JP3802904B2 - 水銀気化抑制方法 - Google Patents

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Description

本発明は、水銀汚染土、特に水銀気化が懸念される状況での水銀気化抑制方法に関する。
工場廃水、工場廃棄物、鉱山廃水などによって汚染された土壌には、カドミウム、鉛、クロム、水銀といった汚染物質が含まれていることがあり、このような土壌をそのまま放置すると、当該土壌内に含まれた汚染物質が地下水や生物サイクルを介して環境に拡散する危険性がある。
そのため、汚染された土壌は、これを掘削除去して所定の処理を施し、しかる後に管理型あるいは遮断型の処分地に廃棄処分する一方、掘削された孔内には通常の土を客土して原状復帰するのが一般的である。
特開平09−253620 特開平07−024441
しかしながら、汚染土壌に高濃度の水銀が含まれている場合、上述の処理方法では、土壌内に含まれていた水銀が、掘削中や運搬中あるいは最終処分地において気化して大気に拡散し二次汚染を招くとともに、処理にあたっている作業員が気化水銀を吸引して健康を害する懸念もある。
かかる事態を回避するためには、作業領域を覆って気密空間とし該気密空間内に換気設備を設けて気化水銀の拡散防止を図るとともに、作業員にガスマスクの使用を義務づけるようにすればよいが、汚染範囲が広い場合には、気密空間を形成して換気設備を設けることが経済性の面で非現実的なものとなるとともに、ガスマスクを使用することによって作業効率の低下を余儀なくされるという問題を生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、水銀が気化することによる大気への拡散や作業員による吸引を防止可能な水銀気化抑制方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る水銀気化抑制方法は請求項1に記載したように、水銀汚染土に還元剤を添加して該水銀汚染土に含まれている水銀以外の所定の重金属を還元処理するとともに、前記水銀汚染土に硫化物イオンを添加して該水銀汚染土に含まれている水銀を硫化水銀にし、前記水銀汚染土の含水比を高めて前記水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成し該土粒子内の水銀を大気と非接触の状態にするものである。
また、本発明に係る水銀気化抑制方法は、前記硫化物イオンを硫化ナトリウムの形で供給するものである。
また、本発明に係る水銀気化抑制方法は、前記硫化物イオンをチオ尿素の形でかつアルカリ環境下で供給するものである。
また、本発明に係る水銀気化抑制方法は、前記硫化物イオンとともに所定の固化剤を添加するものである。
また、本発明に係る水銀気化抑制方法は、含水比が高くなった前記水銀汚染土を掘削除去し、次いで、掘削除去された空間内に良質土を客土するものである。
参考発明に係る水銀気化抑制方法においては、水銀汚染土に水分を添加して該水銀汚染土の含水比を高めるとともに、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成する。
このようにすると、土粒子内の水銀は大気と非接触の状態となり、かくして土粒子内の水銀は、そのまま該土粒子内にとどまり、気化が抑制される。
水分を添加する方法としては、原位置にて汚染土壌にパイプを挿入し該パイプを介して給水する、給水ホース等を介して汚染土壌の上から散水するなどの方法から適宜選択することが可能であり、添加の時期としては、掘削前、掘削中、運搬中、最終処分地にて投入している途中など、水銀気化の可能性がある任意の時期に行うことが考えられる。
ここで、水分の添加状態は任意であるが、かかる水分を冷水若しくは氷の状態で添加するようにすると、水銀汚染土の温度が低下することによって、水銀の蒸気圧を下げることができるとともに、乾燥による水分被膜の消失についても同時に防止することができるので、水銀の気化をさらに効果的に抑制することが可能となる。
なお、水分に加えて増粘剤を添加するようにすれば、水の粘性が高くなって土粒子表面の水分被膜が長時間持続し、水銀の気化をさらに効果的に抑制することが可能となる。増粘剤としては、MC(メチルセルロース)、CMC(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリマー剤、アクリル系樹脂、起泡剤などが考えられる。
