JP3798229B2 - 電動工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、設定された動作条件に応じて制御される電動工具に関し、詳しくは動作条件を設定するための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電動工具では、工具を駆動する工具駆動源等を予め設定した動作条件で制御することにより、作業品質を一定に確保するよう構成されたものがある(例えば、特開平7−314344号、特開平10−180643号等)。
このような電動工具においては、ハウジング表面に動作条件(例えば、締付けトルク等)を設定する設定スイッチが設けられ、この設定スイッチで設定された動作条件に応じて工具駆動源が制御される。したがって、上記電動工具によれば、作業者の経験や勘に頼ることなく作業が行われることとなり作業品質を一定に確保することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した電動工具では、ハウジング表面に動作条件を設定するための設定スイッチが設けられるため、作業者により自由に動作条件を変更できてしまうという問題があった。特に、一人の作業管理者が多くの作業者を管理する作業現場(例えば、工場の組立てライン、建設工事現場等)においては、作業管理者が全ての作業者を監視・監督することは困難である。このため、作業開始前に作業管理者が動作条件を設定した場合においても、作業中に作業者により設定スイッチが操作され動作条件が変更されたとき等には作業品質が確保できなかった。
【0004】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、動作条件を設定する設定スイッチをなくすことにより、作業者によっては動作条件を変更することができない電動工具を実現する。
【0005】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
(1)上記課題を解決するため請求項1に記載の電動工具は、設定されたオートストップ条件に応じて制御される電動工具において、駆動源と、その駆動源に接続されており、ハンマとそのハンマと遊転可能に係合するアンビルとを備え、ハンマとアンビルとの間に作用する負荷が小さいときはハンマの回転をアンビルにそのまま伝達し、ハンマとアンビルとの間に作用する負荷が大きくなるとアンビルに対してハンマが遊転してアンビルに衝突することでアンビルを回転させる締付機構と、音を検出して検出した音の大きさに応じた電圧の信号を出力する音センサと、その音センサに接続されており、オートストップ条件を設定するための動作条件設定プログラムと駆動源を自動的に停止するためのオートストッププログラムを少なくとも備えるコンピュータと、を有している。
そして、そのコンピュータは、(1)動作条件設定プログラムが起動しているときは、駆動源を停止すると共に、音センサから出力される信号の電圧が所定の基準電圧を超えた回数をカウントし、そのカウントした回数に基づいてオートストップ条件を設定し、(2)オートストッププログラムが起動しているときは、駆動源の駆動を開始すると音センサから出力される信号の電圧が所定の基準電圧を超えた回数をカウントし、そのカウントした回数と設定されているオートストップ条件に基づいて駆動源を停止する
【0006】
上記電動工具では、機械的なスイッチではなく、音センサを利用してオートストップ条件を設定するため、作業者によりオートストップ条件が変更されてしまうことを防止することができる。また、音センサは、オートストッププログラムが起動しているときは、ハンマとアンビルの衝突音を検出するセンサとして機能する。このため、オートストップ条件を設定するためだけに新たなセンサを設ける必要がない。
【0008】
(3)請求項1に記載の電動工具においては、設定されているオートストップ条件を表示する表示手段をさらに有することが好ましい(請求項2)。このような構成によると、設定されているオートストップ条件を表示手段で確認できるので、オートストップ条件の設定ミスを防止することができる。
また、コンピュータは、動作条件設定プログラムが起動している場合において、音センサから出力される信号の電圧が所定の基準電圧を超えた回数をカウントしたときは、表示手段により音が検出された旨を表示することが好ましい(請求項3)。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に本発明を具現化した一実施の形態に係る締付工具を、図を参照して説明する。図1はインパクトレンチ1の一部断面側面図を示している。図中3はハウジングを示し、ここに駆動源であるモータ22が収容固定されている。そのモータ22の出力軸20(ベアリング19に軸支されている)にはギヤが形成され、このギヤに複数の遊星ギヤ12が噛合う。この遊星ギヤ12はピン14を軸とし、ピン14はベアリング23に軸支されたスピンドル8に固定されている。また、遊星ギヤ12は、インターナルギヤケース18に固定されたインターナルギヤ16に噛合っている。これらのギヤ列によって減速機構が構成されている。
【0012】
ピン14を固定しているスピンドル8はモータ22で回転駆動される。スピンドル8には複数の溝8aがV字型に形成されており、そのスピンドル8にハンマ4が遊転可能となっている。そして、ハンマ4と溝8a間にはボール6が介装されている。この溝8aとボール6とによりカム機構が構成され、ハンマ4はスピンドル8に対し溝8aに沿って相対移動可能となっている。また、ハンマ4とスピンドル8との間には、ボール51とワッシャ49を介してバネ10が圧縮状態で収容されており、ハンマ4は図示右方に常時付勢されている。
ハンマ4の先端側には、アンビル2がハウジング3に対して回転可能に取付けられている。アンビル2の先端2aは断面多角形になっており、ここにナット類の頭部に係合する図示されていないボックスが取付けられる。アンビル2の後端面には直径方向に伸びる一対の突条2b、2cが形成されている。またハンマ4の先端面にも直径方向に伸びる突条4b、4cが形成されており、各突条2b、2cと4b、4cの側面が当接するようになっている。
【0013】
次に、上述した締付機構の作用について説明する。上述した締付機構においてナット類が軽負荷で締付けられている場合、アンビル2とハンマ4の各突条間に作用する力、すなわちスピンドル8とハンマ4間にボール6を介して作用する力も弱く、ハンマ4はバネ10の力によってアンビル2側に押付けられている。このためスピンドル8の回転がハンマ4とアンビル2に連続的に伝えられ、ナット類(図示しない)は連続的に締付けられる。
一方ナット類の締付力が大きくなると、アンビル2とハンマ4の各突条間にも大きな力が作用するようになり、スピンドル8とハンマ4間にもボール6を介して大きな力が作用するようになる。このためハンマ4を溝8aに沿ってスピンドル8の後方側に移動させる力も大きくなる。すなわちアンビル2とハンマ4間に所定値以上の力が作用すると、ハンマ4が後退して突条2b、2cと突条4b、4cの当接関係が失われ、ハンマ4はアンビル2に対して遊転する。突条4b、4cが突条2b、2cをのりこえると、バネ10によりハンマ4は前進する。このためハンマ4はアンビル2に対して所定角遊転したのちに衝突する。この遊転して衝突する現象が繰り返され、衝突毎にナット類はより強固に締付けられる。
【0014】
次に、ハンドル部3aに設けられるスイッチ類等の各種部品について説明する。ハンドル部3aには、モータ22を起動させるためのメインスイッチ48及びモータ22の回転方向を切換える正逆転切替スイッチ24が設けられている。
また、ハンドル部3a内の下端よりの位置には、制御基板36が取付けられており、ここにマイクロコンピュータ38や駆動回路116等の電子部品が実装されている。この制御基板36には、ハンマ4とアンビル2の衝突音を受音する受音部30(コンデンサマイク)が組込まれ、さらに、2個の赤色LED34、緑色LED35が取付けられている。この赤色LED34、緑色LED35の光は、ハンドル部3aの後端に設けられた表示窓33を介して作業管理者等に表示され、動作条件設定時において設定した動作条件が何であるかを作業管理者に表示する。
