JP3721261B2 - 表面改質方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は表面の改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、多孔質体などの被処理体の表面を改質する方法として、例えば、減圧グロー放電により被処理体を処理した後にラジカル重合可能なモノマーと接触させる方法(例えば、特開昭52−98063号公報、特開昭52−98064号公報など)、ラジオ波による低温プラズマにより被処理体を処理した後にビニルモノマーと接触させる方法(例えば、特開平8−7870号公報など)、或いはコロナ放電により被処理体を処理した後にラジカル重合可能なモノマーと接触させる方法(例えば、特開昭59−152913号公報など)などが知られている。しかしながら、これらいずれの方法においても、放電処理した後にラジカル重合可能なモノマーと接触させているため、所望とするポリマーの重合層を形成するには長い時間が必要であった。そのため、このような方法によりポリマーの重合層を有する被処理体を連続的に製造するのは非現実的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、短時間で所望とするポリマーの重合層を形成することのできる表面改質方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の表面改質方法は、対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に、多孔質体からなる被処理体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置し、前記両電極間に電圧を印加して被処理体の内部空隙で放電を発生させて、前記被処理体を処理した後、この処理した被処理体をラジカル重合可能なモノマーの重合したポリマーと接触させて、前記被処理体に前記ポリマーの重合層を形成させる方法である。このように、従来のようにモノマーではなく、ポリマーからその重合層を形成しているため、短時間で形成することができる。
【0005】
本発明の別の表面改質方法は、対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に、多孔質体からなる被処理体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置し、前記両電極間に電圧を印加して被処理体の内部空隙で放電を発生させて、前記被処理体を処理した後、この処理した被処理体をラジカル状態のポリマーと接触させて、前記被処理体に前記ポリマーの重合層を形成させる方法である。このようにラジカル状態のポリマーと接触させると、反応性に富んでいるため、ポリマーの重合層をより短時間で形成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で処理することのできる被処理体は、多孔質のものであっても、非多孔質のものであっても良い。前者の多孔質被処理体としては、例えば、繊維シート(例えば、織物、編物、不織布、これらの複合体など)、多孔フィルム(例えば、穴開きフィルムなど)、発泡体などがあり、後者の非多孔質被処理体としては、例えば、フィルムなどがある。なお、被処理体は無機材料から構成されていても、有機材料から構成されていても良い。
【0007】
このような被処理体は、まず、対向するように配置した一対の電極の間に配置され、これら両電極間に電圧を印加することによって発生する放電によって処理される。この放電処理によって、被処理体表面にはラジカル又はラジカルの発生が容易な官能基が形成される。
【0008】
このように被処理体は一対の電極間に配置されるが、これら一対の電極のうち、少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している。両方の電極が誘電体を担持していると、より均一な放電を発生させることができるため好適である。
【0009】
また、この被処理体はどのように配置しても良く、例えば、両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触しないように配置したり、いずれか一方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置したり、或いは両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置することができる。なお、多孔質体からなる被処理体を両方の電極と接触するように配置して放電処理すると、多孔質体の内部で放電が発生し、多孔質体の内部も放電処理できるという特長がある。
【0010】
この被処理体が多孔質体であり、その内部も放電処理できる態様の模式的断面図である図1〜図6をもとにより詳細に説明する。なお、これ以外の態様、つまり被処理体が両方のいずれの電極とも接触しないように配置した場合や、いずれか一方の電極とのみ接触するように配置した場合は、放電領域が多孔質体の内部以外に電極と多孔質体との間の空間(電極が誘電体を担持している場合には、誘電体と多孔質体との間の空間)が含まれること以外は全く同じである。
