JP3909574B2 - レジスト塗布装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば半導体ウエハ等の被処理基板の表面に形成されるレジスト膜の膜質を制御可能なレジスト塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体ウエハの製造工程においては、半導体ウエハやLCD基板等(以下にウエハ等という)の表面に、レジストのパターンを形成するため、フォトリソグラフィ技術が用いられている。このフォトリソグラフィ技術は、ウエハ等の表面にレジスト液を供給(吐出、塗布)してレジスト膜を形成するレジスト膜形成工程と、形成されたレジスト膜に回路パターンを露光する露光工程と、露光後のウエハ等に現像液を供給(吐出、塗布)して現像処理を行う現像工程とを有している。
【0003】
また、上記処理工程間においては、例えばレジスト塗布工程と露光処理工程との間で行われる、レジスト膜中の残留溶剤を蒸発させてウエハ等とレジスト膜との密着性を向上させるための加熱処理{プリベーク(PAB)}や、露光処理工程と現像処理工程との間で行われる、フリンジの発生を防止するため、あるいは化学増幅型レジスト(CAR:chemically amplified resist)における酸触媒反応を誘起するための加熱処理{ポストエクスポージャーベーク(PEB)}や、現像処理工程後に行われる、レジスト中の残留溶剤(残留溶媒)や現像時にレジスト中に取り込まれたリンス液を除去し、ウェットエッチング時の浸み込みを改善するための加熱処理(ポストベーク)等、種々の加熱処理が行われている。
【0004】
フォトリソグラフィー工程においては、回路パターンや線幅(CD)の微細化が進むにつれて、パターン線幅のウエハ面内均一性(CD均一性)が厳しく求められており、パターン寸法に大きく影響を与えるとされていた現像工程及びPEB工程以外に、露光前の工程における線幅変動要因を改善することが求められている。
【0005】
そこで従来では、ウエハ表面に形成されたレジスト膜の膜厚均一性の向上を図ることにより、線幅変動の改善を行っていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、レジスト膜の膜厚が均一であっても例えば、レジスト膜に残留する溶剤量等のレジスト構成物の量分布や、レジスト中の保護基の比率分布差、レジスト中のポリマーの集結状態差等、レジスト膜の化学的、物理的性質(以下に膜質という)の差によって線幅が異なる膜質変化起因の線幅変動が確認されるに至り、レジスト膜の膜質均一性を改善することが非常に重要となっている。
【0007】
この発明は上記事情に鑑みなされたもので、膜質均一性に影響を与える残留溶剤量(残留溶媒量)を制御可能なレジスト塗布装置を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明の第1のレジスト塗布装置は、被処理基板を保持して回転する保持手段と、この保持手段を包囲する処理容器と、上記被処理基板にレジスト液を供給するレジスト液供給手段とを具備するレジスト塗布装置において、上記被処理基板表面の異なる同心円上に向けて、上記レジスト液の溶媒を含む溶剤ガスを供給可能な複数の溶剤ガス供給手段と、上記溶剤ガス供給手段が供給する溶剤ガスの溶剤濃度を調節可能な溶剤濃度調節手段と、上記溶剤ガス供給手段が供給する溶剤ガスの供給量を調節可能な供給量調節手段と、上記溶剤ガスの圧力を調整可能な圧力調整器と、を設けてなり、上記溶剤濃度調節手段は、開閉弁を介して溶剤供給源に接続されると共に、開閉弁を介して不活性ガス供給源に接続され、かつ、溶剤を不活性ガスに揮発させて溶剤ガスを生成可能に形成されていることを特徴とする(請求項1)。ここで、溶剤ガスとは、レジスト液の溶媒(溶剤)を不活性ガスに揮発させたものを意味する。この場合、上記溶剤ガス供給手段は、処理容器内に設けられるか、または、処理容器内に進退可能なノズルアームに設けられる方が好ましい(請求項2,3)。また、溶剤ガス供給手段の被処理基板に対する角度を調節可能に形成する方が好ましい(請求項4)。
【0009】
また、この発明の第2のレジスト塗布装置は、被処理基板を保持して回転する保持手段と、この保持手段を包囲する処理容器と、上記被処理基板にレジスト液を供給するレジスト液供給手段とを具備するレジスト塗布装置において、上記被処理基板の表面との間に一定の隙間を形成する複数の隙間形成手段と、上記複数の隙間形成手段を、それぞれ上記被処理基板上の半径方向に水平移動可能な位置調整手段と、上記複数の隙間形成手段が形成する隙間の大きさをそれぞれ調整可能な間隔調整手段と、を設けたことを特徴とする(請求項5)。この場合、上記隙間形成手段の温度を調節可能な隙間温度調節手段を設ける方が好ましい(請求項6)。
【0010】
この発明によれば、被処理基板上の残留溶剤(残留溶媒)の揮発速度を制御することができるので、被処理基板表面の残留溶剤量を均一にすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1はレジスト液塗布・現像処理システムの一実施形態の概略平面図、図2は図1の正面図、図3は図2の背面図である。
【0013】
上記処理システムは、被処理基板として半導体ウエハW(以下にウエハWという)をウエハカセット1で複数枚例えば25枚単位で外部からシステムに搬入又はシステムから搬出したり、ウエハカセット1に対してウエハWを搬出・搬入したりするためのカセットステーション10(搬送部)と、塗布現像工程の中で1枚ずつウエハWに所定の処理を施す枚葉式の各種処理ユニットを所定位置に多段配置してなるこの発明の処理装置を具備する処理ステーション20と、この処理ステーション20と隣接して設けられる露光装置40(EXP)との間でウエハWを受け渡すためのインター・フェース部30とで主要部が構成されている。
