JP3801271B2 - アクティブマトリクス基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温域における機械的特性が改善されたフッ素樹脂塗膜を画素電極下の絶縁膜、平坦化膜として用いたアクティブマトリクス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素樹脂は高耐熱性、高耐薬品性、低屈折率、低誘電率という優れた特性を有するが、特に高温域において機械的に柔らかい、すなわち弾性率が小さい、または熱膨張係数が大きいといった短所がある。
【0003】
また、一般にフッ素樹脂は溶媒に不溶であるためにコーティングによる均一な薄膜形成は困難であったが、特開昭63−238111、特開昭63−260932、米国特許4754009に見られるように特殊な含フッ素溶剤に溶解する主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂が開発されている。その他にも特開平2−48579、特開平7−76644に見られるように、カルボン酸基またはスルホン酸基を分子内に有するフッ素樹脂が、アルコールなどの溶剤に溶解することが知られている。
【0004】
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂は、誘電率が小さい、吸水性がない、または金属の膜中への拡散がないといった特徴を活かして、半導体素子の保護膜用途への応用が欧州特許0393682に、マルチ・チップ・モジュールなどの多層配線板の絶縁膜用途への応用が特開平5−283827に記載されている。
【0005】
近年、半導体素子または多層配線板の微細化、高集積化、高密度化が進むにつれて、信号伝搬遅延時間の短縮に寄与する誘電率の小さい絶縁材料が求められている。半導体素子バッファーコート膜、半導体素子パッシベーション膜、半導体素子層間絶縁膜、または多層配線板層間絶縁膜として現在広く使われているのは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリイミド樹脂などであるが、誘電率はそれぞれ4〜5、7〜9、3.5〜4程度であり、低誘電率化の検討が盛んであるが、誘電率が3以下であるような材料はきわめてまれであり、本質的に誘電率の小さいフッ素樹脂への期待は大きい。
【0006】
一方、液晶などを用いたアクティブマトリクス表示素子においては、開口率向上のための画素電極面積増大による画素電極と配線の間の容量増加を抑制するために、透明度が高く誘電率の低い絶縁膜が必要とされている。また反射型アクティブマトリクス表示素子においては、凹凸のある能動素子マトリクス上に反射率の高い反射電極を形成するために、平坦化性能が良い絶縁膜が必要とされ、この絶縁膜は反射電極電位の能動素子への電気的影響を最小限にするため誘電率が低いことが重要である。これらの絶縁膜としてフッ素樹脂は有望な材料である。
【0007】
しかし、アクティブマトリクス表示素子は、その製造工程および実装工程において200〜350℃の高温に曝されるため、素子・配線の信頼性を維持し、さらに反射型の場合は反射電極の反射率低下を防止する観点から、フッ素樹脂の良好な電気特性を可能なかぎり保持しつつ、前述の機械的な短所の解決が求められていた。
【0008】
フッ素樹脂の機械的特性の改善方法として、無機微粒子粉体を混合する方法が特開昭63−259907にて公知である。しかし、この方法では、無機微粒子の一次粒径が0.1μm以下のものを製造するのはきわめて困難であり、かつ一次粒径が小さなものを使用したとしても、粒子同士の付着が起こりやすいため、0.1μm〜数μm厚の均一な塗膜を得るのは実質上不可能である。
【0009】
また、よりミクロな無機微粒子をフッ素樹脂に混合する方法として、含フッ素溶媒を用いた無機微粒子のオルガノゾルをフッ素樹脂溶液に配合した溶液組成物が、特開平7−112126にて公知である。しかし、この方法では、均一な溶液を得るためにはオルガノゾルの含フッ素表面処理剤での表面処理が必須であり、かつ該表面処理を行っても、形成された塗膜においてフッ素樹脂と無機成分の親和性が必ずしも充分でない。このため、機械的強度が小さく、また無機成分が表面にブリードアウトすることがあるという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特に高温域において機械的に柔らかい、または熱膨張係数が大きいといったフッ素樹脂の短所を改善し、かつ均一な塗膜を形成できるようなコーティング用組成物を画素電極下層の絶縁膜として用いた開口率の大きい透過型および反射率の高い反射型アクティブマトリクス基板の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上の能動素子マトリクス上に塗膜、その上に画素電極を有するアクティブマトリクス基板であって、前記塗膜が、以下の(a)および(b)を含むコーティング用組成物から形成された塗膜であるアクティブマトリクス基板である。