【0011】
図1の態様は、誘電体2aを担持した平板状電極1aと、誘電体2bを担持した平板状電極1bとが、対向するように配置されており、これら誘電体2a、2bにより多孔質体5を挟持している。つまり、これら誘電体2a、2bと多孔質体5との間に実質的に空間が形成されないように、多孔質体5を各誘電体2a、2bで挟み込む。これら各平板状電極1a、1bに担持された各誘電体2a、2bは各平板状電極1a、1bの対向表面よりも大きいため、平板状電極1a、1b間で生じやすいスパーク放電を防止することができる。また、これら平板状電極1a、1b間に電圧を印加できるように、一方の平板状電極1aは交流電源4に接続され、他方の平板状電極1bはアースされている。なお、図1とは逆に、一方の平板状電極1aがアースされ、他方の平板状電極1bが交流電源4に接続されていても良い。
【0012】
この各平板状電極1a、1bを構成する材料としては、特に限定されるものではないが、比抵抗が103Ω・cm以下(好ましくは100Ω・cm以下)の導電体を用いることができ、例えば、金属(例えば、ステンレススチール、アルミニウム、タングステンなど)、導電性金属酸化物、カーボン、或いは金属粉末やカーボン粉末などの導電体とゴムとを複合した導電性ゴムなどを使用することができる。
【0013】
なお、各平板状電極1a、1bの対向表面が、周縁から側壁にかけて曲面となっていると、各平板状電極1a、1bの側壁と各誘電体2a、2bとの間で電界が集中しにくく、誘電体の損傷を抑えることができるので好適である。
【0014】
また、両平板状電極1a、1bによって挟まれた部分においてのみ放電処理が実施されるため、所望の領域のみに放電処理を実施することができる。例えば、一方の電極として格子状の電極を使用すれば、その電極の形状に対応した格子状に放電処理を実施することができる。
【0015】
各誘電体2a、2bはスパーク放電などを生じることなく、安定して放電処理を実施できるように、各々の平板状電極1a、1bの対向表面全体を被覆している。また、両平板状電極1a、1b間でスパーク放電が生じないように、各誘電体2a、2bは各々の平板状電極1a、1bの対向表面よりも大きく、平板状電極1a、1bの対向表面からはみ出ている。
【0016】
なお、各誘電体2a、2bは全体が非多孔質であるのが好ましいが、一部に多孔質部分を含んでいても良い。特に対向表面に多孔質部分を含む誘電体を使用すると、この誘電体の多孔質部分においても放電が発生するため、多孔質体5の外側表面も放電処理することができる。なお、多孔質部分が誘電体の厚さ方向に連続していると、この多孔質部分においてスパーク放電が発生することがあるため、多孔質部分は厚さ方向に連続していないのが好ましい。
【0017】
この各誘電体2a、2bを構成する材料としては、例えば、ガラス、セラミック(例えば、アルミナなど)、ゴム(例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなど)、或いは熱可塑性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルなど)を使用することができる。これらの中でも、弾性に優れ、多孔質体5との密着性に優れるゴム又は熱可塑性樹脂を使用するのが好ましい。なお、誘電体の厚さは特に限定されるものではないが、0.05mm〜5mm程度であるのが好ましい。誘電体の厚さが0.05mm未満では機械的強度が低下し、絶縁破壊が生じやすくなり、5mmを越えると、放電させるために高い電圧が必要となるためである。
【0018】
なお、図1に示すように被処理体を挟持していない場合、電極に担持された誘電体と被処理体との距離、或いは誘電体を担持していない電極表面と被処理体との距離は特に限定されるものではないが、0mmを越え、100mm以下であるのが好ましい。100mmを越えると、放電を発生させるのに高い電圧が必要となるからである。
【0019】
図2の態様は、誘電体2a、2bを担持する電極として、5つの小さな円柱状電極1aと、1つの大きな円柱状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。このように円柱状電極を使用すると、多孔質体5を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0020】
図3の態様は、誘電体2a、2bを担持する電極として、ベルト状電極1aと、1つの円柱状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。この態様も、多孔質体5を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0021】
図4の態様は、誘電体2a、2bを担持する電極として、5つの円柱状電極1aと、ベルト状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。この態様も、多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0022】
