JP2004244759A - 材料表面の親水化処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、繊維あるいは不織布あるいは織物の高速親水化方法に関する。
【解決手段】真空排気能力を備えたチャンバー内において、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化一窒素のいずれかを50%以上含むガスを流通させながら5Pa以上100Pa以下の圧力状態に維持しながら、最大の電子密度が1×1010cm−3以上1×1013cm−3以下の値を有する容量結合型プラズマ中に、繊維あるいは不織布あるいは織物をカソード電極近傍あるいは接した状態で3秒以下の時間処理し、親水化させる表面処理方法。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、材料表面の親水化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
不織布や繊維にプラズマを用いた親水化処理の方法は、すでによく知られた方法である。
特開昭58−94752号公報にはアルカリ電池の高分子セパレータ材料にマイクロ波プラズマにより親水化処理を行なったポリプロピレンの不織布を用いることが開示されている。不織布を1m/分の速度で処理している。
特開昭58−141220号公報は繊維素系微細多孔フィルムを高周波励起によるプラズマで処理している。このときのプラズマ処理時間は、20秒から60秒である。特開昭61−124675号公報は、ヒンダートアミン系化合物を含有するポリオレフィン不織布にプラズマ処理を行なうことにより、プラズマ処理時間を著しく短縮できることを開示している。しかし、この場合でも、10秒以上の処理時間がかかっている。
特開昭62−84761号公報は、プラズマ重合手法を併用することにより、表面グラフト化を実施し、親水性を長期間持続できるようにすることを狙ったものである。このとき、親水化処理を行なった不織布は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン−ポリプロピレン複合繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維などが用いられている。
【0003】
また、プラズマを用いた処理の方法として、特開昭57−18737号公報は、処理装置の内部に1本の棒状電極を配置した構造のプラズマ処理装置を開示している。また、特開昭62−172034号公報は、被処理物の繰り出し手段とプラズマ照射手段とを対向させたプラズマ装置を開示している。また、特開昭58−120862号公報は、織物、編み物などの布はくの親水化処理を行なうために、バキューム口を布はく導入口近傍に設け、ガス供給口を布はく導出口近傍に設けた構造のプラズマ連続処理装置を開示している。しかし、これらの方法によっても、十分に速い速度で親水化を行わしめることができず、その分、装置を大きくする必要がある。また、特開平6−80807号公報は、放電電界に直交する方向に磁界を印加することにより、被処理物の幅方向はもとより長さ方向にも均一なウエブの連続処理をする方法を開示している。但し、この方法によっても、実施例によると処理速度は、最大で1[m/分]である。
【0004】
特開平6−79832号公報は、疎水性繊維を用いた多孔質繊維シートに、5〜15[MHz]の高周波出力を印加し、高周波出力処理密度と処理時間の積が、0.1〜50[W sec/cm]の範囲で、かつガス圧力範囲0.01〜10Torrにて処理することを開示している。ガスとしては、酸素、水素、窒素、水蒸気、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン、一酸化一窒素などを使用している。またプラズマ処理に用いる繊維として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド等を用している。しかし、実施例においては、高周波出力処理密度と処理時間の積が3.9〜31.2[W sec/cm]の範囲で行なわれているに過ぎず、0.1〜50[W sec/cm]の広い範囲においてその効果があるのかは不明である。また、処理時に、処理される多孔質繊維シートを電極板上に直接位置させると、加速した電子や荷電粒子のため、多孔質繊維シート表面が損傷するので、電極からシートまでの距離を1〜20[cm]の位置に設置している。
【0005】