(a)親水性官能基を分子内に有し、かつ主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂。
(b)式R1 m2 nSi(OR34-m-n (式中R1 およびR2 は同一または相異なる非加水分解性基、R3 はアルキル基、mおよびnは0≦m+n≦3を満たす0〜3の整数)で表されるアルコキシシラン類の部分加水分解縮合物。
【0012】
本コーティング用組成物から形成された塗膜は、部分加水分解縮合物(b)の硬化物とフッ素樹脂(a)とが均一に複合されたものである。
【0013】
本発明におけるフッ素樹脂(a)中の親水性官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アルコキシシリル基およびシラノール基などが例示され、特に水酸基、カルボキシル基が好ましい。本発明における部分加水分解縮合物(b)との相溶性の観点より、フッ素樹脂(a)中の親水性官能基の割合は、フッ素樹脂(a)1グラム当たり1マイクロモル以上であることが好ましい。
【0014】
本発明において、フッ素樹脂(a)は以下の(1)である
(1)親水性官能基を分子内に有し、かつ主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂
【0015】
まず、親水性官能基を分子内に有し、かつ主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂としては、含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを重合して得られるものや、2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる、主鎖に脂肪族環構造を有するポリマーに親水性官能基を導入したものが挙げられる。
【0016】
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するとは、脂肪族環を構成する炭素原子の1以上が主鎖を構成する炭素連鎖中の炭素原子であり、かつ脂肪族環を構成する炭素原子の少なくとも一部にフッ素原子またはフッ素含有基が結合している構造を有していることを意味する。
【0017】
2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを環化重合して得られる主鎖に脂肪族環構造を有するフッ素樹脂は、特開昭63−238111、特開昭63−238115、特開平7−316235などにて公知である。すなわち、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ビスビニルオキシメタン)などのモノマーを単独重合、またはこれらのモノマーとテトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンなどのペルフルオロオレフィン類、ペルフルオロ(ブチルビニルエーテル)などのペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)類などのラジカル重合性モノマーとを共重合して得られる。
【0018】
含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーを重合して得られる主鎖に脂肪族環構造を有するフッ素樹脂は、特公昭63−18964、特開平7−70107などにて公知である。すなわち、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソールなどの含フッ素環構造を有するモノマーを単独重合、または、これらのモノマーとテトラフルオロエチレンなどのラジカル重合性モノマーと共重合して得られる。
【0019】
また、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、2,2,4−トリフルオロ−5−トリフルオロメトキシ−1,3−ジオキソールなどの含フッ素脂肪族環構造を有するモノマーとペルフルオロ(アリルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)、ペルフルオロ(ビスビニルオキシメタン)などの2つ以上の重合性二重結合を有する含フッ素モノマーを共重合して得られるフッ素樹脂でもよい。
【0020】
主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂は、フッ素樹脂の繰り返し単位中に含フッ素脂肪族環構造を20モル%以上含有するものが透明性、機械的特性などの面から好ましい。
【0021】
上記フッ素樹脂(1)における親水性官能基の導入方法としては、以下の1)〜7)の方法が好ましい。
【0022】
1)分子内にカルボキシル基などの官能基もしくはこれらの前駆体基、例えばアシル基を有する開始剤または連鎖移動剤の存在下で重合を行うことにより、フッ素樹脂の末端基にカルボキシル基を導入する方法。
【0023】
2)分子内にスルホン酸などの官能基もしくはこれらの前駆体基を有する開始剤または連鎖移動剤の存在下で重合を行うことにより、フッ素樹脂の末端にスルホン酸基を導入する方法。
