JP3699832B2 - 多孔質体の放電処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多孔質体の放電処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンなど)などの疎水性樹脂からなる多孔質体は親水性が低いため、その使用用途が限定されるという問題があった。この問題を解決する1つの方法として、特開平8−337675号公報は、電圧印加電極と接地電極との間に多孔質体を介在させた状態でチャンバー内に配設するとともに、このチャンバー内に反応ガスを導入し、前記電圧印加電極に高周波/高電圧を印加するとともに、前記チャンバー内を大気圧以上とすることによりプラズマを発生させる、多孔質体の処理方法を開示している。
【0003】
この方法においては高周波/高電圧を印加しており、誘電加熱により多孔質体が熱的な損傷を受けやすいため、高周波を印加するにしても、比較的電圧を低くする必要がある。しかしながら、この場合にはプラズマが発生しにくく、処理効率が著しく低下するという問題が発生する。また、前記公報においては、前記のような熱的な影響を抑えるためか、実際にはヘリウムなどの不活性ガスを使用しているが、このように不活性ガスを使用すると、反応性ガスの比率が相対的に低くなり、反応効率が低下するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、多孔質体を効率的に放電処理することのできる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の多孔質体の放電処理方法は、対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に多孔質体を配置し、前記多孔質体を含む処理空間の電界強度が200KV/cm以上、かつ1.2気圧以上の雰囲気下において放電を発生させて、前記多孔質体を放電処理する方法である。このように、多孔質体を含む処理空間の電界強度が200KV/cm以上であること、及び1.2気圧以上の雰囲気下において放電を発生させると、効率的に放電処理できることを見い出したのである。本発明においては、特に不活性ガスを使用する必要がないため、反応効率がより優れている。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明で放電処理できる多孔質体としては、例えば、繊維シート(例えば、織物、編物、不織布、これらの複合体など)、多孔フィルム(例えば、穴開きフィルムなど)、発泡体、或いはこれらの複合体などがある。なお、多孔質体は無機材料から構成されていても、有機材料から構成されていても、或いは両方の材料から構成されていても良い。特に本発明の放電処理方法によれば、平均孔径が5μm以下の多孔質体であっても、効率的に放電処理することができる。なお、この平均孔径は水銀圧入式のポロシメーターにより測定された値をいう。
【0007】
なお、多孔質体の比誘電率は、後述の多孔質体を含む処理空間の電界強度との関係から、1〜40のもの(特に1〜2のもの)を効率的に放電処理することができる。また、同様に多孔質体を含む処理空間の電界強度との関係から、多孔質体の厚さが1μm〜1cm程度のものを効率的に放電処理することができる。なお、多孔質体の厚さが1cm程度以上であっても、圧力を加える(例えば、電極(電極が誘電体を担持している場合には誘電体)により加圧)ことによって、1cm程度以下の厚さとすることのできる多孔質体であれば、本発明方法によって放電処理することができる。
【0008】
本発明における、多孔質体や誘電体などの比誘電率は、通常の静電容量測定方法(例えば、三端子コンデンサー法など)により測定することができる。この比誘電率を測定する際の周波数は放電処理時と同じ周波数で測定し、パルス波を印加する場合には、パルス波の立ち上がり部分の周波数成分に相当する周波数で測定する。
【0009】
このような多孔質体は、まず、対向するように配置した一対の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)の間に配置される。なお、これら一対の電極のうち、少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持しているため、安定して放電処理することができる。また、両方の電極が対向表面に誘電体を担持していると、より均一な放電処理をすることができる。
【0010】
