JP3803446B2 - 絶縁抵抗計により制御された固形製剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は医薬品及び食品分野におけるコーティング固形製剤の製造方法に関する。さらに詳しくは無溶媒でコーティングされた固形製剤の後処理において最適なコーティング被膜が得られる固形製剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
コーティング固形製剤には、腸溶性、徐放性、防湿性、光分解性、苦みマスク等種々の目的に使われる。例えば、腸溶性固形製剤では酸に弱い薬物を胃酸から保護するあるいは胃壁に対する刺激、傷害を有する薬物から胃粘膜を保護する等の理由で、徐放性固形製剤では薬物の有効血中濃度を保ち機能性を持たせるために、また、防湿性固形製剤では水分により分解を起こしてしまう薬物の保護等のために種々のコーティング剤を用いてコーティングがなされている。
【0003】
腸溶性コーティング剤としては、セルロース系では、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)等が、ビニル系では、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PVAP)等が、アクリル系では、メタアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体等が使われている。
【0004】
徐放性コーティング剤としては、エチルセルロース、アクリル酸系共重合体等、ワックス類が挙げられる。
【0005】
従来のコーティング方法は、上記コーティング剤の高分子またはワックスを有機溶剤に溶解した状態または水に分散した状態またはラテックス状のコーティング液を固形薬剤にスプレーしながら多量の熱風により乾燥することにより、コーティングが行われている。
【0006】
例えば、有機溶剤を使用するコーティングの場合はスプレーできる溶液の粘性には限界があるため被覆高分子濃度を高めることができず多量の溶剤を必要とする。また、その多量の溶媒を乾燥する必要から装置上の制限があった。そのため、多量の乾燥熱量及びコーティング時間が長くかかることから生産性の低いコーティング方法であった。
【0007】
さらに、近年環境問題から有機溶剤の使用を制限して水系化に移行しつつある。しかし、水系コーティングにおいてもコーティング液の安定性の観点から限界がありコーティング基剤濃度はある程度までしか高めることができず、多量の水を必要としその乾燥には有機溶媒系と同様に多量の乾燥熱量及びコーティング時間が長くかかり生産性の低いコーティング方法であった。
【0008】
また、水分散系コーティングでは同一組成中に存在する可塑剤により分散液が加熱されると凝集体を形成しスプレーガンが閉塞しコーティング不能となることがあった。
【0009】
これらの技術に対しては特公昭56−12614号公報に平均粒子径100μm以下のセルロース系高分子を沸点100℃ゲル化剤(可塑剤)を含む水中に分散させてコーティングする方法が記載されている。また、特公昭57−53329号公報、特公昭58−55125号公報には、可塑剤としてトリアセチン、クエン酸トリエチルを使用することが記載されている。しかし、これらの方法はいずれも長いコーティング時間が必要で生産性が低いものであった。
【0010】
一方、溶媒を使用せずにコーティングする方法としては、特開昭62−181214号公報において、融点30〜100℃の低融点物質として油脂類、高級脂肪酸類、高級アルコール類が挙げられ、これらの粉粒状の低融点物質を核にその回りに薬物を溶解により付着造粒させ、さらに攪拌転動下で得られた顆粒を加熱し、タルク等で被覆することにより徐放性製剤を製する方法が記載されている。この方法では、タルクでの被覆に際して10μm以下の微粉砕した腸溶性コーティング剤を併用することにより被膜が緻密化するとしている。特公昭63−40131号公報においては、被覆高分子と可塑剤を順次コーティングすることにより被覆することが記載されているが、このようなコーティングにおいてはコーティングの均一性が重要となるがこれを改善するような連続コーティングは記載されていない。また、単に可塑剤により被覆高分子を軟化融着する方法は溶媒を使用する方法と比較して完全な被膜を形成するために多くの可塑剤が必要となる。そのため、添加される可塑剤が少ない場合、製品収率が低くなり目的のコーティング被膜性能が得られない。また、可塑剤量をコーティング剤に対して多くすることにより、被膜の造膜性は向上するが製剤同士の付着が激しくなる問題があった。そこで、本発明者等は、特願平07−350944号において流動パラフィン、アセチル化モノグチセライド等を可塑剤に添加することにより可塑剤量が少ない場合においても製品収率よくコーティングができることを記載している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、可塑剤を連続的に噴霧しながら微粉末状被覆剤を散布被覆することにより、短時間で乾燥工程を必要としない無溶媒コーティングが可能であることを見い出した。しかし、無溶媒でコーティングする方法では、溶剤または水を使用するコーティングと比較して同一の可塑剤でコーティングした場合得られたコーティング製剤はその表面は粉の堆積状であった。