別の参考発明に係る水銀気化抑制方法においても、主として水銀で汚染された汚染土を対象としたのものであり、かかる方法においては、水銀汚染土に硫化物イオンを添加して水銀汚染土に含まれている水銀と反応させ、該水銀を硫化水銀(HgS)に変える。
このようにすると、何らかの理由で気化しやすい状況になっていた水銀は、蒸気圧が低い硫化水銀へと変化し、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成することによる上述した作用効果と相まって気化が抑制される。
水銀汚染土の分布域が地表面近傍であるか地中内であるかは問わないが、かかる水銀汚染土が地中部分の場合には、土壌中の水銀が土中細菌等による自然の還元作用を受けて気化しやすい状態となっていることが多く、かかる場合には、地中深く掘削しているときに水銀汚染土中の水銀が気化しやすいという事態を招く。しかし、このようなケースにおいて上述したと同様に硫化物イオンを添加すれば、水銀の気化をより効果的に防止することができる。
本発明に係る水銀気化抑制方法においては、水銀の他にクロム等の重金属にも汚染された複合汚染土を対象としたのものであり、かかる方法においては、クロム等の重金属は、硫酸第一鉄、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどの還元剤によって例えば六価から三価に還元処理されて有害度が低下する。一方、水銀については、還元剤による還元作用によって気化しやすい状況となるが、硫化物イオンを添加することによって該硫化物イオンが水銀と反応し蒸気圧が低い硫化水銀へと変化する。そのため、還元剤を使用したとしても、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成することによる上述した作用効果と相まって、水銀の気化は確実に抑制される。
本発明において、水中で解離して硫化物イオンすなわちS2-を供給ないしは発生可能な物質としては、硫化ナトリウム、チオ尿素、コロイドイオウ、硫化物を含む有機酸例えばデグサジャパン株式会社から商品名「TMT」で市販されているトリメルカプト―S―トリアジンナトリウムを主成分とするものなど多数存在するが、特に、硫化ナトリウムを使用すると、水銀の気化をより効果的に抑制することが可能となる。
ここで、硫化ナトリウムをどのような割合で水銀汚染土に添加するかは状況に応じて適宜設定すればよいが、かかる硫化ナトリウムを水銀の量に対して0.5〜1倍モル比の範囲で前記水銀汚染土に添加するようにすれば、多硫化物(HgS2)が生成されることによる水銀の溶出を防止しつつ、土中細菌等によって自然にあるいは還元剤によって人工的に還元作用を受けて気化しやすくなっている水銀の気化を効果的に抑制することが可能となる。
また、硫化物イオンをチオ尿素の形でかつアルカリ環境下で供給するようにすれば、水銀の気化を抑制しつつ、硫化ナトリウムを使用するときのような悪臭発生を未然に防止することが可能となる。アルカリ環境下とするには、セメント、石灰等を併用添加するようにすればよい。
硫化物イオンの添加方法としては、溶液の状態にしたものを汚染土壌に挿入されたパイプを介して注入する、ホース等を介して汚染土壌の上から散水するなどの方法から適宜選択することが可能であり、粉末状であればこれを散布するなどの方法が考えられる。また、添加の時期としては、掘削前、掘削除去中、運搬中、最終処分地にて投入している途中など、水銀気化の可能性がある任意の時期に行うことが考えられる。なお、硫化物イオンを添加するにあたって攪拌が必要な場合には、地表面近傍においてはバックホウ、スタビライザなどを使用し、地中においてはスクリューオーガのような攪拌翼を有する攪拌機を使用すればよい。
ここで、硫化物イオンを添加するにあたり、所定の固化剤を併せて添加するようにすれば、H2Sに起因する悪臭の発生を防止するとともに処理土の強度を高めることが可能となる。固化剤としては、例えばセメントを使用すればよい。
なお、上述した各請求項に係る発明において対象となる水銀汚染土の水銀濃度は、水銀がどのような形態で土中に存在するか、あるいは土壌がどのような環境であるかで一概には言えないが、例えば数100ppm以上の場合を主な適用対象とすることが考えられる。