【0024】
3)酸素存在下にてフッ素樹脂を高温処理することにより、フッ素樹脂の側鎖、または末端を酸化分解させ、ついでこれを水処理してカルボキシル基を導入する方法。
【0025】
4)メチルペルフルオロ(5−オキサ−6−ヘプテノエート)などのカルボン酸誘導体基を有するモノマーを共重合させてフッ素樹脂の側鎖にカルボン酸誘導体基を導入し、このカルボン酸誘導体基を加水分解してカルボキシル基にする方法、または、このカルボン酸誘導体基を還元して水酸基にする方法。
【0026】
5)ペルフルオロ(3,5−ジオキサ−4−メチル−7−オクテンスルフィニル)フルオリドなどのスルホン酸誘導体基を有するモノマーを共重合させてフッ素樹脂の側鎖にスルホン酸誘導体基を導入し、このスルホン酸誘導体基を加水分解してスルホン酸基に変換する方法。
【0027】
6)カルボキシル基を還元して水酸基に変換する方法。
【0028】
7)カルボキシル基または水酸基にシランカップリング剤などを反応させてアルコキシシリル基またはシラノール基を導入する方法。
【0032】
本発明におけるコーティング用組成物は、上記親水性官能基を分子内に有し、かつ溶剤に可溶であるフッ素樹脂(a)と、式R1 m2 nSi(OR34-m-n (式中R1 およびR2 は同一または相異なる非加水分解性基、R3 はアルキル基、mおよびnは0≦m+n≦3を満たす0〜3の整数)で表されるアルコキシシラン類の部分加水分解縮合物(b)を必須成分とする。
【0033】
式中の非加水分解性基としては、入手の容易性から炭素数1〜14の非加水分解性基から選ばれる。非加水分解性基は、アミノ基、エポキシ基などの官能基を有していてもよい。
【0034】
1 とR2 が同じ場合には、R1 とR2 は官能基を有しないものが好ましく、R1 とR2 が異なる場合には、R1 はエポキシ基、アミノ基などの官能基を有するものまたは含フッ素アルキル基であり、R2 はR1 以外の基であることが好ましい。
【0035】
非加水分解性基としては、γ−グリシドキシプロピル基、γ−アミノプロピル基、アミノフェニル基、N−フェニル−γ−アミノプロピル基などの官能基を有する有機基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、ビニル基などのアルケニル基、フェニル基、トリル基などのアリール基、トリフルオロメチル基、トリフルオロプロピル基、ペンタフルオロブチル基、ノナフルオロヘキシル基、トリデカフルオロオクチル基、ヘプタデカフルオロデシル基、ヘプタデカフルオロウンデシル基などの含フッ素アルキル基などが好ましい。
【0036】
トリフルオロプロピル基などのフッ素原子と水素原子を有する含フッ素アルキル基は、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようにアルキル基末端にペルフルオロアルキル基を有するものが化合物の入手の容易性から好ましい。したがって、後述の含フッ素アルコキシシラン類中の含フッ素アルキル基はこのような含フッ素アルキル基から選ぶことが好ましい。
【0037】
式中のR3 は部分加水分解しやすさから、炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。さらに好ましくは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基である。
【0038】
本発明における部分加水分解縮合物(b)は、式中m=n=0、m+n=1、m+n=2およびm+n=3であるものから選ばれる1種のみからなる部分加水分解縮合物でもよく、これらから選ばれる2種以上からなる部分加水分解縮合物でもよい。
【0039】
ただし、当然ながらm+n=3であるアルコキシシラン類は、分子内に加水分解基を1つしか有しておらず、単独では部分加水分解縮合物を形成しえない。したがってm+n=3であるアルコキシシラン類は、溶液中でのアルコキシシラン類の部分加水分解縮合物の過剰な反応を抑制するなどの目的で、m=n=0、m+n=1またはm+n=2のアルコキシシラン類と併用される。m+n=3であるアルコキシシラン類は、全アルコキシシラン類に対して10モル%以下であることが望ましい。
【0040】
m+n=2のアルコキシシラン類単独の部分加水分解縮合物は、直鎖状の縮合物を形成し、三次元構造を取りえないため、樹脂の高温での機械特性を改良する効果があまりない。したがってm+n=2のアルコキシシラン類は、m=n=0、m+n=1のアルコキシシラン類と併用されるのが好ましい。m+n=2であるアルコキシシラン類は、全アルコキシシラン類に対して30モル%以下であることが望ましい。
【0041】