また、ハンドル部3aの下端には、モータ22やマイクロコンピュータ38等に電力を供給するバッテリパック122が着脱可能に取付けられている。
【0015】
次に図2を参照して本締付工具1の回路構成を説明する。制御基板36に取付けられているマイクロコンピュータ38はCPU110、ROM118、RAM120とI/O108が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図2に示すように接続されている。このマイクロコンピュータ38のROM118には、後述する動作条件を設定する設定プログラムや、設定された動作条件に応じてモータ22の動作を制御する制御プログラム等が記憶されている。
受音部30はフィルタ102を介して比較器104の一方の端子に接続されている。比較器104の他方の端子には基準電圧発生器112の電圧V3が入力される。比較器104の出力電圧はマイクロコンピュータ38に入力される。
なお、電源であるバッテリパック122は、電源回路130を介してマイクロコンピュータ38に接続されるとともに、メインスイッチ48、正逆転切替スイッチ24を介してモータ22に接続されている。また、このモータ22は、駆動回路116及びブレーキ回路114を介してそれぞれマイクロコンピュータ38に接続される。
また、赤色LED34、緑色LED35は、それぞれLED点灯回路124、126を介してマイクロコンピュータ38に接続されており、また、メモリ回路128もマイクロコンピュータ38に接続されている。
【0016】
上述した回路では、受音部30で音を検出すると、これにより受音部30から電圧V1が発生する。この電圧V1は、フィルタ102で低周波ノイズが除去され、電圧V2となって比較器104に出力される。
比較器104はフィルタ102から出力された電圧V2が他方の比較電圧V3よりも高くなるとオフからオンすることによりパルス波を出力する。比較器104から出力されたパルス波は、マイクロコンピュータ38によりカウントされる。したがって、マイクロコンピュータ38でカウントしたパルス波の数は、受音部30で検出する音の検出回数となる。
【0017】
次に、上述したように構成される締付工具の動作について説明する。本実施の形態に係る締付工具では、まず作業管理者により動作条件(作業モード、打撃回数等)が設定され、この設定された動作条件でモータ22及びLED34、35が制御される。まず、作業管理者により動作条件を設定する時の締付工具の設定手順について図3のフローチャートを用いて説明する。
【0018】
本実施の形態において動作条件を設定するには、バッテリパック122を締付工具1から取外し、マイクロコンピュータ38に供給される電源を一度遮断する。これは、本実施の形態の締付工具1では、マイクロコンピュータ38への電源投入時にのみ動作条件を設定するプログラムが起動されるよう構成されているためである。したがって、動作条件を設定するためには一度バッテリパック122を取り外し、再度取付けることにより、マイクロコンピュータ38に電源の供給を開始する(S1)。
S1のステップによりマイクロコンピュータ38が動作可能電圧になると、まず、マイクロコンピュータ38は動作条件設定プログラムを起動するか否かの判定を行う(S2)。具体的には、メインスイッチ48から出力されたトリガ信号をI/O108で受信しているか否か、すなわち、メインスイッチ48を作業管理者がONしているか否かを判断する。作業管理者がメインスイッチ48をONしていない場合〔S2のステップでNOの場合〕には、動作条件設定プログラムを起動せずに、後述する通常処理(設定された動作条件毎にモータ22等を制御する処理)に移行する。
一方、作業管理者がメインスイッチをONしている場合〔S2のステップでYESの場合〕には、現在設定されている動作条件が作業管理者に表示される(S3)。すなわち、マイクロコンピュータ38は、緑色LED35及び赤色LED34を所定回数だけ点灯することにより作業管理者に現在設定されている動作条件を表示する。ここで、本実施の形態に係る締付工具1においては、2桁の数字で動作条件が設定され、具体的には上位桁が16進数(0〜9、A〜Fのいずれか)で設定され、下位桁が10進数(0〜9のいずれか)で設定されている。したがって、マイクロコンピュータ38は、緑色LED35の点灯回数により上位桁の数字を、赤色LED34の点灯回数により下位桁の数字を表示する。例えば、締付工具1に設定されている動作条件が「xy」である場合には、緑色LED35をx+1回点灯し、赤色LED34をy+1回点灯する。ここで、設定された数字に1を加えた回数を点灯するのは、以下の理由による。すなわち、動作条件のどちらかの数字に0が含まれる場合、設定された数字に1を加えた数だけ点灯させないと、LED34、35が点灯されない場合が生じる。このため、LED34、35が点灯されないのが故障によるものなのか、それとも0が設定されているからなのかの判断ができないためである。なお、赤色LED34、緑色LED35の点灯回数で設定されている動作条件が表示された後、赤色LED34及び緑色LED35の両者が点灯される。
【0019】
次に、作業管理者が締付工具1のハウジング3をドライバ等で1回打撃することにより、その時に発生する音を受音部30に検出させる(S4)。受音部30が打撃音を検出すると、それによりパルス波がマイクロコンピュータ38に入力され、パルス波が入力されたマイクロコンピュータ38は赤色LED34及び緑色LED35を消灯する。
LED34、35が消灯すると、次にメインスイッチ48をOFFする(S5)。これにより、マイクロコンピュータ38による動作条件を設定するための準備が完了する。
【0020】
次に、作業管理者が締付工具1のハウジング3を必要な回数だけ打撃することにより動作条件の上位桁を設定する(S6)。具体的には、上位桁に「x」を設定する場合は、ハウジングをx回打撃する。ここで、打撃により発生した音は受音部30により検出され、打撃回数だけパルス波がマイクロコンピュータ38に入力される。したがって、マイクロコンピュータ38は、このパルス波をカウントすることにより上位桁の数字を設定する。この際、マイクロコンピュータ38は、I/O108で受信したパルス波に応じて緑色LED35を点灯することで、緑色LED35を打撃回数だけ点滅することとなる。これにより、作業管理者は、打撃がマイクロコンピュータ38でカウントされたか否かを確認できる。
【0021】
上位桁の数字設定が終了すると、次に、メインスイッチ48をONし(S7)た後、再度OFFする(S8)。これにより、マイクロコンピュータ38は、緑色LED35を点灯させ、上位桁の数字設定が終了したことを作業管理者に表示する。
下位桁の数字設定も、上述した上位桁の数字設定と同様、作業管理者が締付工具1のハウジング3を必要な回数だけ打撃することにより動作条件の下位桁を設定する(S9)。この場合も、打撃回数だけパルス波がマイクロコンピュータ38に入力され、マイクロコンピュータ38は、このパルス波をカウントすることにより下位桁の数字を設定する。この際、マイクロコンピュータ38は、I/O108で受信したパルス波に応じて赤色LED34を点灯し、作業管理者に打撃がマイクロコンピュータ38でカウントされたか否かの表示を行う。
下位桁の数字設定が終了すると、次に、メインスイッチ48をONし(S10)た後、再度OFFする(S11)。これにより、マイクロコンピュータ38は、赤色LED34を点灯させ、下位桁の数字設定が終了したことを作業管理者に表示し、動作条件の設定が終了する。この際、上述したS8のステップで点灯された緑色LED35は、上述したS9〜S11のステップを処理されている間も点灯され続けている。したがって、動作条件の設定が終了した時点では、赤色LED34及び緑色LED35の両者が点灯されている。
なお、上述した手順で設定された動作条件はマイクロコンピュータ38に接続されたメモリ回路128に格納され、次に説明する通常処理における制御において使用される。
【0022】
次に、上述した手順で設定された動作条件「xy」(上位桁x、下位桁y)により作業を行うときの締付工具1の動作について説明する。なお、本実施の形態に係る締付工具1では、動作条件の上位桁に設定した数値により、締付工具で行う作業(締付作業、仮締作業、解体作業等)毎に最適な制御が行われるように設定されている。以下、締付工具で行われる作業毎の締付工具の動作について説明する。