図5の態様は、各平板状電極1a、1bの対向表面に誘電体(以下、「対向誘電体」という)が担持されているばかりでなく、各平板状電極1a、1bの側壁にも誘電体(以下、「側壁誘電体」という)が担持されていること以外は、図1と全く同じである。この態様の場合、側壁誘電体3a、3bを担持していることにより、各平板状電極1a、1bの側壁と各対向誘電体2a、2bとの間における放電を防止することができる。なお、この側壁誘電体3a、3bは対向誘電体2a、2bと同様の材料から構成することができる。また、対向誘電体2a、2bと側壁誘電体3a、3bとは同じ材料から構成されている必要はなく、異なる種類の材料から構成されていても良い。更に、対向誘電体2a、2bと側壁誘電体3a、3bとは分離した状態にあっても、一体化された状態にあっても良い。
【0023】
図6の態様は、各対向誘電体2a、2bとしてベルト状のものを使用していること以外は、図5と全く同じである。この態様の場合、各平板状電極1a、1bの側壁と各対向誘電体2a、2bとの間における放電を防止することができ、しかも多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0024】
例えば上述のように対向する一対の電極間に被処理体を配置した後、前記両電極間に電圧を印加して放電を発生させて、被処理体を処理する。この放電処理は酸素の存在下(例えば、空気中)で実施したり、酸素の存在しない条件下(例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオンなどの不活性ガス中)で実施した後に酸素と接触させると、ラジカルを容易に発生できるペルオキサイドを発生させることができる。また、この放電処理は大気圧下で実施することができるため、連続生産に適している。勿論、減圧下で実施しても良い。
【0025】
電極間に印加する交流電圧は、電極間の距離(対向誘電体を含む)や電極の周囲の雰囲気などによって変化するため限定することはできないが、放電が生じやすいように、0.25KVp以上であるのが好ましく、0.5KVp以上であるのがより好ましい。なお、単位「KVp」は交流電圧の最大値ピークから0までの電圧差を示す。他方、交流電圧の上限は被処理体の損傷が生じない電圧であれば良く、限定されるものではない。また、電界強度としては、10〜200KVp/cmであることが好ましく、20〜100KVp/cmであるのがより好ましい。
【0026】
前記交流電圧の周波数は0.1KHz〜100KHzであるのが好ましい。周波数が0.1KHz未満であると、放電処理効率が低下する傾向があり、100KHzを越えると、誘電加熱により加熱状態となって被処理体が破壊される恐れがあるためで、好ましくは0.5KHz〜50KHz、より好ましくは1KHz〜50KHzである。
【0027】
また、印加電圧の波形は、例えば、正弦波、三角波、矩形波、或いはパルス波などを挙げることができる。これらの中でもパルス波は発熱や火花放電を抑制でき、被処理体を損傷しにくいため好適である。特に、図5に示すような態様の一対の電極を用い、被処理体を移動させながら放電処理する場合には、被処理体の損傷を抑えることができるように、立ち上がりの速い(1マイクロ秒以下)パルス波が好適である。そのため、インパルス電源やパルス電源を使用するのが好ましい。なお、立ち上がり時間は基準電圧から第1のピーク電圧の90%に到達するまでの時間をいう。また、印加電圧の極性も特に限定されるものではなく、単極性電圧を使用することもできるし、両極性電圧を使用することもできるが、処理効率が高い点で両極性電圧を使用するのが好ましい。
【0028】
なお、図1、図3、図5、及び図6に示すように、一対の電極により多孔質体を一定の領域で挟んで放電処理する場合には、均一に放電処理でき、しかもアーク放電が生じることがないように、1cm2あたりの出力が0.01〜5Wであるのが好ましい。また、図2及び図4に示すように、一対の電極により多孔質体を線状に挟んで放電処理する場合には、1cmあたりの出力が0.1〜9Wであるのが好ましく、0.1〜6Wであるのがより好ましい。なお、多孔質体を線状に挟んで放電処理する場合であって、複数本の電極を使用する場合には、上記の出力は電極1本あたりの値を意味する。
【0029】
この交流電圧の印加時間は発生するペルオキサイド量が多く、反応性に富むように、60秒以内であるのが好ましく、30秒以内であるのがより好ましく、20秒以内であるのが更に好ましく、15秒以内であるのが最も好ましい。逆に、ペルオキサイドを発生できるように、0.1秒以上であるのが好ましい。
【0030】
次いで、この放電処理した被処理体をラジカル重合可能なモノマーの重合したポリマー、又はラジカル状態のポリマーと接触させて、被処理体にポリマーの重合層を形成する。このようにポリマーを使用してポリマーの重合層を形成しているため短時間で、分子量が均一な重合層を形成することができる。また、ラジカル状態のポリマーと接触させた場合には、反応性に富んでいるため、より短時間で重合層を形成することができる。
