JP4175850B2 - 非導電性多孔質体改質体の製造方法及び製造装置 - Google Patents

非導電性多孔質体改質体の製造方法及び製造装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非導電性多孔質体改質体の製造方法及び製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、放電による非導電性多孔質体(例えば、不織布、織物、又は編物等)の表面処理方法、すなわち、非導電性多孔質体改質体の製造方法としては、例えば、真空若しくは低圧グロー放電を利用する方法、大気圧コロナ放電を利用する方法、大気圧グロー放電を利用する方法、あるいは、被処理体を誘電体で挟み込み、大気圧下にて被処理体の内部空隙で発生させる放電を利用する方法などが知られていた。
【0003】
真空又は低圧グロー放電を利用する方法は、真空チャンバー内に、対向する一対の電極を設け、それらの電極間に被処理体を配置し、真空チャンバー内の気圧を約100Pa以下に保った状態で、前記電極間に通常、1KHz〜100MHz程度の交流電圧を印加し、それらの電極間に発生するグロー放電の作用により前記被処理体の表面処理を行なう方法である。
この方法では、真空チャンバー内を真空又は低圧に保つために、大掛かりな真空装置(例えば、排気装置又は差動排気室)が必要である。また、シート状の被処理体を連続処理するためには、大型の真空チャンバーが必要となるだけでなく、その内部を減圧するために、多段階の差動排気室も必要である。更に、厚手の被処理体については、表面処理が内部まで行き届かないため、被処理体の均一処理が困難である。
【0004】
大気圧コロナを利用する方法は、平板電極などの対電極(誘起電極)の表面上に面接触して設けた誘電体表面上に、被処理体を接触させ、前記被処理体と所定間隔(通常は約1mm〜数mm)を隔てて、ワイヤー電極又は針状電極などの放電極を配置し、空気中又は所定の気体中で、前記放電極と前記対電極との間に交流高電圧を印加し、放電極から発生する線状コロナの作用により前記被処理体の表面処理を行なう方法である。発生する線状コロナを安定化するために、被処理体と対電極との間に誘電体を挿入することが一般的である。前記気体は、被処理体の表面に導入する官能基の種類に応じて適宜選択する。
この方法では、空気ギャップを有する電極間で放電を実施するため、放電が不均一であり、エネルギーロスも大きい。従って、被処理体の内部まで均一に処理することが困難であり、処理時間も長くなる。
【0005】
大気圧グロー放電を利用する方法は、密封することのできる放電容器の内部に、所定間隔(通常は数mm)を隔てて対向する一対の電極を設け、希ガス、特に、ヘリウムを主成分とし、官能基導入のために使用される所定の反応性気体を同時に含む混合ガスを放電容器に供給しながら、前記電極間に通常、数KHz〜数十MHzの交流電圧を印加し、それらの電極間に発生するグロー放電の作用により被処理体の表面処理を行なう方法である。この方法においては、発生するグロー放電を安定化するために、いずれか一方の電極の表面に誘電体を接触して設けることが一般的である。被処理体は、電極と誘電体のいずれとも接触しないように配置された状態で、あるいは誘電体又は電極のいずれか一方とのみ接触するように配置された状態で両電極間に交流電圧が印加される。
この方法では、均質な放電を発生させることができるが、高価な希ガスを必要とする。
【0006】
被処理体を誘電体で挟み込み、大気圧下にて被処理体の内部空隙で発生させる放電を利用する方法は、例えば、特開平10−53657号公報(特許文献1)に開示されている。この方法では、それぞれの対向表面側に誘電体層を設けて対向して配置した一対の電極の間に、前記の一対の電極とはそれぞれ直接に接触しないが前記誘導体層のそれぞれと外側表面が直接に接触するように非導電性多孔質体を配置し、周波数が0.1KHz〜100KHzである低周波交流電圧を前記両電極間に印加して、両電極間に挟まれた前記非導電性多孔質体の内部空隙で放電を発生させることにより、被処理体の表面処理を行なう方法である。
この方法では、大気圧コロナを利用する方法よりも、均一な放電を発生させることができ、また、エネルギーロスが少ないため、処理効率も高い。しかし、厚手の被処理体や、放電耐性の低い被処理体の場合には、この方法でも、処理が不均一であったり、被処理体が損傷することがある。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−53657号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の課題は、非導電性多孔質体の総表面を処理することにより、非導電性多孔質体改質体を製造する方法及び装置であって、従来技術の前記の欠点を解消し、安価であって、しかも、処理効率(すなわち、エネルギー効率)が高く、被処理体を均一に処理可能な、非導電性多孔質体改質体の製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、本発明による、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなる囲繞体で減圧可能且つ放電可能に囲まれた放電処理空間内に、被処理体である非導電性多孔質体の少なくとも一部を配置し、前記放電処理空間の内部を減圧し、前記空間内に配置されている被処理体部分と囲繞体とを実質的に密着させ、前記の放電処理空間の外側に位置する放電発生手段により、減圧した状態を維持しながら前記放電処理空間の内部で放電を発生させ、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法により解決することができる。
【0010】
また、本発明は、一対の電極間に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体と囲繞体とを実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法に関する。
【0011】
また、本発明は、一対の電極間に配置され、前記電極の一方と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体と、前記の一方の電極とで囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体を非通気性誘電体及び前記の一方の電極と実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法に関する。
【0012】
また、本発明は、一対の電極間に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部を、被処理体である長尺状の非導電性多孔質体を通過させながら、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、前記空間内を通過する被処理体部分と囲繞体とを実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、前記空間内を通過する被処理体部分の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法に関する。
【0013】
また、本発明は、一対の電極間に配置され、前記電極の一方と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体と、前記の一方の電極とで囲まれた空間の内部を、被処理体である長尺状の非導電性多孔質体を通過させながら、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、前記空間内を通過する被処理体部分を非通気性誘電体及び前記の一方の電極と実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、前記空間内を通過する被処理体部分の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法に関する。
【0014】
また、本発明は、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体と囲繞体とを実質的に密着させ、その減圧下で前記空間にマイクロ波を照射して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法に関する。
【0015】
また、本発明は、コイル内に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体と囲繞体とを実質的に密着させ、減圧下で前記コイルに交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法に関する。
【0016】
また、本発明は、(1)対向して配置した一対の電極;
(2)前記両電極に電気的に接続して、両電極間に交流電圧を印加することのできる手段;
(3)前記両電極間に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、減圧可能な放電処理空間を形成可能で、被処理体である非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記空間内部に配置可能であり、しかも、前記非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記放電処理空間内部に配置した状態で前記空間の内部を減圧した場合に、前記空間内に配置されている被処理体部分と実質的に密着可能である囲繞体;及び
(4)前記囲繞体で囲まれた放電処理空間の内部を減圧することのできる排気手段
を含むことを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造装置に関する。
【0017】
また、本発明は、(1)対向して配置した一対の電極;
(2)前記両電極に電気的に接続して、両電極間に交流電圧を印加することのできる手段;