【0014】
上記カセットステーション10は、図1に示すように、カセット載置台2上の突起3の位置に複数個例えば4個までのウエハカセット1がそれぞれのウエハ出入口を処理ステーション20側に向けて水平のX方向に沿って一列に載置され、カセット配列方向(X方向)及びウエハカセット1内に垂直方向に沿って収容されたウエハWのウエハ配列方向(Z方向)に移動可能なウエハ搬送用ピンセット4が各ウエハカセット1に選択的に搬送するように構成されている。また、ウエハ搬送用ピンセット4は、水平のθ方向に回転可能に構成されており、後述する処理ステーション20側の第3の組G3の多段ユニット部に属するアライメントユニット(ALIM)及びエクステンションユニット(EXT)にも搬送できるようになっている。
【0015】
上記処理ステーション20は、図1に示すように、中心部に垂直搬送型の主ウエハ搬送機構21が設けられ、この主ウエハ搬送機構21を収容する室22の周りに全ての処理ユニットが1組又は複数の組に渡って多段に配置されている。この例では、5組G1,G2,G3,G4及びG5の多段配置構成であり、第1及び第2の組G1,G2の多段ユニットはシステム正面(図1において手前)側に並列され、第3の組G3の多段ユニットはカセットステーション10に隣接して配置され、第4の組G4の多段ユニットはインター・フェース部30に隣接して配置され、第5の組G5の多段ユニットは背部側に配置されている。
【0016】
この場合、図2に示すように、第1の組G1では、カップ23(処理容器)内でウエハWをスピンチャック71(保持手段){図4参照}に載置して所定の処理を行う2台のスピナ型処理ユニット、例えばウエハWの表面にレジスト液を供給してレジスト膜を形成するレジスト塗布ユニット(COT){レジスト塗布装置}及びウエハWの表面に現像液を供給して現像処理を行う現像ユニット(DEV)が、垂直方向に2段に重ねられている。第2の組G2も同様に、2台のスピナ型処理ユニット例えばレジスト塗布ユニット(COT)及び現像ユニット(DEV)が垂直方向の下から順に2段に重ねられている。このようにレジスト塗布ユニット(COT)を下段側に配置した理由は、レジスト液の排液が機構的にもメンテナンスの上でも面倒であるためである。しかし、必要に応じてレジスト塗布ユニット(COT)を上段に配置することも可能である。
【0017】
図3に示すように、第3の組G3では、ウエハWをウエハ載置台24に載置して所定の処理を行うオーブン型の処理ユニット例えばウエハWを冷却するクーリングユニット(COL)、ウエハWに疎水化処理を行うアドヒージョンユニット(AD)、ウエハWの位置合わせを行うアライメントユニット(ALIM)、ウエハWの搬入出を行うエクステンションユニット(EXT)、ウエハWをベークする4つのホットプレートユニット(HP)が垂直方向の下から順に例えば8段に重ねられている。第4の組G4も同様に、オーブン型処理ユニット例えばクーリングユニット(COL)、エクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)、エクステンションユニット(EXT)、クーリングユニット(COL)、急冷機能を有する2つのチリングホットプレートユニット(CHP)及び2つのホットプレートユニット(HP)が垂直方向の下から順に例えば8段に重ねられている。
【0018】
上記のように処理温度の低いクーリングユニット(COL)、エクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)を下段に配置し、処理温度の高いホットプレートユニット(HP)、チリングホットプレートユニット(CHP)及びアドヒージョンユニット(AD)を上段に配置することで、ユニット間の熱的な相互干渉を少なくすることができる。勿論、ランダムな多段配置とすることも可能である。
【0019】
なお、図1に示すように、処理ステーション20において、第1及び第2の組G1,G2の多段ユニット(スピナ型処理ユニット)に隣接する第3及び第4の組G3,G4の多段ユニット(オーブン型処理ユニット)の側壁の中には、それぞれダクト65,66が垂直方向に縦断して設けられている。これらのダクト65,66には、ダウンフローの清浄空気又は特別に温度調整された空気が流されるようになっている。このダクト構造によって、第3及び第4の組G3,G4のオーブン型処理ユニットで発生した熱は遮断され、第1及び第2の組G1,G2のスピナ型処理ユニットへは及ばないようになっている。
【0020】
また、この処理システムでは、主ウエハ搬送機構21の背部側にも図1に点線で示すように第5の組G5の多段ユニットが配置できるようになっている。この第5の組G5の多段ユニットは、案内レール67に沿って主ウエハ搬送機構21から見て側方へ移動できるようになっている。したがって、第5の組G5の多段ユニットを設けた場合でも、ユニットをスライドすることにより空間部が確保されるので、主ウエハ搬送機構21に対して背後からメンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0021】
上記インター・フェース部30は、奥行き方向では処理ステーション20と同じ寸法を有するが、幅方向では小さなサイズに作られている。このインター・フェース部30の正面部には可搬性のピックアップカセット31と定置型のバッファカセット32が2段に配置され、背面部には周辺露光装置33が配設され、中央部には、ウエハ搬送アーム34が配設されている。
【0022】
ウエハ搬送アーム34は、X,Z方向に移動して両カセット31,32及び周辺露光装置33に搬送するように構成されている。また、ウエハ搬送アーム34は、θ方向に回転可能に構成され、処理ステーション20側の第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンションユニット(EXT)及び隣接する露光装置40(EXP)側のウエハ受渡し台(図示せず)にも搬送できるように構成されている。
