JP3555743B2 - 基板熱処理装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ、フォトマスク用のガラス基板、液晶表示装置用のガラス基板、光ディスク用の基板などの各種の基板を熱処理するための装置に係わり、特に、熱処理を行うチャンバ内にパージガスを供給する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の基板熱処理装置を図3を参照して説明する。
この基板熱処理装置は、半導体ウエハなどの基板Wを載置して加熱する加熱プレート1を備え、この加熱プレート1がチャンバ2内に収納配置されている。チャンバ2の上部には、チャンバ2内の熱処理空間に窒素ガスなどのパージガスを供給するための給気口3が設けられている。また、チャンバ2の下部には、チャンバ2内の熱処理空間を排気するための排気口4が設けられている。加熱プレートと給気口3との間には、給気口3から導入されたパージガスを分散して流下させるために、多数の小孔5aが開けられた分散板5が設けられている。
【0003】
このような基板熱処理装置を使って加熱処理される基板Wとしては、例えば、フォトレジスト膜を形成する前に反射防止膜(BOTTOM−ARC)が塗布形成された半導体ウエハ、あるいはSOG(Spin−on−Glass)系膜が塗布形成された半導体ウエハなどがある。このような基板Wが加熱プレート1に載置されて加熱されると、基板Wの塗布膜中から溶媒成分が揮発する。揮発した溶媒成分は、チャンバ2内に導入されたパージガスの流れに乗って排気口4から排気される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の基板熱処理装置は、チャンバ2内の熱処理空間にパージガスを導入するにあたり、分散板5を用いてパージガスをある程度分散させてはいるが、熱処理空間内で対流が発生するのを防止するために加熱プレート1からチャンバ2の上面までの間隔が狭く設定されている関係で、基板W上でパージガスが比較的に強くあたる箇所と、そうでない箇所とが生じる。その結果、次のような不都合が生じる。
【0005】
例えば上記の反射防止膜のように、溶媒成分の揮発が激しい薬液が塗布された基板Wを加熱処理した場合、パージガスが強くあたっている箇所と、そうでない箇所との間で、溶媒成分の揮発の程度に偏りが生じて、加熱処理のムラが発生する。
【0006】
また、層間絶縁膜として使用されるSOG系膜のように、加熱処理中に再溶融する薬液が塗布形成された基板Wを加熱処理した場合、パージガスが強くあたる箇所では、溶融した薬液が周囲に押しやられて、その部分の膜厚が薄くなり膜厚がばらつくといった加熱処理のムラも生じる。
【0007】
上記の問題を避けるために、パージガスの供給を止めると、チャンバ2内に外気が侵入したり、あるいはチャンバ2内に対流が発生することに起因して、基板Wの温度分布が悪くなり膜質が劣化するという別異の問題が生じる。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、加熱処理のムラが生じることなく、熱処理空間にパージガスを導入することができる基板熱処理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、チャンバ内に収納配置された加熱プレート上に基板を載置して基板を加熱処理する基板熱処理装置において、前記加熱プレートを囲うように配置され、少なくとも加熱処理中は、その上端が加熱プレートの上面よりも上方に突出している筒状部材と、前記筒状部材の外側を上方に向けて流通するようにパージガスを供給するパージガス供給手段と、前記加熱プレートの上方でパージガスを排気する排気手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、チャンバ内に収納配置された加熱プレート上に基板を載置して基板を加熱処理する基板熱処理装置において、前記加熱プレートを囲うように配置され、少なくとも加熱処理中は、その上端が加熱プレートの上面よりも上方に突出している筒状部材と、前記筒状部材の外側を下方に向けて流通するようにパージガスを供給するパージガス供給手段と、前記加熱プレートの下方でパージガスを排気する排気手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の基板熱処理装置において、前記筒状部材を昇降させる駆動手段を備えたものである。
【0012】
【作用】
請求項1に記載の発明の作用は次のとおりである。