(3)前記両電極間に配置され、前記電極の一方と一緒になって減圧可能な放電処理空間を形成可能で、被処理体である非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記空間内部に配置可能であり、前記非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記放電処理空間内部に配置した状態で前記空間の内部を減圧した場合に、前記空間内に配置されている被処理体部分と実質的に密着可能である非通気性誘電体;及び
(4)前記の一方の電極と前記非通気性誘電体とで囲まれた放電処理空間の内部を減圧することのできる排気手段
を含むことを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造装置に関する。
【0018】
本明細書において、「総表面」とは、処理対象(すなわち、被処理体)である非導電性多孔質体の外側表面と、非導電性多孔質体の内側表面との両方を含む概念である。
「外側表面」とは、非導電性多孔質体の表面形状に沿って外接する平滑な平面及び/又は曲面を有する仮想立体と接する非導電性多孔質体の表面を意味する。このような仮想立体としては、例えば、非導電性多孔質体がシート状である場合には、平滑平面を有する仮想立体を想定することができ、非導電性多孔質体が円筒状である場合には、平滑曲面を有する仮想立体を想定することができる。更には、非導電性多孔質体がひだ折り形状(例えば、図16に示すひだ折りフィルター)である場合には、ひだ折り形状を形成する複数の平滑平面を有する仮想立体を想定することができる。
【0019】
また、「内側表面」とは、非導電性多孔質体の外側表面間の内部に含まれるすべての内部空隙の全表面を意味する。従って、内側表面とは、発泡体型多孔質体においては各開放気泡(open−cell)の表面であり、フィルム型多孔質体においては凹部構造(例えば、くぼみ又は溝など)又は貫通孔の表面であり、繊維質型多孔質体においては構成繊維によって形成される内部空間の表面、すなわち、各構成繊維の全表面が含まれる。
【0020】
本明細書において、「総表面の処理」とは、処理対象である非導電性多孔質体の総表面の少なくとも一部を化学的又は物理的に改質することを意味する。
化学的処理とは、非導電性多孔質体の総表面を化学的に変性することを意味し、例えば、非導電性多孔質体を構成する化合物に所望の官能基を導入する処理を挙げることができ、非導電性多孔質体の総表面に親水性、疎水性、又は接着性を付与するか、あるいは親水性、疎水性、又は接着性を向上させることができる。所望の官能基を導入することができる表面処理用ガスの存在下にて、非導電性多孔質体の内部空隙で放電を発生させることによって、所望の官能基を導入する化学的処理を行なうことができる。
【0021】
親水性は、例えば、空気、O2ガス、CO2ガス、COガス、H2Sガス、SOガス、SO2ガス、SO3ガス、S23ガス、又はS27ガスから、酸素原子及び/又はイオウ原子を含む官能基(例えば、スルホン酸基)を導入することにより、そして、疎水性は、例えば、テトラフルオロメタンなどからフッ素原子を含む官能基を導入することによって、それぞれ付与又は向上させることができる。
【0022】
物理的処理とは、非導電性多孔質体の総表面を物理的に変性することを意味し、例えば、プラズマ処理による粗面加工を挙げることができる。粗面加工は、空気などの表面処理用ガス中で放電を発生させることによって実施することができる。なお、化学的処理と物理的処理とを同時に実施することができる。例えば、表面処理用ガスとして空気を用いると、非導電性多孔質体の親水性を向上させると共に粗面加工を行なうことができる。一般に物理的処理を行なう場合には、化学的処理も同時に伴って起きるが、化学的処理を選択的に実施することが必要である場合には、処理条件、例えば、印加電圧、印加時間、及び/又は表面処理用ガスの種類などを総表面の処理の目的に応じて適宜選択することによって、化学的処理を主として実施することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の製造方法及び製造装置の一態様を模式的に示す断面図であり、図2は、本発明の製造方法及び製造装置の別の一態様を模式的に示す断面図である。本発明の製造方法及び製造装置の基本的原理を、図1及び図2に沿って説明する。
【0024】
図1に示すように、平板状電極などからなる一対の電極21,22を対向するように配置する。電極21を交流電源51に接続し、電極22をアースする。電極21と電極22との間に、処理対象である非導電性多孔質体11を、変形可能で且つ被処理体と減圧時に密着可能な非通気性誘電体31,32で挟んだ状態で配置する。図1に示す態様では、非通気性誘電体31,32が、放電処理空間を形成可能な囲繞体として機能する。
非通気性誘電体31,32の大きさは、その間に挟み込む非導電性多孔質体11を完全に囲むことができるように、非導電性多孔質体11の大きさよりも大きいことが必要である。非通気性誘電体としては、図1に示すように、2枚のシート状の非通気性誘電体31,32を用いて、非導電性多孔質体11を挟むことにより囲むこともできるし、あるいは、図2に示すように、一体化した袋状の非通気性誘電体33を用いて、非導電性多孔質体11を包むことにより囲むこともできる。図2に示す態様では、非通気性誘電体33が、放電処理空間を形成可能な囲繞体として機能する。
また、電極と非通気性誘電体とは、図1に示すように、互いに接触した状態で配置することもできるし、あるいは、図2に示すように、いずれか一方を、あるいは、両方を離した状態で配置することもできる。
【0025】
非通気性誘電体31と非通気性誘電体32との接触面の少なくとも1箇所から、吸引機41に連結する吸引管42を挿入する。吸引管を非通気性誘電体の間に挿入する場合には、図3に示すように、そのまま、非通気性誘電体間の隙間に単純に挿入することもできるし、あるいは、図4又は図5に示すように、多孔質体からなる排気用スペーサー43,44を設けた状態で挿入することもできる。
【0026】
非通気性誘電体間の隙間に単純に吸引管42を挿入し、排気用スペーサーを設けない場合には、例えば、図3に示すように、吸引管42の吸気口42aが、被処理体と接触しない程度に被処理体の近傍に位置するように、あるいは、被処理体と接触するように、吸引管を配置することが好ましい。吸引管の吸気口が被処理体と重なるように配置すると、被処理体が変形するため、均一な処理ができないことがある。逆に、吸引管の吸気口が被処理体から離れすぎていると、被処理体である非導電性多孔質体の内部空隙の圧力が充分に減圧される前に、非通気性誘電体同士が密着してしまい、排気が円滑に行なわれないことがある。この距離は実験的に容易に決定することができる。
【0027】
一方、多孔質体からなる排気用スペーサーを設けると、非通気性誘電体同士の密着を防止することができるため、非導電性多孔質体の内部空隙の減圧を円滑に行なうことができる。このような排気用スペーサーとしては、例えば、図4に示すような、非通気性誘電体間に設ける柱状排気用スペーサー43、あるいは、図5に示すような、被処理体と非通気性誘電体との間に設けるシート状排気用スペーサー44などを挙げることができる。排気用スペーサーの形状は、非導電性多孔質体の内部空隙の減圧を円滑に行なうことができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、被処理体の形状に従って、適宜選択することができる。
【0028】
吸引機41を作動させると、非通気性誘電体31と非通気性誘電体32との間の気体(例えば、空気)が、吸引管42を介して排出され、非通気性誘電体31,32で囲まれた空間の内部の圧力が低下する。
非通気性誘電体31,32で囲まれた空間内の圧力が所定の減圧状態になり、非通気性誘電体31,32と非導電性多孔質体11とが密着したところで、交流電源51から交流高電圧を印加すると、非通気性誘電体31,32で囲まれた空間の内部(非導電性多孔質体11の内部空隙を含む)で放電し、プラズマが生成される。非通気性誘電体31,32で囲まれた空間の内部で発生したプラズマが、非導電性多孔質体11の内側表面に作用することにより、非導電性多孔質体11の内側表面の改質が行われる。このとき、非導電性多孔質体11の外側表面が非通気性誘電体31,32と接しているため、非導電性多孔質体11の内部空隙で発生したプラズマは、理論的には非導電性多孔質体11の外側表面の非通気性誘電体との接触点には作用しない。しかし、実際には、接触点は外側表面の面積と比べて非常に小さい面積であるため、実質的にはすべての外側表面が処理されているものと言うことができる。しかも、非導電性多孔質体はプラズマだけでなく、プラズマによって生じたラジカルによっても処理されるので、多孔質体と非通気性誘電体とが分離した時、失活せずに残ったラジカルによって接触点も処理される。
【0029】
このように、本発明の製造方法では、放電処理空間内に被処理体の少なくとも一部を配置し、その内部を減圧にして囲繞体(例えば、非通気性誘電体)と被処理体とが密着した状態で、前記放電処理空間内で放電を発生させ、被処理体である非導電性多孔質体の総表面処理を実施することにより、総表面が改質された非導電性多孔質体改質体を製造することができる。
【0030】
図1及び図2に示す各態様では、それぞれ、2枚のシート状非通気性誘電体31,32又は袋状の非通気性誘電体33により放電処理空間を形成しており、非通気性誘電体のみで放電処理空間を囲んでいる。本発明の製造方法においては、放電処理空間の内部で放電を発生させることができる限り、前記非通気性誘電体に代えて、例えば、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなる囲繞体により放電処理空間を形成することもできる。あるいは、図1又は図2に示すように、対向する一対の電極間に被処理体を配置し、前記電極間に交流高電圧を印加することにより放電を発生させる場合には、前記電極の一方と非通気性誘電体とが一緒になって、放電処理空間を形成することもできる。この場合、前記の一方の電極と非通気性誘電体とが囲繞体として機能する。また、前記の一方の電極は、電極としての機能と、囲繞体としての機能とを兼ね備える。
【0031】
非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなる囲繞体、すなわち、非通気性誘電体と、所望により用いることのできる非通気性導電体(例えば、金属又は導電性ゴムなど)とからなる囲繞体により放電処理空間を形成する例としては、例えば、図1に示す態様では、2枚のシート状非通気性誘電体31,32により放電処理空間を形成しているが、例えば、前記誘電体のいずれか一方又はその一部を誘電体以外の非通気性材料、すなわち、非通気性導電体とすることができる。
