JPH10225501A - 絶縁抵抗計により制御された固形製剤の製造方法 - Google Patents

絶縁抵抗計により制御された固形製剤の製造方法

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JPH10225501A
JPH10225501A JP9044650A JP4465097A JPH10225501A JP H10225501 A JPH10225501 A JP H10225501A JP 9044650 A JP9044650 A JP 9044650A JP 4465097 A JP4465097 A JP 4465097A JP H10225501 A JPH10225501 A JP H10225501A
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直亮 丸山
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宏恭 小久保
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 短時間で乾燥工程を必要としない無溶媒コー
ティングにおいて良好な被膜特性を有する固形製剤を製
造可能な簡便な製造方法を確立すること。 【解決手段】 固形薬剤に可塑剤を連続的に噴霧しなが
ら粉末状の高分子を無溶媒で散布被覆することにより乾
式コーティングされた固形製剤を、さらに水または水溶
性物質の水溶液を添加または噴霧させて湿潤させた後乾
燥させる工程において絶縁抵抗計を用いて固形製剤の水
分値を抵抗値に換算して制御することを特徴とする固形
製剤の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬品及び食品分野
におけるコーティング固形製剤の製造方法に関する。さ
らに詳しくは無溶媒でコーティングされた固形製剤の後
処理において最適なコーティング被膜が得られる固形製
剤の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】コーティング固形製剤には、腸溶性、徐放
性、防湿性、光分解性、苦みマスク等種々の目的に使わ
れる。例えば、腸溶性固形製剤では酸に弱い薬物を胃酸
から保護するあるいは胃壁に対する刺激、傷害を有する
薬物から胃粘膜を保護する等の理由で、徐放性固形製剤
では薬物の有効血中濃度を保ち機能性を持たせるため
に、また、防湿性固形製剤では水分により分解を起こし
てしまう薬物の保護等のために種々のコーティング剤を
用いてコーティングがなされている。
【0003】腸溶性コーティング剤としては、セルロー
ス系では、セルロースアセテートフタレート(CA
P)、セルロースアセテートトリメリテート(CA
T)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート
(HPMCP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
アセテートサクシネート(HPMCAS)、カルボキシ
メチルエチルセルロース(CMEC)等が、ビニル系で
は、ポリビニルアルコールアセテートフタレート(PV
AP)等が、アクリル系では、メタアクリル酸とアクリ
ル酸エチルの共重合体等が使われている。
【0004】徐放性コーティング剤としては、エチルセ
ルロース、アクリル酸系共重合体等、ワックス類が挙げ
られる。
【0005】従来のコーティング方法は、上記コーティ
ング剤の高分子またはワックスを有機溶剤に溶解した状
態または水に分散した状態またはラテックス状のコーテ
ィング液を固形薬剤にスプレーしながら多量の熱風によ
り乾燥することにより、コーティングが行われている。
【0006】例えば、有機溶剤を使用するコーティング
の場合はスプレーできる溶液の粘性には限界があるため
被覆高分子濃度を高めることができず多量の溶剤を必要
とする。また、その多量の溶媒を乾燥する必要から装置
上の制限があった。そのため、多量の乾燥熱量及びコー
ティング時間が長くかかることから生産性の低いコーテ
ィング方法であった。
【0007】さらに、近年環境問題から有機溶剤の使用
を制限して水系化に移行しつつある。しかし、水系コー
ティングにおいてもコーティング液の安定性の観点から
限界がありコーティング基剤濃度はある程度までしか高
めることができず、多量の水を必要としその乾燥には有
機溶媒系と同様に多量の乾燥熱量及びコーティング時間
が長くかかり生産性の低いコーティング方法であった。
【0008】また、水分散系コーティングでは同一組成
中に存在する可塑剤により分散液が加熱されると凝集体
を形成しスプレーガンが閉塞しコーティング不能となる
