JP3799339B2 - レーザードップラー速度計 - Google Patents
レーザードップラー速度計Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザードップラー速度計に関する。更に詳しく言えば、レーザービームを測定しようとする対象物に投射して、その対象物によって周波数変調をうけて反射してくる反射光をFM復調することにより、振動物の速度を測定することに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
先ず、図9を参照して、レーザードップラー速度計の原理を簡単に説明する。図示のように、レーザー光源41から出射したレーザー光はビームスプリッタ42で2つの光に分割され、そのうちの1つは参照光として反射鏡43、光変調器44、反射鏡45の経路を経てビームスプリッタ46に入射する。
【0003】
他方、ビームスプリッタ42を透過したもう一つの光はビームスプリッタ46を透過して被測定物に投射し、そこから反射してきた光が再びビームスプリッタ46に入射する。ビームスプリッタ46では、被測定物からの反射光と参照光が干渉し、この干渉光を光検出器48で検出する。
【0004】
被測定物からの反射光は、その被測定物が振動しているとその振動に応じて周波数が変調されているので、これをFM復調すれば被測定物の振動速度が検出できる。ここでは被測定物の振動速度と説明したが、振動に限ることなく、被測定物の移動速度についても同様に測定できる。
【0005】
次に、従来のレーザードップラー速度計について、図6を参照して、簡単に説明する。同図において、プローブ1は、図9を参照して上記した光学系で成り、レーザー光源、光変調器、干渉系等を含む測定用のレーザー光の送受信器でなる。プローブ1の出力はFM復調器2に供給され、受信した被測定対象からの反射光が復調されて速度情報が検出され、総合フィルタ回路3を通した後、出力端子4に出力される。
【0006】
この種のレーザードップラー速度計において、従来、出力の高域での位相遅れが問題になっていた。そうして、その原因のほとんどがFM復調器の後段に設けられたローパスフィルタ等にあった。この他に、ハイパスフィルタ、微分回路、積分回路等に原因がある場合もある。
【0007】
レーザードップラー速度計には、主としてパルスカウント方式が用いられ、その他にもクアドラチャ、PLL方式等が用いられるが、その復調器としてFM復調器を使うので、どうしてもキャリア除去用のローパスフィルタが必要である。また、FM特有の三角ノイズの除去用に数種類のカットオフ周波数のローパスフィルタが切換えて使用できるように準備されている。
【0008】
ローパスフィルタは、そのカットオフ周波数以下で振幅がフラットな領域でも、位相はかなり早い時点から遅れ始める。例えば、簡単なCRによる一次ローパスフィルタの伝達関数はG(jω)=(1/CR)/(jω+(1/CR))で与えられ、振幅絶対値|G|及び位相argGは夫々|G|=(1/(1+(ωCR)2 )n ,n=1/2argG=−arch・tan(ωCR)
となる。
【0009】
カットオフ周波数(fc=1/2πCR)では、振幅の絶対値は1/(2の1/2乗)=0.0707‥‥であるのに対して位相は45°遅れる。実際には8次のバターワースローパスフィルタ等が使われ、この時カットオフ周波数における振幅絶対値はほぼゼロデシベルなのに対し、位相は360°遅れる。
【0010】
このようにレーザードップラー速度計そのものが位相遅れを持っているので、保障されている出力振幅帯域内においても、それが被測定対象の位相特性に加算され、誤った測定がされる恐れがあった。
【0011】
しかしながら、従来、測定器のメーカーはこのことをカタログや仕様書で詳細に説明していないため、ユーザーがレーザードップラー速度計の性能を信じて保障出力振幅帯域内での正確な振幅位相ベクトル測定ができると思っていたために測定を誤ってしまうことがあった。
【0012】
このことに気付いていた測定者は、幾つかの方法で、この位相遅れをキャンセルした測定を行っていた。一番単純な方法は、メーカーからレーザードップラー速度計内部のローパスフィルタ、ハイパスフィルタ等の振幅位相の周波数特性の実測データを貰い、それを使って換算することにより正しい値を得ていた。
【0013】
しかし、これを手作業で行うのは大変な作業であり、コンピュータを使って行ったとしても測定時のレゾルーション(解像度)がいつも一定とは限らないし、全てのユーザーが、サーボアナライザ、ロックインアンプ、オシロスコープ等の測定結果をAD変換器やHPIB等でコンピュータに取り込んでいるとは限らないのであまり良い方法とはいえない。