加熱処理中にチャンバ内に導入されたパージガスは、加熱プレートを囲う筒状部材の外側を上方に向けて流通するので、筒状部材の内側にある基板の表面にパージガスが直接にあたることがない。したがって、パージガスが基板の表面に直接にあたることに起因した加熱処理のムラが抑制される。また、筒状部材の外側を上方に流通するパージガスの流れは負圧効果(エジェクタ効果)を伴うので、基板の表面近傍の雰囲気がパージガスの流れに引き込まれる。したがって、基板表面にパージガスが直接にあたらなくても、基板から揮発した揮発成分はパージガスに引き込まれて、加熱プレートの上方にある排気手段から円滑に排気される。また、上記のエジェクタ効果により、加熱プレートの上方の熱処理空間に対流も発生しないので、基板表面の温度分布が均一に維持される。
【0013】
請求項2に記載の発明の作用は次のとおりである。
加熱処理中にチャンバ内に導入されたパージガスは、加熱プレートを囲う筒状部材の外側を下方に向けて流通するので、筒状部材の内側にある基板の表面にパージガスが直接にあたることがない。したがって、パージガスが基板の表面に直接にあたることに起因した加熱処理のムラが抑制される。また、筒状部材の外側を下方に流通するパージガスの流れは負圧効果(エジェクタ効果)を伴うので、基板の表面近傍の雰囲気がパージガスの流れに引き込まれる。したがって、基板表面にパージガスが直接にあたらなくても、基板から揮発した揮発成分はパージガスに引き込まれて、加熱プレートの下方にある排気手段から円滑に排気される。また、上記のエジェクタ効果により、加熱プレートの上方の熱処理空間に対流も発生しないので、基板表面の温度分布が均一に維持される。
【0014】
請求項3に記載の発明の作用は次のとおりである。
加熱処理のときは、駆動手段が筒状部材を上昇させることにより、上述した請求項1または2に記載の発明と同様の作用が生じる。また、未処理の基板をチャンバー内に搬入したり、処理済みの基板をチャンバ外へ搬出するときは、駆動手段が筒状部材を下降させるので、基板の搬入・搬出を支障無く行うことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。
<第1実施例>
図1は、本発明に係る基板熱処理装置の第1実施例の概略構成を示した断面図である。この第1実施例装置は、請求項1に記載の発明に対応する。
【0016】
この基板熱処理装置は、処理対象である半導体ウエハなどの基板Wを載置して加熱する加熱プレート10を備えている。加熱プレート10には図示しないヒータが設けられている。この加熱プレート10は密閉、あるいは半密閉構造のチャンバ11内に収納配置されている。加熱プレート10には複数本の支持ピン12が加熱プレート10の表面から出没するように、上下に貫通して挿入されている。支持ピン12の基端は連結部材13に立設固定されている。この連結部材13はチャンバ11の外側に設けられたエアーシリンダ14のロッドに連結されている。
【0017】
加熱プレート10の周囲には、加熱プレート10の周面と僅かな間隙を隔てて、筒状部材15が上下移動可能に配設されている。この筒状部材15は支持アーム16の一端に連結支持されている。支持アーム16の他端はチャンバ11外へ導出されて、エアーシリンダ17のロッドに連結されている。このエアーシリンダ17は、請求項3に記載の発明における駆動手段に相当する。
【0018】
筒状部材15の外側に環状のガス流路18が配設されており、このガス流路18に装置外から窒素ガスなどのパージガスが供給されている。ガス流路18の上面にはスリット状のガス噴出口18aが形成されており、このガス噴出口18aからパージガスが上方に向かって噴出するようになっている。ガス流路18およびガス噴出口18aは、請求項1に記載の発明におけるパージガス供給手段に相当する。
【0019】
チャンバ11は、加熱プレート10の上方にあたる上面中央部に、チャンバ11内の熱処理空間を排気する排気口19を備えている。この排気口19は図示しない真空ポンプ、あるいはこの種の基板熱処理装置が設置されるクリーンルームに常備されている排気設備に連通接続されている。排気口19は請求項1に記載の発明における排気手段に相当する。
【0020】