【0023】
上記のように構成される処理システムは、クリーンルーム50内に設置されるが、更にシステム内でも効率的な垂直層流方式によって各部の清浄度を高めている。
【0024】
次に、上記処理システムの動作について説明する。まず、カセットステーション10において、ウエハ搬送用ピンセット4がカセット載置台2上の未処理のウエハWを収容しているカセット1にアクセスして、そのカセット1から1枚のウエハWを取り出す。ウエハ搬送用ピンセット4は、カセット1よりウエハWを取り出すと、処理ステーション20側の第3の組G3の多段ユニット内に配置されているアライメントユニット(ALIM)まで移動し、ユニット(ALIM)内のウエハ載置台24上にウエハWを載せる。ウエハWは、ウエハ載置台24上でオリフラ合せ及びセンタリングを受ける。その後、主ウエハ搬送機構21がアライメントユニット(ALIM)に反対側からアクセスし、ウエハ載置台24からウエハWを受け取る。
【0025】
処理ステーション20において、主ウエハ搬送機構21はウエハWを最初に第3の組G3の多段ユニットに属するアドヒージョンユニット(AD)に搬入する。このアドヒージョンユニット(AD)内でウエハWは疎水化処理を受ける。疎水化処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをアドヒージョンユニット(AD)から搬出して、次に第3の組G3又は第4の組G4の多段ユニットに属するクーリングユニット(COL)へ搬入する。このクーリングユニット(COL)内でウエハWはレジスト塗布処理前の設定温度例えば23℃まで冷却される。冷却処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをクーリングユニット(COL)から搬出し、次に第1の組G1又は第2の組G2の多段ユニットに属するレジスト塗布ユニット(COT)へ搬入する。このレジスト塗布ユニット(COT)内でウエハWはスピンコート法によりウエハ表面に一様な膜厚でレジストを塗布する。
【0026】
レジスト塗布処理が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをレジスト塗布ユニット(COT)から搬出し、次にホットプレートユニット(HP)内へ搬入する。ホットプレートユニット(HP)内でウエハWは載置台上に載置され、所定温度例えば100℃で所定時間プリベーク処理される。これによって、ウエハW上の塗布膜から残存溶剤(溶媒)を蒸発除去することができる。プリベークが終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをホットプレートユニット(HP)から搬出し、次に第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンション・クーリングユニット(EXTCOL)へ搬送する。このユニット(COL)内でウエハWは次工程すなわち周辺露光装置33における周辺露光処理に適した温度例えば24℃まで冷却される。この冷却後、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWを直ぐ上のエクステンションユニット(EXT)へ搬送し、このユニット(EXT)内の載置台(図示せず)の上にウエハWを載置する。このエクステンションユニット(EXT)の載置台上にウエハWが載置されると、インター・フェース部30のウエハ搬送アーム34が反対側からアクセスして、ウエハWを受け取る。そして、ウエハ搬送アーム34はウエハWをインター・フェース部30内の周辺露光装置33へ搬入する。ここで、ウエハWはエッジ部に露光を受ける。なお、周辺露光装置33内に膜厚測定器を設けて、定期的にウエハWの膜厚を測定し、膜厚均一性又は膜質均一性の検査を行うこともできる。
【0027】
周辺露光が終了すると、ウエハ搬送アーム34は、ウエハWを周辺露光装置33から搬出し、隣接する露光装置40(EXP)側のウエハ受取り台(図示せず)へ移送する。この場合、ウエハWは、露光装置40(EXP)へ渡される前に、バッファカセット32に一時的に収納されることもある。
【0028】
露光装置40(EXP)で全面露光が済んで、ウエハWが露光装置40(EXP)側のウエハ受取り台に戻されると、インター・フェース部30のウエハ搬送アーム34はそのウエハ受取り台へアクセスしてウエハWを受け取り、受け取ったウエハWを処理ステーション20側の第4の組G4の多段ユニットに属するエクステンションユニット(EXT)へ搬入し、ウエハ受取り台上に載置する。この場合にも、ウエハWは、処理ステーション20側へ渡される前にインター・フェース部30内のバッファカセット32に一時的に収納されることもある。
【0029】
ウエハ受取り台上に載置されたウエハWは、主ウエハ搬送機構21により、チリングホットプレートユニット(CHP)に搬送され、フリンジの発生を防止するため、あるいは化学増幅型レジスト(CAR)における酸触媒反応を誘起するためポストエクスポージャーベーク(PEB)処理が施される。
【0030】
その後、ウエハWは、第1の組G1又は第2の組G2の多段ユニットに属する現像ユニット(DEV)に搬入される。この現像ユニット(DEV)内では、ウエハWはスピンチャックの上に載せられ、例えばスプレー方式により、ウエハW表面のレジストに現像液が満遍なくかけられる。現像が終了すると、ウエハW表面にリンス液がかけられて現像液が洗い落とされる。
【0031】
現像工程が終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWを現像ユニット(DEV)から搬出して、次に第3の組G3又は第4の組G4の多段ユニットに属するホットプレートユニット(HP)へ搬入する。このユニット(HP)内でウエハWは例えば100℃で所定時間ポストベーク処理される。これによって、現像で膨潤したレジストが硬化し、耐薬品性が向上する。
