JP4024980B2 - 加熱処理方法及び加熱処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板を加熱する加熱処理方法及び加熱処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスの製造におけるフォトレジスト処理工程においては,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」)の表面にレジスト液を塗布した後の加熱処理であるプリベーキング(PREBAKE)や,パターンの露光を行った後の加熱処理であるポストエクスポージャーベーキング(PEB)等,種々の加熱処理が行われている。
【0003】
これらの加熱処理は,通常,加熱処理装置によって行われる。この加熱処理装置は,処理容器内に設置された円盤状の熱板を有している。この熱板には3本の支持ピンが設けられており,各支持ピンは,熱板内に形成された貫通孔内を昇降自在となっている。熱板にウェハを載置する場合,上昇して熱板から突出している各支持ピンの3点によりウェハを水平姿勢で支持する。次いで,各支持ピンを下降させることにより,ウェハ全体を熱板に載置し,前記熱板に内蔵されている発熱体(ヒータ等)によって熱板を所定温度に加熱することで,ウェハを均一に加熱処理するようになっている。
【0004】
また,熱板の周囲には気体を供給する供給口が設けられ,処理容器の天板中央部には気体を排気する排気口が設けられている。ウェハの搬入,加熱処理,搬出の間,一貫して気体の供給,排気を行い,処理容器内では,熱板の周囲から処理容器の中心上方に向けての気体の均一な流れを形成する。従って,処理容器内の雰囲気を均一にすることができ,好適な加熱処理を行い,ウェハの面内温度分布の均一性を向上させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,ウェハの上昇時間及び下降時間は,例えば1.5秒(S)に設定されている。短時間でウェハを昇降させるために,ウェハの昇降速度,即ち支持ピンの昇降速度を速くしなければならない。しかしながら,ウェハを下降させる際に,落下加速度が大きいと,下降直後に支持ピンからウェハが浮き上がり,横ずれする場合がある。また,ウェハを速く下降させると,空気抵抗によりウェハが度々浮き上がり,同様に横ずれする場合がある。横ずれしたウェハを,各支持ピンの3点で再び支持しようとしても,重心がずれていれば,バランスを崩してウェハの姿勢を傾けてしまう。姿勢が傾くと,例えば図14に示すように,支持ピン200により下降している最中に,ウェハWの一部が熱板201に先に接触する場合がある。そうなると,熱板201に接触したウェハWの一部が先に加熱されることになり,不均一な加熱処理が行われる。ウェハ昇温過度期(ウェハを熱板に載置してから熱板による加熱が安定するまでの数秒〜数分間)においては,ウェハWの面内で例えば8℃の温度差が生じる。特に化学増幅型レジストを使用する場合,PEBでは,温度差により線幅等にバラツキが発生し,所望のパターンを得ることができなくなるおそれが生じる。
【0006】
さらにウェハを下降して熱板に載置する間にも,処理容器では気体の流れを形成している。このため,気体がウェハに衝突して乱気流が発生するおそれがある。乱気流は,ウェハの姿勢を傾かせる原因になる。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされてものであり,その目的は,基板を水平姿勢で真っ直ぐに降ろして熱板に載置することにより,基板昇温過度期における基板の面内温度分布の均一性を向上させることができる,加熱処理方法及び加熱処理装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために,例えば,参考例として,熱板に載置して基板を加熱処理する方法であって,基板を前記熱板上にて水平姿勢で支持する工程と,前記支持された基板を下降させて前記熱板に載置する工程と,前記熱板の熱により基板を加熱する工程と,前記加熱された基板を上昇させて前記熱板上にて水平姿勢で支持する工程とを有し,基板の下降時間は,基板の上昇時間よりも長いことを特徴とする,加熱処理方法を提案できる。
【0009】