この誘電体を構成する材料としては、例えば、ガラス(例えば、石英ガラスなど)、セラミック(例えば、アルミナ、ジルコニア、チタニア、チタン酸ストロンチウムなど)、ゴム(例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴムなどの合成ゴム、天然ゴムなど)、熱可塑性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステルなど)、或いは熱硬化性樹脂(例えば、ポリイミドなど)などを使用することができる。これらの誘電体は目的によって適宜選択することができ、多孔質体との密着性を重視する場合にはゴム又は熱可塑性樹脂を使用し、絶縁強さや耐コロナ性を重視する場合にはガラスやセラミックを使用するのが好ましい。なお、誘電体の厚さは誘電体の絶縁強さや比誘電率などによって影響を受けるため特に限定するものではないが、後述の多孔質体を含む処理空間の電界強度との関係から、0.5mm〜200mm程度であるのが好ましい。また、誘電体の比誘電率も後述の多孔質体を含む処理空間の電界強度との関係から、3〜2,000程度であるのが好ましい。
【0011】
本発明の放電処理方法においては、多孔質体をどのように配置しても良い。例えば、両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触しないように配置したり、いずれか一方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置したり、或いは両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置することができる。なお、多孔質体を両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触するように配置すると、多孔質体の内部で放電を発生させることができ、多孔質体の内部を放電処理できるため好適である。また、多孔質体を少なくとも一方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触しないように配置する場合には、比較的低電圧で放電処理できるように、多孔質体表面と電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)との距離が、多孔質体の平均孔径の300倍以内程度、より好ましくは200倍以内程度であり、具体的には、2mm程度以下であるのが好ましい。なお、多孔質体が両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触しないように配置する場合、両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)との距離の和が上記範囲にあるのが好ましい。
【0012】
次いで、多孔質体を含む処理空間の電界強度が200KV/cm以上となるように、前記一対の電極間に電圧を印加して、多孔質体の放電処理を実施する。200KV/cm未満では放電が均一に発生しにくく、十分に放電処理できない傾向があるためである。なお、圧力や多孔質体の平均孔径などの影響を受けるため限定することはできないが、一般的に300KV/cm以上となるように印加するのが好ましい。
【0013】
この多孔質体を含む処理空間の電界強度(Ep)は、次の式から算出することができる。この「多孔質体を含む処理空間」は電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)によって形成される空間であり、例えば、多孔質体のみからなる場合、多孔質体と気体からなる場合などがある。
Ep=V×ε/(d×εp+dp×ε)
V:印加電圧(KV)
ε:誘電体の比誘電率(2種類以上の誘電体を使用した場合には、それら誘電体を積層して測定した値)
d:誘電体のトータル厚さ(両方の電極が誘電体を担持している場合には、各々の誘電体の厚さの和、cm)
εp:多孔質体を含む処理空間の比誘電率(気体を含む場合には、その全体の比誘電率)
dp:多孔質体を含む処理空間の厚さ(つまり電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)の間の距離、cm)
【0014】
本発明の放電処理方法において、印加電圧は0.6KVp以上であるのが好ましく、1KVp以上であるのがより好ましい。なお、単位「KVp」は交流電圧の最大値ピークから0までの電圧差を示す。他方、交流電圧の上限は多孔質体の損傷が生じない電圧であれば良く、特に限定されるものではないが、200KVp程度が適当である。
【0015】
また、前記交流電圧の周波数は10Hz〜100KHzであるのが好ましい。周波数が10Hz未満であると、放電処理効率が低下する傾向があり、100KHzを越えると、誘電加熱により多孔質体が破壊される恐れがあるためで、好ましくは100Hz〜20KHz、より好ましくは500Hz〜10KHzである。