【0032】
ポストベークが終了すると、主ウエハ搬送機構21は、ウエハWをホットプレートユニット(HP)から搬出し、次にいずれかのクーリングユニット(COL)へ搬入する。ここでウエハWが常温に戻った後、主ウエハ搬送機構21は、次にウエハWを第3の組G3に属するエクステンションユニット(EXT)へ移送する。このエクステンションユニット(EXT)の載置台(図示せず)上にウエハWが載置されると、カセットステーション10側のウエハ搬送用ピンセット4が反対側からアクセスして、ウエハWを受け取る。そして、ウエハ搬送用ピンセット4は、受け取ったウエハWをカセット載置台上の処理済みウエハ収容用のカセット1の所定のウエハ収容溝に入れて処理が完了する。
【0033】
次に、本願発明におけるレジスト塗布ユニット(COT){レジスト塗布装置}の構成について説明する。
【0034】
レジスト塗布ユニット(COT)は、図4に示すように、例えばウエハWを回転保持するスピンチャック71(保持手段)と、このスピンチャック71の外側及び下部側を包囲すると共に、上方部が開口したカップ72(処理容器)と、スピンチャック71の上方位置に移動可能であると共に、ウエハWにレジスト液を供給(吐出、塗布)可能なレジスト液供給ノズル73(レジスト液供給手段)とで主に構成されている。
【0035】
スピンチャック71は例えばポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)製の耐熱性合成樹脂性部材にて形成され、ウエハWの下面を真空吸着して保持可能な載置部71aと、この載置部71aの下面中央に突出し、回転駆動手段例えばモータMに連結される回転軸71bとで構成されている。この場合、モータMは、例えばサーボモータにて形成されており、予めプログラミングされた信号に基づいて回転数が制御されるようになっている。また、回転軸71bは、図示しない昇降シリンダ等の駆動によって上下方向に移動し、主ウエハ搬送機構21との間でウエハWを受渡可能に形成されている。
【0036】
カップ72は、例えばステンレス鋼製部材にて形成され、側壁72aの上部が上側に向って縮径されたテーパ面72bを有している。
【0037】
レジスト液供給ノズル73は、レジスト液供給管路74を介してレジスト液が貯留されるレジスト液供給源76に連通されている。また、レジスト液供給管路74には、レジスト液供給源76側から順に、開閉弁V1と、レジスト液を圧送する圧送手段例えばポンプ75と、ウエハWの表面に供給するレジスト液の供給量を調節可能なレジスト液供給量調節手段、例えばマスフローコントローラC1と、レジスト液供給ノズル73がレジスト液の供給を停止した際にレジスト液供給ノズル73の供給部73aに残留するレジスト液を吸引し、供給口73bからの液だれを抑制する処理液吸引手段例えばサックバックバルブSVとが介設されている。
【0038】
また、レジスト液供給ノズル73には、レジスト液の溶剤を供給可能な溶剤供給ノズル77が隣接位置に一体に形成されている。この溶剤供給ノズル77は、溶剤供給管路78を介して溶剤タンク79に接続されており、溶剤タンク79内に供給される窒素ガス等の加圧を制御することによって溶剤タンク79内の溶剤を溶剤供給ノズル77からウエハW表面に供給可能となっている。また、溶剤供給管路78には、溶剤の供給量を調節可能なマスフローコントローラC2と、開閉弁V2が設けられている。
【0039】
次に、上記のように構成されるレジスト塗布ユニット(COT)の動作態様を以下に説明する。
【0040】
主ウエハ搬送機構21によってウエハWが搬入されると、スピンチャック71は、昇降シリンダによってカップ72外に上昇し、ウエハWを真空吸着によって保持する。
【0041】
次にスピンチャック71がカップ72内の所定位置に下降すると、スピンチャック上のウエハWは、モータの駆動により処理時の定常回転より低速、例えば200〜800rpmに回転され、溶剤供給ノズル77からウエハWの表面に溶剤が所定時間、例えば20秒間供給(滴下、塗布)される。なお、ウエハWを回転させずに静止した状態で溶剤を供給し、その後に回転してもよい。
【0042】
このようにして溶剤を供給した後、スピンチャック71の回転数を上記低速回転数に維持した状態で溶剤の供給を停止する。このとき、溶剤はウエハWの全面に拡散され塗布される。
【0043】
次にスピンチャック71は高速回転、例えば1000rpmで回転されると同時に、ウエハWの中心部上方に移動されたレジスト液供給ノズル73からレジスト液を例えば5秒間例えば8cc供給(滴下、塗布)され、レジスト膜が形成される。
【0044】
この後、ウエハW表面に広がったレジスト膜の乾燥を促進させるため、所定の回転数で一定時間ウエハWを回転(以下に乾燥回転という)させた後、回転を停止してレジスト塗布処理を終了する。レジスト塗布処理が終了すると、スピンチャック71が上昇し、ウエハWは主ウエハ搬送機構21に受け渡されて次の工程へと搬送される。
【0045】
以下に、この発明のレジスト塗布装置について、図5ないし図14を参照して説明する。
【0046】
◎第一実施形態
この発明の第一実施形態は、上述のように構成されるレジスト塗布ユニット(COT)において、ウエハW表面の異なる同心円上に向けて溶剤ガスを供給(吐出、噴霧)可能な複数の溶剤ガス供給ノズル80(溶剤ガス供給手段)と、溶剤ガス供給ノズル80が供給する溶剤ガスの溶剤濃度を調節可能な混合器85(溶剤濃度調節手段)と、溶剤ガス供給ノズル80が供給する溶剤ガスの供給量を調節可能な例えばマスフローコントローラC3(供給量調節手段)とを設けたものである。
【0047】