また、水銀がどのような形態で土中に存在するかは任意であり、金属水銀や水銀化合物(硝酸水銀、塩化水銀、炭酸水銀)、あるいはイオン状態の水銀などの無機水銀でもよい。これらのうち、固体で蒸気圧を持つ水銀化合物は比較的気化しやすく、金属水銀は特に気化しやすいので、当然本発明の対象となる。また、そのままでは気化しにくいイオン状態の水銀であっても、土中細菌等によって自然にあるいは還元剤の使用によって人工的に還元作用を受けた場合には気化しやすくなるので、やはり本発明の対象となる。
以下、本発明に係る水銀汚染土の水銀気化抑制方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、従来技術と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
(第1実施形態)

図1は、本実施形態に係る水銀気化抑制方法の手順を示した略図である。本実施形態に係る水銀気化抑制方法においては、まず同図(a)に示すように汚染領域1内に拡がる水銀汚染土にホース2を用いて散水し含水比を高くするとともに、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成する。
次に、水分被膜が形成された汚染領域1内の水銀汚染土を、同図(b)に示すようにバックホウなどを用いて掘削除去する。なお、掘削作業中においても乾燥防止のため必要に応じて随時散水するとともに、掘削除去された水銀汚染土をダンプカーなどに積載して最終処分地まで運搬する際には乾燥を防ぐための養生シートを必要に応じて被せるようにし、また、最終処分地で投入作業を行う際には、掘削時と同様、乾燥防止のために随時散水を行うのがよい。
このように汚染領域1内に拡がる水銀汚染土にホース2を用いて散水し含水比を高くするとともに、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成すると、土粒子内の水銀は大気と非接触の状態となり、土粒子内の水銀は、そのまま該土粒子内にとどまり、気化が抑制される。
最後に、同図(c)に示すように、掘削除去された空間3内に良質土4を客土する。
以上説明したように、本実施形態に係る水銀気化抑制方法によれば、水銀汚染土の土粒子表面に形成された水分被膜によって土粒子内の水銀と大気との接触が回避され、土粒子内の水銀気化を抑制することが可能となる。
そのため、従来のように気密空間の形成や換気設備に費用をかけずとも、水銀の大気への拡散を確実に防止することができるとともに、作業員が吸引して健康を害するおそれもなくなる。
本実施形態では、水銀汚染土が主として地表面に分布していることを前提としたが、該水銀汚染土が地中深くに分布している場合には、図2(a)に示すように地盤11に給水パイプ12を挿入して給水を行うことにより、汚染領域13内の水銀汚染土の含水比を予め高めておき、しかる後に該汚染領域内の水銀汚染土を同図(b)に示すように掘削除去すればよい。
また、本実施形態では、散水される水について詳しく言及しなかったが、この水を冷水として汚染領域1内の水銀汚染土に添加し、あるいは氷塊や氷の粒として添加するようにしてもよい。かかる構成によれば、汚染領域1内の水銀汚染土の温度が低下し、水銀の蒸気圧が下がるとともに、乾燥による水分被膜の消失についても同時に防止できるので、水銀の気化をさらに効果的に抑制することが可能となる。
また、本実施形態では、汚染領域1内に分布する水銀汚染土に水だけを添加することを前提としたが、かかる水分に加えて増粘剤を添加するようにしてもよい。
増粘剤としては、MC(メチルセルロース)、CMC(ナトリウムカルボキシメチルセルロース)、ポリマー剤、アクリル系樹脂、起泡剤などを使用することができる。
かかる構成によれば、添加される水の粘性が高くなって土粒子表面の水分被膜が長時間持続し、水銀の気化をさらに効果的に抑制することが可能となる。
(第2実施形態)

次に、第2実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図3は、本実施形態に係る水銀気化抑制方法の手順を示した略図である。本実施形態に係る水銀気化抑制方法においては、まず硫化ナトリウムを例えば水溶液にし、これを同図(a)に示すように汚染領域31に拡がる水銀汚染土に散水パイプ32を介して散布し、該水銀汚染土に硫化物イオンを供給する。