このようなアルコキシシラン類の好ましい例を以下に示す。これらのアルコキシシラン類は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどのテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなどのモノアルキルトリアルコキシシラン類、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのモノアルケニルトリアルコキシシラン類、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ペンタフルオロブチルトリメトキシシラン、ノナフルオロヘキシルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、ヘプタデカフルオロウンデシルトリメトキシシラン、(4−ペルフルオロブチルフェニル)トリメトキシシラン、(4−ペルフルオロヘキシルフェニル)トリメトキシシラン、(4−ペルフルオロオクチルフェニル)トリメトキシシランなどの含フッ素アルコキシシラン類、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン類、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの脂肪族アミノシラン類、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの含芳香環アミノシラン類。
【0043】
これらのアルコキシシラン類中で、含フッ素アルコキシシラン類はフッ素樹脂との相溶性が高く、また、テトラアルコキシシラン類は、加水分解縮合反応が完全に行われれば無機化することから、高温での機械強度の改善に特に適する。
【0044】
ここで、含フッ素アルコキシシラン類とは、前述の式で表されるアルコキシシラン類のR1 およびR2 から選ばれる少なくとも一つの基にフッ素原子が結合した化合物を意味する。
【0045】
アルコキシシラン類の縮合反応は、周知、公知の方法により行いうる。例えば、アルコキシシラン類を溶剤および触媒の存在下に水を添加して加水分解縮合反応させる方法がある。この場合、必要に応じて加熱を行ってもよい。触媒としては塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸などの有機酸が使用できる。通常、生成物の分子量をポリスチレン換算重量平均分子量で500〜10000の範囲に設定するのが、樹脂との相溶性、後述する溶剤への溶解性の観点から好ましい。ついで必要に応じて系内に存在する水を蒸留などにより除去し、さらに触媒をイオン交換樹脂などで除去してもよい。
【0046】
本発明において、フッ素樹脂(a)と部分加水分解縮合物(b)の混合溶液を調製するに当たり、溶剤としてこれらを同時に溶解するものを選択することが重要である。
【0047】
フッ素樹脂(a)が、前述(1)の主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂である場合、たとえば特開平7−112126に記載のような、非プロトン性含フッ素溶剤とプロトン性含フッ素溶剤の混合物が例示される。ここで特徴的なことは、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂は非プロトン性フッ素溶剤には溶解するが、プロトン性含フッ素溶剤には溶解せず、逆に部分加水分解縮合物(b)は、プロトン性含フッ素溶剤には溶解するが、非プロトン性含フッ素溶剤には溶解しない場合があり、したがって混合溶剤にすることにより両者を同時に溶解するという点である。
【0048】
非プロトン性含フッ素溶剤とは、通常の反応条件下では解離せずプロトンを生じない含フッ素溶剤であり、公知、周知のものが使用できる。非プロトン性含フッ素溶剤としては以下のものが例示される。これらを2種以上混合して使用してもよい。
【0049】
ペルフルオロヘキサン、ペルフルオロオクタン、1H,1H,1H,2H,2H−ペルフルオロオクタン[F(CF2625 ]、1H,1H,1H,2H,2H−ペルフルオロデカン[F(CF2825 ]などの含フッ素脂肪族炭化水素類、ペルフルオロデカリン、ペルフルオロシクロヘキサン、ペルフルオロ(1,2−ジメチルシクロブタン)などの含フッ素脂環式炭化水素類、ペルフルオロトリペンチルアミン、ペルフルオロトリブチルアミン、ペルフルオロトリプロピルアミンなどの含フッ素アルキルアミン類、HCF2 CF2 OCH2 CF3 などのフルオロエーテル類、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)などの含フッ素環状エーテル。
【0050】
プロトン性含フッ素溶剤とは解離してプロトンを生じやすい含フッ素溶剤であり、公知、周知のものが使用できる。プロトン性含フッ素溶剤としては以下のものが好適に例示される。これらを2種以上併用してもよい。
【0051】
CF3 CH2 OH、CF3 CF2 CH2 OH、CF3 (CF23 CH2 CH2 OH、CF3 (CF25 CH2 CH2 OH、CF3 CF2 CH2 CH2 CH2 OH、CF3 (CF23 CH2 CH2 CH2 OHなどの含フッ素アルコール。
【0052】