【0023】
(1)上位桁xに0〜9が設定されているとき(締付作業モード)
動作条件の上位桁に0〜9が設定されている場合は、動作条件により設定された回数だけハンマ4とアンビル2を衝突させモータ22を停止させる。すなわち、図1に示した締付工具1では、締付トルクがハンマ4とアンビル2の衝突回数に依存するため、この衝突回数を制御することで締付トルクを管理する。このときのマイクロコンピュータ38で行われる処理について説明する。なお、この処理はメインスイッチ48が操作されている間実行され、オフされるとその実行も停止され、再度メインスイッチ48が操作されると再度実行が開始される。
まず、メインスイッチ48がオンされると、まずCPU110はメモリ回路128に格納されている動作条件を、変数xyとしてRAM120に記憶する。次に、このセットされた動作条件が「00」かどうか判別される。「00」である場合は、衝突回数が0回に設定されているためメインスイッチ48をONしてもモータ22は回転しない。
【0024】
セットされた動作条件が「00」でないと判別されると、次にこの値が「99」かどうかを判別する。「99」が設定されている場合、マイクロコンピュータ38は、メインスイッチ48がオンされている間、駆動回路116に駆動信号を出力することによりモータ22を回転させつづける。したがって、「99」が設定されている場合、ハンマ4とアンビル2の衝突回数によることなく、ナット等を連続的に締付ることができる。
【0025】
「00」も「99」も設定されていない場合、すなわち「01」〜「98」が設定されている場合は、次に、正逆転切替スイッチ24において、正転がセットされているか逆転がセットされているかを、マイクロコンピュータ38は判別する。
正逆転切替スイッチ24が逆転にセットされているときは、マイクロコンピュータ38は、メインスイッチ48がオンされている間モータ22を回転させる。すなわち、逆転のときはメインスイッチ48がオフされるまでモータ22を回し続け、ナット等を緩める。
【0026】
正転が設定されている場合は、設定された数字「xy」から衝突予定回数zを算出し、RAM120に記憶する。この衝突予定回数zは、以下に示す式で算出される。
z=(x×10+y)×2+1
つまり動作条件に「50」(10の位が「5」、1の位が「0」)が設定された場合は、衝突予定回数zは101回となる。
衝突予定回数zをRAM120に記憶すると、次に駆動回路116に駆動信号を出力することによりモータ22を回転させ始める。次にハンマ4とアンビル2の衝突音(ハンマ4とアンビル2の衝突回数に相当)を受音部30が検出し、比較器104が打撃音検出信号(パルス波)を出力するまで待機する。
比較器104から出力されたパルス波をマイクロコンピュータ38が検出すると、CPU110は次にRAM120に記憶されている衝突予定回数zから1を減じる演算を行なう。次に、1を減じられた結果がゼロになったか否かが判別され、ゼロになれば駆動回路116に出力している駆動信号の出力を停止し、ブレーキ回路114にブレーキ信号を出力することによりモータ22の回転を停止する。ゼロでなければ、上述した処理を繰り返すこととなる。これらの処理により衝突予定回数zだけハンマ4とアンビル2が衝突したときにモータ22が停止される(以下、このような機能を打撃カウントオートストップ機能という)。
【0027】
以上、動作条件の上位桁に「0」〜「9」の数字目盛りが選択された場合(締付作業モード)を説明してきた。以下、動作条件の上位桁に「A」〜「F」が設定された場合の作用を説明する。
なお、動作条件の上位桁に「A」が設定されている場合は、正逆転切替スイッチ24が正転位置でも逆転位置のどちらのときも、メインスイッチ48をオン操作してもモータ22は回転しない。すなわち、「A」は、作業管理者の動作条件の設定ミス防止のために設けられる。すなわち、以下に説明する特殊な作業モードに相当する「B」と、衝突回数を設定するモードである「9」とを誤って設定してしまうことを防止するために設けられている。
【0028】
(2)上位桁に「B」が設定されている場合(仮締め作業モード)
動作条件の上位桁に「B」が設定されている場合、締付工具は仮締め作業を行うモードである。すなわち、仮締め作業時には、ナット類の締付トルクが大きくなることなく、ナット類を締めなければならない。しかしながら、モータ22の回転を停止するタイミングが遅すぎるとナット類が締まり過ぎの状態となり、早過ぎるとナット類が緩すぎる状態となる。
そこで、本実施の形態では、動作条件の上位桁に「B」を設定することにより、締付工具1を仮締め作業モードで運転する。具体的には、メインスイッチ48がオンされると、マイクロコンピュータ38は、正逆転切替スイッチ24が正転位置にあるか否かを判別し、正逆転スイッチ24が正転位置にあるとき、動作条件の下位桁に設定した「y」から最初のハンマ4とアンビル2の衝突を検知してからモータ22を停止するまでの時間(具体的には「y」×0.1秒)を求め、その時間をRAM120に記憶する。
次に、マイクロコンピュータ38は、駆動信号を出力することによりモータ22を回転させる。そして、比較器104から出力されたパルス波を受信すると、RAM120に記憶した時間だけモータ22を回転させてからモータ22を停止させる。
したがって、この仮閉め作業モードによれば、作業者がメインスイッチ48をずっとオン状態にしていても、ハンマ4とアンビル2が最初に衝突してから所定時間後にモータ22が自動的に停止する。このため、仮締め作業を効率的に行うことができる。
なお、正逆転切替スイッチ24が逆転位置にある場合は、メインスイッチ48のオン操作によってモータ22を回転させ、メインスイッチ48がオフされるまでモータ22を回し続ける(打撃カウントオートストップ機能停止)。
【0029】
(3)上位桁に「C」が設定されている場合(解体作業モード)
動作条件の上位桁に「C」が設定されている場合は解体作業を行うモードである。すなわち、解体作業時には、所定のトルクで締付けられているナット類を緩め、ボルト等から取り外さなければならない。ナット類を緩め始めるときは、ハンマ4とアンビル2に作用する力も大きく、ハンマ4とアンビル2が衝突することによりナット類が緩められる。そして、ハンマ4とアンビル2が充分に緩まれば、ハンマ4とアンビル2の衝突が検知されなくなり、スピンドル8の回転がハンマ4とアンビル2に連続的に伝えられナット類が緩められる。
したがって、このような解体作業時においてモータ22を停止するタイミングが遅れると、ナット類を緩めすぎてナット類がボルト等から完全に外れてしまい、ナット類が落下して紛失してしまう場合があった。
そこで、動作条件の上位桁に「C」を設定することで、締付工具を解体作業モードで制御する。すなわち、正逆転切替スイッチ24を逆転位置とし、メインスイッチ48をオン操作することによって、モータ22が逆転方向に回転し、受音部30によってハンマ4とアンビル2の衝突を検知しなくなってから所定時間後にモータが停止するようプログラムされている。この所定時間は、上述した仮締め作業モードと同様、動作条件の下位桁の数字「y」によって決まる(「y」×0.1秒)。
【0030】
具体的に説明すると、メインスイッチ48がオンされると、マイクロコンピュータ38は、まず、動作条件の下位桁の数字によって決まる時間を求めRAM120に記憶する。そして、駆動回路116に駆動信号を出力することによりモータ22を回転させ、比較器104から出力されるパルス波の受信の有無(衝突の有無)を監視する。
そして、最初のパルス波を受信すると、パルス波を受信する毎に次のパルス波を受信するまでの時間を計測し、この時間間隔が予め設定している時間を超えた場合に、ハンマ4とアンビル2が衝突しない状態になったと判断する。そして、ハンマ4とアンビル2が衝突しない状態となったと判断した時点からRAM120に記憶した時間だけモータ22が回転するよう駆動信号を出力する。