【0032】
あるいは、図1に示す態様において、2枚のシート状非通気性誘電体31,32の内、いずれか一方を配置せずに、残る非通気性誘電体と、被処理体を挟んでそれと対向する電極の一方とで、放電処理空間を形成することもできる。例えば、非通気性誘電体31を除去し、残る非通気性誘電体32と電極21とにより、放電処理空間を形成することもできる。この場合、非通気性誘電体32が、電極21と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体として機能する。あるいは、非通気性誘電体32を除去し、残る非通気性誘電体31と電極22とにより、放電処理空間を形成することもできる。この場合、非通気性誘電体31が、電極22と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体として機能する。これらの態様では、一方の電極と非通気性誘電体とが囲繞体として機能する。また、前記の一方の電極は、電極としての機能と、囲繞体としての機能とを兼ね備える。
【0033】
通常の大気圧下においては、例えば、従来技術欄で引用した特開平10−53657号公報に開示されている方法のように、対向する一対の電極間に被処理体である非導電性多孔質体を配置して放電を発生させる場合(以下、容量結合による放電方法と称する)には、均一な放電を発生させるために、両電極の対向表面側にそれぞれ誘電体層を設ける必要がある。この場合、いずれか一方の電極にのみ誘電体層を設けただけでは、放電集中により被処理体が損傷するおそれがある。
一方、本発明の製造方法では、減圧した状態で放電を発生させるため、両電極の各々に誘電体層を設けなくても、均一な放電を発生させることが可能である。このため、放電処理空間を囲む場合に、その一部として、非通気性誘電体以外の非通気性材料、すなわち、非通気性導電体を用いることができる。
【0034】
このように、本発明で用いる「非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなる囲繞体」としては、非通気性誘電体のみからなる囲繞体、非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体、あるいは、非通気性誘電体と電極との組合せからなる囲繞体などを挙げることができる。
【0035】
本発明において、放電処理空間を囲むために、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなる囲繞体として、非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体を用いる場合には、前記囲繞体における非通気性誘電体及び非通気性導電体の含有割合及び配置状態は、前記囲繞体で囲まれた放電処理空間の内部で放電を発生させることができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、被処理体の形状又は放電発生手段に応じて、適宜決定することができる。例えば、対向する一対の電極間に被処理体を配置させる容量結合による放電方法を用いる場合には、電極間に少なくとも一層の誘電体層が存在すれば、安定な放電を発生させることができ、例えば、図1に示す態様では、2枚のシート状非通気性誘電体31,32のいずれか一方又はその一部を非通気性導電体とすることができる。
【0036】
本明細書において、囲繞体(例えば、非通気性誘電体のみからなる囲繞体、あるいは、非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体)で、あるいは、囲繞体の一態様である非通気性誘電体及び電極の組合せで、被処理体を「囲む」とは、囲繞体、又は非通気性誘電体と電極との組合せにより形成される空間の内部を、吸引により減圧することができ、しかも、減圧下にてその空間の内部で放電を発生させることができるように、囲繞体、又は非通気性誘電体と電極との組合せを被処理体の周囲に配置することを意味する。例えば、吸引のために挿入する吸引管を除いて、被処理体の全部を完全に囲むことが含まれることは勿論のこと、被処理体の一部のみを部分的に囲む場合も、その囲まれた空間の内部を吸引により減圧することができ、且つその空間内部で放電を発生させることができる限り、含まれる。被処理体の一部のみを部分的に囲む場合の例としては、例えば、後述するように、長尺シート状の被処理体を連続処理する場合に、その処理対象部分を囲繞体、又は非通気性誘電体と電極との組合せで両面から挟む場合を挙げることができる。
【0037】
本発明において囲繞体として用いることのできる非通気性誘電体又は非通気性導電体は、所定の放電処理空間を形成することができる限り、すなわち、非通気性誘電体それ単独で、あるいは、非通気性導電体又は電極と一緒になって、被処理体を囲む(例えば、挟む又は包む)ことができ、その囲まれた放電処理空間の内部を吸引により減圧することができ、その減圧状態において被処理体と実質的に密着することができ、更に、放電処理空間内部で減圧下にて放電を発生させることができる限り、その形状、大きさ、又は材料は特に限定されるものではなく、例えば、被処理体の形状又は大きさに応じて、適宜決定することができる。
【0038】
非通気性誘電体の材料としては、例えば、ガラス、セラミック(例えば、アルミナ等)、ゴム(例えば、合成ゴム、例えば、シリコーンゴム、クロロプレンゴム、若しくはブタジエンゴム、又は天然ゴム等)、又は熱可塑性樹脂(例えば、ポリテトラフルオロエチレン若しくはポリエステル等)などを挙げることができる。
非通気性導電体の材料としては、例えば、金属又は導電性ゴムなどを挙げることができる。
【0039】
囲繞体の全部又はその一部が、変形可能で、且つ被処理物と密着可能な材料から形成されていると、吸引により減圧した場合に、被処理体と囲繞体との間を容易に密着させることができるため、好ましい。
このような変形可能な材料としては、弾性に優れている点でゴム又は熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、弾性に優れており、被処理体との密着性に優れている点で、ゴムを使用することがより好ましい。特に、被処理体の表面に傷をつけにくいゴム、又は絶縁破壊に強いポリテトラフルオロエチレンを使用することが好ましい。
また、変形可能でない材料(例えば、ガラス又はセラミック)を使用する場合には、例えば、前記材料間を柔軟性を有する材料(例えば、ゴム又は熱可塑性樹脂)で連結することが好ましい。例えば、図1に示す態様において、非通気性誘電体31,32を、変形可能でない材料から形成する場合には、いずれか一方の端部で、非通気性誘電体31,32を柔軟性材料により連結することができる。
【0040】
なお、本明細書において、被処理体と囲繞体とが「実質的に密着している」状態とは、被処理体と囲繞体との隙間が実質的になく、仮に隙間があったとしても、被処理体と囲繞体との隙間で発生する放電が、被処理体の内部空隙で発生する放電に比べて、実質的に無視することができる程度である状態を意味する。例えば、被処理体が立体形状(例えば、筒状又はひだ折り形状)を有する場合には、被処理体と囲繞体との隙間は、例えば、10mm以下であることが好ましい。
このように密着させた状態では、被処理体の内部空隙のみで、あるいは、被処理体の内部空隙及び被処理体の極近傍のみで放電させることができ、その結果、処理効率(すなわち、エネルギー効率)が極めて高くなる。
【0041】
また、囲繞体として、被処理体を包装可能な囲繞体を用いると、総表面処理と包装処理とを同一工程で実施することができ、しかも、放電による殺菌又は滅菌効果も期待することができる。例えば、包装可能な囲繞体により被処理体を囲み、その囲繞体で囲まれた空間の内部を吸引により減圧し、密着させた状態で放電を発生させた後、その減圧状態を維持した状態で、あるいは、更に吸引することにより減圧したところで、前記囲繞体の周囲を封止することにより、総表面処理を施した非導電性多孔質体の包装を完了させることができる。
このような囲繞体としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、又はポリ塩化ビニル等のフィルム状誘電体を挙げることができる。
【0042】
囲繞体の厚さは、特に限定されるものではないが、0.01〜5mm程度であることが好ましい。5mmより厚いと、放電させるのに非常に高い電圧が必要であり、0.01mm未満では機械的強度が低下し、吸引により破れたり、絶縁破壊が生じやすくなるからである。
【0043】
囲繞体の形状及び大きさは、例えば、被処理体の形状に応じて、適宜決定することができる。
例えば、被処理体が、図1又は図2に示すような単独のシート状である場合には、図1に示すように、被処理体の両面をそれぞれ別々の非通気性誘電体31,32で挟む2枚1組のシート状であることもできるし、あるいは、図2に示すように、袋状であることができる。なお、その大きさは、被処理体を完全に囲むことができるように、非導電性多孔質体の大きさよりも大きいことが必要である。
被処理体が、図7、図9、図12、又は図13に示すような長尺シート状であって、連続処理する場合には、2枚1組の長尺シート状、又は長尺袋状であることもできるし、あるいは、図7又は図9に示すような一対のエンドレスベルト、あるいは、図12又は図13に示すようなエンドレスベルトとロールとの組合せであることもできる。
【0044】
また、被処理体が、成型体である場合には、その形状に応じて、囲繞体の形状及び大きさを適宜決定することができる。
例えば、被処理体が、筒状体(例えば、筒状フィルター)の場合には、囲繞体として、例えば、図14及び図15に示すような、二重構造の筒状容器38と、前記二重筒状容器の保持用冶具39との組合せを挙げることができる。
図14及び図15に示すように、二重筒状容器38は、一方の端部1aが閉じており、反対側の端部1bが開口している内筒1と、前記内筒の外径よりも大きな内径を有する外筒2とからなる。外筒2における、内筒1の閉口端部1aと同じ側の端部2aは、開口しており、外筒2における、その反対側の端部2bは、内筒1の開口端部1bの開口部分を除き、閉じている。被処理体(例えば、筒状フィルター)は、外筒2の開口端部2a側から、外筒2と内筒1との間の被処理体収納室3に収納することができる。また、内筒1の電極挿入室4には、内筒1の開口端部1b側から、電極(例えば、棒状電極)を挿入することができる。