非プロトン性含フッ素溶剤とプロトン性含フッ素溶剤の混合比は、フッ素樹脂(a)と部分加水分解縮合物(b)との両者が溶解するように選定する。フッ素樹脂(a)中に官能基を有するため、溶液中でのフッ素樹脂(a)と部分加水分解縮合物(b)との相溶性が高く、両者の均一な溶液が得られるのが特徴である。
【0053】
また、アルコキシシラン類の部分加水分解縮合物が含フッ素アルコキシシラン類の部分加水分解縮合物を含有する場合、その組成によっては非プロトン性含フッ素溶剤に溶解するので、その場合プロトン性含フッ素溶剤の添加は必要ないか、あるいはごく少量の添加で均一な混合溶液を作成できる。
【0056】
フッ素樹脂(a)と、部分加水分解縮合物(b)の混合溶液の調製方法は、結果として均一な溶液が作成できれば特に制限はなく、次の()〜()の方法が例示される。
【0057】
)部分加水分解縮合物(b)の溶液と、フッ素樹脂(a)の溶液とをあらかじめ別途調製し、両者を混合する方法。この場合、部分加水分解縮合物(b)の溶液は、フッ素樹脂(a)の溶液と相溶する溶剤中で直接作成する場合と、フッ素樹脂(a)の溶液と相溶しない溶剤中で合成した後に、公知の溶剤置換法により相溶性のある溶剤の溶液とする場合がある。後者は、フッ素樹脂(a)の溶液と相溶する溶剤中ではアルコキシシラン類の加水分解縮合反応が充分に進行しない場合、あるいは縮合物の重合度を制御しにくい場合などに用いられる。
【0058】
)アルコキシシラン類を、あらかじめ調製したフッ素樹脂(a)の溶液に溶解させ、その溶液中で部分加水分解縮合反応を行う方法。
【0059】
)部分加水分解縮合物(b)の溶液をあらかじめ調製し、そこにフッ素樹脂(a)を添加して溶解せしめる方法。
【0060】
フッ素樹脂(a)と、部分加水分解縮合物(b)の組成比は、目的に合わせて任意の割合に設定でき、通常、フッ素樹脂(a)100重量部に対して部分加水分解縮合物(b)を3〜400重量部、特には10〜150重量部、配合するのが好ましい。部分加水分解縮合物(b)の割合が少なすぎると、機械物性が充分に改善できず、多すぎると樹脂が本来有する電気特性、低吸水性といった特性を損なう恐れがある。
【0061】
フッ素樹脂(a)と部分加水分解縮合物(b)の混合溶液は、長期保存中に液の増粘が起こるなどポットライフが悪い場合がある。このような場合、液中にアルコキシシラン類の単量体を共存させておくと改善される傾向にあり、ポットライフ向上の方法として好ましく採用される。
【0062】
フッ素樹脂(a)と部分加水分解縮合物(b)を合計した溶液中での固形分濃度は、それが溶解する範囲で、所望の溶液粘度またはコーティング膜の膜厚などの観点から適宜選択すればよい。たとえば、膜厚0.1〜5μmのコーティング膜をスピンコート法にて得ようとする場合、一般には固形分濃度を1〜15重量%に設定すればよい。
【0063】
本発明のコーティング用組成物には、目的に応じて接着性向上剤、界面活性剤などの添加剤を配合できる。特にフッ素樹脂(a)中の親水性官能基と反応しうるカップリング剤を添加すると、下地との密着性が向上する、または塗膜強度が向上するなどの効果が得られる。
【0064】
本発明における上記カップリング剤とは、加水分解性基[部分加水分解縮合物(b)と反応可能な部位]と非加水分解性基を有するケイ素系化合物、チタン系化合物、アルミニウム系化合物などの化合物であって、かつフッ素樹脂(a)の官能基と反応可能な部位を持つ化合物を意味する。
【0065】
非加水分解性基は末端の炭素原子でケイ素原子、チタン原子、アルミニウム原子などに結合している。少なくとも1つの非加水分解性基は、フッ素樹脂(a)の親水性官能基と反応可能な部位を有する。
【0066】
加水分解性基としては、アルコキシ基、アルコキシアルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アミノキシ基、アミド基、ケトオキシム基、イソシアネート基、ハロゲン原子などが例示される。好ましくはアルコキシ基、アルコキシアルコキシ基などの1価アルコールの水酸基の水素原子を除いた基である。特にアルコキシ基が好ましく、その炭素数は8個以下、特に1〜4個が好ましい。フッ素樹脂(a)の官能基と反応可能な部位としては、アミノ基、エポキシ基などが好ましく、これらの基は、通常上記非加水分解性基中に有する。
【0067】
前記カップリング剤としてはシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが好ましく、特にシランカップリング剤がより好ましい。このシラン系カップリング剤は、部分加水分解縮合物ではない点で本発明のコーティング用組成物中の(b)成分とは異なる。
【0068】
シランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランなどのエポキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどの脂肪族アミノシラン類、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどの含芳香環アミノシラン類などが好ましい。特に含芳香環アミノシラン類は耐熱性が高く、好適に採用される。
【0069】