この場合、溶剤ガス供給ノズル80は、カップ72内のテーパ面72bに複数、例えば図5に示すように、対向するテーパ面72bにそれぞれ4個ずつ合計8個設けられている。また、各溶剤ガス供給ノズル80は、ウエハW表面の異なる同心円上に向けて溶剤ガスを供給し得るようにそれぞれ角度を調節して設けられている。
【0048】
混合器85は、図5に示すように、開閉弁V3を介して溶剤供給源83に接続されると共に、開閉弁V4を介して不活性ガス供給源84と接続されており、例えば温度調節機能を有するヒータ等(図示せず)によって、溶剤を不活性ガスに安定的に揮発させて溶剤ガスを生成可能に形成されている。また、混合器85には、溶剤ガスに含まれる溶剤の濃度を調節可能な例えば気化濃度制御弁(図示せず)が設けられており、後述するCPU100の制御信号に基づいて、この溶剤ガスに含まれる溶剤の濃度を後述するウエハWの残留溶剤(残留溶媒)の揮発を制御する所定の濃度に調節することができる。
【0049】
また、溶剤ガス供給ノズル80と混合器85とは、図5に示すように、溶剤ガス供給管路82によって接続されており、溶剤ガス供給管路82には、溶剤ガス供給ノズル80側から順に、溶剤ガスの流量(供給量)を計測可能であると共に、溶剤ガスの供給量(流量)を調節可能なマスフローコントローラC3と、溶剤ガスの圧力を調整可能な例えばレギュレータ等の圧力調整器86が介設されている。
【0050】
また、開閉弁V3,V4、混合器85、圧力調整器86、マスフローコントローラC3は、それぞれ制御手段例えばCPU100と電気的に接続されており、予め求められたウエハWの残留溶剤量に応じて、溶剤ガスに含まれる溶剤の濃度や溶剤ガスの圧力、溶剤ガスの流量(供給量)等を制御可能に構成されている。
【0051】
レジスト塗布ユニット(COT)を、このように構成することにより、例えば、ウエハWの中心部の残留溶剤(残留溶媒)の揮発速度が、周縁部の残留溶剤の揮発速度より小さい場合には、中心部に溶剤濃度の低い溶剤ガスを供給(噴霧)して、残留溶剤の揮発を促進し、周縁部に溶剤濃度の高い溶剤ガスを供給(噴霧)して、残留溶剤の揮発を抑制することにより、乾燥回転中に揮発する被処理基板上の残留溶剤の揮発速度を調節することができるので、被処理基板表面の残留溶剤量を均一にすることができる。すなわち、膜質均一性を向上することができる。
【0052】
また、図6(a)、(b)に示すように、ウエハWのレジスト膜中の残留溶剤の揮発速度は乾燥回転中に一定ではなく、時間と共に、すなわち残留溶剤の減少と共に小さくなっていく。
【0053】
一方、本発明者等が、鋭意研究した結果、乾燥回転後の残留溶剤量がウエハWの面内で均一な場合には、面内における乾燥回転中の揮発速度、特に乾燥回転初期の揮発速度を、レジストの種類によって異なる一定速度(以下に理想揮発速度という)にした方が、膜質は均一になることが分かった。
【0054】
したがって、ウエハWの乾燥回転中に溶剤ガス供給ノズル80が供給する溶剤ガスの濃度及び供給量を、CPU100によって制御すれば、更に膜質の均一性を向上することができる。
【0055】
例えば、図6(a),(b)に示すように、揮発速度が理想揮発速度(一点鎖線)よりも小さい場合には、溶剤ガス供給ノズル80がウエハWの表面に供給する溶剤ガスの溶剤濃度を混合器85で0%、すなわち不活性ガスのみに調整すると共に、図6(c),(d)の破線で示すように、不活性ガスの供給量をマスフローコントローラC3によって調整し、揮発速度を理想揮発速度に近づくように大きくすればよい。
【0056】
また、図6(b)に示すように、揮発速度が理想揮発速度よりも大きい場合には、溶剤ガス供給ノズル80がウエハWの表面に供給する溶剤ガスの溶剤濃度を混合器85で調整すると共に、図6(d)の実線で示すように、溶剤ガスの供給量をマスフローコントローラC3によって調整し、揮発速度を理想揮発速度に近づくように小さくすればよい。
【0057】
このように構成することにより、乾燥回転初期の揮発速度を理想揮発速度に調整することができるので、膜質均一性を更に向上することができる。
【0058】
なお、上記説明では、溶剤ガス供給ノズル80をカップ72内のテーパ面72bに設ける場合について説明したが、溶剤ガス供給ノズル80を設ける位置はこれに限らず、カップ72の内外に進退移動可能なノズルアーム88に複数設けるようにしてもよい(図7参照)。
【0059】
この場合、ノズルアーム88は、カップ72上を水平移動可能な例えばモータとボールねじ機構等により構成される移動手段(図示せず)と、カップ72上で昇降移動可能な例えばエアシリンダ等の昇降手段(図示せず)とで構成すればよい。
【0060】
また、溶剤ガス供給ノズル80に、その角度を調節可能な角度調節手段を設ければ、ウエハWの種類(形状、大きさ等)又はレジスト液の種類、あるいは乾燥回転中のウエハWの残留溶剤の量に応じて、溶剤ガス供給ノズル80の角度を変えて、処理することができる。
【0061】
次に、溶剤ガス供給ノズル80をノズルアーム88に設けた場合のレジスト膜形成方法について、図7を参照して説明する。
【0062】
まず、カップ72内へウエハWを搬入する際には、ノズルアーム88は、主ウエハ搬送機構21との干渉を避けるため、カップ72外へ一時待機させておき、スピンチャック71を上昇させてウエハWを主ウエハ搬送機構21から受け取る。スピンチャック71は、受け取ったウエハWを吸着保持した後、カップ72内へ下降する{図7(a)}。
【0063】
次に、レジスト液供給ノズル73がウエハWの上方に移動され、ウエハW表面にレジスト液が供給されると共に、スピンチャック71が回転されてレジスト膜が形成される{図7(b)}。
【0064】
レジスト膜が形成されると、レジスト液供給ノズル73は、ウエハWの上方から図示しない待機位置に移動され、スピンチャック71が、乾燥回転を開始する。乾燥回転が開始すると、ノズルアーム88はウエハWの上方へ移動される{図7(c)}。
【0065】