前記のように従来から様々な方法により繊維あるいは不織布あるいは織物の表面親水化が行なわれている。しかし、これらの方法は比較的長い時間をかけて行なわれており、汎用性の高い材料の親水化では、そのプロセスはコストの面で折り合っていない。長時間プラズマ処理を要する場合には、長時間装置を占有することになり、その結果的に製造装置の償却費がかさむことになり、製造コストが高くなる結果となる。プラズマ処理装置は一般に高価であるため、製造費用に占める費用は大きい。そのため、処理時間の短縮化を図ることが、低価格で製造でする上で重要となる。
しかし、これまでの方法では、親水化するのに十分な時間を与える必要があり、プラズマ処理の高速化は達成されていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、材料表面の親水化処理速度の高速化を目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 材料表面の親水化処理方法であって、0.1 Pa以下の真空排気能力を備えたチャンバー内に、酸素原子を有するガスを体積分率にて20%以上含有するガスを流通させながら5Pa以上100Pa以下の圧力下、最大の電子密度が1×1010cm−3以上1×1013cm−3以下の容量結合型プラズマ中で、被処理材料を10秒以下の時間処理することを特徴とする材料表面の親水化処理方法。
(2) 被処理材料をカソード電極に接した状態で処理することを特徴とする(1)に記載の親水化処理方法。
に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる装置は、例えば図1に示すようなプラズマ装置を用いることができる。図1に示した装置は代表的な平行平板型の容量結合型のバッチ式プラズマ装置であり、ガスを供給しながら真空状態を維持することができる。被処理物として好適に使用できる繊維、不織布あるいは織物は、電極の近傍に設置するのが好ましい。電極に接するように設置するのがより好ましい。電極は、アース接地のアノード電極81と、高周波電源54、マッチングボックス53、カソード電極52とからなる高周波電力源により構成されている。ガスは、ライン71を通じて真空チャンバー2内に供給することができる。0.1Pa以下に真空引きが可能な真空排気装置を有する。これは、チャンバー内にガスを供給しつつ、5Pa以上50Pa以下の圧力に維持するためである。真空排気装置6は、通常、ゲートバルブ63とターボ分子ポンプ62と油回転ポンプ61により構成されている。ターボ分子ポンプの代わりに油拡散ポンプやメカニカルブースターポンプを用いてもよい。また、油回転ポンプの代わりに、ドライポンプを用いてもよい。
【0009】
図3は、連続処理型の容量結合型プラズマ装置の概略図である。高周波電力を高周波電源54から投入された電力をマッチングボックス53を介して,高周波電極(カソード電極)52に印加するすることによりアノード電極81との間にプラズマを形成することができる。被処理物として好適に使用できる繊維、不織布あるいは織物(1)は、送り出しローラー42からガイドローラー44、46、カソード電極52、ガイドローラー47、45を経由して巻取りローラー43に巻き取られる。被処理物は、円弧を描くカソード電極(52)の上をすべるように移動できる構造となっている。真空排気装置は、ゲート弁63、ターボ分子ポンプ62、油回転ポンプ61の3段より構成されている。ガスはガスライン71を介して供給される。
導入するガスは、高速での材料表面の親水化処理を達成するために、酸素原子を有するガスを少なくとも、体積分率にて20%以上含有する必要がある。好ましくは50%以上であり、さらに好ましくは60%以上である。もちろん、これらの、酸素原子を有するガスのみからなるものであってもよい。
酸素原子を有するガスとしては、酸素、一酸化炭素や二酸化炭素、一酸化二窒素、二酸化一窒素などがあげられる。これらのガスは任意の割合に混合して用いることも可能である。希釈用のガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等のガスや窒素やアンモニアなどの窒素系のガスを使用できる。さらに、全体のガス体積に対して10%以下であれば、メタンやエタン、エチレン、アセチレンなどのハイドロカーボン系のガスを使用することも可能である。また、全体積の1%以下であればシランやジシランなどの珪素系のガスを使用することも可能である。これらガスは、混合物ガスとしてライン71から導入されるが、導入するガス組成がこの割合になるようにそれぞれのガスを別々に導入することも可能である。
【0010】