【0031】
前者のラジカル重合可能なモノマーの重合したポリマーとしては、例えば、スチレン化合物(例えば、スチレン、パラスチレンスルホン酸ソーダなど)、マレイン酸化合物(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチルなど)、イタコン酸化合物(例えば、イタコン酸、イタコン酸ジメチルなど)、アクリルアミド化合物(例えば、アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸など)、アクリル酸化合物(例えば、アクリル酸、メチルアクリレートなど)、メタクリル酸化合物(例えば、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、2−ヒドロキシエチルメタクリレートなど)、アリル化合物(例えば、ジアリルアミン、アリルアルコールなど)、ビニル化合物(例えば、2−ビニルピリジン、N−ビニル−2ピロリドン、酢酸ビニルなど)などのモノマーが、単独で重合、又は共重合したポリマーを使用することができる。
【0032】
後者のラジカル状態のポリマーとしては、上記と同様のポリマーをラジカル状態にしたものを使用することができる。このラジカル状態にする方法は特に限定されるものではないが、例えば、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、過酸化水素、過硫酸カリウムなど)により発生させる方法、光(例えば、紫外線など)を照射して発生させる方法、放射線(例えば、X線、γ線、α線、β線など)を照射して発生させる方法、熱分解により発生させる方法などがある。
【0033】
この処理した被処理体のポリマー又はラジカル状態のポリマーとの接触方法としては、例えば、(1)ポリマー又はラジカル状態のポリマーを含む溶液を、処理した被処理体に塗布又は散布する方法、(2)ポリマー又はラジカル状態のポリマーを含む溶液中に、処理した被処理体を浸漬する方法、(3)処理した被処理体をポリマー又はラジカル状態のポリマー蒸気と接触させる方法、などがある。
【0034】
前述のように放電処理した被処理体とポリマー又はラジカル状態のポリマーとを接触させると、ポリマーが重合して被処理体表面にポリマーの重合層を形成する。なお、図1〜図6に示すように、一対の電極で挟持された状態で放電処理された多孔質体(被処理体)においては、多孔質体の内部空隙で放電が発生するため、多孔質体の内部においてポリマーがより重合しやすい。
【0035】
このように、被処理体にポリマーの重合層を形成することができるため、ポリマーを適宜選択することにより、被処理体の親水性を向上又は付与したり、撥水性を向上又は付与することができる。
【0036】
以下に、本発明の表面改質方法について実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
多孔質体として、ポリプロピレンとポリエチレンとからなる分割性繊維を湿式抄造した後、水流により絡合すると同時に、この分割性繊維をポリプロピレン極細繊維とポリエチレン極細繊維とに分割した不織布(空隙率:70%、平均孔径:7μm、厚さ:200μm、面密度60g/m2)を用意した。
【0038】
放電処理装置として、図1に示すような、対向誘電体2a、2bとして、全体が非多孔質のポリテトラフルオロエチレンシート(大きさ:180mm×350mm、厚さ:0.1mm)をそれぞれ担持した、ステンレス板(150mm×300mm)からなる平板状電極1a、1bが対向するように配置されたもの(ポリテトラフルオロエチレンシートは平板状電極からはみ出ている)を用意した。なお、一方の平板状電極1aはサイン波電源4に接続し、他方の平板状電極1bはアースした。
【0039】
次いで、この放電装置の対向誘電体2a、2bにより、前記不織布を挟持した状態で、大気圧下かつ空気の存在下で、平板状電極1a、1b間にサイン波交流電圧(周波数:20KHz、出力800W、両極性)を印加し、不織布の内部空隙で放電を発生させ、10秒間処理した。
【0040】
次いで、この放電処理した不織布を、温度80℃に維持されたポリアクリル酸1%溶液(日本純薬(株)製、ジュンロンPW−110)中に5分間浸漬した後、60℃の温水で1時間洗浄して、ポリアクリル酸重合層を有する不織布を製造した。このポリアクリル酸重合層を有する不織布は面密度が4%増加していた。また、このポリアクリル酸重合層を有する不織布に水を1滴滴下したところ、瞬時に濡れるものであった。更に、このポリアクリル酸重合層を有する不織布を100℃の熱湯で1時間煮沸した後に、水を1滴滴下した場合であっても、瞬時に濡れるものであった。
【0041】
(実施例2)
