JPH10195674A - 総表面の処理方法及び総表面の処理装置 - Google Patents

総表面の処理方法及び総表面の処理装置

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JPH10195674A
JPH10195674A JP35861596A JP35861596A JPH10195674A JP H10195674 A JPH10195674 A JP H10195674A JP 35861596 A JP35861596 A JP 35861596A JP 35861596 A JP35861596 A JP 35861596A JP H10195674 A JPH10195674 A JP H10195674A
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dielectric layer
porous dielectric
porous
electrodes
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康 竹内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スパーク放電等による被処理体の損傷、又は
処理むらなどが起こりにくく、任意の種類の気体を利用
することができ、連続的に処理することが可能な、放電
による総表面を処理する手段を提供する。 【解決手段】 対向して配置した、少なくともその表面
の一部に多孔質誘電体部分41を含む誘電体層71を対
向表面側に設けた第1の電極21と、第2の電極22と
の間に被処理体11を配置し、前記第1電極と前記被処
理体とを直接に接触させず、前記第1電極に設けた多孔
質誘電体部分及び前記第2電極のそれぞれと、前記被処
理体の外側表面とを直接に接触させた状態で、前記両電
極間に交流電圧を印加して、両電極間に挟まれた多孔質
誘電体部分の内部空隙で放電を発生させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、放電による総表面
の処理方法及び総表面の処理装置に関する。本発明によ
れば、被処理体が導電性材料であるか非導電性材料であ
るかを問わず、被処理体の総表面に、例えば、親水性、
疎水性、又は接着性を付与したり、総表面の親水性、疎
水性、又は接着性を向上させたり、あるいは被処理体の
総表面に粗面加工を施したりすることができる。
【0002】
【従来の技術】従来、放電による被処理体の表面処理方
法としては、例えば、交流コロナ放電又は直流コロナ放
電を利用する方法、低圧グロー放電を利用する方法、及
び大気圧グロー放電を利用する方法などが知られてい
た。交流コロナ放電を利用する方法は、平板電極などの
対電極(誘起電極)の表面上に面接触して設けた誘電体
表面上に、被処理体を接触させ、前記被処理体と所定間
隔(通常は約1mm〜数mm)を隔てて、ワイヤー電極
又は針状電極などの放電極を配置し、空気中又は所定の
気体中で、前記放電極と前記対電極との間に交流高電圧
を印加し、放電極から発生する線状コロナの作用により
前記被処理体の表面処理を行なう方法である。発生する
線状コロナを安定化するために、前記のように被処理体
と対電極との間に誘電体を挿入することが一般的であ
る。前記気体としては、被処理体の表面に導入する官能
基の種類に応じて適宜選択する。交流高電圧の代わりに
直流高電圧を印加することにより発生する直流コロナ放
電を利用しても、被処理体の表面処理を行なうことがで
きる。この方法では、コロナ放電を発生させるために、
放電極と対電極との間に或る一定以上の電界強度、すな
わち、コロナ開始電圧以上の高電圧を印加する必要があ
るが、あまり高電圧にしすぎると、被処理体の弱い箇所
を通じて電極間でスパーク放電に至り、被処理体に大き
な穴を開けるなどの損傷を生じることがある。また、凹
凸のある被処理体を処理する場合には、均一に放電する
ことができず、処理むらが生じたり、被処理体に穴が開
くなどの損傷を生じることがある。
【0003】低圧グロー放電を利用する方法は、減圧す
ることができる放電容器の内部に、対向する一対の電極
を設け、それらの電極間に被処理体を配置し、減圧装置
により放電容器内の空気又は所定の気体の気圧を約10
-2〜約10Torr程度に保った状態で、前記電極間に
通常、数KHz〜数十KHzの交流電圧を印加し、それ
らの電極間に発生するグロー放電の作用により前記被処
理体の表面処理を行なう方法である。この方法において
は、被処理体は、電極と接触しないように配置された状
態で、あるいは一方の電極のみと接触するように配置さ
れた状態で交流電圧を印加される。この方法では、パッ
シェンの法則から、低圧下の放電は電極間の距離を或る
程度あけた方が起こりやすいため、交流コロナ放電を利
用する前記の方法に比べて電極間の間隔を広くとること
ができる。しかも、低圧においては電離化学種が失活し
にくく、火花放電も起こしにくいので、放電に使用する
ことのできる気体の種類も多い。しかし、放電容器内の
気圧を低圧にするための減圧装置を必要とし、連続加工
には不向きである。また、被処理体が、揮発性物質、例
えば、水又は可塑剤などを含む場合には、圧力コントロ
ールが難しい。
【0004】大気圧グロー放電を利用する方法〔例え
ば、工業加熱,第27巻,第1号(1990)、特開平
4−74525号公報に記載〕は、密封することのでき
る放電容器の内部に、所定間隔(通常は数mm)を隔て
て対向する一対の電極を設け、希ガス、特に、ヘリウム
を主成分とし、官能基導入のために使用される所定の気
体を同時に含む混合ガスを放電容器に供給しながら、前
記電極間に通常、数KHz〜数十MHzの交流電圧を印
加し、それらの電極間に発生するグロー放電の作用によ
り被処理体の表面処理を行なう方法である。この方法に
おいては、発生するグロー放電を安定化するために、い
ずれか一方の電極の表面に誘電体を接触して設けること
が一般的である。被処理体は、電極及び/又は誘電体の
いずれとも接触しないように配置された状態で、あるい
は誘電体又は電極のいずれか一方とのみ接触するように
配置された状態で交流電圧を印加される。この方法で
は、高価な希ガスを必要とし、安定に放電を発生するこ
とのできる気体の種類が制限されると共に、官能基導入
のために使用する気体の量を多くすると放電が不安定に
なるため、気体の量も制限される。一般的には反応性ガ
スは10%程度までしか混入することができない。ま
た、多孔質体を処理する場合には、被処理体内部の空隙
にガスが入り込まないためか、多孔質体の総表面を均一
に処理することが難しかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、スパーク放電等による被処理体の損傷、又は処理む
らなどが起こりにくく、任意の種類の気体を利用するこ
とができ、連続的に処理することが可能な、放電による
総表面を処理する手段を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的は、本発明に
よる、対向して配置した、少なくともその表面の一部に
多孔質誘電体部分を含む誘電体層を対向表面側に設けた
第1の電極と、第2の電極との間に被処理体を配置し、
前記第1電極と前記被処理体とを直接に接触させず、前
記第1電極に設けた多孔質誘電体部分及び前記第2電極
のそれぞれと、前記被処理体の外側表面とを直接に接触
させた状態で、前記両電極間に交流電圧を印加して、両
電極間に挟まれた多孔質誘電体部分の内部空隙で放電を
発生させることを特徴とする、被処理体の総表面の処理
方法によって達成することができる。また、前記の目的
は、本発明による、(1)対向して配置した第1の電極
及び第2の電極、(2)前記第1電極の対向表面側に配