上記参考例の加熱処理方法によれば,例えば基板を熱板上にて水平姿勢で支持し,その後に基板を下降させて熱板に載置して加熱処理する。加熱処理後,基板を上昇させて再び熱板上にて水平姿勢で支持する。ここで,基板の下降時間を余裕をもって例えば2〜3秒(S)とり,基板の上昇時間を例えば1.5秒とり,基板の下降速度を上昇速度よりも遅くし,上昇させるときよりも比較的ゆっくりと基板を下降させるようにする。このため,落下加速度が比較的に小さくなり下降直後に支持手段から基板が浮き上がったり,下降中に空気抵抗により基板が浮き上がって,横ずれする事態を未然に防ぐことができる。そして,バランスを保ちながら基板を水平姿勢で真っ直ぐに降ろして熱板に載置することができる。従って,傾いた基板の一部が熱板に接触して先に加熱される事態を防止し,基板全体を同時に加熱して均一な加熱処理を行うことが可能となる。その結果,基板昇温過度期における基板の面内温度分布の均一性を向上させることができる。
【0010】
上記参考例において,前記支持された基板を下降させて熱板に載置する工程に際し,前記熱板に載置する直前に,基板の下降速度を減速させても良い。そうすれば,熱板に載置するときの衝撃を緩和し,基板を水平姿勢に確実に保ちながら,安定して熱板に載置することができる。
【0011】
前記熱板の周囲雰囲気に気体を供給し,前記熱板の周囲雰囲気の温度を均一にする工程を設けることが好ましい。例えば熱板の周囲から気体を供給する一方で,熱板の上方から気体を排気することで,熱板の周囲から上方に向かう均一な気体の流れを形成する。これにより,熱板の周囲雰囲気の温度を均一にして好適な加熱処理を行うことができる。
【0012】
本発明は,熱板に載置して基板を加熱処理する方法であって,前記熱板の周囲に気体を供給し,前記熱板の周囲雰囲気の温度を均一にする工程と,基板を前記熱板上にて水平姿勢で支持する工程と,前記支持された基板を下降させて前記熱板に載置する工程と,前記熱板の熱により基板を加熱する工程と,前記加熱された基板を上昇させて前記熱板上にて水平姿勢で支持する工程とを有し,前記支持された基板を下降させて熱板に載置する工程に際し,前記気体の供給を停止することを特徴とする。この発明によれば,下降中の基板に気体が衝突して乱気流が発生することを防止することができる。乱気流が発生すると,その影響により基板の姿勢が傾くおそれがあるが,この発明によれば,そのような事態を未然に防ぐことができる。また,供給口から供給された気体を吸気して,気体が基板に及ばないようにすることにより,気体の供給を停止したときと同様の作用・効果を得るようにしても良い。また,前記発明の加熱処理方法において,前記基板の下降時間を,基板の上昇時間よりも長くしてもよいし,前記支持された基板を下降させて前記熱板に載置する工程に際し,前記熱板に載置する直前に,前記基板の下降速度を減速させてもよい。
【0013】
別の参考例として,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記熱板を収納する処理容器と,前記処理容器内に気体を供給する供給口と,前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,前記支持手段を昇降させると共に,前記支持手段の昇降速度を制御可能な昇降手段とを備えていることを特徴とする加熱処理装置が提案される。
【0014】
上記参考例の加熱処理装置によれば,まず昇降手段によって上昇した支持手段により,熱板上にて基板を水平姿勢で支持する。次いで,支持手段を下降させて熱板に基板を載置し,加熱処理を行う。加熱処理後,支持手段を上昇させて基板を持ち上げ,再び熱板上にて水平姿勢で支持する。ここで,熱板上で支持された基板を下降させる場合,昇降手段は,支持手段の下降速度を落とし,比較的ゆっくりと基板を熱板に載置する。一方,熱板に載置された基板を上昇させる場合,支持手段の上昇速度を下降速度よりも速くし,短時間で熱板上にて基板を水平姿勢で支持した状態にする。従って,かかる加熱処理装置によれば,上記参考例の加熱処理方法を好適に実施することができる。
【0015】
本発明の加熱処理装置は,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記熱板を収納する処理容器と,前記処理容器内に気体を供給する供給口と,前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,前記支持手段を昇降させると共に,前記支持手段の昇降速度を制御可能な昇降手段とを備え,前記供給口に接続された供給経路に,開閉手段を設けたことを特徴とする。かかる構成によれば,開閉手段の開閉により,供給口による気体の供給やその停止を制御する。従って,この発明によれば,上記発明の加熱処理方法を好適に実施することができる。
