65を開成する。このとき、吸着解除バルブ66は閉成状態に保持されている。
【0043】
そして、制御装置35は、昇降駆動機構17を制御してリフトピン16を下降させ、基板Sをクーリングプレート12の表面12Aに近接させていき、この表面12Aの上に載置する。これにより、基板Sの中央部は基板吸着面55に密接して支持され、基板Sの周辺部はプロキシミティボール53によって、表面12Aから一定の間隙δを保持した状態で支持される。さらに、吸着部51においては、吸着路57などを介して、基板吸着面55と基板Sとの間の空隙が減圧される。これにより、基板Sの中央部は、基板吸着面55に吸着される。
【0044】
この状態で、予め定めた所定時間(たとえば、45秒)に渡って基板Sが冷却される。すなわち、基板Sの中央部においては、基板吸着面55と基板Sとの間の熱伝導により、基板Sの熱が奪われる。また、基板Sの周辺部においては、クーリングプレート12の表面12Aと基板Sの下面との間の雰囲気の換気によって、基板Sの熱が奪われる。
【0045】
この冷却処理の際、基板Sの下面の冷却は、基板Sの上面の冷却よりもすみやかに進行するので、基板Sの上下面における熱収縮量の相違により、基板Sは、その中央部が浮き上がるように変形しようとする。ところが、基板Sの中央部のクーリングプレート12から離反する方向への変位は、吸着部51による基板Sの下面の吸着によって規制される。そのため、上記のような変形が生じることがなく、冷却処理中に、いわゆる基板の熱反りが生じるおそれはない。
【0046】
一方、基板Sの周辺部を冷却する間隙部52においては、排気口70、排気路71および排気管72を介する排気が常時行われているので、基板Sとクーリングプレート12の表面12Aとの間の空間の換気が行われることになる。そのため、この空間に熱雰囲気が滞留することを効果的に防止できるので、基板Sの冷却を効率的に行える。
【0047】
上記所定時間の冷却処理の後には、制御装置35は、吸着用バルブ65を閉成し、代わって、吸着解除バルブ63を開成する。これにより、吸着路57などを介して、吸着口56に窒素ガスが供給され、吸着部51における基板Sの吸着が解除される。
【0048】
その後、制御装置35は、昇降駆動機構17を制御してリフトピン16を上昇させ、基板Sを基板受け渡し高さに導く。そして、シャッタ板21が開成され、基板通過口19を介して、基板搬送ロボットに冷却処理後の基板Sが受け渡される。
【0049】
この実施形態の基板冷却装置によって冷却された基板の温度分布を、図4の曲線L1に示す。この図4において、曲線L0は、従来の装置による基板冷却処理を受けた基板の温度分布を示している。この図4から、この実施形態により、基板Sの温度分布の均一性が格段に向上されていることが理解される。すなわち、従来技術により処理された基板の中央部と周縁部との温度差ΔT1(図6参照)に比較して、この実施形態により処理された基板Sの中央部と周縁部との温度差ΔT2は、格段に小さい。
【0050】
以上のようにこの実施形態によれば、基板Sの中央部を吸着部51によって吸着しているので、基板Sの熱反りを防止できる。これにより、基板Sの全域を均一に加熱することができるので、冷却処理後の基板Sの温度分布の均一性を向上できる。しかも、冷却処理中、基板の全域をクーリングプレート12の表面12Aに確実に近接させておくことができるので、冷却効率が良く、冷却処理時間を短縮することができる。
【0051】
また、基板Sの中央部を吸着部51に吸着させていることにより、熱が籠もりやすく温度の高い基板Sの中央部の冷却を確実に行うことができ、このことが、基板Sの温度均一性を向上する他の要因となっている。
【0052】
また、基板Sの中央部の比較的小さい面積部分を吸着するようにしているため、基板Sとの接触面積が大きくなることがなく、基板Sを剥離する際の剥離帯電に起因する静電破壊や周辺機器への悪影響の問題が生じることがない。
【0053】
この発明の一実施形態について説明したが、この発明は上記の実施形態に限定されるものではない。たとえば、上述の実施形態では、水冷式のクーリングプレート12について説明したが、他にも、電子冷熱素子(ペルチエ素子など)によって吸熱を行う方式のクーリングプレートを用いることもできる。
【0055】
また、上述の実施形態では、液晶表示装置用ガラス基板に対するフォトリソグラフィ工程における冷却処理に本発明が適用された例について説明したが、この発明は、半導体ウエハなどの他の種類の基板に対する処理にも適用でき、また、フォトリソグラフィ工程以外の工程における基板冷却処理に対しても適用することができる。
【0056】
たとえば、円形の半導体ウエハWに本発明が適用される場合には、図5に示すように、円形のクーリングプレート80の中央部に、半導体ウエハWの外形とほぼ相似形である円形の吸着部81をウエハWとほぼ同心に配置するとともに、その周辺部に間隙部82を配置することが好ましい。83は、半導体ウエハWの下面を支持するほぼ球状のプロキシミティボールである。