このように解体作業モードによれば、作業者がメインスイッチ48をオン状態にし続けても、ハンマ4とアンビル2の衝突が検知されなくなってから所定時間後にモータ22が自動的に停止する。このため、ナット類がボルト等から完全に外れる前(ボルトと結合した状態)でモータ22が自動的に停止する。したがって、ナット類がボルト等から完全に外れてしまうことによる、ナット類やボルト類の紛失等を防止することができ、解体作業を効率的に行うことができる。
なお、正逆転切替スイッチ24が正転位置にある場合は、メインスイッチ48のオン操作によってモータ22が起動し、メインスイッチ48がオフされるまでモータ22を回し続ける(打撃カウントオートストップ機能停止)。
【0031】
(4)上位桁に「D」が設定されている場合(締付トルク調整作業モード)
動作条件の上位桁に「D」が設定されている場合は締付トルク調整作業を行うモードである。すなわち、最大締付トルクが大きい締付工具では、ハンマ4とアンビル2の衝突回数を管理することによっては締付トルクが調整できない場合がある。最大締付トルクが大きすぎて、ハンマ4とアンビル2が1回衝突するだけで締付け母材が破壊されてしまう場合である。このような場合、メインスイッチ48の引き代を調整することによりモータ22の回転数を落とし締付トルクを調整することが考えられるが、メインスイッチ48の引き代で調整しようとする場合、作業者の経験と勘に頼ることとなり適切な締付トルク調整が困難となる。
そこで、本実施の形態では、動作条件の十の桁に「D」を設定することで、締付トルク調整作業を適切に行う。なお、この締付トルク調整作業モードでは、正逆転切替スイッチ24の位置に関わらず、モータ22の回転速度が予め設定された所定の回転速度に調整される。
【0032】
本実施の形態では、動作条件の下位桁に設定された「y」によって、メインスイッチ48を完全に引ききった時のモータ22の回転速度を所定の回転速度とする。具体的には、「y」が「0」の場合は通常のモータの回転速度である。「y」が「9」の場合はモータ22の回転速度を、通常のモータ22の回転速度の90%に制御する。「y」が「8」の場合はモータ22の回転速度を、通常のモータ22の回転速度の80%に制御する。同様に、動作条件の下位桁に設定された数字「y」によって、モータ22の回転速度を「y」×10%に制御する。
なお、このモードの時には、打撃カウントオートストップ機能を停止させている。
【0033】
(5)上位桁に「E」が設定された場合(修理作業モード)
動作条件の上位桁に「E」が設定されている場合は修理作業モードである。すなわち、この種の締付工具では、ハンマ4とアンビル2の衝突による振動等によりマイクロコンピュータ38等の電装部品が故障し、これらの部品を修理する必要が生じる。かかる場合、故障した部品を特定し交換する必要があるが、故障した部品を特定することは困難であり、修理者の経験と勘によるところが大きかった。
そこで、本実施の形態では、動作条件の上位桁に「E」を設定することで、締付工具を修理作業モードとし故障箇所の特定を容易に行うことができるようにしている。
【0034】
すなわち、この修理作業モードで、正逆転切替スイッチ24を正転位置にしたときは、メインスイッチ48のオン操作を行なっても、モータ22は作動せず停止状態を維持する。そして、メインスイッチ48がオンされてから2秒後に、動作条件の下位桁に設定された「y」に「1」を加えた回数だけ赤色LED34が発光するようプログラムされている。例えば、下位桁に「2」が設定されたときは、メインスイッチ48のオン操作をしてから2秒後に3回だけ発光する。
すなわち、マイクロコンピュータ38が、メインスイッチ48がオンされたのを検知してから2秒経過した後、赤色LED34に所定回数だけ点灯信号を出力する処理を行う。
これにより、例えば、赤色LED34が発光する回数によって、マイクロコンピュータ38のRAM120が故障しているかどうかを判定でき、また、赤色LED34が発光するタイミングでマイクロコンピュータ38のタイマー動作が正常か否か等をチェックすることができる。したがって、故障箇所の特定を容易に行うことができ、修理作業を効率的に行うことができる。
【0035】
また、この修理作業モードで、正逆転切替スイッチ24を逆転位置にしたときは、受音部30の検知(受音)動作や、マイクロコンピュータ38によるモータ22の停止動作等をチェックすることができる。
すなわち、マイクロコンピュータ38は、メインスイッチ48のオン操作によってモータ22を回転させ、所定の回数だけ受音部30で音を検出したとき、モータ22が停止するようプログラムされている。ここで、モータ22を停止するまでに受音部30で音を検出する回数は、動作条件の下位桁に設定された「y」に「1」を加えた値の回数で設定される。
したがって、メインスイッチ48をオンにしながら、ハウジング3をドライバ等で所定回数だけ叩いたときに、モータ22が所定の回数で停止するか否かを判定することにより、例えば受音部30の動作、及びマイクロコンピュータ38が正常に機能しているかどうか等を判定することができる。
【0036】
(6)上位桁に「F」が設定された場合(マイコンチェック・バッテリチェック作業モード)
動作条件の上位桁に「F」が設定されている場合はマイコンチェック作業等を行うためのモードである。すなわち、本実施の形態の締付工具では、マイクロコンピュータ38のROM118に記憶されている制御プログラムに基づいて、モータ22やLED34、35の動作が制御される。このマイクロコンピュータ38に搭載される制御プログラムは、バージョンアップ等により変更されるが外観上に変更はない。このため、工場内で修理等によりマイクロコンピュータ38を交換する必要がある場合、どのバージョンのマイクロコンピュータ38に交換すればよいかを簡単に判定することができない。
そこで、本実施の形態では、動作条件の上位桁に「F」を設定することにより、マイクロコンピュータ38のバージョンチェックを容易に行うことができるようにしている。
【0037】
すなわち、このモードにおいて下位桁に「0」を設定した場合、メインスイッチ48のオン操作によりマイクロコンピュータ38のバージョンをチェックすることができる。具体的には、メインスイッチ48のオン操作により、マイクロコンピュータ38のバージョンコードを示す光が赤色LED34から発光されるようにプログラムされている。例えばマイクロコンピュータ38がバージョン2.1のときは、赤色LED34は、2回比較的長い時間発光し、しばらく間隔を空けて、1回短い時間発光する。
これにより組み込んだマイクロコンピュータ38のバージョンが簡単にチェックでき、誤ったバージョンのマイクロコンピュータ38を組付けてしまうという事態を防止することができる。したがって、マイクロコンピュータ38の交換作業等を効率的に行うことができる。
【0038】
さらに、本実施形態では、このモードにおいて下位桁に「1」を設定したとき、バッテリ電圧をチェックすることができる。すなわち、メインスイッチ48のオン操作により、バッテリ電圧の値を示す光が赤色LED34から発光するようにプログラムされている。具体的には、バッテリ電圧が23ボルトのときは、2回比較的長い時間発光し、しばらく間隔を空けて、3回短い時間発光する。
これによりバッテリ電圧が容易にチェックでき、バッテリ交換の必要性の有無が容易に判定できる。したがって、このようなバッテリチェックを作業開始前に行っておけば、作業中にバッテリ電圧が低下し締付工具が動かなくなってしまうという事態を防止することができる。
なお、このモードにおいては、メインスイッチ48を操作してもモータ22が正転・逆転いずれの方向にも回転しないため、工具の盗難(作業者等が作業現場から工具を持ち出してしまうこと)を防止する機能をも果たす。すなわち、このようなモードに設定されている場合には、この設定されているモードを解除しない限り盗んでも工具を使用することができず、これにより盗難防止の機能を果たすこととなる。
【0039】
以上、詳述したように、上述した実施の形態の締付工具によれば、動作条件を設定するために機械的スイッチは使用せず、所定の手順(マイクロコンピュータ38の電源投入時に、メインスイッチ48をONすること)で動作条件設定プログラムを起動させ、受音部30から出力される検出信号を利用する。このため、動作条件設定プログラムを起動する手順を作業管理者のみが管理することで、作業者によって動作条件が変更されることを防止することができる。