また,別の観点によれば,本発明の加熱処理装置は,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記熱板を収納する処理容器と,前記処理容器内に気体を供給する供給口と,前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,を備え,前記供給口から供給された気体が基板に及ばないように当該気体を吸気する吸気口を設けたことを特徴とする。
【0016】
本発明の加熱処理装置は,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,
熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記熱板を収納する処理容器と,前記処理容器内に気体を供給する供給口と,前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,を備え,前記供給口から供給された気体が基板に衝突するのを防止する防止部材を設けたことを特徴とする。かかる構成によれば,防止部材により,供給された気体が下降中の基板に衝突するのを防止することができる。従って,乱気流の発生を防止することができる。また,上記発明の加熱処理装置は,前記支持手段を昇降させると共に,前記支持手段の昇降速度を制御可能な昇降手段をさらに備えていてもよい。
【0017】
上記発明の加熱処理装置における前記支持手段に,前記基板を支持手段に吸着させる吸着口を形成することが好ましい。かかる構成によれば,吸着口により支持手段に基板を吸着させるので,下降中の基板の浮き上がりを確実に防止することができる。このため,横ずれを防ぎ,熱板の所定位置に基板を正確に載置することが可能となる。
別の参考例として,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記支持手段を昇降させると共に,前記支持手段の昇降速度を制御可能な昇降手段と,前記熱板を収納する処理容器と,前記処理容器内に気体を供給する供給口と,前記供給口から熱板の周囲に供給された気体を吸気する吸気口と,を備えていることを特徴とする加熱処理装置が提案できる。
さらに,別の参考例として,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,
熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記支持手段を昇降させる昇降手段と,前記支持手段の上部に形成され,前記支持手段に基板を吸着させるための吸着口と,を備えていることを特徴とする加熱処理装置が提案できる。
また,別の観点によれば,本発明の加熱処理装置は,熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,前記支持手段を昇降させる昇降手段と,前記支持手段の上部に形成され,前記支持手段に基板を吸着させるための吸着口と,前記吸着口に通じた吸引機構の稼動及び前記昇降手段による前記支持手段の下降速度を制御するコントローラと,を備え,前記コントローラは,前記支持手段に支持された基板が昇降手段によって下降され,当該基板が前記熱板に載置される瞬間に,前記吸引機構による吸引を停止させるように制御することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる加熱処理装置を備えた塗布現像処理システム1の平面図であり,図2は,塗布現像処理システム1の正面図であり,図3は,塗布現像処理システム1の背面図である。
【0019】
塗布現像処理システム1は,図1に示すように,例えば25枚のウェハWをカセット単位で外部から塗布現像処理システム1に対して搬入出したり,カセットCに対してウェハWを搬入出したりするカセットステーション2と,塗布現像処理工程の中で枚葉式に所定の処理を施す各種処理装置を多段配置してなる処理ステーション3と,この処理ステーション3に隣接して設けられている露光装置(図示せず)との間でウェハWの受け渡しをするインターフェイス部4とを一体に接続した構成を有している。
【0020】