また、低蒸気圧の常温常圧で液体あるいは固体であるものは、バブラーに充填し、ガスを供給して真空チャンバー内にガスと同伴供給することが可能である。プラズマを形成する圧力は、5Pa以上100Pa以下である。より好ましい圧力範囲は、7Pa以上、30Pa以下である。5Paより圧力が低いと、十分に高い電子密度を有するプラズマを形成することができない場合がある。また、100Paよりも高い圧力の場合には、カソード電極とアノード電極間の電極間隔が十分に狭い状態でなければプラズマが形成できず実用的でない。また形成したプラズマの電子密度の高い部分は、カソード電極の端部に集中するため、不均一な電子密度分布を有するプラズマが形成し好ましくない。
プラズマを形成するための高周波電源の周波数は、1MHz以上100MHz以下が好ましい。周波数が1MHzよりも低い場合には、イオンも周波数に応じて運動することが可能な領域となるため、カソード電極近傍におけるシースの形成がなくなると同時に、1×1010cm−3以上の高い電子密度を得ることが難しくなる。
特に、酸素あるいは二酸化炭素などの酸素原子を有するガスは、プラズマ中で酸素の負イオンを形成する結果、高い電子密度が得られにくい傾向にある。負イオンは、電気陰性度の低い酸素原子がプラズマ中の電子と結合することにより形成されるものであり、これにより電子の持つエネルギーが消失してしまうからである。
【0011】
電子密度は、1×1010cm−3以上必要である。上限は1×1013cm−3以下であるが、1×1012cm−3以上の容量結合型プラズマを達成することはまれである。電子密度が1×1010cm−3に満たない場合、十分な親水化処理ができない場合がある。好ましくは3×1010cm−3以上であるが、最も好ましくは5×1010cm−3以上である。1×1010cm−3以上の高密度プラズマで処理すると被処理物はプラズマによる熱ダメージを同時に受ける。従って、熱ダメージの影響を極力さけるためにプラズマに曝す処理時間は、10秒以下、好ましくは5秒以下、さらに好ましくは3秒以下、最も好ましくは1秒以下である。
被処理材料を電極近傍付近に設置するのが好ましい。カソード電極の近傍付近に設置するのがより好ましいが、カソード電極に接触した状態で設置するのが最も好ましい。カソード近傍が容量結合型プラズマの最も高い電子密度を有する範囲でこの位置に設置するのが好ましい。さらにカソード電極は負電位に帯電しシース領域を形成しているので、電極に接触させて被処理材料に正イオンの衝突を生じさせるのが好ましい。正イオンの衝突が材料表面の酸化反応を促進し、親水化に寄与すると考えられる。
図2は、カソード電極に印加する高周波電力とカソード電極に形成される自己バイアス電圧の関係をプロットしたものである。200[W]の高周波電力の投入により、−800[V]の自己バイアス電圧が形成され、800[V]に相当する正イオンのエネルギーを受けることになる。この結果、親水化表面を形成するための酸化反応も促進されることになり、親水化が進むことになる。
【0012】
以下カソード電極近傍が高い電子密度分布になる理由を説明する。
電子は高周波の周期変化に追従した動きをなす一方で正イオンは高周波の周波数変化に追従できず、電子に比較すればプラズマ空間中に停止しているかのような状態になる。従って,電極に電子が多く到達し、正イオンは電極に到達できないことになる。この結果、定常的にアノード電極、カソード電極ともに電子電流が流れこむ結果になるが、アノードはアースに短絡されているので電子電流が蓄積することはない。
これに対してカソード電極にはコンデンサーが接続されているため、電子電流の蓄積により直流成分が発生し、コンデンサーの電極側に負の電位が発生し、カソード電極に負の自己バイアス電圧が形成される。プラズマ空間において、負電位に保持されたカソード電極の正イオンが消失し、プラズマからの正イオンの供給が追いつかず電子が相対的に多く存在するシース領域が形成される。その結果、電子の正イオンとのクーロン衝突が緩和され、ますます電子密度が高くなる。但し、シース領域においても正イオンの存在量は減少するものの全くなくなるわけではない。また電子密度が高くなるために、電子との衝突によって発生するラジカル量は増大するが、電気的に中性であるためこれらの電位に影響を与えない。
【0013】
電子密度はプラズマプローブ等のプラズマ診断手法により測定することが可能である。但し、プラズマプローブを用いた場合でもカソード近傍のようなプラズマシース内部の電子密度やイオン密度を測定することは困難であるので、バルクプラズマ中の測定結果とシミュレーションによる結果とを総合して求める必要がある。正イオンについても同様に測定とシュミレーションにより求めることが可能であるが,複数種類の正イオンが存在するので,どの正イオンが存在しているかを決定することは困難である。また、ラジカル量を直接測定することは困難であるので、電子密度をプラズマの指標にすることは、物理的にもまた実際的にも意味のあることである。