【0014】
また、他の方法として図7に示すような方法がある。即ち、サーボアナライザ7、基準振動源11、被測定対象8、レーザードップラー速度計(プローブ1、FM復調器2、総合フィルタ回路3)を準備し、先ず、サーボアナライザ7の出力端子OUTから基準振動源11に加振信号(スイープ信号)を加え、この基準振動源が発する振動の速度を、プローブ1、FM復調器2、総合フィルタ回路3からなるレーザードップラー速度計で測定し、その結果をサーボアナライザ7の入力端子INBに入力する。
【0015】
上記出力端子OUTから出力される加振信号はサーボアナライザ7のもう一つの入力INAに入力するように接続されているので、これらの入力端子INA,INBに入力する信号から、このサーボアナライザ7で加振信号と測定信号の振幅位相差を測定するベクトル解析をおこない、出力端子OUTから出力する加振信号(入力速度)に対する出力信号の振幅及び位相の周波数特性を測定し、これを基準値として蓄積しておく。
【0016】
次に、サーボアナライザ7の出力端子OUTから被測定対象8に加振信号を印加する。このとき、出力端子OUTからの出力を入力端子INAにも供給するように接続しておく。被測定対象8は、加振信号によって振動する。この振動の速度をレーザードップラー速度計(プローブ1、FM復調器2、総合フィルタ回路3)によって測定し、その測定結果をサーボアナライザ7の入力端子INBに入力する。
【0017】
サーボアナライザ7は、入力端子INAから入力する加振信号と入力端子INBから入力する測定結果である振動速度とに基いてベクトル解析法により振幅位相ベクトル測定を行い、これを上記基準値と比較することにより、正確な測定値を得ている。
【0018】
しかし、この方法が有効なのは、基準振動源(又は基準速度源)の性能(換言すると、入力電圧対出力速度の振幅位相の周波数特性)がプローブ1、FM復調器2、総合フィルタ回路3からなるレーザードップラー速度計の性能を越えている場合に限られる。それ故、最近のレーザードップラー速度計の性能向上から考えて、この方法は有効でなく、せいぜい、或基準振動(速度)源と被測定対象の差、つまり相対評価ができるというものである。
【0019】
更に他の方法として、図8を参照して次に説明する方法がある。この方法は、図7を参照して上述した方法とほぼ同じであるが、基準振動源11の代わりにFM変調器12を使用している点が異なる。
【0020】
サーボアナライザ7の出力OUTを自己の入力端子INAに入力するとともに、FM変調器12に供給し、そこでFM変調された信号をFM復調器2に印加し、FM復調した信号を総合フィルタ回路3をとおした後、サーボアナライザ7の入力端子INBに入力する。なお、上記FM復調器には、入力端子として一般ユーザーが利用し易いようにBNC等の標準端子として開放しているものもある。
【0021】
サーボアナライザ7では、2つの入力端子INA,INBに供給される信号をベクトル解析法により解析して、FM復調後の総合フィルタ回路の振幅位相の入出力位相特性を測定し、その結果をサーボアナライザ7に記憶させ、それを基準値とする。この場合、FM変調器12とFM復調器2は上記入出力周波数特性に殆ど影響を与えないことを前提とする。実際問題としても、性能の良いFM変調器とレーザードップラー速度計を用いれば殆ど影響はない。
【0022】
その後、上記図7を参照して説明したのと同様にして、サーボアナライザ7からの信号を被測定対象に供給し、その被測定対象の振動(速度)をレーザーの投射によって検出し、プローブ1で受け、FM復調器2、総合フィルタ回路3を介した後サーボアナライザ7の入力端子INBに供給する。サーボアナライザ7は、これら2つの入力をもとにして振幅位相のベクトル計算をし、基準値と比較して正確な振幅位相ベクトルを出力する。
【0023】
この方法は前の2つの方法に比べて優れているが、性能の良い高価なFM変調器が必要であるという欠点がある。因みに、キャリア周波数は80MHzくらいが必要なものが多く、周波数偏移も場合によっては数MHz必要になる。なお、以上の方法が記載された先行技術文献については不知である。
【0024】