また、動作条件設定プログラムを起動させる手順が、作業者によって通常行われない動作(バッテリパックの取付け時にメインスイッチをONすること)により起動されるため、作業者が作業中に誤って動作条件を変更してしまうことを防止することができる。
さらに、動作条件を設定するためのハードとしては、従来から備付けられていた受音部30及びメインスイッチ48を使用するため、ハード的に新たな部品を追加する必要がなく製造コストを安くすることができる。
【0040】
【他の実施形態】
次に本発明の他の実施形態に係る電動工具(ソフトインパクトドライバ)について説明する。上述した実施形態に係る電動工具では、衝突音を検出する受音部30を利用して、電動工具の動作条件(動作モード)を設定する例であった。しかしながら、以下に説明する実施の形態では、電動工具とは別体で設けた動作条件設定装置(リモコン装置)と電動工具との間でデータ通信を行うことにより動作条件の設定を行う。以下、図面を参照して説明する。
以下に説明する実施の形態においては、図4に示すようにネジの締付を行うソフトインパクトドライバ201と、このソフトインパクトドライバ201とデータの送受信を行うことによってソフトインパクトドライバ201の動作条件を設定するリモコン装置250とを備える。
【0041】
まず、ソフトインパクトドライバ201の機械的構成について図5を参照して説明する。図5はソフトインパクトドライバ201の一部断面側面図を示している。図5に示すソフトインパクトドライバ201は、ハウジング203内に駆動源であるモータ222(図示省略:但し図6に表示)が収容固定されている。そのモータ222の出力軸200は遊星歯車機構216に接続され、遊星歯車機構216の出力軸214は緩衝機構212を介してオイルユニット210に接続される。このオイルユニット210は、その出力軸208に瞬間的に大きなトルク(オイルパルス)を発生させる装置であり、緩衝機構212はオイルユニット210によるオイルパルス発生時の衝撃がダイレクトに遊星歯車機構216側に伝達されることを防止するための機構(例えば、実開平7−31281号等)である。
このオイルユニット210の出力軸208にはベベルギヤ206が連結されており、このベベルギヤ206に出力軸208に対して直交状に軸支されるスピンドル202と一体のベベルギヤ204が噛合している。スピンドル202の先端にはナット類の頭部に係合する図示されていないボックスが取付けられる。
したがって、ソフトインパクトドライバ201においてモータ222が回転すると、その回転が遊星歯車機構216を介してオイルユニット210に伝達される。そして、ナット類を締付け始める初期の段階においてはスピンドル202への負荷が低いため、オイルユニット210はオイルパルスを発生させること無く、モータ222から伝達された回転がそのままオイルユニット210を介してスピンドル202へ伝達される。そして、ナット類が締付けられてスピンドル202への負荷が高くなると、オイルユニット210からオイルパルスが発生し、その衝撃力によりナット類が締付けられることとなる。
【0042】
また、このようなソフトインパクトドライバ201のハウジング203表面には通信窓218が設けられ、この通信窓218に近接するハウジング203内部には、リモコン装置250とデータの送受信を行うための赤外線LED237及びフォトダイオード238が配される(図6参照)。この赤外線LED237及びフォトダイオード238の近接した位置には、作業者にメンテナンスの要否等を報知するための赤色LED234、緑色LED235が配されている。
また、通信窓218の反対側には、モータ222を起動するためのメインスイッチ226が設けられる。このメインスイッチ226の下側のハウジング203内には、制御基板236が取付けられており、ここにマイクロコンピュータ239や駆動回路316等の電子部品が実装されている。また、この制御基板236には、オイルユニット210によるオイルパルス発生時の衝撃音を受音する受音部230(コンデンサマイク)が組込まれている。
なお、ハウジング203の下端には、モータ222やマイクロコンピュータ238等に電力を供給するバッテリパック322が着脱可能に取付けられている。
【0043】
次に、図6を参照してソフトインパクトドライバ201の制御系の構成を説明する。制御基板236に取付けられているマイクロコンピュータ239はCPU310、ROM318、RAM320とI/O308が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図6に示すように接続されている。このマイクロコンピュータ239のROM318には、リモコン装置250とデータを送受信するためのプログラムや、リモコン装置250から送信されたデータに基づいてソフトインパクトドライバ201の動作モード(機能)を設定する設定プログラムや、この設定された動作モードにしたがってモータ222の動作を制御する制御プログラム等が記憶される。
受音部230はフィルタ302を介して比較器304の一方の端子に接続されている。比較器304の他方の端子には基準電圧発生器312の電圧V3が入力される。比較器304の出力電圧はマイクロコンピュータ239に入力される。したがって、受音部230で音を検出すると、これにより受音部230から電圧V1が発生する。この電圧V1は、フィルタ302で低周波ノイズが除去され、電圧V2となって比較器304に出力される。比較器304はフィルタ302から出力された電圧V2が他方の比較電圧V3よりも高くなるとオフからオンすることによりパルス波を出力する。比較器304から出力されたパルス波は、マイクロコンピュータ239によりカウントされる。したがって、マイクロコンピュータ239でカウントしたパルス波の数は、受音部230で検出する音(オイルパルスの衝撃音)の検出回数となる。
【0044】
なお、電源であるバッテリパック322は、電源回路330を介してマイクロコンピュータ239に接続されるとともに、メインスイッチ226、正逆転切替スイッチ224を介してモータ222に接続されている。また、このモータ222には、駆動回路316及びブレーキ回路314を介してそれぞれマイクロコンピュータ239が接続される。
また、赤色LED234はLED点灯回路324を介して、緑色LED235はLED点灯回路325を介して、赤外線LED237は赤外線LED点灯回路326を介して、フォトダイオード238は電気信号発生回路327を介してそれぞれマイクロコンピュータ239に接続されており、また、メモリ回路328もマイクロコンピュータ239に接続されている。
【0045】
このメモリ回路328には、ソフトインパクトドライバ201の動作を制御する際に必要となるデータ(動作モード、タイマーオートストップ設定値、打撃カウントオートストップ設定値)が記憶される。
具体的には、ソフトインパクトドライバ201の動作モードを設定するためのデータは、図7に示すようにD0〜D7までの8ビットのデータで構成され、D0にはバッテリオートストップモードのOFF(0)又はON(1)を示すデータ、D1には停止モード(0)又は通常モード(1)かを示すデータ、D2、D3には連続動作モード(00)・タイマーオートストップモード(01)・打撃カウントオートストップモード(10)のいずれかを示すデータ、D4にはメンテナンスアラームモードのOFF(0)又はON(1)を示すデータとされる。ここで、バッテリオートストップモードとは、モータ222の起動時にバッテリ電圧の降下値を読取り、バッテリ残容量が少なくなったらモータ222を自動的に停止する機能である。また、停止モードはメインスイッチ226を操作してもモータ222を回転させないモード(誤操作防止及び盗難防止のため)であり、通常モードはメインスイッチ226の操作によりモータ222を回転させ作業を行うモードである。
また、連続動作モードとはメインスイッチ226を操作し続ける限りモータ222を回転させるモードであり、タイマーオートストップモードとは最初のオイルパルスの発生(すなわち、最初の衝撃音を受音部230で検出)から設定時間経過したときにモータ222を自動的に停止するモードであり、打撃カウントオートストップモードとは設定した回数だけオイルパルスが発生(すなわち、衝撃音を受音部230で設定回数だけ検出)したときにモータ222を停止するモードをいう。上記タイマーオートストップモードでモータ222の停止時間を設定するデータもメモリ回路328に記憶される。このデータは、図8に示すように8ビットのデータであり、0〜255までの数値で設定される。そして、モータ222の停止時間は、この設定された数値に0.1秒を乗じた時間である。
