JP3799159B2 - 改質多孔質体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は改質された多孔質体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質体を改質する方法として、例えば、減圧グロー放電により多孔質体を処理した後にラジカル重合可能なモノマーと接触させる方法(例えば、特開昭52−98063号公報、特開昭52−98064号公報など)、ラジオ波による低温プラズマにより多孔質体を処理した後にビニルモノマーと接触させる方法(例えば、特開平8−7870号公報など)、或いはコロナ放電により多孔質体を処理した後にラジカル重合可能なモノマーと接触させる方法(例えば、特開昭59−152913号公報など)などが知られている。しかしながら、これらいずれの方法においても、主として多孔質体の外側表面にモノマーが重合し、多孔質体の内部においてはほとんどモノマーが重合していない、改質多孔質体しか得ることができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、多孔質体の内部においてもモノマーの重合層を有する改質多孔質体の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の多孔質体の製造方法は、誘電体を担持した電極を、誘電体同士が対向するように配置した放電処理装置の誘電体によって、多孔質体を挟持した状態で、誘電体を担持する電極間に交流電圧を印加して、多孔質体の内部空隙で放電を発生させて処理した後、この処理した多孔質体とラジカル重合可能なモノマーとを接触させて、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を形成させる方法である。
【0005】
上記製造方法によれば、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を有し、外側表面近傍におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)が、内部におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)と同量以下の改質多孔質体を容易に製造することができる。つまり、多孔質体の外側表面及び内部においてモノマーの重合層を有し、しかも従来の改質多孔質体とは異なり、多孔質体全体に均一にモノマーが重合しているか、むしろ内部においてモノマーがより多く重合した改質多孔質体を容易に製造することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の改質前の多孔質体は、後述のように放電を発生させることができる空隙を内部に有するものであれば良く、例えば、繊維シート(例えば、織物、編物、不織布、これらの複合体など)、多孔フィルム(例えば、穴開きフィルム、凹凸構造を有するフィルムなど)、発泡体などであることができる。なお、多孔質体は無機材料から構成されていても、有機材料から構成されていても良い。
【0007】
この多孔質体として、空隙率が0%より高く、99%未満のものを使用することができ、特に95%以下のものを使用することができる。また、多孔質体の平均孔径は1mm以下のものを使用でき、0.1mm以下、特には30μm以下のものであっても使用できる。他方、平均孔径の下限は内部で放電を発生させることのできる大きさである。なお、平均孔径は、例えば、コールターポロメーターII(コールター社製)により測定することができる。なお、圧縮することにより上記の平均孔径となる多孔質体であっても使用することができる。多孔質体の厚さは特に限定するものではないが、0.1mm以上、10mm以下であるのが好ましく、0.1mm以上、1mm以下であるのがより好ましい。なお、多孔質体は圧縮することによって前記厚さの範囲内となるものであれば使用できる。更に、通気度が0.5〜200ml/cm2・秒、特に1〜150ml/cm2・秒の多孔質体を使用できる。
【0008】
特に、空隙率が95%以下、平均孔径が0.1mm以下、厚さが0.1〜10mm、通気度が0.5〜200ml/cm2・秒の少なくとも1つを満足する多孔質体は、従来の放電処理によってはその内部まで改質するのが困難であった(特に全てを満足する場合)が、本発明においては、このような多孔質体であっても好適に使用することができる。
【0009】
本発明の製造方法によって製造できる改質多孔質体は、上記のような多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を有するものである。この「外側表面」とは、平面と接することのできる多孔質体の表面を意味し、「内部」とは、外側表面以外の部分を意味し、この内部には、多孔質体構成物(例えば、繊維)が存在している。そのため、モノマーの重合層は多孔質体の外側表面を構成する多孔質体構成物の表面、及び内部を構成する多孔質体構成物の表面に形成されている。