ことがあった。
【0009】これらの技術に対しては特公昭56−12
614号公報に平均粒子径100μm以下のセルロース
系高分子を沸点100℃ゲル化剤(可塑剤)を含む水中
に分散させてコーティングする方法が記載されている。
また、特公昭57−53329号公報、特公昭58−5
5125号公報には、可塑剤としてトリアセチン、クエ
ン酸トリエチルを使用することが記載されている。しか
し、これらの方法はいずれも長いコーティング時間が必
要で生産性が低いものであった。
【0010】一方、溶媒を使用せずにコーティングする
方法としては、特開昭62−181214号公報におい
て、融点30〜100℃の低融点物質として油脂類、高
級脂肪酸類、高級アルコール類が挙げられ、これらの粉
粒状の低融点物質を核にその回りに薬物を溶解により付
着造粒させ、さらに攪拌転動下で得られた顆粒を加熱
し、タルク等で被覆することにより徐放性製剤を製する
方法が記載されている。この方法では、タルクでの被覆
に際して10μm以下の微粉砕した腸溶性コーティング
剤を併用することにより被膜が緻密化するとしている。
特公昭63−40131号公報においては、被覆高分子
と可塑剤を順次コーティングすることにより被覆するこ
とが記載されているが、このようなコーティングにおい
てはコーティングの均一性が重要となるがこれを改善す
るような連続コーティングは記載されていない。また、
単に可塑剤により被覆高分子を軟化融着する方法は溶媒
を使用する方法と比較して完全な被膜を形成するために
多くの可塑剤が必要となる。そのため、添加される可塑
剤が少ない場合、製品収率が低くなり目的のコーティン
グ被膜性能が得られない。また、可塑剤量をコーティン
グ剤に対して多くすることにより、被膜の造膜性は向上
するが製剤同士の付着が激しくなる問題があった。そこ
で、本発明者等は、特願平07−350944号におい
て流動パラフィン、アセチル化モノグチセライド等を可
塑剤に添加することにより可塑剤量が少ない場合におい
ても製品収率よくコーティングができることを記載して
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、可塑剤
を連続的に噴霧しながら微粉末状被覆剤を散布被覆する
ことにより、短時間で乾燥工程を必要としない無溶媒コ
ーティングが可能であることを見い出した。しかし、無
溶媒でコーティングする方法では、溶剤または水を使用
するコーティングと比較して同一の可塑剤でコーティン
グした場合得られたコーティング製剤はその表面は粉の
堆積状であった。
【0012】そこで、本発明者等は特願平08−208
920号においてコーティング後の顆粒に少量の水を噴
霧、乾燥することによりコーティング被膜の性能が向上
することを記載している。
【0013】本発明者等はさらに研究を進めた結果、こ
の処理において、水の噴霧量、噴霧速度によってコーテ
ィング固形製剤の性能に違いが生じることを見出し優れ
たコーティング性能を有する固形製剤を得るべく水の噴
霧量、速度を定量的に制御できる方法について鋭意研究
した結果、コーティング固形製剤に対する水の噴霧量及
びコーティング被膜性能と絶縁抵抗計による固形製剤の
抵抗値との間に一定の相関関係が存在することを新たに
見出し本発明を完成するに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は固形
薬剤に可塑剤を連続的に噴霧しながら無溶媒で粉末状の
高分子を散布被覆することにより乾式コーティングされ
た固形製剤を、さらに水または水溶性物質の水溶液を添
加または噴霧させて湿潤させた後乾燥させる工程におい
て絶縁抵抗計を用いて固形製剤の水分値を抵抗値に換算
して制御することを特徴とする固形製剤の製造方法を提
供するものである。
【0015】また、本発明は、上記記載の高分子が、セ
ルロースアセテートフタレート、セルロースアセテート
トリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース
フタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセ
テートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロー
ス、ポリビニルアルコールアセテートフタレート、メタ
アクリル酸−アクリル酸エチル共重合体からなる群から
選ばれた一種または二種以上であることを特徴とする上
記記載の固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0016】さらに、本発明は、上記記載の可塑剤がク
エン酸トリエチルである上記記載の固形製剤の製造方法