また、上記打撃カウントオートストップモードで必要となる設定数は、図9に示すデータ形式でメモリ回路328に記憶される。すなわち、この設定数も、上述した停止時間と同様に0〜255までの数値で設定され、設定された数値を2倍した数値に1を足した数が実際の衝突回数となる。
また、メンテナンスアラームモードとは、ソフトインパクトドライバ201の使用実績情報と設定したメンテナンス条件が一致したときに、メインスイッチ226を操作してもモータ222が動作しないようにするモードである。なお、このモードでは、モータ222を動作しないようにする前の所定のタイミングで赤色LED234を点灯して作業者に警告を行うようになっている。
上記メンテナンスアラームモードで必要となるソフトインパクトドライバ201の使用実績情報及びメンテナンスアラーム条件が、メモリ回路328に記憶される。本実施形態では、メンテナンスアラーム条件として、メインスイッチ226の操作回数、バッテリパック322の脱着回数、モータ222の稼動時間、遊星歯車機構216等のギヤ及びモータ222の稼動時間を設定しているため、これら各項目の使用実績情報及びメンテナンスアラーム条件が記憶されるようになっている。
このように本実施形態においてメンテナンスアラーム条件を複数設定しているのは、メンテナンス(交換作業)を要する各部品(メインスイッチ226、バッテリ322と本体の電気的接点、モータ222、遊星歯車機構216等のギヤ、オイルユニット210)の耐久性がそれぞれ異なるためである。したがって、本実施形態においてはメンテナンス条件のいずれか一つが満足された場合に、モータ222が停止しメンテナンス作業が行われることとなる。
また、メモリ回路328には、ソフトインパクトドライバ201の識別情報が格納される。具体的には、ソフトインパクトドライバ201のモデル名を特定するための情報とソフトインパクトドライバ201のシリアル番号が格納される。
【0046】
次に、リモコン装置250について図10、図11に基づいて説明する。リモコン装置250は、上述したソフトインパクトドライバ201とデータの送受信を行うための装置であり、図10に示すように側面には電源スイッチ254が設けられ、また、その前面には各種入力スイッチ(機能ON/OFFスイッチ256、アラーム設定スイッチ258、YESスイッチ260、NOスイッチ262、オートストップスイッチ264、使用状況スイッチ266)と作業管理者が入力情報を確認等するためのディスプレイ252が設けられる。
リモコン装置250の制御系は、図11に示すように、マイクロコンピュータ276を中心に構成される。このマイクロコンピュータ276は、CPU280、ROM282、RAM284とI/O278が1チップ化されたものである。マイクロコンピュータ276のROM282には、ソフトインパクトドライバ201にデータを送受信するためのプログラム等が記憶される。
マイクロコンピュータ276には、各種入力スイッチ(機能ON/OFFスイッチ256、使用状況スイッチ266、アラーム設定スイッチ258、オートストップスイッチ264、YESスイッチ260、NOスイッチ262)が接続され、これらスイッチが操作されることにより発生する信号はマイクロコンピュータ276で受信される。また、マイクロコンピュータ276にはディスプレイ252が接続され、マイクロコンピュータ276から出力されるLCD表示信号に基づいてディスプレイ252には各種情報が表示される。さらに、マイクロコンピュータ276には赤外線LED点灯回路286を介して赤外線LED268が接続され、電気信号発生回路288を介してフォトダイオード270が接続されている。この赤外線LED268は赤外線を出力することでソフトインパクトドライバ201にデータを送信する機能を有し、フォトダイオード270はソフトインパクトドライバ201から送信されたデータ(ソフトインパクトドライバ201の赤外線LED237から出力された赤外線)を受信する機能を有する。この、マイクロコンピュータ276には、バッテリ272(リモコン装置250内に収容)から電源スイッチ254及び電源回路274を介して電力が供給される。
また、マイクロコンピュータ276には、リモコン装置250と送受信を行う各ソフトインパクトドライバ201の設定データ等を格納するメモリ回路290が接続される。このメモリ回路290は、リモコン装置250と送受信を行う各ソフトインパクトドライバ毎にそのデータを格納する領域が区分けされており、この区分けされた領域には、ソフトインパクトドライバ201のメモリ回路328に記憶されているデータと同一データが格納されるようになっている。
【0047】
次に、上述したリモコン装置250を用いてソフトインパクトドライバ201に動作条件等を設定する際の各装置の手順を説明する。本実施形態では、作業管理者がリモコン装置250を操作することで、ソフトインパクトドライバ201の動作モード設定、オートストップ設定等の設定作業が行われ、しかる後、作業者による作業が行われる。
この作業管理者によるリモコン装置250の操作手順について図12に基づいて説明する。図12は、作業管理者による動作モード等の設定手順を示している。まず作業管理者は、リモコン装置250の電源スイッチ254をONする(S01)。そして、設定したい事項を機能ON/OFFスイッチ256、使用状況スイッチ266、アラーム設定スイッチ258、オートストップスイッチ264のいずれか一つを押すことで選択する(S10、S20、S40、S60)。
【0048】
(1)モード設定
機能ON/OFFスイッチ256を選択すると、ソフトインパクトドライバ201にバッテリオートストップモードや、タイマーオートストップモード等の各種モード(各種機能)を設定(ON/OFF)するための送信データの作成が行われる。機能ON/OFFスイッチ256が選択されたときの作業管理者による操作を図13に基づいて説明する。
図13に示すように、機能ON/OFFスイッチ256が選択されるとディスプレイ252に「バッテリストップアリ?」の文字が表示される(S11)。したがって、作業管理者はバッテリオートストップモードをONする場合はYESスイッチ260を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ262を選択する。YESスイッチ260を選択した場合には、ソフトインパクトドライバ201に送信される8ビットのデータ(図5に示すデータ形式のD0〜D7に相当)の中のD0に1が設定され、NOスイッチ262が選択された場合にはD0に0が設定され、しかる後ステップS12に進む。
ステップS12に進むと、ディスプレイ252に「タイマーオートストップアリ?」の文字が表示される。したがって、作業管理者はタイマオートストップモードをONする場合はYESスイッチ260を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ262を選択する。YESスイッチ260を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2に(0、0)が設定されてステップS15に進み、NOスイッチ262が選択された場合にはそのままステップS13に進む。
ステップS13に進むと、次にディスプレイ252に「カウンタオートストップアリ?」と表示される。したがって、作業管理者はカウンタオートストップモードをONする場合はYESスイッチ260を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ262を選択する。YESスイッチ260を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2に(1、0)が設定されてステップS15に進み、NOスイッチ262が選択された場合にはそのままステップS14に進む。