次に、汚染領域31を同図(b)に示すようにバックホウ、スタビライザなどを用いて攪拌混合し、土中に含まれる水銀と硫化物イオンとの反応性を高める。
このようにすると、水銀汚染土に含まれていた水銀は、硫化ナトリウムの硫化物イオンと反応してより蒸気圧の低い硫化水銀(HgS)へと変化し、気化が抑制される。
次に、気化が抑制された状態の水銀汚染土を、同図(c)に示すようにバックホウなどを用いて掘削除去し、最後に、同図(d)に示すように、掘削除去された空間3内に良質土4を客土する。
以上説明したように、本実施形態に係る水銀気化抑制方法によれば、何らかの理由で気化しやすくなっている水銀を硫化物イオンによってより蒸気圧の低い硫化水銀へと変化させるようにしたので、水銀汚染土に含まれている水銀の気化が抑制される。
そのため、従来のように気密空間の形成や換気設備に費用をかけずとも、水銀の大気への拡散を確実に防止することができるとともに、作業員が吸引して健康を害するおそれもなくなる。
また、本実施形態に係る水銀気化抑制方法によれば、硫化物イオンの供給源として硫化ナトリウムを使用するようにしたので、水銀の気化をより効果的に抑制することが可能となる。
本実施形態では、水銀汚染土が主として地表面に分布していることを前提としたが、該水銀汚染土が地中深くに分布している場合には、図4に示すようにスクリューオーガのような攪拌混合機41を地盤11内の汚染領域13に挿入し、しかる後にその先端に形成されたノズルから硫化ナトリウム溶液を噴射しつつ該攪拌混合機を引き続き回転させて汚染領域13を攪拌混合し、汚染領域13内の水銀汚染土と硫化ナトリウムとを十分に接触させる。
かかる変形例においても、汚染領域13内の水銀汚染土に含まれる水銀が硫化物イオンと反応して気化が抑制されるので、その反応が進行するのを待ってから汚染領域13内の水銀汚染土を同図(b)に示すように掘削除去すればよい。
本変形例によれば、地下深くの水銀汚染土に含まれる水銀が土中細菌等によって自然の還元作用を受けて気化しやすくなっている場合であっても、硫化物イオンによって蒸気圧の低い硫化水銀へと変化するので、水銀の気化をより効果的に防止することが可能となる。
また、本実施形態では特に言及しなかったが、硫化ナトリウム水溶液を添加するにあたり、固化剤としてのセメントを併せて添加するようにすれば、H2Sに起因する悪臭の発生を防止するとともに処理土の強度を高めることが可能となる。
また、硫化ナトリウム水溶液を添加するにあたり、硫酸第一鉄を併せて添加するようにすれば、H2Sに起因する悪臭の発生を防止することが可能となる。
また、本実施形態では、硫化物イオンを硫化ナトリウムの形で供給するようにしたが、これに代えてチオ尿素(チオウレア)の形でかつアルカリ環境下で供給するようにしてもよい。かかる構成によれば、水銀の気化を抑制しつつ、硫化ナトリウムを使用するときのような悪臭発生を未然に防止することが可能となる。
図5は、硫化物イオンの供給源としてのチオ尿素をセメントとともに水銀汚染土に添加した結果を示したグラフである。ここで、グラフ中、チオ尿素は、土中の水銀量に対するモル比で示してあり、セメントは、湿潤土あたりの添加量(重量%)で示してある。
同図でわかるように、チオ尿素を1〜3倍モル比、セメントを3%以上添加した場合には、平均水銀気化速度が十分に抑制されていることがわかる。
また、これらの物質に代えて、例えばデグサジャパン株式会社から「TMT」なる商品名で市販されているトリメルカプト―S―トリアジンナトリウムを主成分とする物質を用いて硫化物イオンを添加するようにしてもよい。
図6は、かかるTMTを水銀汚染土に添加した結果を示したグラフである。ここで、グラフ中、TMTは、土中の水銀量に対するモル比で示してある。
同図でわかるように、TMTを0.1倍モル比以上添加した場合には、平均水銀気化速度が十分に抑制されていることがわかる。
また、本実施形態では、硫化ナトリウムを水溶液の状態で添加するようにしたが、その濃度を調整することにより、あるいは別途水を添加することにより、水銀汚染土の含水比を高くするとともに、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成する。