本発明のコーティング用組成物から物品上に塗膜を形成する方法としては、溶剤を含む本発明のコーティング用組成物を物品に塗布した後に、加熱乾燥して溶剤を揮発させる方法が好ましく採用される。この際、下地との充分な密着性を確保するために、下地表面を接着性向上剤で処理してもよい。
【0070】
本組成物の塗布方法としては、スピンコート法、ディッピング法、ポッティング法、ダイコート法、スプレーコート法などが例示され、コーティング対象である物品の形状、必要膜厚などから適宜選択すればよい。本組成物を、アクティブマトリクス基板に適用する場合、膜厚の面内分布の均一性からスピンコート法が好ましい。多層配線板層間絶縁膜に適用する場合、スピンコート法とともに、より高い液歩留りである方法として、ダイコート法が好ましい。
【0071】
塗膜を形成するためには、溶媒を揮発させ、かつ部分加水分解縮合物(b)を硬化させるために塗布後のベーク工程を要する。ベーク条件は、塗膜厚などにより適宜選択すればよく、充分な硬化反応のためには通常200〜450℃の最終ベークが必要である。塗膜の表面平滑性を確保する、または塗膜の段差埋め込み性を向上させるなどの目的で、50〜100℃程度のプリベーク工程を追加したり、ベーク工程を何段階かに分けて実施することもできる。
【0072】
また、必要に応じて本組成物から形成した塗膜と他の膜を複合化させて使用できる。たとえば、本組成物から形成した膜の下層にシリコン窒化膜等のパッシベーション膜が形成される場合がある。また、本組成物から形成した塗膜にコンタクトホール等のパターニングを施すために塗膜上に形成したフォトレジストなどをそのまま平坦化膜の一部として利用することもできる。
【0073】
また、本組成物から形成した塗膜上に無機膜を形成する際に、その界面での密着性を向上させる目的で、あらかじめ本組成物から形成した塗膜をエネルギー線で処理することにより表面を活性化させた後に、無機膜を形成してもよい。エネルギー線処理としては光を含む広義の意味での電磁波の利用による処理、すなわちレーザ光照射、マイクロ波照射、または電子線を利用する処理、すなわち電子線照射、グロー放電処理、コロナ放電処理、プラズマ処理などの処理が例示される。
【0074】
これらのうち半導体素子の量産工程に対応しうる好適な処理方法としては、レーザ光照射、コロナ放電処理、プラズマ処理が例示される。プラズマ処理が半導体素子に与えるダメージが小さく、望ましい。
【0075】
プラズマ処理を行う装置としては装置内に所望のガスを導入でき、電場を印加できるものであれば特に制限はなく、市販のバレル型、平行平板型のプラズマ発生装置を適宜使用できる。
【0076】
プラズマ装置へ導入するガスとしては、表面を有効に活性化するものであれば特に制限はなく、アルゴン、ヘリウム、窒素、酸素、またはこれらの混合ガスなどが例示される。さらには、有効に本組成物より形成した塗膜の表面を活性化させ、このときに膜減りもほとんどないガスとして、窒素と酸素の混合ガスおよび窒素ガスが好ましく例示される。
【0077】
本組成物から形成した塗膜のパターニングの際のエッチング方法としては、ウェットエッチング法、ドライエッチング法など公知、周知の方法が適用でき、特にCF4 などの含フッ素炭化水素系のガスまたはO2 を用いたプラズマドライエッチング法が好適である。
【0078】
なお、本発明における能動素子とは、コプレーナ構造、逆スタガ構造、順スタガ構造などのTFT(薄膜トランジスタ)、FET(電界効果トランジスタ)、ダイオード、バリスタ、などの素子を意味する。
【0079】
本組成物から形成した塗膜を画素電極下の絶縁膜として適用することにから、低誘電率、高絶縁耐圧といった優れた電気特性による画素電極電位の能動素子への電気的影響の低減などの高性能化を達成でき、かつ高温域における優れた機械物性にから液晶等の表示素子形成後も透過型の場合は透過率を高く維持でき、反射型の場合は反射電極である画素電極の反射率を高く維持できる。
【0080】
【実施例】
「例1(合成例)」
ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)35g、イオン交換水150g、メタノール20gおよび重合開始剤として((CH32 CHOCOO)2 90mgを、内容積200ccの耐圧ガラス製オートクレーブに入れ、系内を3回窒素で置換した後、40℃で22時間懸濁重合を行って環化重合ポリマー(以下、ポリマーAという)を28g得た。
【0081】
ポリマーAの固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.2dl/gであった。さらに、ポリマーAを空気中300℃で3時間熱処理した後に、水中に浸漬してポリマー(以下、ポリマーBという)を得た。
【0082】
ポリマーBのIRスペクトルにはカルボキシル基に帰属されるピークが確認され、カルボシル基量は、0.03ミリモル/gポリマーであった。さらにポリマーBを水素化ホウ素ナトリウム存在下、ジクロロペンタフルオロエタン/1−プロパノール中に浸漬して、5時間還流させた後に、洗浄、乾燥を行い、ポリマー(以下、ポリマーCという)を得た。ポリマーCのIRスペクトルには水酸基に帰属されるピークが確認された。