ステップS14に進むと、次にディスプレイ252に「テイシモード?」と表示される。したがって、作業管理者は停止モードを選択する場合にはYESスイッチ260を選択し、停止モードを選択しない場合にはNOスイッチ262を選択する。YESスイッチ260を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2、D1に(0、0、0)が設定されてステップS15に進み、NOスイッチ262が選択された場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD3、D2、D1に(0、0、1)が設定される。
ステップS15に進むと、次にディスプレイ252に「メンテナンスアラームアリ?」と表示される。したがって、作業管理者はメンテナンスアラームモードをONする場合はYESスイッチ260を選択し、OFFする場合にはNOスイッチ262を選択する。YESスイッチ260を選択した場合には、送信データ(D0〜D7)の中のD4に1が設定され、NOスイッチ262が選択された場合にはD4に0が設定される。
これにより各モード(機能)をONするかOFFするかを指示する1バイトの送信データが作成される。この作成されたデータは、後で詳述するデータ転送処理(図12のステップS03)によりソフトインパクトドライバ201に送信される。
【0049】
(2)使用実績設定
使用状況スイッチ266を選択するとソフトインパクトドライバ201のメモリ回路328に記憶されている使用実績情報(メインスイッチ226の操作回数、バッテリ322の脱着回数等)を設定(リセット)するための送信データの作成を行う。すなわち、ソフトインパクトドライバ201に対してメンテナンス作業を行い交換した部品がある場合には、その部品についての使用実績情報の再設定(リセット)を行う。例えば、メインスイッチ226とオイルユニット10を交換した場合には、メインスイッチ226とオイルユニット10のみの使用実績情報のリセットを行う。このように個別に使用実績情報のリセットを行うことで、本実施形態では効率的な部品交換を可能としている。以下、使用状況スイッチ266が選択されたときの作業管理者による操作を図14に基づいて説明する。図14に示すように、使用状況スイッチ266が選択されるとまずソフトインパクトドライバ201から識別情報(モデル名、シリアル番号)を入力(受信)する。入力されたモデル名は、ディスプレイ252に「モデルOOOO」と表示される(S22)。モデル名が表示されYESスイッチ260を選択すると、次にシリアル番号がディスプレイ252に「No.OOOO」と表示される(S23)。シリアル番号が表示されたらYESスイッチ260を選択する。
上記ステップS21で入力した情報から対象となるソフトインパクトドライバ201が特定できるため、マイクロコンピュータ76はその特定したソフトインパクトドライバ201の使用実績情報を検索して、まずメインスイッチ26の操作回数を読み出す。そして、その検索して読出した操作回数をディスプレイ252に「スイッチOOOO」と表示する(S24)。作業管理者は現在の操作回数を確認した後、YESスイッチ260を押して次に進む。YESスイッチ260が押されると、次にディスプレイ252に「スイッチリセットシマスカ?」と表示される(S25)。メインスイッチ226をメンテナンス作業により交換している場合には、YESスイッチ260を選択することによりソフトインパクトドライバ201に送信するデータを0に設定する。逆に、メインスイッチ226の操作回数をリセットする必要がない場合には、NOスイッチ262を選択して次のステップに進む。
そして、以下、バッテリ122の脱着回数をリセットするか否か(S26、S27)、モータ222の稼働時間をリセットするか否か(S28、S29)、遊星歯車機構16等のギヤの稼働時間をリセットするか否か(S30、S31)、オイルユニット10の稼働時間をリセットするか否か(S32、S33)について、上述した操作と同一の操作を行う。
以上の手順により設定された送信データは、上述した(1)モード設定の場合と同様に、後で詳述するデータ転送処理(図12のステップS03)によりソフトインパクトドライバ201に送信される。
【0050】
(3)アラーム設定
アラーム設定スイッチ258を選択すると、ソフトインパクトドライバ201にメンテナンスアラーム条件を設定するための送信データの作成を行う。アラーム設定スイッチ258が選択されたときの作業管理者による操作を、図15に基づいて説明する。
アラーム設定スイッチ258が選択されると、図15に示すように、まずディスプレイ252に「アラームスイッチヘンコウ?」の文字が表示される(S41)。したがって、作業管理者はメインスイッチ226のメンテナンスアラームの回数を設定する場合はYESスイッチ260を選択し、設定しない場合にはNOスイッチ262を選択する。NOスイッチ262を選択した場合にはステップS43に進み、YESスイッチ260を選択した場合には、ディスプレイ252に「スイッチOOOO」と表示される(S42)。したがって、作業管理者は機能ON/OFFスイッチ256を押すことにより設定する操作回数を増加し、又は、使用状況スイッチ266を押すことにより設定する操作回数を減ずる。そして、所望の回数となった後、YESスイッチ260を押して次のステップに進む。
以下、上述した手順と同様にメンテナンスアラームを行うバッテリ322の脱着回数を設定し(S43、S44)、メンテナンスアラームを行うモータ222の稼働時間を設定し(S45、S46)、メンテナンスアラームを行う遊星歯車機構216等のギヤの稼働時間を設定し(S47、S48)、メンテナンスアラームを行うオイルユニット210の稼働時間を設定する(S50、S51)。
以上の手順により設定された送信データは、上述した各場合と同様に、後で詳述するデータ転送処理(図10のステップS03)によりソフトインパクトドライバ201に送信される。
【0051】
(4)オートストップ設定
オートストップスイッチ264を選択すると、タイマーオートストップモードにおけるモータ222を停止するまでの時間や、打撃カウントオートストップモードにおけるモータ222を停止するまでの打撃回数を設定するための送信データの作成を行う。オートストップスイッチ264が選択されたときの作業管理者による操作を、図16に基づいて説明する。
オートストップスイッチ264が選択されると、図16に示すように、ディスプレイ252に「タイマセッテイヘンコウ?」の文字が表示される(S61)。したがって、作業管理者はタイマーオートストップモードにおける設定時間を設定する場合はYESスイッチ260を選択し、設定しない場合にはNOスイッチ262を選択する。NOスイッチ262を選択した場合にはステップS63に進み、YESスイッチ260を選択した場合には、ディスプレイ252に「タイマーオートストップOOOO」と表示される(S62)。したがって、作業管理者は機能ON/OFFスイッチ256を押すことにより設定する時間を増加し、又は、使用状況スイッチ266を押すことにより設定する時間を減ずる。そして、所望の時間となった後、YESスイッチ260を押して次のステップに進む。
以下、上述した手順と同様に打撃カウントオートストップの打撃回数を設定する(S63、S64)。上述した手順により設定された送信データは、同様に後で詳述するデータ転送処理(図12のステップS03)によりソフトインパクトドライバ201に送信される。
【0052】
以上、(1)〜(4)の各操作によりソフトインパクトドライバ201に送信するデータが作成されると、次に、図12のステップS02に進み、ディスプレイ252に「ソウシンシマス」と表示される(S02)。したがって、作業管理者は送信データをソフトインパクトドライバ201に送信する場合にはYESスイッチ260を選択する。YESスイッチ260が選択されると、リモコン装置250からソフトインパクトドライバ201に向ってデータ転送が行われる(S03)。