【0045】
被処理体(例えば、筒状フィルター)の総表面処理を実施する場合には、二重筒状容器38の被処理体収納室3に、被処理体を収納した後、二重筒状容器38における、外筒2の開口端部2a側に、二重筒状容器保持用冶具39を装着する。二重筒状容器保持用冶具39には、二重筒状容器38の被処理体収納室3の内部を、吸引により減圧するための吸引管46が設けられている。所望により、冶具に表面処理用ガスを導入するための導入口を更に設けることもできる。二重筒状容器38の電極挿入室4に電極(例えば、棒状電極)を挿入し、更に、二重筒状容器38における外筒2の外側側面2cに電極を配置(例えば、シート状電極を巻回)する。あるいは、このように使用時に電極を配置する代わりに、外筒2の外側側面2c及び/又は内筒1の内側側面1cに予め電極をコーティング又は貼付しておくこともできる。両電極のいずれか一方を交流電源に接続し、残る一方をアースする。
吸引管46に連結した吸引機を作動させると、二重筒状容器38の被処理体収納室3の内部の圧力が低下する。前記圧力が所定の減圧状態になり、被処理体と二重筒状容器とが密着したところで、交流電源から交流電圧を印加すると、二重筒状容器38の被処理体の内部で放電が発生し、被処理体の総表面処理が行なわれる。
【0046】
前記二重筒状容器38は、その全体が非通気性誘電体のみから形成することもできるし、あるいは、内筒1又は外筒2のいずれか一方を非通気性導電体から形成し、残る一方を非通気性誘電体から形成することもできる。なお、端部1a及び/又は端部2bは、非通気性誘電体若しくは非通気性導電体、又はそれらの組合せから形成することができる。
また、前記保持用冶具39は、非通気性誘電体若しくは非通気性導電体、又はそれらの組合せから形成することができる。
【0047】
また、被処理体が、形状が変形しやすく、その形状を保持したい成形体(例えば、ひだ折りフィルター)の場合には、例えば、図16に示すように、保型可能な材料からなる保型手段(例えば、保型枠)を併用することができる。
【0048】
図16に示す保型枠71は、被処理体であるひだ折りフィルター12(フィルター部12aと外枠部12bとからなる)の外枠部12bよりもやや大きい形状及び大きさを有し、その内側に、ひだ折りフィルター12を収容することができる。保型枠それ自体は、減圧操作の際に形状を保持可能である限り、特に限定されるものではなく、例えば、被処理体の形状又は減圧の程度に応じて、その材料及び形状を適宜選択することができる。
被処理体の総表面処理を行なう場合には、図16に示すように、保型枠71に被処理体12を収容したままの状態で、別に用意した囲繞体で保型枠71及び被処理体12を囲み、その内部の圧力が所定の圧力になるまで減圧して密着させた後、非通気性誘電体で囲まれた空間の内部で放電を発生させ、被処理体の総表面処理を行なうことができる。
保型枠71に被処理体12を収容したままの状態で、保型枠71及び被処理体12を囲繞体で囲む方法としては、例えば、2枚のシート状物(例えば、2枚のシート状非通気性誘電体、あるいは、1枚のシート状非通気性誘電体及び1枚のシート状非通気性導電体の組合せ)で挟むことにより、あるいは、袋状物(例えば、非通気性誘電体のみからなる袋状物、あるいは、非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる袋状物)で包むことにより囲むこともできる。
【0049】
本発明の製造方法では、囲繞体、あるいは、非通気性誘電体及び電極の組合せで囲まれた空間の内部を、吸引により減圧にして密着させた状態で、その囲まれた空間の内部で放電を実施する。本発明の製造方法では、空気を単に吸引し、減圧空気下で放電を実施することもできるし、あるいは、所望の官能基を導入することができる表面処理用ガスの存在下にて、放電を発生させることによって、所望の官能基を導入する化学的処理を行なうこともできる。
親水性は、例えば、空気、O2ガス、CO2ガス、COガス、H2Sガス、SOガス、SO2ガス、SO3ガス、S23ガス、又はS27ガスから、酸素原子及び/又はイオウ原子を含む官能基(例えば、スルホン酸基)を導入することにより、そして、疎水性は、例えば、テトラフルオロメタンなどからフッ素原子を含む官能基を導入することによって、それぞれ付与又は向上させることができる。
【0050】
放電を実施する場合の減圧度は、例えば、被処理体の形状、囲繞体を構成する非通気性誘電体又は非通気性導電体の種類若しくは厚さ、放電の発生方法若しくは放電の強さ、あるいは、表面処理用ガスを使用する場合にはその種類などに応じて、適宜決定することができるが、50kPa〜1mPaであることが好ましく、20kPa〜0.1Paであることがより好ましく、10kPa〜1Paであることが更に好ましい。50kPaを越えると、減圧の効果が低く、大気圧下の場合と同様に、放電安定性及び均一性に欠けることがあり、1mPa未満であると、放電がほとんど発生しなくなることがある。
【0051】
本発明の製造方法では、囲繞体で囲まれた空間の内部で放電を発生させる方法として、公知の種々の方法を用いることができ、例えば、
図1又は図2に示すように、対向する一対の電極間に、囲繞体と密着した被処理体を配置し、前記電極間に交流高電圧を印加することにより放電を発生させる方法(すなわち、容量結合による放電方法);
コイル中に、囲繞体と密着した被処理体を配置し、誘導結合により放電を発生させる方法(以下、誘導結合による放電方法と称する);あるいは、
図6に示すように、マイクロ波チャンバー内に、囲繞体と密着した被処理体を配置し、マイクロ波を照射して放電を発生させる方法(以下、マイクロ波による放電方法と称する)
などを挙げることができる。
【0052】
放電発生方法として、容量結合による放電方法を利用する場合には、印加する交流電圧の下限は、例えば、減圧度、ガスの種類、囲繞体(非通気性誘電体と電極との組合せの場合には、非通気性誘電体)の厚さ若しくは種類、電極と囲繞体との距離、又は交流電圧の周波数などに依存するので、特に限定されるものではないが、好ましくは0.25KVp以上、より好ましくは0.5KVp以上である(KVpは、交流電圧の最大値ピークから0までの電圧差を示す)。電圧が0.25KVp未満になると実質的に放電が起こらなくなるからである。また、交流電圧の上限も、非導電性多孔質体の損傷が生じることのない電圧である限り、特に限定されるものではない。
【0053】
また、前記交流電圧の周波数も、例えば、減圧度、囲繞体(非通気性誘電体と電極との組合せの場合には、非通気性誘電体)の厚さ若しくは種類、電極と囲繞体との距離、又は交流電圧の周波数などに依存するので、特に限定されるものではないが、好ましくは1Hz〜5MHzであり、より好ましくは50Hz〜100kHzである。周波数が1Hz未満であると、単位時間当たりの放電量が減り、処理時間が長くなることがあり、周波数が5MHzを越えると、高周波加熱により囲繞体(非通気性誘電体と電極との組合せの場合には、非通気性誘電体)又は被処理体を熱的に破壊することがある。
【0054】
放電発生方法として、誘導結合による放電方法を利用する場合には、従来公知の誘導結合プラズマの発生方法と同様にして行なうことができる。より具体的には、周波数によってその条件が若干異なるが、囲繞体の外側にコイルを1〜300ターン(好ましくは2〜100ターン、より好ましくは3〜20ターン)巻き、交流電圧を印加して、0.1〜100MHz程度の交流電流を流すことにより実施することができる。なお、減圧度は、10Pa〜1mPaであることが好ましく、1Pa〜1mPaであることがより好ましい。
誘導結合による放電方法は、筒状の被処理体を放電処理する場合に有効である。
【0055】
放電発生方法として、誘導結合による放電方法を利用する場合にも、非通気性誘電体のみからなる囲繞体により放電処理空間を形成することもできるし、あるいは、非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体により放電処理空間を形成することもできる。
非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体における非通気性誘電体及び非通気性導電体の含有割合及び配置状態は、被処理体と密着し、前記囲繞体に囲まれた放電処理空間の内部で、減圧下にて放電を発生させることができる限り、特に限定されるものではなく、適宜選択することができる。非通気性導電体は、非磁性の導電体(例えば、金属又は導電性ゴムなど)であることが好ましい。
【0056】
放電発生方法として、マイクロ波による放電方法を利用する場合には、例えば、図6に示す態様により、本発明の製造方法を実施することができる。図6に示す態様では、マイクロ波チャンバー84内に、被処理体を内部に収納した非通気性誘電体81を配置する。この非通気性誘電体81が囲繞体として作用する。マイクロ波チャンバー84には、導波管85が接続され、更に、前記導波管85は、マイクロ波チャンバー84の外部に配置されるマイクロ波発生器86と接続されている。非通気性誘電体81には、その内部の圧力を減圧することが可能な吸引管82が連結され、更に、前記吸引管82は、マイクロ波チャンバー84の外部に配置される吸引機83と連結されている。マイクロ波による放電方法を利用する場合には、非通気性誘電体の表面に電極を設ける必要はない。
【0057】
放電発生方法として、マイクロ波による放電方法を利用する場合には、マイクロ波の強度は、例えば、減圧度、囲繞体の厚さ若しくは種類、電極と囲繞体との距離、被処理体の大きさ(体積)、マイクロ波チャンバー(例えば、図6に示すマイクロ波チャンバー84)の広さ、又はマイクロ波の周波数などに依存するので、特に限定されるものではないが、好ましくは10W(マイクロ波チャンバーの体積1L当たり)以上であり、より好ましくは60W〜10kW(マイクロ波チャンバーの体積1L当たり)である。10W未満であると、放電性が低下して処理に時間がかかることがあり、10kWを越えると、火花放電が発生しやすくなることがある。
また、マイクロ波の周波数は、例えば、減圧度、囲繞体の厚さ若しくは種類、電極と囲繞体との距離、又はマイクロ波の強度などに依存するので、特に限定されるものではないが、好ましくは1〜100GHzであり、より好ましくは1〜10GHzである。通常、商業的に利用可能である2.54GHzで充分である。