【0083】
「例2(合成例)」
ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)40g、メチルペルフルオロ(5−オキサ−6−ヘプテノエート)1.6g、イオン交換水150gおよび重合開始剤として((CH32 CHOCOO)2 90mgを、内容積200ccの耐圧ガラス製オートクレーブに入れ、系内を3回窒素で置換した後、40℃で24時間懸濁重合を行い、ポリマーを30g得た。
【0084】
このポリマーの固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.34dl/gであった。さらに、このポリマーのメチルエステル基を、周知の方法で加水分解させ、0.12ミリモル/gポリマーのカルボキシル基を有するポリマー(以下、ポリマーDという)を得た。
【0085】
「例3(合成例)」
ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)とメチル ペルフルオロ(5−オキサ−6−ヘプテノエート)をラジカル共重合し、ガラス転移温度160℃のポリマーを得た。このポリマーの固有粘度[η]は、ペルフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)中30℃で0.43dl/gであった。このポリマーを例2と同様に加水分解し、0.15ミリモル/gポリマーのカルボキシル基を有するポリマー(以下、ポリマーEという)を得た。
【0086】
「例4(比較合成例)」
テトラフルオロエチレンとメチルペルフルオロ(5−オキサ−6−ヘプテノエート)を((CH32 CHOCOO)2 を開始剤として、40℃、7.0kg/cm2 の条件でバルク重合させて得られた共重合体を加水分解し、1.3ミリモル/gポリマーのカルボキシル基を有するポリマー(以下、ポリマーFという)を得た。
【0087】
「例5(合成例)」
反応容器中で、テトラメトキシシランおよびメチルトリメトキシシランをモル比1:1の割合で、F(CF24 CH2 CH2 OH中に溶解させ、さらに塩酸を加えた後に70℃で5時間反応させた。ついで反応液をイオン交換樹脂塔を通過させて塩酸を除去し、部分加水分解縮合物の溶液(以下、溶液Xという)を得た。溶液Xの固形分濃度は15重量%であった。
【0088】
「例6(合成例)」
反応溶媒として、F(CF24 CH2 CH2 OHのかわりにF(CF26 CH2 CH2 OHを用いた以外は例5と同様にして、部分加水分解縮合物の溶液(以下、溶液Yという)を得た。溶液Yの固形分濃度は15重量%であった。
【0089】
「例7(合成例)」
反応溶媒として、F(CF24 CH2 CH2 OHのかわりにCF3 CF2 CH2 OHを用いた以外は例5と同様にして、部分加水分解縮合物の溶液(以下、溶液Zという)を得た。溶液Zの固形分濃度は15重量%であった。
【0090】
「例8〜9(参考例)、例11〜1(参考例)、例10(比較参考例)、例1〜19(比較参考例)」
例1〜4で得られたポリマーA、B、C、D、EおよびFと、例5〜7で得られたアルコキシシランの部分加水分解縮合物の溶液X、YおよびZと、表1に示す化合物を用いて表2に示す組成の溶液を調製した。なお、表2において、溶剤の組成比は重量比を、縮合物の量、MTESの量およびAPMSの量はポリマー固形分100重量部に対する重量部を示し、すべての組成物はポリマー濃度が3重量%となるように調製した。
【0091】
次に、それぞれの組成物について下記(A)の評価を行った。一方、組成物溶液からキャスト法にて塗膜を形成し、下記(B)〜(D)の評価を行った。これらの結果を表3に示す。なお、ベークは100℃で2時間、ついで200℃で1時間、ついで350℃で1時間の条件で行った。
【0092】
(A)溶液外観;目視にて溶液の外観を調べた。
(B)塗膜外観;目視により塗膜の外観を調べた。
(C)弾性率および線膨張係数の測定;TMA(サーマル・メカニカル・アナリシス)法により、室温および200℃における弾性率(単位:MPa)と、室温から100℃までの間での線膨張係数(単位:ppm/℃)を測定した。
(D)比誘電率;キャパシタンス測定により、周波数100MHzでの値を求めた。
【0093】
「例20(実施例)」
図1を参照しながら説明する。オフセットゲートコプレーナ構造多結晶シリコンTFT2を画素駆動素子として用いたアクティブマトリクス基板1上に、例13で得られた組成物溶液を、スピンコーターで塗布し、100℃で1時間、ついで250℃で1時間、ついで300℃で1時間のベークを行い、厚さ1.5μmの塗膜4を形成した。
【0094】
ついで、窒素プラズマ処理をした後、フォトレジスト(東京応化製OFPR800)を塗布、露光、現像しコンタクトホールのパターンを形成した。CF4 /O2 プラズマにより塗布膜をドライエッチし、フォトレジストを剥離液(東京応化製502A)により剥離した後、スパッタリング法により0.1μm厚のITO(In23 −SnO2 )膜を形成し、パターニングし画素電極5とした。ITO膜のエッチングは塩酸、塩化第二鉄の混合液により行った。