【0012】
そこで、本発明者等は特願平08−208920号においてコーティング後の顆粒に少量の水を噴霧、乾燥することによりコーティング被膜の性能が向上することを記載している。
【0013】
本発明者等はさらに研究を進めた結果、この処理において、水の噴霧量、噴霧速度によってコーティング固形製剤の性能に違いが生じることを見出し優れたコーティング性能を有する固形製剤を得るべく水の噴霧量、速度を定量的に制御できる方法について鋭意研究した結果、コーティング固形製剤に対する水の噴霧量及びコーティング被膜性能と絶縁抵抗計による固形製剤の抵抗値との間に一定の相関関係が存在することを新たに見出し本発明を完成するに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は固形薬剤に可塑剤を連続的に噴霧しながら無溶媒で粉末状の高分子を散布被覆することにより乾式コーティングされた固形製剤を、さらに水または水溶性物質の水溶液を添加または噴霧させて湿潤させた後乾燥させる工程において絶縁抵抗計を用いて固形製剤の水分値を抵抗値に換算して制御することを特徴とする固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記記載の高分子が、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールアセテートフタレート、メタアクリル酸−アクリル酸エチル共重合体からなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする上記記載の固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0016】
さらに、本発明は、上記記載の可塑剤がクエン酸トリエチルである上記記載の固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0017】
また、本発明は、上記記載の粉末状の高分子が平均粒径10μm以下であることを特徴とする上記記載の固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0018】
以下本発明を詳細する。
本発明は無溶媒で可塑剤を連続的に噴霧しながら粉末状高分子のコーティング剤を散布被覆することにより短時間で乾燥工程を必要としない無溶媒乾式コーティングの後処理に関する発明であり、無溶媒コーティング後の顆粒に少量の水を噴霧、乾燥する後処理工程において絶縁抵抗計を用いて抵抗値を制御して水分量を調製し優れたコーティング被膜を形成する方法である。
【0019】
本発明に使用される可塑剤としては、被覆剤の軟化温度を低下させ造膜性を向上させるものなら特に限定されないが、常温で液体で揮発性の少ないクエン酸トリエチル、トリアセチン等が挙げられ、特にその造膜性が優れる点からクエン酸トリエチルが好ましい。
【0020】
これらの可塑剤は1種または2種以上を混合して使用できる。その添加量は被覆される高分子コーティング剤に対して10〜80重量%が望ましく、さらには30〜50重量%が好ましい。
【0021】
また、この無溶媒乾式コーティングにおいては可塑剤のみでは高分子コーティング剤に対する濡れが悪く製品収率が向上しないが、そこに被覆高分子との接触角が10°以下である液状物質を添加することにより改善される。この液状物質としては高分子コーティング剤の種類により異なるが、流動パラフィン、オリーブオイル、アセチル化モノグリセライド、ジエチルフタレート、ポリオキシエチレンソルビタン等の油状物、プロピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。特に、アセチル化モノグリセライド、流動パラフィン、オリーブ油が好ましい。高分子コーティング剤への濡れ易さは、その接触角が低いほどよく、散布剤に均一に可塑剤を分布させ、製品収率を向上させる効果がある。この接触角が10°以上では濡れが悪く均一で生産性が高いコーティングができない。この接触角の測定は協和界面科学社製の接触角測定装置により測定できる。その方法として、例えば、被覆剤/タルク=100/50の粉体を1錠中200mgで0.5t/Pで作製した錠剤へ測定液50μl滴下したときの接触角により測定できる。また、この液状物質の添加量は可塑剤に対して10〜40重量%が好ましい。10重量%以下では濡れ性が改善されず、40重量%以上では被膜形成に悪影響を与える。
