JPH10338760A - 非導電性多孔質体の総表面の処理方法 - Google Patents

非導電性多孔質体の総表面の処理方法

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JPH10338760A
JPH10338760A JP9164973A JP16497397A JPH10338760A JP H10338760 A JPH10338760 A JP H10338760A JP 9164973 A JP9164973 A JP 9164973A JP 16497397 A JP16497397 A JP 16497397A JP H10338760 A JPH10338760 A JP H10338760A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気圧で実施することができ、スパーク放電
等による被処理体の損傷、又は処理むらなどが起こりに
くく、連続的に処理することが可能で、しかも、耐久性
に優れた表面改質を実施することができる、非導電性多
孔質体の総表面を処理する方法を提供する。 【解決手段】 それぞれの対向表面側に誘電体層41,
42を設けて対向して配置した一対の電極21,22の
間に、表面改質補助剤を被処理面上に担持した非導電性
多孔質体11を、前記電極とはそれぞれ直接に接触しな
いが前記誘導体層のそれぞれと外側表面が直接に接触す
るように配置し、周波数が0.1KHz〜100KHz
である低周波交流電圧を前記両電極間に印加して、両電
極間に挟まれた前記非導電性多孔質体の内部空隙で放電
を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非導電性多孔質体
の総表面の処理方法に関する。本発明によれば、例え
ば、非導電性多孔質体の総表面に親水性、疎水性、又は
接着性を付与したり、親水性、疎水性、又は接着性を向
上させたり、あるいは非導電性多孔質体の総表面に粗面
加工を施したりすることができる。
【0002】
【従来の技術】従来、放電による非導電性多孔質体の表
面処理方法としては、例えば、交流コロナ放電若しくは
直流コロナ放電を利用する方法、又は低圧グロー放電を
利用する方法などが知られていた。しかしながら、交流
コロナ放電若しくは直流コロナ放電を利用する前記方
法、又は低圧グロー放電を利用する前記方法を用いる
と、例えば、合成繊維からなる被処理体を親水化処理す
ることができるが、得られた親水性の効果は、長く持続
するものではなく、しかも、熱処理などにより、その親
水性の効果が容易に低下する欠点があった。
【0003】耐久性を備えた親水性を付与することので
きる処理方法として、特開昭56−157437号公報
には、疎水性樹脂多孔性構造物に水溶性高分子又は界面
活性剤を含浸し、低圧グロー放電により水溶性高分子又
は界面活性剤を固着することによって、耐久性のある親
水化多孔性構造物を製造する方法が開示されている。ま
た、特公平3−13352号公報には、ポリエステル系
繊維にポリエチレングリコール水溶液を塗布乾燥してポ
リエチレングリコールを付与し、その後、低圧グロー放
電処理してポリエチレングリコールをポリエステル系繊
維に固着することにより、耐久性のある親水性ポリエス
テル系繊維を製造する方法が開示されている。
【0004】しかし、低圧グロー放電では、放電容器内
の気圧を低圧にするための減圧装置を必要とし、連続加
工には不向きである。また、被処理体及び/又は水溶性
高分子若しくは界面活性剤が、揮発性物質、例えば、水
又は可塑剤などを含む場合には、圧力コントロールが難
しく、水溶性高分子又は界面活性剤を均一に固着させる
ことが困難である。仮に、低圧グロー放電の代わりに、
大気圧で実施するコロナ放電を利用したとしても、コロ
ナ放電では、コロナ放電を発生させるために、放電極と
対電極との間に或る一定以上の電界強度、すなわち、コ
ロナ開始電圧以上の高電圧を印加する必要があるので、
あまり高電圧にしすぎると、被処理体の弱い箇所(例え
ば、薄い箇所)を通じて電極間でスパーク放電に至り、
被処理体に大きな穴を開けるなどの損傷を生じることが
ある。また、凹凸のある被処理体を処理する場合には、
均一に放電することができず、処理むらが生じたり、被
処理体に穴が開くなどの損傷を生じることがある。
【0005】また、特開平8−337675号公報に
は、反応ガスを導入したチャンバ内(大気圧以上)にお
いて、一対の電極間に多孔体を介在させた状態で、前記
電極に高周波/高電圧を印加し、前記多孔体表面及び各
孔の内部空間でプラズマを発生させることにより、多孔
体を改質処理する方法が開示されている。この改質処理
方法では、前記反応ガスを用いて、親水性又は親油性を
付加することができ、しかも、常温で液体又は気体の有
機化合物と、不活性ガス(例えば、ヘリウム、アルゴ
ン、又はネオンなど)との混合ガスを使用することによ
り、多孔体の改質処理を行なうことができる。しかし、
この方法においては、ヘリウムなどの不活性ガスを使用
し、閉鎖系で実施する必要があるため、作業の工程及び
装置の構造が複雑になる欠点があり、しかも、高価な不
活性ガスを使用する必要があるため、コストが高くなる
欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、大気圧で実施することができ、スパーク放電等によ
る被処理体の損傷、又は処理むらなどが起こりにくく、
連続的に処理することが可能で、しかも、耐久性に優れ
た表面改質を実施することができる、非導電性多孔質体
の総表面の処理方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明方
法による、それぞれの対向表面側に誘電体層を設けて対
向して配置した一対の電極の間に、表面改質補助剤を被
処理面上に担持した非導電性多孔質体を、前記の一対の
電極とはそれぞれ直接に接触しないが前記誘導体層のそ
れぞれと外側表面が直接に接触するように配置し、周波
数が0.1KHz〜100KHzである低周波交流電圧
を前記両電極間に印加して、両電極間に挟まれた前記非
導電性多孔質体の内部空隙で放電を発生させることを特
徴とする、非導電性多孔質体の総表面の処理方法によっ
て達成することができる。
【0008】本明細書において、「総表面」とは、処理
対象である非導電性多孔質体の外側表面と、非導電性多
孔質体の内側表面との両方を含む概念である。「外側表
面」とは、非導電性多孔質体に外接する平滑表面を有す
る仮想立体と接する非導電性多孔質体の表面を意味す
る。また、「内側表面」とは、非導電性多孔質体の前記
仮想立体の内部に含まれるすべての内部空隙の全表面を
意味する。従って、内側表面とは、発泡体型多孔質体に
おいては各気泡(cell)の表面であり、フィルム型
多孔質体においては凹部構造(例えば、くぼみ又は溝な
ど)又は貫通孔の表面であり、繊維質型多孔質体におい
ては構成繊維によって形成される内部空間の表面、すな
わち、各構成繊維の全表面が含まれる。
【0009】本明細書において、「総表面の処理」と
は、処理対象である非導電性多孔質体の総表面の少なく
とも一部を化学的又は物理的に処理することを意味す
る。化学的処理とは、非導電性多孔質体の総表面を化学
的に変性することを意味し、例えば、非導電性多孔質体
を構成する化合物に所望の官能基を導入する処理を挙げ
ることができ、非導電性多孔質体の総表面に親水性、疎
水性、又は接着性を付与するか、あるいは親水性、疎水
性、又は接着性を向上させることができる。所望の官能
基を導入することができる表面改質補助剤の存在下に
て、非導電性多孔質体の前記仮想立体の内部に含まれる
内部空隙で放電を発生させることによって、所望の官能
基を導入する化学的処理を行なうことができる。
【0010】物理的処理とは、非導電性多孔質体の総表
面を物理的に変性することを意味し、例えば、プラズマ
処理による粗面加工を挙げることができる。粗面加工
は、空気などの表面処理用ガス中で放電を発生させるこ
とによって実施することができる。本発明方法において
は、化学的処理を行なう場合に、通常、物理的処理も同