乾燥回転中に、各溶剤ガス供給ノズル80は、CPU100の制御信号に基づいて、ウエハW表面の異なる同心円上に向けて、それぞれ異なる溶剤濃度の溶剤ガスを供給(吐出、噴霧)し、ウエハWの残留溶剤の揮発速度を制御する{図7(d)}。
【0066】
乾燥処理が終了すると、ノズルアーム88はカップ72外へ退避された後{図7(e)}、ウエハWの縁部裏面がリンス処理される。
【0067】
その後、スピンチャック71が上昇し、ウエハWは主ウエハ搬送機構21によってレジスト塗布ユニット(COT)外へ搬出され、レジスト塗布処理が終了する。
【0068】
◎第一参考実施形態
この発明の第一参考実施形態は、レジスト塗布ユニット(COT)において、スピンチャック71の上方に、異なる同心円上で下面側の厚さが異なる天板90を設けて、残留溶剤の揮発速度を制御するようにした場合である。
【0069】
例えば、乾燥回転中におけるウエハWの周縁部の残留溶剤の揮発速度が、中心部の残留溶剤の揮発速度より大きい場合には、図8に示すように、スピンチャック71に保持されるウエハW上に、下面に向かって拡開するテーパ凹状部を有するウエハWと略同形の天板90を、ウエハWの上方に近接させて設ければよい。
【0070】
天板90をこのように構成すれば、ウエハWの周縁部上方の空間が狭くなるため、揮発した溶剤が拡散し難く、処理雰囲気中の溶剤濃度が高くなり溶剤の揮発速度が抑制される。一方、ウエハWの中心部ではウエハW上の空間が広いため、揮発した溶剤は拡散し易く、処理雰囲気中の溶剤濃度はそれ程高くならないため、残留溶剤の揮発速度は抑制されない。したがって、ウエハWの中心部と周縁部の揮発速度を調節して、ウエハW表面の残留溶剤量を均一にすることができる。
【0071】
なお、天板90は、カップ72の内外に進退移動可能な天板搬送アームに取り外し可能に設けてもよいし、カップ72に蓋体を設けて、その蓋体の下面に取り外し可能に設けてもよい。
【0072】
この場合、天板90は、上記第一実施形態のノズルアーム88に保持される溶剤ガス供給ノズル80の場合と同様に、レジスト塗布後の乾燥回転中に、カップ72内のウエハWの上方に移動され、所定時間の乾燥回転後、カップ72外へ退避させられる。
【0073】
また、天板90は、断面が下面に向かって拡開するテーパ凹状に形成されるものに限らず、例えば、下面側が断面階段状で中心部が最も薄く形成される天板91{図9(a)}とすることも可能である。また、乾燥回転中におけるウエハWの中心部の残留溶剤の揮発速度が、周縁部の残留溶剤の揮発速度より大きい場合には、断面が下面側に縮径するテーパ凸状に形成される天板92{図9(b)}とするか、又は、下面側が断面階段状で中心部が最も厚い天板93{図9(c)}とすることもできる。また、レジスト膜の残留溶剤量又は揮発速度の状況に応じて、その他の種々の形状、例えば図9(d)に示す天板94のような形状にすることも勿論可能である。
【0074】
また、天板90に天板用昇降手段を設けて、天板90を昇降可能に形成し、乾燥回転中に天板90とウエハWとの距離を調整すれば、更に確実に揮発速度を制御することができる。
【0075】
また、天板90に例えばヒータ等の天板温度調節手段を設けて、天板の異なる同心円上の温度を調節可能に形成すれば、更に確実にウエハWの中心部と周縁部の揮発速度を制御することができる。
【0076】
◎第二参考実施形態
この発明の第二参考実施形態は、レジスト塗布ユニット(COT)において、スピンチャック71の上方に、異なる同心円上で開孔率が異なる天板95を設けて、残留溶剤の揮発速度を制御するようにした場合である。
【0077】
例えば、乾燥回転中におけるウエハWの中心部の残留溶剤の揮発速度が、周縁部の残留溶剤の揮発速度より小さい場合には、図10に示すように、中心部から順番に開口率の高い、例えば開口率が10〜40%程度の多孔質材95a,95bを用い、周縁部には例えばアルミニウムやステンレス等の開口率が0%の金属95cを用いた天板95を、スピンチャック71に保持されるウエハW上に設ければよい。
【0078】
このように天板95を構成することにより、ウエハWの中心部上方では、多孔質材95a,95bの開口率が高いので、揮発した溶剤は多孔質材95a,95bを透過して拡散することができるのに対し、周縁部上方では、揮発した溶剤は金属95cによって遮断されるため、処理雰囲気中の溶剤濃度が高くなる。したがって、ウエハWの中心部と周縁部とで揮発速度を調節して、ウエハW表面の残留溶剤量を均一にすることができる。
【0079】
なお、上記説明では、天板95を多孔質材と金属で形成する場合について説明したが、天板95はこれに限らず、例えばアルミニウムやステンレス等の金属製の天板95に、溶剤蒸気(溶媒蒸気)が通過可能な通気孔を複数設け、異なる同心円上で通気孔の数や大きさを異ならせたものを用いることも可能である。
【0080】
また、天板95の開口率は、残留溶剤の揮発速度に応じて、自由に変更可能であり、例えば乾燥回転中におけるウエハWの中心部の残留溶剤の揮発速度が、周縁部の残留溶剤の揮発速度より大きい場合には、中心部の開口率を周縁部の開口率より小さく形成することも可能である。
【0081】
更に、天板95の形状を、異なる同心円上で下面側の厚さが異なるように形成すれば、第一参考実施形態と同様に、ウエハW上方の空間の大きさを変えて、残留溶剤の揮発速度を制御することができるという効果が得られる{図10(b)参照}。また、第一参考実施形態と同様に、天板95に天板用昇降手段や天板温度調節手段を設けることも勿論可能である。
【0082】
◎第二実施形態
この発明の第二実施形態は、レジスト塗布ユニット(COT)において、ウエハW上に一定の隙間を形成する複数のブロック110(隙間形成手段)と、ブロック110を、それぞれウエハW上の半径方向に水平移動可能なブロック用アーム111(位置調整手段)と、ブロック110が形成する隙間の大きさをそれぞれ調整可能なブロック用昇降手段112(間隔調整手段)とを設けて、残留溶剤の揮発速度を制御するようにした場合である。