【0022】
高分子コーティング剤として被覆される粉末状の高分子としては、セルロース系では、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)等が、ビニル系では、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PVAP)等が、アクリル系では、メタアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体等が使用できる。特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)である。
【0023】
なお、徐放性コーティング剤としては、エチルセルロース、アクリル酸系共重合体等があげられ、水溶性コーティング剤としては、ヒドキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、プルラン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム等が特に使用される。
【0024】
高分子コーティング剤は粉末状で添加されるため、均一にコーティングされるには微粒子である必要があり、その平均粒子径は10μm以下が好ましい。特に、造膜温度が低く、微粉末状のものが簡単に入手できる点からヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートがこの方法に適している。また、上記の高分子コーティング剤を2種以上の混合物で使用するのは自由である。
【0025】
高分子コーティング剤のコーティング量は概ね、固形薬剤に対して重量比で10〜50重量%の範囲にある。なお、本発明では高分子コーティング剤を散布コーティングするためコーティング量が増加しても短時間でコーティングが可能となる。
【0026】
本発明を実施するには、溶媒を用いないため多大な乾燥能力を必要とせず、散布した微粉末状のコーティング剤が軟化するために、ある程度の加熱と攪拌能力を有することが好ましく、例えば、遠心流動コーティング装置、パンコーティング装置、流動層コーティング装置などが挙げられる。
【0027】
高分子コーティング剤の被覆は、例えば、顆粒あるいは細粒剤の固形薬剤を前述のように、遠心流動コーティング装置で攪拌しながら、高分子コーティング剤との接触角が10°以下である液状物質と液状可塑剤の混合物を噴霧しながら、微粉末状の高分子コーティング剤を散布被覆する。これらの一連の操作は、数回に分けてそれぞれの組成を変化させて実施することも出来る。
【0028】
コーティング後、顆粒付着防止剤としては、タルク、アエロジェル(SiO2)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の無機物または有機酸金属塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポレエチレングリコール等の水溶性高分子、カルナバロウ、サラシミツロウ、パラフィン等のワックスから選ばれる1種または2種以上の混合物でさらに被覆してもよい。
【0029】
また、これらのコーティングに通常製剤学的に認められる薬物、添加剤(着色剤、顔料他)を加えても良い。
【0030】
このようにして得られたコーティング製剤はまだ不完全なフィルム層で高分子の粉体堆積状のものであるが、その後、後処理工程として少量の水を噴霧後乾燥することにより完全なフィルムとなるが、その噴霧量及び噴霧速度等の処理条件によりコーティング製剤の性能に違いが生じることが解った。本発明はそれを定量的に制御するため絶縁抵抗計を用いて製剤表面水分を抵抗値に換算して管理するものである。この抵抗値は水中ではほぼ0となり、コーティング後の固形製剤においては100000〜500000MΩ程度であり、固形製剤表面の濡れ度合いが増加するに従って抵抗値は小さくなる。
【0031】
本発明者等はこの抵抗値が水または水溶性物質の水溶液をコーティング固形製剤に噴霧する際に約10000〜50000MΩ付近で変曲点を持って変化し、この変曲点での水量が得られたコーティング製剤のコーティング被膜が完全にフィルム化される時の水量と一致することを発見した。この変曲点が生じる理由として添加された水がまだ高分子の粉体堆積状であるコーティング層に行き渡り、その後過飽和状態となり製剤表面に浮き出てくる時に抵抗値が急激に低下することにより生じるものと考えられる。また、この傾向はこの後処理工程の条件を変えた場合においても同じであることが解った。例えば、水または水溶性物質の水溶液のスプレー速度を速くした場合、この変曲点は少ない水量で現れるがコーティング製剤のコーティング被膜が完全にフィルム化される時の水量はこの変曲点と一致することが解った。つまり、この変曲点を管理すればどのような操作条件においてもコーティング製剤の性能を制御でき、完全にフィルム化された無溶媒コーティング固形製剤を製造することが可能となる。