カセットステーション2では,載置部となるカセット載置台5上の所定の位置に,複数のカセットCをX方向(図1中の上下方向)に一列に載置自在となっている。そして,このカセット配列方向(X方向)とカセットCに収容されたウェハWのウェハ配列方向(Z方向;鉛直方向)に対して移送可能なウェハ搬送体7が搬送路8に沿って移動自在に設けられており,各カセットCに対して選択的にアクセスできるようになっている。
【0021】
ウェハ搬送体7は,ウェハWの位置合わせを行うアライメント機能を備えている。このウェハ搬送体7は後述するように処理ステーション3側の第3の処理装置群G3に属するアドヒージョン装置31やエクステンション装置32に対してもアクセスできるように構成されている。
【0022】
処理ステーション3では,その中心部に主搬送装置13が設けられており,主搬送装置13の周辺には各種処理装置が多段に配置されて処理装置群を構成している。該塗布現像処理システム1においては,4つの処理装置群G1,G2,G3,G4が配置されており,第1及び第2の処理装置群G1,G2は塗布現像処理システム1の正面側に配置され,第3の処理装置群G3は,カセットステーション2に隣接して配置され,第4の処理装置群G4は,インターフェイス部4に隣接して配置されている。さらにオプションとして破線で示した第5の処理装置群G5を背面側に別途配置可能となっている。
【0023】
第1の処理装置群G1では図2に示すように,2種類のスピンナ型液塗布処理装置,例えばウェハWに対してレジストを塗布して処理するレジスト塗布装置15と,ウェハWに現像液を供給して処理する現像処理装置16が下から順に2段に配置されている。第2の処理装置群G2の場合も同様に,レジスト塗布装置17と,現像処理装置18とが下から順に2段に積み重ねられている
【0024】
第3の処理装置群G3では,図3に示すように,ウェハWを冷却処理するクーリング装置30,レジスト液とウェハWとの定着性を高めるためのアドヒージョン装置31,ウェハWを待機させるエクステンション装置32,レジスト塗布後の加熱処理を行うプリベーキング装置33,34及び現像処理後の加熱処理を行うポストベーキング装置35,36等が下から順に例えば8段に重ねられている。
【0025】
第4の処理装置群G4では,例えばクーリング装置40,載置したウェハWを自然冷却させるエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,クーリング装置43,露光処理後の加熱処理を行うポストエクスポージャーベーキング装置44,45,ポストベーキング装置46,47等が下から順に例えば8段に積み重ねられている。
【0026】
インターフェイス部4の中央部にはウェハ搬送体50が設けられている。このウェハ搬送体50は,第4の処理装置群G4に属するエクステンション・クーリング装置41,エクステンション装置42,周辺露光装置51及び露光装置(図示せず)に対してアクセスできるように構成されている。
【0027】
本実施の形態にかかるプリベーキング装置33,34,ポストベーキング装置35,36,46,47,ポストエクスポージャーベーキング装置44,45については,何れの装置も基本的に同様の構成を有しているので,プリベーキング装置33を例にとって説明する。図4に示すように,プリベーキング装置33のケーシング33a内には処理容器60が設けられ,この処理容器60内にはウェハWを載置して加熱処理する熱板61が収納されている。
【0028】
処理容器60は,上側に位置して上下動自在な蓋体62と,下側に位置して蓋体62と一体となって処理室63を形成する熱板収容部64とを備えている。
【0029】
蓋体62の下面において,周縁部は内側に凹状に湾曲されている。また,中心部に向かって次第に高くなるように傾斜が付けられる。中心部には排気口65が形成され,この排気口65には排気管66が接続されている。排気管66は,工場の排気系に通じている。
【0030】
図4及び図5に示すように,熱板収容部64は,外周の略円筒状のケース66と,ケース66に固着された断熱性の良好なサポートリング67と,このサポートリング67に支持された円盤状の前述した熱板61を有している。
【0031】