温度80℃に維持されたポリアクリル酸1%溶液(日本純薬(株)製、ジュンロンAC−10SH)を使用したこと以外は、実施例1と全く同様にして、ポリアクリル酸重合層を有する不織布を製造した。このポリアクリル酸重合層を有する不織布は面密度が2.3%増加していた。また、このポリアクリル酸重合層を有する不織布に水を1滴滴下したところ、瞬時に濡れるものであった。更に、このポリアクリル酸重合層を有する不織布を100℃の熱湯で1時間煮沸した後に、水を1滴滴下した場合であっても、瞬時に濡れるものであった。
【0042】
(実施例3)
ポリアクリル酸1%溶液(日本純薬(株)製、ジュンロンPW−110、)に、触媒として硫酸鉄(FeSO4)1.4mass%と、熱重合開始剤(和光純薬工業(株)製、V−50)2mass%とを添加し、温度80℃で5分間放置して、ラジカル状態のポリアクリル酸を発生させた。
【0043】
次いで、実施例1と同様に放電処理した不織布を、温度80℃に維持された前記溶液中に5分間浸漬した後、60℃の温水で1時間洗浄して、ポリアクリル酸重合層を有する不織布を製造した。このポリアクリル酸重合層を有する不織布は面密度が5.4%増加していた。また、このポリアクリル酸重合層を有する不織布に水を1滴滴下したところ、瞬時に濡れるものであった。更に、このポリアクリル酸重合層を有する不織布を100℃の熱湯で1時間煮沸した後に、水を1滴滴下した場合であっても、瞬時に濡れるものであった。この結果から、ラジカル状態のポリマーと接触させると、より短時間でポリマーの重合層を形成できることがわかった。
【0044】
【発明の効果】
本発明の表面改質方法は、対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に、多孔質体からなる被処理体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置し、前記両電極間に電圧を印加して被処理体の内部空隙で放電を発生させて、前記被処理体を処理した後、この処理した被処理体をラジカル重合可能なモノマーの重合したポリマーと接触させて、前記被処理体に前記ポリマーの重合層を形成させる方法である。このように、従来のようにモノマーではなく、ポリマーからその重合層を形成しているため、短時間で形成することができ、また、重合層の分子量が均一であるという効果を奏する。
【0045】
本発明の別の表面改質方法は、対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に、多孔質体からなる被処理体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置し、前記両電極間に電圧を印加して被処理体の内部空隙で放電を発生させて、前記被処理体を処理した後、この処理した被処理体をラジカル状態のポリマーと接触させて、前記被処理体に前記ポリマーの重合層を形成させる方法である。このようにラジカル状態のポリマーと接触させると、反応性に富んでいるため、ポリマーの重合層をより短時間で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用できる一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図2】 本発明で使用できる別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図3】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図4】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図5】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図6】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【符号の説明】
1a、1b 電極
2a、2b 対向誘電体
3a、3b 側壁誘電体
4 交流電源
5 多孔質体
Claims (2)
- 対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に、多孔質体からなる被処理体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置し、前記両電極間に電圧を印加して被処理体の内部空隙で放電を発生させて、前記被処理体を処理した後、この処理した被処理体をラジカル重合可能なモノマーの重合したポリマーと接触させて、前記被処理体に前記ポリマーの重合層を形成させることを特徴とする、表面改質方法。
- 対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に、多孔質体からなる被処理体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置し、前記両電極間に電圧を印加して被処理体の内部空隙で放電を発生させて、前記被処理体を処理した後、この処理した被処理体をラジカル状態のポリマーと接触させて、前記被処理体に前記ポリマーの重合層を形成させることを特徴とする、表面改質方法。
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