【0016】
なお、印加電圧の波形は、例えば、正弦波、三角波、矩形波、或いはパルス波などを挙げることができる。これらの中でもパルス波は発熱や火花放電を抑制でき、しかも均一に放電処理できるため好適である。そのため、インパルス電源やパルス電源を使用するのが好ましい。この好適であるパルス波の立ち上がり速度は速い程好ましく、具体的には10μsec以下であるのが好ましく、1μsec以下であるのがより好ましく、100nsec以下であるのが最も好ましい。このような立ち上がり速度の速いパルス波をえる方法として、例えば、ギャップスイッチを利用する方法、半導体スイッチを直並列する方法、トランスにより昇圧したパルス電圧を磁気圧縮する方法などがある。
【0017】
また、印加電圧の極性も特に限定されるものではなく、単極性電圧を使用することもできるし、両極性電圧を使用することもできるが、放電処理効率が高い点で両極性電圧であるのが好ましい。
【0018】
本発明においては、前記一対の電極間への印加を1.2気圧以上の雰囲気下において実施することによって、効率的に放電処理できることを見出したのである。好ましくは1.5気圧以上、より好ましくは2気圧以上の雰囲気下で実施する。他方、上限は特に限定するものではないが、100気圧以下程度が適当である。
【0019】
このような雰囲気とする手段としては、例えば、一対の電極を含む放電処理部を収納できるチャンバーを設置し、このチャンバー内に反応ガスを強制的に供給する方法、などがある。なお、圧力は一定であっても、連続的に又は不連続的に変化させても良いが、後者のように圧力を変化させると、多孔質体の孔径分布が広い場合であっても、多孔質体全体を放電処理できる。
【0020】
本発明においては、誘電加熱が生じにくく、不活性ガスを必要としないため、反応ガスの濃度が高い状態で放電処理を実施することができる。そのため、効率的に放電処理を実施することができる。なお、本発明で使用できる反応ガスは特に限定されるものではなく、その目的(例えば、疎水化、親水化など)によって適宜選択できる。親水化する場合、例えば、空気、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物ガス、硫黄酸化物ガスなどを単独で、又は混合して使用することができる。
【0021】
ここで、好適である多孔質体を両方の電極(誘電体を担持しているため実際には誘電体)と接触するように配置して放電処理を実施する状態を表す模式的断面図である図1をもとに説明する。なお、これ以外の態様、つまり多孔質体が両方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と接触しないように配置した場合や、多孔質体がいずれか一方の電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)とのみ接触するように配置した場合は、放電領域が多孔質体の内部以外に電極(電極が誘電体を担持している場合にはその誘電体)と多孔質体との間の空間が含まれること以外は全く同じである。
【0022】
図1の態様は、誘電体2aを担持した平板状電極1aと、誘電体2bを担持した平板状電極1bとが、対向するように配置されており、これら誘電体2a、2bにより多孔質体5が挟持されている。つまり、これら誘電体2a、2bと多孔質体5との間に実質的に空間が存在しないように、各誘電体2a、2bによって多孔質体5が挟まれている。これら各平板状電極1a、1bに担持された各誘電体2a、2bは各平板状電極1a、1bの対向表面よりも大きいため、平板状電極1a、1b間で生じやすいスパーク放電を防止することができる。また、これら平板状電極1a、1b間に電圧を印加できるように、一方の平板状電極1aは交流電源4に接続され、他方の平板状電極1bはアースされている。なお、図1とは逆に、一方の平板状電極1aがアースされ、他方の平板状電極1bが交流電源4に接続されていても良い。更に、放電処理時の雰囲気圧力が1.2気圧以上にできるように、一対の平板状電極1a、1bはチャンバー6内に収納されている。
【0023】
この各平板状電極1a、1bを構成する材料は、特に限定されるものではないが、比抵抗が103Ω・cm以下(好ましくは100Ω・cm以下)の導電体を用いることができ、例えば、金属(例えば、ステンレススチール、アルミニウム、タングステンなど)、導電性金属酸化物、カーボン、或いは金属粉末やカーボン粉末などの導電体とゴムとを複合した導電性ゴムなどを使用することができる。
【0024】