ケース66の上面には,気体(エア,N2ガス等)を処理容器60内に供給する供給口70が例えば周方向に沿って形成されている。供給口70には供給経路71が接続され,供給経路71は,ポンプ等からなる気体供給機構72に通じている。供給経路71には,開閉手段としての開閉弁73が介装されている。開閉弁73の開閉により供給口70による気体の供給やその停止は,制御される。こうして,供給口70により熱板61の周囲から気体を供給し,一方,前記蓋体62の下面により,供給された気体を排気口65に誘導して均一に排気することで,処理室63内(熱板61の周囲雰囲気)を均一な温度雰囲気することができる。なお,気体の供給量は,例えば3L/minであると良い。
【0032】
熱板61にはヒータ75が内蔵され,ヒータ75は電源制御部(図示せず)の給電により発熱するようになっている。また,熱板61には,貫通孔76が3ヶ所形成され,各貫通孔76には,熱板61上でウェハWを支持する支持手段としての支持ピン77がそれぞれ挿入されている。これら支持ピン77は,モータ若しくはエアシリンダ等を備えた昇降手段78により上下動する。
【0033】
昇降手段78により,各支持ピン77を図6中の二点鎖線77’で示した位置に上昇させ,処理容器60内に進入してきた前記主搬送装置13のアームとの間でウェハWの授受が行える状態にする。昇降手段78は,熱板61上にてウェハWを水平姿勢で支持した各支持ピン77を下降させることにより熱板61にウェハWを載置すると共に,各支持ピン77を上昇させることにより熱板61に載置されたウェハWを上昇させて熱板61上に持ち上げるように構成されている。この場合,昇降手段78は,支持ピン77の昇降速度を自在に制御することができる。支持ピン77の下降速度を上昇速度よりも遅くし,ウェハWの下降時間を上昇時間よりも長くするようになっている。
【0034】
次に,以上のように構成されたプリベーキング装置33の作用を,塗布現像処理システム1で行われるウェハWの塗布現像処理のプロセスに基づいて説明する。
【0035】
先ず,ウェハ搬送体7がカセットCから未処理のウェハWを1枚取りだし,第3の処理装置群G3に属するアドヒージョン装置31に搬入する。そして,レジスト液の密着性を向上させる例えばHMDSを塗布されたウェハWは,主搬送装置13によって,クーリング装置30,レジスト塗布装置15又17,プリベーキング装置33又は34に順次搬送され,所定の処理が施される。
【0036】
ここで,プリベーキング装置33において行われる加熱処理のプロセスを図7のフローチャートに沿って説明する。
【0037】
まず,予め電源制御部の給電によりヒータ75を発熱させて熱板61を加熱する。また,供給口70による気体の供給,排気口65による排気を行い,処理容器内60に,熱板61の周囲から処理容器60の中心上方に向けての気体の均一な流れを形成する。
【0038】
次いで,図6に示したように,昇降手段78により,各支持ピン77を図6中の二点鎖線77’で示した位置に上昇させる。一方,主搬送装置13によりウェハWを処理容器60内に搬入し(S1),熱板61上に突出している各支持ピン77に受け渡して支持させる。次いで,各支持ピン77を下降させる(S2)。このとき,開閉弁73を閉じ,供給口70による気体の供給を一旦停止する。また,昇降手段78は,支持ピン77の下降速度を落とし,余裕をもってウェハWの下降時間を例えば2〜3秒(S)とり,比較的ゆくっりとウェハWを熱板61に載置する。
【0039】
所定の時間,加熱処理を行い(S3),レジスト中の残留溶剤を蒸発させる。この場合,再び供給口70による気体の供給を行い,均一な気体の流れを形成する。これにより,熱板61の周囲雰囲気の温度を均一にして好適な加熱処理を行うことができる。
【0040】
加熱処理後,各支持ピン77を上昇させる(S4)。このとき,昇降手段78は,支持ピン77の上昇速度を先の下降速度よりも上げて,ウェハWの上昇時間を短時間,例えば1.5秒で済まし,迅速に熱板61上でウェハWを支持した状態にする。その後,主搬送装置13は,各支持ピン77からウェハWを受け取って処理容器60内から搬出し,エクステンション・クーリング装置41に搬送する。以後,例えば露光装置(図示せず),ポストエクスポージャーベーキング装置44又は45,クーリング装置43,現像処理装置16又は18,ポストベーキング装置35,36,46又は47,クーリング装置30等に搬送し,所定の処理を順次行い,塗布現像処理が終了する。
【0041】