時に伴って起きる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明方法により総表面を処理す
ることのできる非導電性多孔質体としては、任意の非導
電性の有機材料又は無機材料からなる多孔質体を用いる
ことができる。本発明方法によれば、非導電性多孔質体
が有機材料であるか、無機材料であるかを問わず、処理
することができ、特に、スパーク放電などにより損傷し
やすい有機材料からなる非導電性多孔質体であっても処
理することができる。非導電性有機材料としては、各種
の有機高分子化合物、例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどのポリオレフィン、ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリ塩化ビニル、フッ素化エチレンプロピレ
ン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVD
F)、又はフッ化ビニリデン−トリフルオロエチレン共
重合体等を挙げることができる。非導電性無機材料とし
ては、各種セラミックス(例えば、アルミナ、シリカ、
若しくはシリカアルミナ等)、又はガラス類(例えば、
ソーダガラス若しくはシリカガラス等)などを挙げるこ
とができる。
【0012】前記各種材料からなる多孔質体としては、
例えば、繊維質型多孔質体、フィルム型多孔質体、又は
発泡体型多孔質体などを挙げることができる。繊維質型
多孔体は、例えば、織物、編物、繊維状ポーラスフィル
ム、又は不織布からなる。不織布としては、例えば、乾
式不織布(例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー
不織布、ニードルパンチ不織布、バインダ接着不織布、
熱融着不織布、若しくは水流絡合不織布)又は湿式不織
布などを挙げることができる。また、発泡体としては、
例えば、ポリオレフィン系、ポリエステル系、又はポリ
ウレタン系などの樹脂からなる開放気泡型発泡体などを
挙げることができる。また、フィルム型多孔質体として
は、凹凸構造をもつフィルムや穴あきフィルムなどを挙
げることができる。
【0013】本発明は、特に非導電性の有機材料からな
る繊維質型多孔質体の処理に適用することができ、例え
ば、不織布シート(例えば、アルカリ電池用セパレー
タ、貼布材用基布、又は加湿用基材などとして使用する
ことのできる不織布シート)の処理に適用することがで
きる。アルカリ電池用セパレータとして使用することの
できる不織布としては、これに限定されるわけではない
が、例えば、ポリオレフィン系繊維、すなわち、ポリエ
チレン、エチレン系共重合体、ポリプロピレン、プロピ
レン系共重合体、ポリブテン、ブテン系共重合体、ポリ
メチルペンテン、又はペンテン系共重合体を樹脂成分と
して1つ以上含む繊維からなり、例えば、水流絡合、熱
融着、若しくはメルトブロー、又はこれらを併用して形
成される不織布を使用することができる。
【0014】本発明方法により総表面を処理することの
できる非導電性多孔質体の形状は、非導電性多孔質体の
外側表面と誘電体層とが接触した際に、多孔質体内部に
空隙を有する形状であれば、特に限定されない。本発明
方法により総表面を処理することのできる非導電性多孔
質体の空隙率(処理時の状態の空隙率)は、0%より高
く、しかも、99%未満である。特に空隙率が95%以
下の非導電性多孔質体の内側表面は、従来のグロー放電
によっては処理することが困難であったが、本発明では
処理することができる。
【0015】内部空隙の大きさの上限は特に限定される
ものではないが、好ましくは空隙の平均孔径が1mm以
下である。特に、空隙の平均孔径が0.1mm以下、特
には30μm以下の非導電性多孔質体の内側表面は、従
来のグロー放電によっては処理することが困難であった
が、本発明では処理することができる。なお、繊維質型
多孔質体の平均孔径は、例えば、コールターポロメータ
ーII(コールター社製)により測定することができる。
平均孔径が1mmを越えると、アーク放電が起きて多孔
質体を損傷する場合があるからである。ただし、平均孔
径が1mmを越えていても、処理時に圧縮して平均孔径
を1mm以下にできるものであればよい。平均孔径が
0.1mm以下であると、スパークが生じにくい。内部
空隙の大きさの下限は、非導電性多孔質体の内部空隙で
放電を発生させることができる大きさであれば、特に限
定されるものではない。
【0016】非導電性多孔質体の厚さ(両誘電体層に挟
まれた状態での厚さ)も、誘電体層の厚さや多孔質体の
種類などによって好適な厚さが変化するので、特に限定
されるものではないが、10mm以下であることが好ま
しく、1mm以下であることがより好ましい。10mm
を越えると、アーク放電を起こしやすくなるとともに高
い放電電圧が必要となるからである。厚さが1mm以下
であると、スパークが生じにくく、熱に弱い素材であっ
ても処理が可能である。なお、非導電性多孔質体の厚さ
が10mmを越えていても、処理時に圧縮して厚さを1
0mm以下にすることができるものであればよい。ま
た、厚さが0.1mm以上の非導電性多孔質体の内側表
面は、従来のグロー放電によっては処理することが困難
であったが、本発明を用いると、処理することができ
る。また、非導電性多孔質体の通気度は、特に限定され
るものではない。通気度が0.5〜200ml/cm2
・秒、特には1〜150ml/cm2 ・秒である非導電
性多孔質体の内側表面は、従来のグロー放電によっては
処理することが困難であったが、本発明を用いると、処
理することができる。
【0017】空隙率が95%以下である非導電性多孔質
体、内部空隙の平均孔径が0.1mm以下である非導電
性多孔質体、厚さ0.1〜10mmの非導電性多孔質体
(圧縮してこの範囲内となるものを含む)、又は通気度
が0.5〜200ml/cm2 ・秒である非導電性多孔
質体は、グロー放電によってはその内部表面を処理する
ことが困難であったのに対して、本発明を用いると、前
記の各非導電性多孔質体(特には、そのすべての条件を
満たす非導電性多孔質体、すなわち、空隙率、内部空隙
の平均孔径、厚さ、及び通気度が前記範囲内にある非導
電性多孔質体)の総表面を処理することができる。
【0018】本発明方法では、(1)非導電性多孔質体
の被処理面上に表面改質補助剤を担持させる工程(以
下、前処理工程と称する)を実施し、続いて、(2)表
面改質補助剤を担持する前記非導電性多孔質体を、対向
する一対の電極間に適当に配置した状態で、前記電極間
に交流電圧を印加し、両電極に挟まれた多孔質体の内部
空隙で放電を発生させる工程(以下、放電処理工程と称
する)を実施することによって、非導電性多孔質体の総
表面の処理を行なうことができる。
【0019】本発明方法における前処理工程では、非導
電性多孔質体の被処理面上、すなわち、非導電性多孔質
体の総表面の内、少なくとも表面処理を実施しようとす
る表面上に、表面改質補助剤を担持させる。例えば、非
導電性多孔質体の外側表面及び内側表面の両方に表面改
質補助剤を担持させることができる。
【0020】本発明方法における前処理工程において使
用することのできる表面改質補助剤は、非導電性多孔質
体の表面に担持された状態で、放電処理工程を実施する
ことにより、非導電性多孔質体に官能基を導入すること
ができるものであれば特に限定されず、表面処理の目的
に応じて適宜選択することができる。非導電性多孔質体
に親水性及び/又は接着性を付与するか、あるいは親水
性及び/又は接着性を向上させる表面処理を行なう場合
には、例えば、水溶性高分子又は界面活性剤を用いるこ
とができる。また、非導電性多孔質体に疎水性を付与す
るか、あるいは疎水性を向上させる表面処理を行なう場
合には、例えば、シリコーン系撥水剤又はフッ素系撥水
剤を用いることができる。
【0021】前記水溶性高分子としては、例えば、分子
内に酸素原子又は窒素原子を含むポリマーを挙げること
ができる。分子内に酸素原子を含むポリマーとしては、
例えば、水酸基、カルボキシル基、エーテル基、スルホ
ニル基、又はホスホニル基などの官能基を含むポリマー