チャンバ11の側面部には、基板Wをチャンバ11内へ出し入れするための基板給排口20が設けられている。この基板給排口20にはシャッタ21が設けられている。このシャッタ21は支持ピン12と連動するように構成されている。具体的には、上下に揺動自在な揺動部材22がチャンバ11の底面に配設されている。揺動部材22の両端は「U」の字状に切り欠かれており、その一端は連結部材13から延び出たアーム23の先端部に取り付けられたピン24に緩く嵌合している。揺動部材22の他端は、シャッタ21に連結している昇降板25から延び出た小片に取り付けられたピン26に緩く嵌合している。以上の構成により、エアーシリンダ14が伸張して支持ピン12が上昇すると、揺動部材22が軸心P回りに反時計方向に揺動して昇降板25を押し下げる結果、シャッタ21が開放する。逆に、エアーシリンダ14が収縮して支持ピン12が下降すると、揺動部材22が軸心P回りに時計方向に揺動してシャッタ21が閉じるようになっている。
【0021】
次に、上述した構成を備えた第1実施例装置の動作を説明する。
未処理の基板Wをチャンバ11内へ搬入するときは、エアーシリンダ14が伸張して支持ピン12が上昇位置にあるとともに、シャッタ21は開放している。このとき、エアーシリンダ17が収縮して筒状部材15は下降位置にある。図示しない基板搬送ロボットが基板Wを保持した状態で基板給排口20からチャンバ11内へ進入し、基板Wを上昇位置にある支持ピン12上に載置する。基板搬送ロボットがチャンバ11から退避した後、エアーシリンダ14が収縮して支持ピン12が下降することより、基板Wが加熱プレート10上に移載される。支持ピン12の下降に伴ってシャッタ21が閉じる。これと同時に、エアーシリンダ17が伸張することにより筒状部材15が上昇して加熱プレート10の上面よりも突出した状態、すなわち図1に示すように、加熱プレート10上の基板Wを取り囲んだ状態になる。
【0022】
加熱プレート10上に載置された基板Wが熱処理されている間、ガス流路18のガス噴出口18aから噴出したパージガスは、上昇位置にある筒状部材15の外側を上方に向けて流通し、さらにはチャンバ11の天井面に沿って中心部に向かって流れて、排気口19から排出される。つまり、パージガスの流れと基板Wとの間に筒状部材15が介在しているので、基板Wの表面にパージガスが直接にあたることがない。したがって、パージガスが基板Wの表面に直接にあたることに起因した加熱処理ムラを回避することができる。また、筒状部材15の外側を上方に流通するパージガスの流れは、その周囲の雰囲気に対して負圧であるので、基板Wの表面近傍の雰囲気がパージガスの流れに引き込まれる。このようなパージガスの流れの負圧効果(エジェクタ効果)により、基板表面にパージガスが直接にあたらなくても、基板Wから揮発した揮発成分はパージガスに引き込まれて、加熱プレート10の上方にある排気口19から円滑に排気される。また、上記のエジェクタ効果により、加熱プレート10の上方の熱処理空間に対流も発生しないので、基板表面の温度分布が均一に維持される。
【0023】
基板Wが所定時間にわたって加熱処理されると、エアーシリンダ14が伸張することにより支持ピン12が上昇して基板Wを、図1に2点鎖線で示す位置にまで持ち上げる。支持ピン12の上昇に伴ってシャッタ21が開放するとともに、エアーシリンダ17が収縮して筒状部材15が下降する。続いて、基板給排口20から図示しない基板搬送ロボットがチャンバ11内に進入して、処理済みの基板Wを受け取り、チャンバ11から基板Wを搬出する。そして、基板搬送ロボットは次の新たな基板Wをチャンバ11内に搬入し、その基板Wに対して上述したと同様の熱処理が行われる。
【0024】
以上のように本実施例では、基板Wの搬入・搬出時に筒状部材15が下降位置にあるので、基板搬送ロボットと支持ピン12との間で基板Wの受け渡しを行う際に、筒状部材15が邪魔になることがなく、基板Wの搬入・搬出を円滑に行うことができる。
【0025】
<第2実施例>
図2は、本発明に係る基板熱処理装置の第2実施例の概略構成を示した断面図である。この第2実施例装置は、請求項2に記載の発明に対応する。
【0026】
図2において、図1中の各符号と同一の符号で示した構成部分は第1実施例のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
本実施例は、第1実施例と共通する特徴として、加熱プレート10を囲うように配設された昇降自在の筒状部材15を備えている。そして、第1実施例とは異なる特徴として、チャンバ11の上面中央部にパージガス供給手段としての給気孔30が設けられているとともに、加熱プレート10の下方であるチャンバ11の底面部にパージガスを排気する排気手段としての排気口31が設けられている。また、チャンバ11内には、給気孔30に臨むように円錐状の整流板32が設けられている。
【0027】
以上のように構成された第2実施例装置の動作を説明する。
チャンバ11への基板Wの搬入・搬出動作は第1実施例装置と同じであるのでここでの説明は省略する。