本実施の形態にかかる加熱方法によれば,ウェハWの下降時間を例えば2〜3秒とり,ウェハWの上昇時間を例えば1.5秒とるようにし,支持ピン77の下降速度,即ちウェハWの下降速度を上昇速度よりも遅くし,上昇させるときよりも比較的ゆっくりとウェハWの下降させるようにする。このため,落下加速度が比較的に小さくなり下降直後に支持ピン77からウェハWが浮き上がったり,下降中に空気抵抗によりウェハWが同様に浮き上がって,横ずれする事態を未然に防ぐことができる。そして,図6中の実線Wで示すように,バランスを保ちながらウェハWを水平姿勢で真っ直ぐに降ろして熱板61に載置することができる。従って,傾いたウェハWの一部が熱板61に接触して先に加熱される事態を防止し,ウェハW全体を同時に加熱して均一な加熱処理を行うことが可能となる。その結果,ウェハWを熱板61に載置してから熱板61による加熱が安定するまでの数秒〜数分間においては,ウェハ面内での温度差を例えば3℃以下に抑えることができる。ウェハ昇温過度期におけるウェハWの面内温度分布の均一性を向上させることができる。
【0042】
しかも,支持されたウェハWを下降させて熱板61に載置する工程に際し,気体の供給を停止している。このため,下降中のウェハWに気体が衝突して乱気流が発生することを防止することができる。乱気流が発生すると,その影響によりウェハWの姿勢が傾くおそれがあるが,気体の供給を一旦停止することにより,そのような事態を未然に防ぐことができる。
【0043】
プリベーキング装置33以外の他の加熱処理装置,例えばポストベーキング装置36,37,46,47でも同様に均一な加熱処理を行うことができる。特に温度変化に敏感な化学増幅型レジストを使用する場合,PEBを行うポストエクスポージャーベーキング装置44,45では,ウェハ昇温過度期におけるウェハWの面内温度分布の均一性が向上するので,パターンの線幅等のバラツキを抑制して所望のパターンを得ることができ,高精度な加熱処理を行うことができるようになる。
【0044】
なお,本発明の実施の形態の一例について説明したが,本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。例えば熱板61上で支持されたウェハWを下降させて熱板61に載置する工程に際し,熱板61に載置する直前に,支持ピン77の下降速度を減速,即ちウェハWの下降速度を減退させても良い。図8のグラフは,このときのウェハWの下降時間とウェハWの下降速度との関係を示す一例である。図8に示すように,支持ピン77により下降速度Vでウェハを下降させる。図8中の時刻T1(熱板61に載置する直前)から支持ピン77は減速を開始し(ウェハの下降速度も減速を開始),ウェハWを水平姿勢に確実に保ちながら降ろす。そして,熱板61に載置するときの衝撃を緩和し,図8中の時刻T2で安定してウェハWを熱板61に載置することができる。
【0045】
また,支持されたウェハWを下降させて熱板61に載置する工程に際し,熱板61の周囲雰囲気に供給された気体を吸気しても良い。即ち,図9に示すように,蓋体62の周縁部において周方向に複数の吸気口80を適宜設け,各吸気口80に吸気管81を接続する。吸気管81は,図示しない吸気機構(ポンプ等)に通じている。かかる方法及び構成によれば,ウェハWを下降させる際に,供給口70から供給された気体を吸気口80により吸気して気体がウェハWに及ばないようにする。このため,気体の供給を停止したときと同様に,下降中のウェハWに気体が衝突することがなくなり,乱気流の発生を防止することができる。
【0046】
図7に示すフローチャート中のS2を,図11に示すS2’に変えると良い。即ち,支持ピン77の下降の際には,以上説明した下降速度の減速,気体の供給停止,気体の吸気の工程を自由に組み合わせる。例えば下降速度を減速すると共に,気体の供給を停止したり,又は下降速度を減速すると共に,気体の吸気を行う。より効果的にウェハ全体を均一に熱板61に載置することが可能となる。
【0047】
また図11に示すように,供給口70から供給された気体が下降中のウェハWに衝突するのを防止する防止部材90を設けても良い。防止部材90は,サポートリング67の上面に設置されている。この防止部材90により,供給口70とサポートリング67との間に段差がつけられた構造となる。かかる構成によれば,供給口70から供給された気体は,防止部材90を通り越した後に,処理室63内に流入し,防止部材90は,気体がウェハWに及ぶのを遮る。このため,供給された気体が下降中のウェハWに衝突するのを防止することができ,乱気流の発生を未然に防ぐことができる。また,防止部材90を設ける代わりに,サポートリング67の上面を高くし,供給口70とサポートリング67との間に段差をつけるようにしても良い。