を挙げることができ、分子内に窒素原子を含むポリマー
としては、例えば、アミノ基、イミノ基、酸アミド基、
又は第四級アンモニウム型の官能基を含むポリマーを挙
げることができる。具体的な水溶性高分子としては、例
えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル
酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエチレンオキシ
ド、ポリエチレンイミン、ポリビニルピリジン、ポリビ
ニールピロリドン、ポリスチレンスルホン酸塩、又はポ
リスチレンアンモニウム塩などを挙げることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、炭化水素系、シリコ
ーン系、又はフッ素系界面活性剤などを挙げることがで
きる。
【0022】本発明方法における前処理工程では、用い
る表面改質補助剤に応じて、適当な方法により表面改質
補助剤を非導電性多孔質体の被処理面上に担持させるこ
とができる。例えば、表面改質補助剤を適当な溶媒に溶
解又は懸濁し、その溶液又は懸濁液を非導電性多孔質体
に含浸した後に、あるいは、前記溶液又は懸濁液を非導
電性多孔質体の被処理面上にスプレー又は塗布した後
に、溶媒のみを除去することによって、表面改質補助剤
を非導電性多孔質体の被処理面上に担持することができ
る。
【0023】表面改質補助剤として水溶性高分子及び/
又は界面活性剤を用いる場合には、例えば、前記水溶性
高分子及び/又は界面活性剤の水溶液を非導電性多孔質
体に含浸した後、水を蒸発させることによって、表面改
質補助剤を非導電性多孔質体の被処理面上に担持させる
ことができる。なお、非導電性多孔質体として疎水性の
強い材料、例えば、ポリスルホン、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、又はポリテトラフルオロエチレンからなる
多孔質体を使用する場合には、表面張力が小さく、しか
も水と混合可能な有機溶媒を用いて非導電性多孔質体の
被処理面を予め濡らし、次いで水洗した後に、水溶性高
分子及び/又は界面活性剤の水溶液に浸漬するか、ある
いは、予備的な放電処理を行なった後に、水溶性高分子
及び/又は界面活性剤の水溶液に浸漬することが好まし
い。なお、前記の予備的放電処理は、非導電性多孔質体
の被処理面と、水溶性高分子及び/又は界面活性剤の水
溶液との親和性を向上させ、水溶性高分子及び/又は界
面活性剤を均一に付着させることができる放電処理であ
れば特に限定されるものではないが、例えば、非導電性
多孔質体の内部まで均一に処理することができる点で、
後述する放電処理工程において実施する放電処理と同様
の条件で実施することが好ましい。
【0024】また、表面改質補助剤としてシリコーン系
撥水剤及び/又はフッ素系撥水剤を用いる場合には、例
えば、揮発性の有機溶媒に撥水剤を分散させ、その中に
非導電性多孔質体を浸漬し、その後で前記有機溶媒を蒸
発させると、撥水剤が均一に付着するので好ましい。
【0025】本発明方法における放電処理工程につい
て、以下、添付図面に沿って説明する。本発明方法にお
ける放電処理工程の基本的原理を図1に示す。図1に示
すように、平板状電極などからなる一対の電極21,2
2を対向するように配置する。電極21は、その対向表
面側に面接触する誘電体層41を担持し、電極22も、
その対向表面側に面接触する誘電体層42を担持する。
更に、両電極21,22のいずれとも接触しないが、誘
電体層41,誘電体層42のそれぞれと外側表面が直接
接触するように、誘電体層41と誘電体層42との間
に、表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質体11を
配置する。この際に、電極21と電極22とを、適当な
圧力で押圧することにより、電極21と誘電体層41、
誘電体層41と非導電性多孔質体11、非導電性多孔質
体11と誘電体層42、及び誘電体層42と電極22の
それぞれの間に、実質的に空間が形成しないように面接
触させる。電極21及び電極22の大きさを、それぞれ
が接触する誘電体層41及び誘電体層42の大きさより
も小さくなるようにすると、両電極21,22の端部間
でスパークが生じないので好ましい。また、電極21又
は電極22の大きさが、それぞれが接触する誘電体層4
1又は誘電体層42の大きさと同じ場合には、電極の周
囲に誘電性材料からなる被覆材(例えば、ビニールテー
プ)などを設けることにより、両電極21,22の端部
間のスパークを防ぐことができる。電極21を交流電源
51に接続し、電極22をアースする。
【0026】交流電源51から交流高電圧を印加する
と、非導電性多孔質体11の内部空隙で放電し、プラズ
マが生成される。非導電性多孔質体11の内部空隙で発
生したプラズマが、非導電性多孔質体11の内側表面に
作用することにより、非導電性多孔質体11の内側表面
と表面改質補助剤とが反応し、非導電性多孔質体11の
内側表面の改質、すなわち、所望の官能基の導入が行わ
れる。このときには、非導電性多孔質体11の外側表面
は誘電体層41又は誘電体層42と接しているので、非
導電性多孔質体11の内部空隙で発生したプラズマは、
理論的には非導電性多孔質体11の外側表面の誘導体層
との接触点には作用しない。しかし、実際には、接触点
は外側表面の面積と比べて非常に小さい面積であるた
め、実質的にはすべての外側表面が処理されているもの
と言うことができる。しかも、非導電性多孔質体はプラ
ズマだけでなく、プラズマによって生じたラジカルによ
っても処理されるので、多孔質体と誘電体層とが分離し
た時、失活せずに残ったラジカルによって接触点も処理
される。なお、本発明では、非導電性多孔質体の内部空
隙で放電が発生するので、スパーク放電等による非導電
性多孔質体の損傷が起こりにくい。
【0027】本発明方法における放電処理工程におい
て、交流電源により放電を発生させるために印加する交
流電圧の下限は、誘電体層を含めた電極間の距離やガス
の種類に依存するので、特に限定されるものではない
が、好ましくは0.25KVp以上、より好ましくは
0.5KVp以上である(KVpは、交流電圧の最大値
ピークから0までの電圧差を示す)。電圧が0.25K
Vp未満になると実質的に放電が起こらなくなるからで
ある。また、交流電圧の上限も、非導電性多孔質体の損
傷が生じることのない電圧である限り、特に限定される
ものではない。
【0028】前記交流電圧の周波数の上限は、特に限定
されるものではないが、好ましくは100KHz、より
好ましくは50KHzである。周波数が100KHzを
越えると、誘電加熱により非導電性多孔質体が過熱状態
になって破壊するおそれが生じることがあるからであ
る。また、周波数を50KHz以下とすると、誘電体及
び電極が加熱されにくいので、長時間、安定して処理す
ることができる点でより好ましい。周波数の下限は、好
ましくは0.1KHz、より好ましくは0.5KHz、
更に好ましくは1KHzである。周波数が0.1KHz
未満になると、放電による処理効率が低下することがあ
るからである。周波数を1KHz以上とすると、処理効
率が高く、処理時間が短くなるので、より好ましい。
【0029】前記交流の出力は、各電極の形状、又は使
用する誘電体層若しくは非導電性多孔質体の素材又は厚
さなどに依存するので特に限定されるものではないが、
一対の電極が、非導電性多孔質体を一定の領域で挟んで
処理する場合(例えば、後記の図1又は図4参照)に
は、0.5〜5W/cm2 であることが好ましい。ま
た、一対の電極が、非導電性多孔質体を線状に挟んで処
理する場合(例えば、後記の図2、図3、図5、又は図
6参照)には、前記交流の出力は、0.1〜9W/cm
であることが好ましく、0.1〜6W/cmであること
がより好ましい。なお、非導電性多孔質体を線状に挟ん
で処理する場合であって、複数本の電極を使用する場合
(例えば、後記の図3、図5、又は図6参照)には、前
記の交流出力の範囲は、電極一本当たりの値を意味す
る。
【0030】本発明方法における放電処理工程におい