を提供するものである。
【0017】また、本発明は、上記記載の粉末状の高分
子が平均粒径10μm以下であることを特徴とする上記
記載の固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0018】以下本発明を詳細する。本発明は無溶媒で
可塑剤を連続的に噴霧しながら粉末状高分子のコーティ
ング剤を散布被覆することにより短時間で乾燥工程を必
要としない無溶媒乾式コーティングの後処理に関する発
明であり、無溶媒コーティング後の顆粒に少量の水を噴
霧、乾燥する後処理工程において絶縁抵抗計を用いて抵
抗値を制御して水分量を調製し優れたコーティング被膜
を形成する方法である。
【0019】本発明に使用される可塑剤としては、被覆
剤の軟化温度を低下させ造膜性を向上させるものなら特
に限定されないが、常温で液体で揮発性の少ないクエン
酸トリエチル、トリアセチン等が挙げられ、特にその造
膜性が優れる点からクエン酸トリエチルが好ましい。
【0020】これらの可塑剤は1種または2種以上を混
合して使用できる。その添加量は被覆される高分子コー
ティング剤に対して10〜80重量%が望ましく、さら
には30〜50重量%が好ましい。
【0021】また、この無溶媒乾式コーティングにおい
ては可塑剤のみでは高分子コーティング剤に対する濡れ
が悪く製品収率が向上しないが、そこに被覆高分子との
接触角が10°以下である液状物質を添加することによ
り改善される。この液状物質としては高分子コーティン
グ剤の種類により異なるが、流動パラフィン、オリーブ
オイル、アセチル化モノグリセライド、ジエチルフタレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタン等の油状物、プロ
ピレングリコール等のグリコール類が挙げられる。特
に、アセチル化モノグリセライド、流動パラフィン、オ
リーブ油が好ましい。高分子コーティング剤への濡れ易
さは、その接触角が低いほどよく、散布剤に均一に可塑
剤を分布させ、製品収率を向上させる効果がある。この
接触角が10°以上では濡れが悪く均一で生産性が高い
コーティングができない。この接触角の測定は協和界面
科学社製の接触角測定装置により測定できる。その方法
として、例えば、被覆剤/タルク=100/50の粉体
を1錠中200mgで0.5t/Pで作製した錠剤へ測
定液50μl滴下したときの接触角により測定できる。
また、この液状物質の添加量は可塑剤に対して10〜4
0重量%が好ましい。10重量%以下では濡れ性が改善
されず、40重量%以上では被膜形成に悪影響を与え
る。
【0022】高分子コーティング剤として被覆される粉
末状の高分子としては、セルロース系では、セルロース
アセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテー
トトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースフタレート(HPMCP)、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HP
MCAS)、カルボキシメチルエチルセルロース(CM
EC)等が、ビニル系では、ポリビニルアルコールアセ
テートフタレート(PVAP)等が、アクリル系では、
メタアクリル酸とアクリル酸エチルの共重合体等が使用
できる。特に好ましくはヒドロキシプロピルメチルセル
ロースアセテートサクシネート(HPMCAS)であ
る。
【0023】なお、徐放性コーティング剤としては、エ
チルセルロース、アクリル酸系共重合体等があげられ、
水溶性コーティング剤としては、ヒドキシプロピルメチ
ルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチル
セルロース、プルラン、ポリビニルアルコール、カルボ
キシメチルセルロースナトリウム等が特に使用される。
【0024】高分子コーティング剤は粉末状で添加され
るため、均一にコーティングされるには微粒子である必
要があり、その平均粒子径は10μm以下が好ましい。
特に、造膜温度が低く、微粉末状のものが簡単に入手で
きる点からヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテ
ートサクシネートがこの方法に適している。また、上記
の高分子コーティング剤を2種以上の混合物で使用する
のは自由である。
【0025】高分子コーティング剤のコーティング量は
概ね、固形薬剤に対して重量比で10〜50重量%の範
囲にある。なお、本発明では高分子コーティング剤を散
布コーティングするためコーティング量が増加しても短
時間でコーティングが可能となる。
【0026】本発明を実施するには、溶媒を用いないた