このようにすると、第1実施形態と同様、土粒子内の水銀気化が抑制される作用効果も得られる。また、硫化ナトリウムと水銀との反応性も向上する。
(第3実施形態)

次に、第3実施形態について説明する。なお、上述の実施形態と実質的に同一の部品等については同一の符号を付してその説明を省略する。
図7は、本実施形態に係る水銀気化抑制方法の手順を示した略図である。本実施形態に係る水銀気化抑制方法は、上述の各実施形態とは異なり、水銀の他にクロム等の重金属にも汚染された複合汚染土を対象としたものであり、かかる処理方法においては、まず同図(a)に示すように、散水パイプ32を介して汚染領域41に拡がる水銀汚染土に還元剤を添加し、該水銀汚染土に含まれている水銀以外の重金属を還元処理するとともに、同じく散水パイプ32を介して硫化ナトリウム溶液を散布し、該水銀汚染土に硫化物イオンを供給する。ここで、硫化ナトリウムは、水銀の量に対して0.5〜1倍モル比の範囲で水銀汚染土に添加するのがよい。
ここで、0.5倍モル比以上としたのは、還元剤で気化しやすくなった水銀の気化をより効果的に抑制することができるからであり、1倍モル比以下としたのは、多硫化物の生成による水銀の溶出を効果的に防止することができるからである。
次に、同図(c)に示すように汚染領域41をバックホウ、スタビライザなどを用いて攪拌混合し、土中に含まれる水銀と硫化物イオンとの反応性を高める。
このようにすると、水銀以外の重金属、例えばクロムは、六価から三価に還元処理されてその有害度が低下し、取り扱いが容易になる。一方、水銀は、硫化ナトリウムの硫化物イオンと反応してより蒸気圧の低い硫化水銀(HgS)へと変化し、気化が抑制される。
次に、気化が抑制された状態の水銀汚染土を、第2実施形態と同様にして掘削除去し、最後に良質土を客土する。
次に、本実施形態に係る水銀気化抑制方法を実証する室内実験を行ったので、ここにその概要と結果を説明する。
まず、汚染土試料としては、水銀含有量が10、000ppmとなるように砂質土に硝酸水銀(Hg(NO3)2)を添加して調製した。次に、かかる汚染土試料100gをシャーレに入れ、該試料の10%に相当する量のアスコルビン酸を還元剤として添加して攪拌し、しかる後に硫化ナトリウムを10mlの水とともに添加し、これを気密性のガラス容器内に入れて攪拌した。
そして、一定時間静置後、ガラス容器内の気体をガス吸収液を介して外部に吸引し、その後、ガス吸収液で捕集された水銀の量を還元気化原子吸光法によって計測した。
図8(a)は、実験結果を示したグラフであり、横軸に硫化ナトリウム添加量を、縦軸に水銀気化速度をとってある。同グラフでわかるように、硫化ナトリウムを添加しない場合には、10mlの水を添加するかどうか(図中、水なし、水ありと表記)によって多少の違いがあるものの、水銀気化速度は、還元剤の作用によっておよそ1mg/m2・min程度とかなり高いが、硫化ナトリウムを水銀量に対して0.5倍モル比程度添加すれば、該水銀気化速度を約100分の1程度まで抑制できることがわかる。なお、かかる量を越えて硫化ナトリウムを添加しても水銀気化速度にはほとんど影響がなかった。
一方、同図(b)は、硫化ナトリウムの添加量に対する水銀の水への溶出量を調べたものである。これは、環境への拡散防止を図るという意味では、気化のみならず溶出にも注目すべきとの観点に立って行ったものである。同グラフに示すように、硫化ナトリウムを水銀量に対して1倍モル比程度以上添加すると、水銀溶出量が大幅に増加した。これは、過剰の硫化物イオンを添加することによって、水銀の多硫化物が生成し、再溶出が起こったためと考えられる。
以上の実験結果から、水銀汚染土に含まれる水銀の再溶出を防止しつつ、該水銀の気化を抑制するには、硫化ナトリウムを0.5〜1倍モル比の範囲で水銀汚染土に添加すればよいことがわかった。
以上説明したように、本実施形態に係る水銀気化抑制方法によれば、水銀以外のクロム等の重金属を還元剤によってその有害性を低下させるとともに、該還元剤の作用によって気化しやすくなった水銀を硫化ナトリウムの硫化物イオンと反応させて硫化水銀に変えるようにしたので、水銀汚染土に含まれているクロム等の他の重金属を還元処理しつつ、水銀の気化を抑制することが可能となる。
そのため、従来のように気密空間の形成や換気設備に費用をかけずとも、水銀の大気への拡散を確実に防止することができるとともに、作業員が吸引して健康を害するおそれもなくなる。