て、交流の出力が前記範囲より低い場合(すなわち、非
導電性多孔質体を一定の領域で挟んで処理する場合に
0.5W/cm2 未満であるか、あるいは、非導電性多
孔質体を線状に挟んで処理する場合に0.1W/cm未
満である場合)には、非導電性多孔質体の放電しやすい
場所で主に放電が生じるので、総表面を均一に処理する
ことができないことがある。また、交流の出力が前記範
囲より高い場合(すなわち、非導電性多孔質体を一定の
領域で挟んで処理する場合に5W/cm2 を越えるか、
あるいは、非導電性多孔質体を線状に挟んで処理する場
合に9W/cmを越える場合)には、アーク放電により
非導電性多孔質体に穴があくことがある。
【0031】印加電圧の波形は、特に限定されるもので
はなく、例えば、正弦波、三角波、又は矩形波などを挙
げることができ、発熱又は火花放電を抑制しやすい点
で、パルス波(例えば、図10に示すパルス波)である
ことが好ましい。前記パルス波においては、電圧波の立
ち上がり時間(例えば、図10における時間t)が、1
マイクロ秒以下であることが好ましく、0.5マイクロ
秒以下であることがより好ましい。また、電圧パルス幅
(半値幅)(例えば、図10における幅w)が、10マ
イクロ秒以下であることが好ましく、2マイクロ秒以下
であることがより好ましい。なお、パルス波を用いる場
合の周波数(例えば、図10における波長λを1周期と
したときの周波数)の好適範囲も限定されるものではな
いが、前記と同様の理由により、その上限は、好ましく
は100KHz、より好ましくは50KHzであり、そ
の下限は、好ましくは0.1KHz、より好ましくは
0.5KHz、更に好ましくは1KHzである。このよ
うなパルス波を使用することにより、火花放電により穴
の空きやすい非導電性多孔質体(例えば、メルトブロー
不織布)であっても、穴をあけることなく総表面処理を
実施することができる。なお、放電を発生させるために
印加する交流に関するこれらの値は、各電極の形状や非
導電性多孔質体の材質や放電電圧波形、更には処理時間
にも大きく依存するので、前記範囲からはずれて使用さ
れることもある。
【0032】図1には、電極21に交流電源51を接続
し、電極22をアースする態様を示したが、本発明方法
における放電処理工程においては、逆に、電極22に交
流電源51を接続し、電極21をアースしてもよい。
【0033】本発明方法における放電処理工程に用いる
ことのできる電極の材質としては、比抵抗が、好ましく
は103 Ω・cm以下、より好ましくは100 Ω・cm
以下の導電体を用いることができ、例えば、金属(例え
ば、ステンレススチール、アルミニウム、若しくはタン
グステン等)、導電性金属酸化物、カーボン、又は導電
体(例えば、金属粉末若しくはカーボン粉末等)とゴム
とを複合した導電性ゴムなどを用いることができる。ま
た、電極の形状としては、例えば、シート状電極、板状
電極、又は円柱状電極を用いることができる。後記の図
2〜図6に示す態様のように、非導電性多孔質体と電極
とが相対的に移動する場合には、非導電性多孔質体の表
面に傷をつけにくくなるように、非導電性多孔質体の平
行移動に同期して、その円柱中心軸を回転軸としてそれ
自体が回転することのできる円柱状電極が好ましい。
【0034】本発明方法における放電処理工程におい
て、両電極間にかける押圧の下限は、電極と誘電体層と
の間、及び誘電体層と非導電性多孔質体との間の面接触
を保証し、実質的に空間を形成させない圧力である。ま
た、その上限は、非導電性多孔質体の形状を破壊するこ
とのない圧力である。
【0035】本発明方法における放電処理工程に用いる
ことのできる誘電体層は、全体が非多孔質であるか、あ
るいは、その一部に多孔質部分を含むことができる。な
お、誘電体層として、全体が多孔質部分からなる誘電体
層を用いると、非導電性多孔質体及び誘電体の多孔質部
分の内部で火花放電が発生することがある。従って、本
発明では、そのような誘電体層を使用するのは好ましく
ない。また、同様の理由により、誘電体層として、厚さ
方向に連続した多孔質部分を含む誘電体層を用いるのも
好ましくない。非導電性多孔質体との接触面に多孔質部
分を有する誘電体層を用いると、全体が非多孔質からな
る誘電体層を用いた場合に比べて、誘電体層と非導電性
多孔質体との接触面が減少するので、非導電性多孔質体
の外側表面をより効率的に処理することができる。
【0036】本発明方法における放電処理工程に用いる
ことのできる誘電体層の材料としては、例えば、ガラ
ス、セラミック(例えば、アルミナ等)、ゴム(例え
ば、合成ゴム、例えば、シリコーンゴム、クロロプレン
ゴム、若しくはブタジエンゴム、又は天然ゴム等)、又
は熱可塑性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン
若しくはポリエステル等)などを挙げることができる。
非導電性多孔質体と接触する誘電体層、特にはその接触
面には、弾性に優れている点でゴム又は熱可塑性樹脂を
用いることが好ましく、弾性に優れており、非導電性多
孔質体との密着性に優れている点で、ゴムを使用するこ
とがより好ましい。特に、非導電性多孔質体の表面に傷
をつけにくいゴム、又は絶縁破壊に強いポリテトラフル
オロエチレンを使用することが好ましい。誘電体層の厚
さは、特に限定されるものではないが、0.05〜5m
m程度であることが好ましい。5mmより厚いと、放電
させるのに非常に高い電圧が必要であり、0.05mm
未満では機械的強度が低下し、絶縁破壊が生じやすくな
るからである。
【0037】本発明方法における放電処理工程において
用いる誘電体層が、その一部に多孔質部分を含む場合に
は、前記多孔質誘電体部分の厚さも、誘電体層全体の厚
さや被処理体の種類などによって好適な厚さが変化する
ので、特に限定されるものではないが、多孔質誘電体部
分と被処理体(すなわち、非導電性多孔質体)との厚さ
の合計が、10mm以下であることが好ましい。10m
mを越えると、アーク放電を起こしやすくなるとともに
高い放電電圧が必要となるからである。また、多孔質誘
電体部分の内部空隙の高さの上限は特に限定されるもの
ではないが、厚さ方向における、平均空隙高さが500
μm以下の空隙であることが好ましい。平均空隙高さが
500μmを越えると、アーク放電が起きて被処理体を
損傷する場合があるからである。ただし、平均空隙高さ
が500μmを越えていても、処理時に圧縮して平均空
隙高さを500μm以下にできるものであればよい。内
部空隙の高さの下限は、多孔質誘電体部分の内部空隙で
放電を発生させることができる高さであれば、特に限定
されるものではない。
【0038】本発明方法における放電処理工程では、親
水性を付与するか、あるいは親水性を向上させる場合に
は、一般的に開放系(空気中)で実施するが、疎水性を
付与するか、あるいは、疎水性を向上させる場合には、
非導電性多孔質体及びその近傍を特定のガスで充満さ
せ、空気との接触が起きないようにし、目的外の反応が
生じないようにすることが好ましい。また、非導電性多
孔質体の周囲を特定ガスの雰囲気にする場合には、例え
ば、非導電性多孔質体、電極、及び誘電体層を気密性の
容器中に配置し、その中に特定ガスを封入した状態で、
放電処理を行なうこともできる。この場合には、処理領
域を特定のガスで充満させることができ、空気との接触
が起きないので好ましい。前記の特定ガスとしては、例
えば、反応性のない不活性ガス、例えば、ヘリウム又は
アルゴンなどを用いることができる。
【0039】本発明方法によれば、非導電性多孔質体
は、一対の電極に挟まれた部分の総表面のみが実質的に
処理されるので、少なくとも一方の電極の形状を調整す
ることによって、被処理領域の形状を任意に調整するこ
とができる。例えば、電極の一方を平板状電極とし、電
極のもう一方を所望の形状の電極、例えば、網状電極又
は線状電極とすることにより、所望の形状と同じパター
ン、例えば、網状パターン又は線状パターンに非導電性
多孔質体を選択的に処理することができる。
【0040】本発明方法における放電処理工程において
は、表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質体を静止