置し、少なくともその表面の一部に多孔質誘電体部分を
含む誘電体層、(3)前記第1電極とは直接に接触しな
いが、前記第1電極に設けた多孔質誘電体部分及び前記
第2電極のそれぞれと、外側表面が直接に接触するよう
に被処理体を配置することのできる手段、及び(4)前
記両電極に電気的に接続して、両電極間に交流電圧を印
加することのできる手段を含むことを特徴とする、被処
理体の総表面の処理装置によっても達成することができ
る。
【0007】本明細書において、「総表面」とは、被処
理体のすべての表面を意味する。すなわち、被処理体が
多孔質体である場合には、多孔質体の外側表面及び内側
表面の両方を含む概念であり、被処理体が非多孔質体で
ある場合には、非多孔質体の外側表面を意味する概念で
ある。外側表面とは、被処理体が多孔質体であるか非多
孔質体であるかを問わず、被処理体に外接する平滑表面
を有する仮想立体と接する被処理体の表面を意味する。
また、多孔質体の内側表面とは、多孔質体の前記仮想立
体の内部に含まれるすべての内部空隙の全表面を意味す
る。従って、多孔質体の内側表面とは、発泡体型多孔質
体においては各気泡(cell)の表面であり、フィル
ム型多孔質体においては凹部構造(例えば、くぼみ又は
溝など)又は貫通孔の表面であり、繊維質型多孔質体に
おいては構成繊維によって形成される内部空間の表面、
すなわち、各構成繊維の全表面が含まれる。また、気泡
には、開放気泡(open−cell)及び独立気泡
(closed−cell)の両方が含まれる。
【0008】本明細書において、「総表面の処理」と
は、被処理体の総表面の少なくとも一部を化学的又は物
理的に処理することを意味する。化学的処理とは、被処
理体の総表面を化学的に変性することを意味し、例え
ば、被処理体を構成する化合物に所望の官能基を導入す
る処理を挙げることができ、被処理体の総表面に親水
性、疎水性、又は接着性を付与するか、あるいは親水
性、疎水性、又は接着性を向上させることができる。所
望の官能基を導入することができる総表面処理用ガスの
存在下にて、被処理体の外側表面と、多孔質誘電体部分
とを接触させた状態で、前記多孔質誘電体部分の内部空
隙で放電を発生させることによって、所望の官能基を導
入する化学的処理を行なうことができる。
【0009】物理的処理とは、被処理体の総表面を物理
的に変性することを意味し、例えば、プラズマ処理によ
る粗面加工を挙げることができる。粗面加工は、空気な
どの総表面処理用ガス中で放電を発生させることによっ
て実施することができる。なお、化学的処理と物理的処
理とを同時に実施することができる。例えば、総表面処
理用ガスとして空気を用いると、被処理体の親水性を向
上させると共に粗面加工を行なうことができる。一般に
物理的処理を行なう場合には、化学的処理も同時に伴っ
て起きるが、化学的処理を選択的に実施することが必要
である場合には、処理条件、例えば、印加電圧、印加時
間、及び/又は総表面処理用ガスの種類などを総表面の
処理の目的に応じて適宜選択することによって、化学的
処理を主として実施することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明においては、対向して配置
する一対の電極の内、少なくとも一方の電極の対向表面
側に誘電体層を設ける。電極の対向表面側に設けた前記
誘電体層の内、少なくとも一方の電極に設けた誘電体層
として、少なくともその表面の一部に多孔質誘電体部分
を含む誘電体層を用いる。この電極の誘電体層は、被処
理体と接触する誘電体層表面の一部が多孔質誘電体から
構成され、その多孔質誘電体部分が被処理体と接触する
ことのできる構造であれば充分であるが、誘電体層の対
向表面側全体が多孔質誘電体層からなることが好まし
い。この場合、誘電体層全体は、例えば、対向表面側の
多孔質誘電体層と、電極側の非多孔質誘電体層とからな
るか、又は全体が多孔質誘電体層からなることができ
る。
【0011】本発明においては、対向して配置する一対
の電極の内、一方の電極は、対向表面側に誘電体層を担
持していることが必要であり、もう一方の電極は、誘電
体層を担持していることも、担持していないこともでき
る。被処理体が多孔質体である場合には、対向して配置
する両電極が誘電体層を担持していることが好ましい。
対向して配置する一対の電極のそれぞれが、対向表面側
に誘電体層を担持している場合には、これらの一対の電
極の内、一方の電極の誘電体層は多孔質誘電体部分を含
有することが必要である。以下、この電極を第1電極と
称することがある。また、この場合、もう一方の電極上
に担持されている誘電体層は、多孔質誘電体部分を含有
していることも、含有していないこともできる。この電
極を、以下、第2電極と称することがある。従って、こ
の第2電極に設ける誘電体層としては、任意の誘電体
層、例えば、全体が非多孔質誘電体層からなる誘電体
層、少なくともその対向表面側の表面の一部に多孔質誘
電体部分を含む誘電体層、対向表面側の多孔質誘電体層
と第2電極側の非多孔質誘電体層とからなる誘電体層、
又は全体が多孔質誘電体層からなる誘電体層などを用い
ることができる。第1電極だけでなく、第1電極及び第
2電極の両方に、少なくともその対向表面側表面の一部
に多孔質誘電体部分を含む誘電体層、特には、対向表面
側の多孔質誘電体層と、電極側の非多孔質誘電体層とか
らなる誘電体層、又は全体が多孔質誘電体層からなる誘
電体層を設けると、被処理体の外側表面の両方を同時に
処理することができる点で好ましい。
【0012】被処理体がフィルムなどの非多孔質体であ
る場合には、第1電極及び/又は第2電極上の誘電体層
が、その対向表面側の表面の少なくとも一部に多孔質誘
電体部分を含むことが必要であり、誘電体層の対向表面
側の表面のすべてが多孔質誘電体層であることが好まし
い。すなわち、前記誘電体層が、対向表面側の多孔質誘
電体層と、電極側の非多孔質誘電体層とからなるか、あ
るいは全体として多孔質誘電体層からなることが好まし
い。
【0013】本発明により総表面を処理することのでき
る被処理体としては、例えば、任意の導電性材料又は非
導電性材料からなる多孔質体又は非多孔質体を用いるこ
とができる。被処理体の形状は、特に限定されるもので
はないが、第1電極上に担持されている誘電体層と、第
2電極上に担持されている誘電体層との間に形成される
空間を、被処理体が実質的に満たすことのできる形状で
あることが好ましい。そのため、粉体や繊維などであっ
ても、第1電極と第2電極との間の空間を実質的に満た
すことができるのであれば、処理することができる。
【0014】導電性材料としては、各種の金属若しくは
合金、例えば、アルミニウム、銅、若しくは炭素質材
料、又は導電体と絶縁体の複合物、例えば、導電性ゴム
若しくは導電性プラスチックを挙げることができる。非
導電性有機材料としては、各種の有機高分子化合物、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニ
ル、フッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、又はフッ化ビニリ
デン−トリフルオロエチレン共重合体等を挙げることが
できる。非導電性無機材料としては、各種セラミックス
(例えば、アルミナ、シリカ、若しくはシリカアルミナ
等)、又はガラス類(例えば、ソーダガラス若しくはシ
リカガラス等)などを挙げることができる。
【0015】前記各種材料からなる多孔質体としては、
例えば、繊維質型多孔質体、フィルム型多孔質体、又は
発泡体型多孔質体などを挙げることができる。なお、本
発明により処理することのできる多孔質体は、必ずしも
一体の成形体である必要はなく、不定形状の粉粒体や繊
維などの単なる集合体であることもできる。なお、粉粒