基板Wが加熱プレート10上に載置されて熱処理を受けている間、筒状部材15が第1実施例装置と同様に上昇し、基板Wは筒状部材15で囲われている。この状態で、給気孔30からチャンバ11内に導入された窒素ガスなどのパージガスは、整流板32によって水平方向に流れを変えられてチャンバ11の天井面に沿って拡散流通する。チャンバ11の天井面の端まで流通したパージガスは、上昇位置にある筒状部材15の外側を下方に向けて流通し、チャンバ11の底面部にある排気口31からチャンバ11外へ排出される。
【0028】
本実施例では、パージガスの下方向への流れと基板Wとの間に筒状部材15が介在しているので、第1実施例装置と同様に、基板Wの表面にパージガスが直接にあたることがない。また、筒状部材15の外側を下方に流通するパージガスの流れの負圧効果(エジェクタ効果)により、基板表面にパージガスが直接にあたらなくても、基板Wから揮発した揮発成分はパージガスに引き込まれて、加熱プレート10の下方にある排気口31から円滑に排気される。また、第1実施例装置と同様に、パージガスの流れのエジェクタ効果により、加熱プレート10の上方の熱処理空間に対流も発生しないので、基板表面の温度分布が均一に維持される。
【0029】
本発明は上記の各実施例に限らず、次のように変形実施することができる。
(1)実施例では筒状部材15をエアーシリンダ17で昇降させたが、例えば、シャッタ21を昇降させたのと同様の揺動駆動機構を使って、支持ピン12と筒状部材15とが連動するように構成してもよい。
【0030】
(2)図2に示した第2実施例では、チャンバ11の底面部に排気口31を設けたが、このような排気口31に代えて、図1に示したガス流路18と同様の形態の環状の排気管路を筒状部材15の外側に設け、この排気管路からパージガスを排気するようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次の効果を奏する。
請求項1および請求項2に記載の発明によれば、チャンバ内に導入されたパージガスが加熱プレート上の基板の表面に直接にあたらないので、ハージガスが基板表面に直接にあたることに起因した加熱処理のムラが発生しない。また、筒状部材の外側を流通するパージガスの流れの負圧効果(エジェクタ効果)により、基板から揮発した溶媒成分をパージガスに引き込んで円滑に排気することができる。また、加熱プレートの上方の熱処理空間に対流が生じないので、基板表面の温度分布が均一に維持される結果、均一な熱処理を行うことができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、駆動手段が筒状部材を加熱処理中は上昇させ、基板の搬入・搬出時は下降させるので、上記の請求項1および請求項2の発明の効果に加えて、基板の搬入・搬出を支障なく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る基板熱処理装置の第1実施例の概略構成を示した断面図である。
【図2】本発明に係る基板熱処理装置の第2実施例の概略構成を示した断面図である。
【図3】従来装置の概略構成を示した断面図である。
【符号の説明】
10…加熱プレート
11…チャンバ
15…筒状部材
18…ガス流路
19…排気口
30…給気孔
31…排気口

Claims (3)

  1. チャンバ内に収納配置された加熱プレート上に基板を載置して基板を加熱処理する基板熱処理装置において、
    前記加熱プレートを囲うように配置され、少なくとも加熱処理中は、その上端が加熱プレートの上面よりも上方に突出している筒状部材と、
    前記筒状部材の外側を上方に向けて流通するようにパージガスを供給するパージガス供給手段と、
    前記加熱プレートの上方でパージガスを排気する排気手段と
    を備えたことを特徴とする基板熱処理装置。
  2. チャンバ内に収納配置された加熱プレート上に基板を載置して基板を加熱処理する基板熱処理装置において、
    前記加熱プレートを囲うように配置され、少なくとも加熱処理中は、その上端が加熱プレートの上面よりも上方に突出している筒状部材と、
    前記筒状部材の外側を下方に向けて流通するようにパージガスを供給するパージガス供給手段と、
    前記加熱プレートの下方でパージガスを排気する排気手段と
    を備えたことを特徴とする基板熱処理装置。
  3. 請求項1または2に記載の基板熱処理装置において、
    前記筒状部材を昇降させる駆動手段を備えた基板熱処理装置。
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