なお、各平板状電極1a、1bの対向表面が、周縁から側壁にかけて曲面となっていると、各平板状電極1a、1bの側壁と各誘電体2a、2bとの間で電界が集中しにくく、誘電体の損傷を抑えることができるので好適である。
【0025】
また、両平板状電極1a、1bによって挟まれた領域においてのみ放電処理が実施されるため、所望の領域のみに放電処理を実施することができる。例えば、一方の電極として格子状の電極を使用すれば、その電極の形状に対応した格子状の領域のみに放電処理を実施することができる。
【0026】
各誘電体2a、2bはスパーク放電などを生じることなく、安定して放電処理を実施できるように、各々の平板状電極1a、1bの対向表面全体を被覆している。また、両平板状電極1a、1b間でスパーク放電が生じないように、各誘電体2a、2bは各々の平板状電極1a、1bの対向表面よりも大きく、平板状電極1a、1bの対向表面からはみ出ている。
【0027】
図2の態様は、誘電体2a、2bを担持する電極として、5つの小さな円柱状電極1aと、1つの大きな円柱状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。このように円柱状電極を使用すると、多孔質体5を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0028】
図3の態様は、誘電体2a、2bを担持する電極として、ベルト状電極1aと、1つの円柱状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。この態様の場合も、多孔質体5を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0029】
図4の態様は、誘電体2a、2bを担持する電極として、5つの円柱状電極1aと、ベルト状電極1bとを使用したこと以外は、図1と全く同じである。この態様の場合も、多孔質体5を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0030】
図5の態様は、各平板状電極1a、1bの対向表面に誘電体(以下、「対向誘電体」という)が担持されているばかりでなく、各平板状電極1a、1bの側壁にも誘電体(以下、「側壁誘電体」という)が担持されていること以外は、図1と全く同じである。この態様の場合、側壁誘電体3a、3bを担持していることにより、各平板状電極1a、1bの側壁と各対向誘電体2a、2bとの間における放電を防止することができる。
【0031】
なお、この側壁誘電体3a、3bは対向誘電体2a、2bと同様の材料から構成することができる。また、対向誘電体2a、2bと側壁誘電体3a、3bとは同じ材料から構成されている必要はなく、異なる種類の材料から構成されていても良い。更に、対向誘電体2a、2bと側壁誘電体3a、3bとは分離した状態にあっても、一体化された状態にあっても良い。
【0032】
図6の態様は、各対向誘電体2a、2bとしてベルト状のものを使用していること以外は、図5と全く同じである。この態様の場合、各平板状電極1a、1bの側壁と各対向誘電体2a、2bとの間における放電を防止することができ、しかも多孔質体を損傷することなく、連続的に放電処理を実施することができる。
【0033】
以下に、本発明の多孔質体の放電処理方法について実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
図5に示すように、チャンバー6内に、誘電体2a、2bとして、アルミナ板(大きさ:70mm×220mm、厚さ:1mm、比誘電率:約8)をそれぞれ担持し、しかも側壁がシリコーンゴムで被覆された、ステンレススチール(大きさ:50mm×200mm)からなる平板状電極1a、1b(アルミナ板は平板状電極からはみ出ている)とが、対向するように配置し、これら誘電体2a、2bにより、ポリプロピレン繊維からなる不織布(平均孔径:5μm、比誘電率:約1.4、厚さ:0.02cm)を挟持した。
【0035】
次いで、このチャンバー内に空気を強制的に供給して内圧を1.3気圧(内圧は一定)とした状態で、平板状電極1a、1b間にパルス電圧(印加電圧:20KVp、周波数:100Hz、立ち上がり速度:約100nsec、両極性)を印加して、前記不織布の放電処理(不織布を含む処理空間の電界強度、つまり不織布の両面にかかる電界強度:364KV/cm)を3分間実施した。この放電処理した不織布を水に浮かべたところ、不織布全体において、内部まで水が浸入するのが確認できた。
【0036】
(比較例1)
平板状電極1a、1b間に印加したパルス電圧を10.5KVpとした(不織布を含む処理空間の電界強度、つまり不織布の両面にかかる電界強度:191KV/cm)こと以外は、実施例1と全く同様にして放電処理を実施した。この放電処理した不織布を水に浮かべたところ、不織布の一部にのみ水が浸入する不均一なものであった。