【0048】
さらに図12に示すように,各支持ピン95の上部に,ウェハWを支持ピン95に吸着させる吸着口96をそれぞれ形成しても良い。各支持ピン95の内部には,吸着口96に接続された引き込み流路97が設けられており,この引き込み流路97は,真空ポンプ等からなる吸引機構98に通じている。吸引機構98と昇降手段66は,コントローラ99に接続されている。コントローラ99は,昇降手段66の支持ピン95の下降速度を自在に調整し,吸引機構98の稼働を制御するように構成されている。
【0049】
かかる構成によれば,図12に示すように,熱板61上でウェハWを支持した際には,吸引機構98の真空吸引によりウェハWを吸着口96にしっかりと吸着させる。このときにウェハWを平面からみると,熱板61の所定位置に位置決めされた状態となる。そして,ウェハWを下降させて熱板61に載置する際には,ウェハWを吸着口96により支持ピン95に吸着させているので,空気抵抗等を受けても,ウェハWの浮き上がりを確実に防止することができる。このため,横ずれを防ぎ,熱板61の所定位置にウェハWを正確に載置することが可能となる。また,コントローラ99は,例えばウェハWの下降距離L(搬入された直後に熱板61上で支持されたウェハWと熱板61の距離,既知の値)と支持ピン95の下降速度からウェハWの下降時間を算出し,ウェハWを熱板61上に載置する瞬間に,吸引機構98による真空吸引を停止させる。このように,ウェハWを熱板61上に載置する瞬間を検出して吸引機構98による真空吸引を停止させるように制御することにより,載置した瞬間に熱板61上でウェハWが跳ね返るのを防ぎ,安定した載置を行えるようにする。なお,3本の支持ピン77の中で何れか1本に,吸着口96形成するだけでも,平面視で熱板61上の所定位置にウェハWを定めることができる。
【0050】
また,支持ピン77の上部を適宜加工して,吸着口の形状を自由に形成しても良い。例えば図13に示すように,支持ピン100の吸着口101は,上端を拡径とし下方になるに従って口径が狭められていく,いわゆる逆三角錘台状の形態を成している。このように吸着口101の吸着面積を広げると,支持ピン100は,より強力にウェハWを吸着することができるようになり,下降中の横ずれをより確実に防止することができるようになる。
【0051】
なお,本発明は,基板を上記ウェハWに限定せず,方形の他の基板,たとえばLCD基板を加熱処理する方法及び装置に対しても適用可能である。
【0052】
【発明の効果】
上記加熱処理方法によれば,バランスを保ちながら基板を水平姿勢で真っ直ぐに降ろして熱板に載置することができる。このため,基板全体を同時に加熱して均一な加熱処理を行うことが可能となり,基板昇温過度期における基板の面内温度分布の均一性を向上させることができる。
【0053】
特に,本発明によれば,安定して基板を熱板に載置することができる。また,熱板の周囲雰囲気の温度を均一にして好適な加熱処理を行うことができる。さらに,下降中の基板に気体が衝突して乱気流が発生することを防止することができる。
【0054】
本発明の加熱処理装置によれば,本発明の加熱処理方法を好適に実施することができる。また,本発明の加熱処理方法によれば,供給された気体が下降中の基板に及ばないようにすることができ,さらに乱気流の発生を防止することができる。また,支持手段に基板を吸着させて下降中の基板の浮き上がりを防止し,熱板の所定位置に基板を確実に載置することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかるプリベーキングを備えた塗布現像処理システムの平面図である。
【図2】図1の塗布現像処理システムの正面図である。
【図3】図1の塗布現像処理システムの背面図である。
【図4】本実施の形態にかかるプリベーキング装置の縦断面を示す説明図である。
【図5】図4のプリベーキング装置の平面説明図である。
【図6】ウェハを熱板上にて水平姿勢で支持した状態とウェハを下降させている状態とを合わせて示した説明図である。
【図7】図4のプリベーキング装置で行われる加熱処理のフローチャートである。
【図8】熱板に載置する直前に,ウェハの下降速度を減速させる場合において,ウェハの下降時間とウェハの下降速度との関係を示すグラフである。
【図9】蓋体に吸気口を設けた場合におけるプリベーキング装置の要部の拡大説明図である。
【図10】図7のフローチャート中のS2の変形例であるS2’を示す図である。