させた状態で放電を発生させる図1に示す態様に限定さ
れず、表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質体を移
動させながら、連続的に非導電性多孔質体の表面処理を
行なうこともできる。このような本発明方法における放
電処理工程の別の態様を図2に示す。
【0041】この態様では、円柱状の電極21と円柱状
の電極22とを対向するように配置する。電極21及び
電極22は、その表面が誘電体層41及び誘電体層42
にそれぞれ覆われている。電極21及び電極22は、そ
の円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回転することが
できるものであることもできるし、回転せずに固定され
ているものであることもできる。非導電性多孔質体が移
動する際に、非導電性多孔質体の表面に傷をつけにくく
なる点で、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回
転することができる電極であることが好ましい。
【0042】電極21を交流電源51に接続し、電極2
2をアースする。表面改質補助剤を担持する非導電性多
孔質体11は、両電極21,22の上流に設けた移送手
段(例えば、一対の送出ローラー:図示せず)によっ
て、電極21及び電極22の表面上にそれぞれ担持され
た誘電体層41及び誘電体層42の間に、矢印Aで示す
方向に所定速度で連続的に供給され、それらと接触しな
がら両誘電体層41,42の間を通過する。両誘電体層
41,42の間を通過した非導電性多孔質体11は、両
電極21,22の下流に設けた移送手段(例えば、一対
の送出ローラー:図示せず)によって、所定速度で連続
的に移送される。非導電性多孔質体11を移送する駆動
力を供給する駆動手段(例えば、モータ)は、前記の送
出ローラー及び/又は回転自在な電極に連結することが
できる。
【0043】非導電性多孔質体11の前記供給速度及び
前記移送速度は、特に制限されず、一定速度、又は周期
的若しくは不規則に変化する速度であることができる。
これらの速度は、一定速度であって、非導電性多孔質体
の表面処理時間が0.1秒以上になるような速度である
ことが好ましい。この速度より速いと十分な総表面処理
効果が得られないことがあるからである。
【0044】表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質
体11が、両誘電体層41,42の間をそれらと接触し
ながら通過する際に、交流電源51から交流高電圧を印
加すると、誘電体層41及び誘電体層42のそれぞれと
非導電性多孔質体11との接触面の間に挟まれた非導電
性多孔質体11の内部空隙に放電が発生し、プラズマが
生成する。非導電性多孔質体11の内部空隙に発生した
プラズマの作用により、非導電性多孔質体11の内側表
面と表面改質補助剤とが反応し、非導電性多孔質体11
の内側表面の改質、すなわち、所望の官能基の導入が行
なわれる。このとき、誘電体層41及び誘電体層42の
それぞれと非導電性多孔質体11との接触面には、非導
電性多孔質体11の内部空隙で発生したプラズマは作用
しない。しかし、非導電性多孔質体11は所定速度で連
続的に移送されているので、前記接触面であった非導電
性多孔質体11の外側表面は、誘電体層41及び誘電体
層42から次々と分離し、分離した直後にその近傍の内
部空隙に発生したプラズマの作用により、非導電性多孔
質体11の外側表面の改質が行われる。
【0045】非導電性多孔質体11は所定速度で連続的
に移送されているので、未処理の非導電性多孔質体11
が両誘電体層41,42の間に連続的に供給される一
方、総表面の改質が行なわれた非導電性多孔質体11が
両誘電体層41,42の間から連続的に供出され、非導
電性多孔質体11の総表面処理を連続的に行なうことが
できる。
【0046】図2に示す態様においても、交流電源によ
り放電を発生させるために印加する交流電圧は、特に限
定されるものではないが、図1に示す態様で説明したの
と同様の理由により、前記の交流電圧及び周波数と同様
の範囲であることが好ましい。また、図2に示す態様
は、電極21に交流電源51を接続し、電極22をアー
スするものであるが、逆に、電極22に交流電源51を
接続し、電極21をアースしてもよい。図2に示す態様
においても、親水性を付与するか、あるいは親水性を向
上させる場合には、一般的に開放系(空気中)で実施す
るが、疎水性を付与するか、あるいは、疎水性を向上さ
せる場合には、非導電性多孔質体及びその近傍を特定の
ガス(例えば、ヘリウム又はアルゴンのような不活性ガ
ス)で充満させ、空気との接触が起きないようにし、目
的外の反応が生じないようにすることが好ましい。
【0047】図2に示す態様では、その表面に誘電体層
41を担持する円柱状の電極21を1個だけ設けるもの
であるが、電極21の数は特に限定されるものではな
く、1個又は複数個設けることができる。非導電性多孔
質体の外側表面上の任意の一点が、電極の表面に担持さ
れる誘電体層と複数回接触することができるように、誘
電体層を担持する電極を複数個設けることが、処理効果
を高め、処理速度を上げることができる点で好ましい。
【0048】その表面に誘電体層を担持する直径が小さ
な円柱状の電極5個を、直径が大きな円柱状の電極表面
に担持される誘電体層の表面に沿って所定の間隔を設け
て平行に配置した、本発明方法における放電処理工程の
更に別の態様を図3に示す。5個の円柱状の電極21
(非導電性多孔質体の流れ方向の上流側から21a,2
1b,21c,21d,及び21eと称することがあ
る)を、それらの電極よりも直径が大きな円柱状の電極
22の表面に担持する誘電体層42の表面に沿って所定
の間隔を設けて平行に配置し、5個の電極21a〜21
eと電極22とが対向するように配置する。5個の電極
21a〜21eは、それぞれ誘電体層41a〜41e
(以下、併せて誘電体層41と称することがある)で覆
われている。
【0049】電極21及び電極22は、その円柱中心軸
を回転軸としてそれ自体が回転することができるもので
あっても、回転せずに固定されているものであってもよ
く、非導電性多孔質体11と電極21及び電極22とが
相対的に移動する際に、非導電性多孔質体の表面に傷を
つけにくくなる点で、その円柱中心軸を回転軸としてそ
れ自体が回転することができる電極であることが好まし
い。
【0050】5個の電極21a〜21eを1個の共通の
交流電源51に接続し、電極22をアースする。なお、
電極21a〜21eが同一の交流電源と接続されている
場合には、或る電極と、それに隣接する電極とが接触す
るように、各電極を配置することができる。図3に示す
態様は、5個の電極21a〜21eを1個の共通の交流
電源51に接続し、5個の電極21a〜21eのすべて
に同一の交流高電圧を印加するものであるが、異なる電
極を異なる交流電源に接続することによって、異なる交
流高電圧を電極に印加してもよい。ただし、異なる電極
を異なる交流電源に接続する場合には、電極同士が接触
しないように十分離して配置する必要がある。
【0051】表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質
体11は、電極21及び電極22の上流に設けた移送手
段(例えば、一対の送出ローラー81a,81b)によ
って、電極21及び電極22の表面上にそれぞれ担持さ
れた誘電体層41及び誘電体層42の間に、矢印Aで示
す方向に所定速度で連続的に供給され、一方の表面を電
極22の表面に担持される誘電体層42と連続的に接触
し、同時にそれとは反対の表面を5個の誘電体層41
a,41b,41c,41d,41eと順次接触しなが
ら、誘電体層41eと誘電体層42との間を通過する。
誘電体層41と誘電体層42との間を通過した非導電性
多孔質体11は、電極21及び電極22の下流に設けた
移送手段(例えば、一対の送出ローラー82a,82
b)によって、所定速度で連続的に移送される。非導電
性多孔質体11を移送する駆動力を供給する駆動手段