【0010】
このモノマーの重合層を構成するモノマーは目的に適したものからなり、しかもラジカル重合可能なモノマーからなる。例えば、スチレン化合物(例えば、スチレン、パラスチレンスルホン酸ソーダなど)、マレイン酸化合物(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチルなど)、イタコン酸化合物(例えば、イタコン酸、イタコン酸ジメチルなど)、アクリルアミド化合物(例えば、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など)、アクリル酸化合物(例えば、アクリル酸、メチルアクリレートなど)、メタクリル酸化合物(例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど)、アリル化合物(例えば、ジアリルアミン、アリルアルコールなど)、ビニル化合物(例えば、2−ビニルピリジン、N−ビニル−2ピロリドン、酢酸ビニルなど)などを単独で又は混在して重合していることができる。
【0011】
また、本発明の製造方法によって製造できる改質多孔質体は外側表面近傍におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)が、内部におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)と同量以下のものである。この「外側表面近傍」とは外側表面とそれに連続する内部の一部をいう。
【0012】
次いで、本発明の改質多孔質体の製造方法について説明する。
【0013】
まず、誘電体を担持した電極を、誘電体同士が対向するように配置した放電処理装置の誘電体によって、多孔質体を挟持する。このように誘電体により多孔質体を挟持することによって、多孔質体の内部において放電を発生させることが可能となる。なお、誘電体を担持した電極を、誘電体同士が対向するように配置した放電処理装置を使用しているため、火花放電などを生じることなく、安定して放電処理を実施することができる。
【0014】
本発明において使用することのできる放電処理装置の模式的断面図を図1〜図6に示す。
【0015】
図1の放電処理装置は誘電体2aを担持した平板状電極1aと、誘電体2bを担持した平板状電極1bとが、対向するように配置されており、これら誘電体2a、2bにより多孔質体5を挟持している。これら平板状電極1a、1bに担持された誘電体2a、2bは各平板状電極1a、1bの対向側表面よりも大きいため、平板状電極1a、1b間で生じやすいスパーク放電を防止することができる。また、これら平板状電極1a、1b間に交流電圧を印加できるように、一方の平板状電極1aは交流電源4に接続され、他方の平板状電極1bはアースされている。なお、図1とは逆に、一方の平板状電極1aがアースされ、他方の平板状電極1bが交流電源に接続されていても良い。
【0016】
この平板状電極1a、1bを構成する材料としては、特に限定されるものではないが、比抵抗が103Ω・cm以下(好ましくは100Ω・cm以下)の導電体を用いることができ、例えば、金属(例えば、ステンレススチール、アルミニウム、タングステンなど)、導電性金属酸化物、カーボン、或いは金属粉末やカーボン粉末などの導電体とゴムとを複合した導電性ゴムなどを使用することができる。
【0017】
なお、各平板状電極1a、1bの対向側表面が、周縁から側壁にかけて曲面となっていると、各平板状電極1a、1bの側壁と各誘電体2a、2bとの間で放電が生じにくく、誘電体の損傷を抑えることができるため好適である。
【0018】
また、このような放電処理装置においては、電極によって挟まれた部分においてのみ放電処理が実施されるため、所望の部分のみに放電処理を実施することができる。例えば、一方の電極として、格子状の電極を使用すれば、その電極の形状に対応した格子状に放電処理を実施することができる。
【0019】
図1における誘電体2a、2bはスパーク放電などを生じることなく、安定して放電処理を実施できるように、各々の平板状電極1a、1bの対向側表面全体を被覆している。また、両平板状電極1a、1b間でスパーク放電が生じないように、各々の平板状電極1a、1bの対向側表面よりも大きく、平板状電極1a、1bの対向側表面からはみ出ている。
【0020】
なお、誘電体2a、2bは全体が非多孔質であるのが好ましいが、一部に多孔質部分を含んでいても良い。特に対向側表面に多孔質部分を含む誘電体を使用すると、この誘電体の多孔質部分においても放電が発生するため、多孔質体5の外側表面も放電処理することができる。なお、多孔質部分が誘電体の厚さ方向に連続していると、この多孔質部分において火花放電が発生することがあるため、多孔質部分は厚さ方向に連続していないのが好ましい。