このステップS03のデータ転送時におけるリモコン装置250(送信側)及びソフトインパクトドライバ201(受信側)の動作について説明する。まず、リモコン装置250の動作について図18に基づいて説明する。リモコン装置250は、送信を開始する起動信号をソフトインパクトドライバ201に送信した後、図18に示すように、ソフトインパクトドライバ201から送信されてくるREADY信号を受信するまで待機する(S70)。READEY信号を受信すると〔ステップS70でYESの場合〕、ステップS71に進みデータ送信を行う(S71)。ここで、ソフトインパクトドライバ201に送信されるデータは、図17に示すようにフレームデータ部(8ビット)とデータ部(24ビット)からなっている。フレームデータ部には、これから送信されるデータが何に関するデータ(モード設定、使用状況設定、メンテナンスアラーム設定、オートストップ設定の別)であるかを示すデータが含まれる。また、データ部(24ビット)は、セパレータ(01)を挟んで同一のデータ〔上述した手順で作成されたデータ(8ビット単位)〕が2連送で送信される。そして、データ送信が行われると、しばらくその状態で待機する(S72)。そして、送信するデータが1バイト(8ビット)以上の場合には、ステップS70からの処理を繰り返す。
上述した手順で送信すべき全てのデータがソフトインパクトドライバ201に送信されると、図10に戻り、ディスプレイ252に「ソウシンカンリョウ」の表示が行われる(S04)。したがって、作業管理者はYESスイッチ260を押して、ソフトインパクトドライバ201へのデータ送信を終了する。そして、他に設定すべき条件があれば再度ステップS10、S20、S40、S60のいずれかに進み、送信データを作成してソフトインパクトドライバ201へデータ送信を行うこととなる。
なお、ソフトインパクトドライバ201に送信されたデータは、リモコン装置250のメモリ回路290の所定のアドレスに格納される。
【0053】
次に、リモコン装置250から送信されるデータを受信するソフトインパクトドライバ201の動作について説明する。ソフトインパクトドライバ201はリモコン装置250から送信された起動信号を受信すると、図19に示すように、まずREADEY信号をリモコン装置250に送信する(S73)。READEY信号がリモコン装置250で受信されるとリモコン装置250からデータが送信されてくるので、ソフトインパクトドライバ201はそのリモコン装置250から送信されるデータを受信する(S74)。そして、データを受信するとその受信データの2連送照合(2連送で送られたデータが一致するか否か)を行う(S75)。これによりリモコン装置250から送信されたデータが正確にソフトインパクトドライバ201で受信される。なお、2連送データが一致しない場合〔ステップS74でNOの場合〕には再度ステップS74からの処理を繰り返し、一致する場合〔ステップS74でYESの場合〕にはステップS73に戻る。
なお、上述した受信処理によりソフトインパクトドライバ201に受信されたデータは、ソフトインパクトドライバ201のメモリ回路128の所定のアドレスに格納される。これによりソフトインパクトドライバ201は、リモコン装置250で設定された動作モード等で動作することとなる。
【0054】
上述したことから明らかなように、この実施形態では、工具本体とは別体のリモコン装置250で動作モード等を設定するため、作業者が勝手に動作条件等を変更することを防止することができる。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。例えば、次に示す各形態で実施することが可能である。
【0056】
すなわち、上述した第1の実施形態においては、受音部30(コンデンサマイク)から出力された電気信号を利用して動作条件を設定することとしたが、動作条件を設定するために用いられる検出手段としてはこのようなものに限られない。例えば、赤外線、可視光、電波等を検出する検出手段を利用して、通信等により動作条件を設定するようにしても良い。このような場合には、電動工具にID等を付し、このIDに対応付けて設定した動作条件を管理装置により管理するようにしても良い。さらには、電動工具自体にも送信手段を設け、積算使用時間、ネジ締め回数等の作業履歴情報を管理装置に送信し、管理装置で電動工具の作業履歴を管理するようにしても良い。
【0057】
また、上述した各実施の形態では、ナット類の締付作業を行う締付工具について説明したが、本発明はこのような工具に限定されることなく、設定された動作条件に応じて制御される電動工具に適用することができる。例えば、トルクレンチ、スクリュードライバ等のような工具にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本実施形態に係る締付工具の一部断面側面図。
【図2】 本実施形態に係る締付工具の回路構成を示すブロック図。
【図3】 本実施の形態に係る締付工具において動作条件を設定する手順を説明するためのフローチャート。
【図4】 本発明の他の実施形態に係る電動工具の概略を示す図。
【図5】 図4に示すソフトインパクトドライバの一部断面側面図。
【図6】 図4に示すソフトインパクトドライバの制御系の構成を示す図。
【図7】 モード設定データの構成を示す図。
【図8】 タイマーオートストップ設定データの構成を示す図
【図9】 打撃カウントオートストップ設定データの構成を示す図。
【図10】 リモコン装置の外観正面図。
【図11】 図10に示すリモコン装置の制御系の構成を示す図。
【図12】 リモコン装置による動作条件設定操作のフロー図。
【図13】 リモコン装置による機能ON/OFF設定操作のフロー図。
【図14】 リモコン装置による使用状況設定操作のフロー図。
【図15】 リモコン装置によるアラーム設定操作のフロー図。
【図16】 リモコン装置によるオートストップ設定操作のフロー図。
【図17】 通信データの構成を示す図。
【図18】 送信側装置のデータ送信処理のフローチャート。
【図19】 受信側装置のデータ受信処理のフローチャート。
【符号の説明】
2 ・・アンビル
4 ・・ハンマ
30・・受音部
34・・ダイヤル設定部
38・・マイクロコンピュータ
48・・メインスイッチ
201・ソフトインパクトドライバ
210・・オイルユニット
222・・モータ
237・・赤外線LED
238・・フォトダイオード
239・・マイクロコンピュータ
250・・リモコン装置
252・・ディスプレイ
268・・赤外線LED
270・・フォトダイオード
290・・メモリ回路
322・・バッテリパック
328・・メモリ回路

Claims (3)

  1. 設定されたオートストップ条件に応じて制御される電動工具において、
    駆動源と、
    その駆動源に接続されており、ハンマとそのハンマと遊転可能に係合するアンビルとを備え、ハンマとアンビルとの間に作用する負荷が小さいときはハンマの回転をアンビルにそのまま伝達し、ハンマとアンビルとの間に作用する負荷が大きくなるとアンビルに対してハンマが遊転してアンビルに衝突することでアンビルを回転させる締付機構と、
    音を検出して検出した音の大きさに応じた電圧の信号を出力する音センサと、
    その音センサに接続されており、オートストップ条件を設定するための動作条件設定プログラムと駆動源を自動的に停止するためのオートストッププログラムを少なくとも備えるコンピュータと、を有し、
    そのコンピュータは、(1)動作条件設定プログラムが起動しているときは、駆動源を停止すると共に、音センサから出力される信号の電圧が所定の基準電圧を超えた回数をカウントし、そのカウントした回数に基づいてオートストップ条件を設定し、(2)オートストッププログラムが起動しているときは、駆動源の駆動を開始すると音センサから出力される信号の電圧が所定の基準電圧を超えた回数をカウントし、そのカウントした回数と設定されているオートストップ条件に基づいて駆動源を停止することを特徴とする電動工具。
  2. 設定されているオートストップ条件を表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
  3. コンピュータは、動作条件設定プログラムが起動している場合において、音センサから出力される信号の電圧が所定の基準電圧を超えた回数をカウントしたときは、表示手段により音が検出された旨を表示することを特徴とする請求項2に記載の電動工具。
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