(例えば、モータ)は、前記の送出ローラー及び/又は
回転自在な電極に連結することができる。
【0052】非導電性多孔質体11の前記供給速度及び
前記移送速度は、特に制限されず、一定速度、又は周期
的若しくは不規則に変化する速度であることができる。
図3に示す態様では、一定速度であって、非導電性多孔
質体の表面処理時間の合計が0.1秒以上になるような
速度であることが好ましい。この速度より速いと十分な
総表面処理効果が得られないからである。
【0053】図3に示す態様においても、表面改質補助
剤を担持する非導電性多孔質体11が、誘電体層41と
誘電体層42との間をそれらと接触しながら通過する際
に、交流電源51から交流高電圧を印加すると、誘電体
層41及び誘電体層42のそれぞれと非導電性多孔質体
11との接触面の間に挟まれた非導電性多孔質体11の
内部空隙に放電が発生し、プラズマが生成する。図2に
示す態様で説明したように、非導電性多孔質体11の内
部の空隙に発生したプラズマの作用により、非導電性多
孔質体11の内側表面及び外側表面の改質が行なわれ
る。
【0054】図3に示す態様では、非導電性多孔質体1
1の外側表面上の任意の一点が、電極の表面に担持する
誘電体層と複数回接触することができるように、5個の
電極21a〜21eを設けている。5個の電極21a〜
21eは、それぞれ、その表面を誘電体層41a〜41
eで覆われている。従って、電極21aの表面に担持さ
れる誘電体層41aと、誘電体層42とにより総表面の
改質が行なわれた非導電性多孔質体11は、矢印Aで示
す方向に移送され、電極21bの表面に担持される誘電
体層41bと、誘電体層42との間に供給され、再び誘
電体層41bと誘電体層42とにより総表面の改質が行
なわれ、以下、誘電体層41c,誘電体層41d,及び
誘電体層41eと順次供給されて、総表面の改質が行な
われ、誘電体層41eと誘電体層42との間から供出さ
れる。
【0055】非導電性多孔質体11は所定速度で連続的
に移送されているので、未処理の非導電性多孔質体11
が誘電体層41aと誘電体層42との間に連続的に供給
される一方、表面の改質が行なわれた非導電性多孔質体
11が誘電体層41eと誘電体層42との間から連続的
に供出され、非導電性多孔質体11の総表面処理を連続
的に行なうことができる。
【0056】図3に示す態様も、図2に示す態様と同様
に、開放系又は閉鎖系で実施することができる。親水性
を付与するか、あるいは親水性を向上させる場合には、
一般的に開放系(空気中)で実施するが、疎水性を付与
するか、あるいは、疎水性を向上させる場合には、非導
電性多孔質体及びその近傍を特定のガス(例えば、ヘリ
ウム又はアルゴンのような不活性ガス)で充満させ、空
気との接触が起きないようにし、目的外の反応が生じな
いようにすることが好ましい。
【0057】図3に示す5組の電極21a〜21e及び
誘電体層41a〜41eの代わりに、電極層と誘電体層
とのベルト状積層体、例えばベルト状のアルミニウム蒸
着フィルムを用いる本発明方法のおける放電処理工程の
更に別の態様を図4に示す。4個の固定ローラー91
a,91b,91c,91dを軸方向が相互に平行にな
るように、かつ4個の固定ローラーが、軸方向から見
て、長方形の各頂点の位置にくるように配置する。固定
ローラー91aは、誘電体層42に近接して設け、固定
ローラー91bは、固定ローラー91aの下流で、しか
も誘電体層42に近接して設ける。2個の固定ローラー
91c,91dは、誘電体層42から離して配置する。
【0058】ポリエステル製誘電体フィルム層43の一
方の表面にアルミニウムを蒸着させることによってアル
ミニウム層23を形成させた、エンドレスベルト状のア
ルミニウム蒸着フィルム31を、4個の固定ローラー9
1a,91b,91c,91dの外側を通過するように
配置する。この際、アルミニウム蒸着フィルム31のア
ルミニウム層23を内側に(すなわち、4個の固定ロー
ラー91a,91b,91c,91dと接触することが
できるように)、かつポリエステル製誘電体フィルム層
43が外側になるように(すなわち、固定ローラー91
aと固定ローラー91bとの間を通過するアルミニウム
蒸着フィルム31のポリエステル製誘電体フィルム層4
3と、円柱状の電極22の表面に担持される誘電体層4
2とが対向するように)配置する。
【0059】一方、その表面に誘電体層42を担持する
電極22は、固定ローラー91aから固定ローラー91
bまでの間の全領域で、エンドレスベルト状アルミニウ
ム蒸着フィルム31と誘電体層42とが連続的に面接触
するように配置する。なお、本態様においては、必ずし
も固定ローラー91aから固定ローラー91bまでの間
の全領域で面接触する必要はなく、エンドレスベルト状
アルミニウム蒸着フィルム31と電極22との距離を調
整することによって、固定ローラー91aから固定ロー
ラー91bまでの間の少なくとも一部の領域と誘電体層
42とが接触していればよい。
【0060】電極22は、その円柱中心軸を回転軸とし
てそれ自体が回転することができる。また、4個の固定
ローラー91a,91b,91c,91dも、その円柱
中心軸を回転軸としてそれ自体が回転することができる
ので、その外側に配置したアルミニウム蒸着フィルム3
1は一方向(例えば、矢印Bで示す方向)に移行するこ
とができる。アルミニウム蒸着フィルム31のアルミニ
ウム層23を交流電源51に接続し、電極22をアース
する。図4に示す態様は、アルミニウム層23に交流電
源51を接続し、電極22をアースするものであるが、
逆に、電極22に交流電源51を接続し、アルミニウム
蒸着フィルム31をアースしてもよい。
【0061】表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質
体11は、固定ローラー91a及び電極22の上流に設
けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー81a,8
1b)によって、電極22の表面上に担持された誘電体
層42と固定ローラー91aとの間に、矢印Aで示す方
向に所定速度で連続的に供給され、一方の表面を電極2
2に担持される誘電体層42と連続的に接触し、同時に
それとは反対の表面をポリエステル製誘電体フィルム層
43と連続的に接触しながら、誘電体層42と固定ロー
ラー91bとの間を通過する。誘電体層42と固定ロー
ラー91bとの間を通過した非導電性多孔質体11は、
固定ローラー91b及び電極22の下流に設けた移送手
段(例えば、一対の送出ローラー82a,82b)によ
って、所定速度で連続的に移送される。非導電性多孔質
体11を移送する駆動力を供給する駆動手段(例えば、
モータ)は、前記の固定ローラー、送出ローラー及び/
又は回転自在な電極に連結することができる。
【0062】図4に示す態様においても、図3に示す態
様と同様にして非導電性多孔質体11の総表面処理を連
続的に行なうことができる。図4に示す態様は、図3に
示す態様よりも更に放電面積が大きいので、処理効果を
高め、処理速度を上げることができる。また、図4に示
す態様においても、図3に示す態様と同様に、開放系又
は閉鎖系で実施することができる。なお、図4に示す態
様で用いることのできる電極層と誘電体層とのベルト状
積層体としては、ベルト状アルミニウム蒸着フィルムの
他に、前記ベルト状積層体の電極としては、例えば、金
属箔、金属シート、又は導電性物質を含む導電性樹脂シ
ートなどを挙げることができ、前記ベルト状積層体の誘
電体としては、例えば、樹脂フィルム、樹脂シート、又
はゴムシートなどを挙げることができ、それらを適宜積
層して使用することができる。また、当然、アルミニウ
ム以外の金属蒸着フィルムを用いることもできる。
【0063】1組の電極及び誘電体層として、平板状の
電極22及び誘電性搬送体44aを用いる本発明方法に
おける放電処理工程の更に別の態様を図5に示す。所定
の間隔を隔てて配置される一対の搬送体駆動ローラー9
2a,92bにより、一定方向(矢印Aで示す方向)に
非導電性多孔質体11を搬送することができる誘電体か
らなる誘電性搬送体44aと、その誘電性搬送体44a