【0021】
この誘電体2a、2bを構成する材料として、例えば、ガラス、セラミック(例えば、アルミナなど)、ゴム(例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなど)、或いは熱可塑性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルなど)を使用することができる。これらの中でも、弾性が優れ、多孔質体5との密着性に優れるゴム又は熱可塑性樹脂を使用するのが好ましい。なお、誘電体の厚さは特に限定されるものではないが、0.05mm〜5mm程度であるのが好ましい。誘電体の厚さが0.05mm未満では機械的強度が低下し、絶縁破壊が生じやすくなり、5mmを越えると、放電させるために高い電圧が必要となるためである。
【0022】
図2の放電処理装置は、誘電体2a、2bを担持する電極として、5つの小さな円柱状電極1aと、1つの大きな円柱状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。このように円柱状電極を使用すると、多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0023】
図3の放電処理装置は、誘電体2a、2bを担持する電極として、ベルト状電極1aと、1つの円柱状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。この放電処理装置も、多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0024】
図4の放電処理装置は、誘電体1a、1bを担持する電極として、5つの円柱状電極2aと、ベルト状電極2bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。この放電処理装置も、多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0025】
図5の放電処理装置は、各平板状電極の対向側表面に誘電体(以下、「対向誘電体」という)が担持されているばかりでなく、各平板状電極の側壁にも誘電体(以下、「側壁誘電体」という)が担持されていること以外は、図1と全く同じである。この放電処理装置は側壁誘電体3a、3bを担持していることにより、各平板状電極1a、1bの側壁と各対向誘電体2a、2bとの間における放電を防止することができる。なお、この側壁誘電体3a、3bを構成する材料は対向誘電体2a、2bと同様の材料から構成することができる。また、対向誘電体2a、2bと側壁誘電体3a、3bとは同じ材料から構成されている必要はなく、異なる種類の材料から構成されていても良い。更に、対向誘電体2a、2bと側壁誘電体3a、3bとが分離した状態にあっても、一体化された状態にあっても良い。
【0026】
図6の放電処理装置は、各対向誘電体2a、2bとしてベルト状のものを使用していること以外は、図5と全く同じである。この放電処理装置は各平板状電極1a、1bの側壁と各対向誘電体2a、2bとの間における放電を防止することができ、しかも多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0027】
このような放電処理装置の対向誘電体により多孔質体を挟持した状態で、誘電体を担持する電極間に交流電圧を印加して、多孔質体の内部空隙で放電を発生させて処理する。
【0028】
この放電処理装置の対向誘電体により多孔質体を挟持した状態とは、対向誘電体と多孔質体とを密着させ、対向誘電体と多孔質体の外側表面との間に実質的に空間が形成されていない状態である。このような状態にすることにより、多孔質体の内部で効率的に放電を発生させて、処理することができる。
【0029】
このような放電処理装置の電極間に印加する交流電圧は、電極間の距離(対向誘電体を含む)やガスの種類に依存するため、限定することはできないが、放電が生じやすいように、0.25KVP以上であるのが好ましく、0.5KVP以上であるのがより好ましい。なお、単位「KVP」は交流電圧の最大値ピークから0までの電圧差を示す。他方、交流電圧の上限は多孔質体の損傷が生じない電圧であれば良く、限定されるものではない。
【0030】
前記交流電圧の周波数は0.1KHZ〜100KHZであるのが好ましい。周波数が0.1KHZ未満であると、放電処理効率が低下する傾向があり、100KHZを越えると、誘電加熱により多孔質体が加熱状態となって破壊される恐れがあるためで、好ましくは0.5KHZ〜50KHZ、より好ましくは1KHZ〜50KHZである。
【0031】