【0058】
放電発生方法として、マイクロ波による放電方法を利用する場合にも、非通気性誘電体のみからなる囲繞体により放電処理空間を形成することもできるし、あるいは、非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体により放電処理空間を形成することもできる。
非通気性誘電体部分と非通気性導電体部分とからなる囲繞体としては、前記囲繞体に囲まれた放電処理空間の内部で、減圧下にて放電を発生させることができる限り、特に限定されるものではないが、例えば、マイクロ波が直接照射される部分が少なくとも非通気性誘電体からなる囲繞体を挙げることができる。
【0059】
本発明の製造方法では、放電発生手段を放電処理空間の外側に配置する。例えば、容量結合による放電方法を利用する場合には、対向電極を、放電処理空間を形成する囲繞体(非通気性誘電体と電極との組合せの場合には、非通気性誘電体)の外側表面に接触させた状態で、あるいは、離した状態で、放電処理空間の外側に配置することができる。また、誘導結合による放電方法を利用する場合には、コイルを、放電処理空間を形成する囲繞体の外側表面に接触させた状態で、あるいは、離した状態で、放電処理空間の外側に配置することができる。マイクロ波による放電方法を利用する場合には、マイクロ波発生器及び波導管を、マイクロ波チャンバーの外側に配置することができる。
【0060】
本発明の製造方法及び製造装置においては、非導電性多孔質体を静止させた状態で放電を発生させる図1又は図2に示す態様に限定されず、非導電性多孔質体を移動させながら、連続的に非導電性多孔質体の総表面処理を行なうこともできる。このような本発明の別の態様を図7及び図8に示す。
図7は、本発明の製造方法及び製造装置の内、長尺シート状の被処理体を連続的に処理する一態様を模式的に示す断面図であり、図8は、図7のX−X線断面図である。なお、図7では、被処理体、非通気性誘電体、及び電極の配置状態を明確に示すために、吸引管が省略されている。
【0061】
この態様では、被処理体である長尺シート状の非導電性多孔質体11を一定方向(矢印Aで示す方向)に搬送することのできる一対のエンドレスベルト状非通気性誘電体(例えば、シリコーンゴム)34,35を、それらの搬送面が対向するように配置する。一方のエンドレスベルト状非通気性誘電体34は、所定の間隔を隔てて配置される一対の搬送体駆動ローラー91a,91bにより駆動され、同様に、もう一方のエンドレスベルト状非通気性誘電体35も、所定の間隔を隔てて配置される別の一対の搬送体駆動ローラー91c,91dにより駆動される。一方のエンドレスベルト状非通気性誘電体34の内側に、その搬送面とは反対側の面と接触するように、電極(例えば、平板状電極)21を搬送体駆動ローラー91a,91b間に配置する。もう一方のエンドレスベルト状非通気性誘電体35の内側にも、同様に、その搬送面とは反対側の面に接触するように、電極(例えば、平板状電極)22を搬送体駆動ローラー91c,91d間に配置する。なお、電極21,22のいずれか一方又は両方は、エンドレスベルト状非通気性誘電体34,35と接触させずに、所定間隔(例えば、5mm以下)を開けて配置することもできる。電極21を交流電源51に接続し、電極22をアースする。
エンドレスベルト状非通気性誘電体34,35の接触面には、エンドレスベルト状非通気性誘電体間の空気を排出し、減圧するための吸引管42b,42cが両脇から挿入されている。吸引管42b,42cは、吸引機(図示せず)に連結されており、エンドレスベルト状非通気性誘電体34,35と共に移動することができる。
【0062】
非導電性多孔質体11は、一対のエンドレスベルト状非通気性誘電体34,35により、エンドレスベルト状非通気性誘電体34の搬送面とエンドレスベルト状非通気性誘電体35の搬送面との間を、一定方向(矢印Aで示す方向)に搬送され、搬送体駆動ローラー91a,91c間、電極21,22間、搬送体駆動ローラー91b,91d間の順に通過する。吸引機を作動させると、エンドレスベルト状非通気性誘電体34の搬送面とエンドレスベルト状非通気性誘電体35の搬送面との間の空気が、吸引管42b,42cを介して排出され、エンドレスベルト状非通気性誘電体34の搬送面とエンドレスベルト状非通気性誘電体35の搬送面とで囲まれた空間の内部の圧力が低下する。エンドレスベルト状非通気性誘電体34の搬送面とエンドレスベルト状非通気性誘電体35の搬送面とで囲まれた空間内の圧力が所定の減圧状態になり、エンドレスベルト状非通気性誘電体34,35と非導電性多孔質体11とが密着したところで、交流電源51から交流高電圧を印加すると、エンドレスベルト状非通気性誘電体34の搬送面とエンドレスベルト状非通気性誘電体35の搬送面とで囲まれた空間の内部で放電が発生し、プラズマが生成され、非導電性多孔質体11の総表面が処理される。
【0063】
図7及び図8に示す態様においては、エンドレスベルト状非通気性誘電体34,35の搬送面が、放電処理空間を形成可能な囲繞体として機能している。
本発明では、図7及び図8に示す態様において、一対のエンドレスベルト状非通気性誘電体34,35の内、いずれか一方のエンドレスベルト状非通気性誘電体又はその一部分を、非通気性導電体材料から形成することができる。
【0064】
あるいは、図7及び図8に示す態様において、一対のエンドレスベルト状非通気性誘電体34,35の内、いずれか一方を配置せずに、残るエンドレスベルト状非通気性誘電体と、被処理体を挟んでそれと対向する電極の一方とで、放電処理空間を形成することもできる。例えば、エンドレスベルト状非通気性誘電体34を除去し、残るエンドレスベルト状非通気性誘電体35と電極21とにより、放電処理空間を形成することもできる。この場合、エンドレスベルト状非通気性誘電体35が、電極21と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体として機能する。あるいは、エンドレスベルト状非通気性誘電体35を除去し、残るエンドレスベルト状非通気性誘電体34と電極22とにより、放電処理空間を形成することもできる。この場合、エンドレスベルト状非通気性誘電体34が、電極22と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体として機能する。
【0065】
本発明の製造方法及び製造装置においては、図7及び図8に示す態様における電極21,22を、エンドレスベルト状電極とすることもできる。このような態様の1つであって、更に排気用スペーサーを設けた態様を、図9〜図11に示す。
図9は、本発明の製造方法及び製造装置の内、長尺シート状の被処理体を連続的に処理する別の一態様を模式的に示す断面図であり、図10は、図9のY−Y線断面図である。また、図11は、図10に示す排気用スペーサー45a及びその周辺の状態を示す、図10の部分拡大図である。なお、図9では、被処理体、非通気性誘電体、及び電極の配置状態を明確に示すために、吸引管及び排気用スペーサーが省略されている。
【0066】
この態様では、図7及び図8に示す態様で用いる、エンドレスベルト状非通気性誘電体34,35及び電極(例えば、平板状電極)21,22の組合せに代えて、搬送面とは反対側の面にフィルム状電極を担持させたエンドレスベルト状非通気性誘電体を用いる。このようなフィルム状電極担持エンドレスベルト状非通気性誘電体としては、例えば、図9〜図11に示すような、ポリエステル製誘電体フィルム層34,35の一方の表面にアルミニウムを蒸着させることによってアルミニウム層24,25を形成させた、エンドレスベルト状のアルミニウム蒸着フィルム54,55を挙げることができる。このエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55が、囲繞体として作用する。
【0067】
図9〜図11に示すように、一対のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55を、それらのポリエステル製誘電体フィルム層34,35が対向するように配置する。一方のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54は、所定の間隔を隔てて配置される一対の搬送体駆動ローラー91a,91bにより駆動され、同様に、もう一方のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55も、所定の間隔を隔てて配置される別の一対の搬送体駆動ローラー91c,91dにより駆動される。エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のアルミニウム層24を交流電源51に接続し、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のアルミニウム層25をアースする。
【0068】
エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35における両側の各末端近傍部35a,35bには、それぞれ、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルムの搬送方向に沿って延びる帯状排気用スペーサー45a,45bを設ける。前記帯状排気用スペーサーの形状は、非導電性多孔質体の内部空隙の減圧を円滑に行なうことができる限り、特に限定されるものではなく、例えば、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルムの搬送方向に沿って連続的に延びるエンドレス帯状形状とすることもできるし、あるいは、前記搬送方向に沿って断続的に延びる(すなわち、所定の間隔を開けて配置した)複数の帯状形状とすることもできる。
エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55のポリエステル製誘電体フィルム層34,35の接触面には、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム間の空気を排出し、減圧するための吸引管42b,42cが両脇から挿入されている。吸引管42b,42cは、吸引機(図示せず)に連結されており、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55と共に移動することができる。