め多大な乾燥能力を必要とせず、散布した微粉末状のコ
ーティング剤が軟化するために、ある程度の加熱と攪拌
能力を有することが好ましく、例えば、遠心流動コーテ
ィング装置、パンコーティング装置、流動層コーティン
グ装置などが挙げられる。
【0027】高分子コーティング剤の被覆は、例えば、
顆粒あるいは細粒剤の固形薬剤を前述のように、遠心流
動コーティング装置で攪拌しながら、高分子コーティン
グ剤との接触角が10°以下である液状物質と液状可塑
剤の混合物を噴霧しながら、微粉末状の高分子コーティ
ング剤を散布被覆する。これらの一連の操作は、数回に
分けてそれぞれの組成を変化させて実施することも出来
る。
【0028】コーティング後、顆粒付着防止剤として
は、タルク、アエロジェル(SiO2)、ステアリン酸
マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の無機物また
は有機酸金属塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルセルロース、ポレエチレングリ
コール等の水溶性高分子、カルナバロウ、サラシミツロ
ウ、パラフィン等のワックスから選ばれる1種または2
種以上の混合物でさらに被覆してもよい。
【0029】また、これらのコーティングに通常製剤学
的に認められる薬物、添加剤(着色剤、顔料他)を加え
ても良い。
【0030】このようにして得られたコーティング製剤
はまだ不完全なフィルム層で高分子の粉体堆積状のもの
であるが、その後、後処理工程として少量の水を噴霧後
乾燥することにより完全なフィルムとなるが、その噴霧
量及び噴霧速度等の処理条件によりコーティング製剤の
性能に違いが生じることが解った。本発明はそれを定量
的に制御するため絶縁抵抗計を用いて製剤表面水分を抵
抗値に換算して管理するものである。この抵抗値は水中
ではほぼ0となり、コーティング後の固形製剤において
は100000〜500000MΩ程度であり、固形製
剤表面の濡れ度合いが増加するに従って抵抗値は小さく
なる。
【0031】本発明者等はこの抵抗値が水または水溶性
物質の水溶液をコーティング固形製剤に噴霧する際に約
10000〜50000MΩ付近で変曲点を持って変化
し、この変曲点での水量が得られたコーティング製剤の
コーティング被膜が完全にフィルム化される時の水量と
一致することを発見した。この変曲点が生じる理由とし
て添加された水がまだ高分子の粉体堆積状であるコーテ
ィング層に行き渡り、その後過飽和状態となり製剤表面
に浮き出てくる時に抵抗値が急激に低下することにより
生じるものと考えられる。また、この傾向はこの後処理
工程の条件を変えた場合においても同じであることが解
った。例えば、水または水溶性物質の水溶液のスプレー
速度を速くした場合、この変曲点は少ない水量で現れる
がコーティング製剤のコーティング被膜が完全にフィル
ム化される時の水量はこの変曲点と一致することが解っ
た。つまり、この変曲点を管理すればどのような操作条
件においてもコーティング製剤の性能を制御でき、完全
にフィルム化された無溶媒コーティング固形製剤を製造
することが可能となる。
【0032】この絶縁抵抗値の測定には市販の測定装置
を用いることができ、例えば、東亜電波社製超絶縁抵抗
計SM−8210等が利用できる。この測定装置のセン
サー部分を仕込んだコーティング固形製剤表面に接触す
るようにセットして測定を行う。
【0033】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細な説
明する。なお本発明はこれらの実施例にのみ限定される
ものではない。
【0034】[製造例1:固形薬剤(錠剤)]下記組成
の錠剤を8mmφの杵にて1錠あたり180mgで1t
/P.で作製した。その錠剤硬度は10kgで日本薬局
方第1液(pH;1.2)での崩壊時間は3minであ
った。 Spray dried lactose 70 (重量部) Corn starch 30 L−HPC(LH−11) 10 Hg−st 0.5
【0035】[製造例2:固形薬剤(顆粒剤)]核顆粒
(ノンパレル101 24〜32#フロイント産業
(株)社製)1500gを遠心流動コーティング装置
(CFcoater CF−360フロイント産業
(株)社製)に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース
5%水溶液を噴霧しながら、パンクレアチン1500
g、コーンスターチ750gを均一に混合した粉体を散
布して顆粒を作製した。この顆粒中のパンクレアチン含
量は40%であった。
【0036】[実施例1]実施例1で作製した8mmφ
の錠剤(固形薬剤)5.0kgを通気式パンコーティン