本発明は以上のような従来のレーザードップラー速度計の欠点を克服し、簡単な構成で、信頼性のある測定結果の得られるレーザードップラー速度計を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明によれば、被測定対象にレーザー光を投射するレーザー光源と、該被測定対象からの反射光と参照光の合成光を検出する光検出手段を備え、該光検出手段によって検出した信号をFM復調器によって復調して上記被測定対象の速度を測定するようになされたレーザードップラー速度計において、
上記FM復調器の後にローパスフィルタ、又はハイパスフィルタ、又は微分回路、又は積分回路、またはそれらの組み合わせからなる総合フィルタ回路と、
上記総合フィルタ回路と略同一または一部が略同一の特性であり、独立の入出力端子を有する第2の総合フィルタ回路と、
被測定対象に、該被測定対象を振動させるための加振信号を印加するとともに、該加振信号を上記第2の総合フィルタ回路の独立した入力端子に供給し、上記総合フィルタ回路を通過した上記FM復調器の出力と、上記第2の総合フィルタ回路を通過した上記加振信号とをベクトル解析によって測定して、振幅位相周波数特性の解析測定を行うサーボアナライザと
を設けたレーザードップラー速度計を提供する。
【0026】
【発明の実施の形態】
〔参考例〕
本発明のレーザードップラー速度計について説明する前に、レーザードップラー速度計の参考例(以下、「検討例」と呼ぶ)について説明する。
図1はレーザードップラー速度計の一検討例を示すシステム構成図である。同図に示すように、レーザードップラー速度計は、プローブ1、FM復調器2、総合フィルタ回路3、出力端子4、切換スイッチ5、及び入力端子6を備えている。
【0027】
プローブ1は、測定する対象物に対して投射するレーザー光の光源、参照光に対する光変調器、対象物から反射してくるFM変調されたレーザー光と上記参照光の干渉を作り、それの光信号を電気信号に変換する光電変換器等を含む。
【0028】
FM復調器2は、被測定対象の振動等の動きの速度によって変調を受けた信号を復調して、速度情報を取り出す回路である。総合フィルタ回路3は、FM復調器の出力に現れる複数の周波数成分の中から希望する周波数帯域の信号を取り出すための濾波回路である。この総合フィルタ回路3には、FM復調器の出力に現れるキャリア周波数成分を除去するためのフィルタを設けることができる。
【0029】
入力端子6は、外部からの信号を直接総合フィルタ回路3に入力する場合に使う端子である。スイッチ5は、総合フィルタ回路への入力をFM復調器2からの出力と入力端子6からの入力との間で切り換えるためのスイッチである。
【0030】
次に、図1に図示したレーザードップラー速度計を使った測定について図2を参照して説明する。先ず、サーボアナライザ7から被測定対象8に対して加振信号を供給するとともに、その加振信号を自己の入力端子INAに入力するように回路接続をする。
【0031】
被測定対象の近くにこのレーザードップラー速度計を置いて、上記サーボアナライザ7からの出力を直接入力端子6に接続する。このレーザードップラー速度計の出力端子4は上記サーボアナライザ1の入力端子INBに接続する。測定に際しては、先ずスイッチ5を入力端子6側に切り換え、サーボアナライザ7の出力端子OUTから供給される加振信号(スイープ信号)を直接総合フィルタ回路3に供給する。この総合フィルタ回路3の出力はサーボアナライザ7の入力端子INBに供給され、サーボアナライザ7において、送出した加振信号と受信した総合フィルタ回路の出力から、総合フィルタ回路3の入出力の振幅位相周波数特性を測定し、その値をサーボアナライザ7内に記憶する。
【0032】
次に、切換スイッチ5を切り換えて、FM復調器2の出力を総合フィルタ回路3の入力に接続する。この時、サーボアナライザ7から被測定対象8に加振信号が与えられているので被測定対象は振動している。レーザードップラー速度計は、そのプローブ1から測定のためのレーザー光を被測定対象に投射し、被測定対象の振動速度に応じて変調された反射光を同プローブで受信し電気信号に変えて、FM復調器2に送る。
【0033】
FM復調された被測定対象の速度情報信号は総合フィルタ回路3で濾波されて、サーボアナライザ7の入力端子INBに供給される。サーボアナライザ7はこの信号をベクトル解析して、前記基準値との差をとることによって、正確な振幅位相ベクトル値を得ることができる。
【0034】
〔本発明のレーザードップラー速度計〕
次に、本発明のレーザードップラー速度計について、図3及び図4を参照して説明する。図3のシステム構成において、プローブ1はレーザー光の送受信器であってレーザー光源、光変調器、干渉系、受光素子等の光学系でなることは、上記検討例の場合と同じである。