【0083】
ブロック110は、図11、図12に示すように、例えば下面がウエハW表面と平行な円柱状に形成されており、乾燥回転中にウエハWと一定の隙間を保つことにより残留溶剤の揮発を抑制することができる。なお、ブロック110は、例えばアルミニウムやステンレス等の材料によって形成される。
【0084】
ブロック用昇降手段112は、図11に示すように、ウエハWがスピンチャック71に保持される際に干渉しない位置に、例えば等間隔に4個設けられ、例えばモータとボールねじ機構等により構成される昇降手段(図示せず)の駆動によりブロック110を昇降し、ブロック110の下面とウエハWの表面が形成する隙間の間隔を調整することができるように構成されている。
【0085】
ブロック用アーム111は、図11に示すように、一端がブロック110を保持可能に形成されると共に他端がブロック用昇降手段112の上部に接続され、回転手段例えばモータ等(図示せず)の駆動により、ブロック用アーム111をウエハWの半径方向に水平移動可能に形成される。また、ブロック用アーム111は、回転時にスピンチャックの回転中心上をブロック110が通過可能な長さに形成されている。
【0086】
次に、上記のように構成されるレジスト塗布ユニット(COT)を用いた処理方法について説明する。
【0087】
まず、レジスト液供給ノズル73がレジスト液の供給を開始する前においては、図12(a)に示すように、ブロック110は、ウエハW外周の待機位置において、ウエハW表面から30mm程度上方の位置に待機している。
【0088】
次に、レジスト液供給ノズル73がレジスト液の供給を開始しすると、ブロック用アーム111は、図12(b)に示すように、回転手段の駆動により所定の角度だけ回転し、ブロック110をウエハW上方の所定位置に移動する。
【0089】
ブロック110が所定位置に移動すると、ブロック用昇降手段112は、図12(c)に示すように、ブロック110を下降して、ブロック110の下面とウエハW表面との間に所定間隔、例えば0.3〜3mmの隙間を形成するように調整する。
【0090】
所定時間が経過すると、ブロック110は、ブロック用アーム111によって次の位置まで移動されると共に、ブロック用昇降手段112の駆動により隙間の大きさを調整される。
【0091】
このようにして、レジスト液の塗布処理中又は乾燥回転中に、複数のブロック110を種々の位置に移動した後、最終的に待機位置に戻して、レジスト塗布処理を終了する。
【0092】
このように構成することにより、乾燥回転中のウエハW表面に形成される隙間の位置及び大きさを変えて残留溶剤の揮発速度を制御することができるので、ウエハW表面の残留溶剤量を均一にすることができる。
【0093】
なお、ブロック110に、例えば15〜30℃に温調された水等を流すことが可能な温調水管路を螺旋状に設ければ、ブロック110の温度を調節することができ、更に確実に残留溶剤の揮発を制御することができる。
【0094】
また、上記説明では、ブロック110の形状を円柱状にしたものについて説明したが、ブロック110の形状はこれに限らず、ウエハW上に一定の隙間を形成するものであれば、例えば四角柱や半球状等に形成することも可能である。
【0095】
◎第三参考実施形態
この発明の第三参考実施形態は、レジスト塗布ユニット(COT)において、複数の領域に分割され、ウエハW表面に向けて清浄なエアを供給可能な空気清浄手段120と、空気清浄手段120が供給するエアの温度を、各領域ごとに調節可能な複数の温調器(エア温度調節手段)と、ウエハWの異なる同心円上の表面近傍の温度を検出可能な複数の熱電対122(温度検出手段)と、熱電対122が検出した検出信号に基づいて、温調器を制御するCPU100(制御手段)とを設けて、残留溶剤の揮発速度を制御するようにした場合である。
【0096】
空気清浄手段120は、図13に示すように、異なる同心円上の複数の領域、例えば3つの領域120a,120b,120cに分割されており、パーティクル等を除去可能な例えばULPAフィルタ等によって、清浄なエアをウエハW表面に供給可能に形成されている。
【0097】
また、図13に示すように、空気清浄手段120の各領域120a,120b,120cは、それぞれエア供給管路124a,124b,124cを介してエア供給源126に接続されており、例えばファンやポンプ等のエア供給手段125a,125b,125cによって、各領域120a,120b,120cに所定量のエアを供給可能に形成されている。
【0098】
また、エア供給管路124a,124b,124cには、領域120a,120b,120cとエア供給手段125a,125b,125cとの間に、それぞれ温調器121a,121b,121cが設けられており、後述するCPU100からの制御信号に基づいて、エアの温度をそれぞれ調節可能に形成されている。
【0099】
熱電対122は、図13に示すように、スピンチャック71に保持されるウエハWの半径方向に延びる熱電対搬送アーム123に複数、例えば3つ設けられ、ウエハWの異なる同心円上の表面近傍、例えばウエハW表面から2〜3mm程度の高さ位置の温度を検出可能に形成されている。
【0100】
また、熱電対122は、後述するCPU100と電気的に接続されており、検出した温度をCPU100に伝達可能に形成されている。
【0101】
また、熱電対搬送アーム123は、カップ72を貫挿して設けられており、例えばモータとボールねじ機構等により構成される駆動手段によって、ウエハW上方を半径方向に水平移動可能に構成されている。
【0102】
熱電対搬送アーム123を、このように構成することにより、ウエハWの搬入・搬出時には、図14(a)に示すように、ウエハWと熱電対搬送アーム123とが干渉しない位置、例えば熱電対搬送アーム123の先端が、スピンチャック71に保持されるウエハWの外周より外側の位置まで退避させることができ、また、レジスト塗布処理時には、図14(b)に示すように、熱電対搬送アーム123の先端が、スピンチャック71に保持されるウエハWの中心上方の位置に水平移動することができる。