グ装置(Hicoater HCT−48N フロイン
ト産業(株)社製)に仕込み、吸気温度60℃、品温4
2℃、パン回転数20rpm、風量1.5m3/min
で、クエン酸トリエチル/流動パラフィン/ソルビタン
セスキオレート:30/20/2の混合液208gをス
プレー速度3.4g/minで噴霧しながらヒドロキシ
プロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(H
PMCAS 平均粒子径;5μm AS−MF 信越化
学工業(株)社製)400gとタルク120gを均一に
混合した粉体を8.6g/minで散布してコーティン
グを行った。その後、この装置で吸気温度80℃で、こ
の錠剤に30g/minで水をスプレーした。その時の
抵抗値を超絶縁抵抗計(SM−8210 東亜電波社
製)を用いて測定し、仕込み錠剤に対して0.3%、
0.6%、1.8%、2.4%、3.0%、3.6%、
4.0%水をスプレーしたところでサンプリングを行
い、そのサンプルを40℃送風オーブンにて乾燥後、以
下の方法で耐酸性試験を実施した。 使用機器:日本薬局方 崩壊試験器 試験:水溶性色素入り日本薬局方第1液(pH1.
2)、37℃ 試験時間:2時間 測定法:100錠中にピンホールによる欠損が生じた錠
剤数を測定。 この結果を図1に示した。この図1から、水をコーティ
ング錠剤に噴霧すると、この抵抗値が約5000MΩ付
近で変曲点を持って抵抗値が減少し、この変曲点の水量
(2.4%)と、得られたコーティング錠剤のコーティ
ング被膜が完全にフィルム化され、第1液(pH1.
2)2時間後の欠損錠率がかなり良好な耐酸性を持つコ
ーティング錠剤となるために必要な水量と一致している
ことがわかった。
【0037】[実施例2]製造例1で作製した8mmφ
の錠剤5.0kgを通気式パンコーティング装置(Hi
coater HCT−48N フロイント産業(株)
社製)に仕込み、吸気温度60℃、品温42℃、パン回
転数20rpm、風量1.5m3/minで、クエン酸
トリエチル/流動パラフィン/ソルビタンセスキオレー
ト:30/20/2の混合液208gをスプレー速度
3.4g/minで噴霧しながらヒドロキシプロピルメ
チルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS
平均粒子径;5μm AS−MF 信越化学工業
(株)社製)400gとタルク120gを均一に混合し
た粉体を8.6g/minで散布してコーティングを行
った。その後、この装置で吸気温度80℃で、この錠剤
に実施例1とは水のスプレー速度を60g/minに上
げて処理を行った。その時の抵抗値を超絶縁抵抗計(S
M−8210 東亜電波社製)を用いて測定し、仕込み
錠剤に対して0.3%、0.6%、1.8%、2.3
%、2.4%、3.0%水をスプレーしたところでサン
プリングを行い、そのサンプルを40℃送風オーブンに
て乾燥後実施例1と同様の方法で耐酸性試験を実施し
た。この結果を図2に示した。図2から、実施例1と同
様に水をコーティング錠剤に噴霧すると、この抵抗値が
約5000MΩ付近で変曲点を持って抵抗値が減少し、
この変曲点の水量(2.3%)と、得られたコーティン
グ錠剤のコーティング被膜が完全にフィルム化され、第
1液(pH1.2)2時間後の欠損錠率がかなり良好な
耐酸性を持つコーティング錠剤となるために必要な水量
と一致していることがわかった。
【0038】[実施例3]製造例2で作製したパンクレ
アチン含有顆粒1500gを遠心流動コーティング装置
(CFcoater CF−360フロイント産業
(株)社製)に仕込み、吸気温度80℃、品温42℃、
回転数150rpmで、クエン酸トリエチル/流動パラ
フィン/ソルビタンセエスキオレート:30/20/2
の混合液234gをスプレー速度5.2g/minで噴
霧しながらヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテ
ートサクシネート(HPMCAS 平均粒子径;5μm
AS−MF 信越化学工業(株)社製)450gとタ
ルク135gを均一に混合した粉体を13g/minで
散布してコーティングを行った。その後、この装置で風
量100L/min、吸気温度80℃で、この顆粒にて
7.0g/minで水をスプレーした。その時の抵抗値
を超絶縁抵抗計(SM−8210 東亜電波社製)を用
いて測定し、仕込み顆粒に対して0.2%、0.4%、
0.8%、1.6%、3.2%、4.9%、6.0%、
8.2%、10.0%、11.5%、13.2%水をス
プレーしたところでサンプリングを行い、そのサンプル
を40℃送風オーブンにて乾燥後、以下の方法で耐酸性