【0095】
塗膜4の誘電率が2.4と低いため、画素電極5を配線3上に重ねても形成される容量は充分小さく、駆動上問題にならなかった。したがって画素電極5を最大限大きくでき、開口率の高い液晶表示装置を形成できた。続いて、CF4 /O2 プラズマによりダメージを受けたTFTの電気特性回復のために大気雰囲気下300℃で60分ベークを行った。良好なTFT特性を得た。このアクティブマトリクス基板を用いて、液晶表示装置を形成し、良好な画像が得られた。
【0096】
「例21(実施例)」
図2を参照しながら説明する。オフセットゲートコプレーナ構造多結晶シリコンTFT2を画素駆動素子として用いたアクティブマトリクス基板1上に、例13で得られた組成物溶液を、スピンコーターで塗布し、100℃で1時間、ついで250℃で1時間、ついで300℃で1時間のベークを行い、厚さ3.0μmの塗膜4を形成した。塗膜4により、TFT2および配線3による段差を平坦化した。
【0097】
次いで、窒素プラズマ処理をした後、フォトレジスト(東京応化製OFPR800)を塗布、露光、現像しコンタクトホールのパターンを形成した。CF4 /O2 プラズマにより塗布膜をドライエッチし、フォトレジストを剥離液(東京応化製502A)により剥離した後、スパッタリング法により0.4μm厚のアルミニウム膜を形成し、パターニングし反射電極6とした。アルミニウム膜のエッチングは硝酸、酢酸、リン酸の混合液により行った。続いて、CF4 /O2 プラズマによりダメージを受けたTFTの電気特性回復のために大気雰囲気下300℃で60分ベークを行った。
【0098】
反射電極の反射率と、平坦化膜、反射電極の形成前後のTFT特性を比較した結果を表4に示す。反射電極の電位はアース電位として、最も影響が大きく現れる時のTFT特性を測定した。
【0099】
「例22(比較例)、例23(比較例)」
組成物溶液を、例17で得られたもの(例22)または例18で得られたもの(例23)に変更した以外は例21と同様の評価を行った。結果を表4に示す。
【0100】
【表1】
Figure 0003801271
【0101】
【表2】
Figure 0003801271
【0102】
【表3】
Figure 0003801271
【0103】
【表4】
Figure 0003801271
【0104】
【発明の効果】
本発明における組成物をアクティブマトリクス基板の画素電極下の絶縁膜、平坦化膜としてコーティングすることにより、高温域における機械物性が、通常のフッ素樹脂に比べて著しく改善され、かつ均一な塗膜を得ることができ、高温に曝された場合の信頼性が大幅に向上する。
【0105】
透過型表示素子に適用する場合、その低い誘電率により画素電極・配線間の容量を小さくでき、画素電極を配線上に重ねることにより開口率が増大し、明るい表示素子を形成できる。反射型表示素子に適用する場合、その低い誘電率により反射電極・配線間の容量を小さくできることに加え、反射電極を能動素子上に重ねても反射電極電位の能動素子への電気的影響を小さくでき、明るい表示素子を形成・駆動できる。透過型、反射型ともに、画素電極下の絶縁膜・平坦化膜は製造工程および実装工程での加熱工程に充分耐えうるため、信頼性を低下させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアクティブマトリクス基板(透過型)の一部断面図
【図2】本発明のアクティブマトリクス基板(反射型)の一部断面図
【符号の説明】
1:基板
2:能動素子
3:配線
4:絶縁膜(本発明における組成物から形成された塗膜)
5:画素電極(透明電極)
6:画素電極(反射電極)

Claims (4)

  1. 基板上の能動素子マトリクス上に塗膜、その上に画素電極を有するアクティブマトリクス基板であって、前記塗膜が、以下の(a)および(b)を含むコーティング用組成物から形成された塗膜であるアクティブマトリクス基板。
    (a)親水性官能基を分子内に有し、かつ主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有するフッ素樹脂。
    (b)式R1 m2 nSi(OR34-m-n (式中R1 およびR2 は同一または相異なる非加水分解性基、R3 はアルキル基、mおよびnは0≦m+n≦3を満たす0〜3の整数)で表されるアルコキシシラン類の部分加水分解縮合物。
  2. コーティング用組成物が、樹脂(a)100重量部に対し部分加水分解縮合物(b)3〜400重量部の割合で(a)および(b)を含む請求項1に記載のアクティブマトリクス基板。
  3. 画素電極が反射電極である請求項1または2に記載のアクティブマトリクス基板。
  4. 樹脂(a)中の親水性官能基の割合が、樹脂(a)1グラム当たり1マイクロモル以上である請求項1、2、または3に記載のアクティブマトリクス基板。
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