【0014】
次に親水化メカニズムを詳述する。
プラズマ中に存在するガスが、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素等酸素ガスを有するガスを含む場合、プラズマ中に酸素ラジカル等を多く含む酸化性の活性種が多く存在することになる。これらの酸化性の活性種が被処理材料の表面に酸化反応を生じせしめ、材料表面にカルボキシル基、カルボニル基、水酸基、パーオキサイド等が形成することにより、表面を親水化する。また、一酸化二窒素や二酸化一窒素などのガスを含む場合には,ニトロ基やニトリル基、アミド基などが形成するほか、ウレタン、ウレア、イミド基なども形成し、材料表面を親水化する。また、正イオン自身は、電位的に負に帯電したカソード電極に向けて加速しながら移動し、高い反応性を有するに至り、被処理材料の表面に化学的な作用を与える。
電子密度の高いことが直接に被処理材料表面の親水化に影響しているわけではないが、結果的に電子密度の高いことが材料表面の酸化を促進する化学活性種の存在量の増大をもたらす。
【0015】
親水化を行なう被処理材料は繊維あるいは不織布あるいは織物形状のものが好ましく、素材としては、PE((高密度、中密度、低密度)ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、IO(アイモノマー)、OPE(塩素化ポリエチレン)、PB(ポリブテン)、PBD(ポリブタジエン)、PMP(ポリメチルペンテン)、ABS(アクリルニトリル−エチレン−スチレン−コポリマー)、SAN(スチレン−アクリロニトリル−コポリマー)、AES(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン−コポリマー)、PVA(ポリ酢酸ビニル)、COP(環状ポリオレフィンコポリマー)、PMMA(メタクリル樹脂)、PS(ポリスチレン)、PVA(ポリビニルアルコール)、PVC(ポリ塩化ビニル)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン)、PAA(ポリアリルアミン)、PVE(ポリビニルエーテル)、PVOH(ポリアクリルニトリル)、PBB(ポリビニルブチラート)などの汎用の熱可塑性プラスチックス材料や、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、NY−6(ナイロン−6)、NY−66(ナイロン−66)、POM(ポリアセタール)などの熱可塑性の汎用のエンジニアリングプラスチックス材料、さらにPSF(ポリスルフォン)、PES(ポリエーテルスルフォン)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PAR(ポリアリレート)、PAI(ポリアミドイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、UHMWPE(超高分子量ポリエチレン)、i−PS(アイソスタチックポリスチレン)、LCP(液晶ポリマー)、610PA(ナイロン610)、612PA(ナイロン612)、11PA(ナイロン11)、12PA(ナイロン12)、46PA(ナイロン46)、PI(ポリイミド)、FR(フッ素樹脂)などの熱可塑性のスーパーエンジニアリングプラスチックス材料、エポキシ樹脂や、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維あるいは不織布あるいは織物などが挙げられる。また、プラスチックではないが、カーボンファイバー(炭素繊維)もこれらの繊維および織物の材料となる。なお、カーボンファイバーについては、PAN系(ポリアクリルニトリル系)のもの、ピッチ系のものがあるが、どちらの場合にも適合する。
【0016】
親水性の評価方法については、水滴を滴下し、その接触角を測定することによって判定することが一般的な方法である。親水性の表面が室温にてほぼ水と同じ72[mJ/m]の値を有している場合には、水滴は落ちた表面で濡れ広がる状態となる。これが繊維状のものであれば、水滴が吸い込まれる現象が生ずる。
そのほかにも、あらかじめその表面エネルギーの分かっている液体を垂らし濡れ性を見ることにより、その表面の親水性を評価することも可能である。例えば,ホルムアミドは58.2[mJ/m]の値を持ち,ジヨードメタン、ヘキサデカンの表面エネルギーは夫々50.8[mJ/m] 、27.6 [mJ/m]である。これらの試薬を用い,その濡れ性から親水性を判断することが可能である。
【0017】
【実施例】
実施例1
1−1 装置の電子密度の測定