【0069】
非導電性多孔質体11は、一対のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55により、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34の搬送面と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35の搬送面との間を、一定方向(矢印Aで示す方向)に搬送される。吸引機を作動させると、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34の搬送面と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35の搬送面との間の空気が、吸引管42b,42cを介して排出され、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34の搬送面と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35の搬送面とで囲まれた空間の内部の圧力が低下して、ポリエステル製誘電体フィルム層34,35と被処理体とが密着する。
【0070】
エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35に、帯状排気用スペーサー45a,45bが設けられているため、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35との密着を防止することができ、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34の搬送面と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35の搬送面とで囲まれた空間内の減圧を円滑に行なうことができる。
【0071】
エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34の搬送面と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35の搬送面とで囲まれた空間内の圧力が所定の減圧状態となり、ポリエステル製誘電体フィルム層34,35と被処理体とが密着したところで、交流電源51から交流高電圧を印加すると、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54のポリエステル製誘電体フィルム層34の搬送面と、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム55のポリエステル製誘電体フィルム層35の搬送面とで囲まれた空間の内部で放電が発生し、プラズマが生成され、非導電性多孔質体11の総表面が処理される。
【0072】
図9〜図11に示す態様では、電極及び囲繞体が一体化したエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55を使用する態様であるが、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55のいずれか一方又は両方に代えて、金属エンドレスベルトとエンドレスベルト状非通気性誘電体との組合せを用いることができる。この場合、金属エンドレスベルトの外側の面が、エンドレスベルト状非通気性誘電体の内側の面と対向するように配置する。前記金属エンドレスベルトは、一部又は全部が前記エンドレスベルト状非通気性誘電体と接触するように配置することもできるし、前記エンドレスベルト状非通気性誘電体と接触しないように配置することもできる。
【0073】
また、図9〜図11に示す態様のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55のいずれか一方を、金属エンドレスベルトに置換することができる。この場合、残るエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55のいずれか一方と、電極として機能する前記金属エンドレスベルトとが、囲繞体として作用し、放電処理空間が形成される。
また、図9〜図11に示す態様のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55のいずれか一方を、金属エンドレスベルトに置換し、残る一方を、金属エンドレスベルトとエンドレスベルト状非通気性誘電体との組合せに置換することができる。金属エンドレスベルトとエンドレスベルト状非通気性誘電体との組合せの場合、前記金属エンドレスベルトは、一部又は全部が前記エンドレスベルト状非通気性誘電体と接触するように配置することもできるし、前記エンドレスベルト状非通気性誘電体と接触しないように配置することもできる。
【0074】
更には、図9〜図11に示す態様のエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム54,55の両方を、一対の金属エンドレスベルトに置換することもできる。この場合には、被処理体である長尺シート状の非導電性多孔質体11の両面を、予め長尺シート状の囲繞体で覆った状態で、前記の一対の金属エンドレスベルト間に搬送することもできるし、あるいは、被処理体11の片面のみを、予め長尺シート状の非通気性誘電体で覆った状態で、前記の一対の金属エンドレスベルト間に搬送することもできる。
【0075】
被処理体の両面を覆うための前記の長尺シート状囲繞体としては、2枚の長尺シート状の非通気性誘電体の組合せ、あるいは、1枚の長尺シート状の非通気性誘電体と1枚の長尺シート状の非通気性導電体との組合せを挙げることができる。前記金属エンドレスベルトは、一部が前記囲繞体と接触するように配置することもできるし、前記囲繞体と接触しないように配置することもできる。
一方、被処理体の片面のみを長尺シート状非通気性誘電体で覆う場合には、前記長尺シート状非通気性誘電体と、被処理体を挟んでその反対側に位置する金属エンドレスベルトとが囲繞体として作用し、放電処理空間が形成される。被処理体に対して前記長尺シート状非通気性誘電体と同じ側に位置する金属エンドレスベルトは、一部が前記長尺シート状非通気性誘電体と接触するように配置することもできるし、前記長尺シート状非通気性誘電体と接触しないように配置することもできる。
【0076】
連続的に非導電性多孔質体の総表面処理を行なうことのできる、本発明の更に別の態様を、図12及び図13にそれぞれ示す。
図12に示す態様では、円柱状の電極26と柱状の電極27とを対向するように配置する。電極27における、電極26と対向する側の側面は、電極26の凸型に湾曲した側面に対応して、凹型に湾曲している。
電極26は、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回転することができるものであることもできるし、回転せずに固定されているものであることもできる。非導電性多孔質体が移動する際に、非導電性多孔質体の表面に傷をつけにくくなる点で、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回転することができる電極であることが好ましい。電極26の表面は、非通気性誘電体36で覆われている。
【0077】
電極27の周囲に、4個の固定ローラー92a,92b,92c,92dを軸方向が相互に平行になるように、かつ4個の固定ローラーが、軸方向から見て、長方形の各頂点の位置にくるように配置する。固定ローラー92aは、電極26に近接して設け、固定ローラー92bは、固定ローラー92aの下流で、しかも電極26に近接して設ける。2個の固定ローラー92c,92dは、電極26から離して配置する。エンドレスベルト状の非通気性誘電体37を、4個の固定ローラー92a,92b,92c,92dの外側を通過するように配置する。非通気性誘電体37は、4個の固定ローラー92a,92b,92c,92dの回転により、一定方向(矢印Cで示す方向)に搬送される。エンドレスベルト状非通気性誘電体37と、電極26の表面の非通気性誘電体36とが、囲繞体として作用する。
電極27を交流電源51に接続し、電極26をアースする。非通気性誘電体36,37の接触面には、両非通気性誘電体間の空気を排出し、減圧するための吸引管(図示せず)が両脇から挿入されており、吸引管は吸引機(図示せず)に連結されている。
【0078】
非導電性多孔質体11は、両電極26,27の上流に設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図示せず)によって、電極26の表面上に担持された非通気性誘電体36と、電極27の表面上に搬送される非通気性誘電体37との間に、一定方向(矢印Bで示す方向)に所定速度で連続的に供給され、それらと接触しながら非通気性誘電体36,37の間を通過する。非通気性誘電体36,37の間を通過した非導電性多孔質体11は、両電極26,27の下流に設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図示せず)によって、所定速度で連続的に移送される。
吸引機を作動させると、非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面との間の空気が、吸引管を介して排出され、非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面とで囲まれた空間の内部の圧力が低下する。非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面とで囲まれた空間内の圧力が所定の減圧状態とし、非通気性誘電体36,37と非導電性多孔質体11とが密着したところで、交流電源51から交流高電圧を印加すると、非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面とで囲まれた空間の内部で放電が発生し、プラズマが生成され、非導電性多孔質体11の総表面が処理される。
【0079】