【0057】
処理される基板の中央部に対応して設けられる吸着部は、その基板の外形と相似形であることが好ましいが、必ずしもその基板の外形と相似形である必要はなく、角型の基板の吸着部が円形であってもよいし、円形の基板の吸着部が角型であってもよい。ただし、処理対象の基板の外形と相似形の吸着部を備えることによって、基板の中央から臨むあらゆる方向に関する基板冷却処理を均一に行えるから、基板の温度均一性をさらに向上できる。
【0058】
記の実施形態では、間隙部52にプロキシミティボール53を配設して基板Sとクーリングプレートの表面12との間隙を規定している。
【0059】
これにより、間隙部5における基板Sとクーリングプレート12の表面12Aとの間隙を各部で一定にできるとともに基板Sの全周に間隙を開放できるから、基板Sの温度分布の均一性を高めることができる。
【0060】
なお、本明細書でいう基板の近接とは、クーリングプレートの表面に対して基板を直接接触させて近接させること、およびクーリングプレートの表面に対して基板を所定の間隙をもって近接させることの両方を含む。
【0061】
上記の他、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態の基板熱処理装置である基板冷却装置の構成を説明するための図解的な断面図である。
【図2】上記基板冷却装置のクーリングプレートによる基板の保持構造を示す拡大断面図である。
【図3】上記クーリングプレートの平面図である。
【図4】冷却処理後の基板の温度分布を示すグラフである。
【図5】半導体ウエハを冷却する装置にこの発明が適用された例を示すクーリングプレートの平面図である。
【図6】従来技術の問題点を説明するための図である。
【図7】従来技術による基板冷却処理を受けた基板の温度分布を示すグラフである。
【符号の説明】
12 クーリングプレート
12A クーリングプレートの表面
51 吸着部
52 間隙部
53 プロキシミティボール
55 基板吸着面
56 吸着口
70 排気口
80 クーリングプレート
81 吸着部
82 間隙部
83 プロキシミティボール

Claims (5)

  1. クリーンルーム内に設置され、室温を冷却目標温度として基板を冷却する基板冷却装置であって、
    基板を近接させて冷却するための室温に温度調整されたクーリングプレートの表面に突出して設けられ、少なくとも基板の中央部を含む部分を吸着するとともに、当該部分に密接しつつ当該部分を冷却する基板吸着面を有する吸着部と、
    上記クーリングプレートの表面のうちの上記吸着部の周囲に設けられ、上記基板とクーリングプレートの表面との間に上記基板の全周に開放した所定の間隙を規制する複数のプロキシミティボールを備え、当該間隙を保った状態で基板を冷却する間隙部と、
    上記間隙部において、上記基板とクーリングプレートの表面との間の間隙の雰囲気を換気する換気手段とを含み、
    上記換気手段は、上記間隙部において、上記基板とクーリングプレートの表面との間の間隙の雰囲気を排気する手段であることを特徴とする基板冷却装置。
  2. 上記間隙の雰囲気を排気する手段は、上記クーリングプレートの表面に形成された排気口を有することを特徴とする請求項1記載の基板冷却装置。
  3. 上記吸着部は、その中心位置が、上記冷却される基板の中心位置にほぼ一致するように設けられており、
    上記吸着部の外形は、上記冷却される基板の外形に対してほぼ相似した形状となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板冷却装置。
  4. クリーンルーム内で、室温に温度調整されたクーリングプレートの表面に基板を近接させ、室温を冷却目標温度として、基板を冷却する基板冷却方法において、
    基板の中央部を、上記クーリングプレートの表面に突出して設けた吸着部の基板吸着面に吸着させて密接させるとともに、この基板の周辺部において該基板と上記クーリングプレートの表面との間に該基板の全周に開放した間隙を設けた状態で、該基板を冷却することと、
    上記基板の周辺部における上記基板と上記クーリングプレートの表面との間隙を複数のプロキシミティボールによって規制することと、
    上記基板と上記クーリングプレートの表面との間の間隙の雰囲気を排気することと
    を含むことを特徴とする基板冷却方法。
  5. 上記間隙の雰囲気の排気を上記クーリングプレートの表面に形成された排気口を介して行うことを特徴とする請求項4記載の基板冷却方法。
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