【図11】サポートリングに防止部材を設けた場合におけるプリベーキング装置の要部の拡大説明図である。
【図12】支持ピンに吸着口を形成した場合におけるプリベーキング装置の要部の拡大説明図である。
【図13】吸着口の変形例を示す説明図である。
【図14】従来の加熱処理方法において,下降中にウェハのバランスが崩れて傾いた状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 塗布現像処理システム
33,34 プリベーキング装置
60 処理容器
61 熱板
65 排気口
70 供給口
77 支持ピン
78 昇降手段
W ウェハ
Claims (9)
- 熱板に載置して基板を加熱処理する方法であって,
前記熱板の周囲に気体を供給し,前記熱板の周囲雰囲気の温度を均一にする工程と,
基板を前記熱板上にて水平姿勢で支持する工程と,
前記支持された基板を下降させて前記熱板に載置する工程と,
前記熱板の熱により基板を加熱する工程と,
前記加熱された基板を上昇させて前記熱板上にて水平姿勢で支持する工程とを有し,
前記支持された基板を下降させて熱板に載置する工程に際し,前記気体の供給を停止することを特徴とする,加熱処理方法。 - 前記基板の下降時間は,基板の上昇時間よりも長いことを特徴とする,請求項1に記載の加熱処理方法。
- 前記支持された基板を下降させて前記熱板に載置する工程に際し,前記熱板に載置する直前に,前記基板の下降速度を減速させることを特徴とする,請求項1又は2のいずれかに記載の加熱処理方法。
- 熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,
熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,
前記熱板を収納する処理容器と,
前記処理容器内に気体を供給する供給口と,
前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,
前記支持手段を昇降させると共に,前記支持手段の昇降速度を制御可能な昇降手段とを備え,
前記供給口に接続された供給経路に,開閉手段を設けたことを特徴とする,加熱処理装置。 - 熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,
熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,
前記熱板を収納する処理容器と,
前記処理容器内に気体を供給する供給口と,
前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,を備え,
前記供給口から供給された気体が基板に及ばないように当該気体を吸気する吸気口を設けたことを特徴とする,加熱処理装置。 - 熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,
熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,
前記熱板を収納する処理容器と,
前記処理容器内に気体を供給する供給口と,
前記処理容器内の雰囲気を排気する排気口と,を備え,
前記供給口から供給された気体が基板に衝突するのを防止する防止部材を設けたことを特徴とする,加熱処理装置。 - 前記支持手段を昇降させると共に,前記支持手段の昇降速度を制御可能な昇降手段をさらに備えていることを特徴とする,請求項5又は6のいずれかに記載の加熱処理装置。
- 前記支持手段に,前記基板を支持手段に吸着させる吸着口を形成したことを特徴とする,請求項4,5,6又は7のいずれかに記載の加熱処理装置。
- 熱板に載置して基板を加熱処理する装置であって,
熱板上にて基板を水平姿勢で支持する支持手段と,
前記支持手段を昇降させる昇降手段と,
前記支持手段の上部に形成され,前記支持手段に基板を吸着させるための吸着口と,
前記吸着口に通じた吸引機構の稼動及び前記昇降手段による前記支持手段の下降速度を制御するコントローラと,を備え,
前記コントローラは,前記支持手段に支持された基板が昇降手段によって下降され,当該基板が前記熱板に載置される瞬間に,前記吸引機構による吸引を停止させるように制御することを特徴とする,加熱処理装置。
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