図13に示す態様では、図12に示す電極27に代えて、電極26よりも直径の小さな円柱状の電極を、複数個(例えば、5個)使用する。5個の円柱状の電極28a,28b,28c,28d,28eは、それらの電極よりも直径が大きな円柱状の電極26の表面に担持する非通気性誘電体36の表面に沿って所定の間隔を設けて平行に配置し、5個の電極28a,28b,28c,28d,28e(以下、5個の電極28a,28b,28c,28d,28eを併せて、単に電極28と称することがある)と電極26とが対向するように配置する。
電極28を交流電源51に接続し、電極26をアースする。非通気性誘電体36,37の接触面には、両非通気性誘電体間の空気を排出し、減圧するための吸引管(図示せず)が両脇から挿入されており、吸引管は吸引機(図示せず)に連結されている。非通気性誘電体36と非通気性誘電体37とで、囲繞体を形成する。
【0080】
非導電性多孔質体11は、両電極26,28の上流に設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図示せず)によって、電極26の表面上に担持された非通気性誘電体36と、電極28の表面上に搬送される非通気性誘電体37との間に、一定方向(矢印Bで示す方向)に所定速度で連続的に供給され、それらと接触しながら非通気性誘電体36,37の間を通過する。非通気性誘電体36,37の間を通過した非導電性多孔質体11は、両電極26,28の下流に設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図示せず)によって、所定速度で連続的に移送される。
【0081】
吸引機を作動させると、非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面との間の空気が、吸引管を介して排出され、非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面とで囲まれた空間の内部の圧力が低下する。非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面とで囲まれた空間内の圧力を所定の減圧状態とし、非通気性誘電体36,37と非導電性多孔質体11とが密着したところで、交流電源51から交流高電圧を印加すると、非通気性誘電体36の搬送面と非通気性誘電体37の搬送面とで囲まれた空間の内部で放電が発生し、プラズマが生成され、非導電性多孔質体11の総表面が処理される。
【0082】
本発明の製造方法及び製造装置では、図12又は図13に示す各態様において、図12に示す電極27及び非通気性誘電体37の組合せ、あるいは、図13に示す電極28及び非通気性誘電体37の組合せに代えて、例えば、図9〜図11に示すエンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルムを用いることもできる。
【0083】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
《シート状物(単層)の総表面処理(1)》
被処理体としては、ポリエチレン成分を鞘成分とし、ポリプロピレン成分を芯成分とする芯鞘型複合繊維(2dtex)をカード機により開繊して繊維ウエブを形成した後、熱カレンダーロール間を通すことによりポリエチレン成分で融着させた不織布(大きさ=15cm×20cm,厚さ=0.25mm,目付=70g/m2)を用いた。
前記不織布1枚を、シリコーンゴムシート(大きさ=20cm×30cm,厚さ=0.5mm)2枚の間に挟み、シリコーンゴムシートの接触面の1箇所から吸引ノズルを入れ、更に、ステンレススチール製平板電極(大きさ=15cm×20cm,厚さ=10mm)2枚の間に挟んだ。
所定の圧力になるまで吸引ノズルから空気を吸引して、シリコーンゴムシートと不織布とを密着させた後、電極間に交流電圧を印加して放電を発生させた。なお、印加した交流電圧の条件及び処理時間は、後述の表1に示すとおりである。
【0084】
放電処理を実施した不織布シートの吸水性は、以下の手順により測定した。すなわち、放電処理した不織布シートを裁断(幅=25mm,長さ=150mm)した後、一方の末端部(一端から5mmまでの領域)を水に浸漬し、高さ50mmまで水を吸い上げるのに要する時間を測定した。
得られた結果を表1に示す。また、比較例として、大気圧で実施した結果も併せて示す。表1において、「>200」は、200秒を越えても高さ50mmまで到達しなかったことを示す。なお、この場合、均一に水が上昇しなかった。
非常に短時間の処理で、高い親水性が付与されていることが確認された。
【0085】
Figure 0004175850
【0086】
【実施例2】
《シート状物(単層)の総表面処理(2)》
被処理体としては、ポリプロピレンからなるメルトブロー不織布(大きさ=15cm×20cm,厚さ=0.2mm,平均繊維径=約2μm,目付=25g/m2)を用いた。
前記不織布1枚を、シリコーンゴムシート(大きさ=20cm×30cm,厚さ=0.5mm)2枚の間に挟み、シリコーンゴムシートの接触面の1箇所から吸引ノズルを入れ、更に、ステンレススチール製平板電極(大きさ=15cm×20cm,厚さ=10mm)2枚の間に挟んだ。
所定の圧力になるまで吸引ノズルから空気を吸引してシリコーンゴムシートとメルトブロー不織布とを密着させた後、電極間に交流電圧を印加して放電を発生させた。放電処理を実施した不織布シートの吸水性を、実施例1に記載の方法により測定した。
結果を表2に示す。
【0087】
Figure 0004175850
【0088】
【実施例3】
《積層したシート状物の総表面処理》
被処理体としては、実施例1で用いたのと同じ不織布を使用した。
前記不織布20枚を、シリコーンゴムシート(大きさ=20cm×30cm,厚さ=1mm)2枚の間に挟み、シリコーンゴムシートの接触面の1箇所から吸引ノズルを入れ、更に、ステンレススチール製平板電極(大きさ=15cm×20cm,厚さ=10mm)2枚の間に挟んだ。所定の圧力になるまで吸引ノズルから空気を吸引してシリコーンゴムシートと不織布とを密着させた後、電極間に交流電圧を印加して放電を発生させた。放電処理を実施した不織布シートの吸水性を、実施例1に記載の方法により測定した。
また、不織布10枚を積層した場合についても、同様の操作を行なった。
【0089】
結果を表3に示す。なお、表3に示す吸水性は、各不織布について得られた実測値を統計処理し、「平均値±標準偏差」で表わしたものである。厚さが厚いにもかかわらず、放電集中により穴があくことはなく、均一に放電処理されていた。
【0090】
Figure 0004175850
【0091】
【実施例4】
《筒状物の総表面処理》
被処理体である筒状フィルターは、側面に通水用の穴を開けたポリプロピレン製パイプ(内径=30mm,外径=35mm,長さ=25cm)に、内層として、ポリプロピレンからなるメルトブロー不織布(幅=25cm,厚さ=0.2mm,平均繊維径=約2μm,目付=25g/m2)を5層巻きつけ、更に、外層として、実施例1で用いたのと同じ不織布を5層巻きつけることにより、作製した。なお、各層間には、樹脂製メッシュ(目開き=5mm,太さ=0.2mm)を入れた。
【0092】
囲繞体としては、図14に示す二重筒状容器38と二重筒状容器保持用冶具39との組合せを使用した。なお、二重筒状容器は、厚さ1.5mmのシリコーンゴムを用いて作製し、二重筒状容器保持用冶具は、厚さ10mmのアクリル板を用いて作製した。
前記筒状フィルターを、二重筒状容器の被処理体収納室に収納した後、二重筒状容器保持用冶具を装着した。続いて、二重筒状容器の電極挿入室に、シリコーンゴムに密着するように棒状電極を挿入し、更に、二重筒状容器における外筒の外側側面に、シート状電極(アルミ箔)を巻回した。
二重筒状容器保持用冶具に連結した吸引管から二重筒状容器内の空気を吸引し、1kPaまで減圧して、筒状フィルターと二重筒状容器とを密着させた状態で、周波数50Hz、電圧35kVの交流電圧を2分間印加することにより、総表面処理を実施した。
【0093】
処理後の筒状フィルターと、比較用の処理前の筒状フィルターとについて、筒(ポリプロピレン製パイプ)の一端をふさいだ状態で、もう一方の一端から筒の内部に水を注入し、外部への水の通過の程度を観察した。処理前の筒状フィルターでは、60分間経過した後でも、全く水を通さないのに対して、処理後の筒状フィルターでは、約10秒後に、水が外部へ染み出した。
【0094】
【比較例1】
《コロナ放電によるシート状物(単層)の総表面処理(1)》
本比較例では、対電極(誘起電極)として、表面をシリコーンゴム(厚さ=3mm)で覆った円柱状電極(長さ=1300mm,直径=150mm)を使用し、放電極として、アルミ製の棒状電極(放電面の大きさ=15mm×1200mm)を使用した。前記円柱状電極の中心軸と、前記棒状電極の軸方向とが平行になるように、両電極を所定間隔を隔てて配置し、その電極間に被処理体を通過させることにより、コロナ放電による総表面処理を行なった。電源としては、春日電機製AGI040を使用した。
被処理体としては、実施例1で用いたのと同じ不織布を、そのまま(すなわち、積層することなく、単層のまま)使用した。その後、実施例1と同様に評価した。
【0095】
結果を、後述の比較例2の結果と併せて、表4に示す。吸水性は極めて低く、処理時間が短いと吸液しなかった。また、濡れ性は不均一であった。
【0096】
Figure 0004175850
【0097】
【比較例2】
《コロナ放電による積層したシート状物の総表面処理》
本比較例では、被処理体として、実施例1で用いたのと同じ不織布を10枚積層して用いたこと以外は、比較例1の操作を繰り返した。
結果を表4に示す。放電衝撃で部分的に溶けて穴があいた。穴の大きさは、直径が0.1〜1mmであり、発生数は、5〜20個/cm2であった。また、穴の周囲が溶けていた。
【0098】
【比較例3】
《コロナ放電によるシート状物(単層)の総表面処理(2)》
本比較例では、被処理体として、実施例2で用いたのと同じメルトブロー不織布をそのまま(すなわち、積層することなく、単層のまま)使用したこと以外は、比較例1の操作を繰り返した。
処理後は、たくさんの穴があいていた。具体的には、穴の大きさは、直径が0.1mm以下であり、発生数は、10個/cm2以上であった。また、穴の周囲が溶けていた。
【0099】
【比較例4】
《大気圧下での総表面処理》