平行平板型の電極を供えた容量結合型プラズマ装置を用い、カソード電極とアノード電極の間にラングミュアプローブを差し込んで,その電子密度と電子温度を測定する実験を行った。カソードとアノード間の電極間隔は7cmであり、ラングミュアプローブの位置はアノードから3cm、カソード電極から4cmの位置である。なお、測定の水平位置は電極の中心を結ぶ線上とした。用いたガスは酸素であり、その流量は60[sccm]である。プラズマの出力は、25[W]から200[W]の範囲で行なった。また、圧力条件は、1[Pa]以上100[Pa]の範囲とした。これらの電子密度の測定結果を表1に示す。
【0018】
【表1】
Figure 2004244759
【0019】
これらの結果より電子密度が1×1010[cm−3]以上の値を有するのは、200[W]の場合に限られた。これは電極面積に換算して、その電力密度は2.54[W/cm]である。
ついで、印加する高周波電力と、自己バイアス電圧の関係を調べた。図2にその結果を示した。自己バイアス電圧と高周波電力のピークツーピーク電圧は、ほぼ1:2の関係にある。この結果から、高周波電力が、25[W]、100[W]、200[W]の場合には、夫々−360[W]、−580[W]、−830[W]の関係にある。この関係をもとに、このピークツーピーク電圧を用いて、酸素ガスを用いた際のシミュレーションを行なった。シミュレーションに用いたソフトウエアは、ペガサス・ソフトウェア社のPHMモデルおよびPIC−MCCMモデルである。これらのシミュレーションの結果を表2、表3に示す。その結果、圧力の低い1[Pa]の場合には電子密度が最も高いところでも1.0×1010[cm−3]を超えることはなかった。さらに、20[Pa]の場合には、最も電子密度の高い部分は、カソード電極の端部分に限定されており、その他の部分は1.0×1010[cm−3]を超えることはなかった。圧力が20[Pa]の場合には、電子密度の高い部分がカソード電極の近傍に集中していることが確認でき、最も高いところで、5.3×1010[cm−3]であると求められた。また、圧力が67[Pa]の場合にも、電子密度の高い部分がカソード電極の近傍に集中していることが確認でき、最も高いところで、2.3×1010[cm−3]であると求められた。これらの結果より、平行平板型の容量結合型プラズマを用いた場合,最も電子密度の高い部分は、カソード近傍であることが確認できた。なお、アノード近傍では、電子密度がプラズマの中心部分よりも高くなることはなかった。
【0020】
【表2】
Figure 2004244759
【0021】
【表3】
Figure 2004244759
【0022】
1−2 親水化処理
前記の平行平板型の電極を供えた容量結合型プラズマ装置を用い、カソード電極とアノード電極の両方にポリプロピレン不織布を5cm角のガラス板に張りつけ,プラズマ処理を行った後の水滴による接触角の測定試験を行った。なお、ポリプロピレン不織布は、アイソタクチックホモタイプであり、不織布目付け18[g/m]で繊維径は、2.0デニールのものを用いている。これらの結果を表4と表5に示した。
【0023】
【表4】
Figure 2004244759
【0024】
【表5】
Figure 2004244759
【0025】
この結果より、プラズマ出力200[W]の場合においてカソードに設置したものは、3[秒]という短い時間において、高度な親水性を示すことが認められた。この結果は、実施例1−1の結果と合わせて、1×1010[cm−3]以上1×1013[cm−3]以下の範囲にあるプラズマ条件に曝された不織布が高度な親水化状態となっていることが分かる。
【0026】
実施例2
2−1 装置の電子密度の測定
図3に示す連続処理型の平行平板型容量結合型プラズマ装置を用い、送り出しロール42に巻き取ったポリプロピレン不織布1をプラズマ処理した。用いたガスは酸素ガスであり、ガス供給ライン71を介して真空チャンバー41に供給する。
ポリプロピレン不織布は、真空チャンバーを大気開放にした状態で送出しロール42にセッティングし、ガイドロール44、46、47および45を介して、巻取りロール43に巻き取られる。ガイドロールを調整し不織布がカソード電極から2cmの位置を通過するようにした。
カソード電極52は、マッチングボックス53を介して、高周波電源54より電力が印加される。高周波電源にはアステック社製の3kWタイプのものを用いた。ガス供給ラインからのプラズマ処理用のガスは、ゲートバルブ63を介し、ターボ分子ポンプ62、油回転ポンプ61により真空排気される。