【0035】
また、FM復調器2、総合フィルタ回路3.1,3.2についても基本的には上記検討例の場合と同じである。本発明が上記検討例と異なる点は、総合フィルタ回路が2組設けられている点である。総合フィルタ回路1はFM復調器2からの出力を濾波するのに使うフィルタであり、上記検討例において用いられるものと同じ役割を果たす。
【0036】
しかし、総合フィルタ回路2は、基準となるフィルタであり、総合フィルタ回路1と同一の入出力振幅位相周波数特性を持つフィルタが用意される。このフィルタ回路は上記測定のためのループとは別に設けられ、その入力端子、出力端子も独立に設けられる。
【0037】
このレーザードップラー速度計を用いた測定について、図4を参照して、下記に説明する。測定に先立って、装置の接続が行われる。この接続は、図4に図示するとおり、サーボアナライザ7の出力端子OUTが総合フィルタ回路2の入力端子9に接続され、総合フィルタ回路2の出力端子10がサーボアナライザ7の入力端子INAに接続される。
【0038】
サーボアナライザ7の出力端子OUTは被測定対象8にも接続される。被測定対象8に対しては、プローブ1からレーザー光を投射し、その反射光を同プローブで受信することができるように、被測定対象8とプローブ1を適正位置に配置する。従って、これらの間は光学的に接続されていると考えることもできる。
【0039】
プローブ1からの出力はFM復調器2に供給され、FM復調器からの出力は総合フィルタ回路1(3.1)に送られ、そこで濾波された出力信号がサーボアナライザ7の入力端子INBに供給されるように装置間の接続が行われる。
【0040】
この状態でサーボアナライザ7の出力端子OUTから加振信号(スイープ信号)を被測定対象8に印加するとともに、その加振信号を総合フィルタ回路2(3.2)にも供給し、総合フィルタ回路2を通った加振信号がサーボアナライザ7の入力端子INAに供給される。
【0041】
他方、プローブ1から出力される被測定対象8の速度に関する情報信号はFM復調器2で復調されて検出される。FM復調器2からの出力は総合フィルタ回路1に送られ、そこで不用な周波数成分が除去された信号がサーボアナライザ7の入力端子INBに供給される。
【0042】
サーボアナライザ7は、送られて来た2つの信号、即ち、総合フィルタ回路2を通過した加振信号とレーザードップラー速度計の出力から送られてくる信号をベクトル解析によって測定して、振幅位相周波数特性の解析測定を行う。この場合、レーザードップラー速度計に含まれる総合フィルタ回路1による影響を基準として設けた総合フィルタ回路2による影響で打ち消すことにより、正確な振幅位相ベクトル測定ができる。
【0043】
一般的にレーザードップラー速度計に用いられる総合フィルタ回路には、ローパスフィルタ、またはハイパスフィルタ、または微分回路、または積分回路、またはそれらの組み合わせから構成される。
【0044】
次に、図5を参照して、本発明のレーザードップラー速度計に用いられる総合フィルタ回路の一例について説明する。この総合フィルタ回路は、同図に示すように、入力端子21と出力端子34の間に単位フィルタが多段接続される構成になっている。図5に示すフィルタの構成は2段接続の例であり、各段は3個の単位フィルタが並列に配置され、切換スイッチによって切り換えられるようになっている。
【0045】
入力端子21は増幅器又はバッファ22を介してスイッチ23(SW1)の固定接点に接続されており、スイッチ23の第1の接点は低域通過フィルタ24(LPF12K)の入力に接続されている。同スイッチの第2の接点、第3の接点は夫々低域通過フィルタ25(LPF120K)、低域通過フィルタ26(LPF1.2M)の入力に接続されている。
【0046】
これらのフィルタの出力はスイッチ27(SW2)の切換接点に接続されていて、接点切換によって一時に1つのフィルタが出力側の固定接点に接続されるようになっている。第1段の出力は第2段の入力側切換スイッチ28(SW3)の固定接点に接続され、高域通過フィルタ29(HPF OFF (DC)),30(HPF0.5),31(HPF100)に切換接続できるようになっている。
【0047】
これらの高域通過フィルタの出力は夫々切換スイッチ32(SW4)によって出力側固定接点に切換接続される。この第2段の出力は増幅器又はバッファ33を介して出力端子34に接続されている。この総合フィルタは、切換スイッチSW1とSW2を連動して切り換えて3個の単位フィルタ24,25,26の中から1つを選択し、それと同時に切換スイッチSW3とSW4を連動して切り換えて3個の単位フィルタ29,30,31の中から1つを選択して、それらの選択されたフィルタの組み合わせによって総合的なフィルタ特性を与える。