体や繊維などの単なる集合体の場合には、処理時に一定
の厚みに調整されていることが望ましい。繊維質型多孔
質体としては、例えば、織物、編物、繊維状ポーラスフ
ィルム、又は不織布などを挙げることができる。不織布
としては、例えば、乾式不織布(例えば、スパンボンド
不織布、メルトブロー不織布、若しくは水流絡合不織
布)又は湿式不織布などを挙げることができる。また、
発泡体型多孔質体としては、例えば、ポリオレフィン
系、ポリエステル系、又はポリウレタン系などの樹脂か
らなる開放気泡型発泡体又は独立気泡型発泡体などを挙
げることができる。また、フィルム型多孔質体として
は、凹凸構造をもつフィルムや穴あきフィルムなどを挙
げることができる。
【0016】非多孔質体とは、充実した緻密(soli
d)体構造の任意のものを意味し、例えば、フィルム
状、シート状、又は板状のものなどを挙げることができ
る。フィルム状のものとしては、例えば、非導電性フィ
ルム、金属箔、炭素系フィルム、又はカーボン含有フィ
ルムなどを挙げることができる。
【0017】被処理体が、多孔質体であるか又は非多孔
質体であるかを問わず、非導電性材料からなる場合に
は、被処理体の厚さとしては1mm以下であることが好
ましく、厚みがある場合には、圧縮して1mm以下とな
るようなものを使用することが好ましい。なお、被処理
体が導電性材料からなる場合には、この限りではない。
【0018】以下、添付図面に沿って本発明を説明す
る。本発明の基本的原理を図1に示す。図1に示すよう
に、平板状電極などからなる電極21,22を対向する
ように配置する。第1電極である電極21は、その対向
表面側に誘電体層71を担持し、誘電体層71は、電極
21の側の非多孔質誘電体層31と、対向表面側の多孔
質誘電体層41とからなる。第2電極である電極22
は、その対向表面側に非多孔質誘電体層32を担持す
る。更に、電極21,22のいずれとも接触しないが、
多孔質誘電体層41及び非多孔質誘電体層32のそれぞ
れと外側表面が直接接触するように、多孔質誘電体層4
1と非多孔質誘電体層32との間に、被処理体11を配
置する。この際に、電極21と電極22とを、適当な圧
力で押圧することにより、多孔質誘電体層41と被処理
体11との間、及び被処理体11と非多孔質誘電体層3
2との間に、実質的に空間(隙間)が形成されないよう
に面接触させる。誘電体層と被処理体との間に空間が形
成されると、放電が均一に発生しなくなり、被処理体に
穴があくことがある。電極21,22の大きさを、それ
ぞれが担持する非多孔質誘電体層31,32の大きさよ
りも小さくなるようにすると、電極21,22が被処理
体11と接触することがないので好ましい。また、電極
21,22の大きさが、それぞれが担持する非多孔質誘
電体層31,32の大きさと同じ場合には、電極の周囲
に誘電性材料からなる被覆材(例えば、ビニールテー
プ)などを設けることにより、電極21,22と被処理
体11とが接触することを防ぐことができる。一方の電
極、例えば、電極21を交流電源51に接続し、他方の
電極、例えば、電極22をアースする。
【0019】以下、被処理体が非多孔質体である場合を
先に説明し、続いて、被処理体が多孔質体である場合に
ついて説明する。被処理体11が非多孔質体である場合
には、交流電源51から交流高電圧を印加すると、多孔
質誘電体層41の内部空隙で放電が起こり、プラズマが
生成される。多孔質誘電体層41の内部空隙で発生した
プラズマが、被処理体11の外側表面の内、多孔質誘電
体層41と直接に接触している外側表面(以下、多孔質
誘電体層接触外側表面と称する)に作用することによ
り、被処理体11の多孔質誘電体層接触外側表面が処理
され、改質が行なわれる。このときには、被処理体11
の外側表面は多孔質誘電体層41と接しているので、多
孔質誘電体層41の内部空隙で発生したプラズマは、理
論的には、被処理体11の外側表面の内、多孔質誘電体
層41の内部空隙部分と接触している領域は処理される
が、前記の内部空隙部分と接触しておらず、多孔質誘導
体層の外側表面との接触点には作用しない。しかし、実
際には、接触点は外側表面の面積と比べて非常に小さい
面積であるため、実質的にはすべての外側表面が処理さ
れているものと言うことができる。
【0020】一方、被処理体11が多孔質体である場合
には、交流電源51から交流高電圧を印加すると、多孔
質誘電体層41の内部空隙だけでなく、被処理体である
多孔質体の内部空隙でも放電が起こり、プラズマが生成
される。多孔質誘電体層41の内部空隙で発生したプラ
ズマが、被処理体11の多孔質誘電体層接触外側表面、
及び被処理体11の内側表面の内、多孔質誘電体層接触
外側表面の近傍の内側表面に作用することにより、被処
理体11の多孔質誘電体層接触外側表面及び内側表面の
一部が処理され、改質が行なわれる。また、このとき同
時に、被処理体である多孔質体の内部空隙で発生したプ
ラズマが、被処理体である多孔質体の内側表面、及び被
処理体11の外側表面の内、誘電体層32と直接に接触
している外側表面(以下、誘電体層接触外側表面と称す
る)に作用することにより、被処理体11の内側表面、
及び誘電体層接触外側表面の改質が行なわれる。本発明
では、被処理体が非多孔質体である場合には多孔質誘電
体部分の内部空隙で、また、被処理体が多孔質体である
場合には多孔質誘電体部分の内部空隙、及び被処理体で
ある多孔質体の内部空隙で放電が発生するので、被処理
体が多孔質であるか非多孔質体であるかを問わず、スパ
ーク放電等による被処理体の損傷が起こりにくい。ま
た、本発明では、誘電体を介しており、しかも、誘電体
と被処理体とが接触しているので、スパーク放電が生じ
ることなく均一に放電が生じ、結果として処理むらを起
こさずに被処理体を処理することができる。
【0021】また、誘電体層71全体が多孔質誘電体層
41からなる場合には、交流電源51から交流高電圧を
印加すると、多孔質誘電体層41の内部空隙で(被処理
体が多孔質体である場合には、更に、被処理体である多
孔質体の内部空隙でも)、放電が起こり、プラズマが生
成される。多孔質誘電体層41の内部空隙で発生したプ
ラズマが、被処理体11の多孔質誘電体層接触外側表面
(被処理体が多孔質体である場合には、更に、被処理体
の内側表面の一部)に作用することにより、前記表面が
処理され、改質が行なわれる。被処理体が多孔質体であ
る場合には、このとき同時に、被処理体である多孔質体
の内部空隙で発生したプラズマが、被処理体である多孔
質体の内側表面、及び被処理体11の外側表面の内、誘
電体層32と直接に接触している外側表面に作用するこ
とにより、前記表面が処理され、改質が行なわれる。被
処理体が多孔質体である場合には、誘導体層71全体が
多孔質誘電体層41からなると、スパークが生じやすい
ために被処理体に穴が空くことがある。そのため、被処
理体が多孔質体である場合には、非多孔質誘電体層31
を有する誘電体層71を用いる必要がある。
【0022】本発明において、交流電源により放電を発
生させるために印加する交流電圧の下限は、誘電体層を
含めた電極間の距離や、総表面処理に用いる後記のガス
の種類に依存するので、特に限定されるものではない
が、好ましくは0.5KVp−p以上、より好ましくは
1KVp−p以上である(KVp−pは、交流電圧の最
大値ピークから最小値ピークまでの電圧差を示す)。電
圧が0.5KVp−p未満になると実質的に放電が起こ
らなくなるからである。また、交流電圧の上限も、被処
理体の損傷が生じることのない電圧である限り、特に限
定されるものではない。周波数は、特に限定されるもの
ではないが、好ましくは0.1〜100KHz、より好
ましくは1〜50KHzである。周波数が0.1KHz
未満になると放電による処理効率が低下し、100KH
zを越えると誘電加熱により被処理体が過熱状態になっ