カソード電極52とアノード電極81の間にラングミュアプローブを差し込んで,その電子密度と電子温度を測定する実験を行った。カソードとアノード間の電極間隔は7cmであり、ラングミュアプローブの位置はアノードから5cm、カソード電極から2cmの位置でありカソード電極の近傍である。なお、測定の水平位置は電極の中心を結ぶ線上とした。用いたガスは酸素であり、その流量は200[sccm]である。プラズマの出力は、150[W]から2500[W]の範囲で行なった。また、圧力条件は、1[Pa]以上100[Pa]の範囲とした。これらの電子密度の測定結果を表6に示す。
【0027】
【表6】
Figure 2004244759
【0028】
これらの結果より電子密度が1×1010[cm−3]以上の値を有するのは、2500[W]の場合に限られた。これは電極面積に換算して、その電力密度は2.78[W/cm]である。
2−2 親水化処理
前記装置において、ポリプロピレン不織布をロールに設置して、巻取りの速度を変化させながら、ラングミュアプローブでプラズマ密度を測定した位置と同じ位置にプロピレン不織布を通過させた。プラズマ処理を行った後の不織布を用いて水滴による接触角の測定試験を行った。なお、ポリプロピレン不織布は、アイソタクチックホモタイプであり、不織布目付け18[g/m]で繊維径は、2.0デニールのものを用いている。これらの結果をまとめたものを、表7に示した。なお、巻取り速度は1[m/分]、5[m/分]、30[m/分]の3段階でテストを行った。カソード電極のサイズは30cm角であるので、夫々の場合における通過時間は、18[秒]、3.6[秒]、0.6[秒]に相当する。
【表7】
Figure 2004244759
【0029】
この結果より、高周波電力2500[W]の場合に不織布の送出し速度5[m/分]、および30[m/分]の速度で行ったものは、夫々の処理時間が、3.6秒および0.6秒という短い時間において、高度な親水性を示すことが認められた。実施例2−1の結果と合わせて、1×1010cm−3以上1×1013cm−3以下の範囲にあるプラズマ条件に曝された不織布が高度な親水化状態となっていることが分かる。また、一方で、送出し速度1[m/分](処理時間:18秒)で行った場合には、不織布自身に縮みが生じ、その結果として水滴接触角が大きくなってしまっていることが分かる。これは、長時間、高密度のプラズマに曝された結果、ポリプロピレン不織布に熱ダメージが生じた結果である。
【0030】
実施例3
実施例1−1の平行平板型の電極を供えた容量結合型プラズマ装置を用い、5[cm]角のガラス板にカーボンファイバーを巻きつけ、カソード電極に設置した。3秒間プラズマ処理を行った後の水滴による接触角の測定結果は、0℃であった。なお、用いたカーボンファイバーは、アクリル繊維を耐炎化した後,炭化して成形した炭化糸である。
この結果より、プラズマ出力200[W]の場合においてカソードに設置したものは、3[秒]という短い処理時間で、高度な親水性を示すことが認められた。
【0031】
【発明の効果】
本発明により、繊維あるいは不織布あるいは織物の高速親水化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】バッチタイプの容量結合型プラズマ装置の模式図。
(符号の説明)
1…基材フィルム、基材不織布
2…真空チャンバー
52…カソード電極 53…マッチングボックズ 54…高周波電源
61…油回転ポンプ 62…ターボ分子ポンプ 63…ゲートバルブ
71、72…ガス供給ライン 73、74、75、76…バルブ 77…バブラー
81…アノード電極
【図2】高周波出力とカソード電極に印加される自己バイアス電圧の関係を示す図
【図3】連続処理タイプの容量結合型プラズマ装置の模式図。
(符号の説明)
1…基材フィルム、基材不織布
2…真空チャンバー
42…送出しローラー 42…巻取りローラー 44、45、46、47…ガイドローラー
52…カソード電極 53…マッチングボックズ 54…高周波電源
61…油回転ポンプ 62…ターボ分子ポンプ 63…ゲートバルブ
71…ガス供給ライン
81…アノード電極

Claims (2)

  1. 材料表面を親水化処理する方法であって、0.1Pa以下の真空排気能力を備えたチャンバー内に、酸素原子を有するガスを体積分率にて20%以上含有するガスを流通させながら、5Pa以上100Pa以下の圧力下、最大の電子密度が1×1010cm−3以上1×1013cm−3以下の容量結合型プラズマ中で、被処理材料を10秒以下の時間処理することを特徴とする材料表面の親水化処理方法。
  2. 被処理材料をカソード電極に接した状態で処理することを特徴とする請求項1に記載の材料表面の親水化処理方法。
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