【0037】
(実施例2)
図5に示すように、チャンバー6内に、誘電体2a、2bとして、二酸化チタン板(大きさ:直径約10cm、厚さ:1cm(0.5cmのものを2枚積層)、比誘電率:約100)をそれぞれ担持し、しかも側壁がシリコーンゴムで被覆された、ステンレススチール(大きさ:直径約8cm)からなる平板状電極1a、1b(二酸化チタン板は平板状電極からはみ出ている)とが、対向するように配置し、これら誘電体2a、2bにより、ポリエチレン多孔膜(平均孔径:1.5μm、比誘電率:約1.5、厚さ:0.01cm)を挟持した。
【0038】
次いで、このチャンバー内に空気を強制的に供給して内圧を4.3気圧(内圧は一定)とした状態で、平板状電極1a、1b間にパルス電圧(印加電圧:45KVp、周波数:100Hz、立ち上がり速度:約150nsec、両極性)を印加して、前記多孔膜の放電処理(多孔膜を含む処理空間の電界強度、つまり多孔膜の両面にかかる電界強度:1,125KV/cm)を3分間実施した。この放電処理した多孔膜を水に浮かべたところ、多孔膜全体において、内部まで水が浸入するのが確認できた。
【0039】
(比較例2)
(1)チャンバー内の内圧を1気圧としたこと、及び(2)平板状電極1a、1b間に20KVpのパルス電圧を印加したこと以外は、実施例2と全く同様に放電処理を実施した。この放電処理した多孔膜は水に浮かべても内部まで水が浸入せず、ほとんど親水化されていなかった。
【0040】
(実施例3)
図5に示すように、チャンバー6内に、誘電体2a、2bとして、チタン酸ストロンチウム板(大きさ:直径約10cm、厚さ:2.5cm(0.5cmのものを5枚積層)、比誘電率:約1,500)をそれぞれ担持し、しかも側壁がシリコーンゴムで被覆された、ステンレススチール(大きさ:直径約8cm)からなる平板状電極1a、1b(チタン酸ストロンチウム板は平板状電極からはみ出ている)とが、対向するように配置し、これら誘電体2a、2bにより、ポリエチレン多孔膜(平均孔径:0.8μm、比誘電率:約1.5、厚さ:0.003cm)を挟持した。
【0041】
次いで、このチャンバー内に空気を強制的に供給して、内圧を1気圧から8.2気圧まで連続的に昇圧させながら、平板状電極1a、1b間にパルス電圧(印加電圧:20KVp、周波数:100Hz、立ち上がり速度:約200nsec、両極性)を印加して、前記多孔膜の放電処理(多孔膜を含む処理空間の電界強度、つまり多孔膜の両面にかかる電界強度:2,500KV/cm)を5分間実施した。この放電処理した多孔膜を水に浮かべたところ、多孔膜全体において、内部まで水が浸入するのが確認できた。
【0042】
(比較例3)
チャンバーの内圧を1気圧に維持したこと以外は、実施例3と全く同様にして放電処理を実施した。この放電処理した多孔膜は水に浮かべても内部まで水が浸入せず、ほとんど親水化されていなかった。
【0043】
【発明の効果】
本発明の放電処理方法は効率的に放電処理を実施することができる。本発明においては、特に不活性ガスを使用する必要がないため、より反応効率に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用できる一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図2】 本発明で使用できる別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図3】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図4】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図5】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【図6】 本発明で使用できる更に別の一対の電極の配置状態を表す模式的断面図
【符号の説明】
1a、1b 電極
2a、2b 対向誘電体
3a、3b 側壁誘電体
4 交流電源
5 多孔質体
6 チャンバー

Claims (1)

  1. 対向するように配置した一対の電極(少なくとも一方の電極は対向表面に誘電体を担持している)の間に多孔質体を配置し、前記多孔質体を含む処理空間の電界強度が200KV/cm以上、かつ1.2気圧以上の雰囲気下において放電を発生させて、前記多孔質体を放電処理することを特徴とする、多孔質体の放電処理方法。
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