て破壊するおそれが生じるなどの問題がある。なお、こ
れらの値は、各電極の形状や被処理体の材質や放電電圧
波形、更には処理時間にも大きく依存するので、前記範
囲からはずれて使用されることもある。
【0023】図1には、電極21に交流電源51を接続
し、電極22をアースする態様を示したが、本発明にお
いては、逆に、電極22に交流電源51を接続し、電極
21をアースしてもよい。
【0024】本発明に用いることのできる電極の材質と
しては、比抵抗が、好ましくは103 Ω・cm以下、よ
り好ましくは100 Ω・cm以下の導電体を用いること
ができ、例えば、金属(例えば、ステンレススチール、
アルミニウム、若しくはタングステン等)、導電性金属
酸化物、カーボン、又は導電体(例えば、金属粉末若し
くはカーボン粉末等)とゴムとを複合した導電性ゴムな
どを用いることができる。また、電極の形状としては、
例えば、針状電極、シート状電極、板状電極、又は円柱
状電極を用いることができる。後記の図2〜図5に示す
態様のように、被処理体と電極との接触位置が相対的に
移動する場合には、被処理体の表面に傷をつけにくくな
るように、被処理体の平行移動に同期して、その円柱中
心軸を回転軸としてそれ自体が回転することのできる円
柱状電極が好ましい。
【0025】本発明において、両電極間にかける押圧の
下限は、誘電体層と被処理体との間の面接触を保証し、
実質的に空間を形成させない圧力である。また、その上
限は、被処理体の形状を破壊することのない圧力であ
る。
【0026】本発明に用いることのできる誘電体として
は、任意の非導電性の有機材料又は無機材料からなる誘
電体を挙げることができる。有機材料としては、各種の
有機高分子化合物、例えば、ポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン、ポリテトラフロロエチレ
ン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニ
ル、フッ素化エチレンプロピレン共重合体(FEP)、
ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン
−トリフルオロエチレン共重合体、シリコーンゴム、又
はクロロプレンゴム等を挙げることができる。無機材料
としては、各種セラミックス(例えば、アルミナ、シリ
カ、若しくはシリカアルミナ等)、又はガラス類(例え
ば、ソーダガラス若しくはシリカガラス等)などを挙げ
ることができる。
【0027】本発明に用いることのできる多孔質誘電体
としては、誘電体として使用することのできる前記各種
材料からなる多孔質体を用いることができ、例えば、繊
維質型多孔質誘電体、フィルム型多孔質誘電体、又は発
泡体型多孔質誘電体などを挙げることができる。繊維質
型多孔質誘電体としては、例えば、織物、編物、繊維状
ポーラスフィルム、又は不織布などを挙げることができ
る。不織布としては、例えば、乾式不織布(例えば、ス
パンボンド不織布、メルトブロー不織布、若しくは水流
絡合不織布など)又は湿式不織布などを挙げることがで
きる。また、発泡体型多孔質誘電体としては、例えば、
ポリオレフィン系、ポリエステル系、又はポリウレタン
系などの樹脂からなる開放気泡型発泡体又は独立気泡型
発泡体などを挙げることができる。また、フィルム型多
孔質誘電体としては、凹凸構造をもつフィルムや穴あき
フィルムなどを挙げることができる。
【0028】本発明では、多孔質誘電体部分の内部空隙
の大きさの上限は特に限定されるものではないが、厚さ
方向における、平均空隙高さが500μm以下の空隙で
あることが好ましい。平均空隙高さが500μmを越え
ると、アーク放電が起きて被処理体を損傷する場合があ
るからである。ただし、平均空隙高さが500μmを越
えていても、処理時に圧縮して平均空隙高さを500μ
m以下にできるものであればよい。内部空隙の大きさの
下限は、多孔質誘電体部分の内部空隙で放電を発生させ
ることができる大きさであれば、特に限定されるもので
はないが、平均空隙高さが10μm以上であることが好
ましい。
【0029】非多孔質誘電体層の厚さは、特に限定され
るものではないが、0.05〜5mm程度であることが
好ましい。5mmより厚いと、放電させるのに非常に高
い電圧が必要であり、0.05mm未満では機械的強度
が低下し、絶縁破壊が生じやすくなるからである。多孔
質誘電体部分又は多孔質誘電体層の厚さも、誘電体層全
体の厚さや被処理体の種類などによって好適な厚さが変
化するので、特に限定されるものではないが、10μm
〜0.5mmであることが好ましい。0.5mmを越え
ると、アーク放電を起こしやすくなるとともに高い放電
電圧が必要となるからであり、10μm未満では、多孔
質部分における放電が生じにくいことがあるからであ
る。
【0030】本発明は、一般的に開放系(空気中)で実
施するが、多孔質誘電体部分の内部空隙、多孔質誘電体
部分と被処理体との接触領域、及びその近傍、並びに被
処理体が多孔質体である場合には多孔質体の内部空隙
(以下、これらを処理領域と称する)に、空気以外の総
表面処理用ガスを供給しながら、放電を発生させること
もできる。処理領域に総表面処理用ガスを供給する手段
として、例えば、処理領域に総表面処理用ガスを強制的
に送り込む方法、処理領域に総表面処理用ガスを噴き付
ける方法、又は処理領域の周囲を総表面処理用ガスの雰
囲気にする方法などを挙げることができる。
【0031】例えば、ガス供給管などを用いて、総表面
処理用ガスを処理領域に供給しながら、交流高電圧を印
加させることにより放電を発生させると、多孔質誘電体
部分の内部空隙、及び被処理体が多孔質体である場合に
は多孔質体の内部空隙に発生したプラズマの作用によ
り、被処理体の総表面と総表面処理用ガスとが反応し、
被処理体の総表面の改質、例えば、所望の官能基を導入
することができる。
【0032】なお、空気以外の総表面処理用ガスを処理
領域に供給する場合には、処理領域の周囲を特定のガス
で充満させ、空気との接触が起きないようにし、目的外
の反応が生じないようにすることが好ましい。また、処
理領域の周囲を総表面処理用ガスの雰囲気にする場合に
は、例えば、被処理体、電極、及び誘電体層を気密性の
容器中に配置し、その中に総表面処理用ガスを封入した
状態で、放電処理を行なうことができる。この場合に
は、処理領域を特定のガスで充満させることができ、空
気との接触が起きないので好ましい。
【0033】本発明で用いることのできる「総表面処理
用ガス」は、特に限定されず、公知の表面処理用ガスの
内から所望の表面処理に応じて適宜選択することができ
る。被処理体に親水性を付与するか、又は親水性を向上
させる表面処理を行なう場合には、例えば、空気、酸素
ガスを用いることができ、被処理体に疎水性を付与する
か、又は疎水性を向上させる表面処理を行なう場合に
は、例えば、テトラフルオロメタン(CF4 )を用いる
ことができる。また、総表面処理用ガスの濃度も、特に
限定されず、所望の総表面処理に応じて適宜選択するこ
とができる。更には、総表面処理用ガスの種類及び/又
は濃度は、変化させずに一定の条件下で、あるいは経時
的に変化させて、被処理体の総表面処理を実施すること
ができる。
【0034】被処理体の総表面に物理的処理、例えば、
粗面加工を施す場合には、総表面処理用ガスを供給しな
がら放電処理を行なう化学的処理のみの場合に比べて、
より高い電圧の交流電圧を印加することが好ましく、ま
た、放電処理時間を長くすることが好ましい。なお、特
に被処理体の撥水性を保ったままで粗面加工したい場合
には、総表面処理用ガスとして撥水性を付与するガス
(例えば、テトラフルオロメタン)を供給しながら処理
を行なうことが好ましい。
【0035】また、本発明によれば、被処理体は、一対