試験を実施した。 使用機器:溶出試験器 試験法:回転バスケット法、100rpm 試験:日局第1液(pH1.2)、900mL、37℃ 試験時間:2時間 測定法:UV265nmにて定量 この結果を図3に示した。この図3から、この抵抗値が
水をコーティング製剤に噴霧すると約10000MΩ付
近で変曲点を持って抵抗値が減少し、この変曲点の水量
(6%)と、得られたコーティング製剤のコーティング
被膜が完全にフィルム化され、第1液(pH1.2)2
時間後のタンパク溶出率が低く耐酸性を持つコーティン
グ製剤となるために必要な水量と一致していることがわ
かった。
【0039】
【発明の効果】従来のコーティング剤は有機溶剤に溶解
して使用するかまたは水性ラテックスあるいは水分散液
により行われている。いずれの方法においても有機溶剤
または水を溶媒として用いるため、これらのコーティン
グ液のスプレーに長時間要する。また、溶媒の乾燥に多
量の熱量が必要であった。
【0040】本発明によれば、短時間で乾燥工程を必要
としない無溶媒コーティングにおいてコーティングの後
処理として水または水溶性物質の水溶液を噴霧後乾燥す
ることにより良好なフィルム特性を持つ固形製剤が得ら
れ、さらにこの後処理において絶縁抵抗計を用いること
によりこの後処理条件に変動があっても最適な処理水量
を制御できその結果優れたフィルム特性を有するコーテ
ィング固形製剤を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によって製造された固形製剤
の抵抗値、処理水量、1液(pH1.2)2時間後の欠
損錠率との関係を示したグラフである。
【図2】本発明の製造方法によって製造された固形製剤
の抵抗値、処理水量、1液(pH1.2)2時間後の欠
損錠率との関係を示したグラフである。
【図3】本発明の製造方法によって製造された固形製剤
の抵抗値、処理水量、1液(pH1.2)2時間後のタ
ンパク溶出率との関係を示したグラフである。
フロントページの続き (72)発明者 西山 裕一 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形薬剤に可塑剤を連続的に噴霧しなが
    ら粉末状の高分子を無溶媒で散布被覆することにより乾
    式コーティングされた固形製剤を、さらに水または水溶
    性物質の水溶液を添加または噴霧させて湿潤させた後乾
    燥させる工程において絶縁抵抗計を用いて固形製剤の水
    分値を抵抗値に換算して制御することを特徴とする固形
    製剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高分子が、セルロースアセテートフ
    タレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒド
    ロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキ
    シプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、
    カルボキシメチルエチルセルロース、ポリビニルアルコ
    ールアセテートフタレート、メタアクリル酸−アクリル
    酸エチル共重合体からなる群から選ばれた一種または二
    種以上であることを特徴とする請求項1記載の固形製剤
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記可塑剤がクエン酸トリエチルである
    請求項1または2記載の固形製剤の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記粉末状の高分子が平均粒径10μm
    以下である微粉末であることを特徴とする請求項1、2
    または3記載の固形製剤の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007091688A (ja) * 2005-09-30 2007-04-12 Kurimoto Ltd 固形製剤コーティング用微粉末の製造方法
JP5572706B2 (ja) * 2010-06-08 2014-08-13 学校法人神戸学院 コーティング粒子及びコーティング粒子の製造方法
WO2016124326A3 (de) * 2015-02-03 2017-02-16 Boehringer Ingelheim International Gmbh Verfahren und vorrichtung zur bestimmung des wassergehalts

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