本比較例では、減圧することなく大気圧下で、交流電圧(周波数=30kHz,出力=1.7w/cm2)を印加して放電を発生させたこと以外は、実施例3の操作を繰り返した。なお、不織布の積層枚数は10枚とした。
処理後は、不織布に穴があいていた。具体的には、穴の大きさは、直径が1〜3mmであり、発生数は、約5個/cm2であった。穴が大きく、数が少ないため、極めて限られた点に放電が集中していることがわかった。また、穴の周囲が激しく溶けていた。
【0100】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、大掛かりな装置(例えば、真空チャンバー)が不要であるため、低コストである。また、本発明の製造方法によれば、被処理体の内部空隙及び被処理体の極近傍でのみ放電を発生させるので、処理効率(すなわち、エネルギー効率)が極めて高い。また、減圧下で実施するため、被処理体を均一に処理することができる。更には、囲繞体として包装用シートを使用すると、総表面処理と包装処理とを同一工程で実施することができ、しかも、放電による殺菌又は滅菌効果も期待することができる。
本発明の製造装置によれば、本発明の製造方法を容易に実施することができる。また、本発明の製造装置は、大掛かりな装置(例えば、真空チャンバー)が不要であるため、低コストである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法及び製造装置の一態様を模式的に示す、断面図である。
【図2】本発明の製造方法及び製造装置の別の一態様を模式的に示す、断面図である。
【図3】図1に示す本発明の製造方法及び製造装置の一態様を模式的に示す、部分拡大断面図である。
【図4】本発明の製造方法及び製造装置の更に別の一態様を模式的に示す、部分拡大断面図である。
【図5】本発明の製造方法及び製造装置の更に別の一態様を模式的に示す、部分拡大断面図である。
【図6】本発明の製造方法及び製造装置の内、マイクロ波を利用する一態様を模式的に示す、説明図である。
【図7】本発明の製造方法及び製造装置の内、長尺シート状の被処理体を連続的に処理する一態様を模式的に示す、断面図である。
【図8】図7のX−X線断面図である。
【図9】本発明の製造方法及び製造装置の内、長尺シート状の被処理体を連続的に処理する別の一態様を模式的に示す、断面図である。
【図10】図9のY−Y線断面図である。
【図11】図10の部分拡大断面図である。
【図12】本発明の製造方法及び製造装置の内、長尺シート状の被処理体を連続的に処理する更に別の一態様を模式的に示す、断面図である。
【図13】本発明の製造方法及び製造装置の内、長尺シート状の被処理体を連続的に処理する更に別の一態様を模式的に示す、断面図である。
【図14】本発明の製造方法及び製造装置で用いることのできる囲繞体の一態様である、二重筒状容器と二重筒状容器保持用冶具との組合せを、分離した状態で示す、斜視図である。
【図15】図14に示す二重筒状容器と二重筒状容器保持用冶具との組合せの、二重筒状容器保持用冶具を二重筒状容器に装着した状態の縦断面図である。
【図16】本発明の製造方法で用いることのできる保型枠の一態様を、被処理体であるひだ折りフィルターと一緒に示す、斜視図である。
【符号の説明】
1・・・内筒;2・・・外筒;3・・・被処理体収納室;
4・・・電極挿入室;
11,12・・・非導電性多孔質体;
21,22,24,25,26,27,28・・・電極;
31,32,33,34,35,36,37,38,39,81・・・非通気性誘電体;
41,83・・・吸引機;42,46,82・・・吸引管;
43,44,45・・・排気用スペーサー;51・・・交流電源;
54,55・・・アルミニウム蒸着フィルム;71・・・保型枠;
84・・・マイクロ波チャンバー;85・・・導波管;
86・・・マイクロ波発生器;91,92・・・ローラー。

Claims (10)

  1. 一対の電極間に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体と囲繞体とを実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に50Hz〜100kHzの交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  2. 一対の電極間に配置され、前記電極の一方と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体と、前記の一方の電極とで囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体を非通気性誘電体及び前記の一方の電極と実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に50Hz〜100kHzの交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  3. 被処理体が、少なくとも一方が開口である内部柱状孔を有する筒状体であり、一対の電極の一方を、前記被処理体の前記内部柱状孔の内部に配置し、一対の電極の残る一方を、前記被処理体の外側側面に配置する、請求項1又は2に記載の非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  4. 放電処理空間内部に被処理体を挿入した状態で前記空間内部を減圧した場合に、前記被処理体の形状を維持することが可能な剛性を有する材料から形成される保形手段と一緒に、前記被処理体を、減圧下でその形状を実質的に維持可能なように、前記空間の内部に挿入する、請求項1又は2に記載の非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  5. 一対の電極間に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部を、被処理体である長尺状の非導電性多孔質体を通過させながら、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、前記空間内を通過する被処理体部分と囲繞体とを実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に50Hz〜100kHzの交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、前記空間内を通過する被処理体部分の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  6. 一対の電極間に配置され、前記電極の一方と一緒になって放電処理空間を形成可能な非通気性誘電体と、前記の一方の電極とで囲まれた空間の内部を、被処理体である長尺状の非導電性多孔質体を通過させながら、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、前記空間内を通過する被処理体部分を非通気性誘電体及び前記の一方の電極と実質的に密着させ、減圧下で前記電極間に50Hz〜100kHzの交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、前記空間内を通過する被処理体部分の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  7. 非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体と囲繞体とを実質的に密着させ、その減圧下で前記空間にマイクロ波を照射して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  8. コイル内に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、且つ放電処理空間を形成可能な囲繞体で囲まれた空間の内部に、被処理体である非導電性多孔質体の全体を挿入し、排気手段によって前記空間の内部を減圧し、被処理体全体と囲繞体とを実質的に密着させ、減圧下で前記コイルに交流電圧を印加して前記空間内部で放電を発生させることにより、非導電性多孔質体の総表面を処理することを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造方法。
  9. (1)対向して配置した一対の電極;
    (2)前記両電極に電気的に接続して、両電極間に50Hz〜100kHzの交流電圧を印加することのできる手段;
    (3)前記両電極間に配置され、非通気性誘電体を少なくとも含む非通気性材料からなり、減圧可能な放電処理空間を形成可能で、被処理体である非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記空間内部に配置可能であり、しかも、前記非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記放電処理空間内部に配置した状態で前記空間の内部を減圧した場合に、前記空間内に配置されている被処理体部分と実質的に密着可能である囲繞体;及び
    (4)前記囲繞体で囲まれた放電処理空間の内部を減圧することのできる排気手段
    を含むことを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造装置。
  10. (1)対向して配置した一対の電極;
    (2)前記両電極に電気的に接続して、両電極間に50Hz〜100kHzの交流電圧を印加することのできる手段;
    (3)前記両電極間に配置され、前記電極の一方と一緒になって減圧可能な放電処理空間を形成可能で、被処理体である非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記空間内部に配置可能であり、前記非導電性多孔質体の少なくとも一部を前記放電処理空間内部に配置した状態で前記空間の内部を減圧した場合に、前記空間内に配置されている被処理体部分と実質的に密着可能である非通気性誘電体;及び
    (4)前記の一方の電極と前記非通気性誘電体とで囲まれた放電処理空間の内部を減圧することのできる排気手段
    を含むことを特徴とする、非導電性多孔質体改質体の製造装置。
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