の電極に挟まれた部分の総表面のみが実質的に処理され
るので、少なくとも一方の電極の形状を変化させること
によって、被処理領域の形状を任意に変化させることが
できる。例えば、電極の一方を平板状電極とし、電極の
もう一方を所定の形状の電極、例えば、網状電極又は線
状電極とすることにより、所定の形状と同じパターン、
例えば、網状パターン又は線状パターンに被処理体を選
択的に処理することができる。
【0036】本発明においては、一方の電極にのみ、少
なくともその表面の一部に多孔質誘電体部分を含む誘電
体層を設けることもできるが、対向する電極の両方に、
少なくともその表面の一部に多孔質誘電体部分を含む誘
電体層(例えば、対向表面側の多孔質誘電体層と第2電
極側の非多孔質誘電体層とからなる誘電体層、又は全体
が多孔質誘電体層からなる誘電体層など)を設けると、
被処理体の外側表面の両方を同時に処理することができ
る。この場合には、両電極のそれぞれと被処理体とを直
接に接触させず、多孔質誘電体部分のそれぞれと前記被
処理体の外側表面とを直接に接触させた状態で、両電極
間に交流電圧を印加して、両電極間に挟まれた多孔質誘
電体部分の内部空隙で放電を発生させることによって、
被処理体の外側表面の両方を同時に処理することができ
る。被処理体が多孔質体である場合には、両電極に設け
た両方の誘導体層全体が多孔質誘電体層からなると、ス
パークが生じやすいために被処理体に穴が空くことがあ
る。そのため、被処理体が多孔質体である場合には、対
向する電極の間に少なくとも1層の非多孔質誘電体層を
設ける必要があり、例えば、非多孔質誘電体層を有する
誘電体層を用いることができる。
【0037】本発明においては、被処理体を静止させた
状態で放電を発生させる図1に示す態様に限定されず、
被処理体を移動させながら、連続的に被処理体の表面処
理を行なうこともできる。このような本発明の別の態様
を図2に示す。この態様では、円柱状の電極21と円柱
状の電極22とを対向するように配置する。電極21,
22は、その表面が誘電体層71,72にそれぞれ覆わ
れ、誘電体層71,72はそれぞれ、非多孔質誘電体層
31,32と多孔質誘電体層41,42とからなる。電
極21,22は、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自
体が回転することができるものであっても、回転せずに
固定されているものであってもよく、被処理体11が移
動する際に、被処理体11の表面に傷をつけにくくなる
点で、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回転す
ることができる電極であることが好ましい。
【0038】電極21を交流電源51に接続し、電極2
2をアースする。被処理体11は、電極21,22の上
流に設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図
示せず)によって、電極21,22の表面上に非多孔質
誘電体層31,32を介してそれぞれ担持された多孔質
誘電体層41,42の間に、矢印Aで示す方向に所定速
度で連続的に供給され、それらと接触しながら多孔質誘
電体層41,42の間を通過する。多孔質誘電体層4
1,42の間を通過した被処理体11は、電極21,2
2の下流に設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラ
ー:図示せず)によって、所定速度で連続的に移送され
る。被処理体11の前記供給速度及び前記移送速度は、
特に制限されず、一定速度、又は周期的若しくは不規則
に変化する速度であることができる。これらの速度は、
一定速度であって、被処理体の表面処理時間が0.1秒
以上になるような速度であることが好ましい。この速度
より速いと十分な総表面処理効果が得られないからであ
る。また、総表面を処理する場合には、供給速度及び移
送速度のそれぞれと、電極21,22に担持された多孔
質誘電体層41,42の移動速度とが同じ速度であるこ
ともできるし、被処理体11のすべての外側表面が、プ
ラズマを生成することのできる多孔質誘電体層41,4
2の表面に少なくとも一度接触することができるよう
に、供給速度及び移送速度のそれぞれが、電極21,2
2に担持された多孔質誘電体層41,42の移動速度と
異なる速度であることもできる。
【0039】被処理体11が非多孔質体である場合に
は、多孔質誘電体層41,42の間をそれらと接触しな
がら通過する際に、交流電源51から交流高電圧を印加
すると、両電極間に挟まれた多孔質誘電体層41,42
の内部空隙に放電が発生し、プラズマが生成する。多孔
質誘電体層41,42の内部空隙に発生したプラズマの
作用により、多孔質誘電体層41,42のそれぞれと直
接に接触している被処理体11の外側表面の改質が行な
われる。被処理体11は所定速度で連続的に移送されて
いるので、被処理体11の外側表面は、多孔質誘電体層
41,42の内部空隙部分と次々に接触し、被処理体1
1の外側表面全体の改質が行われる。
【0040】一方、被処理体11が多孔質体である場合
には、多孔質被処理体11が多孔質誘電体層41,42
の間をそれらと接触しながら通過する際に、交流電源5
1から交流高電圧を印加すると、両電極間に挟まれた、
多孔質誘電体層41,42の内部空隙及び被処理体であ
る多孔質体の内部空隙で放電が発生し、プラズマが生成
する。従って、多孔質誘電体層41,42の内部空隙に
発生したプラズマと、被処理体である多孔質体の内部空
隙で発生したプラズマとによって、被処理体11の外側
表面、及び被処理体11の内側表面の改質を行なうこと
ができる。
【0041】被処理体が多孔質体であるか非多孔質体で
あるかを問わず、被処理体11は所定速度で連続的に移
送されているので、総表面の改質が行なわれた、又は行
なわれている被処理体11は、矢印Aで示す方向に移送
される一方、未処理の被処理体11が、多孔質誘電体層
41,42の間に新たに供給される。交流電源51によ
る交流高電圧は継続して印加されているので、前記と同
じようにして、新たに供給される被処理体11の総表面
の改質が行なわれる。このようにして、未処理の被処理
体11が多孔質誘電体層41,42の間に連続的に供給
される一方、総表面の改質が行なわれた、又は行なわれ
ている被処理体11が多孔質誘電体層41,42の間か
ら連続的に供出されるので、被処理体11の総表面処理
を連続的に行なうことができる。
【0042】交流電源により放電を発生させるために印
加する交流電圧は、特に限定されるものではないが、前
記と同様の理由により、前記の交流電圧及び周波数と同
様の範囲であることが好ましい。また、図2に示す態様
は、電極21に交流電源51を接続し、電極22をアー
スするものであるが、逆に、電極22に交流電源51を
接続し、電極21をアースしてもよい。図2に示す態様
は、一般的には開放系(空気中)で実施するが、所望の
総表面処理に応じて空気以外の総表面処理用ガスを使用
する必要がある場合には、総表面処理用ガスを処理領域
に供給しながら、放電を発生させることができる。
【0043】図2に示す態様では、その表面に非多孔質
誘電体層31及び多孔質誘電体層41を担持する円柱状
の電極21を1個だけ設けるものであるが、電極21の
数は特に限定されるものではなく、1個又は複数個設け
ることができる。被処理体の外側表面上の任意の一点
が、被処理体の移送方向に沿って、電極の表面に担持さ
れる多孔質誘電体層と複数回接触することができるよう
に、多孔質誘電体層を担持する電極を複数個設けること
が、処理効果を高め、処理速度を上げることができる点
で好ましい。
【0044】非多孔質誘電体層と多孔質誘電体層とから
なる誘電体層を表面上に担持し、直径が小さな円柱状の
電極5個を、直径が大きな円柱状の電極表面上に担持さ