【0048】
参考までに上記単位フィルタの周波数特性を記すと、低域通過フィルタ(ローパスフィルタ)のカットオフ周波数は、フィルタ24が12KHz、フィルタ25が120KHz、フィルタ26が1.2MHzであり、高域通過フィルタ(ハイパスフィルタ)のカットオフ周波数は、フィルタ29が低域カットオフ周波数なし、即ち直流まで、フィルタ30が0.5Hz、フィルタ31が100Hzである。
【0049】
以上、本発明のレーザードップラー速度計に用いられる総合フィルタ回路について、説明したが、ここに示した回路はほんの一例にすぎず、他の種々の回路を用いることができることは云うまでもない。
【0050】
例えば、本発明において用いられる総合フィルタ回路2は、総合フィルタ回路1の周波数特性の中で測定結果に最も大きな影響を与えるローパスフィルタの周波数特性についてだけ修正可能とするために、総合フィルタ回路1のローパスフィルタと略同じ特性を有するローパスフィルタだけを設けたものとすることができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明のレーザードップラー速度計は、その内部で使用されるフィルタの周波数特性に起因する測定値の振幅及び位相特性の不正確さを修正できる構成を備えている。本発明に依れば、レーザードップラー速度計の内部に測定用の総合フィルタ回路の他に、その総合フィルタと略同じ特性を持つ基準総合フィルタ回路(第2の総合フィルタ回路)を設けて、被測定対象に印加する加振信号を直接その基準総合フィルタ回路に供給し、その基準総合フィルタ回路の出力と、被測定対象を測定した結果の信号をレーザードップラー速度計内の測定用総合フィルタ回路をとおした出力とを比較して、位相特性の正しい測定値を得るようにしているので、測定値解析用のサーボアナライザ1に記憶機能を必要としない。また、測定が一度にできるので測定時間が短縮される。この場合総合フィルタ回路を2つ必要とするが、全体を2重に設けるよりは安価にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レーザードップラー速度計の検討例を示すシステム構成図である。
【図2】図1のレーザードップラー速度計を使って測定する場合の装置接続を示すブロック図である。
【図3】本発明のレーザードップラー速度計の一例を示すシステム構成図である。
【図4】図3のレーザードップラー速度計を使って測定する場合の装置接続を示すブロック図である。
【図5】総合フィルタ回路の一例を示すブロック図である。
【図6】従来のレーザードップラー速度計のシステム構成図である。
【図7】図6のレーザードップラー速度計を使って測定する場合の装置接続の一例を示すブロック図である。
【図8】図6のレーザードップラー速度計を使って測定する場合の装置接続の他の例を示すブロック図である。
【図9】レーザードップラー速度計の原理を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 プローブ
2 FM復調器
3 総合フィルタ回路
4 出力端子
5 切換スイッチ
6 入力端子
Claims (1)
- 被測定対象にレーザー光を投射するレーザー光源と、該被測定対象からの反射光と参照光の合成光を検出する光検出手段とを備え、該光検出手段によって検出した信号をFM復調器によって復調して上記被測定対象の速度を測定するようになされたレーザードップラー速度計において、
上記FM復調器の後にローパスフィルタ、又はハイパスフィルタ、又は微分回路、又は積分回路、またはそれらの組み合わせからなる総合フィルタ回路と、
上記総合フィルタ回路と略同一または一部が略同一の特性であり、独立の入出力端子を有する第2の総合フィルタ回路と、
被測定対象に、該被測定対象を振動させるための加振信号を印加するとともに、該加振信号を上記第2の総合フィルタ回路の独立した入力端子に供給し、上記総合フィルタ回路を通過した上記FM復調器の出力と、上記第2の総合フィルタ回路を通過した上記加振信号とをベクトル解析によって測定して、振幅位相周波数特性の解析測定を行うサーボアナライザと
を設けたことを特徴とするレーザードップラー速度計。
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