【0032】
この絶縁抵抗値の測定には市販の測定装置を用いることができ、例えば、東亜電波社製超絶縁抵抗計SM−8210等が利用できる。この測定装置のセンサー部分を仕込んだコーティング固形製剤表面に接触するようにセットして測定を行う。
【0033】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細な説明する。なお本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0034】
[製造例1:固形薬剤(錠剤)]
下記組成の錠剤を8mmφの杵にて1錠あたり180mgで1t/P.で作製した。その錠剤硬度は10kgで日本薬局方第1液(pH;1.2)での崩壊時間は3minであった。
Spray dried lactose 70 (重量部)
Corn starch 30
L−HPC(LH−11) 10
Hg−st 0.5
【0035】
[製造例2:固形薬剤(顆粒剤)]
核顆粒(ノンパレル101 24〜32#フロイント産業(株)社製)1500gを遠心流動コーティング装置(CFcoater CF−360フロイント産業(株)社製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース5%水溶液を噴霧しながら、パンクレアチン1500g、コーンスターチ750gを均一に混合した粉体を散布して顆粒を作製した。この顆粒中のパンクレアチン含量は40%であった。
【0036】
[実施例1]
実施例1で作製した8mmφの錠剤(固形薬剤)5.0kgを通気式パンコーティング装置(Hicoater HCT−48N フロイント産業(株)社製)に仕込み、吸気温度60℃、品温42℃、パン回転数20rpm、風量1.5m3/minで、クエン酸トリエチル/流動パラフィン/ソルビタンセスキオレート:30/20/2の混合液208gをスプレー速度3.4g/minで噴霧しながらヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 平均粒子径;5μm AS−MF 信越化学工業(株)社製)400gとタルク120gを均一に混合した粉体を8.6g/minで散布してコーティングを行った。その後、この装置で吸気温度80℃で、この錠剤に30g/minで水をスプレーした。その時の抵抗値を超絶縁抵抗計(SM−8210 東亜電波社製)を用いて測定し、仕込み錠剤に対して0.3%、0.6%、1.8%、2.4%、3.0%、3.6%、4.0%水をスプレーしたところでサンプリングを行い、そのサンプルを40℃送風オーブンにて乾燥後、以下の方法で耐酸性試験を実施した。
使用機器:日本薬局方 崩壊試験器
試験:水溶性色素入り日本薬局方第1液(pH1.2)、37℃
試験時間:2時間
測定法:100錠中にピンホールによる欠損が生じた錠剤数を測定。
この結果を図1に示した。この図1から、水をコーティング錠剤に噴霧すると、この抵抗値が約5000MΩ付近で変曲点を持って抵抗値が減少し、この変曲点の水量(2.4%)と、得られたコーティング錠剤のコーティング被膜が完全にフィルム化され、第1液(pH1.2)2時間後の欠損錠率がかなり良好な耐酸性を持つコーティング錠剤となるために必要な水量と一致していることがわかった。
【0037】
[実施例2]
製造例1で作製した8mmφの錠剤5.0kgを通気式パンコーティング装置(Hicoater HCT−48N フロイント産業(株)社製)に仕込み、吸気温度60℃、品温42℃、パン回転数20rpm、風量1.5m3/minで、クエン酸トリエチル/流動パラフィン/ソルビタンセスキオレート:30/20/2の混合液208gをスプレー速度3.4g/minで噴霧しながらヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 平均粒子径;5μm AS−MF 信越化学工業(株)社製)400gとタルク120gを均一に混合した粉体を8.6g/minで散布してコーティングを行った。その後、この装置で吸気温度80℃で、この錠剤に実施例1とは水のスプレー速度を60g/minに上げて処理を行った。その時の抵抗値を超絶縁抵抗計(SM−8210 東亜電波社製)を用いて測定し、仕込み錠剤に対して0.3%、0.6%、1.8%、2.3%、2.4%、3.0%水をスプレーしたところでサンプリングを行い、そのサンプルを40℃送風オーブンにて乾燥後実施例1と同様の方法で耐酸性試験を実施した。