れた非多孔質誘電体層と多孔質誘電体層とからなる誘電
体層の表面に沿って所定の間隔を設けて平行に配置し
た、本発明の更に別の態様を図3に示す。5個の円柱状
の電極21(上流側から21a,21b,21c,21
d,及び21eと称することがある)を、それらの電極
よりも直径が大きな円柱状の電極22の表面に担持され
る誘電体層(非多孔質誘電体層32と多孔質誘電体層4
2とからなる)の表面に沿って所定の間隔を設けて平行
に配置し、電極21,22が対向するように配置する。
電極21a〜21eは、それらの電極と接触して設けた
非多孔質誘電体層31a〜31e(以下、併せて非多孔
質誘電体層31と称することがある)と、更にその表面
に接触して設けた多孔質誘電体層41a〜41e(以
下、併せて多孔質誘電体層41と称することがある)と
からなる誘電体層でそれぞれ覆われている。電極21,
22は、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回転
することができるものであっても、回転せずに固定され
ているものであってもよく、被処理体11と電極21,
22とが相対的に移動する際に、被処理体の表面に傷を
つけにくくなる点で、その円柱中心軸を回転軸としてそ
れ自体が回転することができる電極であることが好まし
い。
【0045】5個の電極21を1個の交流電源51に接
続し、電極22をアースする。なお、電極21が同一の
交流電源と接続されている場合には、各電極同士が互い
に接触するような配置となっていてもよい。図3に示す
態様は、5個の電極21を1個の交流電源51に接続
し、5個の電極21のすべてに同一の交流高電圧を印加
するものであるが、異なる電極21を異なる交流電源に
接続することによって、異なる交流高電圧を電極に印加
してもよい。ただし、異なる電極を異なる交流電源に接
続する場合には、電極同士が接触しないように充分離し
て配置する必要がある。
【0046】被処理体11は、電極21,22の上流に
設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図示せ
ず)によって、電極21,22の表面上に非多孔質誘電
体層31,32を介してそれぞれ担持された多孔質誘電
体層41,42の間に、矢印Aで示す方向に所定速度で
連続的に供給され、一方の表面を電極22の表面に担持
される多孔質誘電体層42と常時接触し、同時にそれと
は反対の表面を多孔質誘電体層41a,41b,41
c,41d,及び41eと順次接触しながら、多孔質誘
電体層41eと多孔質誘電体層42との間を通過する。
多孔質誘電体層41,42の間を通過した被処理体11
は、電極21,22の下流に設けた移送手段(例えば、
一対の送出ローラー:図示せず)によって、所定速度で
連続的に移送される。被処理体11の前記供給速度及び
前記移送速度は、特に制限されず、一定速度、又は周期
的若しくは不規則に変化する速度であることができる。
この態様では、一定速度であって、被処理体の表面処理
時間の合計が0.1秒以上になるような速度であること
が好ましい。この速度より速いと十分な総表面処理効果
が得られないからである。
【0047】被処理体11が、多孔質誘電体層41,4
2の間をそれらと接触しながら通過する際に、交流電源
51から交流高電圧を印加すると、両電極間に挟まれた
多孔質誘電体層41,42の内部空隙と、被処理体が多
孔質体である場合には、更に被処理体である多孔質体の
内部空隙とで放電が発生し、プラズマが生成する。図2
に示す態様で説明したように、これらのプラズマの作用
により、被処理体11の総表面の改質が行なわれる。こ
の態様では、被処理体11の外側表面上の任意の一点
が、被処理体11の移送方向(矢印Aで示す方向)に沿
って、多孔質誘電体層と複数回接触することができるよ
うに、その表面に多孔質誘電体層41を担持する5個の
電極21を設けている。従って、電極21aの表面に担
持される多孔質誘電体層41a及び42により総表面の
改質が行なわれた、又は行なわれている被処理体11
は、矢印Aで示す方向に移送され、電極21bの表面に
担持される多孔質誘電体層41bと、多孔質誘電体層4
2との間に供給され、再び多孔質誘電体層41b及び4
2により総表面の改質が行なわれ、以下、41c,41
d,及び41eと多孔質誘電体層42との間に供給さ
れ、順次、総表面の改質が行なわれ、多孔質誘電体層4
1eと多孔質誘電体層42との間から供出される。被処
理体11は所定速度で連続的に移送されているので、未
処理の被処理体11が多孔質誘電体層41aと多孔質誘
電体層42との間に連続的に供給される一方、表面の改
質が行なわれた、又は行なわれている被処理体11が多
孔質誘電体層41eと多孔質誘電体層42との間から連
続的に供出され、被処理体11の総表面処理を連続的に
行なうことができる。
【0048】図3に示す態様は、一般的には開放系(空
気中)で実施するが、所望の総表面処理に応じて空気以
外の総表面処理用ガスを使用する必要がある場合には、
総表面処理用ガスを処理領域に供給しながら、放電を発
生させることができる。例えば、被処理体、電極、及び
誘電体層を気密性の容器中に配置し、その中に所望の総
表面処理用ガスを封入した状態で、放電処理を行なうこ
とができる。また、総表面処理用ガスを処理領域に供給
することができる手段として、例えば、所望の総表面処
理に応じて適宜選択することのできる総表面処理用ガス
を供給することのできるガス供給管を、処理領域にその
ガスを供給することができる位置に配置してもよい。ガ
ス供給管の数は、処理領域に充分にガスを供給すること
ができるのであれば特に限定されず、例えば、1組の電
極及び誘電体層に対して1個ずつ設けても、又は複数組
の電極及び誘電体層に対して1個ずつ設けてもよい。ま
た、ガス供給管毎に供給する総表面処理用ガスの種類及
び/又は濃度を変えて、総表面処理を行なうことができ
る。更には、前記ガスの種類及び/又は濃度を経時的に
変化させて総表面処理を実施してもよい。総表面処理用
ガスの種類及び/又は濃度を変化させると、総表面処理
の状態(例えば、親水性又は疎水性の状態)やその程度
を制御することができる。
【0049】図3に示す5組の電極21、非多孔質誘電
体層31、及び多孔質誘電体層41の代わりに、電極層
と非多孔質誘電体層と多孔質誘電体層とのベルト状積層
体、例えばベルト状のアルミニウム蒸着フィルムを用い
る本発明の更に別の態様を図4に示す。4個の固定ロー
ラー91a,91b,91c,及び91dを軸方向が相
互に平行になるように、かつ4個の固定ローラーが、軸
方向から見て、長方形の各頂点の位置にくるように配置
する。固定ローラー91aは、円柱状電極22上の多孔
質誘電体層42に近接して設け、固定ローラー91b
は、固定ローラー91aの下流で、しかも前記多孔質誘
電体層42に近接して設ける。固定ローラー91c,9
1dは、前記多孔質誘電体層42から離して配置する。
ポリエステル製誘導体フィルム層33の一方の表面に多
孔質誘導体層43を貼付け、もう一方の表面にアルミニ
ウムを蒸着させることによってアルミニウム層23を形
成させた、エンドレスベルト状のアルミニウム蒸着フィ
ルム63を、4個の固定ローラー91a,91b,91
c,及び91dの外側を通過するように配置する。この
際、アルミニウム蒸着フィルム63のアルミニウム層2
3を内側に(すなわち、固定ローラー91a,91b,
91c,及び91dと接触することができるように)、
かつ多孔質誘導体層43が外側に(すなわち、固定ロー
ラー91aと91bとの間を通過するアルミニウム蒸着
フィルム63の多孔質誘導体層43と、円柱状の電極2
2の表面に非多孔質誘電体層32を介して担持される多
孔質誘電体層42とが対向するように)なるように配置
する。
【0050】一方、非多孔質誘電体層32と多孔質誘電