また、本実施形態に係る水銀気化抑制方法によれば、硫化物イオンの供給源として硫化ナトリウムを使用するようにしたので、水銀の気化をより効果的に抑制することが可能となる。
また、本実施形態に係る水銀気化抑制方法によれば、硫化ナトリウムを水銀の量に対して0.5〜1倍モル比の範囲で該水銀汚染土に添加するようにしたので、多硫化物(HgS2)が生成されることによる水銀の溶出を防止しつつ、還元剤によって人工的に還元作用を受けて気化しやすくなっている水銀の気化を効果的に抑制することが可能となる。
本実施形態では特に言及しなかったが、硫化ナトリウム水溶液を添加するにあたり、固化剤としてのセメントを併せて添加するようにすれば、H2Sに起因する悪臭の発生を防止するとともに処理土の強度を高めることが可能となる。
また、硫化ナトリウム水溶液を添加するにあたり、硫酸第一鉄を併せて添加するようにすれば、H2Sに起因する悪臭の発生を防止することが可能となる。
また、本実施形態では、還元剤添加時に水銀が気化する懸念があることを考慮して還元剤と硫化ナトリウムとを同時添加するようにしたが、場合によっては、還元剤添加後、時間をおかずに硫化ナトリウムを散布するようにしてもよい。
また、本実施形態では、硫化物イオンを硫化ナトリウムの形で供給するようにしたが、第2実施形態と同様、これに代えてチオ尿素(チオウレア)の形でかつアルカリ環境下で供給したり、デグサジャパン株式会社から「TMT」なる商品名で市販されているトリメルカプト―S―トリアジンナトリウムを主成分とする物質を用いて硫化物イオンを添加するようにしてもよい。
また、本実施形態では、硫化ナトリウムを水溶液の状態で添加するようにしたが、その濃度を調整することにより、あるいは別途水を添加することにより、水銀汚染土の含水比を高くするとともに、水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成する。
このようにすると、第1実施形態と同様、土粒子内の水銀気化が抑制される作用効果も得られる。また、硫化ナトリウムと水銀との反応性も向上する。
また、本実施形態では、複合汚染土に対して還元剤が使用される状況を前提としたが、硫化ナトリウムを水銀の量に対して0.5〜1倍モル比の範囲で水銀汚染土に添加する構成については、土中細菌等による自然の還元作用で水銀が気化しやすくなっている場合についても適用することが可能であり、かかる場合においても上述したと同様、多硫化物(HgS2)が生成されることによる水銀の溶出を防止しつつ、自然の還元作用を受けて気化しやすくなっている水銀の気化を効果的に抑制することが可能となる。
第1実施形態に係る水銀汚染土の処理方法の手順を示した略図。 変形例に係る水銀汚染土の処理方法の手順を示した略図。 第2実施形態に係る水銀汚染土の処理方法の手順を示した略図。 変形例に係る水銀汚染土の処理方法の手順を示した略図。 変形例の作用効果を確認するための実験結果を示したグラフ。 変形例の作用効果を確認するための実験結果を示したグラフ。 第3実施形態に係る水銀汚染土の処理方法の手順を示した略図。 第3実施形態の作用効果を確認するための実験結果を示したグラフ。

Claims (5)

  1. 水銀汚染土に還元剤を添加して該水銀汚染土に含まれている水銀以外の所定の重金属を還元処理するとともに、前記水銀汚染土に硫化物イオンを添加して該水銀汚染土に含まれている水銀を硫化水銀にし、前記水銀汚染土の含水比を高めて前記水銀汚染土の土粒子表面に水分被膜を形成することにより、該土粒子内の水銀を大気と非接触の状態にすることを特徴とする水銀汚染土の水銀気化抑制方法。
  2. 前記硫化物イオンを硫化ナトリウムの形で供給する請求項1記載の水銀汚染土の水銀気化抑制方法。
  3. 前記硫化物イオンをチオ尿素の形でかつアルカリ環境下で供給する請求項1記載の水銀汚染土の水銀気化抑制方法。
  4. 前記硫化物イオンとともに所定の固化剤を添加する請求項1記載の水銀汚染土の水銀気化抑制方法。
  5. 含水比が高くなった前記水銀汚染土を掘削除去し、次いで、掘削除去された空間内に良質土を客土する請求項1乃至請求項4のいずれか一記載の水銀汚染土の水銀気化抑制方法。
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