また、印加電圧の波形は、例えば、正弦波、三角波、矩形波、或いはパルス波などを挙げることができる。これらの中でもパルス波は発熱や火花放電を抑制し、多孔質体を損傷しにくいため好適である。特に、図5に示すような放電処理装置を用い、多孔質体を移動させながら放電処理する場合には、多孔質体の損傷を抑えることができるように、立ち上がりの速い(1マイクロ秒以下)パルス波が好適である。そのため、インパルス電源やパルス電源を使用するのが好ましい。
【0032】
このような交流電圧の印加は、大気圧下、酸素の存在下(例えば、空気の存在下など)で実施することもできるし、大気圧下、酸素の不存在下(例えば、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス存在下など)で実施することもできるが、作業性の点で前者の大気圧下、酸素の存在下で実施するのが好ましい。なお、酸素の不存在下で実施する場合には、例えば不活性ガスを供給できる手段(例えば、パイプなど)や、不活性ガスを滞留させることのできる手段(例えば、チャンバーなど)を備えているのが好ましい。
【0033】
本発明における交流電圧の印加時間は特に限定されるものではないが、大気圧下、酸素の存在下で実施する場合、ペルオキサイド量が多く、反応性に富むように、60秒以内であるのが好ましく、30秒以内であるのがより好ましく、20秒以内であるのが更に好ましく、15秒以内であるのが最も好ましい。逆に、ペルオキサイドを発生できるように、0.1秒以上であるのが好ましい。
【0034】
このように交流電圧を電極間に印加して、多孔質体の内部空隙で放電を発生させて多孔質体を処理する。この放電は多孔質体の内部空隙で発生するため、多孔質体の対向誘電体と接触している外側表面は処理されにくい傾向がある。しかしながら、多孔質体の外側表面の面積は多孔質体の内部を構成する材料の総表面積からみれば非常に小さいため、多孔質体の外側表面及び内部が実質的に処理されていると考えることができる。
【0035】
次いで、この処理した多孔質体を前述のようなラジカル重合可能なモノマーと接触させて、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を形成させて、改質多孔質体を製造することができる。
【0036】
この処理した多孔質体のラジカル重合可能なモノマーとの接触方法としては、例えば、ラジカル重合可能なモノマーを含む溶液を処理した多孔質体に塗布又は散布する方法、ラジカル重合可能なモノマーを含む溶液中に処理した多孔質体を浸漬する方法、或いは処理した多孔質体をラジカル重合可能なモノマーの蒸気と接触させる方法などがある。
【0037】
前述のように放電処理した多孔質体とラジカル重合可能なモノマーとを接触させると、ラジカル重合可能なモノマーが重合して、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を形成する。前述のように、放電は多孔質体の内部空隙で発生するため、多孔質体の内部においてはラジカル重合可能なモノマーが重合しやすく、多孔質体の対向誘電体と接触している外側表面近傍においてはラジカル重合可能なモノマーが重合しにくい傾向がある。したがって、このような方法により製造される改質多孔質体は、外側表面近傍におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)が、内部におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)と同量以下である。
【0038】
以下に、本発明の改質多孔質体の製造方法について実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
多孔質体として、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる分割性繊維を湿式抄造した後、水流により絡合すると同時に、この分割性繊維をポリプロピレン極細繊維とポリエチレン極細繊維とに分割した不織布(空隙率:70%、平均孔径:7μm、厚さ:200μm、面密度60g/m2)を3枚用意した。なお、この不織布3枚を積層した際の通気度は5.56ml/cm2・秒であった。
【0040】
放電処理装置として、図1に示すような、対向誘電体2a、2bとして、全体が非多孔質のポリテトラフルオロエチレンシート(大きさ:180mm×350mm、厚さ:0.1mm)をそれぞれ担持した、ステンレス板(150mm×300mm)からなる平板状電極1a、1bが対向するように配置されたものを用意した。なお、一方の平板状電極1aは正弦波電源4に接続し、他方の平板状電極1bはアースした。
【0041】
次いで、この放電装置の対向誘電体2a、2bにより、前記不織布を3枚重ねた積層体を挟持した状態で、大気圧下かつ空気の存在下で、平板状電極1a、1b間に正弦波交流電圧(交流電圧10KVP、周波数:20KHZ、出力800W)を印加して不織布の内部空隙で放電を発生させ、10秒間処理した。
【0042】