体層42とからなる誘電体層を表面上に担持する電極2
2は、固定ローラー91aから91bまでの間の全領域
で、エンドレスベルト状アルミニウム蒸着フィルム63
と多孔質誘電体層42とが被処理体を介して連続的に面
接触するように配置する。なお、本態様においては、必
ずしも固定ローラー91aから91bまでの間の全領域
で面接触する必要はなく、エンドレスベルト状アルミニ
ウム蒸着フィルム63と電極22との距離を調整するこ
とによって、固定ローラー91aから91bまでの間の
少なくとも一部の領域と多孔質誘電体層42とが被処理
体を介して接触していればよい。電極22は、その円柱
中心軸を回転軸としてそれ自体が回転することができ
る。また、固定ローラー91a,91b,91c,及び
91dも、その円柱中心軸を回転軸としてそれ自体が回
転することができるので、その外側に配置したアルミニ
ウム蒸着フィルム63は一方向(例えば、矢印Bで示す
方向)に移行することができる。アルミニウム蒸着フィ
ルム63のアルミニウム層23を交流電源51に接続
し、電極22をアースする。図4に示す態様は、アルミ
ニウム層23に交流電源51を接続し、電極22をアー
スするものであるが、逆に、電極22に交流電源51を
接続し、アルミニウム蒸着フィルム63をアースしても
よい。
【0051】被処理体11は、固定ローラー91a及び
電極22の上流に設けた移送手段(例えば、一対の送出
ローラー:図示せず)によって、電極22の表面上に非
多孔質誘電体層32を介して担持された多孔質誘電体層
42と、固定ローラー91aとの間に、矢印Aで示す方
向に所定速度で連続的に供給され、一方の表面を電極2
2に担持される多孔質誘電体層42と連続的に接触し、
同時にそれとは反対の表面を多孔質誘導体層43と連続
的に接触しながら、多孔質誘電体層42と固定ローラー
91bとの間を通過する。多孔質誘電体層42と固定ロ
ーラー91bとの間を通過した被処理体11は、固定ロ
ーラー91b及び電極22の下流に設けた移送手段(例
えば、一対の送出ローラー:図示せず)によって、所定
速度で連続的に移送される。この態様においても、図3
に示す態様と同様にして被処理体11の総表面処理を連
続的に行なうことができる。図4に示す態様は、図3に
示す態様よりも更に放電面積が大きいので、処理効果を
高め、処理速度を上げることができる。図4に示す態様
は、一般的には開放系(空気中)で実施するが、所望の
総表面処理に応じて空気以外の総表面処理用ガスを使用
する必要がある場合には、総表面処理用ガスを処理領域
に供給しながら、放電を発生させることができる。な
お、図4に示す態様の一例として、電極層と非多孔質誘
電体層と多孔質誘電体層とのベルト状積層体としてベル
ト状アルミニウム蒸着フィルムを用いる例を示したが、
前記ベルト状積層体の電極としては、例えば、金属箔、
金属シート、又は導電性物質を含む導電性樹脂シートな
どを挙げることができ、前記ベルト状積層体の非多孔質
誘電体としては、例えば、樹脂フィルム、又は樹脂シー
トなどを挙げることができ、前記ベルト状積層体の多孔
質誘電体としては、例えば、前記の繊維質型多孔質誘電
体、発泡体型多孔質誘電体、又はフィルム型多孔質誘電
体などを挙げることができ、それらを適宜積層して使用
することができる。また、当然、アルミニウム以外の金
属蒸着フィルムを用いることもできる。
【0052】1組の電極及び誘電体層として、平板状の
電極22及び誘電性搬送体64を用いる本発明の更に別
の態様を図5に示す。所定の間隔を隔てて配置される一
対のローラー92a,92bにより、一定方向(矢印A
で示す方向)に被処理体11を搬送することができる誘
電性搬送体64と、その誘電性搬送体64の表面に沿っ
て所定の間隔を設けて平行に配置する5個の円柱状の電
極21(上流側から21a,21b,21c,21d,
及び21eと称することがある)とを、対向するように
配置する。誘電性搬送体64は、非多孔質誘電体層34
と多孔質誘電体層44とからなり、多孔質誘電体層44
が外側に、非多孔質誘電体層34が内側になるように配
置する。電極21a〜21eは、非多孔質誘電体層31
a〜31e(以下、併せて非多孔質誘電体層31と称す
ることがある)と、更にその表面に接触して設けた多孔
質誘電体層41a〜41e(以下、併せて誘電体層41
と称することがある)とからなる誘電体層でそれぞれ覆
われている。電極21は、その円柱中心軸を回転軸とし
てそれ自体が回転することができるものであっても、回
転せずに固定されているものであってもよく、被処理体
と電極とが相対的に移動する際に、被処理体の表面に傷
をつけにくくなる点で、その円柱中心軸を回転軸として
それ自体が回転することができる電極であることが好ま
しい。誘電性搬送体64に関して、電極21の反対側に
電極21と対向するように平板状電極などからなる電極
22を配置する。図5に示すような装置を用いると、被
処理体が粉体や繊維単体であっても容易に処理すること
ができる。これらの被処理体を処理する場合には、放電
領域に供給する前に、一定厚さに調節する手段、例えば
ロール(図示せず)を併設することが好ましい。
【0053】5個の電極21を1個の交流電源51に接
続し、電極22をアースする。図5に示す態様は、電極
21に交流電源51を接続し、電極22をアースするも
のであるが、逆に、電極22に交流電源51を接続し、
電極21をアースしてもよい。また、図5に示す態様
は、5個の電極21を1個の交流電源51に接続し、5
個の電極21のすべてに同一の交流高電圧を印加するも
のであるが、異なる電極21を異なる交流電源に接続す
ることによって、異なる交流高電圧を各電極21に印加
してもよい。
【0054】被処理体11は、電極21,22の上流に
設けた移送手段(例えば、一対の送出ローラー:図示せ
ず)によって誘電性搬送体64上に移送され、その誘電
性搬送体64により電極21aと電極22との間に矢印
Aで示す方向に所定速度で連続的に供給され、一方の表
面を誘電性搬送体64の多孔質誘導体層44と常時接触
し、同時にそれとは反対の表面を電極21a,21b,
21c,21d,及び21eと順次接触しながら、電極
21eと電極22との間を通過する。電極21eと電極
22との間を通過した被処理体11は、誘電性搬送体6
4上を移送され、電極21,22の下流に設けた移送手
段(例えば、一対の送出ローラー:図示せず)によっ
て、所定速度で連続的に移送される。この態様において
も、図3に示す態様と同様にして被処理体11の総表面
処理を連続的に行なうことができる。この態様では、誘
電性搬送体を使用することによって、通常の平板状電極
を誘起電極として用いることができる。
【0055】図5に示す態様は、一般的には開放系(空
気中)で実施するが、所望の総表面処理に応じて空気以
外の総表面処理用ガスを使用する必要がある場合には、
総表面処理用ガスを処理領域に供給しながら、放電を発
生させることができる。図5に示す態様では、電極と誘
電体層との組合せとして、平板状の電極22と誘電性搬
送体64との組合せ、及び電極21a〜21eと非多孔
質誘電体層31a〜31eと多孔質誘電体層41a〜4
1eとの組合せを用いているが、そのいずれか一方、又
は両方に代えて、図4に示す電極層と非多孔質誘電体層
と多孔質誘電体層とのベルト状積層体を使用することが
できる。
【0056】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これらは本発明の範囲を限定するものではな
い。
【実施例1】被処理体としては、ポリエステルフィルム
(幅=200mm,長さ=250mm,厚さ=50μ
m)を用いた。総表面の処理装置としては、図1に示す
装置と同様の装置を用いた。多孔質誘電体層にはガラス
不織布(幅=200mm,長さ=250mm,厚さ=
0.2mm,厚さ方向における空隙の高さ=100μm