の表面に沿って所定の間隔を設けて平行に配置する5個
の円柱状の電極21(非導電性多孔質体11の流れ方向
の上流側から21a,21b,21c,21d,及び2
1eと称することがある)とを、対向するように配置す
る。5個の電極21a〜21eは、それぞれ、誘電体層
41a〜41e(以下、併せて誘電体層41と称するこ
とがある)で覆われている。
【0064】電極21は、その円柱中心軸を回転軸とし
てそれ自体が回転することができるものであっても、回
転せずに固定されているものであってもよく、非導電性
多孔質体と電極とが相対的に移動する際に、非導電性多
孔質体の表面に傷をつけにくくなる点で、その円柱中心
軸を回転軸としてそれ自体が回転することができる電極
であることが好ましい。誘電性搬送体44aに対して、
電極21の反対側に電極21と対向するように平板状電
極などからなる電極22を配置する。
【0065】5個の電極21a〜21eを1個の共通の
交流電源51に接続し、電極22をアースする。図5に
示す態様は、5個の電極21a〜21eを1個の共通の
交流電源51に接続し、5個の電極21a〜21eのす
べてに同一の交流高電圧を印加するものであるが、異な
る電極を異なる交流電源に接続することによって、異な
る交流高電圧を各電極に印加することもできる。また、
図5に示す態様は、5個の電極21a〜21eに共通の
交流電源51を接続し、電極22をアースするものであ
るが、逆に、電極22に交流電源を接続し、5個の電極
21a〜21eをアースしてもよい。
【0066】表面改質補助剤を担持する非導電性多孔質
体11は、電極21及び電極22の上流に設けた移送手
段(例えば、一対の送出ローラー81a,81b)によ
って誘電性搬送体44a上に移送され、その誘電性搬送
体44aにより電極21aと電極22との間に矢印Aで
示す方向に所定速度で連続的に供給され、一方の表面を
誘電性搬送体44aと常時接触し、同時にそれとは反対
の表面を5個の誘電体41a,41b,41c,41
d,41eと順次接触しながら、電極21eと電極22
との間を通過する。電極21eと電極22との間を通過
した非導電性多孔質体11は、誘電性搬送体44a上を
移送され、電極21及び電極22の下流に設けた移送手
段(例えば、一対の送出ローラー82a,82b)によ
って、所定速度で連続的に移送される。非導電性多孔質
体11を移送する駆動力を供給する駆動手段(例えば、
モータ)は、前記の搬送体駆動ローラー、送出ローラ
ー、及び/又は回転自在な電極に連結することができ
る。
【0067】図5に示す態様においても、図3に示す態
様と同様にして非導電性多孔質体11の総表面処理を連
続的に行なうことができる。この態様では、誘電性搬送
体を使用することによって、通常の平板状電極を誘起電
極として用いることができる。図5に示す態様は、図3
に示す態様と同様に、開放系又は閉鎖系で実施すること
ができる。図5に示す態様では、電極と誘電体層との組
合せとして、平板状の電極22と誘電性搬送体44aと
の組合せ、5組の電極21a〜21eと誘電体層41a
〜41eとの組合せを用いているが、そのいずれか一
方、又は両方に代えて、図4に示す電極層と誘電体層と
のベルト状積層体を使用することができる。
【0068】図5に示す平板状の電極22及び誘電性搬
送体44aの組合せに代えて、電極層と誘電体層とのベ
ルト状積層体を使用する態様を図6に示す。図6に示す
態様では、ポリエステル製誘電体フィルム層44、アル
ミニウム層23、及び搬送体43からなる三層積層体を
用いる。前記三層積層体は、アルミニウム層23及びポ
リエステル製誘電体フィルム層44からなるアルミニウ
ム蒸着フィルムと、搬送体43とを積層することにより
調製することができる。このポリエステル製誘電体フィ
ルム層44を、一方の面でアルミニウム層23と接触さ
せ、同時に、非導電性多孔質体11と接触させる。この
態様では、アルミニウム層23とポリエステル製誘電体
フィルム層44とからなる二層積層体を用いることもで
きるが、搬送体43が、電極層としてのアルミニウム層
23の耐久性を向上させることができる。
【0069】誘電体層として、誘電体層の非導電性多孔
質体への対向表面全体が多孔質誘電体層からなる誘電体
層、すなわち、非導電性多孔質体への対向表面側の多孔
質誘電体層と、電極側の非多孔質誘電体層とからなる誘
電体層を用いた本発明方法における放電処理工程の別の
態様を図7に示す。図7に示すように、平板状電極など
からなる一対の電極21,22を対向するように配置す
る。第1電極である電極21は、その対向表面側に誘電
体層45を担持し、誘電体層45は、電極21の側の非
多孔質誘電体層46と、対向表面側の多孔質誘電体層4
7とからなる。第2電極である電極22は、その対向表
面側に非多孔質誘電体層42を担持する。
【0070】両電極21,22のいずれとも接触しない
が、多孔質誘電体層47及び非多孔質誘電体層42のそ
れぞれと外側表面が直接接触するように、多孔質誘電体
層47と非多孔質誘電体層42との間に、表面改質補助
剤を担持する非導電性多孔質体11を配置する。この際
に、電極21と電極22とを、適当な圧力で押圧するこ
とにより、多孔質誘電体層47と非導電性多孔質体11
との間、及び非導電性多孔質体11と非多孔質誘電体層
42との間に、実質的に空間(隙間)が形成されないよ
うに面接触させる。誘電体層と非導電性多孔質体との間
に空間が形成されると、放電が均一に発生しなくなり、
非導電性多孔質体に穴があくことがある。一方の電極、
例えば、電極21を交流電源51に接続し、他方の電
極、例えば、電極22をアースする。電極22に交流電
源51を接続し、他方の電極21をアースしてもよい。
【0071】交流電源51から交流高電圧を印加する
と、被処理体である非導電性多孔質体11の内部空隙だ
けでなく、多孔質誘電体層47の内部空隙でも放電が起
こり、プラズマが生成される。非導電性多孔質体11の
内部空隙で発生したプラズマが、非導電性多孔質体の内
側表面及び外側表面に作用すると同時に、多孔質誘電体
層47の内部空隙で発生したプラズマも、非導電性多孔
質体の内側表面及び外側表面に作用し、非導電性多孔質
体11の総表面の改質が行なわれる。なお、このときに
は、非導電性多孔質体11の外側表面の内、多孔質誘電
体層47と接している箇所は、理論的には、多孔質誘電
体層47の内部空隙で発生したプラズマによって、改質
されない。しかし、実際には、接触点は外側表面の面積
と比べて非常に小さい面積であるため、実質的にはすべ
ての外側表面が処理されているものと言うことができ
る。
【0072】本発明方法における放電処理工程において
は、誘電体層の両方を、その対向表面側表面の少なくと
も一部に多孔質誘電体部分を含む誘電体層に代えること
ができる。また、図2〜図6に示す態様においても、誘
電体層の一方又は両方を、その対向表面側表面の少なく
とも一部に多孔質誘電体部分を含む誘電体層に代えるこ
とができる。
【0073】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。実施例1:ポリエチレングリコール水溶液を用いた総表
面処理 被処理体としては、ポリプロピレン/ポリエチレン分割
繊維を湿式抄造した後、水流絡合処理により分割繊維を
分割させると共に、絡合させた不織布(幅=180m
m,長さ=350mm,厚さ=0.3mm,空隙率=8
0%,平均孔径=9μm,通気度=15.3ml/cm
2 ・秒)を用いた。放電処理は、図1に示す装置と同様
の装置を用いて実施した。すなわち、平板状ステンレス
スチール製電極21,22(幅=150mm,長さ=3
00mm)上に、テフロンシートからなる誘電体層4
1,42(幅180mm,長さ=350mm,厚さ=
0.1mm)を担持させた。前記誘電体層41,42の
間に、前記不織布を挟み、電極21,22にインパルス
電源51から800Wの交流(周波数=12.5KH
z,電圧=3KVp,電流=130mA)を1分間印加
することにより、大気中で放電処理(以下、予備的放電
処理と称することがある)を実施した。得られた不織布
を、8%ポリエチレングリコール(分子量=1000)