【0103】
CPU100は、熱電対122が検出した検出信号と、予め記憶された溶剤の揮発速度と温度との相関情報とに基づいて、温調器121a,121b,121cを制御可能に形成されている。
【0104】
上記のように構成することにより、空気清浄手段120の各領域120a,120b,120cが供給するエアの温度によって、ウエハW表面の異なる同心円上で揮発速度を制御することができるので、均一な膜質のレジスト膜を形成することができる。
【0105】
なお、空気清浄手段120に、例えばモータとボールねじ機構等によって構成される空気清浄手段用昇降手段を設けて、レジスト塗布処理時に空気清浄手段120を昇降可能とすれば、更に確実にウエハW表面の温度を調整して、揮発速度を制御することができる。
【0106】
なお、上記実施形態では、被処理基板が半導体ウエハの場合について説明したが、ウエハ以外の例えばLCD基板やフォトマスク用のレチクル基板等においてもこの発明が適用できることは勿論である。
【0107】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明によれば、被処理基板上の残留溶剤(残留溶媒)の揮発速度を制御することができるので、被処理基板表面の残留溶剤量を均一にすることができる。したがって、パターン線幅を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係るレジスト液塗布・現像処理システムの一例を示す概略平面図である。
【図2】 上記レジスト液塗布・現像処理システムの概略正面図である。
【図3】 上記レジスト液塗布・現像処理システムの概略背面図である。
【図4】 この発明のレジスト塗布装置の主要部を示す概略構成図である。
【図5】 この発明の第一実施形態のレジスト塗布装置を示す概略構成図である。
【図6】 この発明の第一実施形態のレジスト塗布装置を用いた処理方法を説明するグラフである。
【図7】 この発明におけるノズルアームの動作態様を説明する概略説明図である。
【図8】 この発明の第一参考実施形態のレジスト塗布装置を示す概略構成図である。
【図9】 この発明の第一参考実施形態における天板の形状を示す断面図である。
【図10】 この発明の第二参考実施形態のレジスト塗布装置を示す概略構成図である。
【図11】 この発明の第二実施形態のレジスト塗布装置を示す概略構成図である。
【図12】 この発明の第二実施形態のレジスト塗布装置を用いた処理方法を説明する概略構成図である。
【図13】 この発明の第三参考実施形態のレジスト塗布装置を示す概略構成図である。
【図14】 この発明の第三参考実施形態における熱電対搬送アームの動作態様を示す概略構成図である。
【符号の説明】
W 半導体ウエハ(被処理基板)
V3 開閉弁(供給量調節手段)
71 スピンチャック(保持手段)
72 カップ(処理容器)
73 レジスト液供給ノズル(レジスト液供給手段)
80 溶剤ガス供給ノズル(溶剤ガス供給手段)
85 混合器(溶剤濃度調節手段)
88 ノズルアーム
90,91,92,93,94 天板
95 天板
100 CPU(制御手段)
110 ブロック(隙間形成手段)
111 ブロック用アーム(位置調整手段)
112 ブロック用昇降手段(間隔調整手段)
120 空気清浄手段
120a,120b,120c 領域
121a,121b,121c 温調器(エア温度調節手段)
122 熱電対(温度検出手段)
Claims (6)
- 被処理基板を保持して回転する保持手段と、この保持手段を包囲する処理容器と、上記被処理基板にレジスト液を供給するレジスト液供給手段とを具備するレジスト塗布装置において、
上記被処理基板表面の異なる同心円上に向けて、上記レジスト液の溶媒を含む溶剤ガスを供給可能な複数の溶剤ガス供給手段と、
上記溶剤ガス供給手段が供給する溶剤ガスの溶剤濃度を調節可能な溶剤濃度調節手段と、
上記溶剤ガス供給手段が供給する溶剤ガスの供給量を調節可能な供給量調節手段と、
上記溶剤ガスの圧力を調整可能な圧力調整器と、を設けてなり、
上記溶剤濃度調節手段は、開閉弁を介して溶剤供給源に接続されると共に、開閉弁を介して不活性ガス供給源に接続され、かつ、溶剤を不活性ガスに揮発させて溶剤ガスを生成可能に形成されていることを特徴とするレジスト塗布装置。 - 請求項1記載のレジスト塗布装置において、
上記溶剤ガス供給手段は、処理容器内に設けられることを特徴とするレジスト塗布装置。 - 請求項1記載のレジスト塗布装置において、
上記溶剤ガス供給手段は、処理容器内に進退移動可能なノズルアームに設けられることを特徴とするレジスト塗布装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載のレジスト塗布装置において、
上記溶剤ガス供給手段の被処理基板に対する角度を調整可能に形成してなることを特徴とするレジスト塗布装置。 - 被処理基板を保持して回転する保持手段と、この保持手段を包囲する処理容器と、上記被処理基板にレジスト液を供給するレジスト液供給手段とを具備するレジスト塗布装置において、
上記被処理基板の表面との間に一定の隙間を形成する複数の隙間形成手段と、
上記複数の隙間形成手段を、それぞれ上記被処理基板上の半径方向に水平移動可能な位置調整手段と、
上記複数の隙間形成手段が形成する隙間の大きさをそれぞれ調整可能な間隔調整手段と、
を設けたことを特徴とするレジスト塗布装置。 - 請求項5記載のレジスト塗布装置において、
上記隙間形成手段の温度を調節可能な隙間温度調節手段を設けたことを特徴とするレジスト塗布装置。
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