以下)を用い、非多孔質誘電体層にはテフロンシート
(幅=200mm,長さ=250mm,厚さ=0.1m
m)を用い、電極には平板状ステンレススチール(幅=
160mm,長さ=210mm)を使用した。総表面処
理は、インパルス電源(周波数=5KHz)を用いて、
400Wの交流を1秒間印加することにより、大気中で
実施した。フェース(Face)接触角計[協和界面科
学(株)製;コンタクタングルメーターCA−S−ミク
ロII型]を用いて、総表面処理前及び処理後のポリエス
テルフィルムの接触角を測定したところ、処理前の水と
の接触角が63.8°であったのに対して、処理後の水
との接触角は36.6°であり、親水性が向上した。
【0057】
【実施例2】被処理体としてアルミニウム箔(幅=20
0mm,長さ=250mm,厚さ=20μm)を用いて
総表面処理を実施したこと以外は、実施例1と同様の操
作を実施した。総表面処理前及び処理後のアルミニウム
箔の接触角を測定したところ、処理前の水との接触角が
52.1°であったのに対して、処理後の水との接触角
は15.5°であり、親水性が向上した。
【0058】
【実施例3】被処理体としては、ポリプロピレンとポリ
エチレンとの質量比が50:50であるポリプロピレン
/ポリエチレン分割繊維を湿式抄造した後、水流絡合処
理により分割繊維を分割させると共に、絡合させた不織
布(幅=200mm,長さ=250mm,厚さ=0.3
mm)を用いた。総表面の処理装置は、実施例1で使用
した装置を使用した。総表面処理は、インパルス電源
(周波数=5KHz)を用いて、800Wの交流を10
秒間印加することにより、大気中で実施した。総表面処
理前の不織布は、水に浸漬しても非常に濡れにくいもの
であったのに対して、処理後の不織布は、水に浸漬する
と、内部まで瞬時に濡れるものであった。
【0059】
【発明の効果】本発明によれば、多孔質及び非多孔質の
被処理体の総表面を処理することができる。また、本発
明によれば、スパーク放電等による被処理体の損傷、又
は処理むらなどが起こりにくく、任意の種類の総表面処
理用ガスを利用することができ、連続的に被処理体の総
表面処理を行なうことが可能である。更に、本発明によ
れば、特定のガスを使用する必要がなく、どのような総
表面処理用ガスを使用しても、被処理体の総表面を均一
に処理することができる。更にまた、本発明によれば、
被処理体は、一対の電極に挟まれた部分の総表面のみが
実質的に処理されるので、電極の一方を平板状電極と
し、電極のもう一方を所望の形状の電極、例えば、網状
電極又は線状電極とすることにより、所望の形状と同じ
パターンに、被処理体の表面を選択的に処理することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の基本的原理を模式的に示す断面図
である。
【図2】本発明装置の一態様を模式的に示す斜視図であ
る。
【図3】本発明装置の別の一態様を模式的に示す断面図
である。
【図4】本発明装置の更に別の一態様を模式的に示す断
面図である。
【図5】本発明装置の更に別の一態様を模式的に示す断
面図である。
【符号の説明】
11・・被処理体;21,22・・電極;23・・アル
ミニウム層;31,32,34・・非多孔質誘電体層;
33・・ポリエステル製誘電体フィルム層;41,4
2,43,44・・多孔質誘電体層;51・・交流電
源;63・・アルミニウム蒸着フィルム;64・・誘電
性搬送体;71,72・・誘電体層;91a,91b,
91c,91d・・固定ローラー;92a,92b・・
ローラー

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配置した、少なくともその表面
    の一部に多孔質誘電体部分を含む誘電体層を対向表面側
    に設けた第1の電極と、第2の電極との間に被処理体を
    配置し、前記第1電極と前記被処理体とを直接に接触さ
    せず、前記第1電極に設けた多孔質誘電体部分及び前記
    第2電極のそれぞれと、前記被処理体の外側表面とを直
    接に接触させた状態で、前記両電極間に交流電圧を印加
    して、両電極間に挟まれた多孔質誘電体部分の内部空隙
    で放電を発生させることを特徴とする、被処理体の総表
    面の処理方法。
  2. 【請求項2】 第1電極上に設けた誘電体層が、(1)
    対向表面側の多孔質誘電体層と、第1電極側の非多孔質
    誘電体層とからなるか、あるいは(2)全体として多孔
    質誘電体層からなる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 対向して配置した、少なくともその表面
    の一部に多孔質誘電体部分を含む誘電体層を対向表面側
    に設けた第1の電極と、対向表面側に誘電体層を設けた
    第2の電極との間に被処理体を配置し、前記両電極のそ
    れぞれと前記被処理体とを直接に接触させず、前記第1
    電極に設けた多孔質誘電体部分及び前記第2電極に設け
    た誘電体層のそれぞれと、前記被処理体の外側表面とを
    直接に接触させた状態で、前記両電極間に交流電圧を印
    加して、両電極間に挟まれた多孔質誘電体部分の内部空
    隙で放電を発生させることを特徴とする、被処理体の総
    表面の処理方法。
  4. 【請求項4】 第1電極上に設けた誘電体層が、(1)
    対向表面側の多孔質誘電体層と、第1電極側の非多孔質
    誘電体層とからなるか、あるいは(2)全体として多孔
    質誘電体層からなる、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 第2電極上に設けた誘電体層が、(1)
    その対向表面側表面の少なくとも一部に多孔質誘電体部
    分を含むか、(2)対向表面側の多孔質誘電体層と、第
    2電極側の非多孔質誘電体層とからなるか、あるいは
    (3)全体として多孔質誘電体層からなる、請求項3又
    は4に記載の方法。
  6. 【請求項6】 (1)対向して配置した第1の電極及び
    第2の電極、(2)前記第1電極の対向表面側に配置
    し、少なくともその表面の一部に多孔質誘電体部分を含
    む誘電体層、(3)前記第1電極とは直接に接触しない
    が、前記第1電極に設けた多孔質誘電体部分及び前記第
    2電極のそれぞれと、外側表面が直接に接触するように
    被処理体を配置することのできる手段、及び(4)前記
    両電極に電気的に接続して、両電極間に交流電圧を印加
    することのできる手段を含むことを特徴とする、被処理
    体の総表面の処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008297416A (ja) * 2007-05-31 2008-12-11 Unitika Uji Products Kk 表面改質されたポリアミドフィルムおよびその製造方法
JP2011059639A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Tohoku Ricoh Co Ltd 改質装置、後処理装置及び画像形成装置
JP2011057442A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Tohoku Ricoh Co Ltd 改質装置及び後処理装置及び画像形成装置
JP2012123062A (ja) * 2010-12-06 2012-06-28 Ricoh Co Ltd 表面処理装置、画像形成装置及び画像形成システム

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