水溶液中に浸漬した。水溶液中から不織布を引き上げ、
不織布の処理前の重量に対して3倍量のポリエチレング
リコール水溶液が付着するように、適当な力で不織布を
絞った後、60℃で乾燥させた。前記予備的放電処理と
同じ条件で、再び放電処理を実施した後、不織布の洗浄
処理(60℃の温水により30分間洗浄)を2回繰り返
し、得られた不織布の重量を測定したところ、重量が6
%増加した。
【0074】実施例2:ポリエチレングリコールのエタ
ノール溶液を用いた総表面処理 予備的放電処理を実施しないこと、及び8%ポリエチレ
ングリコール水溶液の代わりに8%ポリエチレングリコ
ールのエタノール溶液を使用すること以外は、前記実施
例1と同様の操作を繰り返した。
【0075】実施例3:ポリプロピレングリコール水溶
液を用いた総表面処理 8%ポリエチレングリコール水溶液の代わりに8%ポリ
プロピレングリコール(分子量=400)水溶液を使用
すること以外は、前記実施例1と同様の操作を繰り返し
た。
【0076】実施例4:熱水処理に対する耐久性評価 前記実施例1〜3で得られた不織布、すなわち、本発明
方法により処理した不織布、及び総表面処理を実施して
いない不織布(コントロール)を、100℃の熱水中に
1時間浸漬した後に、幅2.5cmに裁断し、この裁断
した長尺状サンプルの一方の端部(一端から1cm)を
水中に1分間浸漬した後の吸水高さを測定した。熱水処
理を実施した後の結果を、熱水処理を実施する前の結果
と併せて、表1に示す。本発明方法により得られた不織
布は、熱水中に浸漬する熱処理によってもその親水性の
効果が保持されていた。
【0077】
【表1】 不織布 熱水処理後 熱水処理前 実施例1で得られた不織布 5.3cm 5.0cm 実施例2で得られた不織布 4.8cm 4.8cm 実施例3で得られた不織布 5.9cm 5.8cm コントロール不織布 0 cm 0 cm
【0078】実施例5:乾熱処理に対する耐久性評価 前記実施例1〜3で得られた不織布を、100℃で1時
間乾熱処理した後に、幅2.5cmに裁断し、この裁断
した長尺状サンプルの一方の端部(一端から1cm)を
水中に1分間浸漬した後の吸水高さを測定した。乾熱処
理を実施した後の結果を、乾熱処理を実施する前の結果
と併せて、表2に示す。本発明方法により得られた不織
布は、乾熱処理によってもその親水性の効果が保持され
ていた。
【0079】
【表2】 不織布 熱水処理後 熱水処理前 実施例1で得られた不織布 5.1cm 5.0cm 実施例2で得られた不織布 4.4cm 4.8cm 実施例3で得られた不織布 5.8cm 5.8cm コントロール不織布 0 cm 0 cm
【0080】実施例6:電池寿命の評価 アルカリ電池用セパレータとして、前記実施例1で得ら
れた不織布シートを、正極として水酸化ニッケルを発泡
ニッケル支持体に充填したものを、負極として水素吸蔵
合金(メッシュメタルMmNi5 型)を発泡ニッケル支
持体に充填したものを、そして、電解液として7.2N
水酸化カリウム/1.0N水酸化リチウム水溶液5gを
それぞれ使用して、円筒型ペースト・ペースト式密閉ニ
ッケル水素電池(電池容量=1750mAh)を作製し
た。セパレータとして用いた前記実施例1で得られた不
織布は、電解液吸収性が良好で、電池作製における作業
性に優れていた。20℃恒温漕中で、前記の電池を、5
90mAhで4時間充電し(0.3C,理論容量に対し
て120%)、終止電圧1Vになるまで590mAhで
放電することからなる充放電操作を1サイクルとして、
電池活性用充放電を5サイクル実施した。電池活性用充
放電を5サイクル実施した電池を用いて、20℃恒温漕
中で、1750mAhで1.5時間充電し(1.0C,
理論容量に対して150%)、終止電圧0.8Vになる
まで1750mAhで放電することからなる充放電操作
を1サイクルとする寿命試験を実施した。
【0081】各サイクル終了後の電池放電容量を図8
に、各サイクルにおける充電平均電圧を図9にそれぞれ
示す。図8から明らかなように、充放電操作を450サ
イクル実施しても、放電容量の低下が見られなかった。
また、図9から明らかなように、充電電圧の上昇が少な
かったので、内部抵抗の上昇が少ない(すなわち、セパ
レータの液枯れが少ない)ものと考えられる。本発明方
法で処理した不織布をセパレータとして用いることによ
り、サイクル寿命の長い電池を作製することができる。
【0082】
【発明の効果】本発明方法によれば、非導電性多孔質体
の総表面に、耐久性に優れた表面改質を施すことができ
る。また、本発明方法によれば、大気圧で総表面処理を
実施することができ、スパーク放電等による被処理体の
損傷、又は処理むらなどが起こりにくく、連続的に被処
理体の総表面処理を行なうことが可能である。更にま
た、本発明方法によれば、非導電性多孔質体は、一対の
電極に挟まれた部分の総表面のみが実質的に処理される
ので、電極の一方を平板状電極とし、電極のもう一方を
所望の形状の電極、例えば、網状電極又は線状電極とす
ることにより、所望の形状と同じパターンに、被処理体
の表面を選択的に処理することができる。本発明は、非
導電性の有機材料からなる繊維質型多孔質体の処理に適
用することができ、特にはアルカリ電池用セパレータ、
貼布材用基布、又は加湿用基材として使用することので
きる不織布シートの処理に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法における放電処理工程の基本的原理
を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明方法における放電処理工程の一態様を模
式的に示す斜視図である。
【図3】本発明方法における放電処理工程の別の一態様
を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明方法における放電処理工程の更に別の一
態様を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明方法における放電処理工程の更に別の一
態様を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明方法における放電処理工程の更に別の一
態様を模式的に示す断面図である。
【図7】本発明方法における放電処理工程の更に別の一
態様を模式的に示す断面図である。
【図8】本発明方法により製造したアルカリ電池用セパ
レータを用いたニッケル水素電池の寿命試験における電
池放電容量のサイクル変化を示すグラフである。
【図9】本発明方法により製造したアルカリ電池用セパ
レータを用いたニッケル水素電池の寿命試験における充
電平均電圧のサイクル変化を示すグラフである。
【図10】本発明方法において使用することのできるパ
ルス波の形状を示す説明図である。
【符号の説明】
11・・非導電性多孔質体;21,22・・電極;23
・・アルミニウム層;31・・アルミニウム蒸着フィル
ム;41,42・・非多孔質誘電体層;43・・搬送
体;44・・ポリエステル製誘電体フィルム層;44a
・・誘電性搬送体;45・・誘電体層;46・・非多孔
質誘電体層;47・・多孔質誘電体層;51・・交流電
源;81a,81b,82a,82b・・送出ローラ
ー;91a,91b,91c,91d・・固定ローラ
ー;92a,92b・・ローラー。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれの対向表面側に誘電体層を設け
    て対向して配置した一対の電極の間に、表面改質補助剤
    を被処理面上に担持した非導電性多孔質体を、前記の一
    対の電極とはそれぞれ直接に接触しないが前記誘導体層
    のそれぞれと外側表面が直接に接触するように配置し、
    周波数が0.1KHz〜100KHzである低周波交流
    電圧を前記両電極間に印加して、両電極間に挟まれた前
    記非導電性多孔質体の内部空隙で放電を発生させること
    を特徴とする、非導電性多孔質体の総表面の処理方法。
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