この結果を図2に示した。図2から、実施例1と同様に水をコーティング錠剤に噴霧すると、この抵抗値が約5000MΩ付近で変曲点を持って抵抗値が減少し、この変曲点の水量(2.3%)と、得られたコーティング錠剤のコーティング被膜が完全にフィルム化され、第1液(pH1.2)2時間後の欠損錠率がかなり良好な耐酸性を持つコーティング錠剤となるために必要な水量と一致していることがわかった。
【0038】
[実施例3]
製造例2で作製したパンクレアチン含有顆粒1500gを遠心流動コーティング装置(CFcoater CF−360フロイント産業(株)社製)に仕込み、吸気温度80℃、品温42℃、回転数150rpmで、クエン酸トリエチル/流動パラフィン/ソルビタンセエスキオレート:30/20/2の混合液234gをスプレー速度5.2g/minで噴霧しながらヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS 平均粒子径;5μm AS−MF 信越化学工業(株)社製)450gとタルク135gを均一に混合した粉体を13g/minで散布してコーティングを行った。その後、この装置で風量100L/min、吸気温度80℃で、この顆粒にて7.0g/minで水をスプレーした。その時の抵抗値を超絶縁抵抗計(SM−8210 東亜電波社製)を用いて測定し、仕込み顆粒に対して0.2%、0.4%、0.8%、1.6%、3.2%、4.9%、6.0%、8.2%、10.0%、11.5%、13.2%水をスプレーしたところでサンプリングを行い、そのサンプルを40℃送風オーブンにて乾燥後、以下の方法で耐酸性試験を実施した。
使用機器:溶出試験器
試験法:回転バスケット法、100rpm
試験:日局第1液(pH1.2)、900mL、37℃
試験時間:2時間
測定法:UV265nmにて定量
この結果を図3に示した。この図3から、この抵抗値が水をコーティング製剤に噴霧すると約10000MΩ付近で変曲点を持って抵抗値が減少し、この変曲点の水量(6%)と、得られたコーティング製剤のコーティング被膜が完全にフィルム化され、第1液(pH1.2)2時間後のタンパク溶出率が低く耐酸性を持つコーティング製剤となるために必要な水量と一致していることがわかった。
【0039】
【発明の効果】
従来のコーティング剤は有機溶剤に溶解して使用するかまたは水性ラテックスあるいは水分散液により行われている。いずれの方法においても有機溶剤または水を溶媒として用いるため、これらのコーティング液のスプレーに長時間要する。また、溶媒の乾燥に多量の熱量が必要であった。
【0040】
本発明によれば、短時間で乾燥工程を必要としない無溶媒コーティングにおいてコーティングの後処理として水または水溶性物質の水溶液を噴霧後乾燥することにより良好なフィルム特性を持つ固形製剤が得られ、さらにこの後処理において絶縁抵抗計を用いることによりこの後処理条件に変動があっても最適な処理水量を制御できその結果優れたフィルム特性を有するコーティング固形製剤を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって製造された固形製剤の抵抗値、処理水量、1液(pH1.2)2時間後の欠損錠率との関係を示したグラフである。
【図2】本発明の製造方法によって製造された固形製剤の抵抗値、処理水量、1液(pH1.2)2時間後の欠損錠率との関係を示したグラフである。
【図3】本発明の製造方法によって製造された固形製剤の抵抗値、処理水量、1液(pH1.2)2時間後のタンパク溶出率との関係を示したグラフである。
Claims (4)
- 固形薬剤に可塑剤を連続的に噴霧しながら粉末状の高分子を無溶媒で散布被覆することにより乾式コーティングされた固形製剤を、さらに水または水溶性物質の水溶液を添加または噴霧させて湿潤させた後乾燥させる工程において絶縁抵抗計を用いて固形製剤の水分値を抵抗値に換算して制御することを特徴とする固形製剤の製造方法。
- 前記高分子が、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコールアセテートフタレート、メタアクリル酸−アクリル酸エチル共重合体からなる群から選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする請求項1記載の固形製剤の製造方法。
- 前記可塑剤がクエン酸トリエチルである請求項1または2記載の固形製剤の製造方法。
- 前記粉末状の高分子が平均粒径10μm以下である微粉末であることを特徴とする請求項1、2または3記載の固形製剤の製造方法。
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