その後、積層体の表面層を構成する不織布及び中間層を構成する不織布におけるペルオキサイド量を、高分子論文集Vol48,No9,p535〜539(1991)に記載されたDPPHにより測定したところ、表面層を構成する不織布、中間層を構成する不織布ともに2.68×1013個/m2であった。
【0043】
このペルオキサイド量が多ければ多いほど、ラジカル重合可能なモノマーの重合量が多くなることが知られているため、放電処理した多孔質体をラジカル重合可能なモノマーと接触させれば、外側表面近傍におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)が、内部におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)と同量以下の改質多孔質体を製造することができる。
【0044】
(実施例2〜13)
実施例1と同じ不織布1枚を放電処理したこと、正弦波電源4の出力を表1のように変化させたこと、及び放電処理時間を表1のように変化させたこと以外は、実施例1と全く同様にして放電処理を実施した後、実施例1と同様にしてペルオキサイド量を測定した。この結果は表1に示す通りであった。この表1から、放電処理時間が時間が短い程ペルオキサイド量が多い、つまりモノマーの重合量を多くすることができることがわかった。また、放電装置の出力は300〜700W程度が適当であることもわかった。
【0045】
【表1】
【0046】
(実施例14)
実施例1と同じ不織布1枚を実施例1と同様にして放電処理し、この処理した不織布を脱気したアクリル酸モノマー水溶液(濃度:60%)に浸漬した後、ロール間を通して余剰のアクリル酸モノマー水溶液を搾取した。次いで、このアクリル酸モノマー水溶液を担持した不織布を60℃で4時間熱処理して重合させた後、水洗し、乾燥して、ポリアクリル酸の重合層を不織布の外側表面近傍及び内部に有する改質不織布を製造した。このポリアクリル酸の重合量は不織布の面密度の5重量%(3g/m2)であった。この改質不織布を水で1時間煮沸しても、水酸化カリウム水溶液で1時間煮沸しても、重量の変化はなかった。また、この改質不織布、水で煮沸した後の改質不織布、及び水酸化カリウム水溶液で煮沸した後の改質不織布を水に浸漬したところ、いずれも瞬時に濡れた。
【0047】
【発明の効果】
本発明の多孔質体の製造方法は、誘電体を担持した電極を、誘電体同士が対向するように配置した放電処理装置の誘電体によって、多孔質体を挟持した状態で、誘電体を担持する電極間に交流電圧を印加して、多孔質体の内部空隙で放電を発生させて処理した後、この処理した多孔質体とラジカル重合可能なモノマーとを接触させて、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を形成させる方法である。
【0048】
上記製造方法によれば、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を有し、外側表面近傍におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)が、内部におけるモノマーの重合量(単位体積あたり)と同量以下の改質多孔質体を容易に製造することができる。つまり、多孔質体の外側表面及び内部においてモノマーの重合層を有し、しかも従来の改質多孔質体とは異なり、多孔質体全体に均一にモノマーが重合しているか、むしろ内部においてモノマーがより多く重合した改質多孔質体を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用できる放電処理装置の模式的断面図
【図2】 本発明で使用できる別の放電処理装置の模式的断面図
【図3】 本発明で使用できる更に別の放電処理装置の模式的断面図
【図4】 本発明で使用できる更に別の放電処理装置の模式的断面図
【図5】 本発明で使用できる更に別の放電処理装置の模式的断面図
【図6】 本発明で使用できる更に別の放電処理装置の模式的断面図
【符号の説明】
1a、1b 電極
2a、2b 対向誘電体
3a、3b 側壁誘電体
4 交流電源
5 多孔質体
Claims (2)
- 誘電体を担持した電極を、誘電体同士が対向するように配置した放電処理装置の誘電体によって、多孔質体を挟持した状態で、誘電体を担持する電極間に交流電圧を印加して、多孔質体の内部空隙で放電を発生させて処理した後、この処理した多孔質体とラジカル重合可能なモノマーとを接触させて、多孔質体の外側表面及び内部にモノマーの重合層を形成させることを特徴とする、改質多孔質体の製造方法。
- 誘電体を担持した電極間に交流電圧を印加し、多孔質体の内部空隙で放電を発生させて処理する時間が、60秒以内であることを特徴とする、請求項1記載の改質多孔質体の製造方法。
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